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愛原様のたわごと(08年6月21日)




逆沢「先につっこんどくけど、今回地震の話はなしでね。もう飽きたから。」

鼎「また地震あったね。東北地方で。」

愛原「・・・先に突っ込まれたし、地震ネタは1ヶ月引っ張ったネタでもあるから、今回はコメントは控えよう。という訳で、とりあえず近況報告だが、まず作者が仕事に追われて大変らしい。という訳で、制作活動が一月は事実上、極めて困難というお知らせだ。」

逆沢「でっかいミスでもあったか?」

愛原「なぜそういうネガティブな予想をする? そういうのではないから心配するな。まぁゲーム作成の部分では、ちょっと詰まって気分転換が必要な段階らしいので、これもまたよしだ。」

鼎「大変だね。でも商業でやってる訳でもないし、誰かと共同で作ってる訳でもないから、気楽にやっていこうって事かな?」

愛原「うむ。ネタの整理もかねて脳内でゲーム作成モード。あとじっくりテストプレーも進めたいと思ってるそうだ。」

逆沢「時間はそれなりにかかるけど、暇つぶしでやればテストプレーもそこそこは楽しめるからね。」

愛原「義務でテストプレーをしても楽しくはないし、むしろ時間ばっかり浪費するイメージになって、【こんな事(テストプレー)してる時間を制作に回した方が】と思う事も多々ある。だからこそテストプレーしかできない日が続くと、それはそれで実は効率的に時間を使ってる気分になれて、意外と悪くなかったりするらしい。まぁ近況報告はそのくらいにして、そろそろ市民派(但しマイノリティー)による雑談ネタコーナーの始まりだ。」

鼎「今回の雑談ネタは何かなー?」

愛原「最近、東京で起きている猟奇的殺人とか大量殺人とかが暗い話題になっているわな。」

逆沢「う・・・よりによってそのネタで行くか? これなら政治ネタや震災ネタの方が良かったかも・・・。」

愛原「俺は、臭い物に蓋をするのは嫌いなんだ。責められて困る側はひたすら耳を隠し、赤の他人の側は面白おかしく、あるいはただ安直に非難の怒号を浴びせるような光景は好きじゃない。まぁ俺の立場として言えるのは、勝手なレッテルを貼ってオタク叩きみたいな事はしないで欲しいなという事だ。」

鼎「レッテル貼りはどこでもあるし、10年前と比べたらオタクの人権はかなり認められていると思うし、まだマシじゃないかなー?」

逆沢「けど今時、ゲームの1つも持ってない人は年配層でもない限りは少数派だと思うし、ちょこっとその手のゲームや漫画を持ってるだけで、オタクのカテゴリーに含めていいのかって疑問もあるけどね。」

鼎「昔、昔では、バラエティー番組とかホラーやアクション系の映画とかが、犯罪の誘発を招く悪の権化にされていたそうだけど、悪玉がずれてきたのかなー?」

愛原「思考としてはおかしくも何ともないのだが、犯罪が起こると、人は原因を追求する事になる。まともな動機であれば簡単に解決するんだが、重大な犯罪を犯すような人は、そもそも合理的な理由に基づいて犯罪を起こす事は殆どない為、結果として【社会全体の責任】とか【特定のサブカルチャーに感化された】とか、あいまいな部分に原因を求める事になりがちだ。秋葉原の事件の容疑者に関して言えば、【秋葉原】とか【ゲーマー】とか【ネット書き込みの常習者】とか、そういうキーワードから、典型的なオタクと類推され、特にオタクという存在そのものに好意を持っていない人からすれば、格好の批判のネタという事なんだろうな。」

鼎「大阪嫌いの人の中で、それが日本中どこでも起こり得る不祥事であっても【大阪だから】の一言でレッテルだけ貼って、勝手に納得する人がいるようなものかなぁ?」

愛原「レッテルを貼る側にとって、【自分自身がそのカテゴリーに含まれていない】という自信さえあれば、そんな事はどうでもいいからな。反中国の人の中に、中国との友好を促進しようと考える陣営は、その理由や戦略を問わず全て【媚中派】のレッテルを貼る人がいるようなものだ。」

逆沢「ネットの中には、自分の右翼的な発言を遮られたら、とりあえず【チョン】という差別用語を伴う形で相手を挑発するかのような、レッテルを貼ったりするような人がいるようなものね。」

鼎「レッテル怖い〜!!!」

逆沢「そんじゃ、今回のテーマは【レッテル】?」

愛原「外れ。今回のテーマは【催眠術】だ。」

逆沢「全然、前置きと関係ないじゃん。」

鼎「そもそも、どうして催眠術がテーマなの?」

愛原「秋葉原の事件の容疑者は、もしかしたら催眠術によって、ああいう凶行に走ったんじゃないかと思ってだな。」

逆沢「んな訳ないじゃない! 強引すぎ〜!!」

鼎「ファンタジーものの読み過ぎとかじゃないよね。マジシャンは錯覚を利用してマジックを行うだけで、魔法でも超能力でもないんだよ。」

逆沢「というかアンタ、脳みそ、大丈夫か? ゲーム脳とかになってないか? まさかあんたも危険人物の兆候出てたりしないわよね?」

愛原「・・・全く容赦ないな。まぁテーマのタイトルも現実世界から乖離気味だし、ネタへの持ち込み方も少しアレだったからしゃあないか。ああ、言っておくが、俺は正常だぞ。」

逆沢「ボケ老人に限って、自分自身の事を正常とか言うのよ。」

鼎「さっきご飯食べたばかりなのに、自信を持って【まだご飯を食べてない!】とか言って家族の人を困らせるんだよね。」

愛原「・・・ぐっ。とりあえず真面目な話をさせてもらうぞ。まず秋葉原の事件の容疑者は、いわゆる刑法でいう所の免罪されるべき精神異常者の類ではないと思われる。しかしかなり強力な自己暗示をかけている。自己暗示というとかなりオカルトっぽいが、いわゆる市販の文庫などでも見られる【自分に自信をつける発想】とかそういうものだ。」

逆沢「なーんか、そういう本って結構見かけるわね。うさんくささ満点だけど。」

愛原「うさんくさい本も多いかも知れないが、自らの精神状態を良い状態にもっていく活動は、スポーツ選手を始めとして、誰でも多かれ少なかれ、無意識意識問わずやっている事だ。気を引き締めたり、逆に緊張を解こうとしたり、集中力を高めたり、色々あるだろう。」

逆沢「それで、例の容疑者はどういう自己暗示をかけたっていうの?」

愛原「極めて、ネガティブな自己暗示だ。テレビでもよく話題にされている通り、かなり自分に自信のないような書き込みが多く見られる。せっかく励ましのレスをもらっても、それを否定するばかりだったようだ。書き込みという行為自体、自己暗示を非常に強める行為そのものなんだが、その内容が内容だけに、極めてやばい。」

鼎「書き込みって危ないの?」

愛原「個人差があるので絶対とまでは言わないが、割と多くの人にとって危ない行為だ。人が強く暗示をかける(かけられる)行為は色々あるが、有名なのは【反復】とか【唱和】のような類だな。オウム真理教では信者に【修行するぞ!】を何度も連呼させ、またそういう音声が繰り返し流れるヘッドギアをつけさせたりして、次第に信者をその気にさせていった。一部の企業でも朝礼などで軍隊まがいの唱和などをさせたりするところがあるが、あれも刷り込みによる一種の洗脳行為。テレビCMで何度も企業名や商品名を連呼する類も、まぁその一種と見なしてよいだろう。【書き込み】の場合は、音声こそは出さないが、漢字や英単語を何度も書いて暗記する手法などと重なる部分があり、何度もそういう書き込みを繰り返していると、最初は軽いつもりや冗談のつもりでも、本当にそのつもりになってしまう事がある。」

鼎「【ウソも100回言えば、ホントに思える】のようなものかなぁ?」

愛原「実際にホントになるかどうかは別にしても、ホントになった気にはさせられやすい。小泉人気の一因でもあるが、ワンフレーズで分かりやすく、自信たっぷりに繰り返し断定されると、理由や根拠を大して考慮せずつい信用したくなるような心理の一種だ。」

逆沢「うーん。内容が内容だけにどこまで真に受けていいのかどうかって気持ちは残るけど、確かにそういう前提でいえば、容疑者自身がネガティブな書き込みを続けることで、完全に自己暗示にかかっちゃったって解釈は不可能ではないかもね。」

愛原「うつ病も、その一種と言えば一種だと思う。ブツブツ、ネガティブな事とか、根拠のない断定とかを繰り返すようになると要注意だ。」

逆沢「自分で自分に催眠をかけるなんて、アホじゃないかって気もするけどね。」

鼎「でも自分に自信をつける方法とか、集中力を適量に保つ方法とかもあるし、ケース・バイ・ケースだと思うよ。」

逆沢「でもやっぱり催眠術って言うからには、自分にかけるよりも、相手にかけたいわよねぇー。」

愛原「相手に催眠術をかけようと思うなら、まず術者が被術者に信頼されていないとかなり難しい。ご都合世界の場合は、簡単に(あるいは無理矢理に)相手に催眠術をかけて言いなりにできたりするが、それなりに学術的な視点から考えると、この信頼という要素は大事なんだ。」

逆沢「信頼もクソも、眠気が半分くらい残っている状態の人なら、かかりやすいイメージもあるけど?」

愛原「それはその通り。相手の思考回路が鈍っていれば、結果的にそれだけ信用される可能性は高くなる。但し、眠たくて眠たくてしょうがない心境の時に、嫌いな人間にあれこれ言われても、余計にムカッとくるだけだし、無理矢理たたき起こされたり、眠気を邪魔されて喜ぶ人は少ないから、なかなか漫画の世界のようにはいかない。どちらかというと、疲れや退屈感を利用する方が現実的だ。」

鼎「疲れや退屈感?」

愛原「戦国時代に黒田勘兵衛という武将がいたのだが、彼は所属する家中が毛利につくか織田につくかを議論していた時、あえて最初から会議の場に現れず、他の武将らがけんけんがくがく議論を尽くして疲れた頃に現れて、斬新な発想で織田につく事を進めた為、家中が一つにまとまったという逸話がある。またヒトラーも、色覚や演出を駆使して、適度に緊張感がゆるんだ頃に現れて、小泉張りの演説をかまして、一気に臣民を引き締めたという話がある。まぁいずれにしても、黒田勘兵衛やヒトラーに、地位や信頼や演説のセンスがあったからこその芸当で、元々、そういうのがない人がやっても駄目だぞ。」

逆沢「日頃からの信頼が大事って事ね。」

鼎「でも新興宗教の教祖とかスピリチュアリストとか占い師とか言われる人は、どうやって信頼をつかんでいるのかなぁ?」

愛原「まず日頃から、宣伝活動をやっておきたい。【こんなに感謝のメッセージをいただいています】みたいなノリはよく使われる。それから肝心の初対面での面談だが、相手は相談者としてやって来る場合が多い。その際の対応が非常に重要だ。」


逆沢「誠実に対応すればいいって、言葉では簡単だけど、実際には難しいんじゃない?」

愛原「誠実さなんか表面上だけでいい。重要なのは、その相談者が心の奥で望んでいる回答を追認してやる事だ。例えば、インターネットの世界でも、匿名同士で解決する形の、質問コーナーとかお悩み相談とかあるだろう。そこでテレビ番組でやってるようなありがちな(でも本人にしてみれば深刻)恋愛の質問とかがあって、回答者は回答者で、真面目に誠実に回答する者もいれば、ふざけた回答をするものも、あるいはマスコミ受けしそうな過激な(あるいは突き放したかのようなズバッとした)回答をする者もいるが、実際に相談者がその内容を理性的に吟味している事は実は少数で、じゃあ相談者が最終的にベストとした回答はどれかというと、自分が心の奥底で望んでいた回答に最も近く、なおかつ(たとえ屁理屈でもいいので)もっともらしく理由付けされているものが選ばれやすい。もしも自分が心の奥底で望んでいた回答に近いのが一つもなければ(あるいはその回答を支持できない程、全体の比率が悪ければ)、適当にはぐらかして終わりの事が多い。」

逆沢「まぁ【彼が●●なんですけど、もう別れた方がいいんでしょうか?】とか相談したところで、心の奥底では本人なりに結論が出ている事が多そうな気はしてたけどね。ただ理由が欲しいだけで。」

愛原「商魂たくましい教祖やスピリチュアリストなら、質問の具合から、相談者がどういう結論が彼らの口から出ることをを希望しているかを読み取って、それを支持する回答をすればいい。そうすれば【この人の助言なら信用できる】って事になる。逆に相談者の意に反するアドバイスをすると、たとえ道理的に正しくとも【この人はもっともらしいことを言うけど、どうも信頼できない】ってな具合になりやすい。医者や教師が道理的におかしい側を支持する言うのは大問題だが、恋愛相談や人間関係の悩みとかなら、北野大ばりの笑顔をもっていかにも誠実そうに支持してやればいい。」

逆沢「うへぇー、えげつない! 究極の偽善者って奴ね。」

鼎「でも相談者の意をくみ取って、例えば【もう少し彼氏を信じてあげたらいいのでは】とか適当にコメントとして、それを相談者が信じてその結果、より状況が悪化したらどうするの? 【貴方の言うとおりにしたら、ひどい目に遭った】とかどなられるよ。」

愛原「その時は適当にあしらう。この際、嫌われても構わない。というのも悪徳教祖とか詐欺師は、元々100人中100人騙せるとは考えず、100人中30人に1万円のお札を買ってもらうよりは、100人中1人でも100万円の壺を買ってもらえた方が上という発想で行動するからだ。ひったくり常習犯にしても、手当たり次第襲うような危険な真似はせず、あくまで最も難易度の低そうな年齢層のターゲットや周りに誰もいない環境を選びたがるように、量より質が彼らの思考回路。何しろ捕まったらパーなんで、それよりも数少ないカモから確実に搾り取るのが彼らの基本戦略となるのは当然だし、うまくいきそうになかったら早い段階で適当にあしらって、泥沼にはまる前に丁重に追い返し、ハマッたカモからその分徹底的に取れれば、元は取れるからな。」

逆沢「まぁ100人面接すれば、1人や2人の信頼を勝ち取るくらいは可能かも知れないけどね。」

鼎「でもそうやって信頼を築いていけば、やがて【あの人は誠実に私の気持ちになって相談に乗ってくれる。】とかなるって事かなぁ? でも悪徳教祖とか悪徳訪問販売員とかは、逆に不安を煽って信頼を得るんだよね。」

愛原「その場合は最終的に、【私の言うとおりにしてたら、良くなったでしょ】とか【私に任せてもらえたら、きっと解決してご覧に入れます】と思わせられたらOKだ。適当に不安を煽って、その不安を後から打ち消してやればいい。政治の世界でよく聞くマッチポンプという手口に近い。自分で火をつけておきながら、それを鎮火する事で賞賛をあおるやり口。」

鼎「今、小泉さんが決めた後期高齢者医療制度で福田さんが叩かれているけど、もしも小泉さんが福田さんのピンチに現れて、後期高齢者医療制度の改善案なり廃止案なりを出して小泉さんの人気がまた上がったとしたら、典型的なマッチポンチになるよね。」

愛原「・・・・・まぁそうだな。とにかく事は心理学の問題でもあるのだ。これを知らないと、心から誠実に苦言を呈してくれる人を嫌い、うわべだけの優しさで耳障りの良いことを言う人を好きになるなんて事が起こりかねないから要注意だ。悪徳訪問員が得意とするケースは、しかもその両方(最初にあえて苦言を呈する事で真剣に相手を心配してるふりをし、後に解決して賞賛を買う。)だから、なお始末が悪い。」

逆沢「友達に不良役をさせて女の子を襲わせて、ピンチの場面に駆けつけてその不良役をやっつけて女の子のハートをゲットってシーンとかもその例かな?」

愛原「・・・まぁ事件をわざわざでっち上げる部分から始まる点では、マッチポンプの一種かも知れんが・・・。ってか、そんな有名すぎる手にひっかかる女の子なんているのか?」

鼎「でも何となく、ニュアンスは伝わったかも。人の心は姑息なテクニックだけでも、ある程度は引き寄せる事ができる事もあるし、その積み重ねで、忠実な信徒さんや悪徳商法のカモも作れるって事だよね。」


愛原「始めに破格の安さの価格で安い洗剤を売りつけ、全ての商品が安いと思わせて、いかにも高級そうな布団(実際に高級とは限らない)を破格の安さと称してバカ高い値段で売る商法を催眠商法というが、これなんかは文字通りの催眠術だな。」

逆沢「でも、相手を信頼させてからでないと駄目な催眠術って、なーんかまどろっこしいわよねぇー。ご都合的催眠術みたいに、嫌いな奴を言いなりにできるようなものはないの?」

愛原「それだったら、ヤクザやイジメの構図と同じにならざるをえんぞ。外部にチクされないように、なおかつ外部に不審がられないように注意しながら、ひたすら相手が諦めるまで、悪さなりなんなりし続ける。反復効果でいずれ、逃げられる状態でも逃げなくなったり、その不幸な状況を受け入れるようにも成り得る。植民地統治もそれと同じで、何度逆らっても無駄な事を知らしめ、言いなりになってたら良いこともあるぞと適度にアメも与えながら叩き込む。牙を全て事前にへし折って、野生化(独立)しても生き残れないような状態にしたり、オリの外は怖い(隣の国は悪い)と思いこませるのも一案。」

逆沢「それは催眠術とか関係ないと思うけど。」

愛原「強引過ぎたか? まぁしかし心理学で言えば【ストックホルム症候群】というのがあって、たとえ加害者と被害者の関係であっても、生活や空間を共有する時間が長くなるにつれ、相手に親近感を抱きやすくなるという事例はあるんだけどな。」

逆沢「エロゲ辺りで、典型的なご都合展開の根拠になりそうな症候群ね。」

鼎「もっとゲームの魔法みたいに、瞬間的にかかっちゃうようなご都合的な催眠術ってないのかなー?」

逆沢「そうそう。ドラクエのメダパニとか、TRPGでよくあるチャームみたいに、呪文を唱えただけで相手の精神を操ったりできるような簡単な催眠術?」

愛原「パニック状態にしてやれば、集団全体を混乱状態にする事は可能なので、前者に関しては催眠術とは全く別物だが可能だ。だが、チャームの方は難しい。まぁご都合的な催眠ものであるような、特定のキーワードをターゲットの前でささやくだけで、ターゲットを特定の精神状態に置くような類は可能だ。」

鼎「うそー、そんな事できるの? どうするの、教えてー!!」

愛原「動物には学習能力というのがあるのだが、人間は動物の中でも最も高度な学習能力を持っている。しかし学習する機能というのは、【思考から行動に至るまでの手順のショートカット】を増やす、いわば【条件反射】を増やす機能という側面も持っている訳だ。例えば日本人は、かけ算の九九を丸暗記する事で、計算の手順をショートカットしているし、このようにある程度の範囲では、思考というプロセスを省略して即、断定に至る局面ってのは数多い。特定のキーワードをターゲットにささやく事で、ターゲットを特定の心理状態に置くとシーンも、この学習機能により、実は意外と広く見られたりする事がある。」

逆沢「例えば?」

愛原「さっき【レッテル】の話をしたわな。この【レッテル】自体が、実はこの催眠キーワードそのものなのだ。【オタク=キモくて反社会的な存在】とインプットされている人間に対して、【A君はオタクなんだよ】と吹き込んで、なおかつA君がいかにもオタク的な外見等を満たしていれば、ターゲットはA君に対して先入観の時点でほぼ不快感をもつ事になる。これはアメリカの有名な心理学の実験なんだが、【とある1人の人物(Aとする)が、全く同じ内容の演説を初対面の2人に対してする。但し、2人の人間に対して、一方にはあらかじめAに対して好意的なイメージを、一方には非好意的なイメージをもたせる。すると、演説後も先入観の時点とそんなに変わらない印象を感じたままだった】というのがある。」

逆沢「まぁ実験するほどでもない当たり前の話だと思うけど、確かに先入観ってのはあるわね。」

愛原「このレッテルがもたらした、一つのケースを紹介しよう。いかにもレッテルのもたらした催眠効果というのがわかるぞ。」

鼎「今度はどんな実験?」

愛原「実験じゃない。実際に起きた社会現象そのものだ。実は過去、某国において文化庁所管団体の支援を受けて、中国人監督による映画【YASUKUNI】というのが制作されたんだ。ところがこれに【中国人】【靖国】という2つのキーワードに反応してか、実際に見てもいない映画に対して【政治的に中立な映画かどうかに疑義がある】として、普段なら絶対にしない試写会の要求まで行う国会議員達が何人か現れたのだ。そして元々、不信感を前提として持っている彼らの多くは、試写会後も【政治的に中立な映画かどうかは若干の疑問を感じた。イデオロギー的なメッセージを強く感じた】等の発言を行う。これらの経緯を受けて、産経新聞や一部週刊誌、一部ネットなどでも【実際に観てもいない人】による一方的な作品批判が増加し、ついに右翼団体の圧力等を恐れた映画館などが自主的な上映中止を行い始めた。が、これに対してモノホンの右翼団体が逆に困惑して、彼ら自身も試写会を行い、賛否両論は出たが、総論として一部国会議員や一部メディアが騒ぐほどの内容に値しないものとして、ようやく丸く収まった訳だが、この社会現象についてどう思う?」

逆沢「・・・質問への回答の前にツッコミたいんだけど、【過去、某国において】という前置きが、ものすごく意味不明なんだけど・・・。」

鼎「色んな意見の持ち主がいるのは当然だけど、いわゆる右翼団体という似たような思想の集まる人達の中でも意見が分かれるくらいだから、色んな感想が出る普通の映画だったと思うよ。」

逆沢「むしろ観てないのにレッテルを貼って騒ぎを大きくした人が問題ね。最初からレッテルを貼るような人は、先入観バリバリだから、観たからといって後で感想が好意的なものに変わる可能性は低そうだし。ってか、メンツを重んじる連中だけに、前言撤回したりはしないだろうし、むしろ後で色々自己弁護とか自己正当化ばかりしたがる連中だから、どっちにしても結果は同じかな?」

愛原「これが日本の将来に最も責任を持つべき政治家の思考回路かという思いだ。他人に吹き込まれた結果か、自己暗示の結果か知らんが、特定のキーワードに対する反応が凄まじすぎる。【敵対的キーワードヲ認識。直チニ排除シマス!】とかロボット口調で言いそうなくらい、理性が飛んでいる。」

鼎「映画一つ作るのってすごく大変なのに、レッテル貼ってネガティブな大騒ぎされたりして、制作者さんやスタッフの皆さんも可哀想だよね。」

愛原「ちなみに李監督は、【靖国神社は否定的な意味で中国と韓国で話題になっており、いい方向に持って行く契機にしたかった】との旨の談話を出している。確かに靖国神社というキーワードは、一部の人にとって理性を吹き飛ばす程の催眠誘導的なキーワードで、韓国・中国などでは主に反発につながりやすい。李監督はその一種の対立の構図と誤解を解きたい意味も含めて制作に携わったようだが、日本国内の一部の政治家が、一般公開される前に勝手にキーワードに反応して、観てもいない連中(もしくは観る前から結論を出している連中)によってネガティブな印象を広められ、先入観の時点で作品を悪いものにしてしまった。」

逆沢「先入観というか、考える前に自分なりに回答が出てしまってるような人間が、政治家なんて怖すぎるわね。先に答えが出ちゃってるから、話し合いの余地もなさそうだし。」

鼎「先入観のない人なんていないよ。問題は先入観だけじゃないと思うよ。」


愛原「その通りだな。だが程度と状況の問題だ。かけ算の九九と違い、靖国神社問題なんかは、どう考えても万民に共通した認識が得られている話題じゃないだろう。にも関わらず、キーワードだけで疑いもなく反応し、相手の立場どころか自分の置かれた地位に見合う責任と社会的影響力すら考慮せず、無鉄砲に騒ぎ立てる。先にパニックの話も出たが、【大山鳴動しネズミ一匹】どころの騒ぎじゃない。制作者の皆さんから、映画会社から、右翼団体まで幅広く大迷惑だ。喜んでいるのは、【【中国人・靖国神社】のキーワードが出たら、徹底的に叩きつぶせ】との暗示がかかっている被催眠術者だけ。」

鼎「催眠術を他人にかけられたらいいなと思ってる人は多いかも知れないけど、催眠術を食らいたい方の人はいないよね。でも実際には、結構そういう状態の人はいるのかも知れないね。」

愛原「オタク、チョン・・・色んなレッテルを貼りたがる人はいる。貼られてうれしい人は殆ど聞いたことがないが、貼りたい人はそれなりにいる。しかし相手を怒らせる事と、自分がちょっぴりスカッとする以外の効果はない。むしろ思考の視野が狭くなる副作用が問題だし、多用すればするほど、自分にますますその暗示がかかってしまう。理性ではなく、キーワードを聞くだけでますます直感的に、相手に親近感、あるいは嫌悪感を感じるようになってしまう。物事を単純化して考えられるようになる事はメリットもあるが、讒言や甘言に乗せられる可能性も高くなり、思考によって状況を改善したり、譲歩したり妥協したりする事で本来、状況や気持ちを楽にできるはずの場面で、逆に自分を追い込んでしまったり、世の中に絶望したりしやすくなる問題も抱える。」


鼎「こうしてみると、他人の催眠術を食らってしまってる人よりは、自己暗示にかかっちゃってる人の方が多いのかも知れないね。やっぱりゲームやファンタジーで登場するような、凄腕の催眠術師っていないのかなぁ?」

逆沢「あ、でもさっき黒田勘兵衛とかヒトラーとかの例で言ってたような、時間やセットに準備がいるような例はなしでね。一言でパッと催眠状態にできるような便利なものはないかなぁ?」

愛原「俺には無理だが、小泉純一郎が【改革!】の呪文を唱えれば、低レベルの冒険者達はかなりの確率で彼を支持してしまうと言われてるからな。あれは一種のチャームの魔法、あるいは催眠術かもしれんぞ。」

鼎「一国の総理大臣が、実は大魔法使いだったとか、超能力者だったとか、スタンド使いだったとかいう設定は、今までありそうでなかった設定だから、使ってみたら面白いかも知れないね。(但し、元々魔法等が大衆レベルで普通に認知されているような世界は除く)」











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