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愛原様のたわごと(08年8月23日)



逆沢「北京オリンピックも、もうすぐ終わりなのね。」

鼎「野球の日本代表は、メダル取れなくて残念だったね。」

愛原「完敗だったな。まぁ、予選でキューバ・韓国・アメリカに負けて4位。決勝トーナメントでも韓国とキューバが決勝進出し、3位決定戦で、予選時点で3位だったアメリカと勝負して、敗れて4位。波乱のない順当な結果であった。」

逆沢「ところであのメンバー、本当に日本最強だったの? 北京に行く前の練習試合で、原辰徳監督率いるセリーグ選抜チームに惨敗してたし、けが人も多そうな時点で、これヤバいって気がしてたんだけど。」

鼎「一部では、星野監督の采配に問題があるって言ってる人もいるよね。」

愛原「野球の世界では、かなり【勝敗は兵家の常】みたいな所があるから、1戦1戦だけをみて全体の実力を量るのは不可能だ。例えば、ペナントレースの覇者となるチームでも、3戦したら1敗はするペースでしかないしな。ちなみに今年の夏の高校野球の覇者である大阪桐蔭が、仮にどんな強豪と試合しても10戦して9勝するモンスターチームだったとしても、甲子園で6戦全勝して優勝にたどり着ける可能性は、約53%だ。つまり2回大会を行なえば、1回は優勝を逃す確率だ。ついでに言うと、今年は第90回記念大会という事で、大阪府からは2校出れる事になったが、それでも大阪桐蔭は甲子園に行くまで7戦も戦ってきて、全て勝ってきた。冷静に考えれば、どれほど、厳しい確率か分かるだろう。」

逆沢「強い側が10戦して10勝するならいいけど、10戦して1敗でもする可能性があれば、むしろ予選で姿を消す可能性の方が高いって訳ね。」

鼎「ちなみに大阪桐蔭は、甲子園決勝で17-0で勝ってるし、準決勝でも強豪横浜相手に9-4で快勝してるけど、意外に予選では、決勝の履正社相手に2-0、準決勝で箕面東相手に2-1だから、もしかしたら予選で負けてた可能性もあるんだよね。」

愛原「その通り。ちなみにデータや実績に基づいて出場校を選抜する春の高校野球で、ベスト4まで残った沖縄尚学、聖望学園、東洋大姫路、千葉経大付属の4校の内、夏に戻って来れたのは千葉経大付属のみ。その千葉も夏では、沖縄の浦添商に敗れて2回戦で散っている。これが厳しすぎる高校野球の現状だ。」

鼎「確か浦添商ってのは、沖縄県予選の決勝で、春のセンバツ覇者である沖縄尚学に5-2で勝って、実力で夏の出場権をもぎ取ったんだよね。」

逆沢「その浦添商も、静岡のマモノ高校にまさかの敗北をするんだけどね。」

愛原「マモノ高校って、何やねん? 常葉学園菊川と正式名称でいえば長すぎるかも知れんが、せめて常葉菊川くらいは呼んでやれ。」

逆沢「だってどう見ても、マモノじゃん。勝ち上がり方が普通じゃなかったじゃない。とある回の攻撃だけ、謎の打線爆発をして謎の逆転勝利を繰り返す謎のチームだったし。【甲子園にはマモノがいる】みたいな表現をする人もいるけど、本当にとある回だけ、マモノが取り付いたみたいな猛攻を繰り返して、その回以外は打線沈黙。ピッチャーもそんなに良くないから、11-9とか13-10とか、見た目は乱打戦そのものだし。」

鼎「実際は、常葉菊川の相手チームはコツコツ点を入れてるから、点を入れた経緯とか中身は、全然違うんだけど・・・。」

愛原「しかし決勝の大阪桐蔭戦では、マモノは降臨しなかった。それどころかめった打ちにあって、大正時代以来の無惨な17点差完封負けを喫してしまった。実際、大阪桐蔭はつい最近の練習試合でも、常葉菊川相手に10-0で大勝しているし、実力差が正確に現れた決勝になったともいえるかもしれんな。」

逆沢「でも常葉菊川が決勝まで進出したのは、紛れもない事実だし、マモノ頼りであろうが、それだけの実力が常葉菊川にあったのは事実なんじゃない?」

鼎「そうそう。【運も実力の内】だよ。」

愛原「俺は、運と実力は切り離して考えたいのだがな。」

逆沢「それじゃ今回のテーマは、【運と実力】って事にしますか?」

愛原「面白そうだな。では今回は、そのテーマで行くとしよう!」

鼎「さっきも話題になったけど、結局、運と実力は別物なのかなぁ?」

愛原「ゲーム的な観点でいえば、【乱数=運】と解釈すれば、間違いなく別物だ。たとえるなら実力は、基本パラメータとか乱数の期待値のようなもの。運はその乱数の幅そのものだろう。テーブルトークRPGをたしなむ人なら、この辺の理屈はすんなり分かると思うが・・・。」

鼎「【2D6+7】とか表現したりするよね。この場合は確か、6面体のサイコロを2個転がして、それで出た数字に7を足した数字を攻撃力とか命中率とかの値として採用するんだよね。」

逆沢「ゲームシステムにもよるけど、固定値である7の部分は、基本能力値とか武器防具の性能とかが採用される場合が多いわね。」

愛原「その通りだ。このたとえで言えば、常葉菊川は、このサイコロを振って出る値の部分でクリティカルを出し続けたようなノリになる。智弁和歌山戦などは特にその傾向が顕著に出て、前評判で格上の基礎パラメータを持つ智弁和歌山相手に快勝できたんだろう。だが大阪桐蔭の基本パラメータは変数の余地を残さない程、高かったのか、あるいは常葉菊川が2D6レベルの変数を扱うのに対して、大阪桐蔭は4D6レベルの変数を扱えたという事か、しかも変数の値が常葉菊川にとって最悪な形で決勝で現れて、17-0などというとんでもない試合になった可能性がある。」

逆沢「この変数の幅が広ければ広い程、より運に頼った展開になりやすいって事になりそうね。」

鼎「逆に変数の幅が無ければ、実力本位の展開になりやすいって事だよね。」

愛原「ちなみにSRPGツクール95でゲームを作った場合、敵に与えられるダメージは、必ず固定だ。同じ条件で敵を殴れば、必ず同じ値のダメージを与えられる。ダメージに関しては、運の入る余地はない。」

逆沢「けど命中率とか回避率に関しては、乱数処理のせいでそれなりに運の余地が出てくるわね。」

愛原「これは作者の趣味というか、そのゲームに関する姿勢が色濃く出る場面だな。ちなみに7lcwの場合は、計略系は命中率が低めな分、白兵系は命中率が高めに設計されている。工作兵系や将軍など一部を除けば、攻撃を外す事はかなりまれだと思う。特に魔砲斉射や特攻兵の特攻自爆攻撃は、外すシーンを見ることは殆どないだろう。」

逆沢「私の張来々も、ほぼ百発百中だしね。」

鼎「戦術部分に関しては、運の余地は意外と大きくないように設計されていたって事かなぁ?」

愛原「そういう事になるな。7lcwの戦術部分でバクチ要素が強いのは、火計・混乱などの計略技能と、工作兵くらい。つまり全体の戦況の有利不利は、各部隊の質と量でほぼあらかじめ決まっており、その有利不利を覆す要素となるのは、工作兵の諸活動や、各種計略の数々になるという事だ。」

逆沢「そう解釈すると、大神や那珂田のような実力者に支えられた騎士団領の【実力】は、意外と侮れないという事になるわね。混乱とかを一切使わずに、大神や那珂田を倒すのは、すごく大変だし。」


鼎「逆に大門司軍の武内さんとかは、すごく不確定要素に頼った戦をしてた感じになるのかなぁ?」

愛原「武内は、戦上手の隠しスキルも持つ【実力】者だぞ。但し個人的武勇とかユニット単位の戦闘力はそれ程ではなく、その部分を頭脳戦で穴埋めしているようなキャラだな。」

逆沢「頭脳戦を得意とするキャラほど、素の実力の足りない部分を、不確定要素によって補おうとしている感じがするのは、気のせいかしらね。」

愛原「多分、正しいな。楽天の野村監督も知将と呼ばれる御仁だが、ヤクルトの監督をしていた頃から【強者が勝者になるとは限らない】との論理だったからな。といっても【運も実力の内】とは、必ずしも考えていない。勝ったから強者、負けたから弱者という論理でもない。弱者が知力や不確定要素によって勝利をつかんだとしても、それで強者の側に成長したとは考えてないという事だろう。」

鼎「そういえば野村監督といえば、【負けに不思議の負けなし。勝ちに不思議の勝ちあり】って独自の理論も持ってたよね。」

愛原「【勝ちに不思議の勝ちなし】でない所がミソだな。つまり始めから【勝者は、勝つべくして勝った】なんて考えてはいない。歴史学者やマスコミ御用達の評論家などは、勝敗が決した後から、勝つべくして勝った的な理論で勝者を分析し、負けるべくして負けた的な理論で敗者を分析するが、実際は、紙一重の差でしかなかったり、偶然のたまものというケースも多い。冒頭でプロ野球や高校野球の話をしたが、10戦9勝できる程の圧倒的な強者でも、最後まで勝ち残れる確率の方が低く、ペナントレース覇者でも2勝1敗ペースでしかないように、勝敗はかなり水物だ。強豪同士が勝手につぶし合って、気がついたらノーマークのチームが最終的な勝者になる事も多い。」

鼎「そうだよね。今年のセリーグは阪神が圧倒的だけど、クライマックスシリーズで広島が日本シリーズに出る事もありえるよね。」

逆沢「阪神も巨人も中日も、結構、疲労がたまってるから、可能性は無きにしもあらずね。」

愛原「その通り。ちなみにRPGの世界では、属性というものがあって、苦手な相性とか得意な相性というのが、はっきり存在する事も多い。その結果、相手の弱点属性をうまく突く事で、格上のパラメータを持つ実力者を、不確定要素に頼らずに粉砕できる事もある。このケースの場合、どこまでを実力と呼んでいいか、もっと分からなくなる。」

逆沢「戦術とか知力というのは、単なる運頼みとは別物だからねぇー。実力に含めてもいいんじゃない?」

鼎「けどかなり運頼みな戦術とか、バクチ的な戦いってのはあると思うよ。織田信長が今川義元を桶狭間の奇襲で破ったのは、頭脳戦とも思うけど、雨が降ったとか、今川陣営がたまたま桶狭間という地形で休んでいたとか、色んな要素があって、どうやっても今川義元軍は織田信長軍に対して分が悪かったって事にはならないよね。」

愛原「この辺の解釈は、人次第としかいえなくはないな。まぁゲームの世界では、知力という要素自体がパラメータ化されているケースが多いから、実力に含まれて当然との見方が主流だろうがな。野村監督には怒られるかも知れんが・・・。」

逆沢「野村監督の思想からすれば、【実力部分での劣勢を補う、運よりも積極的かつ合理的な打開手段が知謀】って事になるんだろうけどね。」

鼎「そういや知力がパラメータ化されてるゲームも多いけど、運勢がパラメータ化されているゲームも結構あるよね。」

逆沢「ドラクエシリーズでも、ズバリ【うんのよさ】という名のパラメータがあったわね。」

愛原「テーブルトークRPGの世界でも、ラックとか得体の知れないパラメータを持つゲームは、そこそこ多いぞ。【運も実力の内】論を見事に採用してくれているゲームは、意外と多い。」

逆沢「まぁ世の中は、意外と運次第って局面も多いような気がするけどね。生まれつき恵まれた環境の人とか、良縁に恵まれた人とか、株や宝くじで大もうけした人とか・・・。」

愛原「成功者は、運や肉体的遺伝や才能に恵まれて成功したという論法よりは、他人以上に頭を使ったり努力したりしたから成功したという論法を好むけどな。マスコミも成功して実力者となった者といたずらに敵対する気はないから、この成功者を美化する論理に便乗したがる傾向が強いが・・・。」

逆沢「まぁ運や才能だけで成功したと言われても面白くないし、人より努力したから成功したと思わせた方が、部下に対しても示しがつくしカッコいいからねぇー。」

鼎「実際は、成功者が経営する職場で、パートとして朝から晩まで超長時間労働しても、絶対に成功者みたいにはなれないんだけど・・・。」

逆沢「成功者の自慢話を書き連ねた自叙伝みたいなのを読むだけで、自分も成功者に成れると信じてる人は、絶対に成功しないと思うわ。それこそ自分を神格化したい成功者の思うつぼなのにね。」

愛原「しかし、運であれ、血筋であれ、才能であれ、努力であれ、一般的に【成功者=実力のあるキャラクター】と認知される傾向はあるわな。まぁ分かりやすいのは確かだが・・・」

逆沢「だから【運も実力の内】って格言が、普通に通用しているのかも知れないわね。」

愛原「【うんのよさ】に代表される運勢までパラメータ化されるゲームは確かに存在するが、もしかしたら人間には運勢という目に見えないパラメータが現実に存在するのかな? まぁそれを言ったら【知力】なんてのも、かなりあいまいなパラメータには違いないのだが・・・。」

鼎「現実世界では、運とかバクチ的な戦法は、実力としてあまり重視しない傾向があると思うよ。大阪桐蔭の場合は、元々、選手一人一人の質もすごく高いし、監督の資質もそんなに不安定じゃないし、経験とか実績もしっかりしてたから、前評判の段階から優勝候補だったと思うし。」

逆沢「確かに勝負は水物だから、選手の精神状態や健康状態によって負けたり、相手投手の相性とこちらのチームのスタメン打者の相性次第で苦戦が予想される事もあるし、一か八かの奇襲戦法に翻弄される事もあるだろうけど、10戦して6勝以上できるようなチームは、【実力】はあると考えてもいいかも知れないわね。」

愛原「前評判通り、強者と予想される側が必ず勝つとは限らない所に、勝負の面白さがある。番狂わせが無ければバクチは成立しないし、負け組は一生負け組だ。だからマモノ高校と評されるような高校が勝ち上がる事自体は、むしろ面白い事だと思う。しかしだからこそ、単純な【強者=勝者】とは考えたくない。予選で散っても、実力校と呼べる高校はたくさんあるし、予選で散ったから所詮はザコと考えるのは、真に優秀な人材を見逃し、また勝負事の面白さも損なう残念な考え方だと思う。無論、逆に常葉菊川が決勝で無惨な負け方をしたからといって、運だけのチームと批判したくもないし、それも面白さの一つだ。」

逆沢「実力というのは、間違いなく存在する。けど実力者が必ず勝利するとは限らないし、そこには色んな不確定要素が存在するって事ね。」

愛原「その不確定要素の中身もいろいろだ。戦略戦術と評せるものもあれば、バクチと評されるものもあるし、完全な運としか呼べないものも多いし、中にはマモノが突然降臨したとしかいえないような類も存在する。しかし弱者が普通に戦っては普通に負ける可能性が殆どな以上、少しでも勝ちにつながるような方針を試すという発想は、とても重要だと思う。戦略戦術でカバーできれば最善だし、有効な戦略などがなくても賭ける内容があるなら賭けてみるのも有効だしな。マモノが降臨した時の判断も重要で、桶狭間の戦いなども、織田信長の元に降臨したマモノを最大限、織田信長は活用しただけと取れるかも知れない。もしも織田信長が消極的な臆病者なら、マモノが降臨しても機を逸していただろうからな。」

鼎「幸運が舞い込んでも、それを生かせるかはその人次第って事かも知れないよね。」

愛原「常葉菊川は、そういうマモノをうまく使う力があったから、決勝まで勝ち上れたという解釈も可能だ。無論、だからといって実力が運より軽視されるべき物という気もないぞ。実際、大阪桐蔭は圧倒的な実力と、それなりの運勢を併せ持っていたから全国制覇できたんだ。不確定要素を侮ってはいけないが、元々の実力がある程、やはり敵がしかけた不確定要素にも耐えられやすいし、味方がしかける不確定要素も活かしやすくなるのは事実だからな。まぁ強者は、普通にやってたら勝てるのに、わざわざバクチな手を使ってリスクを冒さないのが普通だが・・・。」

逆沢「強者は、弱者が仕掛ける不確定要素に注意すべし。弱者は、そのまま普通に負けたくないなら、積極的に手を尽くしたり、冒険すべしという事かも知れないわね。」

鼎「ところで結局の所、星野ジャパンの実力はどの程度だったのかなぁ? 本当は強かったけど、不確定要素にやられただけなのかなぁ? それとも元々弱いのに、それを補う手を尽くせなかったから負けたのかなぁ?」

愛原「分からん。ただ決勝トーナメントでも、予選リーグの時の順序と、全く同じような結果に終わってるからな。けが人の多さ、練習試合の結果、同じ選手が同じような失態を繰り返す・・・、勝負は水物の世界としても珍しいくらい、起こるべくして起こった4位のような気もする。」

鼎「星野ジャパンはちょっと残念だったけど、それと日本野球のレベルは違うよね。」

愛原「そう考えたいが、自信をもって断言はできない。理由としては、まず野球は集団スポーツであり、なおかつ監督やフロントの人事起用や基本方針にもかなり左右されるスポーツという事があげられる。バントなどの小技を好むとか、盗塁などを積極的に行なうとか、打順やポジションを頻繁に変えるとか、継投を重んじるとか、事前の練習量の確保を重視するとか、選手間の和や連携よりも個人技を重視するとか、色んな育成方針、起用方針があって、しかもそのウエイトが大きすぎる。選手層はそう変わらなくても、監督を入れ替えるだけで急に強くなったりとか、特定の雰囲気の悪い選手を排除する事で急に強くなったりとか、逆に各チームの一流ばかりを金に物を言わせて獲得しても勝てないとか、そういう要素がすごくあるスポーツだから、一概に断定できないのが正直なところだ。」

逆沢「まー、各チームの一流をかき集めても意外と勝てないのは、セリーグの某球団が何年もかけて証明しちゃってるからねぇー。」

鼎「それだったら阪神なり西武なり、一球団を丸ごとオリンピックに派遣した方が、チームワークの観点からいっても、余程強かったかも知れないよね。」

愛原「実力というのは、総合力でもあるからな。考えれば考える程、実力の定義づけは難しいな。」















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