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愛原様のたわごと(08年11月29日)




愛原「情報化時代は、すっかり新時代を迎えたと思う。」

逆沢「・・・は? いきなりリアクションに困るんだけど。ここはツッコミを入れるべきなの? それともボケるべき?」

愛原「・・・何でそうなるのだ? ってかお前がボケてくれる事などほとんどないだろ?」

逆沢「じゃあツッコミ入れるか? ・・・って、だからって、そのネタからどうツッコミ入れろっていうのよ?」

鼎「つまりこれって、マジネタなんだよね?」

愛原「俺はいつもマジネタ一直線なんだが・・・。ついでに言うと麻生総理に負けない本音トーク、毒舌バンザイモードだ。」

鼎「お笑い芸人が毒舌吐いてもボケツッコミでOKだけど、政治家が毒舌吐いたら、ほぼ例外なく失言・暴言扱いになって、ちょっと可哀想だよね。」

逆沢「ってか、あいつらは笑わせる職業じゃないでしょ。自虐ネタの方でなら笑いも取れるかもしれないけど、他人をコケにしたり馬鹿にするようなネタの発言は、政治家の場合は厳禁だって。」

鼎「社会保険庁の【消える年金マジック】も、ちょっとすべり気味だったよね。それともあれ、ドッキリ狙いだったのかなぁ?」

逆沢「あれはギャグ狙いじゃなくて、天然!! しかも笑って済ませられない悪質な不祥事!!」

愛原「・・・マジネタ入っていいか?」

鼎「面白いネタなら、大歓迎だよ。」

愛原「残念だったな。今回のネタは、笑えないマジネタなのだ。」

逆沢「つまり【ここで笑わなきゃ、もう笑うところないよ!】って奴ね。確か小沢一郎のふるさと出身の漫才コンビのネタだったっけか?」

鼎「それで情報化社会がどうしたの?」

愛原「・・・・お前らの超くだらない部分での情報通ぶりにも脱帽だ。まぁさておき話を進めると、今週、厚生事務次官連続殺傷事件と舞鶴女子校生殺人事件の両方で、一気に容疑者が浮上したわな。」

逆沢「どっちも【事実は小説より奇なり】を地で行く超展開だったわね。事務次官殺しの方は30歳前後の若者どころかゴロツキヤクザっぽい経歴みたいだし、女子校生殺しの方も、若い男による犯行と見られながら、緊急逮捕されたのは60代の賽銭ドロボーってか?」

鼎「事件直後の報道の予想と全然違ったね。」

愛原「まぁだからといって報道機関や警察が悪い訳でもないけどな。むしろこれらの事件は、まだまだ入り口だ。一日過ぎれば、新たな裏付け証拠なり証言なり推測なりが飛び出してもおかしくないし、無論その中には、ウソホントが入り交じる。ウソかホントも分からないたった一つの断片をとらえて、推測の幅を広げるのは、推理小説的には面白いが、それを一方的に信用して騒いだり叩いたりするのは好ましくないと思われる。」

鼎「インターネットの普及によって、国語辞典とか学生時代の教科書とか市販の書物とか新聞とかに頼らなくても、欲しい情報が手軽に手に入るようになったのは大きいけど、その情報が正しいかどうかは別問題という、新しい問題が出てきたよね。」

逆沢「偽情報とか、そういうのを扱う策士とか諜報機関は、はるか何千年の昔からあるけど、今は誰でも手軽に偽情報を流しやすくなってる分、情報処理能力がすごく重要になっている気がするわね。」

鼎「そういえば推理小説の世界では、真犯人がトリックを使って偽の状況証拠とかアリバイとかを警察とかにつかませて、まんまと逃げ延びようと試みたりするけど、これも言ってみれば、真犯人と刑事さんや名探偵との情報戦だよね。」

逆沢「最近は、推理小説やなんとか連続殺人事件だけじゃなくて、推理マンガもいっぱいあるけど、原作者のアイデアの豊富さには本当に感動するわね。よくもこれだけ次から次へと、色んなトリックを考えられるなと。」

愛原「という訳で、今回のテーマは、【隠された真相。真相をあばけっ!】だ。」

逆沢「な、何なのよ? その三流アニメや三流記事に登場するタイトル文みたいなお題は?」

鼎「マジネタじゃなくて、バカネタにしか見えないんだけど。」

愛原「まぁ今回は、要するに【推理もの】を取り扱うという事だ。ゲームの世界では、推理もののAVGとかは、イマイチ数が多くないようだけどな。」

逆沢「ゲームシナリオの担当者に、推理小説や推理マンガの原作がつとまるようなセンスがないと、この手のジャンルは使いこなせないからじゃない?」

鼎「私が、犯人を見つけ出す推理ゲームで思い出すのは、ファミコン時代の怪作、【ポートピア連続殺人事件】」かなぁ?」

愛原「あれは、当時としてはインパクト十分だったな。もっともオチの部分で、いきなり地下迷宮が出てきたり、いきなり何の前置きもなく犯人がお前かよ!みたいな、真面目な推理ゲームとして解釈するにはあまりにも無茶すぎる、本物の怪作だったが・・・。」

逆沢「本棚の中をいじったら、秘密の部屋が現れたりとか、推理サスペンスものとしては古典的だけど、現実世界でそんな家に住んでる奴など、まずいねえよみたいな展開が待ち受けたり♪」

鼎「首相官邸とかなら、そういう秘密の部屋とかもあるのかなぁ?」

愛原「秘密の部屋というのは、かつてお殿様が住んでいたようなお城でも殆どないのが、現在分かっている限りの真相だからな。ある程度、建築のノウハウのある人間が建物の間取りを見れば、そんなスペースが確保可能かどうかくらいすぐに分かるし、隠しても隠しきれるものじゃない。熊本城なんかは、一応秘密の部屋まがいのスペースがあったようだが、現実に戦になったり、城内で事件が発生したとしても、そんな袋小路のスペースが利用可能な局面などまずないだろうというのが、率直な感想だ。」

逆沢「秘密の部屋というか、隠し財産とかヘソクリとかを保管するような、秘密のスペースくらいなら、一般家庭でもいくらでも確保できそうだけどね。」

鼎「でも本格的な隠し部屋とまではいかなくても、隠し通路とかは現実にも割とあったような気はするんだけど。」

愛原「それは今でもある。非常用出口も広義でいえばそうで、インドのテロ事件でもこれが功を奏して難を逃れたお店とかがあったしな。東京都の地下にも自衛隊などが利用するかなり大規模な地下道がマジで存在するようだ。」

逆沢「隠された部屋や通路を暴くのも、推理殺人ものの醍醐味よね。」

愛原「隠された部屋までいくと、さすがに現実離れ過ぎという印象が残るが、【逃走経路】とか【移動手段】をあばくというのは、シンプルに楽しい設定だ。これらを見事暴くことが出来れば、アリバイの何割かが崩れる。完全殺人というキーワードを取り除く為にも、是か非でも取り組みたいポイントだ。」

鼎「ひき逃げ犯を逮捕するには、この逃走経路をあばくのが一番だと思うけど、現実にはなかなか難しいよね。」

逆沢「よくある殺人事件の場合は、逃走経路自体は足跡とか血痕とか色んな証拠から割と簡単に分かるんだけど、それも建物の中とか現場周辺だけの話で、街の中までたどり着かれたら実質終わりってのがツラいわね。」

愛原「状況証拠とか目撃者証言などが少ないと、それだけで事件が迷宮入りする可能性が高くなる。特に最近は、一般大衆による不審者の監視力が落ちているのか、警察に積極的に目撃情報や不審な情報を提供しようという人が少なくなっているのか、ともかくそれだけで捜査の難易度は高くなっているといってよい。」

鼎「個人的な人間関係のもつれとか怨恨とかが動機の事件なら、人脈をたどる事で真犯人にたどり着きやすいけど、今はやりの【誰でも良かった】系の事件だと、人間関係から真犯人にたどり着きにくいから、それも問題だよね。」

愛原「そういう場合も、不審者を徹底的に洗うしかない。しかし一般大衆が非協力的になっている為、不審者情報が手に入りにくくなっている問題もあるし、舞鶴や元事務次官殺しの事件のように、【若い男】が犯人っぽいみたいな、真相(?)から大きく外れた情報が一人歩きすると、それだけで解決への道が遠のくという問題もあるしな。」

逆沢「偽情報を真に受けてしまうと、それだけで真相から遠のきかねないという好例ね。」

愛原「今の世の中は、情報量自体は豊富な為、推理する分には苦労しない。但し、それ故に先入観によって真相からより遠ざかり易い欠点もある。2ちゃんねるの管理人の名台詞に【ウソをウソと見抜けない人は〜(以下略)】というのがあるが、これは2ちゃんねるに限らず、情報を扱うあらゆる分野で当てはまる名台詞だろう。」

鼎「ウィキペディアとかも、国語辞典とかでは絶対に手に入らない、すごく豊富で有益な情報が多いけど、たまに誤った情報とか偏った情報とかを投稿する人があるから、それだけは気をつけないと駄目だよね。」

愛原「ウィキペディアの愛用者の俺様としては、それでもウィキペディアは素晴らしいとしか言いようがないんだが・・・。確かにナイフで人を刺すような凶悪犯もいるが、そんな一握りの人間を何とかする為に、ナイフそのものを製造禁止にするのはナンセンスというのと同じだ。」

鼎「けどそれをいったら、2ちゃんねるのような匿名掲示板も全てOKって事になっちゃうよ。」

愛原「2ちゃんねるには、ユーザーによる削除機能がない上、ログも特定の場所で原則永久保存なのが問題だ。とかいって管理人が削除要請に対して誠実でもないので、名誉毀損された被害者からしたら問題が大きすぎる。誤った情報も垂れ流しだ。ウィキペディアも問題点は多いが、悪意ある人間や偏った人間によっておかしな書き込みをされた場合には、それなりに対応可能な点が評価できる。後はユーザーがそこにある情報を、どう解釈するかだけ。せっかく今回のテーマが真相追求ものという事もあるので、ちょっとウィキペディアを使って、情報分析ごっこして遊んでみよう。」

鼎「遊ぶの大好きだよ。どうするの?」

愛原「ちょっとした情報力判定テストだ。例えばウィキペディア内検索で、【衛藤晟一】と入力してみよう。」

逆沢「ちょ・・なんで衛藤晟一なのよ??」

愛原「例題のテキストとして分かり易いからだ。で、中身見て違和感とか問題とか感じたか?」

鼎「特に感じなかったよ。荒らしによる書き込み制限とかもないし、【中立性に疑問】みたいなタグもないし、普通のページだよね。」

逆沢「どこかおかしいの?」

愛原「お前の目は節穴か? 一番最初の1973年の履歴を読むだけで、何かヘンだとか思わないのか? ああ、長文読むのはしんどいんで、1973年の部分だけでもOKだぞ。後は、読んでも読まなくてもいい。」

逆沢「ん〜どこがおかしいの? まぁ辞書としては経歴の中身が細かいかも知れないけど、このくらいは内容充実のウィキペディアではご愛敬じゃない?」

鼎「・・・うーん。でも本来なら【1979年には大分県議会議員に当選し、障害者に対してただ単に援助を与えるのではなく、障害者の能力を引き出し、社会の中で自立できるようにしていく福祉に転換することを政策の主眼に据え、多くの実績を重ねる。また、同時に、家族の大切さを訴え、次の世代を担う子供たちに愛情と安らぎを与える家族と地域社会を護る政策を推進する。また、次世代を担う子供達のためにきちんとした教育を受けさせるための教育政策に取り組む。】じゃなくて、【〜とのスローガンを掲げる。】みたいな感じにする方がマシかなぁと思ったかも。これじゃ選挙公報パンフレットの引用そのものみたいだよね。」

愛原「いい所をついたな。次はページの最上部にある【ノート】のタブをクリックしてみよう。特に長文でもないので、軽く読んでみてくれ。」

鼎「ちょっと、もめてたみたいだよね。」

逆沢「なんか選挙運動でもしてた頃があったのかな?」

愛原「その印象だけで十分だ。次に【元のページ】に戻った上で最上部の【履歴】のタグをクリック。そこに過去のページ覧が表示されるから、ちょっと古いが【2007年6月11日 (月) 20:23】の部分をクリックしてくれ(実際には、それより古い履歴ならどれでもOK)。載ってなければ【次50】をクリックすれば、より古い年月日のデータも出てくるから、その内目当ての年月日の部分にたどり着くはずだ。

逆沢「おっ、今度はシンプルめだけど、ごく普通のウィキペディアのような感じね。確かに選挙用パンフレットみたいな宣伝文句とかもないし、普通そのものだわ。」

鼎「でも現在の文章につながるような形跡が、全く残ってないよね。何でかな〜?」

愛原「で、次に前の【履歴】のページに戻る。面倒くさければインターネットエクスプローラーの左上にある【←戻る】キーを押せば一番簡単。でもって今度は【2007年7月1日 (日) 16:05】の部分をクリックだ。」

逆沢「おお〜っ。なんじゃこれ〜!!!」

鼎「2007年6月までの記事と全然中身が違うよね。全文書き直されてるのかな〜?」

逆沢「しかもやたら太字太字太字! そっかぁー。あの【ノート】のページで書いてあった苦情はこの事だったのね。」

鼎「見てみて。1973年の部分の中身が、最初に見たあの文章と全く同じだよ。太字かそうじゃないかの差があるだけで。」

愛原「【2007年7月7日 (土) 16:42】の時点で、ようやく太字だらけの状況はようやく解消されるけどな。ともかく【Champhor21】とかいう執筆者が現れてから、内容が全面的に選挙向け広報っぽい内容に全面改装されたのが分かるだろう。ある程度以上、政治に知識のある者(少なくともウィキペディアに善意で辞書として補完しようとする者)なら、わざわざ削除しないであろう【生長の会】などのキーワードが外され、一方的に美化された内容に切り替わっている。」

逆沢「でも【Champhor21】という人の書き込みは、7月29日に終わっているけどね。」

愛原「2007年7月29日は、参議院選挙のあった日だからな。ちなみに衛藤晟一は、当時の安倍総理からただ一人の例外措置として、落選した郵政造反組でありながら復党を許されている。そんな特殊な経歴の持ち主だが、その衛藤自身が当選して国政に復帰した事により、【Champhor21】は姿を消した。ちなみにその後は、【Champhor21】がやったような、以前までに積み重ねられて成立した全文を消去する(&全文新規書き込み)ような荒技をしでかす勇者は現れず、今でも【Champhor21】が全面的に書き改めた全文の原形がそれなりに残っているといった具合だ。」

逆沢「なーるへそ。全体像がようやく分かったわ。要するに今残っている【衛藤晟一】のページは、選挙戦略の一環として、工作員が全文を書き換えたものでしかないって事ね。」

鼎「これって、噂のチーム世耕の工作活動の一部なのかなぁ?」

愛原「【Champhor21】が選挙目当ての工作員なのか、あるいはチーム世耕の仕業なのか、そんな感じの確たる証拠はないけどな。ただ衛藤支持者による工作活動と思わせるに十分過ぎる状況が思いっきり残っている事くらいは、伝わったかなと思う。これがウィキペディアの楽しい使い方だ。」

逆沢「た、楽しいの???」

鼎「でもウィキペディアの良いところが一つ分かったよ。履歴が残るから、本気で調べようと思ったら、意図的な改ざんをしてる者がいるかとか、その情報が信じるに足るものかどうかが、割と発見しやすいって事だよね。」

愛原「イエス・イエス・イエス。確かに偽情報や偏向報道は怖い。だがそれが信じるに足るかどうかを知る方法が全くない訳でもない。ウィキペディアの場合は、良くも悪くも情報公開の原則が徹底されているから、その点で俺は好きだな。ともかくこのお遊びで、トリックをあばく名探偵気分がちょっとだけ味わえただろ?」


逆沢「・・・ま、まぁ、証拠品を集めて、犯人(?)の仕掛けたトリックを暴くことに成功したと解釈すればね・・・。けどあんたも暇ねーって、正直思うわ。んな所までいちいち調べられるかっての。」

愛原「そりゃ当然だ。そんな事をいちいちやってたら、情報の海で溺死する。情報処理というのは、とにかく情報をたくさん集めれば良いのではなく、取捨選択すべきものだ。不審な情報にピンと来たら、その時初めて、切り捨てるなり裏付けを取るなりすればいい。今回、衛藤晟一のページに探りを入れたのも、たまたま冒頭部分からいきなりネタになりそうな香ばしいにおいが漂ってきたから、ちょっと深入りしたくなったからに過ぎん。」

逆沢「そんなどーでもいい部分だけ鼻が効く、あんたの存在自体が一番香ばしいと私は思うわ♪」

鼎「でも謎解きって、詰まったらそれより先にシナリオが全く進まなくなる恐れがあるから、ゲームに盛り込むのは難しめだけど、謎をプレイヤーの努力で解き明かすことができたらすっごく楽しい気持ちになれるから、できたらうまく成功させてみたいよね。」

逆沢「でも現実世界の場合は、真実は決して壮大なものでもカッコいいものでも理論づくのものでもなく、ダサいケースも多そうだけどね。現実は想像のななめ下を行くことも多いっていうか・・・。話の最初でとりあげた2つの事件も、そんな経過っぽいし。」

鼎「中ボスが腕利きの用心棒とかなのに、ラスボスがしょぼい性格をした悪徳商人だったりしたら、まさにそんなオチになるかもね。」

愛原「もっとも俺自身としては、あくまで事務次官殺しの件については、かなりヤバい裏があるような気がしてならんのだが・・・?」

逆沢「おー、【陰謀説】って訳ね。やっぱ裏社会とか陰謀とかの存在は、ファンタジーの世界ではそれなりに話を盛り上げる定番だしね。」

鼎「【本能寺の変の黒幕は誰だ?】みたいな【陰謀説】は、常にあるけど、現実世界は陰謀だらけなのかなぁ? それともマンガの見すぎ?」

愛原「何でもかんでも陰謀説で片付けるのは、好ましくない。現実が想像のはるか下に行く事もあるのは、やはり一面の真実だ。だが建設工事を巡る談合にしろ役人のプール金にしろ、こういう不祥事は1件発覚すれば、その100倍は隠れてるとも言われているから、陰謀説を安易に否定するのも気がひける。いわゆる【氷山の一角に過ぎない】という奴で、陰謀の類は現実世界の方がむしろ根深い部分もあるものだ。暴力団などが扱う拳銃とか麻薬の流通ルートなどは、未だ闇だらけだしな・・。詐欺事件などで消えたお金の行方なども、謎だらけ。それこそ【生活費や遊興費だけで、そんな額が消えるかよ】みたいな額が、突然消える。」

鼎「そういえば事務次官殺しの容疑者は、ヤクザ者ではないかという説も聞いたよ。」

逆沢「実際、容疑者は過去にそれっぽい恐喝事件とかも起こしてるみたいだし。犯行に使ったといわれるレンタカーには、犯行現場に向かったという記録はなく、代わりに黒いベンツが止まっていたみたいな話もあるし。あと、容疑者はどうやって金を稼いで生活していたのだとか、そんな疑惑もあるし。」

鼎「漫画の世界では、与党の政治家はほとんど暴力団とかと裏で手を結んでいるみたいな設定が多いけど、そういう背景が現実にもあるって事かなぁ?」

愛原「国会議員が暴力団の葬儀に参列するなんて事もあるし、パーティーに暴力団幹部と共に参加する事もあるようだしな。コップの水を野党議員にぶっかけた某議員なんかも、暴力団に秘書給与を肩代わりさせてさせていたしな。」

逆沢「それ、暴力団から政治家に向けた事実上のワイロそのものでしょ。何であのチョンマゲは逮捕されないのよ?」

愛原「・・・知らん。ともかく政治家と闇社会のつながりは意外と深い。ちなみに襲われた事務次官の前任者だった岡光元厚生事務次官は、利権団体との癒着が明らかになって有罪になっているが、官僚と闇社会とのつながりも深そうだ。闇社会の住人が意趣返しで、見せしめとしてテロまがい事件を起こす事はよくある事なので、厚生事務次官殺しの件もその一環という説は、残念ながら完全否定できない。」

鼎「よくある事なの?」

愛原「よくあるぞ。ちなみに本来のテロリストの定義は、暴力行為など恐怖感を植え付ける行為を見せつける事によって、特定の目的を果たそうという者の事を差す。つまり【見せつける】事で、初めて意味を成す。だから本物のテロリストは、犯行後に犯行声明を出すなどによって、しっかりと自分と敵対する事の愚かさをアピールしようとする。今回、事務次官殺しの容疑者がわざと出頭したのは、事件が迷宮入りした場合、【年金テロ】という推測の動機で世間に広まってしまう為、闇社会に逆らう事の恐ろしさをアピールできなくなる可能性があって、それを回避しようとした結果だとも俺は見る。」

逆沢「おー、あんた三流のサスペンス作家くらいはなれるかも知れないわ。」

鼎「でももしも、厚生省の歴代幹部が闇社会と黒いパイプでつながっていて、その関係が突然悪化したとしたら、闇社会側は厚生省に対して【俺達との利権関係を見直そうとしたらどうなるか?】といわんばかりに、何らかの圧力なりテロなりをしかけてもおかしくないよね。」

愛原「テロは、最低でも真犯人がうすうす誰であるかを理解させないと効果はない。だからこそあえて出頭したという説は十分に成り立つ余地がある。確かに年金不祥事による義行ではなかったかも知れないが、もっと黒い動機があったかも知れないと俺は考える。30年以上前に犬がどうこうなんてのは、おそらく真に受ける価値もないと俺は思う。まぁ闇社会では懲役刑自体は仕事でしかない為、鉄砲玉や替え玉が自首志願する事自体は珍しくないが、それでも死刑だけはなるだけ回避しようとするから、こういう訳の分からない動機を語る事で、あわよくば精神鑑定狙いなのかどうかは知らんけどな。」

逆沢「おそらく裁判員制度の対象事件になるだろうから、裁判員の方達が、この容疑者を裁くかは個人的に興味しんしんね。」

愛原「まぁいずれにしろ、この事件に関して、真相が明らかにされる事はないような気もする。企業と総会屋の関わりとか、政治家と利権業者の関わりが容易にオープン化される事がないように、仮に厚生省と闇社会の関わりがどのようにあったとしても、表沙汰にはならないだろう。表面上は、訳の分からない犯罪者による官界の幹部殺しで終わるような気がする。歴代の政治家殺しの事件も大体そんな感じだしな。」

鼎「ほえっ? そうなの?」

愛原「古くは社会党党首の浅沼稲次郎が、右翼の少年に刺殺されている。当時の浅沼率いる社会党は割と人気が高かっただけに、社会党側の打撃は大きかったようだが、ともかく実行犯の右翼少年は、ノイローゼになったとか何とか、ちょっとよく分からない理由で自殺したとされる。無論、詳細は闇のまま。」

鼎「最近では、長崎市長が刺殺されたけど、これも詳細がちょっと分からないよね。市役所側の対応が悪かったのが動機とかも言われてるけど、市長が犯人の関連する業者に事業を回すのを断ったからともいわれているけど。」

愛原「作者が学生時代に高い評価をしていた石井紘基という政治家も、ヤクザまがいの男に殺された。借金を断られた腹いせとか容疑者は言ってたが、真相は大きく違うと思う。この石井議員は、官僚利権を告発する内容の書物を多く出しているなど、普通の野党議員顔負けの骨っぽさと調査力と実行力を持っていた。この人の活動はとにかく表向きだけクリーンな議員と違って、本気で告発しまくっていた分、彼を憎む政敵も多く、彼を敬遠したり誹謗中傷したりする側の議員も与野党を問わず多くいたが、それ故に利権関係者のかんに障ったと俺は見ている。」

逆沢「えーと、あと代表的な国会議員殺しの事件としては、丹羽兵助という議員の殺人事件があるらしいわね。」

愛原「丹羽議員は、なんと自衛隊基地内で精神病患者に刺殺されている。そういう人間が丹羽議員のそばまで歩み寄るのを、やはりそばにいた自衛隊員がなぜその瞬間までノコノコ見ていたのか意味不明だが、実はその経過ももっと意味不明だ。ちなみに刺された時点では丹羽議員は無事だったのだが、そばにいた自衛隊員が即座にナイフを抜いた為、そこから血が噴き出して致命傷。それでもしぶとく生き抜いた丹羽議員はその後、地元の自衛隊御用達の病院に運ばれるが、別の血液型の血液を入れられたのがトドメとなって帰らぬ人になった。脅威の悪運続きと取るか、何かの黒い陰謀の結果と取るかは、個人の判断に任せるが・・・。」

逆沢「リアルの殺人事件をネタ化するのは不謹慎かも知れないけど、確かに陰謀サスペンスのネタにはなりそうなくらい、複雑な背景があるかも知れないわね。その事件も。」

愛原「ともかく、事件に関する表向きの情報と真相は、全く異なってもおかしくない事は何となくでも伝わればいいなと思う。その真相は、想像の世界よりはるかに下を行くしょぼい動機や背景の事もあるし、逆に巨大なバックがある事もありえるだろう。それこそゲームや推理小説の世界よりも、しょぼい真相のケースから、はるかに巨大なケースまで。」

逆沢「どこまで言っても、真相は闇のままなんだけど、報道される断片だけで結論を出すのが、安易かも知れないっちゅう事だけは分かったわ。」










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