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愛原様のたわごと(08年12月20日)



愛原「イラクのバグダッドを電撃訪問したブッシュ大統領が、記者会見中に一記者から靴を投げつけられたらしい。」


逆沢「でも、かわされちゃったらしいわね。残念!!」

鼎「でもアラブ諸国では、結構その記者さんの行動に喝采する世論が多いらしいよ。」

逆沢「アラブ諸国だけじゃないけどね。それにこのネタをパロったゲームがたくさん登場して大人気らしいし。」

鼎「一番、肝心なイラクの首相が喝采せずに、逆に記者を逮捕したり、事態の沈静化を急ぐ光景が少しだけ不思議に思えたかも。」

愛原「イラクの現政権は、アメリカが作為的に行なった選挙を経た結果、運営されている組織だから、アメリカのいいなりなのは当然だ。初の選挙が行なわれた前後ではファルージャ掃討作戦を含む反米主義者狩りが最も激しく行なわれていたし、反米主義者の多くが狩られた上で、それ以外の者を中心に被参政権や参政権が与えられ、そのまま今に至っているからな。ついでにいうと、この記者は、警備員らに腕などを折る大けがをさせられた上で拘束されたらしい。親米政権が運営する以上、無罪は困難だろう。だからといって日本のように刑罰に甘い国でもないのでどうなるか・・・、記者の未来が案じられる。」

逆沢「おーおー。アンタの事だから、靴を投げつける行為をもっと問題視するかと思ったわ。」

鼎「中東では記者の靴投げ行為を英雄視する人は多いけど、日本の場合はそれに批判的な人もある程度はいるみたいだよね。」

愛原「【正規の外交様式をもって訪れた異国の国家元首に向けて、物を投げつける行為】自体に的を絞れば、常識的な法を持つ全ての国では犯罪そのものだ。だがちょっと考えてみて欲しい。例えば、【人を殴った】という一点で、【それは悪いことか?】と問えば、悪いことに決まってるわな。だが【相手が一方的に攻撃してきたので自己防衛のために反撃した】となれば、正当防衛が成立する余地は十分にあるはずだ。つまり罪というのは、その背景をもって正当防衛となったり、情状酌量の余地があったりされるものだ。それと同様に、なぜブッシュが靴を投げつけられたか? そういう側面から、この件を考えてもらいたい。」

逆沢「そりゃ、ブッシュは訳の分からない動機で、一方的大量殺人を指揮した主犯格だしねー。」

鼎「でも日本政府は、フセイン政権率いるイラク側がが査察受け入れに消極的で、国連決議に忠実でなかったからという理由で、いち早くアメリカを支持したよね。」

愛原「日本政府が主張はメチャクチャだ。日本政府の理屈で言うと【Aは、道路交通法に違反し、信号無視による横断歩道通過行為を繰り返した。よって一民間人BによるAに対する私的半殺しリンチ行為及び罰金徴収行為に対して、いち早く支持を表明する!】といっているのと同義だからな。」

逆沢「うへえー。それは、ゆすりたかりの犯罪者よりひどいわ!」

愛原「無論、こんな無茶な論理に国連加盟国の多くが賛同するはずもなく、フランス・ロシア・中国などはいずれもアメリカの軍事活動を非難。しかしアメリカはそれを無視して、イラクに侵攻開始。日本はそれをいち早く支持し、金銭人員両面に渡って2008年に入ってなお、航空自衛隊を派兵し、イラク方面にも向かう軍艦への給油活動も継続している。まぁ日本と異なり、アメリカの大義名分はあくまで【大量破壊兵器を保有している疑い】の方だけどな。いずれにしろゆすりたかりの犯罪者が訳の分からないいいがかりをつけて、一方的に弱者をなぶり財産を強奪した構図であるのに変わりはない。その怒りを背景に考えた時、靴投げ行為をした記者を一方的に断罪できるのか? ここがポイントなのだ。」

逆沢「まぁ個人的な本音で言えば、靴投げ行為をした記者を罰するなら、一方的大量虐殺を断行したブッシュにも、数万人殺しという超大量殺人鬼相応の罰を与えるべきかもとは思うけどね。」

鼎「でもブッシュさんを、被害者であるイラク人の手で罰する事はできるのかなぁ?」

愛原「結論から言うと、極めて困難。確率0.001%以下。なぜなら仮に10年後、反米政権がイラクに立って、ブッシュを死刑にできる法律に変えたとしても、それを執行する能力がイラクにはないからだ。つまり事実上ブッシュは、イラク人からみて超法規的存在なのだ。神とか悪魔とか、あるいは宇宙人のような、とにかく法律で縛れない超越した存在・・・・。」

逆沢「まぁ確かに、イラク人からみたら、道理の通用しない宇宙人が【言いなりにならないから戦争だ!】と言って一方的に攻め入ってきたのと変わらないしねぇー。そんな宇宙人同然の人間が相手なのに、記者としてのモラルだのルールだのに縛られるのも変な話かも知れないといえば、そうかも知れないけどね。」

愛原「靴を投げつけた側だけを色々非難して、数万人規模のイラク人を訳の分からない理由で大量虐殺した側が殆ど非難されないとすれば、こんなおかしな事はない。ていうかここまで不平等なダブルスタンダードは、さすがに世界中探してもないと思う。靴投げ記者の英雄的行為を讃えるとか、そんな事までは思わなくても構わないが、ブッシュの悪行の大きさを考えれば、一記者の靴投げ行為など、有罪無罪を議論するにも値しないようなごくミクロ級の事件でしかないし、そんな事で腕を折られる程の力でねじ伏せられ、あげく監禁された記者は本当に気の毒だとは思う。」

逆沢「ま、子供を殺された親がその犯人を殺したいと思う事があるっつう話は、日本国内でもそこそこ聞くし、そういう心理でみれば、非正規手段でもいいから恨み重なるブッシュに一太刀でも浴びせたいっつう気持ちも十分理解できるわ。そういう感情は、もはや第三者が善悪でどうこう言って片付けられるような問題じゃないしね。」

鼎「でも考えてみれば、現時点でイラク戦争を一番支持しているのは、実は日本だという話も聞いた事あるよ。スペインやオーストラリアとかは、イラク戦争を支持した当時の政権が野党になっちゃってるし、イギリスのブレア政権もイラク戦争を支持した誤りを口にして退陣しちゃったし、中国やフランスやドイツやロシアは元々イラク戦争に不支持だったし、肝心のアメリカでも、イラク戦争に否定的だったオバマさんが当選して、ブッシュさん自身も限定的ではあるけど、イラク戦争の誤り自体はちゃんと認めているし・・・、気がついたら日本は、主要国で唯一、イラク戦争は正しかったという信念を貫き通している国という事になっちゃうらしいよ。」

逆沢「いち早くイラク戦争を支持した経緯もあるし、なーんか、日本がイラク戦争を引き起こした影の黒幕なのかと、誤解されちゃいそうねー。」

鼎「ヒデブ派みたいだね。ヒデブ派も、婆娑羅編や大神編の終盤で、そういう事を暴露するイベントが出た事あったような気がするけど・・・。」

逆沢「婆娑羅編では、イエローがラストバトルで【軍国主義化して気に入らない国に次々攻め入るようになった黒藤軍を、かつて軍国主義だった俺達がいち早く支持するのは当然だ】みたいな事を言ってたし、大神編でも【黒藤軍ですら少しは頭を下げてきたのに、ヒデブ派だけは絶対に黒藤軍を支持した事が誤りだったと一度も謝罪してこない】みたいな感じで大神がぼやくシーンがあったし、まさにそんな感じかもね。」

鼎「赤竜編でも、【北狄は、かつて隣国に流血を強い、今も黒藤軍の戦争を支持する等、常に流血を好む政策ばかりを推進してきた】みたいな感じでと楠木さんがなげくシーンがあったよ。」

逆沢「平和主義の仮面をかぶりながら、実は世界で一番、戦争や流血が好きな国ってか。ひいぃぃーー。」

愛原「イラク戦争が勃発して以来、アメリカでもイギリスでも普通に起きた反戦デモが、日本では全く起きていない。野党も、経済政策や年金政策、あるいはくだらない揚げ足取りには熱心だったが、イラク戦争の是非については殆ど追求しないなど(社民党と共産党のぞく)、与野党問わず、イラク戦争には総じて無関心だった。イラク戦争を支持した当時の各国の政権が、軒並み国民から反発を買って少なからずのダメージを受けたにも関わらず、日本だけは当時の首相が率いた最後の選挙で歴史的大勝利。それどころか、選挙での争点にもなっていない。」

逆沢「もしかして、これが本当の平和ボケって奴?」

愛原「ともかく、訳の分からない理由である日突然、戦争が起き、巻き込まれている被害者が現実に存在する。つまり日本がいつ、訳の分からない理由で戦争をふっかけられる立場に回るかも分からない。そうなっては困るから、道理に合わない武力行使行為には、各国が力を合わせて抗議していこうというのが、普通の人間の思考回路なんだが、日本人はなぜかその発想が足りない。フランスやドイツは最初から勇気をもって反対し、アメリカやイギリスのような開戦側主要国ですら、反戦デモは戦争開始直後から普通に起き、戦況の悪化に連れて目を覚ます人も増える一方だったが、それでも日本だけは例外だ。イラク戦争を、世界で最も強く支持・正当化し、しかもその考えをいつまで経っても全く改めようとしない国。それが日本。自称平和主義国、日本だ。」

鼎「日本も、いつかもっと本当の平和主義国らしくなると信じたいけど・・・。」

愛原「今回のイラク人記者の靴投げ行為は、99%以上のシチュエーションにおいてそれをやれば、暴挙でしかないが、今回の相手は、超法規的存在でもある一種の悪魔的な怪物だからな。身内一人殺されたら、その殺人犯を憎むのが普通の人間の感情。その憎まれても仕方がない行為を、ブッシュは万単位でやっている。にも関わらず靴を投げつけられて【私はよけるのがうまい】などとのたまう始末。遺族らの深い悲しみを背負った彼らに対する、哀悼や反省のかけらもない。そして日本人も、ブッシュの同様の思考回路を持つ者がまだ多数いそうだ。戦争で傷つけられた側の悲しみとかを全く理解しようとしない。なんとかして侵略した側を正当化し、侵略された側を悪役化しようとする。そんな国民の集まった国だから、世界で最もイラク戦争を正当化している国のままなのかも知れないが、正直悲しくはある。」

逆沢「テロや拉致は、理由を問わず絶対に許されないけど、訳の分からない理由での戦争や大量殺戮は、それでも許される余地があるという思考の持ち主すらいる国だからねぇー。わたしゃ、逆にされた側に立って考えたら、やっぱ戦争や大量殺戮が一番許せないわ。」

鼎「イラクのマリキ政権もそうだけど、政府の立場として、あえて堪え忍ばなければならない場面は多いと思うよ。でも堪え忍ぶのと、始めからおかしな事をおかしいと思わず、自己正当化したり、自己完結するのは全然違うよね。」

愛原「アメリカに喧嘩を売っても勝てないからある程度はガマンするというなら、まだ救いもある。が、始めからアメリカの戦争は正しかったと信じたり、靴を投げた記者は(ブッシュよりも優先的に)裁かれるべきだとか、アメリカ軍による戦争や虐殺行為を対して非難せず、それに抵抗するテロリズムだけを激しく非難するとか、そういう思考をするような連中は最悪だ。人は誰でもミスはするし犯罪や迷惑行為をやってしまう事もあるが、それを反省・謝罪できるか、開き直って自己正当化したり、他人に責任転嫁しようとするかの差は大きいと思う。」

逆沢「しかもただ単に支持を表明するだけでなく、積極的にアメリカ軍の軍事行動を後方支援しちゃってるし。」

鼎「でも日本政府の見解では、復興支援などが目的で、軍事活動には当たらないという事だよね。」

逆沢「後方支援っつうか、要するにやってる活動内容のメインは兵站そのものなんだから、軍事の常識に照らせば軍事活動の大動脈そのものに荷担しているはずの行為が、軍事活動に当たらないなんて事はあり得ないんだけど。」

愛原「日本は世界2位の経済大国であり、世界有数の後方支援能力保持国でもあるからな。ちなみに軍事部門で最も重要なのは兵站なのだが、日本の自衛隊は、イラク戦争においてその最重要部門である兵站部門に関わりすぎた。太平洋戦争時から兵站の重要性に関する関心の薄い日本人(国会議員含む)の中には、平成に入った今になっても、非戦闘地域での後方支援や物資輸送は軍事行動にあたらないとかいうヘリクツを真に受けている者も多そうだが、兵を動かしたり燃料や食糧を補給できなければあらゆる軍事活動がストップする訳だから、兵站は軍事活動の心臓(ポンプ)といってもいいくらいだ。実際、現代戦の3割から6割のシェアは兵站業務で占められるし、その意味では、イラク戦争を遂行する上での貢献度としては、イギリス軍もオーストラリア軍もおそらく自衛隊に及ばない。アフガニスタンでもしかり。」

鼎「確か今年の4月に名古屋高裁が【イラクでの航空自衛隊活動は違憲である】という判決を下した時に、当時の航空自衛隊トップである田母神航空幕僚長(現在は退職)が、芸能人ばりの【そんなの関係ねえっ】とコメントしてたけど、もしかして軍事のプロであるべき田母神さんよりも、一裁判官の方が、軍事の常識に精通してたって事かなぁ?」

愛原「田母神は、自分好みの思想教育者を自衛隊内の教育機関の講師に選定したり、思想教育ばかりお熱だったようだからな。兵站が軍事じゃないなんて理論は、あまりに基本認識として間抜けすぎる。田母神氏自身はプロゆえ本音は【兵站=非軍事】なんて思ってなかったと信じたいが、国会議員や一般国民の中には、意外とかなりの多数が、非戦闘地域だの非戦闘行為だのを本気で信じているものが多そうで、正直怖い。」

鼎「ねえねえ、その話はそろそろいいよ。そろそろテーマに移ろうよ。」

愛原「いきなり人の話をぶった切るな。こっちは日本の将来と国防の話をまだまだしたいのだ。」

逆沢「まぁまぁ、この続きはまた今度と言うことで。気がついたらかなりの行数いってるし、このままだと本編のスペースの方が殆どなくなっちゃうわよ。」

愛原「前回、しょっぱなから本編だったから、別に構わないと思うが、まぁ話の腰も折られたし、そろそろ今回のテーマに移るとしよう。今回のテーマは、【現実世界をゲーム化してみよう】だ。」

逆沢「ほうっ?! なんでまた?」

愛原「だから、ブッシュに靴をぶつけるゲームというのが、世界中で出回っているそうじゃないか?」

逆沢「それじゃ、上から5行以外の前置きの部分は、一体何なの?」

愛原「・・・ただの脱線。本編とは何の関係もないぞ。」

逆沢「がーっ!! 何の伏線にもならん会話を長々と続けるな〜!!!」

鼎「スペースももったいないよね。」

愛原「気にするな。で、今回のテーマについてだが、まぁフリーゲーム界では、政治ネタや社会ネタを取り扱うゲームは、【不謹慎ゲーム】という呼ばれ方をされるパターンも多いわな。」

逆沢「まぁ確かに、不謹慎なネタの作品が多いからねー。」

鼎「けど政治問題とか社会問題ってのは、本当は不謹慎どころか、すごく真面目な分野のはずなのに、ちょっと違和感あるような気がしなくもないけど、これってどうなのかなぁ?」

逆沢「ゲームという存在は、娯楽目的でしかないから、どんなに真面目な分野でも、ゲーム化した途端に【おもしろい存在】に変わっちゃうのは仕方ないんじゃない? 皮肉を面白くしたら、風刺になるようなもんだと私は思うけど。」

鼎「でも漫画の全てが、笑いをとったりするのが本目的とは限らないよね。伝えたい手段の媒体の一つと考えたら、絶対に面白くなくてはならないルールもないと、私は思うよ。」

愛原「漫画の場合は、活字オンリーの書物と比べて、より直接的に視覚に訴える効果がある。テレビや映画は、さらにその発展版と位置づけてもいいかも知れない。ゲームという表現ではなく、バーチャルとかシミュレーションという言葉に置き換えれば、鼎の言ってる事は確かに理解できるな。」

鼎「いわゆる【疑似体験装置】という位置づけだよね。」

逆沢「とするとブッシュに靴を投げるゲームも、単なる射撃ゲームとかシューティングゲームとして分類するよりは、疑似体験ゲームとして分類した方が良いかもしれないって事ね。」

愛原「ゲームには、パズル・クイズ・対局もの等、勝利条件の達成を最終目的にした、純粋な意味でのゲームの他に、シミュレーションなど疑似体験という名の経過を楽しむタイプがあると思う。例えば、MMOなどのオンラインものは、まさに後者の典型で、完全クリアという概念はほぼ存在しない。鉄道車両の操縦を楽しむゲームとか、市長となって街を運営していくゲームなども、後者の典型だろう。」

逆沢「クリアが最大の目標ではなく、経過やシチュエーション自体に意義があるタイプね。」

愛原「もはやゲームは、面白いとか達成感が得られるみたいな要素だけが目的の存在でなくなった。アニメやドキュメンタリーでは当たり前の要素である、【感動させる】とか【考えさせられる】とか【泣かせる】とか【知識の糧になる】とか、とにかく色んな感情をプレイヤーに呼び起こさせる事を目的としたゲームが非常に増えた。ビジュアルノベルのような、狭義の意味でのゲーム性のないゲームまで、大きなシェアを占めるようになった。」

鼎「確かに紙芝居と揶揄されるジャンルのゲームも増えたとは思うよ。でもゲームの主流は、今でもゲーム性のあるゲームの方だよね。」

逆沢「ただそのゲーム性のあるゲームにしても、将棋やブロック崩しみたいな、純粋に勝利条件の達成を目指す旧来のゲームとはパターンの異なる、疑似体験ゲームという新しいスタイルが大きなシェアを占めつつあるのは、やっぱり特筆に値する時代の流れのような気はするわね。」

愛原「例えば、プロ野球ゲーム一つとっても、狭義のゲーム性だけを純粋に追求するなら、わざわざプロ野球の各種団体の許可を取って、実在のチームや選手を登場させる必要はない。極端な話、【読売ジャイアンツ】という名のチームではなく、【鹿馬オタッキーズ】というチーム名であれば。あるいは【上原浩治】という名のピッチャーではなく、【愛原高政】という名のピッチャーであれば、プロ野球の各機構に大金を払って許認可を得なくても、全く同じシステムでゲームを発売する事も出来るんだ。しかも架空世界が舞台だから、選手の能力も自由だし、ゲームバランスも取りやすい。にも関わらず、各企業は、なぜあえて現実世界のバーチャルにこだわるのか? 【鹿馬オタッキーズ】ではなく、【読売ジャイアンツ】でなければならないのか? その鍵がこの【疑似体験要素】だ。【感情移入要素】と置き換えてもいいかも知れない。」

逆沢「まー、そういえば、国盗りSLGにしても、何も【信長の野望】みたいな現実の歴史世界にこだわる必要は無いわけだしね。でもなぜ大名が【愛原高政】ではなく【織田信長】でなくてはならないのか? 架空世界ではなく、日本列島が舞台でなくてはならないのか? そういう論理はありえるわよね。」

鼎「ただ勝利条件を満たすだけなら架空世界の架空キャラでもいいんだけど、感情移入とか、疑似体験とか、そういう要素を考えたら、やっぱりあえて【読売ジャイアンツ】とか【織田信長】の方が絶対楽しくなるからだと思うよ。もはやゲームは、勝利条件さえ満たせばそれでいいんじゃなくて、その過程をどれだけ楽しめるかみたいなものは、やっぱりあると思うよね。」

逆沢「ブッシュに靴をぶつけるゲームにしたって、ターゲットがブッシュであり、また実際に起きた事件が元ネタであるからこそ、ゲームとして成功してる訳だしね。架空キャラに靴をぶつけても、何も面白みもないだろうしね。」

愛原「バグダッドの市街地で、1プレイ10円程度の相場で、ブッシュの等身大パネルに靴をぶつける露店を開いたら、意外と大成功するかもな。」

逆沢「あんたは、本当にそういうの好きねえ〜。」

愛原「長光には負ける。あいつは黒藤編で肥後で略奪させたら、反黒藤軍のデモ組織に黒藤のプロマイドを売るイベントすら起こすからな。」

逆沢「ああ、あったあった。そのプロマイドを踏んだり焼いたりして、にっくき黒藤に対するうっぷんを晴らせる事で、反黒藤軍派の住民は大喜び。長光もプロマイドがたくさん売れて大喜び。ってなイベントだったっけか?」

愛原「直属の上司であり、自国の真ボスの尊厳すら売ってしまう恐るべきイベントだな。お金を儲けるためなら、長光は味方でも平気で売っちゃうぞ。ってか自国の領土であった越中すら売ってるし・・・。長光なら、どんな大不況でも余裕で生き残りそうだ。」

逆沢「あんたも、ブッシュの等身大パネルかついでイラクに渡って、一儲けしてくる?」

鼎「そんな事をしたら、多分、イラク駐留米軍か、その言いなり状態のマリキ政権の手の者によって拘束されて、散々痛い目に合わされてから国外退去させられちゃうと思うから、やめた方がいいと思うよ。」

愛原「・・・じゃあやめよう。」

逆沢「・・・って、本気でやるつもりだったのかよ!!」

愛原「・・・まぁ冗談はともかく、現実の世界や人物をそのまま採用した場合は、制約も非常に大きくなるが、リアリティーも飛躍的に高まるため、それはそれでゲームとしての付加価値がはねあがる可能性が出てくる。プロ野球ゲームのメーカーが、関係機構にお金を払ってまで、リアリティーを追求する路線を選んだのも、架空世界を舞台にしたそれを作るよりも、飛躍的な価値上昇が見込まれたからだろう。」

鼎「じゃあウチのゲームも、イエローとかレッドじゃなくて、例えば○喜○とか○倍○○という名前にすれば、もっと話題性が大きくなったかなぁ?」

愛原「ぐふっ!! ちょっとヤバいから一部伏せ字にしておくぞ。」

逆沢「伏せ字は1文字で十分だと思うのに、これじゃ誰のことかさっぱり分からないじゃん?」

鼎「でも現実の世界や人物を採用した場合は、確かに制約の壁みたいなものがあるのが、ちょっと問題かも知れないよね。」

逆沢「法的にいえば、肖像権とか名誉権とかそういうのがありそうね。もっともフリーゲームレベルなら、ブッシュに靴を投げつけるゲームが世界規模で出回るくらいだから、あまり気にしなくていいとは思うけど。」

愛原「史実に対する整合性の制約もある。例えば、上原浩治をキャッチャーとしてゲームに登場させたり、織田信長の領土が北海道からスタートしたら、明らかにおかしいだろう。しかしゲームバランスや史実に関する知識の欠如の結果、ゲームに登場できる選手の数を制限せざるを得なかったり、そのピッチャーが投げられる変化球の種類を限定したり、特定の球団が強くなりすぎないように能力データを実際の打率や防御率などから逸脱した数字にしたりとか、そういう問題もある。リアリティーを追求すれば、どこまでもキリがなくなるし、ゲームバランスを壊す恐れもある。だがリアリティーを無視しすぎると、わざわざ現実世界をゲーム化した意味がなくなるし、ファンを怒らせる可能性も出てくる。この辺の整合性をどう取るかという問題だな。」

鼎「ゲーム化する時点で、ある程度の簡略化は仕方ないから、それは割り切るしかないと思うよ。似顔絵といっしょで、うまくポイントを抑えれば、どれだけ簡略化しても【あ、この人がモデルなんだ】とか【いかにもあの人らしさが出ているな】とかみたいに評価されるだろうから、ツボをうまくついていきたいよね。」

逆沢「いくら【上原浩治】とか【織田信長】という名前のキャラをゲームで登場させても、それっぽさをゲーム内で表現できないとちょっとガッカリだから、こだわれる範囲ではこだわって欲しいわね。」

鼎「ねえねえ。だったらいっその事、ゲームメーカーとかが対象となる個人や団体に許可を得て、ゲームを作るのではなくて、有名人とか有名団体がむしろゲームメーカーに委託して、商品化するとかしたら、面白いんじゃないかなぁ?」

愛原「逆転の発想だな。そういや確か、小泉純一郎や安倍晋三をモデルにした【純ちゃんまんじゅう】とか【晋ちゃんまんじゅう】とかを出したメーカーがあったが、これは菓子会社側が企画して作ったものだそうだ。逆に小沢一郎をモデルにした【いっちゃんまんじゅう】は、民主党サイドが菓子メーカーに委託して、作っている。つまり前者は、メーカーが有名人にあやかって商品化したケースであり、後者は有名人が宣伝目的の意味も込めてメーカーに商品化を委託したケースだ。その例でいくと今後は、メーカーがお金を払って有名人や有力団体を起用するのではなく、有名人や有力団体がお金を払ってメーカーに商品化を頼むケースが増えていく可能性もある。いわゆるプロモーションゲームという奴が、今後色々現れるかも知れん。」

逆沢「おおっ、それはすごいっ!! とすると自民党プロデュースによる政治ゲームとか、民主党プロデュースによる政治ゲームも、今後、登場する可能性もゼロではないってか?」

鼎「でもプロモーションゲームは、個人や団体の宣伝目的が第一となってしまう以上、客観性とか公平性とかは二の次になってしまう可能性はあるよね。」

愛原「それをいったら、歴史SLGでも大いにあるし、ある程度は仕方ないんじゃないか? 有名な三國志系の歴史ゲームでも、演義準拠にするか、正史準拠にするかによって、ゲームパランスは大きく変わるし、人気不人気によって、能力値を優遇されたりマイナー扱いにされたりなど、色々ある。買う買わない、プレイするプレイしないは、個人の勝手なのだから、制作者はその点だけ覚悟した上で、好きに作ればいいと俺は思うぞ。面白くなかったり、不快感を与えるような表現やヒイキが目立っていれば閑古鳥が鳴くし、逆ならヒット作になる。それだけの事だ。」

逆沢「なーる程ねぇー。とすると上手にプロモーションゲームを作れれば、宣伝にもなるし、売り上げにも貢献できるし、一石二鳥ってか?」

鼎「でもプロモーションゲームって、あまり聞かないよね。」

愛原「ウチのゲームも掲載していただいた【フリーソフト超激辛ゲームレビュー】様の所には、いくつかプロモーションゲームと呼んでいいものも掲載されているぞ。例えばいずれもアクションゲームだが、【America's Army】【NAVY TRAINING EXERCISE: Strike & Retrieve 】【PRISM GUARD SHIELD 】というのが掲載されている。それぞれアメリカ陸軍、海軍、州軍が制作者らしいのだ。」

逆沢「世界最強のアメリカ軍謹製フリーゲーム!!!」

鼎「アメリカ軍って、本当に色んな意味で最強過ぎると思うよ・・・。」

愛原「国がわざわざ予算を計上してフリーゲームを作ったとすれば、まさしく感嘆以外の何者でもない。ある意味、最強のフリーゲームであり、最強のプロモーションゲームだ。これが事実なら、アメリカはやっぱり色んな意味で世界一の国だと再認識せざるを得ない。」

鼎「日本政府謹製のフリーゲームも、何かちょっと見たくなってきたかも。」

愛原「日本の政府や役所がゲームを作った場合、すぐにイデオロギーとかを入れたがるような気がするから、うまくいかないと思うが・・。」

逆沢「私達、一般人がゲームにどんな意図を込めようと、それは自由だけどね。」

愛原「別に公金で作られてる訳ではないからな。気に入らなければやらなければいいだけだ。18禁制限など、各種最低限の法的水準さえクリアしていれば作成・販売・公開行為自体には何の問題もない。政府や役所が作るなら、そう簡単にはいかないけどな。」

鼎「でも野球ゲームのように、他人の許可を取らなければ駄目なようなジャンルもあるし、その辺が難しいよね。」

逆沢「フリーゲームの場合は市販と比べると制限は緩いような気がするけど、それでも無名の一般人を侮辱するような作品を作って訴えられたらヤバいのは同じだしね。そういう問題をクリアできやすそうな対象ってないかなー?」

鼎「歴史上の人物とかなら、事実上、誰でもフリーで利用できるみたいだけど・・・。逆に現実世界の人物は難しそうなイメージがあるけど、この境目ってどの辺なのかなぁ? 織田信長や天草四郎が邪悪の権化という設定の作品もあるけど・・・。」

逆沢「明治時代辺りの人物なら事実上、100%使い放題みたいだけどね。ま、東条英機とか小渕恵三とかなら、故人だから、どんなヒドい役回りでも使い放題なんじゃない? 架空戦記小説なんかでは情けない役回りの軍人が登場する事もあるし、政治経済系のノンフィクションにも結構過激なものはあるし。」

愛原「ブッシュへの靴投げゲームがあるくらいだから、現役政治家でも案外無問題かも知れんけどな。麻生太郎にしても小沢一郎にしても、いずれは大河ドラマの脇役なり、歴史ゲームの人材キャラなりの立場で、登場するかも知れんし。プロ野球ゲームで、高い能力値をつけられる選手もいれば、パッとしない選手もいるように、高能力だろうが低能力だろうが、善玉だろうが悪役だろうが、それはそれで構わないかも知れないけどな。」

逆沢「まぁどうしてもヤバいと思えるなら、昔の某プロ野球ゲームみたいに、適当にパロったような名前の架空キャラを登場させて、【これはフィクションです】とやれば問題ないだろうしね。漫画でもそんな感じの名前のキャラが登場する事はよくあるし、市販ゲームの世界でも全くなくはないようだしね。」

愛原「完全なる架空ワールドで正々堂々シナリオを作るのは、それはそれでカッコよく素晴らしい事だと思う。だが歴史を深く勉強した上で忠実に再現した歴史ゲームを作れる事も素晴らしいと思うし、現実の街並みを忠実に再現した疑似体験ゲームを作れる事も、政治経済のしくみをよく勉強した上で、お店経営ゲームや立身出世ゲームや街作りゲームや政治ゲームを作れるのも、同様に素晴らしい事だと思う。政治問題や宗教問題など、全員から共通の評価を得るのが極めて難しい分野もあるが、それでも制作者が意欲をもって制作に取り組め、プレイヤーもそれに寛容でいられるような世の中であれば、よりいいなと思う。」

逆沢「映画にしろゲームにしろ、その手の寛大さや自由さが認められているという点では、日本はまだまだアメリカから学ばなければならない所が多そうな気はするけどね。」

鼎「好き嫌いに関わらず、良いところは積極的に取り入れたいよね。」

愛原「イラク戦争問題などアメリカは問題の多い国だし、大統領が靴をぶつけられても仕方ないとも思うが、それでアメリカを全否定する気はさらさらない。逆にアメリカの先進的な部分だけをとらえて全肯定する気もない。勧善懲悪・是々非々の精神で、良きは賞賛し、学ぶべきは学び、非難すべきは非難した上で、かの国ともうまくつきあっていきたいものだ。」









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