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愛原様のたわごと(08年12月28日)





愛原「今年もいよいよ終わりだが、今年を一文字を一言で表せば、【変】らしい。確かに色々変化の多い一年ではあったが、終盤最大の大変化が、アメリカ初の大不況とは思わなかった。」

逆沢「麻生総理いわく、【100年に一度の大不況】らしいわね。」

鼎「あまり大げさに不安をあおると、かえって状況を悪化させる事も多いから、私はそういうキャッチフレーズを大々的に叫ぶのはやめた方がいいと思うよ。昔、倒産するとのデマが流れた金融機関で、取り付け騒ぎが起こって、本当に倒産寸前までいってしまった例もあったと聞いたこともあるし。」

逆沢「でも、無責任に【大丈夫だ、安心だ】となだめているだけだと、現状認識が出来ていないと批判されたり、対策が後手に回ることもあるけどね。」

愛原「どっちも一理あるな。ちなみに外科や歯科や精神科などのお医者さんの場合は、とにかく安心させてリラックスさせてから治療に取りかかるのが普通だ。だが治療活動はきちんと努めてくれるし、大丈夫大丈夫の一言だけで終わらせたりはしない。」

鼎「病は気からって言うよね。」

逆沢「経済の世界も、基本はマインドの問題だから、各国の為政者の手腕が問われる局面とも言えそうね。」

愛原「もっとも、何でもかんでも政治家の責任に押しつけていいのか?って問題もあるけどな。古代から中世にかけては、【天災が起きるのは、為政者の御政道が悪いからだ】という論理も割とメジャーだったが、どんなに優秀な政治家でも、一人で出来る範囲には限界があるし、逆にどんなにダメな為政者に率いられても、何とかなる時代というのもあるものだ。」

逆沢「麻生総理は、難易度の高いご時世の時に国のトップに立っちゃったという点からみると、確かにハンデは大きいかもね。」

鼎「でもこういうご時世だからこそ、手腕のふるい甲斐があるかも知れないよ。全てがうまくいってる時代だと変革の必要もないから、【何もしない凡君】で終わっちゃう可能性もあるし。」

逆沢「戦争のない時代の軍人が、歴史に名を刻みにくいようなものかもね。そんな事を言っちゃうと、四川の都市総督みたいになっちゃうけど。」

愛原「こういう時代だからこそ、取り組める課題もあるんじゃないか? 幕末の混乱に乗じて雄藩に登りつめた長州藩や薩摩藩のようになるか、名目上の石高だけは多くても平凡な脇役のままで終わるか? 勿論、立ち回りを誤ると、やられ役とか悪役とかダメ役に回る可能性もあるから、油断禁物だ。」

鼎「麻生さんは、この難局をどう乗り切るかなぁ?」

逆沢「国民は、今の時点では、麻生内閣に大した期待をしてみたいだけどね。支持率とかを見ても。」

鼎「つまり麻生さんの経済政策は、国民にとって不人気という事かなぁ?」

逆沢「そうなんじゃない? 【経済の麻生】を自称する総理が、就任早々に満を持して送り出した経済政策が、悪名高い【給付金】ではねー。しょっぱなで、最高の持ちネタ出したのに、思いっきり滑ったような感じだし。」

鼎「でも実は、給付金を決めたのは、経済政策の視点じゃなくて、選挙対策の視点だったって話も聞いた事あるよ。小選挙区選挙でのキャスティングボートを握る公明党が給付金制度を熱望している以上は断り切れないという話も聞くし、ゲンキンを握らせた直後に選挙に持ち込めば有利っていう計算もあったと聞いた事あるよ。」

逆沢「現金を握らせた直後に選挙をしようと思えば、今はまだ解散できる時期じゃないという訳ね。あきれてモノも言えんわ。」

鼎「でも小渕内閣の時の商品券制度の時より、ずっと評判が悪かったのは、ちょっとだけ意外だったかも・・・。」

愛原「俺も、少しだけ意外だ。まぁ小渕の時は選挙の時期と全く重ならなかったから、選挙目的と勘ぐられなかった分の差かも知れない。」

鼎「給付金以外の経済政策は、どうかなぁ?」

愛原「現在進行形なので、今、結果を出すのは不可能だ。だが世間の印象を悪化させる要素が多そうな気はしなくもない。せっかく福田前総理が決めた道路特定財源一般財源化への流れを、事実上止めてしまったしな。【3年後に消費税を上げる】と豪語せざるを得ないくらい財源不足が明らかな時に、給付金とか公共工事推進とか言ったら、そりゃ反発を買うのは当たり前だ。」

鼎「でも公共工事そのものが無駄なんじゃなくて、中身次第だと思うけどどうかなぁ?」

逆沢「中身がうんぬん以前に、量が異常なのよ。先進国で2番目に公共事業の比率が大きいアメリカの2倍以上の水準で、税金が公共工事に流れてるからねー。ヨーロッパなら福祉に回り、アメリカなら軍事に回る予算が、まるまる工事に回ってるのが日本の現状だから。そもそも日本の福祉の大部分は、国民健康保険とか介護保険とか年金とか、かなりの部分が正規の税金とは別会計だから、【消費税は福祉目的】にもほとんどなってないし。初めて竹下内閣で消費税が導入された時も、1億円配りとかに回して借金も減らしてないし、橋本内閣で消費税率を5%に増やした時も、公共事業にほとんど回しちゃってるしね。」

愛原「意外に思えるかも知れないが1970年代前半に総理だった田中角栄の時に一気に国債発行額が増えてから、村山内閣の代まで国債発行額は10兆円台でほぼ横ばいだった。ところが村山の次に総理になった橋本龍太郎は、一気に25兆円規模の国債を発行している。もっとも当時はバブル崩壊の後遺症とか住専問題とか就職氷河期とか言われてた時代だから、少しは同情の余地もあるが、橋本の次に総理になった小渕恵三に至っては、年間30兆円もの国債を発行しやがった。消費税率を増やして、借金を減らしたかと思えば、逆に借金を増やしまくりやがったからな。竹下の時も橋本・小渕の時もそうだが、安易に増税の道に走ると、【無駄な経費の削減を進める努力】もしなくなって、それどころか増えた税収をアテにして、かえって無駄遣いに走りがちな傾向が多い。税金の使い道の担保のない増税ほど、馬鹿げたものはないと俺は思う。」

逆沢「給付金、公共工事強化、消費税アップの3点セットを、経済政策の中枢に置くようでは、わたしゃ麻生内閣の支持率が急落してもしゃあないと思うわ。」

愛原「今後の公共工事計画の柱の一つである整備新幹線計画についてなんか、特にメチャクチャだ。特に北陸新幹線構想で【金沢〜福井】間だけをとりあえず先行して着工させる計画なんか、意味ねぇーの極みとしかいいようがない。仮に北陸新幹線計画が素晴らしいものと仮定しても、経済効果を考えるなら既存路線の延伸(つまり長野県内か滋賀県内)を優先してやらなければ、飛び地状態になって新幹線としての機能が全く果たせないだろう。それに金沢市民の大半は、福井県に行く用事などほとんどないだろうし、普通に使えねーと思うが・・・。」

逆沢「明石海峡大橋が開通して兵庫県と徳島県がつながっても、兵庫県民を始めとする本州側の人間は、基本的に四国側には用がないようなものかもね。」

鼎「福井県民にとっては需要はあるかなぁ?」

逆沢「嶺北(福井県北部)の人間なら、そこそこはあるかも知れないけど、福井県民がわざわざ県外まで買い物に行くとしたら、近畿地方を目指す方がメジャーだと思うけど。」

愛原「逆に福井県民以外の人が、陸路で福井県を目指すならどういうルートを使う?」

逆沢「北陸地方以外の人は、みんな関西経由じゃない? 確か秋葉原で事件起こした静岡県在住の人が福井市までダガーナイフを買いに行った時も、滋賀県経由だったはずだし。」

愛原「・・・なんちゅうイヤな例でたとえるものだ。」

鼎「でも福井県は中部地方に分類される事が多いけど、実態はどうみても近畿地方寄りだよね。」

愛原「嶺南(福井県南部)人なら、ほぼ100%関西志向だな。道州制問題に関しても、例えば敦賀市長は【文化圏や今秋(2006年秋)のJR直流化など、嶺南は近畿に近い。嶺南だけを見れば当然、近畿。県も経済的な繋がりが深い近畿に向いているだろう。嶺北が北陸に入るとなれば、縁を切って、お別れという事になる。】と発言したとされるし、小浜市長も【福井県が関西と圏域を一にする事を強く主張する。少なくとも小浜市や嶺南が北陸に属する事はあってはならない 】と市議会で発言したそうだ。福井県全体が中部地方とか北陸地方なんてのは、現場を知らないヨソモノの論理。そもそも某元静岡在住者に限らず、ヨソモノの大半は近畿地方経由で福井県に入るだろうし、福井県民自身でも近畿志向の者がそれなりにいるのに、福井と金沢を最優先に結ぶ意味が果たしてあるのか?」

鼎「金沢市民は、より都会さで劣るイメージの福井県には元々大して用はないし、福井県民が遠出するなら金沢方面よりも近畿地方を目指すとしたら、お互いにとってほとんどメリットがなさそうだね。北陸以外に住んでる人にとっても、需要はあまり無さそうだし・・・。」

逆沢「某国与党最大派閥で院政を敷いてるあのお方にとっては、メリットあるんじゃない? ほら【自民党整備新幹線建設促進議連会長】でもあるあのお方は、金沢市と福井市の間に挟まれた選挙区を地盤にしているし。」

鼎「えーっ!!! もしかして【我田引水】ならぬ【我田引鉄】なのー?」

愛原「仮にどうしても北陸新幹線を延伸したければ、【長野〜富山】間を結んで関東行きをより便利するか、【滋賀〜福井】間を結んで関西行きを便利にするかがベスト。あのお方の選挙区で着工するのは、この際、九州新幹線や北海道新幹線が開通した後のラストでもいい。」

鼎「こうしてみると、給付金の件にしても、整備新幹線の件にしても、選挙とか利権とか、そんな論理だけで決められているような気がするよね。【百年に一度の不景気】まで利用して、それすら目先の利権のネタにしか考えられないとしたら、すごくがっかりだよ。」

逆沢「この前、吉川友梨ちゃん一家の不幸につけこんだ鬼畜詐欺師集団が捕まったときには、心底天罰を与えてやりたい気分になったけど、百年に一度の大不況という大悲劇につけ込んで、個人的な欲望を満たすネタに変えてしまう奴がいると思うと、ものすごくハラワタが煮えくりかえってくるわ。」

愛原「個人的には、麻生総理の経済対策に対しては、順当と思える内容もそれなりにはあると思っている。また百パーセントの大戦果を要求する気もない。だがそれらを差し引いても、減点対象が大き過ぎる・・・。元々小派閥出身で党内基盤が弱い上、参議院で与野党逆転が起きてる等、極めて厳しい権力背景を考えると、公明党や最大派閥の裏番を怒らす訳にはいかないという心理は、十分に理解できるのだが・・・。」

逆沢「麻生内閣誕生後、1週間も経たない内に自爆テロを起こした中山も、あのゴルフマニアの裏番がごり押しで大臣枠にねじ込んだ曲者でしかなかったしね。」

愛原「裏番や公明党を怒らせると政権が吹っ飛ぶ。しかし裏番や公明党の言いなりになると、それはそれで財政や支持率がメチャクチャになってしまう。【経済の麻生】がどの程度のものかは知らんが、あえて好意的に解釈すれば【真価を発揮できない状況下にある】といえるかも知れん。という今回のテーマだが、【国盗りSLGの景気対策】だ。」

逆沢「訳の分からない前置きから、無理矢理テーマに移る事が多いだけに、今回はちょっとだけびっくりだわ。」

愛原「ちなみに国盗りゲームにおける【内政】の大半は、イコール経済政策と呼んでも差し支えない。そして資金を投じてコマンドを実行すれば、地理や担当官の条件に応じて、経済力が上がる。一方、災害なり戦争なりが発生すると、経済力が下がる。これが国盗りゲームの黄金パターンだ。」

鼎「災害なり不祥事なりが起こると景気が悪くなって、景気対策に予算をつぎこめば景気が良くなるパターンって事だよね。」

逆沢「人材という概念があるゲームの場合は、特定のパラメータが高い人材に経済対策を担当させる程、成果があがるシステムになってるわね。実はどんなに能力の低い人材に経済対策を任せても、それなりには成果が出るみたいだけど。」

鼎「現実の世界の場合は、できの悪い景気対策とかをやると、かえって景気や財政を悪化させる事もあるのに、ゲームの世界では、優秀でない人材に任せても少しは効果がでる事も多いし、優秀な人材に任せれば絶対に優れた結果がでる仕様になってるよね。」

愛原「実際の経済政策というのは、そんな甘っちょろいもんじゃない。日銀の公定歩合をどうするかとか、外国との貿易協定をどうするかとか、どの分野に補助金を多く出すかとか、増税減税のタイミングをどう出すかとか、様々な要素が複雑にからみあう。ゲームの世界のように、為政者が予算を投資すれば、必ず成果がでるなんて安直なものではない。」

鼎「よくあるゲームの世界みたいに、たくさん予算をばらまく程、必ずそれなりの成果が出たら、政治家や官僚の人達も楽なのにね。」

逆沢「バラマキ一辺倒の麻生総理は、そういう意味ではゲーム的な経済政策を選択したって事かな?」

愛原「バラマキ一辺倒では予算が足らなくなるのは、ゲームの世界でも同じだ。収入が低ければまずは内政コマンドを多用して、景気を良くして収入を増やす。そして収入が安定すればそれを回収にかかる。つまり不景気の時には財政出動を優先し、景気が良くなればいよいよ投資した分の回収にかかるという論理。リアル世界に置き換えれば、不景気の時には国債を出したり減税をしたり補助金を出したりして景気を振興し、その代わり好景気の時には増税したり補助金を減らしたりして、次の来るべき不況に備えてお金を貯め込む(あるいは国の借金を返済する)という図式になる。」

鼎「つまり不況の時のバラマキ路線は、一概に悪いとは言えないって事かなぁ?」

逆沢「ゲームの世界みたいに、内政コマンドを使用すれば必ず景気が好転する世界ならね。」

愛原「あと、好景気の時や増税した後に、しっかりとお金を貯め込んでいれば(あるいは借金を減らしておけば)な。小泉や安倍が総理の時は【いざなぎ景気超え】みたいな事を言われてもいたが、彼らはその時に、来るべき不況に備えた対策を何もしなかった。小泉に至っては、5年の任期中4年も、30兆円以上の国債を大発行するありさまだったし。日本の政界人は、好景気になるとその好景気が永久に続くと錯覚するのか、かえって大盤振る舞いする傾向が強いようだな。」

逆沢「好景気になったり増税したりすると、多額の国債を発行して大盤振る舞いし、不景気になると、景気対策の為にやっぱり大盤振る舞いしって訳ね。って、結局、お金を貯め込んでる(借金を減らしている)間が全然ないじゃん。」

愛原「国盗りSLGに限らず、所持金という概念のあるゲームをプレイした事のある者なら、将来の財政出動にそなえてお金を貯め込むという思考は、普通にできるはずだ。いつも有り金使ってたら、後で買いたいアイテムが出てきたり、今は買えないけど将来買いたいアイテムがあったり、将来イベントなどによってお金が必要になった時に、困ったことになるからな。」

逆沢「ところが日本政府の経済担当者には、そういう思考が足りないと。」

鼎「不景気の時には景気対策の名の元に財政出動して、好景気の時にも、ここで増税したり補助金を減額すれば景気の悪化を招くからと、それらに反対したりして、なかなかお金をため込む隙を作るのが難しいのは分かる気もするけど・・・。」

逆沢「それは二の次。日本の政官界でお金を貯め込めない一番の理由は、絶対【予算取り】制度だと私は思うわ。つまり節約したり無駄な事業を削ったりして、予算を余らせたら、【この部署には、そんなに予算が必要ない→来年から、この部署の予算を減らそう】ってコンボが働くから、どこもギリギリまで予算を浪費しちゃうせいね。」

愛原「同感だな。こういうシステム面にも切り込まないと、浪費はなかなか減らないだろう。後、当然の事ながら、利権政治家や天下り利権好きの官僚とかも何とかしないとダメだ。」

鼎「でも仮に、どんなに善意と能力があっても、絶対に成功する景気対策なんてないよね。」

逆沢「かつて【金融の神様】とまで言われたアメリカのグリーンスパンが進めた経済政策が、サブプライムローンの失敗に起因する今の世界的大不況を招いたとの主張すらあるしね。株価の値上がり値下がりを完全に予想できる人がいないように、失敗は誰でもあるんじゃない?」

鼎「景気対策って、本当に難しいよね。ゲームの世界みたいに、内政コマンドをクリックしたら、それで景気がよくなったら簡単なのにね。」

愛原「この景気対策の部分で、どこまでリアリティーを取り入れるかは、一つの挑戦だな。ちなみに7lcwでは、3つのパターンの景気システムを導入している。」

鼎「3つのパターン?」

逆沢「一つは、【内政命令書】を利用した景気対策ね。武将の能力とかは関係なく、判定基準も成功か失敗の二択という、誰でも考えつきそうな超シンプルな経済システム。」

愛原「シンプルを侮るなかれ。ゲーム化するというのは、ある意味、シンプル化する事でもあるからな。かつて空条承太郎も、イギーのスタンドをさして【シンプルな奴ほど強い】と評したそうだぞ。」

逆沢「・・・おいオッサン。さりげなくスタンドと景気対策を一緒にすんなや。」

鼎「でも【内政命令書】による景気システムは、単純だけど実は中身は複雑に設定されているんだよね。」

愛原「都市の面積とか、現在の経済力とか、隣接状況とか、様々な要素で成功率が異なるように設計されてるからな。成功か失敗かの二択という方法は、プレイする側にとって分かり易くもあり、安っぽくもあるゲームシステムだが、作る方の立場としては、それなりに細かく作り込んである。例えば東京圏と北陸圏で発展しやすさが異なるのは当たり前のように、都市によって(あるいは現在の経済力によって)発展させ易さに差をつけた方が、かえって【どの都市で内政を行なうか?】を選ばせる余地が生まれて、ゲーム的に面白いかなと思ったのだ。元々豊かな【東京〜大阪】間にリニアを通すのが先か、それとも【福井〜金沢】間に北陸新幹線を通すのが先か、みたいなノリでだな。」

逆沢「そのたとえは、分かり易いわね。単純なシステムだけど、妙な部分だけリアリティーがあるというか・・・。」

鼎「でも景気対策に失敗しても、リスクがないという点では、よくある国盗りゲームと一緒だよね。」

愛原「【内政命令書】の値段を、50以上にすれば、リアル世界に近くはなるだろうけどな。失敗したら命令書を買った値段分がパーになるから、それが事実上のリスクになるだろう。」

逆沢「じゃあ、リアル路線に近づける為に、【内政命令書】の値段を一気に100にしてみる?」

愛原「セープ&ロードの嵐になるからやめろ。一応、ゲームバランスを考慮した結果の出血価格なのだからな。」

鼎「値段10は安すぎて、ほとんどリスクないよね。」

愛原「リスクを高くし過ぎると、プレイヤーのほとんどが使用しなくなって、事実上の【死んだコマンド】になってしまうからな。ちなみに2つ目の景気対策システムである、【景気対策イベント】も同様にリスクを調整してある。」

逆沢「ああー、イベントね。ウチの国で言えば、イノシカチョー特区とかハコモノ特区とか、訳の分からないものばかりだけどね。」

鼎「でも国によっては、かなり真面目な経済対策やってるところもあるよね。新たな税制を導入しようとしたり、労働制度を見直したりとか。」

逆沢「黒藤軍の経済政策イベントだけは、無駄な公共工事をしたり、利権団体に便宜を図ったりして、かえって景気を悪化させるものも多いけどね。」

愛原「イベントによる景気対策も、究極的には成功と失敗の2択のみだ。但し、成功と失敗の差が【内政命令書】によるものと比べて大きい。」

逆沢「どっちかというと、成功の確率が高くない?」

愛原「ケースバイケースだが、全体平均としては、成功の確率の方が高いか、失敗時のリスクよりも成功時のメリットが大きいようには設計したつもりだ。そうでもしないと、わざわざ高価な【基金命令書】を誰も使ってくれなくなるからな。」

鼎「ゲームバランス重視って事だよね。」

逆沢「黒藤軍の景気対策イベントだけは、基金命令書がいらない代わりに、強制的に発生するものも多そうだけどね。」

愛原「黒藤軍関係の景気対策イベントは、大きく分けると3種類。一つは公共工事系など強制的に経済力を下げる物。要するにただのバッドイベント(黒藤編軍以外の立場からするとラッキーイベント)だ。2つ目は寺島による景気対策イベントだが、これは逆に強制的に経済力を上げる内容だ。3つ目は黒藤編のみに登場する大経連もしくは官僚筋がらみの経済イベントで、これだけは基金命令書を消費する事で、実行するかどうかを選択できる。実行すると、経済力が下がる代わりに政権安定度が高まる効果がある。」

逆沢「それ、麻生の立場そのものっぽくない? 給付金制度に反対して公明党の怒りを買うか、給付金制度に賛成して財政を悪化させるかの、究極の二択みたいで。」

鼎「まだ給付金がダメだと決まった訳じゃないよ。もしもいざ発行した途端に、景気や財政の好転につながったらいいことづくめだと思うけど、そうなったらいいよね。」

愛原「・・・できれば、そうあって欲しいものだな。ただ期待的観測だけで政治をやった結果が、今日の借金漬け財政だから、支持するにはあまりにも勇気がいるが・・・。」

逆沢「で、3つ目の景気システムは?」

愛原「毎ターンの始め。つまり税収が確定する場面でランダムで発生する、好景気(不景気)のイベント。これだけはほぼ完全なランダムなので、プレイヤーにできる事は何もない。好景気になれば万歳。不景気になればガックリだ。」

逆沢「完全に運任せね。」

愛原「もっともプレイする勢力や状況によって、確率は変動するけどな。宮田軍の場合は、最も好景気が起こりやすい。逆に黒藤軍の場合は、元々不景気が起こりやすい上に、領土が拡張して悪事を重ねるごとに、ますます不景気が置きやすくなっている。」

逆沢「戦争三昧のあげく、世界規模の大不況をもたらせたブッシュ政権みたいになるわけね。」

鼎「でもブッシュ政権は世界を巻き込んだけど、黒藤軍は世界を巻き込んでないよね。」

愛原「依存度と規模の差だな。例えば1985年頃からバブル景気までに至る時期の日本は、アメリカの不景気につけこんで、アメリカの企業などをたくさん買いまくっていた。逆に住専問題やアジア金融危機の頃の不景気時には、アメリカは日本の企業を買いまくっている。つまりアメリカの景気と日本の景気が必ず連動するとは限らないのだが、今回は規模が大きい事と、小泉改革によって日本のアメリカに対する依存度が高まった事により、モロ巻き込まれている。」

逆沢「あ、そうか。黒藤軍の場合は、北狄以外の国とは基本的に敵対関係だから、黒藤軍の国の不景気に他国がつけ込むことはあっても、巻き込まれる事はあまりなくて済んでいるって事かもね。」

鼎「わたしの計略によって、黒藤軍の国の景気が悪化して、それ以外の中原各国の景気がみんな良くなるイベントもあるよ。」

愛原「あれは計略ではないだろ・・・。」

逆沢「でもあの好景気・不景気のイベントも、単なるランダムだと思ったら、実はちょっとだけ確率とかが関わってたのね。」

愛原「ちょっとだけだけどな。まぁリアル世界でも、政治家や官僚の力だけで、景気が何とかなる訳でもない。どんな名君が国を治めていても不景気になる事はあるし、逆もしかりだ。黒藤の好景気時のコメントなんか、【政治が努力せずとも、景気の波は常に上下するものなのじゃ。】という凄まじいものだからな。」


逆沢「あはは。あのコメントは、各キャラの性格が出てて個人的に好きだわ。」

鼎「【内政命令書】による景気対策だったら、政治の力で景気を良くしようとしているみたいなノリも少しは感じられるけど、税収ターンでの好景気イベントとか不景気イベントを見ると、大いなる景気の波の力には、どんな名君主でも抗えないんだなぁとも感じちゃうよ。」

逆沢「ウチみたいな裕福な国なら、少々の不景気なんか平気だけど、北狄でプレイして、不景気が連続して起きるとかなり痛いしね。いきなり所持金がゼロになるし。」

鼎「北狄編は、かなり財政的に綱渡りだよね。」

愛原「西関編の方なら、西関自身にものづくりのスキルがあるから、それを換金する事で臨時所得を得やすい分はマシだけどな。」

逆沢「結局、一番確実な景気対策は、売れる物を作る事ってか?」

愛原「派遣労働者の住居を確保する為に助成するとかそういうのは、究極的には景気対策ではなく治安対策の方だからな。勿論それはそれで、極めて重要かつ実益的な政策なので、批判する気は全くないが。」

鼎「なんか景気対策に直結するよい方はないかなぁ?」

逆沢「私が提案した、脱ホームレス特区なんかどう? 地方の空いてる農地とかを活用して、ひともうけ。食糧自給率も上がって一石二鳥!」


愛原「あいにく現実世界は、もっと複雑だからな。減反政策という厄介なものがあるし、農地にも所有者があれば、調整区域の問題もある。農協という、与党にとって重要な支援団体をどう扱うかという問題もあるしな。」

逆沢「・・・また利権に妨害されるの? もうウンザリだわ。」

愛原「利権というか、正確には既得権益の問題かも知れんがな。それに景気対策というのは、その瞬間だけでとらえれば不平等な事もあるものだ。例えばさっき、東京大阪間にリニアを通すか、北陸新幹線を優先するかみたいな話をしたが、限られた予算で何かをしようとすると、どちらかだけを選ぶとか、限られた区間だけを選ばなければならない時もある。リアルな表現をすれば、【どこに重点配分するか?】という問題だ。給付金のような極端に広く薄いバラマキをしても、生活費や貯金や借金の返済で大部分が消えて効果はほとんどないと言われるように、ポイントをしぼるという発想は、やはり安易には捨てられない。」

逆沢「経済効果の高い分野に集中投資してこそ意味があるって発想ね。」

鼎「7lcwの世界でも、1回の【内政命令書】で経済力を上げられる都市は、1つだけだよね。つまり投資の対象として特定都市とか特定業界だけが選ばれるみたいな事が、現実でもやっぱりありうるって事かなぁ?」

逆沢「歴代自民党政権の場合は、大物議員の地元都市や建設業界に、集中投資したがる傾向があるみたいだけどね。公共工事をバンバンやったり、住宅ローン減税とか道路特定財源などで業界を側面支援したりして。」

愛原「例えば時代遅れとなった炭坑業をいつまでもてこ入れ続けても意味がないように、その時代その時代に応じて、重点配分すべき業界は常に変わらなければならない。まして重点配分すべきでない分野を優先して重点配分してしまうようでは、ますます借金が増えるだけで逆効果だ。」

逆沢「その時代その状況に応じて、重点配分すべき対象を的確に見破る事が、景気対策を成功させる秘訣の一つかもね。」

愛原「景気対策というのは、本当に奥が深い。個人的にはすごく関心のある分野でもある。しかし我々以上に関心を持つべき日本の政治家達は、利権がらみの経済対策には積極的でも、国民視点の経済対策にはすごく後ろ向きな気がしてならない。」

逆沢「小泉や安倍辺りは、特にひどかったわね。国家の役割は外交や国防等の分野に特化して、経済政策などはできるだけ地方に丸投げしようとする【小さな政府】論者だったし。」

愛原「小さな政府自体にはかなり魅力的なエッセンスが詰まっているので、一概に否定する気はないが、景気対策を地方任せにする発想はひどいと思った。諸外国との貿易協定やら日銀への対応など、国家でなければできない分野が経済政策には大きく関わっているのに、権限だけは国が持ち、責任だけを地方に押しつけるやり方は最低だ。今のまま道州制を進められたら、日本経済はおそらく駄目になる。地方に幅広い役割を持たせるなら、もっと区割りも考えるべきで、でないと競争原理が働くどころか、東京界隈への一極集中はますますむごくなって、東北州・北陸州・四国州辺りは、ホロボロになるぞ。」

逆沢「連中が進めた地上デジタル放送計画によって、田舎は有料のケーブルテレビなり特別な設備なりが必要になってますます割損になっているし、逆に都会はますます質量ともに充実してウハウハ。」

鼎「大阪市では、以前なら見られなかったテレビ京都等も見れるエリアが拡張されたし、他にもチャンネルが増えたりしてますます充実しつつあるらしいよね。でも逆に徳島県とかでは、今までなら県内の大部分(北西部以外)で大阪や兵庫や和歌山と同条件でテレビ番組が見放題だったのに、今度はケーブルテレビを導入するか独自に設備を整えないと、まともにテレビを見られなくなるって話を聞くよ。」

愛原「徳島県で公式で視聴可能な地上派は、NHKとNHK教育と四国放送のみ。今までは大阪人と同レベルで視聴可能な情報強者だったんだが、今後(独自に対策を打つか有料手段を講じないと)民放がローカルな一局のみの超情報弱者に転落する危険がある。福井県南部や三重県伊賀地方でも、関西のテレビ番組が視聴困難になる可能性が高い。」

鼎「そんなの、努力した者が報われる格差社会でも何でもないよ。ただの地方いじめだよ。」

愛原「そうだ。スタートラインが東京圏や大阪圏と根本的に違う東北や北陸や四国が、突然、道州制になったからさぁハンデなしで競争だなんて事になったら、一方的に衰退するに決まってる。大体四国4県(計約420万人)や北陸3県(計約310万人)が1つになっても、静岡県(約380万人)レベルにしかならないし、神奈川県と千葉県が合併して一つの州になったりしようものなら、東北地方が6県グルになっても全くかなわない。テレビすらまともに見れなくなりつつある地方と、12チャンネルフル完備しつつある勢いの大都会と、がっぷり4つなんて冗談じゃない。」

逆沢「そのせいか、福井県と徳島県と三重県と鳥取県の4県は、【近畿ブロック知事会】にも加入しているし、道州制やむなしとなった場合は、関西州に入る可能性も強く残しているともいうわね。関西州に入るか四国や北陸の州に入るかで、県民の未来は大きく変わる可能性があるから。」

鼎「10個もの府県が一つの州に入ったら、巨大過ぎる州になっちゃって、もっとパワーバランスが崩れちゃうよ。」

逆沢「大阪府知事の橋下は、それをまさに狙ってて、道州制を早くしろとせかしてるしね。」

愛原「地方格差が歴然としてあるのに、景気対策を地方に丸投げなんて冗談ではない。そんな景気対策は、最も最悪だ。国会議員の先生方には、景気対策から逃げるなと本気で言いたい。確かにゲームの世界と違って、景気対策はリスクも伴うテクニカルな分野だが、だからこそお前ら専門家が最も腕をふるうにふさわしい分野でもあるだろう?」

逆沢「そういう志がある政治家ばかりなら、いいんだけどね。利権ばかり追い求める政治家とか、イデオロギーばかり押しつける政治家とか、保身に汲々とする政治家とか、色んな奴がいるからねー。」

鼎「確かに下手な景気対策をやって、もっと状況を悪化させる可能性もあるけど、だからといって何もしないんじゃ、存在する意味もないよね。」

愛原「経済の話は難しいし、かえって失敗する可能性もある。しかしだからといって自分で考えるという選択肢を放棄して、例えばアメリカなり利権団体なりの言いなりになっていれば、どんどん日本は良くなると思いこむようではもっと最悪だ。」










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