トップページに戻る


愛原様のたわごと(09年4月24日)




愛原「今回は、前回の続きのネタからスタートだ。」

逆沢「今度は韓国が人工衛星を打ち上げるらしいわね。日本は北朝鮮の時とは全然違うダブルスタンダードで行くらしいけど。」

鼎「衛星発射自体に関しては、別に不思議でも何でもないよ。世界中でも2桁の国が衛星打ち上げの技術や発射実績を既に持っているし、公海に面してない国の方が世界中に多いこともあって、他国の領域をまたぐ事も決してあり得ない事ではないし。」

愛原「そういう事だ。だから世界の先進国からみたら、この前の北朝鮮の時の日本政府主催のお祭り騒ぎは、失笑ものでしかなかったのだ。別にアメリカが冷たいわけでも、中国・ロシアが北朝鮮を応援しているからでもない。ついでにいうと日本政府は、安保理決議がどうこう言ってダブルスタンダードを正当化しようとしているが、これも論理の本質からは外れると言わざるを得ない。別に日本の領海をまたごうが、ロシア方面に発射しようが、それで安保理決議の質は変わらないし、打ち落とすか否かも別問題だしな。」

鼎「でも韓国相手にまで同じ厳戒態勢取ったら、ますます国際的にKYぶりをさらす事になっちゃうから、たとえダブルスタンダードと言われてもこれはこれでいいと、私は思うよ。」

逆沢「そうそう。失敗で失敗は償えないしね。」

愛原「まぁ結果的には、韓国が人工衛星上げるといったおかげで、先の北朝鮮への対応がどれだけ不自然だったかが浮き彫りにされただけ、マシとしておくか。・・・ってあれ? そういや人工衛星の話自体、今回はする予定はなかったんだが・・・。」

逆沢「前回の続きのネタって言ったじゃん。」

愛原「・・・前回の続きは続きでも、そっちのネタじゃなかったんだけどな。」

鼎「シヴィライゼーションの話は、分からない人には全然面白くないから、やめた方がいいよ。」

愛原「・・・しくしくしく。じゃあ前回の続きの話は、なしにしよう。」

逆沢「あれ? じゃあいきなり今回は本題から?」

愛原「いや。やっぱり恒例の時事ネタから。という訳で、今週初めにかけて、東京オリンピックの誘致に向けて石原慎太郎らが色々IOCの幹部らを国賓級の扱いで接待してたよな。」

逆沢「ああ、してたしてた。私からしたらどーでもいい話だったけど。」

鼎「石原慎太郎知事は、【都民、国民への大きなプレゼントにまた一歩近づいた】って自画自賛してたけど、実際の所は、東京ではどれくらい盛り上がっているのかなぁ?」

愛原「大阪オリンピック誘致に向けて色々やっていた頃の関西よりも、さら地元民の関心薄そうな印象を俺は受けたけどな。」

逆沢「思えばあれが、大阪市の財政を悪化させた最大の要因だったわね。得意の埋め立てラッシュでオリンピック用地を整備しまくってたんだけど、結局、あーいう事になって、結局余った埋め立て地とかは、よく分からないような施設用地とかにもなっちゃったし。」

鼎「東京は、その轍を踏まないように、政府に財政保障を飲ませたらしいけどね。」

愛原「大阪オリンピック誘致の時は、渋滞し易さとかを厳しく指摘されたりしたのが、マイナスに響いたようだ。その失敗も繰り返さないように、この前の歓待でもそれを回避するような工夫をし、なおかつ本番に向けて、より渋滞しにくいようにインフラ整備を進める予定だとか。」

鼎「みのもんたさんが出演してた東京オリンピック招致CMでは、【2016年までに街路樹を100万本に】とか、【子供たちのために校庭を芝生化】とか、色々やって環境先進都市東京をアピールするとかやっていたよ。麻生総理も直接、IOCの訪日団を歓待したそうだし、熱が入っているよね。」

愛原「大阪の時は、政府によるバックアップは何もなかった。限られた財源とインフラでの招致活動を余儀なくされたあげく、その費用も地元持ちで、後にはむごい借金だけが残った。それに比べると、今回は明らかに優遇されすぎであり、俺からみたら、これも立派なダブルスタンダードだ。」

逆沢「まぁ大阪の時と同じレベルで招致活動やってたら、東京もまず誘致できないだろうし、やむを得ないんじゃない? ていうかあそこまで国が後方支援しても、なお本命視の枠に入るかどうかというレベルみたいだし。」

鼎「北京オリンピックからわずか8年で、再びアジア勢が取れるのかというハンデもあるらしいよね。」

愛原「ともかくオリンピックの件だけに留まらず、東京は何かにつけて優遇され過ぎだ。元々日本一の大都市であるにも関わらず、疲弊する地方を差し置いて、何で東京ばかりをさらに優遇し、発展させようとする?」

逆沢「まぁ特に国策をもって無理矢理優遇しなくても、人のいる所に人は集まり、金のある所に金が集まる】のは自然の摂理だけどね。」

鼎「それって、【強い者はますます強くなり、弱い者はますます弱くなる】みたいな論理だね。」

愛原「ちなみにこの【有利な側がますます有利になる】流れは、多くのSLGに当てはまる宿命的な課題でもある。SLG好きのプレイヤーなら、ゲームが終盤になるほど、どんどん難易度が下がっていくとか、後半になるほどダレるみたいな体験をした人は多いのではないかとも思う。」

逆沢「あー、それしょっちゅうだわ。」

鼎「リアリティーでいえば納得だし、論理的でもあるんだけど、でもそればかりだとつまんないよね。」

愛原「【強い者が普通に勝つ】だけの、一切番狂わせのないゲームなんかつまらんからな。」

逆沢「ていうか弱小勢力でプレイして、強い奴を倒すからこそ面白いんじゃない?」

鼎「でもそれって、何もゲーマーだけの心理じゃないよね。強い奴が普通に勝って、お金持ちが普通に豊かになって、美少女が普通にイケメンとくっついたとしても、それらは全然ドラマにならないし、面白くもないよね。」

愛原「そう。無論、ゲームやドラマの世界だけじゃない。現実世界でも同じだ。お金持ちが有名私立に進学し、清貧な家の学生が進学を諦めるケースはよくあるが、そういう世の流れを素直に祝福したり推奨する人は少ないだろう。」

逆沢「スタートの条件からして、フェアではないからね。」

愛原「【人間は平等であるべき】という理想と、【自然に任せていたら不平等な格差がますます広がりかねない】という現実の差をどれだけ縮められるか? これが実行できる為政者は名君と呼ばれるであろうし、これが体験できるドラマやゲームは名作になる素質を秘めていると思う。という訳で今回のテーマは、【強者がますます強者となるメカニズムの解明、およびその対策】だ。」

逆沢「何? そのうだつの上がらない三流学者の論文みたいな、無駄に長いタイトルは?」

愛原「たまには賢い人っぽく、タイトル名を練ってみたかったのだ。」

鼎「頭の悪い人が賢こぶっても、三枚目キャラかイヤミキャラにしか見えないからやめた方がいいと思うよ。」

愛原「・・・しくしくしく。まぁ気を取り直して、本題に入ろう。まず冒頭に触れた通り、強者がますます肥え太り、弱者がますますやせ細る傾向というのは、ゲームの世界でも現実の世界でも、往々にして見られる。だがなぜそうなるのか? その理由をまず探り、そこから弱者が強者を上回れる糸口を探そうではないかというのが、今回の趣旨だ。」

鼎「経済界でも政界でも、国際間競争でも企業間競争でも、何でも応用できるテーマだけど、一番分かり易いのはやはり軍事かな? 強大な軍事力を持つ勢力がますます強くなる理由があるとすれば、何があげられるだろうね?」

逆沢「いくら軍事力1位の勢力でも、2位以下の複数の勢力が連合を組んで1位に向かってきたら苦戦は必至だし、連戦してる内に疲弊する事もあるから、必ず1位の勢力が最終的な勝者になる保証はないんだけどね。」

愛原「現実世界では、強者を恐れたり、強者の力をアテにして、貢いだり媚びる勢力がいるからな。いくら超大国でも何から何まで自己費用だと維持費が高く付いて不経済だが、よそから貢がせたり、舎弟に代わりに戦わせて戦力を温存したまま美味しいところをもっていけたら、労せずしてさらに力を増幅できるからな。」

逆沢「かつて2強の1つと呼ばれたソビエト連邦が経済難で崩壊したのに比べて、アメリカは貢いでくれる経済大国があったから維持費が安く抑えられたという見方も可能ってか?」

鼎「とすると軍事面で、強者がますます強者にならないようにするには、できるだけ強者をさらに強くしてしまうような支援は避けるべきって事になるのかなぁ?」

愛原「次に経済界でも、大企業が中小企業や個人商店を押しつぶしたり、傘下に組み込む事があるわな。徹底した値下げ競争を断行して消費者を囲ったり、圧倒的な資金力を武器に優秀な人材をヘッドハンティングしたり。」

逆沢「そうそう。そのくせ株で大損こいたり、下手な経営で会社が倒れそうになったら、公的資金をもらって立て直したりしちゃうのよね。中小企業だったら容赦なく倒産させちゃうのに。」

鼎「健全な自由競争を維持する為に独占禁止法を制定したり、国際的な機関が不当競争にならないように監視していたりもするのに、実際にはすごく大企業びいきだよね。」

逆沢「中小企業なら簡単に脱税容疑なのに、大企業だとたいてい申告漏れで済んじゃうし。口では下請けイジメをやめろと指導しながら、実際には経営合理化の名の元の下請けイジメにほとんど不干渉だし。」

鼎「中小企業が食中毒とかの問題を起こしたら即業務停止命令が出たりして倒産コースまっしぐらな事も多いのに、大企業がリコール隠しなどのもっと悪質な行為をしても、業務停止命令が出たりする事はないよね。」

逆沢「大企業への債権放棄を認める事はあっても、逆に貸し渋りとかの被害に遭うのは、大体中小企業の方だし。なんか国や権力がよってたかって、強者がますます強者になるように仕組んでいるようにしか見えないわ。」

鼎「軍事の強者と違って、この経済の強者に対しては、有効な対策が打ち出しにくそうだけど、なんか方法はあるかなぁ?」

愛原「経済学的な論点でいえば、強き者がますます肥え太る自由競争は19世紀に最も問題化されたものであり、これに対応する為に生まれたのが、ケインズの修正資本主義、マルクスの共産主義などだ。だが実際には、論理体系化されていないだけで、経済システム自体は他にも色んなものがある。織田信長が推進した事で有名な楽市楽座は、談合廃止による新規参入の容易化をもたらせたし、田沼意次が推進した賄賂政治は、国家が商人組合を監視する事で経済の無秩序化を抑制しようという思惑があったともされる。徳川政権が推進した鎖国経済も、イギリスがかつて行なった事で有名なブロック経済と同じ、一種の保護経済政策だ。また徳川政権は徳政令を出す等の無茶もしてたし、大商人が必ず国家を思い通りに動かせる訳でもない。つまり政府や国際機関がその気になれば、大企業優遇政治をぶっ壊すような経済システムに変える事自体は可能だ。」

鼎「言ってることがよく分かんない〜?」

愛原「今回はちょっぴり賢い人ぶってるからな。グフフ。」

逆沢「本当に賢い人は分かり易く話せる人なのよ。頭の悪い人程、普段使わないような漢字を多用したり、安倍晋三が所信表明で使いまくったようなカタカナを多用したりして、自分を知的であるかのように必死で装おうとするのよ。」

愛原「・・・俺って、調子に乗る度に必ず墓穴を掘るタイプだな。まぁともかく、分かり易く言うとだな・・・。、大企業の力を抑制したいのなら、政府関係者が大企業とつるむのをやめたらいいという事だ。企業献金とかを受け取ったり、天下りを認めたりして深く癒着すると、どうしても彼らは大企業の言いなりになってしまう。」

鼎「でもかつて、社民党の村山富市さんが【5年後の企業献金廃止を条件に、政党助成金制度を制定】したにも関わらず、5年後首相となった小渕恵三さんがその約束を反故にして、企業献金も政党助成金制度も両方もらい放題の状態になったよね。麻生総理も企業献金の全面廃止には反対みたいだし。」

逆沢「それどころか安倍晋三が総理だった時に、外国法人・外国人の発行済み株式の保有率が50%を超える企業(要するに実質は外資系とみなされる企業)からも献金を受け取れるように改悪までされたし、ますます大企業による政治の買収がし放題になってるからねー。」

鼎「まぁ政治が変われば、大企業優遇政治も変わるというのは、何となく分かったけど、でもそれは一中小企業の立場でどうにかできるレベルの話じゃないよね。弱い中小企業が強い大企業を相手に頑張り続けるには、どうすればいいのかなぁ?」

愛原「ごめん。それができるくらいなら、誰かがとっくにやっている。だからその質問に対しては、的確な回答ができない。ごめんな。」

逆沢「・・・役立たず。」

鼎「でも大企業だけじゃなくて、個人の大富豪も、優遇され気味な気がするのは気のせいかなぁ。」

逆沢「それは世界的にみれば、かなりマシなんじゃない。世界で最も成功した社会主義国と言われた事もあるくらいだし。」

愛原「最近は、相続税法が変わって、それも過去のものになりつつあるけどな。昔は最大70%(1億円以上の資産を保有していた場合)が課税対象だったんだが、小泉政権時代に最大50%(1億円以上の資産を保有していた場合)までに一気に引き下げられた。麻生も景気対策の一環として一定条件での贈与税の減免を決めたとかいうが、今の与党は隙あらば【格差の固定化】を狙っているフシがある。」

鼎「私、本気で景気対策を考えるのなら、相続税や贈与税を下げるよりも逆に、富裕層の相続税率を90%以上に上げた方がいいと思うよ。そしたらお金を貯め込んでも意味が無くなるからガンガン使ってくれて景気を回してくれそうだし、税収が増えたらそれだけでも財政赤字も減らせて一石二鳥だと思うけど。」

逆沢「今の与党政治家は二世三世ばかりだから、強者がさらに強者になるような、弱者からとことん搾り取るような政策しか考えないって。だから増税と言えば、必ずといっていい程、累進課税性のない消費税が槍玉に挙がるし。」

愛原「相続に関しては、頑張った者が報われるとかそういう次元とは全く別種のただの不労所得だしな。富裕層は既にたくさんの税金を納めているとか色々言い訳するが、そんなものは至って当然だし、総中流国家だったからこそ、世界的に見ても奇跡的な発展を遂げたという側面を忘れてはならない。どんなにアラブの石油王が儲けていても、一家に一台の車も家庭用ゲームも行き渡らないような格差国家は、その分内需規模も小さくなってしまうので、トータルとしてはだからいつまでも豊かになれないのだ。」

逆沢「どんなに石油王が巨万の富を築いていても、100人分のネギを一度には食べられないし、100台の同じゲーム機を所有する意味もないからね。それよりは100人にネギやゲーム機が行き渡る国の方が、内需規模も増大して経済にプラスなのはすごく分かるわ。」

鼎「でも最近の日本は、その点でもかなりおかしくなりつつある気がするよ。ちょっと不安だよね。」

愛原「他に強い者がますます強くなりがちなジャンルとしては・・・。そうだな。東京オリンピックの話も出たついでに、地方が東京に潰されないようにするにはどうすればいいか?についても考えるか?」

逆沢「おおっ。打倒東京!!」

鼎「東京の人からしたら、ちょっと不愉快なネタかも。」

愛原「俺は江戸っ子は大好きだし、敬意ももっているぞ。東京移民とその二世は別だけどな。」

逆沢「貴様は全東京移民を敵に回した!!」

愛原「・・・いや、そんな事を言われても困るんだけどな。大体、全ての人を敵に回さない発言など不可能だ。自民党支持者の人にも公明党支持者の人にも民主党支持者の人にも共産党支持者の人にも、アメリカ好きの人にも中国好きの人にもユダヤ好きの人にもアラブ好きの人にも気に入られるような発言なんかできないし、そこまで器用にもなれん。ネタとして割り切ってくれ。」

鼎「でも現実問題として、地方が東京に追いつくのは難しいよね。むしろ地方の疲弊と過疎化は進む一方だし。」

逆沢「地方がいくら疲弊しようが、東京に富が集中しようが、日本人全体にとってそれが幸福につながるならまだ放置もできるんだけど、どうも過疎過密の問題は、メリットよりもデメリットの方が多そうだからね。」

愛原「過疎過密の問題をうるさく言い出すと、キリがないから今回ははしょる。ただ戦後日本の人口移動は、世界的に見ても突出してひどい。大体、アメリカも中国も、そこまで一極集中していない。13億人国家である中国の首都でも、その人口は東京都と大差ないし(しかも北京市の面積は四国とほぼ同等)、アメリカ一の経済拠点であるニューヨークでも、実は東京特別区と同等でしかない(但しニューヨーク市の面積は、東京特別区の約2倍)からな。」

逆沢「ロシアや北朝鮮は、日本を上回るようなレベルで、首都に権力と富が集中しているけどね。」

鼎「ロシアは、シベリア方面が不毛の地だから仕方ないよ。地理的に大都市になりえる場所が、かなり限定されちゃってるから。一方のアメリカは、首都ワシントンが決して経済拠点でもないし、ニューヨークにしても実際には日本における東京ほど、本社機能や人口が集中している訳じゃないし、各都市にうまく分散されている感じだよね。」

逆沢「アメリカは合衆国というだけあって、実態は小国の連合国といってもいいくらいだしね。州が変われば刑法も変わるくらいだし、州軍という名の軍隊まで各州が保有するなど、地方自治がすごく発達している国だから。」

鼎「でも日本も、そんなアメリカの良いところを見習おうとしてるのか、道州制議論とかも行なわれているよね。」

愛原「地方に力をつけさせてからでないと、道州制なんかまともに機能しないぞ。首都移転計画を先にやるか、さもなくば東京をワシントンのような政治都市に特化するのが先だ。首都への一極集中をそのままにしたまま道州制を敷いても、ソビエト連邦のようなむごい連邦制にしかならん。」

鼎「でも元々の日本は、ロシアのような歴史的・地理的な事情に根ざした中央集権型国家ではなかったんだよね。」

愛原「参考データとして、今の47都道府県制度が実質固まった明治21年時点で、45位だった鳥取県が約40万人だ(ちなみに46位は沖縄県、47位は北海道だが、当時は実質外国だったので参考外)。対して1位は新潟県の約160万人。つまり47都道府県での格差はせいぜい4倍だ。一方終戦年度である昭和20年時点では、47位は鳥取県の55万人に対し、1位は北海道の350万人で東京都もほぼ同人口の2位。つまりこの時点でも格差は7倍止まり。ところが現在の場合は、47位の鳥取県は60万人に対し、1位の東京都は1300万人で格差は約20倍にふくれあがっている。つまり日本の東京一極集中は、決して歴史的・地理的なものではなく、戦後日本特有の異様な現象といえる。ついでにいうと現在人口2位の神奈川県も、昭和20年の時点ではなんと15位。戦前の時点では、長野県にも茨城県にも福島県にも新潟県にも負けていた。神奈川県が大膨張したのも、東京が戦後突然ふくれあがってからだ。」

鼎「なんで急に、吸い込まれるように首都圏に人口が大移動しちゃったんだろうね。わずか60年ほどの間にこんなに人口が大移動した例は、世界的に見ても珍しいよね。」

逆沢「偶然で済まされないレベルの民族大移動ね。」

愛原「まぁ一番の理由はやっぱり大学の事情かな? 大学進学に、首都圏を選択する人はかなり多い。男子マラソンの花形である箱根駅伝にしても、大学野球の花形である6大学野球にしろ首都圏限定で、地方の大学には参加資格すらないからな。大学の数の分布一つとっても、アメリカとは大違いの首都圏偏重なんだから、大学進学をきっかけに多くの若い人材が首都圏に流入し、卒業後も首都圏に留まる人が多いのが効いているのだろう。」

逆沢「まぁ戦前は、大学進学率もすごく低かったし、国立大学のウエイトがすごく高かったから、首都圏偏重になりようもなかっただろうけどね。」

鼎「かつて6大銀行グループを形成した住友銀行や三和銀行は大阪に本店があったし、決して昔から東京に富が集中していた訳じゃないけど、再編後気がついたら、それらの系列もみーんな東京に移っちゃったよね。」

逆沢「戦前は存在すらしなかったけど、戦後一気に大きな影響力を持つようになったテレビ業界も、東京に拠点が集中して、地方局はほぼ例外なく東京キー局の傘下に入れられちゃってるしね。」

愛原「東京ローカルの流行は、すぐにマスコミを通じて全国に発信されるけど、地方ローカルの流行は、某ケンミンショーとかで笑いのネタにされればマシな方だ。地方に都会的な建造物や観光資源が現れてもローカルニュースに留まるけど、東京発なら全国ニュースになったりとかもあるし。おいしい食べ物のお店とか掘り出し物を取り扱うお店の特集とかも、首都圏偏重が酷すぎる。」

逆沢「漫画の舞台も、首都圏偏重が酷すぎるし。サザエさんですら、昔は福岡が舞台だったのに、気がついたら東京が舞台に変わっちゃってるし。」

鼎「インフラ整備も、【東京と地方を結ぶ】視点で作られ続けてきたから、その影響も大きそうだよね。」

愛原「かつて天下の台所と言われた大阪や、震災まで海運の物流拠点だった神戸のような、物流が集積しやすい都市は、それだけでも発展しやすい。アメリカのような国の場合は、物流中継拠点が点在している事もあって、地方に富が分散しやすいが、現在の日本は、主要な物資から貴重な情報まで、ほとんど東京に集まりやすくなってるからな。

鼎「税金の問題もあるよね。」

愛原「某市の市税課に勤務する友人がボヤいていたが、地方税は運用面で色々欠陥が多く、それ故に国税ではなく地方税の枠に押し込められたという逸話もあるそうだ。まぁ運用上の問題点を別にしても、市町村税収において、都市間での有利不利を左右する固定資産税や地方法人税が、極めて本社所在地のある都市に有利になっている事もあって、本社機能のある東京は、それだけでも税収面でオトクという問題点もある。東京の人は、地方に多く交付金が渡る点を指摘して【東京の富が地方に横流しされている】みたいな事を言うが、実際は地方の工場や支店が稼ぎ出した富の多くを、本社のある東京がかなり独り占めしているのだから、この指摘はフェアじゃない。」

逆沢「だから余計に首都圏に人が流れやすいという事情もあるかもね。もう搾取される一方で、しかも不便な田舎に住み続けるのが馬鹿らしいっちゅう訳で。」

鼎「過疎化が進むから、お店も仕事場も撤退してますます不便になって、ますます過疎化が進むとしたら悪循環だよね。」

愛原「アメリカでもイギリスでもフランスでも、そうならないように工夫をしているんだが、日本は明らかに首都圏を優遇し過ぎた。」

鼎「でも政府が何も手を打たなかったら、ますます強い都市が強くなって、弱い都市は過疎化が進行するよね。どうすればいいのかなぁ?」

逆沢「村々が村おこしで何とかできるレベルじゃないし、首都圏以外の全国中にてこ入れするよりは、東京を弱体化させる方が簡単そうね。東京都民や埼玉県民の税金を上乗せするとか色んな方法で。」

鼎「自民党の人達は、公共工事で地元を活性化みたいな事をよくいうけど・・・。」

愛原「公共工事だけで都市が活性化するなら、今頃島根県は、日本屈指の大都会だ。公共工事なんてものは麻薬と一緒だから、むやみにやるとかえって過疎化が進行する。島根県の場合も、公共工事による利幅が大きかった事もあって、多くの人が建設関係の仕事に関わるようになって、それ以外の産業が大きく衰退して、気がついたら公共工事なしでは生活も財政も回らないような体質になったイメージがぬぐえない。島根県の場合は、昔はそこそこ人口もあったし、観光資源にも恵まれていたはずだが、農業や漁業に前向きな東北地方や隣の鳥取県と比べても、さらに自力で経済を回す力を喪失してしまったイメージもあるしな。」

逆沢「軍事をテーマにしてた時も同じ結論だったけど、何かに依存するようになったら衰退の一途になりかねないって事かな?」

愛原「だからといって、仕事がないからとか、楽しいものが足りないからといって安易に誰もが東京に引っ越すようになると、より地方は衰退する。東京自身も、地方の工場や農地から実際には搾取している訳だから、地方の衰退はそのままいずれ東京自身にも跳ね返る。現在の日本は、経済成長率で世界ワーストクラスだが、この辺のひずみが出ているのかも知れない。」

鼎「首都圏は、消費が生産を上回る経済システムだから、生産拠点である地方が先細って、消費過剰層の人口がさらに増えたりしたら、日本はさらに大変な事になるよ。」

逆沢「それでも生産する苦労よりは、消費する楽しみを優先したがる人は多いけどね。」

鼎「そろそろ東京から人を地方に戻して、生産力を取り戻さないとまずいかも知れないよね。」

逆沢「北朝鮮の例を挙げるまでもなく、軍人なり管理職なり支配階級といった非生産階級の比率が高い国は、必ず駄目になるからね。」

愛原「力がある側は、力がない側から搾取したがる。その結果、強者がますます強者になり、弱者が衰退するのだが、自力生産を軽んじて搾取ばかりしたがるような強者は、やがて自ら墓穴を掘る事になる。その場合、確かに強者と弱者の格差は広がる一方だろうが、強者も実は弱体化しているという事になる。実際、世界レベルでみれば、日本の地位は急降下中だしな。」


逆沢「奪うだけの強者は、確かにいつまでも栄華は続かないかもね。」

鼎「でも奪われる方よりは奪う方がいいって発想なのか、地方から首都圏への流入が止まらないのが日本の現実だけど・・・。」

逆沢「でも東京ですら、日本政府からしたら実は手下なのよね。今の東京一極集中を作ったのも、東京人だけではなくて地方人を含む政府のお偉いさんという考え方もあるし。」

愛原「定額給付金の件の処理で、特にそれを感じたな。小難しい実務は地方に丸投げ。地方が支給困難な様々なケースに対してどう対処すべきかを尋ねたら、【地方の裁量権に任す】と丸投げするくせに、やれ一日も早い支給をとか、税金滞納者に対する差し押さえはNGだのと、口出しだけはしまくる。口出しする権利や感謝される権利は政府が独り占め。業務を適正にこなす義務とか、トラブルに対処する義務は全て地方に帰属と言うから、卑怯以外の何者でもない。」

鼎「橋下大阪府知事が【地方は国の奴隷】と言ってたけど、少し分かる気もするよ。いいとこ取りばかりして、負担や義務ばかり地方に押し付けるもん。」

愛原「去年の時点で、すわ衆議院選挙かと臭わせておいて、結局しなかったから、埼玉県のある市町村はフライングで前もって印刷していた選挙用紙がパーになったらしい。同様に定額給付金法案が通るかどうかも分からない以上、前もって準備するのが妥当であるはずもないのに、今度はフライングで前もって準備を進めておいて法案可決後即日で支給を始めた市町村に続けと激励。お前らの都合で、フライングして外したら馬鹿みたいな扱いしたり、フライングして法案が通ったら先見の明があると言わんばかりに評価したり、ダブルスタンダードな評価はやめろって感じだ。」

鼎「ダブルスタンダードといえば、SMAPの草g君が公然わいせつ容疑で逮捕されたのを受けて、鳩山大臣は【めちゃくちゃな怒りを感じている。最低の人間だ。絶対許さない】と言ったそうだけど、中川昭一大臣が泥酔で国際的に恥をさらした時は、全然そんな風な激しい非難をしなかったけど、これもすごいダブルスタンダードだよね。」

愛原「中川昭一は逮捕されていないからという意見もあるが、逮捕されなかったら、国際的・社会的な影響に関わらず何をしてもいいというなら、人間性として、その方がよっぽど最低の人間だ。鳩山は至極もっともな事も言う事があるし、実行力も高いから嫌いではないが、定額給付金の件一つとっても、今回の草g事件にしても、上から目線がひどすぎる点が少しかんに障る。権利だけ自分達が独り占めして、義務は下に押し付けた上、どうしてそこまで偉そうにできるのか、実に不思議だ。」

鼎「でも弱者である側も、強者に媚びてやり過ごそうとするのではなくて、橋下知事のように勇気をもってかみつく姿勢も必要だよね。強者に媚びた所で、強者はますます偉そうに弱者から搾取するだけなら尚更に。」

逆沢「橋下自身もかなり上から目線な傲慢キャラだけど、目上に安易に媚びない部分は評価に値するわ。」

愛原「我々一般庶民も、大抵は自分が必ずしも強者でない事は知っている。そして弱者が強者に安易に媚びるべきでないことも、弱者が強者を攻略できたら、こんな爽快な事がないのも知っている。だから弱小勢力でも強国を倒せるようなSLGや、パッとしない一青年が憧れの美少女と結ばれるAVGがもてはやされるのも納得だ。強者は強者で、様々な権力や武力や財力を駆使してさらに弱者を屈服させようとするが、そういう野蛮で卑劣な強者の圧力に屈さず、むしろそういう輩を打倒できるような、爽快感のある作品は大好きだ。」

逆沢「自分勝手で、【自分の権力や財力を守るためなら、他人を踏みつけても構わない】みたいな奴をギャフンといわせられたら、確かにスカッとはするだろうしね。」

鼎「実際には、弱者が強者をギャフンと言わせたいように、強者も弱者に転落しないようにあらゆる手を尽くそうとするだろうから、そう簡単にはいかないけど・・・。」

逆沢「だからかえって燃えるんじゃない? そう簡単には倒せないからこそ強者と呼ばれるんだし、ライバルが強者だからこそ倒す値打ちがあるわけで。ってか強者が弱者をいたぶったり搾取するなんてのは、ただのイジメだわ。」

愛原「現実世界は厳しい。だからこそ小説やゲームの世界くらいは、爽快に強大な悪党どもをギャフンと言わせてやりたいものだ。」











トップページに戻る