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愛原様のたわごと(09年6月6日)




愛原「国会議員の世襲問題だが、結局自民党は、次期選挙で世襲制限するのを見送ったらしい。」

逆沢「小泉進次カとかいう新人の圧倒的カリスマに、自民党執行部も負けたわけね。」

鼎「もしかしたら、小泉進次カさんの政治力とか裏工作の手腕が天才的で、それに自民党本部も負かされちゃったのかも知れないよ。」

逆沢「もしかしたら小泉進次カには、百年に一度といわれるとんでもない英雄の器があって、その有為な人材を失うのは惜しいと自民党の大物達が判断したのかも。」

鼎「でもそんなにすごい人材なら、親の地盤を受け継がなくても、どんな地盤でも当選できると思うし、あるいは無所属を貫くなり、次々回以降の選挙に立候補するなりしても十分大志は遂げられるとも思うかも。」

逆沢「親の地盤もらわないと当選も活躍もできないような小物なら、そんな小物は初めから国会議員としてふさわしくないとも思うけどね。非世襲議員が自力で地盤やカバンを一から築き上げるのと比べたら、彼らは試練らしい試練を全く経ていないヒヨコも同然だし。百戦錬磨の非世襲議員のチャンスを狭めてまで、ヒヨコを優遇し続ける連中の性根がわたしゃ理解できんわ。」

愛原「小泉純一郎自身も公言していたが、たとえ親バカと言われても我が子を優遇したい親と、たとえ七光りと言われても優遇にあやかりたい子の思惑が一致した。そしてそれを自民党という党は追認したという事だろうな。」

逆沢「一人の人間として、情としては理解できるけど、国家を預かる人の発想としては、ちょっとどうかなーとも思うけどね。」

愛原「貴族階級にとっては、国家権力は所詮私物でしかないからな。ちなみにお隣の北朝鮮でも、そんな傾向は非常に強く見られるようだ。」

鼎「そういえば、最近ミサイルがどうとか、核実験がどうとか、宣戦布告とみなすがどうとか、すごく挑戦的な行動が目立つけど、あれは結局の所、何がしたいのかなぁ?」

愛原「推論になるが、余命長くないと感じた金正日総書記が、あせりを感じたという側面はかなりあると思う。金正日も小泉純一郎と同じく、やはり人の親だからな。」

逆沢「は? それとあの過激な動きとどう結びつくのよ?」

愛原「おそらく金正日の思惑は、次の世代になっても体制維持をしたいという一点にある。核兵器を持つ事で抑止力を高めるか、あるいはアメリカとの直接対話を実現して体制維持の保証を得たいというのが、最終目的だろう。今の情勢では、自分が死んだ後の北朝鮮がどうなるか分からないから、その不安要素を一つでも潰したいという事だと思う。今になって急に後継者を決断したのも、自分が死んだ後、後継問題でもめてぐちゃぐちゃになる可能性を恐れているからだろう。」

逆沢「確かに、一度倒れてから、めっきりやせ細ったし、いよいよ真剣に自分の死後を考えてもおかしくない時期に来たという事かも知れないわね。」

鼎「でも核兵器を持つとなると、世界の反発も大きいし、ある意味賭けだよね。」

愛原「インドもパキスタンも、その試練を乗り越えた上で、今の核保有国としての地位があるからな。日本国内でも、核武装論を唱える人は多いが、その試練を乗り越えられるかどうかを、真剣に考えている人がどれだけいるのか・・・・。ちなみにお隣韓国は、核拡散防止条約に今まで不参加だったが、北朝鮮が本気で核武装に挑戦しだしたのを見て、あわてて参加に舵を切った。つまり韓国は、【北朝鮮が持つというなら、(たとえ国際的に孤立してでも)俺も持つ】という道よりも、【国際的に協調する】道を今になってあわてて決断した事になる。逆に日本は、昔から唯一の被爆国という地位も生かして、昔から核拡散防止条約に参加しているけどな。」

鼎「つまりもし、日本が核保有路線に転換するという事は、韓国と正反対の道を行くという事だよね。」

愛原「当然その場合は、国際社会からの激しい反発に耐えなくてはならない。食糧自給率すらヤバい日本が挑戦するには、かなり高リスクだ。在日米軍すら駐留済みのアメリカにしては、いくら北朝鮮が核保有国になったとしても、だからといって日本にも核兵器を持たせるメリットは皆無だからな。」

鼎「でも小泉さんも金正日さんも、自分の身内の安泰ばかりを考えて、国政を動かしているとしたら、なんかちょっとがっかりだよね。」

逆沢「まぁ党利党略とか、支持率を気にしてとか、選挙目的とか、自分の都合ばかりで政治が動くのは、どこの国でもありがちだからねえー。」

愛原「日本に住んでいると、アメリカも中国も北朝鮮も、みんな国際戦略とか国益とかを考えて日本にちょっかいをかけていると思われがちだが、実際はそんな高次元なものばかりじゃない。日本の政治家がそうであるように、極めて低次元の動機で政治や外交をかき回している事も多いんだ。」

逆沢「例えばどんな?」

愛原「世論受けを狙って後先考えず戦争を始めるとか、世論受けを狙って靖国神社に参拝して隣国を挑発するとか、外交面でいえばそんな感じ。内政面でも選挙対策のバラマキとか、色々言われているものがあるだろう? 全ての国の政府、全ての国の政治家達が、国益だの戦略だのといった視点だけで政治をやってると思ったら大間違いだ。」

逆沢「まぁそれでもタテマエ上、全ての政治家は、【私利私欲のために政治をやってます】とは言えないけどね。」

鼎「北朝鮮でも日本でも政治家の世襲は珍しくないけど、やたら世襲ばかりしたがるって事は、やっぱり政治家稼業は、色々うまみがあるのかなぁ? 税金面とか後援会組織とか色んな面で世襲政治家は有利なシステムになっているとも聞くけど・・・。」

愛原「彼らは、現代版貴族階級ともいえそうだな。という訳で今回のテーマは、【貴族階級】だ。」

逆沢「あんたのポジションからしたら、もっと早く取り上げられてもよかったくらい身近なテーマね。」

鼎「実は私達、愛原軍の国は【貴族共和制】で、リーダー自身も貴族階級なんだよね。」

逆沢「でも貴族階級間の派閥抗争では、アンタは少数派なんだけどね。で、多数派である大貴族グループが宮田軍相手に勝手に戦を起こして、歴史的大敗北を起こした直後というのが、ゲームスタート時の設定ね。」

鼎「宮田軍という勢力自体も貴族達による圧政から逃れる為に立ち上がったという設定だし、【貴族階級】というのは、実は7lcwの根幹を成す設定の一つだよね。」

愛原「ウチのゲームに限らず、中世系のファンタジーでは、貴族階級はお約束だ。王族・貴族・騎士階級・・・、色んな生まれながらの特権階級が中世系ファンタジーでは、定番として登場する。」

鼎「【銀河英雄伝説】みたいな未来ものでも、貴族階級が登場する作品は珍しくないよ。」

逆沢「そして貴族階級は、大体庶民階級からみたら悪玉なのがデフォルトだけどね。勿論善玉の貴族も多いけど、そういうのは善政家であったり、庶民階級に差別意識が無かったりと、大体パターンが決まっているわね。」

鼎「庶民階級を見下していたり、自分が生まれながらの立派な人間と勘違いしていたりする人は、大体悪玉だよね。」

愛原「チャチな設定と言われればそれまでだが、7lcwの世界観もそれと同じだ。主人公の一人である俺様は、いわゆる庶民階級に理解のある【いい奴】側に設定されており、俺達に対立する立場の貴族は、【宮田軍に反乱を起こさせる程の圧政を敷いた悪人ども】であり、かつ【無謀な戦をしかけて大敗するような馬鹿ども】という設定になっている。」

逆沢「あんたがいい奴なら、この世の人間の9割以上はいい人だわ♪」

愛原「グフフフフ! まぁ俺様程度のような奴ですら【いい奴】と呼ばれるような世の中は、確かに低レベル過ぎて問題だな。まぁそれは否定しない。まぁ俺のポジションは、いわゆる馬鹿で強欲な悪役型貴族よりはマシだが、宮田軍型の正統派レジスタンスからみれば、問題視されてもやむを得ないという微妙な位置づけで設計されているからな。」

逆沢「所詮は、あんたも特権階級の住民だからね。」

愛原「うむ。ゲーム上、紛れもなくそういう設定だぞ。宮田のような天才気質でもないし、いわゆるくだらん貴族だ。」

鼎「でも圧政を行なったり、庶民階級を差別したりといった事はしないよね。」

愛原「逆にみんなから、ブタ呼ばわりされるような【愛されキャラ】だ。」

逆沢「なーにが愛されやねん? アンタはどっちかというと、【いじられキャラ】でしょ。笑われてナンボ、叩かれてナンボ、すべってナンボのお笑い系3枚目キャラというか・・・。」

鼎「尊敬される貴族ではないけど、憎まれる貴族という程でもない、あまり見られないタイプの貴族だよね。」

逆沢「大抵の貴族は、尊敬されるにしろ嫌われるにしろ、どっちかというと二枚目タイプが多いのに、あんたは三枚目一直線だからね。」

愛原「名門貴族からは、貴族らしい気品もプライドもないと非難され、庶民階級からは所詮は特権階級と批判される微妙なポジション。それが俺様だ。」

逆沢「ただの落ちこぼれ貴族じゃん。」

愛原「【ホントはいい奴】だと思って欲しいんだけどな。ファンタのCMに出ても俺、似合いそうにないか?」

逆沢「知らん知らん。」

鼎「でもファンタジーに登場する貴族階級は、大きく2種類に分かれるよね。庶民を蔑視して貴族特権を守りたいと思うタイプと、そういう古典的な貴族意識に疑問を持つタイプ。リーダーは、そういう意味では後者の派閥だよね。」

愛原「前者型の貴族に憎まれ恨まれているという点では、どっちかというと後者だが、宮田らと一緒になって庶民の権利を拡充する運動に参加する程ではないから、少し微妙なポジションではあるがな。もっとも宮田と一緒になって運動なんかしたら、議長の椅子から去らなくてはならなくなるので、ギリギリの政治的配慮という奴ではあるんだが・・・。もしもゴルバチョフが反共運動の指導者だったら、彼はソビエト連邦最後の書記長に就任する事もなく、ソビエト連邦を終わらせる事もできなかっただろうし、まぁ俺なりに色んな事情や思惑があるんだと思ってくれ。」

鼎「ファンタジーの世界と違って、現実世界の貴族は、圧倒的な比率で前者のタイプが多い気がするけど、これは気のせいかなぁ?」

愛原「多分、気のせいではないだろうな。王族や貴族が中心になって庶民や奴隷を解放した史実なんか、ほとんどない。9割以上は、怒った庶民らによって無理矢理貴族階級から引きずり下ろされるパターンばかりだからな。トップ自ら奴隷階級の解放を宣言したリンカーンのような指導者は、歴史的には極めて少数派と言わざるを得ん。」

逆沢「リンカーンのやろうとした奴隷解放政策も、実際にはすごい反発があったようだしね。南北戦争という物騒な対立まで起きているし。」

愛原「一人の英雄型貴族が英断を下しても、大多数の特権維持派の貴族がそれに反発する事は、簡単に予想できるからな。貴族といったところで、元々能力のある人間は少ししかいない。貴族から貴族としての特権を奪ったら、庶民にも劣るただの無能という奴も多いからな。」

逆沢「庶民は、魚を捕ったり、米を作ったり、物を安く買って高く売ったり、生きるために色んなスキルを身につけているけど、貴族はニートまがいの奴も多そうだしね。人様から巻き上げた税金だけでメシを食ってる貴族から、貴族特権を奪おうとしたら、そりゃ反発するのは分かる気がするわ。」

鼎「自民党内で世襲制限の議論が起こった時も、ものすごい反発が出たらしいけど、これも貴族特権を廃止されたら困るような、無能系の貴族議員が多い事の裏返しなのかなぁ?」

逆沢「そうじゃない? 実力があったら、どこの選挙区から出ても、自力で一から後援会作って、当選できるだろうし。実際、非世襲議員の多くは、そういう試練を皆、乗り越えてきている訳だから。」

鼎「麻生さんとかは、【世襲議員にも立派な人はいる】みたいな事を言って政治家の世襲を正当化していたけど、それだったら世襲じゃない政治家でも立派な人はいるよね。」

愛原「実力さえあれば、特権なんかなくても成功できる。それが本当の姿だ。だが特権のおかげで実力がなくとも成功した人間が一人出れば、その数の分だけ、実力があるけど特権を持たない人間が成功する確率は下がる。」

逆沢「そういえば、一部では、(世襲ではない)たたき上げの議員程、カネに汚くて汚職とかに走りやすいという意見も聞くけど、これはどうかな?」

鼎「正確な事は統計を取ってみないと分からないけど、田中角栄さんとか竹下登さんとか金丸信さんとか野中広務さんとか額賀福志郎さんとか、たたき上げの政治家で、金権疑惑のある政治家さんは確かにそこそこいるような気もするけど・・・。」

愛原「そりゃあ、たたき上げの政治家の場合は成り上がりにくい分、成り上がる過程で汚い事をやっててもおかしくないからな。勿論、世襲議員にも汚い奴はいっぱいいそうだが、先祖代々の後援会組織が強固な分、犯罪が表に出にくいという理由もあるかも知れん。」

逆沢「世襲政治家は先代から、政治家としてのノウハウとか、人脈とか、資金とか、色んなものを最初から譲り受けてスタートできるから、そりゃ有利過ぎるわ。」

愛原「貴族階級は、【庶民階級と違って、俺達は高度な専門教育を受けている】とか、【庶民階級は、犯罪率が多い】とか言ったあげく、【だから庶民階級に権力を明け渡す訳にはいかない。庶民階級は差別されて当然だ】みたいな主張をする事がある。だがよく調べてみたら、庶民階級にはロクな教育を受ける権利自体がなかったり、職業の自由が極めて狭かったり、いつ犯罪に走ってもおかしくないような貧しい環境に据え置かれていたり、色んな背景がある事も多い。」

鼎「なんか人種差別とか外国人差別とも、かぶりそうだよね。貴族階級の部分を白人と置き換えたり、庶民階級の部分を外国人と置き換えても、そのまま通用しそうな気がするよ。」

愛原「差別を行なう事で、相手を追い込む。で、追い込まれた相手が暴発したら【だからアイツらは差別されて当然】といって、改めて差別を正当化する。貴族階級の典型的な思考回路だ。確かに立派な貴族もいるとは思うが、ボンクラな貴族が立ちふさがった事で、有為な非貴族が力を発揮できなかったり、下手すると弾圧されてしまうのは社会にとっても損失だと思う。」

逆沢「もしも織田信長が貴族優遇主義で、足利義昭を本気で奉ろうとしたり、佐久間や林といった旧臣を重用したり、羽柴や滝川といった下賤の者を登用しなかったり、明智や細川のようなヨソモノを重用しなかったら、きっと今の日本はなかったと思うしね。」

鼎「けど実際には、織田信長みたいな人も少数派で、実際には貴族階級の保護者的な支配者が、戦国時代でも大半を占めていたんだよね。」

愛原「いくら下克上の世の中と言った所で、秀吉のような農民(?)階級が成り上がるのは奇跡に近い。というのもそもそも家臣・重臣として取り立ててもらえなければ、下克上できる所までいかないからな。秀吉のサクセスストーリーを色々調べてもらえれば分かると思うが、彼のような下賤の者が成り上がろうとすると、とにかく大変だ。まず同僚にはねたまれ、上司の多くには不愉快がられる。出世したらしたで、かつての上司には嫉妬され、兵士や庶民達にも出自を馬鹿にされる事がある。【成り上がりはカッコいい】という発想は、現代人だからこそのものであって、当時の世論の大半は【下賤の者のくせに】というのが大半だったみたいだからな。【黒人のくせに】とか【在日のくせに】的なニュアンスに近いかも知れない。」

鼎「庶民出身の人間が天下人になったんだったら、もっと庶民から讃えられても良さそうだのにね。」

逆沢「秀吉は、晩年に庶民を大切にしなくなったから、かえって裏切り者として反発を買ったかもね。元来の貴族階級である地方大名達からしても、貴族でも何でもない奴が幅を利かすのは面白くなかっただろうし。」

愛原「貴族階級は、自らの特権を正当化する為に、長い年月をかけて自らの神格化も行なうから、厄介だ。」

鼎「ほえっ? 神格化?」

愛原「例えば北朝鮮では、金正日一族の神格化が行なわれていて、庶民は金一族を讃えなくてはならないみたいな空気が出来上がってしまっているだろ?」

逆沢「ああー、そういうのは、軍国主義国家とか独裁国家ならどこでもあるみたいね。」

愛原「この傾向は、実は君主制国家でも大体当てはまる。騎士は君主に忠義を誓う事が美徳とされているし、武士も同様だ。王様なり領主なりに、忠義を誓う事が美徳とされ、それに反発するものは逆賊として、国公認の嫌悪対象・討伐対象となる。大日本帝国だろうが、北朝鮮だろうが、フセイン時のイラク政権だろうが、この傾向は同じで、心から君主に忠誠を誓う者から、排除されるのを恐れて忠誠を誓うふりをする者まで幅広く現れるが、いずれにしろ表向きは、君主を敬う事が推奨される。」

逆沢「今の日本では、そういう空気はあまりないけど、それでも○○二世みたいな言い方で、よくテレビに取り上げられたりする人もいるから、ちょっとはそういう傾向が残っているのかも知れないわね。」

「同じ二世議員でも、元総理大臣の二世と、その他大勢の国会議員の二世とじゃ、やっぱり扱いは違うよね。同じ貴族階級でも、大物貴族の二世と、ただの貴族の二世じゃ、扱いが全然違うってのはありそうだよね。」

逆沢「安倍・福田・麻生と、元総理の世襲議員の総理が続いて、この国は本当に総中流だったのか? 実はとんでもない貴族支配国家なんじゃないかとすら、思えるわ。」

愛原「古来から大物貴族である程、大きな特権なり権益を保有しているケースが多い。そして大きな権益を持つ者には、そのおこぼれに預かろうと追従する者が多く近づく事になる。そして追従する者は当然、利権を守り続ける為に大物貴族を支え続けるだろうから、大物貴族である程、ボディーガードが充実したような状態になりやすい。つまり憎らしい程の大権益を持つ大貴族程、実際には打倒しにくい構図が出来上がるのだ。安倍・福田・麻生クラスになると、先代からの親衛隊の数も必然と多くなるから、それだけ出世もしやすいのは、ある意味当然といえる。」

逆沢「偉大な先代から【息子をよろしく頼む】とか頼まれたら、騎士道精神のある子分達なら喜んで、その二世達を支えようとするだろうしね。」

愛原「かくして貴族階級は、世襲され続ける事になる。貴族階級を廃止しようとすれば、当の貴族が反発するのは勿論の事、その貴族のおこぼれに預かる利権団体も反発するし、騎士道精神あふれる親衛隊気分の人間も反発もするしと、なかなか大変なのだ。」

逆沢「もしも小泉進次カが横須賀の選挙区から出られなくなったら、当選が危うくなる小泉進次カ自身は勿論の事、横須賀に住む後援会の人達や横須賀の利権団体の人達も、みーんなそろって反発するようなノリね。」

愛原「残念ながら、今の日本の政界は、世襲議員という名の生まれながらの貴族階級が多くを占めている。そして彼らを支える親衛隊や、ファン層も強固だ。加えて貴族階級同士での横の連帯も強く、これを突き崩すのは並ではない。」

鼎「貴族階級が存在する事でメリットがあるなら、無理に敵視する事もないとは思うけど・・・。」

逆沢「ていうか、麻生が【世襲議員にも立派な人はいる】と言ったように、貴族階級にある人達は、何かにつけて貴族階級の存続にメリットがあるような言い方しかしないんだけどね。」

愛原「そりゃ、恩恵を受けている当事者からしたら、メリットの方が圧倒的に上だからな。ただ誰かが恩恵を受けた時点で、別の誰かが不利益を被るというのが、この手の問題だ。つまり正々堂々実力のみで議員に挑戦しようとしている人の枠を狭めてまで、彼らを優遇するメリットがあるのかという視点で語らなければ意味はない。」

逆沢「まぁ初代貴族に限って言えば、実力で貴族の地位をもぎとったという解釈はできなくもないけどね。」

愛原「貴族階級というのは、世襲する事で初めて完成されるものだと俺も思っているからな。秀吉がいくら天下人になっても、彼は生まれつきの貴族階級ではない。ただその息子の豊臣秀頼は、生まれついての貴族階級だともいえる。貴族階級は、ある意味、実力と努力のみで登りつめた英雄が、次の世代以降にもその繁栄をもたらせようと画策した結果、階級として固定されるものともいえそうだからな。」

鼎「北朝鮮の金正日さん一族は、北朝鮮最高の貴族階級といえるけど、金正日さんのお父さんである金日成さんに限って言えば、実力でトップの座に登りつめた初代だよね。」

逆沢「初代だけは、生まれついての貴族という訳ではないからね。」

鼎「とすると特権的地位そのものを世襲させようとしなければ、貴族階級が固定される事はなさそうだよね。」

愛原「意外に思えるかも知れないが、政治家の世襲という一点で、最も進歩的な一面を持っているのが中国共産党だ。毛沢東が建国して以来、ケ小平・江沢民・胡錦涛と政権がいくら移り変わっても、世襲された事は一度もない。中国では誰か一人が出世すると親族一同がむらがって利権をむさぼりたがるという悪しき伝統的な一面もあるが、反面、汚職には徹底して厳しいしな。」

逆沢「汚職がパレたら簡単に死刑になるからね。日本とは大違いだわ。」

愛原「日本の場合は、貴族階級が持ちつ持たれつで談合してるから、汚職には極めて寛大だ。誰か一人の汚職を厳しく罰したら、明日は我が身だからな。だから秘書給与やら無料パスやら機密費やらを利用して公金を流用しようと、賄賂を受けとろうと、それで重刑になる事はない。むしろ誰もが大なり小なりやってるけど、お互いに見て見ぬふりし、バレでも軽い罪で済んだりするような法律にして、お互いに特権階級としての密を味わい尽くしているというのが、残念ながら日本の現状だ。中国とも韓国ともアメリカとも、本質的に違うといわざるを得ない。」

鼎「韓国では、歴代大統領のほとんどが悲惨な末路を迎えているけど、これは次期政権が前政権の悪事を暴こうとした結果、起きる事が多いよね。アメリカでもそこまで極端ではないにしろ、政権交代する度に近い事はやってるし。」

逆沢「日本でも政権交代が起こったら、ちょっとはマシになるかな?」

愛原「民主党や国民新党のような自民党出身者が幅を利かす政党が中心である限りは、残念ながら見込み薄いだろうな。小沢一郎の献金問題でも少し明らかになったように、根っこが同じなら多分駄目。小沢一郎は何も自民党を飛び出した時に、自らの後援会員や地盤・カバンを全部リセットした訳ではなく、むしろそのまま引き連れだしただけだし、そういう奴が民主党や国民新党は多すぎる。昔、細川護煕率いるグループが一時政権取った時もあったが、細川護煕・羽田孜・小沢一郎・武村正義ら自民党出身者が多く占める彼らの政権は、結局機密費問題が浮上した時も、廃止に踏み切れなかったという過去もあるしな。」

鼎「共産党以外の党は、当時の時点で、全部自民党から配られる機密費を受け取った事があるらしいから、ある意味共犯だから、踏み切れないのかも・・・。」

逆沢「自民党と民主党の関係って、もしかしたら貴族同士の権力抗争に過ぎないのかもね。」

愛原「共産党の強い京都では、知事選挙でも市長選挙でも自民党と民主党は必ず相乗りになる。自民党と民主党と共産党が3つ巴になると、共産党が勝ってしまう可能性が高い為、普段は仲の悪い貴族同士で連合を組んで対抗するという典型的パターンだな。」

鼎「日本の貴族階級って、意外と先進国の中では、かなり力を持って君臨しているのかも知れないんだね。」

逆沢「アメリカ人からしたら理解できないくらい、仁義だの忠義だの忠誠だのといった言葉が好きな民族だからね。そういうのは本来は儒教思想なんだけど、儒教の発祥地である中国や、儒教の本場である韓国よりも、もしかしたら日本の方が潜在的には強いかも知れないわね。」

鼎「皇室に関する報道とかでも、イギリスの王室関連報道と比べても、かなり謹厳だよね。」

愛原「オーストラリアやニュージランドを初めとして、イギリス王家を特別な存在とみなす国は世界的にいくつもあるが、それでも彼らはイギリス王家をジョークやネタとしてとりあげられる寛大さを持っている。日本にはそれがあまりない。北朝鮮ほど極端ではないにしろ、貴族崇拝的な思想を持つという点では、おそらく西洋人の比ではない。」

逆沢「貴族階級にとっては、何ともありがたい話ね。自分達が特権階級である事を妬まずに、むしろ讃えてくれちゃったりしてくれる訳だから。」

愛原「北朝鮮式に言えば、【私達がいつも幸せにいられるのは、全て将軍様のおかげ】という奴だからな。西洋や中国では、そんな甘い話にはならん。」

鼎「中国は元々【易姓革命】思想の国だから、徳をなくした君主を敬うような発想はほとんどしないし、かのイギリス大王室を抱えるイギリスでも、王家のスキャンダルは容赦なく報道するし、政治家の世襲制限もちゃんとあるみたいだよね。」

逆沢「西洋人の発想は【ノーブレス・オブリージュ(貴族の義務)】だから。【特権は、それを持たない人々への義務によって釣り合いが保たれるべきだ】という意味だったわね。」

愛原「西洋では儲けるだけ儲けて、それを還元しようとしない成金や、特権に見合う奉仕をしない貴族は嫌われる。中国なら、悪政を敷くような君主の政権は、すぐに倒して構わないという事になる。西洋でも中国でも王家や貴族階級はあるが、北朝鮮的な【無償の奉仕を求め、無限の特権を享受し、人から忠誠を強要できる】文化など、これっぽちもない。日本は残念ながら、西洋や中国よりは、やや北朝鮮寄りといえそうだ。」

鼎「貴族らしい義務も果たせないなら、貴族でいる資格はない。にも関わらず彼らは、特権を駆使して貴族としての地位を守り続ける事ばかり考えている。・・・それっていかにも駄目な貴族の発想だよね。」

逆沢「【二流以下の政治家は、政治の事ではなく、次の選挙で当選する事ばかり考えている】みたいな事がよく言われるけど、特権が特権階級としての地位を守るためだけに使われているとしたら、こんな不愉快な事はないわね。そんな貴族特権は一日も早く廃止すべきだわ。」

愛原「小泉進次カは、とりあえず外見的には貴族階級にふさわしい爽やかなイケメン風だが、なんら実績がある訳でもなく、にも関わらず、先代からもらい受けた貴族特権だけはフル活用しようという腹らしい。そんな彼を、次の選挙で有権者がどう判断するか、実に興味がある。貴族大国日本の行く末を判断する好材料だ。」

鼎「横須賀市民の判断が、日本の貴族システムが今後どうなるかを左右するかも知れないよね。もしも小泉進次カさんが落選したら、国民の世襲批判は想像以上という事になるだろうし、余裕で当選したら、これからも世襲特権は続くかも知れないし。」

逆沢「小泉政権は、【弱者切り捨て政治】とか【格差社会の推進役】としての評判でも知られただけに、生まれながらの強者であり、特権階級であり、彼自らが推した世襲貴族を横須賀市民がどう判断するか、確かに興味はあるわね。」











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