愛原様のたわごと(09年10月3日)
愛原「今年もプロ野球が面白い。賛否両論あるクライマックスシリーズ制度だが、長所だけに目を向ければ、確かにペナントレースを面白くしているのは間違いなぁと、改めて思う。」
逆沢「セリーグでは、阪神・ヤクルト・広島による3位争いが白熱中ね。」
鼎「パリーグでは、楽天が台風の目になってるよね。今、ついに2位まで上がって来て、日本シリーズも十分視野に入ってきたよね。」
愛原「楽天は、後半戦だけなら勝率1位だからな。」
逆沢「南海ホークスがダイエーホークス(現ソフトバンクホークス)になった時も、優勝するまで10年以上かかったのに、楽天はその半分の期間でえらく強くなったもんだわ。うん。」
愛原「三木谷オーナーは、やきもきしているかも知れんけどな。」
逆沢「ところで、アンタはクライマックスシリーズについてどう思う?」
愛原「ペナントレースの価値を損なうという意味では少し慎重派ではあったが、取り越し苦労だったかもと思うようにはなった。」
逆沢「あんたは、頭の固い保守層か?」
鼎「政治の世界でも、変革して事態が悪化する事を恐れる保守層の壁を、ようやく現状を打破しようとする変革層が突き崩した感じだけど、これはこれで面白いかもって思うよ。」
逆沢「小泉改革の時みたいに、時間が経てば、色んなひずみが出てくるかも知れないけどね。」
愛原「守りに入った変えたくない層と、積極果敢な変えたい層の対立は、いつの時代でもどんな世界でもあるものだなと、つくづく思うよな。」
逆沢「現状への不満や将来への不安があれば、変えたいって思うだろうし、逆に現状に満足している層は変えたくないと思うからね。」
鼎「それでセレブの人やエリート層ほど保守支持層が多くて、そうじゃない人や野心的な人ほど変革支持層が多くなりがちになるのかなぁ?」
逆沢「今はうまくいってるけど積極的にはなれない人ほど、変革する事で既得権益を失う事を恐れるだろうから、確かにそれはあるかもしれないわね。」
愛原「なるほどな。俺はプロ野球に関しては、ナベツネの専横を別にすれば、そんなに不満はない方だったから、それで保守的な考えになってしまってたのかも知れないな。だが今年のペナントレースを見て、考えを思いっきり改めたぞ。」
鼎「ゲームの世界でも、頭の固い保守の権化みたいな主人公はあまりいないし、逆に過去の怨念や因習を振り払って、積極的に新たな一歩を踏み出す人ほど、若々しくてカッコよさそうなイメージが強いよね。」
愛原「確かにそれもいえるな。では今回のテーマは、究極の革新思想である【オリジナル】について語る事にしよう。」
鼎「オリジナルって、何のオリジナル? オリジナルなシステムの事。オリジナルなシナリオの事?」
逆沢「ってか、シリーズ作品や二次作品やクローンでもない限りは、シナリオはオリジナルに決まってると思うけど。」
愛原「しかし大まかに分類すれば、大半のシナリオには、いわゆる【ひな形】というのが存在するからな。特にフリーのRPGの場合は、なおその傾向が強くなる。」
逆沢「ああ、そりゃ素材のせいだわ。ツクールに同梱されているデフォルト素材にしても、各サイトで配布されているフリー素材にしても、大抵は西洋中世ファンタジーの世界観を元にしたものがほとんどだからね。」
鼎「そのせいか、西洋中世ファンタジーというか、剣と魔法の世界というか、そういう世界観を舞台にした作品が圧倒的に多い気がするよね。」
逆沢「まぁ、それはそれで良い所も多いんだけどね。ゲームを遊ぶ側にとっても、予備知識をあまり必要としないというのはあるだろうし。」
鼎「いちいちゲームの中で改めて説明しなくても、暗黙の了解で通用する部分も多いよね。」
逆沢「ゴブリンが出てくればザコに違いないとか、ミノタウロスが出てくれば筋肉馬鹿に違いないとか、杖を持ったよぼよぼの老人が戦いを挑んでくれば魔法使いに違いないとか、色んな暗黙の了解があるわね。」
鼎「逆に、何の事前の説明もなく、いきなりゴブリンがラスボス級のダメージを与えてきたり、ミノタウロスが友好的かつ知性的に話しかけて来たり、杖を持ったよぼよぼのお年寄りがマッスルパワーを前面に出して襲いかかってきたら怖いよね。」
逆沢「それは怖すぎる!! ってか、そんなお約束を無視しまくるゲームは、危なすぎるわ。」
愛原「モンスターによって、銀の武器しか効かないとか、知性が低いとか、色んな性質があるが、その多くはいわゆるよくあるデフォルトの世界観に準拠である場合が多い。無論それは分かり易いという大義があるからこそ、許される事なのはいうまでもない。ウンディーネという名の炎の精霊や、シルフという名のアンデッドが何の断りもなく出てきたら、プレイヤーは大混乱だ。」
逆沢「亀井静香とか渡辺喜美という名の男性キャラクターが登場するようなものね。誤解を招くようなネーミングはやめろって事で。」
愛原「・・・それは、どうツッコミすればいいのだ?」
鼎「でもそうやって考えてみると、オリジナルの世界観を採用したシナリオというのは、実はなかなか難しいのかも知れないよね。」
愛原「100%のオリジナルというのはありえないだろうが、どこの部分でオリジナルを出すかという事になるわな。例えば【ジョジョの奇妙な冒険】シリーズならば、近代から近未来までが舞台というありふれた世界観ながら、スタンドというオリジナル要素を前面に出した事が、ヒットの一要因になったと俺は推測する。」
逆沢「こういうオリジナル設定の作り方や見せ方は、すごくうまいと思うわね。すごく勉強になるわ。うん。」
鼎「とすると、剣と魔法の世界というありふれた世界観を採用したとしても、どこか1点、大きなオリジナル要素を加える事で、すごいオリジナルシナリオに大化けする可能性もあるという事だよね。」
愛原「そうなるな。一番安直なのは、登場するキャラクターに個性やドラマをつける方法だが、同時にこの方法は使い古されていて、魅せるのは意外と難しいかも知れない。」
逆沢「キャラクターの個性に頼るよりは、むしろ魔法のルールとかでオリジナル要素を出した方が、楽な気もするわ。魔法のルールをオリジナルなものにすれば、ゲームシステム自体もオリジナルなものに出来て、一石二鳥な気もするし。」
鼎「オリジナルなゲームシステムを作ろうとしたがる製作者さんも、フリーゲームの世界では多いよね。」
逆沢「【言うは易し】だけどね。」
愛原「フリーゲームの世界では、いわゆるデフォルトの戦闘システムの作品が多すぎる事もあって、プレイヤーが食傷気味になりがちなのだ。その為、オリジナルの戦闘システムを採用したいと思う作者さんもまた、後を絶たない。」
逆沢「デフォルトシステムというのは、いちいちゲームルールを一からプレイヤーに説明しなくてもいいという利点もあるし、安定感もあるから、一概に悪いものとは言えないんだけどね。」
鼎「定番だからこその強みも、私はあると思うよ。」
愛原「ただ【システムもデフォルト、世界観もキャラクターもシナリオもありきたり】というのでは、魅力をアピールするのは極めて困難だからな。」
逆沢「うーん。とするとやっぱり、どこかでオリジナル要素は、やっぱ必要か・・・。」
鼎「プレイヤーをあっと言わせる仕様が、やはりどこかに一つは欲しいよね。」
逆沢「ただ、こういっちゃ何だけど、オリジナル要素が満載過ぎて、しょっぱなから訳分からなくなるゲームってのも、あるからねぇー。」
鼎「あ、確かにそれはあるかも。SLGには、そういうゲームがたまにあるよね。」
愛原「どのコマンドを実行したら、何が起こるか? このパラメータには、どんな意味があるのか? そういう説明が不親切なゲームは、ゲーム画面を見ただけで、思わずドン引きしてしまう事は確かにあるだろうからな。」
逆沢「SLGでもSRPGでもRPGでも同じ事だけど、いきなり特殊能力をたくさん持ったキャラクターが何人も出てきても、プレイヤーがついていけない事は確かにあるだろうからね。」
愛原「基本ルールを覚えていない内から、【特殊能力】という名の応用ルールを、いきなりたっぷり詰め込まれても、頭が混乱するだけだからな。オープニングで、いきなり年表が登場するくらい、プレイヤーの頭をパンクさせる行為といわざるを得ない。」
逆沢「オリジナルシステムは、その説明が丁寧じゃないと、その面白さがプレイヤーに正しく伝わらない事もあるからね。」
愛原「実は俺も、苦手なんだけどな。ルールやシステムの説明というのは・・・。」
逆沢「ま、作者は自分の作ったルールやシステムを熟知しているから、その自分が知ってる事を、いちいち改めて他人に説明し直すのが、面倒くさく感じがちだからね。」
鼎「でもそれは、やっぱり必要な事だと思うよ。少なくとも市販のゲームの場合は、チュートリアルが充実していたりして、そういうのは丁寧な作品も多いし、そういう配慮はやっぱり必要だと思うよ。」
愛原「SRPGなどでも、最初からオリジナル要素満載の味方ユニット数が10種類も登場する事なんて、普通はありえないからな。プレイヤーが各ユニットの特徴を覚えきれなくなるから。」
逆沢「そんな事されても、各ユニットに感情移入もできないしね。」
愛原「オリジナルシステムを前面に出したいなら、やはり序盤の難易度を下げるか、チュートリアルをつけるか、最初にできる事を抑える(初期登場キャラクターを絞ったり、初期技能を絞ったりする等)か、何らかの配慮が必要だろうなとは思う。」
鼎「本当なら、何でも出来るような自由度の高いゲームは魅力的なんだけど、何をしたらいいか分からなくなるようなシステムやシナリオは、さすがに困るよね。」
逆沢「正解が一つしかないような、事実上の一方通行でも退屈だけど、何をしたらいいか分からないゲームは、数字が見えないマインスイーパをやってるみたいなもんだからね。」
鼎「それ、ただの【行き当たりばったり】だよ。」
愛原「オリジナルシステムにしろ、オリジナルシナリオにしろ、説明すべき情報は、小出しにすべきだと思う。いきなり説明を詰め込まれると頭が混乱するし、一切の説明がなければ、何をすればいいか分からなくなって、途方に暮れてしまうからな。」
逆沢「うーん。奥が深いわねー。オリジナルというのは。」
愛原「政治の世界と同じだな。変革的な要素が一切無ければ、食傷気味になってしまう。それではいずれライバルに引き離され、落ちぶれていくだけだ。だが変革と一口にいっても、何をしてもいい訳じゃない。多くの国民が置いてけぼりにされて切り捨てられるような、難易度の高すぎる変革は好まれないし、何がどうなってるのか分からないような、まやかしだらけの不明瞭な変革も困る。」
鼎「ただマップが広いだけで、どこに行けば分からないようなRPGなら、まやかしのオリジナル要素みたいなものだし、一部のコアなマニアだけ理解できたらいいというような、殿様商売のオリジナルシステムは、弱者切り捨て政治のようなものに置き換えられそうだよね。」
逆沢「逆に国民にも分かり易く説明されて、中身ある結果もちゃんとみえるような変革だったら最高ね。まぁ完璧なゲームがないように、政治の世界でも完璧までは求めないけど。」
愛原「ダム建設を推進すると言っても、中止すると言っても反発が出るように、全ての人を納得させるのは不可能だ。ゲームの世界もそれと同じで、オリジナル要素が濃いほど、プレイヤーの好みが分かれるのは仕方ないと思う。無論、オリジナル要素を理解してくれた上で面白いと思ってもらえなかったのなら、それは好みの問題だから仕方ないが、ちゃんと理解してくれたならばきっと楽しんでもらえたであろうプレイヤーまで、説明不足(あるいは説明下手)の結果、ちんぷんかんぷんになって逃げられたら、それはもったいない話だと思うんだ。」
鼎「せっかくデフォルト(保守)の枠を一歩踏み出して、オリジナル(変革)に挑戦したからには、やっぱりそのキモとなる部分の魅力を、ちゃんと理解して味わい尽くして欲しいよね。」
逆沢「まやかしとか、悪い意味でのオリジナル(変革)だったら、メッキがはげたら終わりだけど、ちゃんと中身のあるオリジナル(変革)なら、分かってくれる人には分かってもらえると思うしね。」