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愛原様のたわごと(10年6月13日)




逆沢「あれ? アンケートは終わり?」

愛原「ご協力ありがとうございましたという奴だ。前回、更新時にダントツで低迷していた【ウディタ以外で何か作れ】の票が割と伸びていたが、全体としてはほぼ横並び。ちなみにトップは【たわごとコーナーに専念すればOK】だったぞ。」

逆沢「訳、分かんねー?! このサイトの存在意義に関わるような、情けない回答結果ね♪」

鼎「上4つの設問の中では、どれが一番優勢だったの?」

愛原「ほぼ横並びなのでその意見だけを重視するという事は一切ないが、【来年以降になっても無問題】が他の3項目よりは1票リードってところだな。」

鼎「製作ペースとしてはどんな具合かなぁ?」

愛原「シナリオの展開が、ひたすら横にそれている感じ。俗に言うお使いイベントのようなものが、増えている感じだな。物語の背景がよりしっかりしつつあるという点では喜ばしいが、その代わり伏線が広がりすぎた感はある。まぁ伏線の全てを回収する必要があるような、大したゲームでもないのだが。」

鼎「今回はAVG(+SLG)という事で、戦闘システムよりもシナリオテキストの比重の方が、はるかに大きいんだよね。」

愛原「うむ。まさしくそんな感じだな。プレイする側からしたらそんなにプレイ時間は消費しないが、作る方からしたら、なかなか手間ではある。」

逆沢「このサイトはどちらかというと、国盗りゲームの制作率が高いけど、今回のシナリオはどんな感じ?」

愛原「AVGなので、国盗り要素はない。但し、世界観設定の上での話だが、日本国内に12のライバル勢力が登場する設定になっている。それぞれ関東・九州・東北・北海道・関西・東海・広島・岡山・新潟・石川・沖縄・高知に地盤を持っているのが特徴だ。ほとんどは名前だけの登場だけどな。」

鼎「あ、ちょっとネタバレ?」

愛原「アンケートでネタバレになっても構わないという票もそこそこあったので、ネタバレは嫌だという人にも配慮して、本編部分に差し支えない範囲で、ちょこっとだけネタバレしてもいいかなと思う事にした。まぁ今後も機会があれば、ちょこちょこな。」

鼎「関東や九州は地方全体を表す地名なのに、新潟や石川は県名でしかないような気がするんだけど。」

愛原「そりゃ大勢力と小勢力の差だから仕方がない。ちなみに【関東・九州〜・・・高知】は、公式ランクの高い方から順な。但し公式と実質が必ずしも一致しないのは、まぁ物語上のお約束だが。あと俺的には極めて残念な仕様だが、今回もPC陣営は【権力の犬】状態からスタートする。」

逆沢「また【権力の犬】陣営かよ。レジスタンスとか傭兵団みたいな身分からスタートして、権力の犬どもをガツンとやっちゃえばいいのに。」

愛原「俺もそう作者にブーブー抗議したし、作者も一度は乗り気になってくれたのだが、企画段階でこれはキツいと判断して、今回も涙をのんだそうだ。というわけでそろそろ今回のテーマに移行したいと思う。今回のテーマは【傭兵団】だ。」

逆沢「おおっ。傭兵団といえば、中世ファンタジーではおなじみの存在ね。」

鼎「本格的なRPGでも定番だし、SRPGなどでは主人公が傭兵団の隊長とか団員という設定も多いよね。」

逆沢「けど前回、マキアベリの話が出た時に確か、【傭兵団はアテにならない】という話もしてたわね。」

愛原「うむ。つまり今回のテーマは、実質前回の続きでもある。ファンタジーでの定番でもありながら、マキアベリらには激しく嫌われた傭兵団というのが、本来どういうものなのか? それを今回は少し掘り下げて語ってみようかと思う。」

鼎「21世紀に入った現代でも、一応、傭兵という職業は存在するよね。アメリカやイギリスでは傭兵団が企業として存在していて、イラクやアフリカなどでも活躍していると聞いた事もあるし。」

逆沢「傭兵団自体は、昔から世界のどこでもあるわね。三國志で有名な劉備軍団だって、蜀の国を建てるまでは、実質傭兵団そのものだったし。」

愛原「傭兵団というのは、誰かに雇われて初めて傭兵団として機能する。但し、彼らはいずれも非正規雇用だ。国家や村々によって正規雇用された軍団ならば、それは傭兵団ではなく騎士団・兵団・自警団といった扱いになるからな。」

鼎「正規兵と非正規兵の差だよね。」

逆沢「正規兵と非正規兵では、どっちの方がいいのかな?」

愛原「そりゃあ、立場によって異なる。ただマキアベリ的な発想で言えば、【戦う動機】が正規兵と非正規兵では全く異なる事になる。正規兵なら【我が国】とか【おらが村】を守る為に戦うのが動機になりやすい。近世以前においては、負けた国や村の民が奴隷にされたり、その地域自体が植民地にされたりする事も珍しくなかった為、正規兵は上からいちいち言われなくとも、必死に団結して戦う事が期待できたんだ。」

鼎「中世ヨーロッパなどで城塞都市が多かったのも、敵国や賊などに襲われないようにというのが理由みたいだね。」

逆沢「日本にはヨーロッパや中国では当たり前の形の城塞都市がないけど、これはやっぱ奴隷制度自体がなかったからかな?」

愛原「うーん。奴隷制度的な扱いがゼロだったとまでは言えないが、世界レベルでみれば、無いも同然ではあっただろうな。日本国内でも戦国時代自体は、何度も発生しているが、日本の戦争は【権力者同士の権力闘争】が理由であって、そこに住む住民を奴隷として売りさばくために、拉致する質のものではなかったからな。関ヶ原の戦いや大坂の役などの大きな戦が発生すると、近くに住む農民達は、それぞれの陣営が行軍している場面を、物見湯山感覚で観覧していたなんて話もあるぞ。」

逆沢「うへえー。日本人は昔からのんきすぎる。」

愛原「かつて鳥取城を守っていた吉川経家なんかは割と善政を敷いていたのか、農民達が義勇兵を気取って一緒に鳥取城にこもって羽柴軍と戦おうとしたなんて俗話もあるらしいが、そういう特段の事情でもなければ、農民は(無理矢理徴兵でもされない限りは)基本的に中立だ。支配者が織田家だろうが毛利家だろうが、自分達の生活さえ悪くならなければ、どっちでもいいというのが農民の本音だ。」

鼎「鳥取城の件は、羽柴軍の戦略という話も聞いた事があるよ。鳥取城の兵糧を早く減らす為に、羽柴軍が鳥取の農民の家に火をつけたり略奪しまくって、それで農民がどんどん鳥取城に逃げ込まざるを得なくなるようにし向けたという話らしいけど。」

愛原「そういう話も知っている。かつて播磨の三木城を落とすのに羽柴軍は2年もかかった。その反省もあって、鳥取城包囲戦では事前に米を買い占めたり、兵糧が早く減るようにし向けて半年足らずで落城に追い込んだらしいな。吉川経家は仁将ゆえか、羽柴軍にひどい目に遭わされる鳥取の領民を放っておけなかったみたいだが、それで彼らを城内に保護した事が、かえって有名な渇殺しになってしまったというお話だな。」

逆沢「それはそれで、えげつない。」

鼎「吉川経家さんは、自分が切腹する事と鳥取城の明け渡しを条件に、領民達を許して欲しいと羽柴軍に提案して、それを羽柴軍が受け入れた事で、鳥取城の攻防戦は終了したんだよね。」

愛原「まぁいずれにしても日本人の感覚としては、奴隷を獲得する為に住民をさらうという感覚がほとんどなかった為、大多数の住民にとっては、戦争は所詮他人ごとだった。だから日本の農民兵の多くは、非常に士気が低かった。それ故に織田信長は、士気が低い上、農繁期に動員できないなど扱いの難しい農民兵に頼らず、専業兵士を多く雇う方針を選択した。この方針は大当たりで、後に織田家は天下統一に向けて大躍進していく事になる。」

鼎「士気って、すごく大事だよね。織田家を最も苦しめた本願寺勢があれだけ強かったのも、宗教的な情熱があったからだと思うし。」

逆沢「守るべき物があるのとないのとでは、士気にそれだけ差が出るって事かな?」

愛原「日本人の感覚だと理解しにくいが、奴隷制度がデフォルトに存在した中世ヨーロッパでは、住民兵の奮戦はそれなりに期待できた。だが彼らも常に奮戦してくれる訳ではない。農民達は自分達の身を守る為には必死に戦うが、貴族の名誉や趣味の為に、わざわざ無用の遠征をするような戦いには、当然の事ながら消極的だった。」

逆沢「まぁそれも分かるわ。」

愛原「そこで傭兵団の出番となる。傭兵団員の多くは、何らかの事情により、耕す田畑を元々持たなかったり、商才がなかったり、とにかく定住して生活を営むのが困難な者が、最後に行き着く所的な色彩が強かった。」

逆沢「今のアメリカ軍みたいなものね。まともに就職先を見つけられないものが最後に行き着く就職先が海兵隊みたいな部分も、かなりあるそうだし。」

愛原「だが傭兵団は、誰かに雇ってもらって初めて傭兵たりえる。誰かに雇ってもらえない傭兵団はどうなるか想像がつくか?」

鼎「誰にも雇ってもらえないという事は、無職という事だよね。それで彼らが持ってる職業スキルというのは、戦う事だけだよね。」

沢「ああ、分かった。彼らはになるしかないって事ね。」

愛原「正解。賊と傭兵団は表裏一体だ。これに関しては中世日本の海賊集団でも全く同じだ。」

鼎「瀬戸内海などで大暴れした海賊集団の多くは、用心棒と海賊の二足のわらじを履き続けていたと聞いた事があるよ。」

逆沢「商船の経営者などに対して【守ってやるから、俺達を雇いな】と脅して、拒否したら、容赦なくその船を攻撃するってわけね。」

鼎「ヤクザみたいだね。」

愛原「そう。ヤクザそのものだ。彼らは用心棒代なり通行料などの名目でできるだけ穏健に彼らから収益を得ようと企むが、それがならないとみれば容赦なく賊としての本性を現す。彼らは【守ってやってる】事を必死にアピールして、義勇団を気取っているけどな。」

逆沢「中世ヨーロッパの傭兵団も、基本的にはそんな感じなのかな?」

愛原「状況にもよるけど、基本的な構図は同じだな。日本の海賊や暴力団と同じで、複数の傭兵団や賊が裏で談合している事も多いので、この辺はよく気をつける必要がある。例えば甲という国なり商人が、Aという傭兵団なり海賊衆の雇い入れを拒んだ場合、Bという山賊なり海賊が甲を襲う手はずになっている(単に看板が違うだけで、構成員が全く同じ事も多い)。一方、BはBでAと同じような経済行為をやっており、乙という国や商人が雇い入れを拒めば、Aに乙を襲わせる事くらいも平気でやる。」

鼎「その辺の構図は、大航海時代のヨーロッパでも、割とあったそうだよね。特定の国家公認の海賊衆というのが結構あって、その海賊衆はライバル国の商船などをいくら襲いまくってもOKというのが、当たり前のようにあったそうだよね。確か私掠船だったかな?」

逆沢「一応、タテマエ上、民間の船を軍隊が襲ってはいけない事になってるし、それ以前に正規兵がライバル国の船を攻撃すると、本格的な戦争になりかねないという懸念もあるからね。」

愛原「21世紀になっても、傭兵企業はそういう正規軍が手を汚す訳にはいかない汚い仕事をたくさん行なっている。この前のイラク戦でも、正規の米軍の立場ではとてもできないような残虐な行為を、傭兵企業は平気でイラクの民や兵に対してやっている。またアフリカにもたくさんの傭兵企業が派兵されており、政権側と反政府武装勢力側のうち、勝って欲しい方に彼らを送り込んで、密かに支援させているようだ。場合によっては政府軍と反政府勢力の両方に、別々の傭兵企業が派遣されている事もある。」

逆沢「何それ。同士討ちさせたいわけ?」

愛原「そうとも限らん。特にマキアベリの時代などでは、傭兵によってミリタリーバランスが保たれている事もままあったようだ。例えば甲国がAという傭兵団を雇ったとする。そうすると乙国もA国に対抗する為に、Bという別の傭兵団を雇う必要にさらされる。同様に丙国はCという傭兵団を雇うだろう。こうする事で、AもBもCも、実際には戦わずして定期収入を得る事が可能になる。」

逆沢「それ、雇う側にとってはひどいチキンレースねー。それ。」

鼎「でも傭兵団は、雇い主の命令には逆らえないよね。例えば甲国の君主が乙国に対して宣戦布告して、Aに先陣を切るように命令したらどうなるのかなー?」

愛原「簡単簡単。乙国側もこの日のためにBを雇っていた訳だから、Bに迎撃を命じる事になる。そしてAとBが八百長して、両軍に大した被害も出ず、引き分けて終わり。AとBが真面目に戦うのは、AとBの監視役につけた両国の一部の正規兵だけ。つまり正規兵だけが殺されて終わりだ。」

逆沢「それはひどい。そんな事にならないように、私が乙国の君主なら正規兵を前線に出して、A傭兵団を迎え撃ちたいと思うけど、その場合はどうかな?」

愛原「それじゃ何のためにBを雇ったか分からなくなる。正規兵を防衛に当てるなら、初めからBなどいらない事になってしまう。乙国としては、あくまで【守ってもらう】為にBを雇った訳だしな。まぁBとしては、戦わなくてもいいというなら、それはそれでもっと楽ちんだが。それにそんな事をしたら、もっと恐ろしい事になる可能性もあるぞ」

鼎「もっと恐ろしい事って?」

愛原「乙が正規兵を迎撃に出して、本拠地をがら空きにした場合、Bががら空きになった乙の本拠地を武力制圧してしまう可能性があるという事だ。」

逆沢「それ、ひどい裏切り行為!!」

愛原「そんなもん。かの劉備ですら、蜀乗っ取りの際にやった行為じゃないか? マキアベリに限らず、日本のことわざにも【ひさしを貸して母屋を乗っ取る】ということわざはあるし、中国の【兵法三十六計】にも同様の計略が記載されている。実際問題、傭兵というのは、雇い主が滅びそうになると、簡単に寝返るからな。」

鼎「どうせ滅ぼされる雇い主に今更義理立てして、巻き添えくっても損という事かなぁ?」

逆沢「それだったら、大切な戦力を温存した上で、さっさと次の雇い主を探す旅に出た方が利口って事になるのかもね。」

愛原「下手するともっとひどい事も起きる可能性がある。例えば甲国が乙国に滅ぼされそうになった場合、Aは甲国の君主の寝首をかいて、その首級を談合仲間のBにプレゼント。Bはそれを功績にして乙国の君主に報告し、その報奨金の一部をBがAに渡すという事も、ありえるからな。」

鼎「そんなのひどいよね。でもゲームの主人公を務めるような正統派の傭兵団なら、そんな事はしないよね。」

愛原「まぁそりゃあ、な。ただ今の日本の建設業界でもヤクザ業界でもそうだが、談合グループから外れて一匹狼で生き残るのは大変だ。仮にお前が正統派のD傭兵団を率いたとしても、この場合は、ABCの各談合傭兵団グループに警戒される事になる。そうなると何かのきっかけで、集団フルボッコに遭う危険性すらあるからな。」

逆沢「談合って、本当にどこでもあるのね。」

愛原「不愉快だが、今の世の中ですら、談合は普通に存在するからな。」

鼎「雇い主の為に、最期まで殉ずるような傭兵団ってのは、やはりないのかなぁ?」


愛原「タテマエとしては、どんな悪徳傭兵団も、契約の範囲で最後まで戦い続ける事になっているけどな。彼らが【なんとか義勇団】とか華麗なチーム名をつけるのも、宣伝戦略の一環だし。だが実際には、逃げ遅れて結果的に主君に殉ずる事はあっても、初めから玉砕覚悟で籠城し続ける事はほとんどない。劉備軍団のごとく、むしろ機を見るに敏でないと傭兵団は務まらない。そりゃあその国の騎士として叙任されたり、領主として土地を与えられたならば、実質的には正規軍もしくは独立勢力扱いになるから、死にものぐらいで最期まで戦っても不思議はないが。」

逆沢「日本でもいくつもの海賊が、独立大名やその配下として組み込まれていったけど、そうなった時点で、既にもう傭兵団扱いではなくなってしまってるって事ね。」

愛原「うん。土地や爵位をもってしまった時点で、実質的にその傭兵団は、その土地や地位を守る正規兵なり自警団に組み込まれてしまう事も多いからな。その傭兵団のリーダーがその土地や爵位に興味がなければ、彼らはまだまだ傭兵家業を続けていくだろうが、そうでなければ彼らはようやく定住できる地を手に入れる事ができた訳だから、今更傭兵家業に戻ろうとはしないだろう。」

鼎「あ、そっか。元々、傭兵団に所属していたメンバーの多くは、耕す畑も、物を作ったり売ったりする工房やお店も何もない、定住地を持たない人達の集まりだもんね。」

逆沢「苦労に苦労を重ねた結果、ついに定住できる場所を見つけてしまったなら、その場所で生活を維持できる限りは、その場所をなるべく動きたくないと思うのは自然かもね。」

愛原「日本の海賊にしろ、中世ヨーロッパの山賊にしろ、彼らの多くには根城がある。そこを守る為なら、彼らは正規兵のごとく激しく戦うだろう。だがそうでない限り、彼らだって命は惜しい。【金の切れ目が縁の切れ目】といわんばかりに、勝ち目のない雇い主からはさっさと逃げ出すし、場合によっては寝返りもする。談合もする。八百長もする。傭兵団の存在は抑止力にはなっても、いざ有事が発生すれば、彼らは勝ち馬につくべく、新たに冷静に計算し直した上で行動を決定するだろう。マキアベリが傭兵団に頼らない国防システムを強く説いたのも、以上の理由が背景にあると思われる。」

鼎「マキアベリは結局、傭兵団ではなく何に頼れと説いたのかなぁ?」

愛原「領民だ。ちなみにこの考えは、現代のヨーロッパでも普通に生きている。ドイツは何度他国に降伏させられても、日本のように他国に守ってもらおうなんて初めから思っていない。フランスもドイツの脅威から解放されるや、直ちに自主防衛力の立て直しに取り組んだ。ソビエト連邦に隣接する各国も、世界に点在するアメリカの同盟国も、決して自衛力を軽んじてはいない。フランスには外人部隊という名の傭兵部隊もあるが、これも名称は傭兵だが、実際の所はフランス国軍の管理下で厳しく統制されている。」

逆沢「逆に在日米軍の場合は、日本政府の手先になって動く見込みは、ゼロパーセントだからねー。もし彼らが日本政府の言いなりになって動くのなら、私なら尖閣諸島の各島に、人間の盾代わりに米兵を分散して配置しておいた上で、在日米軍海軍に領海警備もさせておくけど。そしたらアメリカ政府を参戦させたくないライバル国が、尖閣諸島海域をうろつくこともなくなるだろうし。」

愛原「日本の在日米軍は、ある意味。マキアベリが説くところの傭兵団よりはるかにタチが悪い。雇い主の指示通りに全く動かないからな。あれでは占領地を監視する目的で居座り続ける駐留軍と全く同じだ。そんなものを必要必要といい、感謝感謝といい続ける者の心情が、俺には全く理解できない。」

鼎「植民地にされたり、負けたら奴隷が当たり前だった歴史を持つ国の民とは、【自分の身は自分で守る】という意味の危機感が違うのかも知れないね。」

逆沢「日本人は、奴隷にされて海外に連れ去られたり、日本語以外の言語を強制させられたりした経験がないからねー(沖縄等除く)。むしろ【時の権力者の言いなりになっていれば、我が身は安全】という考え方で、千年以上やってこれたからねー。」

鼎「日本で傭兵団が発達しなかったのも、そもそも耕す田畑も定住できる土地も無いという【流浪の民】自体が、ほとんど発生しなかったからかも知れないよね。」

愛原「日本でも関ヶ原の戦いが終わったあと、仕える主君を失った浪人が多く出た時代はあった。そして彼らの多くが大坂の役に参戦した事で、65万石の小大名に落ちぶれていた豊臣家の元に10万もの兵が集まった事もあった。だがこういう例はどちらかというとまれで、彼らはその気になれば、適当な所に家を構えて生計を営むこともできた。」

鼎「どうして彼らは、山賊などに身を落とさずに済んだのかなぁ?」

愛原「日本は狭いから、そもそも山賊稼業を営むにしても、秘密のアジトが確保しにくい。また生半可な戦力だと、それを嗅ぎつけた幕府軍や各藩の直轄軍によって叩き潰される事が目に見えている。なので仮に悪事をやる事で生計を立てようとするなら、むしろ夜盗や追いはぎになる事が多かったように思われる。あと江戸時代初期の場合、農民の需要が非常に高かった為、浪人が農民に転向したいと言えば、それは多くの藩にとって大歓迎だった。特に120万石の大藩から30数万石の中堅に転落した長州藩(毛利家)の場合は、財政再建のために多くの武士階級を農民に帰化させてもいる。そのせいか長州藩の農民は、農民階級でありながら名字や家紋を持つ者もかなりいたそうだ。もちろん、他の藩でも名字や家紋持ちの農民はそこそこはいる。農民階級の全てに名字が無かったというのは大間違いだ。」

鼎「日本の場合は、流浪の民にならなくても生活ができたから、傭兵団が発達しなかったとも言えるって事かなぁ?」

逆沢「戦国時代だけ一時的に専業兵士が増えたのは、その方が出世の見込みがあったり、儲けが大きいってのもあっただろうけど、田畑が焼かれたり、主家が滅ぼされたりして、流浪の民にならざるを得なかった者が多く出たせいもあるかもね。」

愛原「バトルマニアでもない限り、命を賭けるような危険な商売など、誰もしたがらないからな。自国の民が傭兵団に入らずに済む国は、豊かで差別も少なく平和な証かも知れん。」

逆沢「なんか今回は、傭兵団のネガティブな部分ばかり強調した感じになってしまったわねー。」

鼎「実際には、冷たくない東京人や、面白くない大阪人や、体育会系でない九州男児もいるように、色んな傭兵団がいてもいいと思うけど。まして傭兵団は、中世ファンタジーの花形でもあるんだし。」

愛原「それはそう思う。ステレオタイプを強制するつもりはない。だが一方的な美化にも反対だ。仮にもしもその傭兵団が、崇高な理想を持っているのなら、その理想を高く掲げて、信念に恥じる事はしないで欲しいと思う。逆に、右手に銃を持ちながら【守ってあげる】といって用心棒代をせしめるようなヤクザな傭兵や、不祥事を起こしたり雇い主に危害を加えるだけで、本気で守る気もない傭兵は、むしろ主人公率いる正義の味方によって、たたきのめされるのが、お似合いだ。」






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