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愛原様のたわごと(10年8月21日)



愛原「相変わらず暑い暑い毎日で、正直たまらん。」

逆沢「冷房がますます心地良い毎日が続いてるわね。」

鼎「でもクーラーなどの空調機器の場合は、特定場所の空気を冷やす代わりに、別の場所にそれ以上の熱を放出するから、地球レベルではすごく逆効果なんだよ。ヒートアイランド現象も、お店や民家や自動車などが多く集まる大都市で最も起きやすいよね。」

逆沢「エアコンの室外機から排出されるドライヤー級の熱風を浴びると、それは嫌でも分かるわ。」

愛原「南極や北極の氷や太平洋の島々を語るスケールならともかく、そうではなくて日本国内の暑さに限っていえば、アメリカや中国のせいばかりにできないからな。かなりのパーセントで日本人の自業自得だ。」

逆沢「あー、せっかくだけど、こんなとこでブーブー愚痴ってても無駄無駄。みんな総論賛成各論反対状態だから。【温暖化ストップ】を叫べばそれなりには賛同は得られるかも知れないけど、【病人や高齢者などのいない家屋でのクーラーは、一日2時間以内でストップ】とか【3キロメートル以内の距離にあるお店で10キログラム以内の総重量の買い物をする場合、車の使用ストップ】とかいえば、ほとんどの人が絶対反対するに決まってるから。」

愛原「その程度の案なら、受け入れられる人も多そうな気がするが・・・。それなりに良心的な案のような気もするし。」

逆沢「無理無理。絶対無理。消費税を1%上げるよりも、ずっと難しいと思うわ。楽する事に慣れた平成の日本人に、昭和に戻れと言ってもそれは無理。」

鼎「せっかくだけど、お前だけやってろと言われて終わりだと思うよ。」

愛原「やれやれ。そういう話を聞くと田中康夫が長野県知事だった頃の公共工事議論を思い出すな。総論として【無駄な公共工事を減らせ】という世論の信託が田中康夫を長野県知事に押し上げた一方で、【オラの村の公共工事だけは減らすな】との信託を受けた県会議員達も多く当選して、ねじれにねじれたあの時の。」

鼎「全体の利益の為に他人をガマンさせるのは大賛成だけど、自分がガマンするのは絶対にイヤという意思表示そのものだよね。」

逆沢「温暖化問題も、まさにそんな感じね。【温暖化】に賛成という声はほとんど聞かないけど、だからといって自分が温暖化防止に協力する気はさらさらないというあたりが。」

鼎「公共工事の問題と同じで、一部の人だけが全体の利益の為にガマンにガマンを重ねてるのに、別の一部の人は一切ガマンしないというのでは、公平性が保たれないし、難しい問題だよね。」

逆沢「そりゃあ一部のお店だけが空調をほとんど効かせず、一部のお店だけがガンガン空調を効かせていうのでは、お客はガンガン空調を効かせている方へ流れてしまうだろうし、馬鹿らしくて公益重視なんて言ってられないわ。」

愛原「公共工事でも、似た事例はあるぞ。たとえば昭和49年に総理になった三木武夫はクリーンが売り物で、公共工事マンセーの田中角栄と激しく対立したが、その結果、三木の出身である徳島県は、高速道路が開通するのが全国で一番最後になってしまった。まぁ特定の政治家の影響というよりは、そういう政治思想を好む有権者が多いという裏返しではあるのだが。」

鼎「確か徳島県は、全国で唯一、電化区間の鉄道が一切存在しない県でもあったよね。汽車はあるけど電車は存在しないというか。」

愛原「平成に入った現在でも、徳島県は仙石官房長官などを輩出してるが、彼もどうみても財政健全化論者そのものだし、徳島県は伝統的にそういうタイプの政治家を多く当選させたがる土地柄みたいだ。だがその結果、【国家財政の事なんか気にしない。他の都道府県を後回しにしてでも、オラの街を先に発展させろ】というタイプの政治家を多く当選させる地方ばかりに公共事業が先に回ってしまい、徳島県はとにかく後回しにさせられていた傾向が感じられる。」

逆沢「清く貧しくを地で行ってるわね。徳島県。」

愛原「徳島県民は妙な所で真面目なのかどうか知らんが、実は高校野球の世界でも、私立を今まで一度も甲子園に送り込んでいないそうだ。だがその結果、全国から特待生をかき集めて強豪化している私立勢に、割と蹂躙されがちな有り様になってしまっている。」

逆沢「徳島県は、あのムヒのCMでも有名な池田高校を始めとして、甲子園での優勝経験6回、準優勝経験も6回という強豪県だったのに、寂しいくらいランクが下がっちゃった感じね。」

鼎「逆に北日本の高校の躍進が凄まじいよね。今までは【優勝旗が白川越えするのはいつの日か】と言われてたのに、2004年についに北海道が優勝旗を持って帰るのに成功したし。」

逆沢「北海道は、現在楽天で活躍中の田中のマー君とかの活躍が有名ね。そういや今年の夏の甲子園で旋風を巻き起こした福島県の聖光学院も、マー君と同じ兵庫県出身のピッチャーが活躍して、ベスト8まで勝ち上がってたわね。」

愛原「聖光学院は、2001年に0−20で大敗するなど、かつては相手校にしたらボーナスステージと言ってもいいくらいの弱小校だったのに、本当に強くなったもんだ。」

鼎「このままいくと、今まで一度も優勝旗を持って帰った事のない東北地方勢が、優勝旗を持って帰れる日も近い内に来るかもね。」

逆沢「逆に特待生を取る気もないというか、未だに公立一筋同然の鳥取県や徳島県はますます厳しい戦いを強いられそうね。まぁ鳥取県の場合は昔から弱いからともかく、徳島県の場合はかつて全国を震撼させていたくらいに強かった県だけに、余計に哀愁漂うものがあるわ。」

愛原「まぁこの辺は、美徳の問題でもあるからな。特に徳島県の場合は、かつての栄光があるから、余計に他県から傭兵を雇ってまで無理に勝ちたくないという発想があるのかも知れんが。ってかよく考えたら徳島県で野球部がある私立高校は、元々1個しかなかったか。」

逆沢「って、ちょっと待て。今回の話の流れはすさまじくおかしくない? まさか今回のテーマは【徳島県】なんて事はないでしょうね?」

鼎「昔、【大阪】をテーマに取り上げた事はあったから、確率としてはゼロパーセントではないと思うけど。」

愛原「まぁ徳島県は知名度の割にネタは豊富だから、やろうと思えば十分可能だが、実は今回もエンディング関連のネタをやる予定なのだ。」

鼎「えーと確か、前回は伏線の問題を取り扱って、前々回は【魔王が死んだら、それだけで平和で幸福な世の中が訪れるのか】みたいな話をしてたよね?」

愛原「今回は前々回の話の続きになる。テーマは【革命後】だ。」

逆沢「前々回のテーマと、まんまリンクしたようなテーマね。もっとも前々回は、ある意味で【勇者による革命のススメ】みたいな部分もあったけど。」

愛原「今回は、いざ革命を行おうとした事で噴き出す問題点などにも、スポットを当てたいと思っている。メインサンプル例として、大河ドラマの舞台にもなっている明治維新の時代を起用した上でな。」

鼎「明治維新は、既に末期症状にあった江戸幕府を、薩長の維新志士達が中心になって打倒した事で起きた日本最大の革命の一つだよね。」

愛原「そう。革命を起こそうとした場合、まず最初の障害となるのが【革命に抵抗する保守勢力】となる。」

逆沢「幕末の例で言えば、いわゆる佐幕派ね。幕府の要人は当事者だから当然として、他にも幕府に義理や愛着を感じている個人や団体も多いだろうし、幕府が潰れたら困る利権団体などもあるだろうし、他にも幕府の強大さを恐れて幕府の言いなりになっていたりとか、幕府に恩を売るチャンスだとばかりに幕府方についたりとか、とにかく色んな抵抗勢力がたくさん現われそうね。」

愛原「そういう事になる。これを何とかしようと思えば、革命推進派はあらゆる手を尽くしてでも、保守勢力の戦闘力に対抗できるだけの反保守派の頭数をそろえる必要がある。自民党を倒す為に、思想の異なる民主党と社民党と国民新党が連立を組んだようにな。」

鼎「実際に幕末の歴史でも、尊皇派は一枚岩じゃなかったよね。薩摩と長州は元々、禁門の変で戦争したほど仲が悪かったし。尊皇派でも開国派と攘夷派とでは最終目的が正反対だし。」

逆沢「彼ら尊皇派に共通していたのは、【もう幕府は駄目だ。幕府には政権の座を降りてもらおう】という一点だけだった感じね。」

愛原「そういう事だな。でも数は力なりだ。まぁそれでも最終的には保守勢力を打ち破り、いよいよ政権交代に成功した訳だが、次に課題になるのは政権運営の有り様だ。何せ新政権の面々は、元々一枚岩では無いわけだから。」

鼎「これも自民党が野党になってからの今の歴史と、意外とリンクする部分があるよね。」

逆沢「で、明治新政府の場合は、どうやって調整する事にしたの?」

愛原「幕府を打倒した頃には、攘夷派自体は既に弱体化していたから、この点は問題なかった。そもそも攘夷派が台頭した理由のメインは、【幕府の欧州列強に対する弱腰外交は許せねえ!】という一点だった為、その【にっくき幕府をギャフンといわせた】時点で、彼らのストレスはそれなりに晴らす事もできたし。まぁ厳密には、幕府自体は無血開城してしまった為、代わりに会津若松を血祭りに上げる事で、ストレスを発散したという方がより正解かも知れんが。」

鼎「会津藩って、平成の今の私達から見ると、ちょっと八つ当たりされ過ぎて可哀想な気すらするんだけど。」

逆沢「まぁ、嫌な上司にいじめられたストレスを、別の部下に八つ当たりする事で発散する奴もいるし、そういう感情もあったのかもねー。本当は幕府の連中をギタギタにしてやりたかったけど、大人の判断でそれができなくなってしまったから、代わりに会津藩が真の悪玉という事にして、徹底的にギタギタにしてしまったと。」

愛原「正義を気取る輩は、いつの世でも悪役を必要とするからな。幕府の無血開城を認めてしまった以上、幕府を真の悪玉にしてしまうと、それを許して和解してしまった自分達の正義とは何だったんだって事になってしまうし、どうしても代わりにギタギタにされるべき悪玉が必要になってしまったんだろう。」

鼎「会津藩があまりに可哀想・・・。」

愛原「俺もそう思う。まぁそれでも明治新政府が賢明かつ幸いだったのは、【欧州列強に対して弱腰外交をせずに済んだ】という事だろう。【欧州の先進的な技術を積極的に取り入れ、追いついてみせる】という論理が国民に広く受け入れられ、実際に治外法権や関税自主権といった不平等条約を撤廃させた事も大きく幸いした。こうなったらもはや誰も、攘夷だなんて言わなくなるからな。」

逆沢「そこは鳩山由紀夫政権とは全然違うわね。鳩山は、普天間問題でも簡単にヘタレて、国民の怒りと失望を買ってしまったし。」

愛原「もしも明治新政府が幕府同様の弱腰外交を続けていたら、きっと攘夷派も積極開国派もいつまでも黙っていなかっただろう。それでは何のための革命か分からなくなってしまうからだ。」

鼎「今の民主党政権と全然違うのは、何のための政権交代かがはっきりしていて、しかもその目的がちゃんと実現できた事だよね。」

逆沢「って事は、明治維新政権は、当時の日本国民にとってはユートピア並の理想の政権だったのかな? 庶民達も武士階級との身分差別がなくなって、欧州の豊かな文化が入ってきて、【ザンギリ頭を叩いてみれば・・・】なんて陽気な歌もはやってたらしいし。」

愛原「残念ながら、そうはならなかったのだ。革命が起きれば、当然ながらそれによって得をする者が出る代わりに、既得権益を奪われて損をする人も出る。そしてそれ以上に問題なのは、元々連立政権である為に、意見の一致が見られない場合、それが激しい対立になって現われるという事だ。」

鼎「社民党の連立離脱みたいな事が、もしかして明治維新でも起きちゃったのかなぁ?」

愛原「そんな生やさしいもんじゃない。代表的なのは西郷隆盛による西南戦争と、前原一誠による萩の乱だ。」

鼎「あ、それ。歴史で習った事があるよ。でも何で彼らは、戦争しなくちゃならないほど明治新政府と仲が悪くなっちゃったのかなぁ?」

愛原「西南戦争も萩の乱も、士族(かつての武士階級)の不満が爆発して起きたものだ。彼らは武士としての特権を奪われた不満と、幕府打倒の為に血と汗を流して戦ったにも関わらず、恩賞がほとんど得られなかった不満を、重ねて持っていた。」

逆沢「ああ、その気持ちは分かるわ。ザンギリ頭を叩いて喜んでいる連中の大半は、革命の過程で全然、血も汗も流してないのにいい目見てんのに、彼らはあれだけ頑張って大した見返りもなしじゃ、そりゃキレても当然だわ。」

鼎「でも薩摩武士が中心になってた西南戦争と、長州武士が中心になってた萩の乱では規模が違うよね。この差はどうしてかなぁ?」

愛原「これは薩摩閥と長州閥の革命思想の差が根底にある。長州の場合は、草莽崛起論(要するに【民衆よ、立ち上がれ!】という思想)を掲げていた吉田松陰の影響を強く受けており、元々、階級制度の廃止が思想の根底にあった。伊藤博文なんかも農民出身だったしな。だが薩摩の場合は違う。薩摩の場合は、あくまで薩摩武士が中心というか、ほぼ武士のみで維新軍が構成されていた。つまり薩摩側からすれば、武士特権の廃止は、ある意味では想定外の大事件だったのだ。」

逆沢「つまり薩摩と長州の連立政権では、実際には長州の政治的主張が優先的に通ってしまった形になっちゃうわけね。」

愛原「まぁ普通に考えても、維新志士の全員が大久保利通や木戸孝允のように出世できるはずがないからな。革命に成功しても、結局出世できずじまいという人間が多く出ても、それはやむを得ない。だがその切り捨て方が、あまりにえげつなかったから、彼らは怒って戦争まで起こしたのだ。そして彼らを切り捨てる事ができなかった西郷隆盛は反乱軍の盟主に担ぎ上げられ、同じく薩摩出身でありながら彼らを容赦なく切り捨てた大久保利通も、別の藩の士族グループに暗殺されてしまう。そして西郷と大久保を失った薩摩閥は、事実上、長州閥出身の伊藤博文グループに吸い込まれる形で、明治時代は以後進んでいく事になる。薩摩と長州の連立政権は、事実上、長州閥が薩摩閥を空中分解させる事で幕を下ろした感じだな。実際、長州藩を前身とした山口県は、全国でも最多の総理大臣を輩出し、今もその傾向は続いている。」

鼎「でもたくさん血を流して頑張ったのに、使い捨てにされちゃったら、それはやっぱり怒っちゃうよね。という事は明治新政府としては、彼らをもっと大切に扱うべきだったのかなぁ?」

逆沢「でも武士階級のような特権階級を、いつまでも残す訳にもいかないんじゃない? それじゃ幕府が政権を握ってた頃と何も変わらないし。」

愛原「薩摩や長州の武士階級は、今の政治で例えれば、自民党にとっての建設業界や、民主党にとっての連合と同じだ。敵対政権を倒すためには、彼らの積極的な支持が必要だが、彼ら自体はある意味で特権階級であり、彼らを維持する為には政府としても高いコストを払い続ける必要がある。で、明治新政府の場合は、もう幕府が復活する事はないと見たのか、かつて戦闘部隊として誰よりも活躍した武士階級を容赦なく解体してしまったという感じだな。」

逆沢「という事は、もしも民主党が自民党を完全に滅ぼすことができたなら、民主党も連合や日教組を容赦なく解体する日が来るのかな?」

鼎「でも自民党は、どれだけ長い長期政権を続けていても、なかなか最大の実働部隊である建設業界との縁を切ろうとしなかったよね。どれだけ国の借金が増え続けても。」

愛原「民主主義国家の場合は、選挙という最大のイベントがあるから、実働部隊を潰すのは勇気がいるだろうな。彼らがいるからこそ、選挙ポスターもくまなく貼れるし、選挙事務所も維持できるし、献金も集まる事を忘れてはいけない。あらゆる利権団体とつながりを持たない市民政党を一から起こすのは、想像以上に大変なんだぞ。」

鼎「でもこれってよく考えたら、すごく大きな問題だよね。いつでも政権交代が可能な民主国家の方が一党独裁国家よりも健全なのは間違いないけど、実は民主国家の方が利権団体との縁が切りにくいというのは。」

逆沢「でも仕方ないんじゃないの。市民派気どりの国民の多くは、特定の政党に献金もしないし、選挙活動の手伝いもしないし。選挙の手伝いから資金援助(場合によっては落選した場合、もしくは当選するまでの生活援助も含む)まで一生懸命してもらおうとすれば、相手にもそれなりの見返りを与える必要があるだろうし。」

愛原「一回や二回、選挙に負けて数年ほどニートになっても生活は大丈夫というセレブでもない限り、選挙に出るというのはなかなか大変だ。貧乏人でも政治家になりたければ、特定の利権団体を味方につけるか、特定の利権団体がバックにいる政党の協力をとりつけるかしないとなかなか厳しい。まぁ日頃から人脈作りに努力していれば、奇特なタニマチが現われて、見返りを求めずに色々手を貸してくれるかもしれんが。」

鼎「明治新政府の場合は、ある意味では一党独裁国家でもあったから、かつて自分達を支持してくれていた一種の利権団体も、バッサリ切ることができたって事かなぁ?」

逆沢「西郷隆盛らからしたら、バッサリ切られたって事になるんだろうけどね。」

愛原「ただ一党独裁国家というのは、やはり怖い。明治新政府の場合は、欧州列強との間に結ばれた不平等条約も撤廃し、富国強兵にも成功したが、こういう例はむしろまれだからな。むしろ歴史的には、独裁者が暴走する例の方がはるかに多いしな。」

逆沢「革命や政権交代の全てが、幸福をもたらすとは限らないからねー。」

鼎「それじゃ革命も、善し悪しって事かなぁー?」

愛原「ただ現政権がもう末期症状にあるという時には、やはり革命に踏み出す勇気が必要だろう。日本でも何度か【末期症状の政権】が出現した時代があったが、こうなったら【末期症状の政権が自然に立ち直る】事はほとんどない。戦国時代まで引き起こした末期室町幕府政権とか、欧州列強の言いなりになって危うく中国や東南アジア同様に植民地の一部に組み込まれる寸前まで日本を追い詰めた末期徳川幕府政権とか、太平洋戦争を引き起こした昭和戦前のファシズム政権とか、いずれも滅びるのが一日遅れたら、その分だけ国民が余分に犠牲になっただけのような気がするし。」

逆沢「革命の結果、良くなるか悪くなるかは分からないけど、それでもだからといって【余計に悪くなるかも知れないからといって、とりあえず末期政権のままで放置する】のが一番悪いって事かな?」

愛原「革命の結果、もっと悪くなりそうだと思えば、もう一度革命を起こすくらいの気概があってもいいと思う。室町幕府を滅ぼした織田信長が残虐でついていけないと思ったら織田信長を暗殺しちゃえばいいし、その後に政権を引き継いだ豊臣秀吉が隣国に戦争までしかけてこれはひどいと思ったらその政権も潰しちゃえばいいし、みたいな感じでだな。織田信長も豊臣秀吉もロクなもんじゃなかったから、室町幕府を復活させちゃえというのは、俺的には最も悪い選択肢に思えるしな。」

逆沢「お隣の中国では、漢王室復興を掲げて大活躍した英雄もいたりもするけどね。」

愛原「【末期症状の政権】を無理に維持しようとしても、タチの悪い奴に利用されるだけだ。末期の漢王室も董卓とかに好き放題にされてたしな。」

鼎「日本で政権交代が実現したのも、自民党政権自体が【末期症状の政権】だったせいかな?」

愛原「断定はしかねるが、今の自民党を見てるとそんな気がしてならんな。仮に自民党が政権復帰しても、それは【織田信長や豊臣秀吉が死んだ後、室町幕府を再興させる】ようなもので、第二の混乱かより緩慢な滅びに向かうだけのような気がする。何しろ今の自民党には、なぜここまで落ちぶれたかという反省も、膿をどけて生まれ変わる覚悟もなく、ただ民主党のオウンゴールを期待しているだけの情けない状態だしな。」

逆沢「相手のオウンゴールを待ってるだけの情けない政党なんか、いらんわ。そんなヘボ政党に、まともな革命なんかできっこないし。」

鼎「そもそも自民党は最初から、政権を取り戻したら革命を起こしますみたいな事は、始めから一言も言ってないよ。」

逆沢「でっかく革命するふりをして、外交問題も年金問題も財政問題も何ら変えようとしない民主党にもガッカリだけど、始めから変える気がない自民党はもっと論外だし、本当に困ったもんだわ。」

鼎「変えようとすると必ず(今まで既得権益を持っていた人など)色んな人からすさまじい反発を買うことになるから、それで及び腰になっちゃう気持ちは分からないでもないけど。」

愛原「ここが現実世界とファンタジー世界の一番の差だな。ファンタジー世界の場合は、名君と設定されたキャラクターが改革を実行すると、国民が喝采して実際に世の中が良くなるが、現実世界では大規模な改革をやろうとすればするほど、強い反発が起きるし、場合によっては血も流れるからな。」

逆沢「あれほど国民に支持されたように見える明治維新ですら、実は国内で大規模な内乱が発生するほど、大量の血が流れたしね。」

愛原「【不平等な世の中を、公平な世の中に変える】というごく真っ当な事をやるだけでも、今までそれで特権を享受していた人からの反発は避けられないからな。」

鼎「実は【みんなに愛される名君になりたい】と思う人ほど、大規模な革命は起こせないのかも知れないよね。革命を起こせば、きっと誰かからは激しく嫌われたり恨まれる事になるから。」

逆沢「場合によっては、今まで自分を助けてくれた味方すら、切り捨てなければならなくなる時もあるしね。」

愛原「俺は誰かを切り捨てるという考え方は苦手なのだが、たとえば苦難を共にしてきた戦友が特定の既得権益に固執していて、しかもその既得権益を残す事で世の中に害悪を与えることが分かっているなら、本当につらい決断を迫られる事になると思う。何とか別の形で功績に報いるからという条件で、その既得権益部分だけでも手放してくれれば一番助かるのだが・・・。」

鼎「まさしく、【総論賛成各論反対】状態だよね。よく考えたら幕末の維新志士達も、【幕府を打倒する】という総論部分ではまとまれたけど、自分自身に見返りがないどころか、マイナスになるような革命には、みんなそれぞれの形で抵抗したりしてた訳だし。」

逆沢「けど維新志士の多くにとって幸福だったのは、総論の部分のウエイトが、各論の部分のウエイトと比べてはるかに大きかった事ね。たとえば【弱腰外交を改めて強い日本を作る】という項目の場合は、それを実行する事で、どの維新志士も個人的に困る事はなかった訳だし。」

愛原「そうなのだ。ちなみにこの点は今の日本でも当てはまる。年金問題や財政問題や公共工事問題は各論のウエイトが大きい為、国内調整も困難が大きいが、普天間基地の移設問題に関しては、それをやられる事で直接生活に関わるような大迷惑を被る日本国民なんかいないんだから、断固としてやるべきだったんだ(当事者の沖縄県民の世論も移設反対で盛り上がっていたのだから、何の問題もない)。」

逆沢「でも幕末と違って、【アメリカに不快感を与えたら、守ってくれなくなるかも知れないから、アメリカにはできるだけ従順であるべきだ】という世論も、本州人を中心としてそこそこあるけどね。」

愛原「現在の日本は、相手が冷たい対応をして来たら、とりあえずご機嫌を取るべきという考えの持ち主が、外交レベルでも少なからずいるからな。世界の常識とは正反対といってもいいくらいだが。」

鼎「ほえ? そうなの?」

愛原「たとえば企業Aに毎月消しゴム100と、鉛筆100を交換する取引をしてたとしよう。で、こちらが契約通り消しゴム100をちゃんとAに送り続けているのに、相手の企業Aが来月から鉛筆80しか送れなくなると一方的に通告してきたら、お前らはどうする?」

逆沢「そりゃ激しく抗議する。抗議しても残りの20を送ってこれないというなら、取引をやめるか、こちらも送る消しゴムの量を80に減らして釣り合いをとるわ。」

愛原「そう。お前の主張が通常の取引というか、外交のあり方だ。だが弱腰外交の場合は違う。【来月から送る消しゴムを110に増やしますから、何とか鉛筆100を維持して下さい】と頼み込んだり、【いきなり80はきつすぎます。せめて90にして下さい。こちらは今まで通り、消しゴム100を納品しますから】みたいになるわけだ。」

逆沢「何それ? 馬鹿じゃない? そんな事を一度でも認めたら、相手は味をしめて、以後70に減らすぞ、60に減らすぞ、50に減らすぞと、無限に取引レートを下げてくるわよ。」

鼎「でも思いやり予算の額を始めとして、アメリカとの取引レートはまさにそんな感じになってるよね。【分かりました。上納金をもっと増やしますから、どうか日本を見放さないで下さい】みたいな感じで、無限に条件をつり上げられ中というか?」

愛原「幕末の徳川幕府もそんな感じだったから、維新志士達が怒ったのだ。治外法権を認めて、さらに関税自主権も認めて、味を占めたアメリカ以外の欧州の諸外国も、たかるようにして次々と徳川幕府に不平等条約の締結を強要してってな感じになってしまっていた。弱腰外交を続けていれば、相手が哀れみを感じてくれるなんて思ったら大間違い。逆に無限にたかられつづける事になる。」

鼎「でも明治新政府はそれを克服したんだよね。」

愛原「うむ。さすがに攘夷は無理なので、新たに条約を結ぶからには、こちらもそれ相応の対価を要求するみたいな感じで対応したみたいだな。当時の幕府は主にフランスから軍備を整えていたみたいだが、これを知った長州藩はイギリスに急接近して、幕府を倒す為の軍備を整えた。イギリスは長州藩の将来性に期待して、当時決して幕府以上にお金をもっていたはずのない長州藩を(実質的に)資金援助しまくり、これが幕府打倒の原動力となった。アメリカにもイギリスにもフランスにも言いなりで一方的に搾取されまくっていた幕府と異なり、長州藩は逆にフランスやアメリカを心の底で出し抜きたいと思っているイギリスの野心を利用して、イギリスから(実質的に)資金援助すらしてもらっていた訳だから、外交の巧みさが全然違う。」

鼎「歴史の勉強でも習ったけど、薩摩藩が勝手に巻き込まれた薩英戦争の賠償金まで、幕府は薩摩藩に代わって実質的に肩代わりしちゃったんだよね。幕府は他人の負債まで、払わされちゃってるというか。」

愛原「長州藩も実はイギリスやフランスの艦隊と一度戦争をしてるが、長州藩は逆に戦後処理の会談を通じて、こっそりイギリスを味方につける狡猾さまで持っていた。外交力が全然違う。長州藩が幕府を倒して、明治新政府の実質的な支配者にまで成り上がったとしても、至って納得だ。」

鼎「民主党も、長州藩並の外交力があったら良かったのに。自民党が末期の徳川幕府並のふがいなさしかない以上。」

愛原「全くだ。革命に必要なのは何かを、改めて感じさせる思いだな。民主党の場合は、外国の脅しにも負け、国内の利権団体による抵抗にも負けと、とにかくひ弱さが目立ちすぎる。ファンタジーの世界なら、ただ優しくて理想家なだけの為政者が善政を行なう例も多いが、現実世界ではそれに加えて、最後まで戦い抜く強い意思も必要らしい。」

逆沢「民主党の場合は、自民党を下野させるまでは本気で戦ったかも知れないけど、それからはすっかり骨抜きだしねー。」

鼎「まさしく【悪の魔王(民主党からみれば自民党)を倒せば、それだけで世の中が良くなる】と思いこんだら、アテが外れたという感じだよね。」

逆沢「しかもその魔王を倒したはずの勇者(民主党?)は、みんなにいい顔をしたいから、アメリカにも利権団体にもいい顔をして、バラマキだけを行なってって、なんか悲しくなってきたわ。」

愛原「俺は鬱エンドよりも、ハッピーエンドの方がずっと好きだ。世の中の事を分かった振りをして、ニヒルにただ傍観しているのは好きじゃない。今度こそ、気に入らない敵を倒す事しか才のない乱暴な勇者ではなく、敵を倒した後の事も考えられる、強い意思とビジョンを持った勇者に巡り会いたいものだな。」












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