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愛原様のたわごと(10年9月19日)






愛原「今日のテーマについてだが、キャラクターイメージについて少し考えてみたいと思う。」

逆沢「え? 今日は時事ネタとか製作状況とかの前置きはなし? てっきり菅政権の話か、ペナントレースの話あたりをするかと思ってたのに。」

鼎「けど、ある程度以上、有名な人については、大体キャラクターイメージというのは、やっぱりあるよね。」

逆沢「【田代まさしイコール覗き】とか【鈴木宗男イコール疑惑の総合商社】とか【草g剛イコール全裸で公園で泥酔】とかね。」

鼎「えーと。でも私からしたら、草g剛さんといえば地デジ大使というイメージの方が強いかも。」

愛原「てか逆沢は、何でそう犯罪行為ばかりいちいち取り上げるんだ?」

逆沢「やっぱ犯罪行為が一番、イメージに残りやすいでしょ。他にどんなに良いことをいっぱいしても、犯罪行為で一回でも大きく報道されたら、そっちの方が絶対に大衆の記憶に残りやすいと思うし。酒井法子にしても、今では【イコール人気歌手】ではなく【イコールシャブ漬けアイドル】というイメージの方が、私的には分かり易いし。」

愛原「何とも、気の毒な話だな。まぁワイドショーの世界でも、結婚ネタよりも離婚ネタの方が賞味期限が長いらしいし、人間というのは、その人の良いところや幸せなところをクローズアップするよりも、その人の悪いところや不幸なところをクローズアップする方が、より賞味できる生き物なのかもしれん。」

逆沢「うーん。【他人の不幸は蜜の味】ってか? まぁ世間的に褒められた心理ではないと思うけどねー。」

鼎「正義を気取る人なんかも、不祥事や事件関係のネタは好きそうだよね。悪いことをした人を激しく非難する事で、自分がすごく良い人みたいに思いこめるからかも知れないけど。」

逆沢「そりゃあ草むしりをしたり、ボランティアに参加して善人を気取るよりも、世間で悪人認定された人を攻撃する方が、楽〜に善人気どりができるからねー。しかも悪人認定された人が不幸になっていく光景も楽しめて、二倍オトクという事で♪」

愛原「まぁ非難すべき人を非難する事自体は正しい。相手が強大だからといって、見て見ぬふりをする社会の方がよほど怖いからな。」

逆沢「実際には、弱い立場の人間が起こした不祥事に関しては、絶対に許せないと言わんばかりに叩き回るけど、強い立場の人間が起こした不祥事には極めて寛容な人も多そうだけどね。」

愛原「それは卑怯者のする事だな。だが今の逆沢の指摘は、実は今回のテーマにぴったりの素材だなとも思ったぞ。」

逆沢「ん? そりゃあどういう事? キャラクターイメージとどういう関係があるっていうわけ?」

愛原「実はキャラクターイメージというのは、万人に共通な感覚ではない。草g剛君のイメージを問われて、さっき逆沢と鼎が違うイメージ抱いたように、実は人によって差が出る事も珍しくないのだ。たとえばA君からみた甲君はすごく面白くて、しかも優しく気配りの利いた善人だけど、B君からみた甲君は弱い者イジメが大好きで、相手によってころころ態度を変える悪人というような事も、現実には起こり得る。」

逆沢「ああ、その例は分かり易いわ。つまり甲君は、相手によって自分のキャラクターイメージを大きく使い分けてる可能性があるわけね。」

鼎「でもそういう卑怯な人間は、万人から卑怯者って認識される恐れはないかなぁ?」

愛原「それは甲君の立ち回り次第だな。学校の中にもいなかったか? 担任の先生にはすごく優等生に思われてるけど、実は先生の目の届かない所では掃除もサボルし、宿題も他人のやってきたのを丸写しするだけみたいな奴とか。女生徒の場合はもっと露骨に、ぶりっ子キャラをうまく使い分けるような奴もいるかも知れない。」

逆沢「ああー、確かに要領がいいというか、小ずるい人間ってのは、どこにでもいるものだからねー。本当はすごく腹黒なのに、ある人の前ではとことんいい人を演じてるキャラってのは、確かにどこにいても不思議はないと思うわ。私はそういうゴマスリキャラは大嫌いだけど。」

鼎「そういう人は、うまく本性を隠してるって事になるのかなぁ?」

愛原「どんな人間にも、真面目な部分と怠慢な部分。優しい部分と残酷な部分がある。【本性=醜く汚いもの】と単純に定義付けるのは、俺はあまり好きじゃないけどな。」


鼎「でも【本音や欲望のままに行動している時=本性を見せている時】、【本音や欲望を隠しながら行動している時=本音を隠している時】みたいな分類はやっぱりできると思うよ。」

逆沢「親しい家族や親友の前では、自分の本音をあからさまに見せられるけど、学校や会社の中ではずっと仮面をかぶり続けているような人も、今の日本には案外多いかもね。」

鼎「とすると本性を見せている時というのは、その人を信頼している証って事になるのかなぁ?」

愛原「そうとも言い切れないだろ? むしろ嫌いな人間に対してだけ、露骨に本性を見せる人間も多いと思うぞ。好きになって欲しい人間に対しては、自分を少しでも【いい人】に思わせる為に、自分を偽って表現する人間も多いだろうからな。」

鼎「あ、それはあるかも。好きな片思いの異性の前では、いつも以上に頑張ってみせたり、カッコをつけてみたり、可愛らしくみせてみたり、頼りがいがあるように装ってみたり、清潔感があるように装ってみたり、とにかくいつもと違う自分を見せようとしちゃう時はあるよね。」

愛原「学校の先生とか、会社の上司とか、自分よりも上位にいる権力者の前でだけ、従順な羊になる人も多い。人間というのは、【この人に好かれたい】とか【この人を敵に回したくない】という場合にこそ、本音を隠して巧みに立ち回るという事も多いものだ。」

逆沢「そんな事を言ったら、起きている時間のほとんどは、人間は常に本性を隠しっぱなしって事になっちゃわない?」

鼎「でもそれは仕方ないと思うよ。皆が皆、欲望のままに好き放題に生きていたら、社会はメチャクチャになってしまうだろうから。交通ルールを守ったり、ゴミの分別をちゃんとしたりとか、社会全体の利益の為に、皆が少しずつ自律心を発揮して譲り合ったり、気を配り合う気持ちってのは、やっぱり大事だと思うよ。」

愛原「その通り。そして鼎のいった配慮が、日頃からちゃんとできる人こそ、【優しい人】とか【いい人】とか【気配りのできる人】といったキャラクターイメージが備わってくるんだろうと思う。」

逆沢「つまりキャラクターイメージとは、その人が【どんな性格設定を演出しながら、普段から他人に接しているか】を表すものになるって事ね。」

愛原「そういう事。人間はある意味、誰もが俳優・女優といってもいい。実はお笑い芸人は、普段から天然で面白い人ばかりという訳ではない。むしろ普段は人見知りしたりするような性格の芸人さんも意外と多かったりするんだ。真面目で評判のC君だって、家に帰ったらゲームで何時間も遊んでいてもおかしくないし、普段から気が弱そうなD君が、実はネットの中ではすごく強気で乱暴という事もあるかも知れない。やたらどなりつけるタイプの嫌な上司のEさんが、実は家に帰ったら子煩悩で奥さんに頭の上がらないタイプという可能性もある。」

鼎「ネット弁慶なD君にしても、かかあ天下のEさんにしても、どっちが本性でどっちが仮面か、ちょっと分かりにくい気もするんだけど。」

逆沢「どっちも本性なんじゃない? ほら【強きに媚びて、弱きをくじく】タイプの人間も世の中には多いけど、こういうタイプは、【強きに媚びる】という臆病で情けない性格の部分も、【弱気をくじく】という残酷で攻撃的な性格の部分も、どっちもその人なりの本性にしか思えないし。」

鼎「ゴマスリ行為というのは、従順なフリをしてるんじゃなくて、その人なりの自己防衛本能が働いた結果に過ぎないのかも知れないよね。」

逆沢「つまりゴマスリの人というのは、必ずしも二重人格者ではなく、ゴマスリという属性をもった一重人格者であると解釈した方がいいのかもね。」

愛原「ゴマスリの人をゴマスリと正確に判断できたなら、その人は、人を見る目のある人という事になるのだろう。だがそのゴマスリ君の一面しか知らないが故に、ゴマスリ君の事を【いい人】と錯覚してしまう事はあるかも知れない。キャラクターイメージというのは、できるだけ多角的に人の性格を見破れる人でないと、大きく錯覚してしまう可能性があるという難儀な性質を持っていそうだ。」

逆沢「誰に対しても公平に接するタイプなら、その人の本性を見破るというか、その人のキャラクターイメージを想像するのは簡単だけど、相手によって仮面を使い分けるタイプは、その点でちょっと手ごわそうね。」

鼎「ファンタジーやドラマの世界では、みんなと一緒にいる時と、そうじゃない時で、異なるキャラクターイメージが現われる時もあるよね。」

逆沢「分かる分かる。人前では気丈に振る舞っているけど、一人になった所で悔し涙を流していたりみたいな展開は、いかにもありがちよねー。ベタ過ぎるけど、割とよく使われる手法というか。」

鼎「ツンデレ系というか、本音を見せたがらないキャラクターの定番だよね。」

逆沢「ワルを気取っているキャラがふと優しい一面を見せたりすれば、それだけで評価が上がる事もあるしね。」

鼎「逆に普段からいい人を演じているキャラが、冷酷だったり残虐だったり卑怯な一面を見せたりしたら、そのキャラの評価は確実に下がるよね。」

愛原「俺は、そういう演出方法は、個人的にあまり好きじゃないんだけどな。あくまで個人的に。」

鼎「ほえっ。何で?」

愛原「普段から日常的に人様に迷惑行為を繰り返している不良キャラが、たまにいい事をするだけで善玉扱いになったりしたら、普段から真面目に頑張っている優等生キャラが可哀想過ぎるではないか? 俺が優等生キャラの立場なら、【普段ずっと好き放題やってるくせに、おいしい所だけ持っていきやがって】とふてくさりたくもなるぞ。」

逆沢「うーん。気持ちは分かるけどねー。ただ普段から悪いことをしまくる人間が【いつも通りの悪さ】をするよりも、優等生キャラが【たまたま一回悪さ】をする方が、ずっとイメージ的にマイナスという事はあるからねー。自民党出身の政治家に金権疑惑が起こってもいつもの事で済まされるけど、クリーンが売り物の政党で、たまたま金権疑惑が起こると大問題になるみたいな例もあるし。」

鼎「女の人の中には【みんなに優しいいい人】よりも、【私だけに優しいいい男】の方が好きという人もいるけど、やっぱり【誰から見ても善人キャラ】よりも、【普段はワルに見えても、本当はいいところもあるキャラ】の方がカッコよく見えるのかも知れないよね。」

逆沢「みんなに優しい人にはひ弱なイメージがあるけど、私だけに優しい人の場合は、敵が現われた時にガツンとやってくれるだろうという期待感もあるのかも知れないけどね。」

愛原「【私だけに優しい、危険な臭いのする男】なんて、愛情の賞味期限が切れた途端に、DV男にしかならないんだけどな。それに俺なら、普段100悪い事をするけどたまに1良い事をする人間よりは、たまに1悪い事をしてでも普段100良い事をする人間の方が、ずっと上にしか思えないのだが。」

逆沢「ま、人間というのは、本質的に意外性を好むからねー。100の証拠に支えられた定説よりも、その定説を覆す1の証拠に支えられた新説の方を信じたがる人も多いしね。」

鼎「【普段はワルに見えても、実はいい人】とかも、滅多に見せない意外性の部分が強調された例だよね。」

愛原「このようにキャラクターイメージが、少しゆがんだ形でとらえられる事もある。」

逆沢「まぁ結局のところ、キャラクターイメージなんて人それぞれなんじゃないの? ある人から見たらいい人に見えても、別の人から見たら卑怯者にしか見えないって例は、世の中にはいくらでもあるわけで。」

愛原「まぁ、その通りだな。だがこれを架空世界。つまりドラマやファンタジーのキャラクターに当てはめると、少し話が違ってくる。というのもドラマやファンタジーの作者としては、あらかじめ善玉・悪玉は固定されてる場合が多いからだ。たとえばRPGによく登場するガラの悪い山賊は、大抵の場合、悪役。しかもあっさり倒されるべきザコと相場が決まっているわな。」

逆沢「まぁ、そりゃそうだ。モブキャラのくせに、変な意外性を発揮されても困るわ。」

鼎「つまり架空キャラの場合は、変な二面性がやたら登場しても困るって事かな?」

愛原「限度はあるだろうな。ドラマを盛り上げる為に、そのキャラの意外な一面を取り上げたい気持ちは分かるが、そういう場面はできるだけここぞの場面で取っておくべきだとは思う。でないと本人の機嫌や相手の人間次第で、態度がコロコロ変えるような浅薄な人間像になりかねない。まして重要性の低いキャラにまで、凝った性格設定はいらないと思う(元々、浅薄な人間という設定なら問題ないが)。

鼎「そういえば主人公とか、カッコいい系のキャラクターは、むやみに相手によって態度を豹変させたりする事は少ないよね。」


逆沢「単純にダサイからね。人によって態度をコロコロ変えまくるような人間は。その代わり、低年齢向きの漫画やゲームでは、どんな目上の相手に対しても、平気でタメ口をきく奴も多いけど。」

愛原「丁寧口調のキャラは、どんな目下に対しても丁寧口調。タメ口キャラは、どんな目上に対してもタメ口。言われてみたら、確かにそういう感じの主人公やカッコいい系のキャラは多そうな気はするな。」

逆沢「普段からタメ口のくせに、権力者にだけ丁寧口調になったら、なんか権力に媚びてる印象があるからかもね。逆に目下にだけ丁寧口調をやめても、それはそれで醜い印象もあるし。まぁ良くも悪くも、誰に対しても公平というか、自分のキャラクターイメージを変えないという点では、現実の日本人はとても彼らにはかないそうはないわね。」

愛原「誰に対しても、ありのままの自分でいられるという点では、確かに現実世界の日本人には真似ができそうにないな。うらやましくもある。ツンデレ系の場合も、事実上、相手からしたら本音がモロバレだがら、結局ありのままでいるのと変わらないし。」

鼎「架空世界の住人の方が、どっちかというと芯が通っているよね?」

逆沢「現実世界の人間の方が、それだけ複雑という事だろうけどね。意外性の範囲が違うというか。」

愛原「無論、ファンタジー世界の住人にも、意外性はあってもいい。意外な特技とか、意外な趣味くらいなら、意外な性格上の一面ほどのリスクはないから、少しくらいなら多用しても問題は少ないだろう。だが濫用はせず、ここぞの場面でうまくそういう部分は出したいものだな。」





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