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愛原様のたわごと(10年10月1日)





愛原「前回更新から2週間経つわけだが、外交関係のニュースは、もううんざりだ。」

逆沢「ああ、尖閣諸島で中国の漁船が日本の海上保安庁の監視船に体当たりかましてきて以来の、ゴタゴタニュースね。」

「まさしく【激動の2週間】だったよね。どうしてこんな事になっちゃったのかなぁ?」

愛原「とりあえず、一連の事件の動きを整理してみようか。まず漁船がぶつかってくる事件が起きたのは、9月7日。で、次に初めて中国側が動いたのが9月12日。この時点で初めて、中国側の外交担当委員が中国国内にある日本の大使館を訪れ、船員の釈放を求めた。でもって船長以外の船員の全員帰国を日本政府側が発表したのが9月13日。次に船長の拘留期限の延長を決めたのが、9月19日。中国側が本格的にブチ切れたのは大体この時からで、閣僚級交流の停止、日中交流関連の各種イベントの中止、レアアース輸出規制などの報復措置を次々と打ち出してくる。9月21日にはフジタの社員4人も拘束された。サイバー攻撃などもあちこちで見られるようになった。」

鼎「こうして時系列順に並べてみると、事件が泥沼にはまったのは、意外に最近からって感じだよね。」

逆沢「そういえば前回、たわごとコーナーを更新したのは9月19日だったわね。つまりこの頃までは、そんなには大問題に発展してなかったって事かな?」

愛原「まぁ相対的にはそういう事になるのかな? でもって第二の転機が訪れたのは、9月23日。日本の前原外務大臣がアメリカのクリントン国務長官らと面談し、この問題を話し合ったわけだが、この時、アメリカ側は日本に早期決着を強く要求してみせた。アメリカ側は口では【尖閣諸島でも安保条約は有効】といいながらも、同時に【尖閣諸島の領有権がどちらにあるかについての問題には、米国は関与しない】とはっきり言ってのけ、事実上、日本政府は、アメリカの援護射撃が得られない事を思い知らされる事になる。で、翌日の24日。早期決着を望むアメリカの意向をくんで、船長を釈放。同日、アメリカの国務次官補は、【正しい決定だ。事態が解決し、満足している】と歓迎のコメントを表明。しかし中国側は、軟化するどころか逆に日本側に謝罪と賠償を要求。もちろんフジタの社員なども拘留されたまま。で、それを受けてアメリカ側は、【早期決着を求めただけで、釈放しろと具体的に指示した覚えはない】旨の発言をする。で、今に至る。」

逆沢「つまり、日本はにっちもさっちもいかなくなって、アメリカにアイデアを求めてその通りにしたつもりだけど、全然、事態が解決に向かってないどころか、ますますえらいこっちゃ状態になってしまったって事ね。今では中国側のみが人質を保有している状態で、日本としてはほとんど強気に出れるカードすら失われてしまったし。」

鼎「一体、どこで歯車が狂っちゃったのかなぁ?」

逆沢「前のたわごとコーナー更新以降に、急速にぐちゃぐちゃになったって事は、やはり9月19日以降がカギなのかなーとも思うけど。」

愛原「おそらくそうだろうな。例えば9月14日に船員達が中国への帰国を果たした際には、中国国内は【中国の勝利!】という祝賀モードに包まれている。つまり中国側としたら、シナリオ通りにいった事になる。逆に9月19日の出来事は、おそらく中国が考えたシナリオとは正反対だったのだろう。そうでなくとも中国は、メンツを大切にする国だし、最近は色々と自信と実力もつけている。日本側が拘留期限の延期という形で中国相手に強気に出た以上、中国はナメられてたまるかって事で、それ以上に日本に強気に出てみせて、たまらず日本が白旗をあげてしまったという事なんだろう。」

鼎「一説には、中国側がアメリカのスタンスを試したという説もあるよね。」

愛原「確かにそういう記事も、ちらほら見たな。もしも日中間に紛争が発生した場合、アメリカはどう出るか? で、実際に試してみたら、やはりというかアメリカは中立を守って動かなかった。まぁ日米同盟を破棄されるとアメリカにとって大ダメージなので、アメリカ側も何らかのポーズは取ってくるだろうが、ポーズだけで実際には何も変わらんだろう。日本の外交力が地に落ちた点と、中国の外交力が世界に知れ渡った課程において、アメリカ側は何も動かなかった。今更、どうにもならん。アメリカ政府が【尖閣諸島は確定された日本の領域である。米軍はただ今より、尖閣諸島領域での常時パトロールを開始し、不審船は直ちに捕縛・もしくは排除する】とでも言ってくれない限り。」

鼎「なんか5月29日の記事であったように、やはり米中間には事実上の不戦同盟が成立していたのかなぁ?」

逆沢「アメリカは、自分よりはるかに格下の国にしか喧嘩は売らないし、その格下の国といざ戦争しても、実際に泥沼にはまりまくりだし、とても中国相手にガチンコでやれそうな気もしないけどね。」

鼎「結局、日本はどう対応すべきだったのかなぁ?」

愛原「自民党の谷垣総裁は、小泉政権時代に同様の事件が起きた時の対処方法を模範にして、【最初から逮捕したりせず、あの時みたいに国外追放に留めておけば良かった】という内容の発言をしていたな。」

鼎「でもその谷垣総裁の意見に対して、安倍元首相がカンカンになって批判してたよね。むしろ【逮捕した事自体が問題ではなく、安易に釈放した事が大問題だ】という方向で強気の主張をされてたよね。麻生元首相も、谷垣総裁の意見を弱腰と言わんばかりに公然と非難して、安倍さんの意見に同調してみせたし。」

逆沢「そういえば鳩山前首相も、【私だったら事件直後に、話し合えた】とかいって、現政権を批判してたわね。」

愛原「リングの下にいる者のビッグマウスにも、もう正直ウンザリだ。安倍も麻生も鳩山も、既に一度は政権を担当して、リングの上の戦いも体験した事があるくせに、よくそんなビッグマウスを平気で叩けると、逆の意味で驚いたな。」

逆沢「安倍は小泉政権時代には、終戦記念日に靖国参拝しなかった小泉を弱気と批判していたのに、政権の椅子に座ったらすぐに態度を豹変させたし、麻生も【さもしい】発言から簡単に一転させたり何度も前言撤回してるし、鳩山も普天間問題であのヘマやらかしたしねー。」

鼎「そういえば菅首相自身も、前回、小泉政権時代に同じような事件があった時に、当時の内閣が国外追放に留めた事を【弱腰外交だ】と批判していた頃があったそうだよね。」

愛原「リングの上に上がったら、どいつもこいつもすぐに臆病風に吹かれて借りてきた猫状態になるくせに、リングの下にいる時だけは亀田三兄弟ばりのビッグマウスだもんな。日本の政治家は、どいつもこいつも口だけ番長ばっかりだ。」

鼎「でも口だけ番長なのは、ネット界の住人もそうだよね。これだけ中国の威勢を見せつけられても、まだ上から目線で中国を軽く見てる人もかなりいるみたいな感じだし。」

逆沢「日米関係がもっと親密になったら、きっとアメリカは助けてくれるはずとか、中国は国際社会の批判を浴びて自滅するだろうなんてコメントもみた事あるわ。」

愛原「とんでもない他力本願ぶりだな。呪いで人を殺せると思ってる連中と同じくらいの楽観主義者なのか? そういう書き込みを平気でする奴は。」

鼎「でもこの尖閣諸島問題は、結局、どうすれば良かったのかなぁ?」

愛原「うーん。その質問にはあまり答えたくないな。正直、俺もここまで中国が強硬な姿勢に転換してくるのは予想外だったし、結果が出てから【あの時、こうしておけば良かった】と偉そうにいうのも、ちょっと恥ずかしい思いがあるからな。」

逆沢「ピッチャーの投げたボールが、キャッチャーのミットに収まってから、【あのボールは振っておくべくだった】とか【あのボールは、見逃しておくべきだった】というようなものだからねー。」

鼎「でも実際のところ、どの政治家も、問題が大きくなり始めてから、【国外追放に留めておけば良かった】とか【安易に釈放すべきではなかった】とか、色々責任追及をし始めたような感じがするよね。」

愛原「結果が出てから、【あの時、こうしておけば良かった】と批判する事くらいなら、誰でもできるからな。正直、今回、中国が採ってきた報復手段の過激さは、俺の予測を大きく上回っていた。結果論でいえば、谷垣総裁の意見を支持したくもなるし、既に一旦逮捕済みである前提で考えるなら、安倍元首相の意見を支持したい心境でもある。」

鼎「でも安倍元首相らのグループが提唱する強硬論は、すごく危険な気もするよ。アメリカの支援が期待できない以上、日本はますます中国の強硬論に押しきられて、よりみじめな外交的敗北を喫しかねない気もするし。」

愛原「でも今でも、十分みじめなのは一緒だ。8月21日のたわごとでも触れたが、弱腰外交を続けると延々とたかられ続けるのは、ある意味当然の話だからな。外交の世界は、【ウィンウィン(両方にとって益のある状態)】よりは、【オール・オア・ナッシング(完全勝利か完全敗北か)】の方がはるかに起きやすく、こちらが油断すると、ケツの穴の毛まで抜かれかねない。下手すると奴隷としてさらわれたり、何百年も植民地にされ続ける事も珍しくないからな。」

鼎「中国も、清王朝の時代に欧州列強に食い物にされ以降、今のような強国になるまで150年も、発展途上国としての屈辱を味あわされて来たんだもんね。」

逆沢「日本も、危うくその仲間入りさせられそうになってた時期もあったしね。」

愛原「外交というのは、本当に難しい。弱腰に臨めばあっという間に食い物にされるし、とかいって実力も打算もないのに、ただツッぱるだけでは、大日本帝国や北朝鮮のように孤立させられてしまう。」

鼎「距離感や立ち振る舞いの難しさを、しみじみ感じさせるよね。」

逆沢「戦後の日本は、アメリカの言いなりになる事で、繁栄の分け前と安全の両方を得ようとする、一種のスネ夫外交でやってきたけど、これもそろそろ限界みたいだしね。」

愛原「中国にとって北朝鮮が扱いにくい舎弟国家になりつつあるように、アメリカにとっての日本も扱いにくい舎弟国家になりつつあるのは、間違いないだろうな。日本の国益をアメリカが擁護し過ぎると、中国を過度に刺激する事になり、それはアメリカの国益にも反してしまうからな。中国が常に北朝鮮をかばいきれないように、アメリカも日本をかばいきれない時代に、そろそろ入ってきたという事かも知れない。そして北朝鮮が現在、世界から孤立しているように、日本もアメリカ以外の友達(?)を作らなかったツケが、これから色々出てきそうな気がする。」

逆沢「友達かー。そう言えば、日本にとって信頼できる国。お互いに助け合おう、守りあおうと思える国。そういうパートナー作りを、日本はよく考えてたら、何もしてなかった気がするわね。ただアメリカの言いなりになってたら、それで万事、大丈夫と思いこんでるフシがありすぎるというか。」

鼎「ドイツとかフランスとか韓国とか、そういう国は、特定の国だけに依存せず、とかいって孤立する事もなく、是々非々で独り立ちし続けようと頑張っているけど、日本はそういう、自分の頭で考えて、自力で難所を乗り越えていこうという発想が、確かに少なかった気がするよね。」

愛原「という訳で今回のテーマは【仲間】だ。友達仲間。仕事仲間。親戚仲間。色々あるが、よほど一人でいるのが好きか、あるいは自分一人で何でもできる人でもなければ、大抵の人間なら、仲間がいる(あるいは仲間を欲しがっている)と思う。」

鼎「仲間がいるというだけで、なんかすごく安心できるよね。困ったときに頼りになるとかそういう実利面だけじゃなくて、自分という人間を受け入れてくれている人間がいるだけで、うれしくなれるというか。」

逆沢「同じ趣味を持っている人とか、似た価値観や正義漢を共有できる人などが、いっぱい集まる空間にいると、自分が決して独りぼっちでも異端でもないと安心できる心理もあるわね。」

愛原「逆にサークルの中で、自分だけ血液型が違うとか、自分だけ見てるテレビのチャンネルが違うとか、そういう事があれば、何となく疎外感を感じてしまう事もある。だから仲間というのは、基本的に共通の何かがある人同士で結びつくケースがどうしても多くなる。」

逆沢「それは分かるわ。でも逆の場合もあるんじゃない? 例えば冒険者パーティーというのは、戦士・魔法使い・僧侶・盗賊といった具合に、一人一人の得意分野がバラバラの方が、お互いに苦手分野を補え合えてありがたいという事もあるだろうし。」

愛原「なるほど。確かにそれは言えるな。特にお互いの冒険者としてのレベルが同じくらいなら、なおベストだな。レベルがあまりに違いすぎると、レベルの高い側にとって、レベルの低い側が足手まといにしかならない事も多いからな。」

鼎「中国にとっての北朝鮮。アメリカにとっての日本も、双方の国力が違いすぎるというか、レベルが違いすぎる者同士のパーティーという風にたとえられそうだけど、これはどうかなぁ?」

逆沢「確かに同盟といっても、とても対等に守り合える関係ではないしねー。」

愛原「支配する者と支配される者の関係だな。会社でたとえるなら、上司と部下。雇う側と雇われる側。そんな感じかも知れん。同じ会社に所属しているという点では、共に仲間同士かも知れんが、間違っても対等に口が利ける関係ではないし、上位にいる側が一方的に、下位にいる側に命令したり解雇通告したりできる関係ともいえる。下位にいる側が上位にいる者の許可無くできるのは、仲間関係を解消する事(会社を辞める事)だけだ。」

逆沢「つまり仲間関係と言っても、必ずしも対等関係とはいえないって事ね。」

愛原「そういう事になる。似たようなレベル同士の者で組んだ冒険者パーティーなら、互いに立場は対等だろう。だが仲間間で極端にレベルが違う冒険者パーティーの場合は、下位の側に何らかのプラスアルファがないと、その仲間関係を維持するのは難しい。よほど楽しい性格をしてるとか、お金を持ってるとか、何でも言いなりになるとか、例えばそんな具合にだな。」

鼎「つまり日本の場合は、何でも言いなりになって、かつお金ももってたからこそ、アメリカとの仲間関係が維持できてたって事になるのかなぁ?」

逆沢「でもそれだったら、例えばアメリカとフランスの関係とかは、どういう形になるのかな? 確かにNATO加盟国同士という意味では、アメリカとフランスは仲間同士かも知れないけど、両国間の国力差は圧倒的なものがあるし、とかいって一方的に主従関係が成立している訳でもないし。」

愛原「フランスはフランスで、独自の人脈と武力を持っている。だからアメリカがイラク戦争をふっかけた時には、フランスはドイツやロシアと組んで、アメリカの横暴に異を唱える事もできた。フランスにしろドイツにしろロシアにしろ、自分単独でアメリカと敵対するのは無理だが、仲間となってくれる国がたくさんあるので、何でもアメリカの言いなりにならずに済んでいるんだ。もちろんフランスは、アメリカと組んでロシアやドイツに対抗する事もできるし、つまり必要に応じて是々非々で仲間を選び直せる状況にあるといえる。もちろんその代わり、フランスはドイツがピンチの時はドイツの、アメリカがピンチの時はアメリカを、それぞれ助けてやらねばならない事もある。」

鼎「日頃から人脈形成の努力をしていると、組む仲間の選択肢が増えるから、他国が無茶な要求をしてきても、対抗しやすくなるって事かなぁ?」

愛原「取引先が1社しかない企業と、10社ある企業では、取引の有利さも違ってくるだろ? 取引相手が1社しかなければ、その1社が無茶な値段をふっかけてきても、受け入れるしかない。しかし10社あれば、10社の中から最もよい取引条件を出してくる相手を選ぶ事ができる。もちろん10社全部との取引を維持しようと思えば、いつも条件のいい1社だけと取引を継続するのではなく、適度に他の9社にも仕事を回してやって、残り9社を怒らせない程度に関係を維持し続ける努力は必要だろうけどな。」

逆沢「ああ、その理論は、大抵の社会人なら、当たり前すぎるというか、当然の話ね。値段的においしい取引相手じゃなくて、たくさんの商品を一度に動かせる取引相手。逆にわずかな個数の取引でも面倒くさがらずに応じてくれる取引相手。急な取引でも頑張って間に合わせてくれる取引相手。難しい仕事でもやってくれる取引相手。そんな感じで色んなタイプの取引相手をもっていれば、いざという時にも何とかなる可能性も高くなるしね。」

愛原「逆に1社しか取引のない企業は、いざという時に大変な事になる。その1社に他の用事やトラブルが発生して動けない時もあるし、足元を見てくる時もあるだろう。だがその時に、今まで取引のなかった別の会社に泣きついても、高くふっかけられたり、質が悪かったり、なかなか思い通りにならない事も多い。困ったときだけ頭を下げてくるような一見さんに、いちいち便宜を図ってやる義理はないからだ。」

鼎「つまりフランスは、多くの企業とまんべんなく取引するタイプ。日本はアメリカという大企業の傘下に入って一社独占で取引するタイプって事になるのかなぁ?」

愛原「そんな感じになるな。無論、日本から見たらアメリカの独占的下請けでしかないが、アメリカからみた日本は、たくさんある取引相手の一つでしかないぞ。日本一つを切った所で、大して痛くもない。日本という下請けを維持する事で、中国というライバル企業との競争が不利に働くと判断したならば、アメリカは容赦なく日本を切り捨てにかかるだろう。」

逆沢「うーん。日本は、イギリスよりもフランスよりも、ある意味ではずっと格上なのに、随分となめられたもんねー。」

愛原「格上とか格下とかそういう問題じゃない。家族経営の個人商店でも手堅い所は多いし、逆に中堅企業でも、主要取引企業に取引を切られたら即倒産する例は多いからな。世界には100以上の国があるが、吹けば飛ぶような小国でも、手堅くやってる所は多いし、その逆も当然あってもおかしくないという事だ。」

鼎「日本は、なぜアメリカ以外の国との人脈形成を、おろそかにしちゃったのかなぁ?」

愛原「それに関しては、いくつかの歴史的転換期がある。まず1971年に起きたニクソンショック。アメリカは日本を騙す形で、勝手に米中国交正常化を成し遂げてしまった。これを受けて1972年以降、日本もアメリカの言いなりではない形での独立外交を開始する事になる。」

逆沢「ふんふん。例えばどんな感じで。」

愛原「まずほぼ独占的にアメリカ経由だった石油取引を改め、アメリカを経由せずに直接、中東から石油を調達するようになった。また日中国交正常化。対東南アジア外交の活発化。またアフリカ方面にも、日本は積極的に触手を伸ばすようになる。」

鼎「アフリカ方面といえば、日本は当時アパルトヘイトという人種差別政策を採って、国際的に大非難を浴びていた南アフリカにも積極的に貿易活動を展開してたよね。それで日本人は、南アフリカから名誉人種扱いまで受けたとか・・・。」

逆沢「それはあまり、褒められた例じゃないと思うけどねー。カネの為なら、非人道国家であろうと構わず取引を続けるという姿勢は。」

愛原「1980年代になると、マレーシアのマハティール首相は、ルックイースト政策(【日本に学べ】というある意味では、日本崇拝政策)を提唱するようになる。奇跡的な高度成長を成し遂げただけでなく、東南アジアにも積極的に友好の姿勢と投資を継続した日本は、この頃、東南アジア諸国から高い信頼を受けていた。もちろん日本もこの恩恵に預かり、東南アジアとの貿易で多大な利益をあげていた。」

鼎「確か、これらの経済進出の結果、バイクの事をホンダと呼んだりする国も出たそうだよね。」

愛原「マハティールは、今のASEANとは違う形のアジア同盟構想も持ち出していた。もしもこの同盟案を日本が受け入れれば、日本を盟主格とした東アジア同盟が誕生する事は間違いないようにも思われた。」

逆沢「でも日本は、それを受けなかったと。」

愛原「アメリカが強い難色を示したからな。まぁ当時既に、世界第二位の経済力を持つ日本が、勝手に東南アジア諸国を子分に持つ派閥のリーダーになって、アメリカの子分としての地位から独立しようものなら、アメリカのダメージは計り知れなかっただろうしな。」

逆沢「その同盟案を受け入れていたら、アメリカの言いなりにならずに済んで、対中国包囲網もできてただろうに、惜しいことをしたわねぇ。」

愛原「そして時代が進み、20世紀末頃から、ODA(政府開発援助の略。要するに発展途上国に対する寄付金とか融資金のようなもの)削減論が日本国内で巻き起こるようになる。」

鼎「今でもその流れが、完全に収束したとは言えないよね。発展途上国を援助するカネがあるなら、日本の借金を少しでも減らせとかいう声もあるし。」

逆沢「中国に対するODAをやめた件に関しては、私は全然反対しないけどね。」

愛原「対中国はともかく、他の発展途上国。特にアフリカ方面に対するODAを減らしたのはまずかったな。」

逆沢「ん? なんかまずい事になったのか?」

愛原「日本がODAを減らした代わりに、中国がアフリカ諸国にお金をばらまくようになった。これでアフリカ諸国が国際会議で持つ一票は、日本よりも中国を優先して投じられるようになった。またアフリカ諸国が持つレアメタルなどの取引権も、日本は中国よりも下位に回される事が多くなった。」

愛原「うーん。よりによって中国が今からいよいよ強大化していくタイミングに合わせて、ODAを減らしたのは迂闊だったかもねー。」

鼎「小泉政権時代に、ネトウヨさんとかがいっぱい、ODA減らせって大合唱していた記憶があるよ。」

愛原「次にイラク戦争。当時、イラクにとって日本は世界で一番の優良取引相手であった。そして日本からみても、イラクは最も頼りになる石油調達国であったはずだが、これがイラク戦争の勃発で一気に吹っ飛んだ。」

逆沢「ガソリンも、すごく高くなったわねー。あれ以降。」

愛原「さらに日本は、世界屈指の石油埋蔵量を誇るイランのアザデガン油田の権益も手放す事になる。2004年時点では油田の75%の権益を持っていたが、アメリカから圧力がかかって、ほとんど権益放棄。油田採掘可能になる直前で、突然、日本が契約破棄ともいえる形で一方的に投資を中断したので、イラン側は当然ながらカンカンに怒った。」


鼎「その日本がほとんど撤退しちゃった事で、その油田はどうなっちゃったの?」

愛原「日本がほとんど撤退した後も、イラン側は何とか頑張って2007年についに稼働にこぎつけたようだ。で、2009年にアザデガン油田の株式の70%を中国の中油国際公司という会社が買い取った。ちなみに現在、日本が持ってる株は10%だ。」

逆沢「何それー。日本は油田の大半を掘っただけで、油田の権益はほとんど中国のものっておかしくない?」

愛原「仕方ないだろ。日本唯一の友達であるアメリカ様が、油田の株を手放すよう、日本に強烈な圧力をかけてきたんだから。まして親米バリバリの小泉純一郎が、アメリカのお願いを無視できるはずがないからな。」

逆沢「あ、そうか。当時はまだ小泉政権の頃だったわね。」

鼎「でもなんか最近の日本は、アメリカの圧力やアドバイスに応じる度に、どんどん状況が悪化しているような気もするんだけど。で、その分、どんどん中国のパワーが増大しているというか。」

愛原「日本は、過去に何度も色んな国と仲良くなるチャンスがあったのに、その度に、最大の友達であるアメリカのお願いを聞き入れて、他の国と仲良くなるチャンスを放棄してきたからな。最大の友達であるアメリカ様が、【俺以外の国と仲良くするな】と圧力をかけてくるんだからしょうがない。」

逆沢「うーん。わがままな友達ねー。自分はいっぱい言いなりにできる友達をたくさん持ってるのに、自分以外の国と仲良くするなって、どこまでワガママが強いのよ。」

鼎「あ、でも、今年の3月に大西洋のマグロ獲りを規制する国際会議があったけど、その規制に反対する日本は、欧米の列強陣営を破って見事否決案を通したんだよね。まだまだ日本の国際的影響力も捨てたもんじゃない気もするんだけど。」

愛原「中国が、日本と同じ規制反対陣営に回ったからな。あれで組織票がどっと動いただけだ。日本のマスコミは、そんな事言わんけどな。ODAをけちった今の日本に、そんな発言力なんかあるもんか・・・。」

逆沢「うーん。悲しすぎる。ってか、そう考えると、日本のマスコミも、大概日本びいきが過ぎるわねー。正直に真相を報道して日本人を落胆させるのと、日本はまだまだスゴイぞ的な偏向賛美報道を続けるのと、どっちがベストかと言われたら悩む所だけど。」

鼎「自国をやたら賛美する報道というと、大日本帝国時代の大本営発表や、北朝鮮の報道番組を思い浮かべてしまうんだけど・・・。」

愛原「けど日本国内で、日本以外の国。特に韓国や中国の凄さを思い知らせるような報道をすると、すぐに売国マスコミとか、騒ぐ奴が出るからな。視聴率を考えると、日本を持ち上げ、アメリカの事も悪く言わず、中国や韓国や北朝鮮の事だけはしっかり悪く言う方が、やはり一番手堅いのかも知れないが。」

鼎「日米関係が悪くなると、アメリカが日本を守ってくれなくなるから、絶対にアメリカを批判すべきでないという意見の人もいるよね。」

愛原「だからといって、どんなにアメリカをおだてても無駄だけどな。今の日本は、世界から完全になめられている。脅せば何でも言うことを聞くとも、思われていそうだ。何十年も前からスネ夫外交を続けてきた日本が、今更いつもより余分にへつらった所で、何が変わるはずもない。」

逆沢「つくづく友達作り、仲間作りを軽視してきたツケの重さを感じるわね。一時期だけ、仲間作りに頑張った頃もあったみたいだけど、ここ十年ほどの間で、その仲間達とのつながりも、ほとんど切れちゃったみたいだし。」

愛原「中東やアフリカと縁を切ってしまったのは、経済的にも外交面でも痛かったな。日本はアメリカというガキ大将に脅されて、長年の友達にまで石を投げつけてしまった。その結果、怒った友達は、次々と中国という厄介なライバルの元に走ってしまう有り様(中東諸国は、総じてアメリカ嫌いなので、日本との縁が切れたからといって、彼らがアメリカの元に走る事はほとんどない)。フランスとの関係も、大の親日派として知られたシラク大統領の代にもっと親密にしてれば良かったのに、フランスが太平洋で核実験をしたのを理由に、(アメリカ世論に同調して)日本が散々フランスに抗議して以降、微妙になってしまったし。」

鼎「韓国との関係でも、盧武鉉大統領が就任した直後あたりは、すごく日本に対して親近感を表明してくれていたし、韓流ブームもあって良好だったのに、小泉総理がやたら靖国参拝を強行して、しかもネトウヨさんが一番大暴れしてた頃でもあって、メチャクチャになってしまったよね。」

愛原「盧武鉉は鳩山と似た思想で、アメリカとの同盟関係を見直す事を政権公約に掲げて大統領に就任した経緯の持ち主だから、アメリカには特に不快がられてた。盧武鉉のプランでは日韓が組んで、アメリカを牽制しようという案だったようだが、肝心の小泉がこれでもかという程、大量の投石を盧武鉉と韓国に浴びせてしまったからな。」

逆沢「うーん。日本と韓国の関係が、フランスとドイツの関係みたいになれれば、ようやく普通の是々非々外交が始められたかも知れないのに、小泉の奴。とんでもない事をしてくれたもんだわ。」

愛原「日本が潰されても、だからといって必ずしもアメリカが潰される事にはならない。一方、日本が潰されれば韓国にとってみれば、明日は我が身という事になってしまう。つまりアメリカは日本を必ず守る必要もないが、日本と韓国が同盟を組めば、どちらかが潰れたらもう片方だけの単独で持ちこたえられるはずもないから、結局、両者が力を合わすしか選択肢がなくなる。そういう意味でも、同盟というのは、互いの力が均衡している方がより望ましい。アメリカや中国といった強大な国に対抗するには、日本は韓国や東南アジア諸国と緊密に連携するしかないというのが、俺の考え方ではあるのだが。」

鼎「ヨーロッパでもEUという形で、アメリカやロシアと対抗しようという流れになってるし、そんな感じで考えればいいのかな?」

逆沢「でもここ数十年以降の日本は、向こうから握手を求めてくるたびに、相手に石を投げつけて追い返し、アメリカの歓心を買うという選択肢で、今まで長年やってきたんだけどね。」

愛原「だってアメリカ君は、【俺以外の国と仲良くするな。仲間を増やすな。】って、常に圧力をかけてくるから・・・。」

逆沢「うーん。アメリカの言いなりになり続けてもお先真っ暗だけど、今、アメリカと縁を切っても、他に友達のいない日本は孤立必至。これは大変な状況だわ。」

鼎「今から仲間を増やそうとすれば、どうすればいいのかなぁ?」

愛原「俺も教えて欲しいくらいだ。一昔までなら、奇跡の経済的復興を成し遂げた日本という事で、他国からは一目置かれ、放っておいても向こうから握手を求めてくる国はたくさんいた。また大日本帝国時代の歴史も、悪い一面ばかりではなく、中東などでは【アメリカ相手に世界で最も善戦した国家】として、一目置かれていた。だが今はそうじゃない。経済的には中国に抜かれ、弱腰外交ばかりしてみせるから、勇気もないだらしのない国という印象まで持たれるようになった。アメリカによるイラク侵攻日本がいち早く支持した時の、反米派イラク市民の落胆と失望は相当だったらしいしな。」

逆沢「とかいって、実力の裏付けのない強気外交は、北朝鮮の瀬戸際外交と変わりないというか、鳩山も前原も見事に失敗してるしねー。」

愛原「ケンカして、すぐに詫びを入れるような人間は、決して相手の顔にツバをはきかけてはいけない。相手を怒らせたあげく、こちらがボコボコにされるだけだ。尖閣漁船問題は、その辺の見誤ったという事かも知れん。強気外交を押し通すなら、別に勝たなくてもいいから、相手に【しんどい】と思わせる事が大事だ。かつてアメリカと敵対した大日本帝国・ベトナム・イラク・アフガニスタン、そして冷戦状況にある現在の北朝鮮も含めて、彼らはいずれも簡単には白旗をあげていない。フランスやドイツなどがアメリカと対等でいられるのも、【我々の背後には、たくさんの仲間がいますよ。あとアメリカをしんどいと思わせるくらいの抵抗はできますよ。】という暗黙の脅しが通用するからだ。」

逆沢「逆に今の日本は、アメリカにとっても中国にとっても、全然しんどくない相手に見られているって事ね。ちょっと脅したら、すぐに屈する事が分かっているから。」

鼎「逆に北朝鮮などの場合は、孤立しているとはいえ、アメリカや中国相手にも【しんどい交渉相手】と思わせる程度には、頑張れてるって事だよね。」

愛原「もし今の日本が北朝鮮の立場なら、貿易規制を少しでもかけられたら、1ヶ月持たずに全面降伏しそうだ。」

逆沢「てか、レアアースを止められたり、日本人社員を4人捕らえられただけで、3日持たずに白旗上げたし。」

愛原「しかも日本は、強大な相手に脅される度に、友人すら平気で裏切るような外交を続けてきたからな。こんな事を続けていては、日本を信用する国はいずれなくなってしまう。簡単に仲間を裏切り、簡単に共通の敵に降伏するような相手と、安易に同盟は組めないからな。」

逆沢「イラク戦争の時でも、フランスやドイツは堂々と反対してたし、韓国やポーランドなどもしぶしぶアメリカに従ってた感じだったけど、日本だけは開戦したその日の内に【いち早く支持】してみせたからねー。強者に対する迎合の早さだけは、さすがだけどね。」

鼎「でもその代わり、アメリカからは【日本は正しい判断をした】とほめられたよね。」

愛原「ほめられたからといって、なんの外交的利益もなかったけどな。安倍政権の頃には【賞味期限切れ(要するに、イラク戦争に支持を表明したという貢献は過去のものであり、それが理由で日本を優遇する事はない)】とはっきり明言される有り様だったし。安倍政権のエピソードとしては、拉致問題でアメリカ側が協力する代わりに、日本側も給油活動を始めとする様々な金銭的支援を確約した事もあったが、これも事実上アメリカ側のやらずぶったくりで終わったし。」

逆沢「ああ、拉致問題。過去にそんなものもあったわねーって感じね。確か麻生政権の時代にブッシュが【私は(拉致問題という問題が過去に存在した事を)永久に忘れない】とコメントして、事実上打ち止め宣言したんだったけか?」

鼎「ほんとうに日米関係は、主従関係もいいところだよね。信頼し合え助け合える仲間というよりは、不良がパシリを言いなりにして、しかもパシリに【グループを辞めたいなんて言うなよ。他の連中と仲良くなろうとしたり、他のグループに鞍替えを企もうなら、その前にギタギタにしてやるからな。】と脅してる感じにしか思えないというか。」

逆沢「で、他の国が日本に対して【お前、アメリカにパシリにされてないか。よかったらウチのグループに来ないか?】と誘われても、【僕はアメリカにいじめられてなんかいません。アメリカは僕を守ってくれているんです。アメリカは最高の友達です。君こそアメリカに逆らおうとしたら、どんな目に遭うか、覚悟してた方がいいですよ。】と言ってるのが、今の日本の現状と。」

鼎「仲間と言っても、色んな形の仲間がありそうだよね。」

愛原「【寄らば大樹の陰】ということわざもあるように、確かに強者とはなるだけ敵対せず、むしろ強者に守ってもらおうという考え方自体は、誤りとは言えない。しかし対等同盟と異なり、強者側は自分が損をしてまで弱者を守る必要性がないところがミソだ。RPGやSRPGでもそうだが、他のメンバーが皆レベル20くらいあるのに、一人だけレベル1の奴がいたら、扱いにくいだろう。もしもそのレベル1の奴が死んでもミッション上、何のペナルティーもなく、かつそのレベル1の奴が将来性もない大した事のない奴だったら、お前らはどうする? 使い捨てか、邪魔にならない所でひたすら退避くらいにしか扱わないだろう。」

逆沢「まぁ、確かにそりゃそうだ。」

鼎「逆に味方パーティーのレベルや実力がほぼ拮抗してたら、できるだけ一人の仲間も倒されないように頑張るよね。一人でも倒されると、それだけ戦況が苦しくなってしまうから。」

逆沢「なるほどね。言いたいことは分かったわ。ところで仲間と上手く付き合っていくには、どうやればいいのかな?」

愛原「双方の利害の一致。もしくは双方の価値観の一致があるのが望ましい。あと俺としてはあまり賛同したくない考え方だが、【共通の敵を持つ】という結束手法は、古来から最もよくみられる絆の深め方の一つだ。」

逆沢「ああ、小泉にしろ橋下にしろ、アジテーター系の指導者は、大体、仮想敵を作り上げて、仲間を集めたり、絆を深めたりするわねー。」

愛原「【俺の言う事を聞かないと、お前も抵抗勢力認定するぞ】とでも脅せば、ますます仲間が増えるだろう。抵抗勢力の部分を非国民に置きかえれば、ファシストのやり方とも同じになる。敵を作り上げ、言うことを聞かない相手も敵認定し、その敵を徹底的に痛めつけると言い切れば、震え上がる大衆も結構いるからな。」

鼎「カルト宗教とか、過激なテロ組織とかも、結構、結束は強いイメージだよね。」

愛原「市民権を得てない組織は、世間にバレたらひどい目に遭わされかねないから、互いに互いを守り合う為に、秘密を共有して陰に守り合おうとするからな。暴力団組織のような反社会組織から、ホモカップルのようなただ単に一部の市民から白い目で見られる不幸な人達まで、そういう傾向は大体あてはまる。社会から白い目で見られがち。あるいは後ろめたい仲間グループほど、実は意外と結束が固い傾向はある。昭和時代によくいた不良グループや暴走族グループも、よくつるんで行動してただろう。今ならいじめっ子グループとかに、たとえればいいのかな?」

鼎「外交レベルでいえば、日本は捕鯨反対派でもないし、キリスト教も信仰してないし、肌の色も違うし、欧米諸国とは共通の価値観が少ない分、どうしても利害で協力し合うしかないのかなぁ?」

逆沢「学校の友人グループに所属し続けて、なおかつ浮かずに済むように、多数派の見るアニメ番組をなるだけ見るように努力したり、共通のゲームをプレイしたり、児童ポルノ法案反対とかローゼン閣下万歳とかを一緒に叫んだりして、価値観がなるだけ組織の目指す方向とずれないように、努力しようとする人もいるけどね。それと同じように、日本人が欧米人の希望するような宗教や思想に迎合したら、ちょっとは彼らから見た好感度もあがるかも知れないけどね。」

鼎「自分を偽ってまで、無理に見たくもない番組を見て、仲良しグループに所属しなくても、私はいいような気がするけど。そういう時は是々非々でいいとも思うし、他にももっと自分にあったグループがあるかも知れないんだから。」

愛原「まぁ、学校の友人グループと違って、外交の場合は、価値観よりも利害が上位に来る事が多いから、その辺で考えてもよいだろう。例えば、中国の勢力拡張を嫌がってる点では、アメリカも同じなんだから、一方的に言いなりになるのではなく、もっとその点を強くアメリカにアピールしても良い。また日本がイギリス・フランス・ドイツレベルの実戦力と外交的駆け引き手腕を持てれば、彼らも日本に対して、ナメた外交ではなく、大人の外交をしてくるようになるだろう。脅し脅されといった脅迫外交ではなく、取引外交という形にな。実は中国も、マグロ領問題では日本と共闘するなど、利害が一致する範囲ではいくらでも結ぶ余地のある国だ。イギリスとフランスが何百年と冷戦(ライバル)状態を続けながらも、手を組むときはガッチリ手を組むように、それが本来の大人の外交だからな。日本は相手が強いか弱いか、もしくは今、友好的か敵対的かだけで判断する、幼稚なスネ夫外交を何十年も続けてきたが、そろそろそういう外交戦略は改めた方がいい。ヨーロッパ諸国がアメリカにもロシアにも中国にもべったりでないバランス外交をやってるように、アジアでもインドや東南アジア諸国や韓国などが微妙なバランスを維持して生き残っているように、やりようはあるはずなんだ。」

逆沢「一部のネット世論の中では、【韓国は世界で一番嫌われてます】とか断定表現で書き込んでいる人もいるけどね。」

愛原「世界で一番嫌われているような国から、国連事務総長が出るわけないだろうが。そう信じたいだけの妄想狂の意見は無視しろ。今の日本にとって必要なのは、問題意識をしっかりもって現実を受け入れ、その上で諦めず、理想像をもった上でそれに突き進む気持ちだ。妄想の世界にひたって、何もせず他力本願でい続けられるほど、今の日本に余裕はない。今の日本の外交能力は、北朝鮮よりもはっきりいってずっと稚拙だ。脅したら逆に脅されて、3日で白旗を上げる。何十年もかけて作り上げてきたアメリカ以外の国との友好関係や経済利権まで、やはり圧力を受けたら簡単に放棄する。もしくは裏切る。この二週間の間で、どれだけの国が日本に同情してくれた? どれだけ遺憾の声明をもらえた? ある意味、アメリカから侵略宣言を受けた時のイラク以下ではないか? 弱腰外交うんぬんにも失望したが、たとえ口先でも日本をフォローしてくれる国が全く現われなかった方が、俺からしたらよっぽと悔しいわ。」

逆沢「確かに、同じく中国から領土的な圧力を受けている国はいくつもあるのに、どの国も日本の立場を擁護してくれなかった悔しさはあるわねー。イラクもパレスチナも、それぞれ同情してくれる人や国はたくさんあるのに。」

鼎「日本は、南沙諸島領有権でピンチに立たされている東南アジア諸国に対して、何のフォローのコメントも入れてないし、フォローのコメントをもらえなかったのは当然なような気もするけど。韓国ともロシアとも、決して良好な関係とは言えないし。」

愛原「韓国なんか、日本がやられたら明らかに次は我が身なのにな。その韓国からすら、支援のコメントが得られなかったのは残念な限りだ。これがイギリスやフランスやドイツなら、いくら普段は強烈なライバル意識を持ってるといっても、そんな時にはきっと一致団結してみせるだろう。日本がいかに、自分と(軍事力や人的資源力的な意味で)同格・同境遇にある韓国・台湾・東南アジア諸国に対して、今まで相手を見下すというか、無礼な態度をとり続けていたか、その報いを思いっきり感じさせられたな。そして日本には、普段いがみ合ってもここぞの時には助けて合えるような同格の友人・仲間が、全くいなかった事も。」

逆沢「うーん。何か今回はちょっと、しんみりきちゃったわ。」

鼎「外国の皆さん。日本は今、友達や仲間をたくさん募集しています〜。もう裏切りったり見捨てたりしませんから、友達になって下さ〜い!!」
















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