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愛原様のたわごと(11年1月23日)





逆沢「また更新か? というか今年に入って、やたら更新頻度が高くなってない?」

鼎「今まで隔週がデフォルトだったのに、なんか急に更新頻度が上がった感じだよね。」

愛原「まぁそういうな。それとそろそろ元の更新頻度に戻る予定ではあるから、あしからずだ。」

逆沢「ってか、なんでここ最近だけ、更新ペースがあがっちゃってたわけ? もしかして作者が失業したか?」

愛原「勝手に失業させるな。というかむしろ忙しいくらいみたいだぞ。」

逆沢「はぁ? なんで忙しくなってるのに、更新頻度が上がったりするのよ。おかしくない?」

愛原「まぁ公開直後という事もあって、色々しゃべりたいネタがあったのが一つ。今後のスケジュールがなかなか安定しなかったのが一つってとこだな。」

鼎「て事は、今後の予定が、そろそろ煮詰まってきたという事かなぁ?」

愛原「うむ。実は続編の製作をあれからしばらく、地道に進めていたのだが、急遽予定を変更して、少し大がかりなバージョンアップをやることにしたのだ。」

逆沢「あん? 大がかりなバージョンアップ? もしかして大がかりなバグでも出たとか?」

愛原「違う違う。前回のたわごとコーナーでも言ったが、主人公に躍動感をつける為に、選択肢をあちこちに埋め込むことにしたのだ。はじめはお試し感覚で片手間にやってたのだが、やり出してみるとなかなか楽しい。その代わり、やたら時間がかかる事も判明してだな。」

鼎「選択肢をつけると、ゲームの印象もかなり変わってきた感じかなぁ?」

愛原「始めは【子供だまし】くらいにしか思ってなかったが、いざ作り出してみると、想像以上に雰囲気が変わってびっくりした。一度プレイされた方がもう一度プレイされたならば、多分【おっ!】と思うくらいの変化を感じてもらえるのではないかと思う。なかなかどうして【子供だまし】なんてものじゃなくて、結構自分でもびっくりしてる。アイデアを提案して下さった方には、本当に感謝の思いだ。」

逆沢「でもその代わり、思った以上に時間がかかりそうな訳ね。」

愛原「最低でも、一ヶ月はかかるな。」

逆沢「なんでよ。それ、どう考えてもおかしいでしょ。選択肢をつけるといっても、別にシナリオの分岐とかはないんでしょ? せいぜいセリフが一言か二言増えるだけで。」

愛原「俺も最初はそう思った。正直、片手間で作れるだろうなとタカをくくっていた。だが作ってみると違うんだ。はっきりいって想像以上にめんどくさい。どの選択肢を選んでも、シナリオが本来通りに進むように持っていく必要があるし、またそういう箇所をうまく見つける必要がある。だからといってプレイヤーが興味をひく程度には、選択肢の内容を充実させる必要もある。あとプレイヤーからすれば【選択肢をクリックして、一言メッセージが出るだけ】で何の芸もないように感じられるだろうが、作る方は選択肢の数だけのメッセージとつじつま合わせの作業が必要でだな。」

鼎「ゲーム作りというのは、見えない部分の労力がすごくかかるよね。」

愛原「うむ。多分、プレイヤーの方からすれば、なんでこんな小さな仕様変更で1ヶ月以上もかかるんだ?と思われるような展開になるとは思う。だが作り手からすると、真面目な選択肢からふざけた選択肢まで用意して、それぞれに対応させるのは決して楽な作業ではない。」

逆沢「で、その選択肢はただの雰囲気作りの為の飾りなわけ? それとも一応、意味はあるの?」

愛原「どの選択肢を選ぶかで、主人公のパラメータが少し変化するようにした。但しどの選択肢を選べば有利というのはない。選択肢ごとに異なるパラメータが増減するが、トータルで数値の変動幅は同じなので、好きなように選択してもらったらいい仕様にした。積極的な選択肢を選べば攻撃力が増えやすいし、知的っぽい選択肢を選べば知覚力が増えやすいみたいな感じで一定の傾向はあるが、どんなふざけた選択肢でも何かのパラメータは上がる(その代わり何かのパラメータは下がる)ので、プレイヤーの趣味で選んでもらえたらいい。」

鼎「変化するのは、主人公のパラメータだけかなぁ?」

愛原「マスクデータに好感度を追加した。で、この好感度が選択肢次第で変化するようにもなっている。これはクリア後のおまけに反映させる予定。あと各キャラの疲労度にもわずかだが影響する。あるキャラを喜ばすような選択肢を選べば、疲労度が少し下がって、その分だけ余分に働いてくれやすくなるみたいなノリだな。」

逆沢「結構、意味のある選択肢になりそうね。で、選択肢の数は?」

愛原「一応、本格的に作っているからな。100の大台には乗せたいところだ。だから1ヶ月はかかるってわけ。」

逆沢「おおっ。それはすごいっ! でもそれじゃ続編の製作はかなり遅れそうね。」

愛原「それは仕方ない。ああ、一応断っておくが、続編と言ってもセーブデータは今までのをそのまま使える仕様にする予定だ。容量が増えすぎた場合は、そうもいかなくなるだろうが。」

鼎「けどどうして、急にそんな大がかりな企画を、突然スタートする事にしたのかなぁ?」

愛原「まぁアンケートを通じたご意見の後押しもあったし。ただ前回のたわごとコーナーのアクセス数が2010年以降で、なぜかワースト2だったのが気になるが・・・。」

逆沢「うへぇっ。ワースト2。それって選択肢をつける企画は不人気って事じゃないの?」

愛原「そんな怖いことは言わないでくれ。まぁもっとも、1週間間隔で更新すると、大体アクセス数は少なく傾向はあるので、それも原因の一つだとは思うが。」

鼎「ここ最近は、ほぼ毎週のように更新してるから、その影響もあるとは思うよ。」

愛原「更新ペースが早すぎるんだろうな。ちょっと自重するか。」

逆沢「あはは。まぁそれもいいかもね。で、業務連絡はこの辺にして、今回もいっちょ、製作後記の続きでもやるか!」

愛原「今年に入ってまだ一度も時事ネタやってないんだが・・・。そろそろ時事ネタがたまってたまって仕方ないのだが。」

逆沢「あんたの事だから、どうせTPP(環太平洋経済連携協定)か年金か消費税の話でしょ。そんな小難しい話、やめなって。」

愛原「俺は【郵政民営化は改革の本丸】的なワンフレーズで国民を先導するような政治の方が余程怖いのだが。小難しくみえても、こういう問題を真面目に考えられないと、後でえらい目にあいかねんぞ。」

逆沢「んな事、言ってもねー。経済や税制関係のネタは、政治ネタの中でも特にネットユーザーには不評だから。下手にそんな話題をやると、本気でワースト更新するかも知れないわよ。」

鼎「イデオロギー関連かスキャンダル関連の話題なら、同意されるにしろ反感を買うにしろ、それなりに関心だけは引きつける効果はあると思うけど、経済や税制ネタは単純に興味自体もってもらえない事も多いよね。」

逆沢「新作でも、政治ネタはそこそこ入れてるけど、外交問題とかイデオロギー関係がほとんどで、経済や税制関係のネタはあまりなかった気がするわね。せいぜい芦屋のセレブ関連でちょっとだけ税制のネタを入れたくらいだったっけか?」

愛原「うーん。世論調査で【今後の政治に期待したいことは?】という旨の質問をすると、大抵【景気対策】が一番に来るのに、その割りにその景気対策に最も密接に関わる経済や税制に関心を持たない人が多いのは何でだろうな? 雇用問題にしたところで、経済政策や税制を抜きにして、抜本的な対策になるはずがないのに。」

逆沢「何となく小難しそうだからじゃないの? 一般の国民からしたら、【公共工事をバンバンやって、経済と雇用を刺激しろ】か【これ以上、無駄な事業で借金を増やして、将来にツケを残すな】くらいが限界って気もしなくもないし。」

愛原「年配の方ならともかく、若い世代なら大卒の比率も増えてるし、もう少し経済に興味を持っても良さそうな気がするが・・・。」

鼎「でもインターネットでながめてみても、経済問題を熱く語るページってあまり注目されない感じだよね。イデオロギーの話とか、公約違反問題も含むスキャンダルの話には、みんなすごく食いつきがいいのに。」

逆沢「あと外交問題も、比較的食いつきがいいわね。もっとも特定の国の好き嫌いを基準に物事をかたる人とか、ミリタリー関係にやたら偏ったものの見方をする人が多いのは問題だと思うけど。」

愛原「同じ外交問題でも、尖閣諸島の漁船追突問題とかにはかなり敏感な割りに、それよりももっと重大な問題のはずのTPP(環太平洋経済連携協定)に対するネットユーザーの反応の鈍さが、俺には全く信じられないのだが。」

逆沢「経済関係は、本当に盛り上がらないわね。本当はすごく重要な問題なのに。」

鼎「経済の話には無関心なのに、景気重視とか雇用重視という人は多いし。すごく矛盾してる感じだよね。」

愛原「という訳で今回は、製作後記ネタは一回お休みして、【武器を交えない戦争】をテーマにやってみたいと思う。」

逆沢「はい。アクセス数、ワースト決定!」

愛原「こらっ! 冒頭からそういうセリフは言うな!」

逆沢「でもどうせ、小難しい話になるんでしょ。わたし、そういうネタはパスだから。」

愛原「それは大丈夫。大体、俺の知能水準で小難しい話なんかできないから。安心して人の話を聞け。」

鼎「でもゲームとかの世界では、戦争と言えば、武力衝突を通じたものが大前提だよね。」

愛原「うむ。7lcw自体もそうだしな。」

逆沢「武力づくで敵の領土を奪い取る。もしくは憎い国を滅ぼす。気に入らない奴をやっつける。それが楽しいのよね。」

愛原「だが戦争というのは、武力づくでしか行なえないものなのか? いや、戦争という表現だから、誤解を招くか。ではこう言い換えよう。【自国を他国より有利にする手段として、武力を介した干渉】以外に方法はないのかと。」

逆沢「あー、なるほど。それが今回のテーマの本題になるわけね。」

鼎「7lcwでは、様々な計略イベントが登場してたよね。つまり謀略という方法でライバル国を弱めたりするのも、一つの方法だよね。」

逆沢「それを言ったら、景気対策イベントもたくさんあった気がするわ。色んな特区を制定したり、労働法を改正したり、税制度をいじってみたり、公務員関係の各種慣習を改めてみせたりみたいな感じね。あれ? よく考えたら、7lcwって、意外と経済ネタ多いじゃん。」

愛原「作者の趣味が反映されてるからな。」

逆沢「でも新作には、経済ネタがほとんど入っていないみたいだけどね。」

愛原「警察官には、景気対策について知恵を絞る必要自体がないからな。」

逆沢「設定ミスね。元高校生を主人公にするんじゃなくて、国会議員を主人公にしたら、経済ネタもいっぱい出せたのに♪」

鼎「あるいは井柴代議士あたりを超素質者に覚醒させて、無理矢理主人公パーティーに加入させたら、結構面白くなると思うけど、どうかなぁ?」

逆沢「国会議員が超素質者として覚醒!! ひいいっ! おっそろしい展開。でも見てみたい気もするかも♪」

愛原「おいおい。これ以上、話を脱線させるなよ。本題に戻れなくなっちまうじゃねえか。」

鼎「でもよく考えてみたら、計略イベントも景気対策イベントも、【状況を有利にする要素】ではあっても、【勝敗を決定づける要素】ではないよね。」

逆沢「相手を滅ぼしたら間違いなく勝利だと思うけど、相手を計略で痛めつけても、こちらを景気対策で強化しても、それで勝敗が付く事はないからね。」

愛原「ゲーム的な見方をした場合、【ゲームクリア条件】・・・つまり、勝利条件を何らかの形で設定せざるを得ない。が、現実世界では、明確な勝利条件が存在しない(もしくは決着をつけるのが困難。あるいは決着をつけない形で放置する方が利益が大きい)競争状態というのは多い。ていうかそもそも決着をつける必要がない事も多い。たとえばイギリスはインドを植民地として持っていたが、イギリス人がインド人を滅亡させようとか、完全にイギリス本土として組み込もうとした事はないよな?」

逆沢「そりゃ当然だわ。滅亡させたら搾取できなくなるし。本土の一部として組み込んだら、インド人にもイギリス人並の人権や生活レベルを保証しなくてはならなくなりかねないし。」

鼎「特に戦後では、世界的に人権意識がすごく高まっているから、こういう植民地的な考え方で、自国内の特定の地域を差別的に運用するのは難しくなっているよね。」

逆沢「先進国で植民地を持ってるような国は、現在どのくらいあったかな? 香港も今ではイギリスの植民地でなくなったし。」

愛原「アメリカは、今でもグアムを始めとしたいくつかの地域を、植民地として保有しているけどな。」

逆沢「え? グアムって、ハワイ州の一部じゃなかったの?」

愛原「グアムはあくまでアメリカの植民地。グアムの現地人には、大統領選挙への投票権もないしな。もっとも戦後の日本は、アメリカを素晴らしい国として日本国民に印象づけたいからかどうか知らんが、植民地という日本語訳をしてグアム等を紹介してないけどな。」

逆沢「へー、植民地って、21世紀にもまだ存在してたんだ。」

愛原「アメリカも日本も、表向きは植民地じゃなく非自治地域という名称なんだけどな。戦後、植民地解放特別委員会とかいう国連の組織が、そういう名称にしたらしい。」

鼎「グアムの人達は、アメリカからの独立とか、あるいは正式なアメリカ国民になるような形を望んだりしてないのかなぁ?」

愛原「それはグアムの人達の中でも、意見が一致しているわけではなさそうなので、何とも言えない。だが一般論でいえば、下手に独立して守ってもらえなくなるリスクや、より増長した要求をしてアメリカ本土の機嫌を損ねて、もっと扱いが悪くなるのを懸念しているような感じはありそうだ。」

逆沢「何、それ? 今のヘタレ日本国民の事?」

愛原「ともかく属国化とか植民地化というのは、下手に滅ぼしてしまうよりも、ずっと宗主国側からしたら合理的なシステムだ。だからアメリカも、イラクを滅ぼしてそこをアメリカの州の一部にしようなどとは絶対に考えないし。」

逆沢「奴隷解放以降の歴史の流れからして、特定の人種や階層の人を下に置いて、一方的に搾取する事が表向き許されなくなってるからね。」

鼎「でも強い国が弱い国を圧力で言いなりにするのは、OKって事なのかなぁ?」

愛原「今の世の中では、武力を交わす形の戦争は、よりしにくくなっている。やった所で、一方が一方を痛めつけるのが精一杯で、まして滅ぼす事など不可能だ。そういう意味では、【勝敗を決定づける】為に戦争をするのではなく、【より有利な状況を作る】為に戦争をやる形態にシフトしてしまっているといえる。そして単に【より有利な状況を作る】のが最終目的なら、何も必ず武器を交える必要はなく、計略イベントでも景気対策イベントでも、何でもいい事になる。」

鼎「下手に武力を行使すると、国際的な悪評も高まるし、自国も疲弊したりするから、むしろ武力以外の方法で、ライバル勢力より有利な状況に持っていく方がベストだって事だよね。」

愛原「そう。逆を言うと、アメリカはイラクやアフガニスタンだけじゃなくて、中国にも日本にも、無論他の国にも、常に戦争をしかけている状態といえる。単に武力という手段を行使していないだけで。」

逆沢「まぁそれを言ったら日本も、世界を相手に経済戦争をしかけて、その結果、今の日本があるとも言えるわけだしね。」

鼎「たとえば菅総理は、【平成の開国】とか銘打って、やたらTPPに積極的だけど、これって日本が武器を介さない戦争を勝ち抜く上で、やっぱりメリットの方が大きいのかなぁ?」

逆沢「経済界からの期待も大きいと言われてるわね。もっとも経団連を中心とした大企業が大きな声でそう言ってるから、いかにも経済界全体から賛同の声があるように錯覚させられちゃってるだけかも知れないけど。」

鼎「逆に農業関係者からは、強い反発の声があるとも聞くよね。」

逆沢「でも民主党政権は、その代替措置として農家への個別保証をやるとか言ってるけどね。つまり農家が作った米とかが売れなくなっても、一定の収入を国家が保証するって制度ね。」

鼎「それだったら、日本政府としてはTPPに積極的に参加しても良さそうな気もするよね。TPP参加国間での関税が0%になったら、日本製品をもっと海外に輸出しやすくなるし、逆に安い外国製の製品が日本にも入ってくるようになって消費者も助かるし、農家は農家で売れなくても一定のお金は入ってくるという事で。」

逆沢「輸出企業は売りやすくなって大喜び。日本国内の消費者も安いコメとかが入ってくるようになって大喜び。農家も税金で補填されるならまぁいいかって事ね。」

愛原「・・・・お前ら。甘い話に騙されて、変なベンチャー企業に投資しすぎて、いかにも破産さそうなタイプだな。」

逆沢「あん? あんたはもしかしてTPP締結反対派か?」

愛原「無条件に反対とは言わんが、かなり条件整備が必要だとは思っている。少なくとも喜び勇んで、ほいほい締結すべき類ではないと思っている。菅総理は平成の開国とか言ってるが、今のままだとペリーやハリスに脅されて不平等条約を結ばされた江戸幕府の二の舞になりかねないとすら、俺は思っている。」

逆沢「ああん? みんなが賛成してる時に一人反対して、偉くなったつもりでいるのか? はっ倒すわよ。」

愛原「おいおい。とりあえず聞け。たとえば5000円の米が今まで日本国内で売られてたとしよう。で、3000円の米国産米が新たに入ってきて、日本の消費者がそれに飛びついたとする。この場合、日本国民はいくらの損得が発生すると思う?」

逆沢「は? 2000円の得が発生して、それで終わりじゃない? ばっかじゃないの?」

愛原「違う。農家に個別保証する分を考える必要がある。例えば売値5000円の米が売れなかった場合に備えて、4000円の個別保証をしていたとしよう。すると税金から4000円を農家に支払う必要が生じる。そして税金と言っても、元は我々のお金という事を忘れてはいけない。つまり誰か一人が米国産米を買うごとに、米国産米関係者は3000円の収入を有むが、日本人側は3000円の代金と4000円の個別補償費を合わせた計7000円支払わさせられる事になる。」

鼎「つまり実際には、7000円払って、米国産米を買わされてるのと変わらないという事かなぁ?」

愛原「日本の農家を守るなら、そういう形になる。守るつもりがないなら、3000円で米が手にはいるようになるので、必ずしも悪い取引ではなくなるが、食糧自給率は国防の観点からいっても基本中の基本だからな。去年、問題になったレアアース問題と同じように、【食糧輸出止めるぞ!】と脅されたら、手も足も出なくなって、言いなりにならなくなってしまうリスクが一気に高まる。」

鼎「うーん。それだったら5000円で日本産米を買ってた方が、まだマシなのかなぁ?」

逆沢「でも貿易ってのは、トータルで考える必要があるんじゃない? 多くの輸出産業にとっては、関税撤廃のメリットは大きすぎるし。」

愛原「TPP加盟国の中で有力な輸出対象国は、元々アメリカくらいしかないだろ。参加予定国をよく調べてみろ。輸入のリスクと輸出のメリットをよく秤にかけて、検討しないと駄目だぞ。あとトヨタを始めとして、グローバル企業のほとんどは、現地生産を軸にしてるという点も忘れてはならない。たとえばアメリカ人向けに売るトヨタの車は、元々アメリカ国内で生産してるという感じだな。そうする事で、輸送コストも抑えられるし、関税も払わなくて済むようになるし。」

鼎「あ? ちょっと待って。関税って確か、他国で作られた製品を日本国内に持ち込むときにかかる税金の事だよね。それが0%になるって事は・・・。」

逆沢「もしかしてもっと人件費が安い国で作った日本車を、日本国内に持ち込んでも関税が0%になるって事?」

愛原「そりゃあ当然、そうなるな。輸送コストとの兼ね合いもあるので単純計算はできないが、発展途上国の人件費の安さと比べたら、輸送コストなど屁のカッパという事の方が多いから。」

逆沢「つまり高い人件費を要求する日本人を雇って日本国内で物を作るよりも、安い人件費で済む他国で生産して、それを日本に持ち込んだ方が得って事になりかねない訳ね。」

愛原「今までは関税という壁があったから、日本人向けの製品は、できるだけ日本国内で作った方が得な側面もあった。だがそれも中国や東南アジアの安すぎる人件費の力の前に負けつつあるのが、残念ながら今の日本の現状だ。そして関税が撤廃されれば、さらにその動きが活発化する可能性はあるな。」

逆沢「そんな事になったら、産業空洞化が進んで、ますます失業者が増えかねないじゃない。農業はガタガタになる。工場労働者もガタンと減る。たたでさえ借金地獄で就職難の日本なのに、そんな事になったら、日本は壊滅するわよ。」

愛原「そうなったら困るから、俺はTPPには慎重なんだ。経団連で中核にいるようなグローバル企業にしてみたら(世界を相手に商売しているという観点上)、何も未来永劫、日本に固執する必要自体ないから、(より商売がし易くなるという点から)TPPには大賛成だろうけどな。」

逆沢「そういえば今でもグローバル企業は、【法人税をもっと下げないと、海外に企業が逃げていくぞ】と日本政府を脅しまくってるくらいだしね。」

鼎「という事は、グローバル企業にしてみたら、【もし日本に留まり続けるメリットがなくなったら、いつでも日本から飛び出す用意があるって事かなぁ?】」

逆沢「そしてTPPに日本が加盟したなら、なおのこと、無理に日本に留まる理由もなくなるし、さらに法人税下げろとか圧力をかけてくる恐れがあるわね。」

鼎「日本企業なんだから、日本に愛着があると思いたいけど、そう信じるのは危険かなぁ?」

愛原「愛着と言うよりは、コストの問題だろうな。現実には、企業の国籍を変えるというのは(規模が大きな会社ほど)大変な作業であり、村上ファンドや2ちゃんねる経営母体のように人員規模の小さな会社ならともかく、そうでなければかなり難しい。世界規模でも大企業になるほど例が少なくなる。」

逆沢「つまり脅しに過ぎないと考えても差し支えないって事かな?」

愛原「ただ楽天などのように、英語を公用語にするとか言ってる企業は、少し危ういな。あと地方発祥でありながら、利便性などの理由で首都圏等に本社を移した経験のある企業もかなりヤバい。利便性や収益性を理由に一度故郷を捨てた前科のある企業なら、採算性次第でもう一度故郷を捨ててもおかしくないからだ。あと上場企業の中には、既に50%以上を海外投資者に握られている会社も多くある。こういう所も大概ヤバイ。」

鼎「そんな事を言ったら、有力企業のほとんどが危ないという事になっちゃうよ。英語を公用語にするという企業はまだそんなに多くないけど、首都圏に本社がある企業はかなり多いし、上場している企業もかなり多いから。」

逆沢「しかしこれは苦しい状況ね。法人税を下げないといったら、彼らは怒る。TPPを拒否しても彼らは怒る。でもそれらを丸呑みしたら、さらに彼らが海外に逃亡しやすくなる準備が整ってしまう。そして法人税減税などで日本の財政が破綻したら、間違いなく彼らは海外に逃亡するに決まっている。」

鼎「大阪夏の陣の直前のような空気だよね。堀を埋めないと言ったら徳川家康が怒る。でも言うことを聞いて堀を埋めたら、徳川家康が大坂城をより攻め落としやすくなってしまう。みたいな感じで。」

愛原「普天間問題でも同じだな。言いなりになったらますます状況が悪化するのは目に見えているが、言いなりになるのを拒否したら相手が怒るのも目に見えているみたいな感じで。もちろん正解は、(最後にうっちゃりを決める算段でもない限り)脅されても屈さない以外にはありえないが。一度でも脅しに屈すると、ますます防備をはがされ、逃げ道をふさがれた上にたかられまくって、ケツの穴の毛まで抜かれるのは、こういうヤクザな駆け引きの世界では常識だから。」

逆沢「ヤンキーがカツアゲする時の手口もそんな感じね。【とりあえず付いてきたら悪いようにはしない】とか脅されて、それに従って他に誰もいないような場所についていったら、ますます助けも呼べなくなって、状況が悪化するようなものね。あるいは小さな小ネタで脅されて言いなりになっていたら、いつの間にか大きな犯罪に手を貸すハメにまでなって、ますます脅されるネタまで増えて、抜け出しにくくなるようなもので。」

愛原「脅しに一度屈すると、【こいつは脅したら、すぐに屈するだろう】という事で、ますます脅迫されまくるようになる。普天間問題でも鳩山が強気だった頃までは、アメリカも中国もロシアもおとなしめだったのに、普天間問題で屈してから、どの国も日本に対して、たかるように態度を豹変させてきたからな。」

逆沢「なるほど。それで【平成の開国】の中身は、ペリーに脅されて不平等条約を結ばされた徳川幕府と大差ないかも知れないと言いたかったわけね。」

愛原「今からでも遅くはない。アメリカ相手に、普天間移転問題でも地位協定問題でも何でもいいから、一勝でもつかみ取れ。強大なアメリカにすら屈さないという印象を世界に与えることができれば、どの国も日本に対して一目置くように変わるから。」

鼎「TPPの問題も同じだよね。」

愛原「うん。TPPには魅力的な要素もあるので、単純に否定はしない。だがTPPが日本にとってプラスになるもマイナスもなるも、条約の細かい部分でどう決着をつけるか次第だ。逆を言えば、ここでもまたアメリカの主張を丸呑みするようならお話にならない。先日、アメリカのオバマと中国の胡錦涛が、ドルと人民元を巡って激しい応酬をして互角の戦いを演じたが、あれくらいの気概を菅政権はもって欲しいものだ。まともな国は、武器を交えずとも、全力で今日も戦争を頑張っているぞ。今の世の中の戦争は【決着がつかない】変わりに、【負けっ放しだと、無限に状況が悪くなる】危険がある。野球のペナントレースなら去年ビリで決着がついても、来年は平等な状態でスタートできるが、現実世界は、来年以降も今までの負け数が永遠に繰り越されるので、一度、状況が悪くなると取り戻すのはすごく大変だ。」

逆沢「中国でも、欧州列強の言いなりになったのが運の尽きで、取り戻すのに150年もかかったしね。」

鼎「でもよく考えたら、TPPで利益を得るには、円安でないと駄目だよね。でも日本政府は欧米各国の要請を丸呑みして、あえて円高で放置してるし。円高円安の問題ですらアメリカの言いなりの菅政権が、TPPを巡る交渉で、どれくらい強い攻撃力を見せられるか、ちょっと不安な所もあるかも。」

逆沢「普天間問題と同じで、相手の言いなりになるくらいなら、始めから交渉を決裂させた方が良い事もあるからねー。TPPの交渉も、下手に言いなりになるくらいなら、交渉を決裂させて不参加にした方がいい事もあるかもしれないし。」

愛原「アメリカや経団連の言いなりにならず、学生の雇用や、労働者の労働環境にも、もっと現政権は目を向けて欲しいな。一日本国民の立場でアメリカや経団連を操る事はできないが、政府だけは清き一票でそれなりに操ることができる為、国民としてはどうしても政府に期待する事しかできん。」

鼎「武力を交えない戦いに勝つには、どういう要素が必要かなぁ?」

愛原「そうだな。武器を交えない戦争に勝つには、おそらく知恵と勇気(粘り)と行動力(やる気)が必要だ。甘い言葉に騙されず、大局を見極め、より有利な落としどころを探る知恵。脅されても屈さない、あるいは簡単に諦めない勇気と粘り。そしてイニシアチブを取り、有利な戦況を作り上げて勢いで押しきるだけの行動力(やる気)だ。逆を言えば、始めから戦っても勝ち目がないとか思ってるようでは話にならん。まして徳川家康の言いなりになって堀を埋め立てたり、ヤンキーの言いなりになって助けも呼べない場所に移動したら、相手はこちらに温情を感じて、寛大に接してくれるだろうなんて思ったら、後でとんでもない事になるぞ。」












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