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愛原様のたわごと(11年2月5日)





愛原「悲報だ。大相撲で八百長が発覚した。」

逆沢「世間的には【うっそー】と言うよりは、【ああ、やっぱり】という感じみたいだけどね。あんたはどっち?」

愛原「2拓で迫られると困る。別に知りたくない事として、目を背けていたというのが偽らざる本音だ。」

逆沢「あん? もしてして、それ。配偶者が浮気してるみたいな空気を察知しながらも、それをあえて追及しないで、何事もなくこれまで通りやっていけたらいいなーと考えるような心境って奴?」

愛原「昼ドラの可憐な奥さんと同列に語られても困るが、たとえとしては間違っていないな。基本的に大相撲は好きなので、こういうネガティブな話題からは、どうしても目を背けたくなってしまう。そりゃ疑わしい部分を例に挙げれば、千代大海と琴光喜が現役大関だった時あたりは、八百長臭さ満点だと内心では思っていたが・・・。」

鼎「確か千代大海関は、角番回数の記録を持っていたよね。確か15回くらいだったかなぁ?」

逆沢「ここで負けたら大関陥落かって場面で、千代大海と琴光喜が対戦すると、どういう訳かピンチの力士の方が勝っちゃうのよねー♪」

愛原「・・・お前ら、妙に詳しいな。テレビでもそんな事は、一切報道してないのに。」

逆沢「そりゃあ私ゃ武人だしねー。まぁ何となく。」

鼎「私は一昨年までの名古屋場所で、いつも紺色の着物来て厳しい表情で、テレビがよく映る場所の枡席に座ってた女の人を知ってるよ。」

愛原「そっちのネタは、マジでやめろ!! 知ってても言うな!! ってか何でお前ら、そんなに大相撲に詳しいんだ?」

逆沢「さぁ? まぁ気にしない気にしない。でもついに、八百長の動かぬ証拠を突きつけられて、大相撲も終わったかって感じね。」

愛原「残念至極だ。俺の立場としては、どれだけ疑わしくとも明確な証拠がない内は、一切非難することなく、純粋にファンとして楽しみ続けたかったが、今後はそうもいかないかと思うと、正直悔しいものがある。」

逆沢「でも悪いことが表に出ない世の中よりは、ちゃんと暴露される世の中の方がいいでしょ?」

愛原「そりゃあ当然。誤解があるといけないからはっきり断っておくと、八百長が発覚した件については、俺は100%支持の立場だぞ。変な詭弁を弄して、当該の力士や大相撲協会を擁護する気もさらさらない。」

逆沢「そりゃ潔い。アンタが狂信徒タイプなら、【これはアンチによる陰謀だ】とか【この程度の事は大した事ない】とか【今回は初めてのケースで、今までは八百長はなかったはずなんだ】とか【今回名前が出た力士以外の大部分の力士はちゃんとやってるはずで、大相撲協会はむしろ被害者だ】とか【これは制度の不備が招いた悲劇だ】とか言って、徹底的に擁護すると思ったけど。」

鼎「新興宗教の信徒さんとか、特定政治家のシンパさんなら、教祖さんや政治家さんがどんな不祥事を起こしても、それでも支持をやめようとせず、徹底的に擁護したりするパターンが多いよね。」

愛原「あいにく俺は、狂信徒は嫌いでな。自分自身が狂信徒自身にならないようにだけは、特に自戒しているつもりなんだ。」

逆沢「でも残念という気持ちはあると。」

愛原「そりゃあ当然。【信じていたものに、裏切られた心境】という奴かも知れない。ガックリだ。」

逆沢「大半の人からすれば、【それ見た事か】って感想だろうけどね。」

鼎「でも政治の世界でも、ここ数年、そういうパターンが多いよね。」

逆沢「確かに。【郵政民営化は改革の本丸】とか【政権交代】とか、分かり易いキーワードを信じて、貴重な一票を投じてきたのに、裏切られる展開ばかりが続いてるわね。」

鼎「信じていたものに裏切られると、すごくつらいよね。」

逆沢「信じていた方がアホと言う気もするけどね。私に言わせれば。」

愛原「確かに俺も、郵政選挙の時は、そう思っていた。こいつらアホだなと。でもよく考えたら、俺も立派なアホだった。」

逆沢「まぁ自分がアホだと認めた分だけは評価してあげるわ。本物のアホは、狂信徒化して、絶対に失敗を認めず、自分の判断をいつまでも正しいと信じ続けて(もしくは詭弁を弄して言い訳ばかりして)、さらに状況を悪化させる人だと思うし。」

鼎「でもじゃあ賢明な人は、なるだけ安易に物事を信じないようにすべきって事かなぁ?」

愛原「いい質問だ。突発だが、それを今回のテーマにしてみようか? 今回のテーマは【信じられない者ばかりの世界観】だ。」

逆沢「つまり【人を見たら、まず疑ってかかれ】みたいな世界観のお話ね。」

鼎「なんか裏社会で生きる人達の物語などでよく登場する世界観だよね。」

逆沢「ハードボイルドなキャラとかシナリオにぴったりの世界観ね。」

愛原「ちなみにハードボイルドなキャラというのは、クールで感情に流さない性格のキャラの事を指す。彼らは、ちっぽけな怒りの感情、正義漢、倫理観などにも縛られたがらない。もちろん簡単に他人に踊らされる事など絶対にない。」

逆沢「硬派と置き換えても良さそうね。何となくカッコいいイメージもあるというか。」

愛原「だが彼らがカッコいいのは、あくまで物語の中だけと考えていた方が良い。というのも大半の人間は、ゴルゴ13のような冷徹な判断力も知性も行動力も身体能力も勇気もないからだ。我々凡人がハードボイルドを気取っても、良くて喜劇俳優かツンデレ。大抵は疑心暗鬼な天の邪鬼にしかならないと思った方がいい。」

鼎「要するに、【ただの疑り深い人】にしかならないって事かなぁ?」

愛原「豊臣秀吉級の陽気な英雄でも、権力を持つほど、人はどうしても疑り深くなる。中国などでも功臣粛正の例は多いだろう? 英雄と呼ばれる人ですら、猜疑心とはなかなか無縁にはなれん。それはハードボイルドなんてカッコいいものじゃなく、ただの疑り深く人を信用しない、ただの偏屈者だ。」

鼎「でも独裁者と呼ばれる人は、そういう人が多そうだよね。疑いだけで部下や民衆をどんどん粛正していくみたいなイメージがあるし。」

逆沢「アメリカの大統領も、疑いだけで一国を滅ぼしたけどね。つい数年前に。」

愛原「あれは疑いと言うよりは、戦争を仕掛ける大義名分を整える際に使用されたでっち上げでしかないような印象だけどな。まぁともかく、【人が人を信用できない状態】がどれだけ怖いかという事を、とりあえず認識してもらえばありがたい。」

逆沢「もし街を歩く他人の多くが、自分を陥れようとする詐欺師や、自分を傷つけようとする通り魔にしか見えなくなったら、おちおち安心して家の外にも出られないわね。」

鼎「逆にそんな【人を疑う事しか知らない】精神状態の人に街に出られても、怖いよね。なんか護身用のナイフとかを常に隠し持ってそうだし、ちょっとしたパニックやトラブルに遭うと、すぐにナイフを振り回したりしそうだし。」

愛原「極端に疑り深い人が社会に出ると、その当人はもちろんだが、その周囲にいる人間にとっても悲劇だな。」

逆沢「でも世の中に絶望した若者とかが、たまに凶器を持って街を歩く事もある世の中だからねー。」

愛原「だから人が人を信用できない世の中というのは、本当に怖いんだ。ただの凡人でも、社会に混乱くらいは与えられるし、そいつが権力者なら、より大規模な惨劇を社会全体に与える事ができるからな。本人は被害者気どりで、護身のために先制攻撃してるつもりかも知れんが、そいつの先制攻撃により、傷つけられる民衆からすれば大迷惑だ。」

逆沢「でも歴史的には、そういう類も多いからねー。変な被害者妄想にとらわれて、【あいつは信用できない】がいつの間にか、【急いであいつ(あの国)を滅ぼさないと我々の身が危ない】とかになる例も多いし。」

鼎「被害者づらした加害者って感じだよね。猜疑心で人を傷つける人というのは。」

愛原「逆に、人が人を信用できる社会のメリットについても考えてみようか。まず最大にして最も直接的なメリットとしては、【他人と協力し合える事】だな。」

鼎「自分一人ではできない仕事も、誰かと一緒にやる事でできるようになる例は多いよね。」

逆沢「人数が多いほど、重たい物も持ち上げられるようになるしね。」

鼎「自分の苦手な分野を他人に任せる事もできるよね。」

逆沢「共通の敵がいたとしても、信用できる仲間が多いほど、対応しやすくなるわね。【お互いに背中を守り合う】みたいな感じで。」

愛原「周り全てが敵にしか見えない人の場合は、自分の背中も自分で守らなければならない。だが信用できる仲間がいれば、とりあえず背中側は別の仲間に任せる事もできるからな。」

逆沢「交替で睡眠を取って、24時間警備みたいな事も可能になるしね。」

鼎「よく考えてみたら私達は、社会全体で互いに信頼し合いながら、役割分担で生きてるんだよね。お医者さんが信用できるからお医者さんを頼って裸になる事もできるし、金融機関が信用できるから大切なお金を預ける事もできるしみたいな感じで。」

愛原「そういう事。社会とは元々、人が人を信用する事で健全に運営されるものなんだ。人が人を信用できない世の中になろうものなら、床屋にもいけなくなるぞ。」

逆沢「寝てる隙にザクッといかれるような世の中だったら、確かに怖いと思うわ。」

鼎「でも実際には、日本は世界で一番安全な国と言われた事もあったよね。野外に自動販売機が設置できるのも、夜中に若い女の子が街を歩けるのも、観光地で見知らぬ人にカメラを預けて写真を撮ってもらえるのも、それだけ夜盗とかが少なくて、治安がよい証と聞いた事もあるし。」

逆沢「治安の悪い国では、そういう無防備な真似は、まず考えられないらしいしね。」

愛原「だが治安が良い国というのは、経済的にも大きなメリットをもたらす。警察官や軍隊や刑務所の規模も小さく済む事で財政支出を抑えられるし、商売の取引面でも余計な手間が少なくて済む。」

逆沢「逆に人が人を信用できない国では、従業員にも大きな仕事を任せにくいし、監視にも人為やコストが余分にかかるだろうしね。」

鼎「でも逆に言えば、もしも信用を裏切るような人が増え続ければ、日本も徐々に治安の悪い国に変わってしまう可能性があるという事だよね。」

逆沢「せっかくこっちが相手を信用してても、その度に裏切られるような事になったら、安心して他人に物を預けたり、他人に仕事を任せられなくなってしまうからね。」

鼎「そうなったら、今までなら他人と協力し合うことでうまくいってた仕事も、これから全部、一人でやらなくてはならなくなっちゃうって事だよね。」

逆沢「そうなったら自己責任・自己防衛が当たり前の世の中になっちゃうわね。」

愛原「何でもかんでも他人に頼りっぱなしというのは感心しないが、自分も可能な範囲で知恵や労働力を提供する代わりに、困った時にいつでも他人に頼れる世の中というなら、それは健全かつ合理的な社会だと思う。何でも自分一人でやらないといけない不経済な世の中よりも余程な。」

鼎「他人を頼れる世の中なら必ず味方になってたであろう人まで、ライバル視(もしくは危険視)しなくてはならない世の中になったら、すごく窮屈すぎるよね。」

逆沢「ただ今の世の中は、なんか人をだましたり裏切る人が、すごく増えた気がしなくない? いや、気のせいならいいんだけど。大相撲の八百長や企業の粉飾決算くらいなら昔からあったかも知れないけど、それ以外にもなんか色々増えてる気がしなくもないんだけど。」

愛原「情報社会だからな。産地偽造とかももしかしたら昔から普通にあったかも知れないけど、色々表に出やすくなってるからな。政治の世界でも、色々密約とかが公に出るようになったし。」

鼎「でも最近は、お医者さんに治療をお願いしても、色々誓約書とかを事前に書かされるようになって、本当に面倒くさくなったなぁと思う事もあるかも。」

逆沢「モンスターなんとかが増えて、病院側も色々自己防衛せざるを得なくなってるのかもね。」

愛原「企業と従業員の関係も、昔よりもずっとビジネスライクになってしまったイメージがあるな。昔なら、何のスキルを持たないズブの素人の新入社員を何年もかけてプロに育てていく余裕があった。だが今は、即戦力重視だ。」

逆沢「まぁそれは仕方ないわ。会社費用で一人前に育てた途端に、より給与の高い外資系とかに移籍するような社員も多いらしいし。あと社員の立場からしたら、終身雇用が崩れてるのにという思いもあるだろうし。」

鼎「メセナ(企業が資金を出して、文化・芸術・福祉・教育などの形で社会に貢献していく活動の事)の形も変わっていってるそうだよね。」

愛原「今は、【宣伝効果が見込まれる】などといった利益に直結する理由がなければ、株主の理解を得られないからな。経営者側の道楽だけでスポーツ団体や芸術支援活動などを運営する事が難しいらしいな。」

逆沢「今の世の中は、善意もカネで換算されてしまうって事か? アメリカナイズされすぎというか、大概、怖い世の中に変わりつつあると思うわ。」

鼎「じゃあこのまま行ったら、日本も庶民が銃を持つのが当たり前の国になっちゃうのかなぁ?」

愛原「そこまで人を信用できない国には、変わって欲しくないな。まぁアメリカの場合は、国民皆保険制度にもブーイングが出るだけあって、良くも悪くも自己責任社会だが。」

逆沢「他人に依存し続けるのもどうかと思うけど、誰でも不慮の事故や事件に巻き込まれる事はあるんだから、ある程度のセーフティーネットは欲しいと思うけどねー。一定のセーフティーネットがあってこそ、人は起業したり色んな冒険もできるけど、それらが一切ないと、自己保身が精一杯になっちゃいかねないし。」

愛原「自己保身が悪いとは言わない。だが自分の身を守る為に、他人をだましたり裏切ったり傷つけ合うような世の中は、さすがに良くないと思う。【騙される方が悪い】とか【信じた方が悪い】というのは、ある意味では正論かも知れんが、じゃあ【騙した方】【裏切った方】はどうなんだ?という視点も大事だと、俺は思うけどな。」

鼎「なんか【騙された方が悪い】と言い切る人ほど、騙した方に対しては寛大そうな人が多そうな気がするのは気のせいかなぁ?」

逆沢「まぁ日本では、詐欺罪や背任罪で死刑になったり終身刑になる人は、まずいないからねー。大抵はトカゲのしっぽ切りで終わっちゃうし、不幸にもトカゲのシッポになった人にしても、執行猶予か軽い実刑までで済んじゃうのが実情だから。」

鼎「それじゃ振り込め詐欺とかも、とても減りそうにないよね。」

愛原「新作でハートフル商会のネタをやったが、特にこのネタのような例では、誰かが牢屋にぶち込まれる事など、まずといっていい程、あり得ないからな。」

鼎「騙した側が罰せられない世の中という事になったら、それこそ【騙された方が悪い】と言ってるのと同じようなものだよね。」

逆沢「だったら騙した者こそ悪いという世論作りと法整備が、これからの日本にはより必要かもね。人が人を信用できる世の中を維持するために。」

愛原「ただ民主党政権自体、色々国民を騙しまくってる有り様だからな。騙した方が悪いなどとは、今の政府の口からはとても言えない気もする。」

逆沢「そのせいか、国民の方も、極度の政治不信に陥ってるような感じがありそうだけどね。政治不信自体は昭和のことからあったけど、自民党にも裏切られて、民主党にも裏切られて、今度はどこを信じればいいのって感じになってそうだし。」

鼎「とかいって、どこも信用できないから無投票では、全然状況は改善されないよね。」

愛原「何もかも信じられない世の中というのは、色々地獄だ。それ故、人は常に何かに期待したがる。そしてそれ自体は、俺は間違っていないと思う。駄目なら気持ちを切り替えて、次に行くくらいの気持ちがむしろ必要だろう。諦めて【どうやっても今より良くはならない】とか【誰も信用できない世の中】なんて思いこんでは、本人にとっても社会にとっても不幸な事だと思う。」








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