トップページに戻る


愛原様のたわごと(11年4月17日)



(4月18日、管理人による一部訂正項目を別枠表記。)


愛原「多忙。眠い。多忙。眠い。」

逆沢「なんだ、そのノイローゼ入ったような、妙な呪文は?」

愛原「作者いわく、そういう事らしい。早朝出勤、残業、休日出勤・・・。えらい事になってるらしい。」

鼎「なんか大変そうだね。仕事が急に増えたのかな?」

愛原「妙な感じに、大震災の影響が降りかかってきたのかも知れない。自動車会社みたいにラインが止まって臨時休業の所や、観光関連のように理不尽なお通夜モードに巻き込まれて閑古鳥の所もある一方で、逆に一部の製造系会社やそれに関連する会社は、フル稼働状態になってたりするからな。」

鼎「東北の工場が止まった分、西日本の工場がその埋め合わせのために、フル稼働状態になってる所もあるそうだよね。」

逆沢「水とかオムツとか、被災地で需要の高い製品を作ってる所も、忙しくなってる所があるらしいしね。」

鼎「運送屋さんとかも、一部で忙しくなってる所があるらしいよね。」

愛原「とてつもなく仕事が無くて気の毒な人もいる一方で、忙しくて目がぐるぐる状態の人もいる。妙なことになってしまったもんだ。」

逆沢「て事は、製作はもしかして止まってる?」

愛原「ここ数週間。ほとんど停止。テストプレーは多少進めているが、イベント製作とかその類は一切ストップ。まぁ仕方ない。」

鼎「暇な仕事の人を、一時的にも一時的に忙しすぎる人のヘルプに回せたりしたらいいのにね。」

愛原「臨時アルバイトで何とかなるような仕事なら、そういう手もありだと思うが、案外、専門スキルを必要とする仕事というのは多くてだな。仕事を覚えてもらった頃に、需要供給のバランスが平常に戻って、その人をクビにしてもあれだと思うし。あと企業秘密に関わる問題もあるから、すぐに辞めさせる前提の人間を、安易に雇えないという場合も多い。」

逆沢「なかなか上手くいかないもんねー。まぁ上手くいくくらいなら、とっくに上手くやってるんだろうけど。」

鼎「けど今の世の中は、ファーストフードのアルバイトのように徹底的にマニュアル化を進めてる所と、専門知識や専門技術がないと話にならないようなマニアックなお仕事の2種類に2分化されてしまってるような気もするよね。」

逆沢「確かにそんな気もするわね。まぁ、誰でもできる仕事と、誰でも任せられない仕事の2種類があるってのは、昔から同じなんだろうけど。」

愛原「それでも昔の方が、両者の垣根は低かったんだがな。昔は企業自体が育成機関を兼ねていたから、ドシロウト状態の新入社員を会社の中で何年もかけて鍛え上げて、一人前の職人に育て上げる例も多かった。」

逆沢「ああ、その点で言えば、確かに今は変わりつつある気もするわね。特にIT系とかは、専門学校とかで基本スキルを身につけた即戦力ばかりを欲しがる所も多いらしいし。」

鼎「つまり昔の労働者は会社の中でお給料をもらいながらスキルを学べたけど、今の人達はお金を払って大学や専門学校とかでスキルを先に身につけないと、会社に雇ってもらえにくくなってるという事かなぁ?」

愛原「会社にもよるし、業種にもよると思うが、割合として、そういう流れになってる気はするわな。」

逆沢「けどこれって、貧乏人の子供にとってはすごいハンデじゃない? 大学や専門学校で事前にスキルや資格を身につけられるだけの財産もなければ、アルバイトでも務まるような汎用職にしか就けないって事になりかねない訳で。」

愛原「【機会の平等】すら、年々薄らいでいるような気もするな。」

鼎「ところでふと思ったんだけど、今の世の中はスチュワーデスすらアルバイトで対応できる程、マニュアル化も進んだけど、その一方で、専門職以外では絶対に手に負えない程の超専門職の割合もすごく増えたような気がしないかなぁ? 例えば、今話題になってる原子力発電の問題とか。」

逆沢「ああ、それはいえるいえる。世間では政治家の対応がどうこう言ってるけど、原発事故の対応なんか、どう考えても電力会社関連のプロや技術官僚達にしか対応できない気もするしね。」

鼎「一政治家の人に、原子力発電所関連の専門知識を要求するのも無謀な話だし、今から勉強して適切な対応を取れと言われても、これも無謀だよね。」

逆沢「結果論で【あの時、こうすれば良かった】とかいうのは、私達ドシロートでも可能だけど、前もって適切な策を取るというのは、専門知識がないと、とても対応できないだろうからね。」

愛原「だから政治家は、専門知識を持つ官僚を使いこなし、また電力会社などから適時適切に報告を受ける必要がある。だが日本の場合は、アメリカなどと違い、首相や大臣などの政治家の権限が余りにも少なすぎる為、官僚や電力会社がちゃんと動いてくれない問題がある。」

鼎「アメリカの場合は、政権が交替すると官僚達の顔ぶれもがらっと変わるから、常に自分達の命令に忠実なスタッフばかりが周囲に集まる構図になるけど、日本の場合は、事務次官のクビすら簡単には変えられない仕組みになってるよね。」

愛原「かつて非自民系の細川連立内閣が誕生した時もそうだが、親自民系の官僚達が牛耳っている状態で、非自民系の政権が官僚を思い通りにしようとしても、大きな困難がつきまとうのは自明だからな。だから民主党は、最初に【政治主導】という言葉を使って、政治家によるリーダーシップを発揮しようとしたのだが・・・。」

逆沢「けど現実には【笛吹いても踊らず】状態が続いて、結局、菅政権はかつての自民政権時代に近い政権スタイルに戻してしまっていると。」

鼎「それで気がついたら、自民党と民主党との間で、ほとんど政策の差が無くなってしまってるという事かも知れないって事かなぁ?」

愛原「官僚が喜ぶような(つまり自民党的な)考えを民主党が受け入れれば官僚もそれなりに働くが、官僚が嫌がるような政策を推進すれば官僚は徹底的にサボタージュする。かつてミスター年金と言われた長妻大臣が何の役に立たなかったのも、おそらく年金一元化という官僚が絶対嫌がる(共済年金という大きな既得権益が失われる為)政策を本気で推進しようとした為だろう。」

逆沢「それで長妻大臣が【年金一元化案を成立させる為に必要な手順や事項】を官僚達にまとめさせるよう命じても、官僚達は全く動かなかった訳ね。まとめてしまうと自分達の年金が減っちゃうから。」

愛原「公務員の給料を減らせないのは、何も自治労だけのせいじゃない。だから(タエマエ上)自治労を嫌っているはずの自民党政権も、何十年も政権を任せられながら、過去に全くという程、公務員の人件費には手を付けなかった。もちろん今の谷垣自民党も、復興予算の捻出のために公務員の人件費削減を断行しろなんて事を、声高に言う事もできない。実際に官僚機構とズブズブなのは、むしろ自民党の方だからだ。」

逆沢「つくづく日本の政治家は、官僚達の操り人形という感じね。」

鼎「でも操り人形だからこそ、官僚の書いたペーパーを棒読みするだけでも、大臣が務まるような気もするし。」

逆沢「で、その延長が、原発政策であり、今回の原発事故であり、原発処理策であると。あん? 今、話の流れからふと思ったけど、あんたもしかして、今回の大事故の責任は官僚達にあるって言いたいわけ?」

愛原「俺が一番言いたいのは、政治家だけに原発の専門知識を求めても無駄だという事だ。という訳で今回のテーマは【専門スキル】という事で進めさせてもらうが、例えば今の世の中は専門化が進みすぎて、専門家以外では手に負えない事が多すぎる。俺はもちろん、お前達だって、普段、テレビを観たり、車に乗ったりしてるだろうが、テレビや車の機械構造なんかロクに知らないだろう?」

逆沢「まぁ、確かにそう言われてみればそうだけど・・・。」

愛原「いくら一流大学を出たエリートであろうが、専門分野以外では、シロートと大差ない。これが現代という時代だ。かつて学生時代に【どの教科も優秀】と言われた奴に、大型トレーラーでも運転させてみたらいい。あるいはスダチでも作らせてみたらいい。多分、シロートと大差ないから。」

鼎「つまり日本を代表するエリートであるはずの国会議員ですら、実際にはむしろ私達シロートの方に近いって事かなぁ?」

愛原「普通はそうだろう。学生時代なら【全教科で優秀な成績】とか言われれば、【何をやらせても優秀】と言われただろうが、今の社会人の中で【万能系キャラ】とか【何をやらせても優秀】な奴なんて、まずいないと思う。そこはゲームの世界とは違うのだ。」

鼎「ゲームの世界なら、全ての基本パラメータが高いキャラなら、【何をやらせても優秀】という事になるよね。」

逆沢「逆に全ての基本パラメータが平均以下のようなヘボ武将キャラなら、【何をやらせても駄目な、使えないキャラ】という事になるわね。たとえどんなレアスキルを持っていても。」

鼎「戦国SLGでは、【弁舌】とか【暗殺】とか色んな特殊スキルを持つ武将が登場するけど、実際には基本パラメータが低いキャラに交渉や暗殺をやらせても、全くといっていいほど成功しないパターンがほとんどだよね。」

逆沢「つまりゲームの世界では、国語も数学も社会も英語も体育も芸術もみーんな平均以下みたいな落ちこぼれ君は、どんな専門スキルを身につけても所詮【役立たず】。基本能力値が低いダメキャラがどんなに頑張って経験値を積み上げて貴重なスキルを身につけても、無駄なものは無駄って事ね。」

愛原「これが現実世界では全く違ってくる。学生時代にどんな落ちこぼれをやっていても、大型トレーラー乗りとして生計を立てる人も多いし、スダチを始めとした色んな農作物の生産者として生計を立てる人も多い訳だからな。基本パラメータよりも、むしろスキルの方がウエイトが高くなってくるのだ。」

鼎「新作の吉岡君の祖父のセリフでも、【手に技術を持つ事はいい事だ】というのがあったよね。」

逆沢「つまり学生時代にどんな優等生で通っていても、大したスキルが無ければ、社会では専門スキルを持った人間には全くかなわない事も多いって事ね。」

愛原「つまり政治家を例に取れば、彼らは【政治】というスキルを持っていても、【原子力】というスキルは持ってなくて普通という事だ。」

逆沢「今の日本の政治家に、高レベルの【政治】スキルを持ってる人間自体、ほとんどいない気もするけどね。」

愛原「まぁそれは否定せんけどな。」

鼎「とすると、究極的には原発事故の処理方法に関しては、電力会社や原子力保安院のプロ達の言うことを信じて任せるしか方法はないって事かなぁ?」

逆沢「まぁドシロートがいらん口出しをしない方がいいって点では、当たってるんじゃない?」

鼎「でもプロがプロにふさわしい仕事をしてくれるとは限らないよね。たとえばさっき触れた年金問題でも、官僚達は【年金一元化推進プランを練り上げる】というプロの仕事を全くしなかったように、自分の不利になるような仕事は絶対にしなさそうだし。」

逆沢「確かにね。東京電力も、過去の原発事故に対する備えは万全だったという基本スタンスは絶対に変えていないし、【想定外の規模の災害だったから】という名目で、少しでも責任を免れようと必死みたいだしね。」

愛原「つまりプロがプロらしく責任を背負おうとせずに、むしろ責任の軽減ばかり企んで行動してるって事だな。」

逆沢「一時期、全面撤退するとか抜かして、首相の激怒を買った時もあったらしいし。後になって【ニュアンスが正しく伝わらなくて、誤解を招いた】みたいなコメントを出して、自己弁護もしてたけど。」

愛原「東京電力の体質を感じる思いだな。確かに政治家は政治家で自己保身を考えているだけかも知れんが、東京電力は東京電力で自己保身の事しか考えてないのかも知れん。まぁそれを言うなら、経団連も自分達が保有する東京電力の株価がこれ以上下がったら困るからという理由で国有化に反対したり、皆が皆、自己保身に走りまくっている感じがしなくもないが。」

逆沢「うへえー。専門家からそうでない人まで、被災者そっちのけで自己保身しか考えていないとしたら、ひどすぎる!!」

鼎「でもここで問題なのは、政治家や経団連は所詮外部の人だけど、東京電力という最大の当事者にして専門家までが、自己保身に走ってそうな状況だと言うことだよね。」

逆沢「つまり被害がより拡大するかどうかも、結局、東京電力次第って事ね。私達の立場からすると、これ以上東京電力を怒らせたら、もしかしてすごくヤバいって事かな?」

愛原「まぁネット上でも、【今は責任問題をどうこう言う段階じゃない。まずはみんなが問題解決に全力を尽くせるような体制作りを整えるべきだ】という声はあるからな。」

逆沢「つまりうかつに東京電力を叩きすぎて、関係者が【もういいや。どうにでもなれ】みたいな心境になってしまうのが一番怖いって事かな?」

鼎「でも最大の責任者が、逆に自分達が最大の専門家である立場をかさに着て、強気に出たりしたら、それってすごく迷惑な事だよね。」

逆沢「けどよく考えたら、仮に東京電力が倒産したら、関東地方の電力事情は恐ろしいことになるかも知れないし、ある意味では関東地方の住人を人質に取ってるような状況なのよね。東京電力の立場は。」

愛原「つまりレアな専門家というのは、それ程までに強い立場だという事だ。たった一つの部品が足りないだけで自動車会社のラインが止まってしまうように、もしもそのたった一つの部品が、レアな専門家によって作られているなら、その専門家は相当強い立場に出れるという事だな。」

逆沢「【俺達を怒らせたら、経済が大混乱になってしまうぞ】といえるくらい、すごい立場って事ね。レアな専門家というのは。」

愛原「トヨタを始めとするカンパン方式の会社は、各部品をそれぞれの専門化した工場なり子会社が請け負っているからな。どこか一つの工場なり子会社なりが反乱を起こしたり、トラブルで止まるだけで、大打撃を受けてしまう。今の社会は、それだけ薄氷の上に立っている社会とも言える。」

逆沢「政治家もある意味では、専門家達に支えられている職業だけに、専門家に反乱されたらもろいって事ね。」

鼎「でもこのまま東京電力の思惑通りに進んだら、これもさすがにまずいよね。」

愛原「今回の原発事故は、ある意味、日本国内で戦後最大の大事故だ。その戦後最大級の大事故を引き起こしておきながら、実質何のおとがめもなしで済んでしまったら、【力さえあれば、どんな不祥事を起こしても、ほとんど責任を取らなくていい】モラルハザード状態が定着してしまう事になり、関西電力など他の大会社なども、その前例にならって、やりたい放題になりかねないからな。」

逆沢「あ、そっか。もし東京電力が今後も大したペナルティーもなく経営していけるなら、他の電力会社も、手抜きし放題やりたい放題になりかねないって事ね。もう怖いものは何もないって事で。」

愛原「あれから1ヶ月。自分なりに把握可能な情報から総合的に判断する限り、東京電力のやりたい放題ぶりは目に余る。前福島県知事の発言内容などからも判断する限り、ある意味、東京電力は強権と甘言で、県民を騙し続けた状態みたいだしな。【もう建ててしまえばこちらのもんだ】みたいな感じで。」

鼎「確か建設前に約束していた事も、建てた後でほとんど無視されたみたいだよね。それを国に申し立てても、国の監督機関と東京電力自体がグルの関係だから、全くと言っていい程、相手にされなかったみたいだし。」

逆沢「誘致した福島県側に一切の非がないとは言わないけど、そもそも約束事を東京電力側が守ってなければ、話が違ってくるからねー。福島原発では過去にも何度もトラブルが起きてるけど、その度に福島県側は常に蚊帳の外に置かれて、地元の要望も通らず、東京電力と国の関係機関の合意だけで、物事が進められてきたみたいだし。」

愛原「国や電力会社は、【カネさえ出せば文句ないんだろ】的な立場で、常に押し通してきたみたいだからな。まぁ【その分のカネは出してやってんだから、何をしてもいいだろ】的な考えで推進してるのは、沖縄の米軍基地問題でも同じ事だが。」

逆沢「けどカネを出してると言っても、その恩恵を得られるのは、そこで働いたり取引のある関係者と、後は建設関係ぐらいだしねー。魚取ったり他の仕事してる人には、全く関係ないし。」

愛原「三方監督の得意なセリフではないが、本来、【権利と責任は一対】でなければならない。だが実際には、リスクに見合うだけのリターンを得ている人と、リスクだけを背負わされている人がいるからな。もちろん、リターンだけを享受している人もいる。大部分の関東人などは、福島原発からリターンしか得てなかっただろうしな。」

逆沢「東京電力の人達も、リスクだけは何としても回避しようと必死な感じがするわね。」

鼎「けど専門家の人達の存在はやはり大切だし、これはどうすればいいのかなぁ?」

愛原「一般論で言えば、市場の独占状況を打破しないと話にならない。つまり専門家同士で競争させられる状態でなくてはならない。もちろん競争が成り立つだけの専門家の頭数の確保も必要だ。そうなれば専門家の好き放題を避けやすくなり、強欲であったり悪徳であったり手抜き上等な専門家を淘汰しやすくなり、より技術革新も見込めるようになる。」

鼎「つまり独占状態や、談合状態は良くないって事かな?」

逆沢「電力会社は、地域ごとに独占企業が居座っている上、国ともなれ合いの談合状態だからねー。そりゃ腐敗して当然って事かな?」

鼎「つまりその論理でいくと、東京電力はこの際倒産させて、その代わり、他の複数の電力会社に関東を管轄させたら、ちょっとはマシになるって事かな? 携帯会社や郵便業務を請け負う会社が現在複数有るように、電力会社も複数にして、国民がそれを選べるようにすればいいかもって事で。」

逆沢「ああ、それいい感じだわ。東京電力ほどの大会社ですら戦後最大級の大事故を起こしたら倒産するって事を見せつければ、他の電力会社も絶対に事故を起こさないよう気合を入れ直すだろうし、関東地方の住民達もより条件の良い電力会社を選べて、今までのような独占企業の言いなりにならずに済むし。」

愛原「正直、俺もこの一ヶ月、原発関連に関しては、ドシロートなりに色々勉強させていただいた。デマ情報も多い上、専門家ですら試行錯誤状態の中、自分なりにな。」

逆沢「シロートが専門家気取って勉強した所で、【生兵法は怪我の元】にしかならないと思うけどねー。」

愛原「あいにく俺は昔から、シロートでもシロートなりに知識と意見は持つべきだと言う考えだからな。【政治家でなくとも政治に口は出すべき】だと思うし、同様のことは今回の原発事故問題でも言える。なぜなら【専門家は、こちらがシロートである事を利用して、好き放題やる可能性がある】からだ。」

逆沢「あー、確かにね。専門知識をひけらかしてシロートに不要な商品を買わしたりする手合いもいるしね。」

鼎「つまり専門家にだまされない程度の知識は、シロートなりに必要という事かな?」

愛原「まぁそういう事。確かにシロートが専門家を押しのけるような展開は良くない。シロートはどこまでいってもシロートだからな。だが例えば、セカンドオピニオンという考え方があるだろう。複数のお医者さんに看てもらった上で、患者側がより信頼できそうな医者を選ぶという考え方だ。こうすれば偏った考えの専門家や、強欲でお金儲けしか考えない専門家を選んでしまうリスクを少しでも減らせるようになる。」

逆沢「ああ、なるほど。つまりシロートが医者並みの専門知識を勉強する必要はないけど、より信頼できる医者を選べるような環境を整えたり、より信頼できる医者を見抜ける程度の知識は欲しいって事ね。」

鼎「私達有権者が政治家並の専門知識を勉強する必要はないけど、それを選べる環境とか、選べる程度の知識は欲しいって事だよね。」

愛原「そう。つまり我々シロートが、原発関連の知識について、勉強する事自体は無意味ではない。例えば放射能について学べば、変なデマに踊らされてパニックになったり、風評被害に荷担するリスクも減る訳だしな。ちなみに俺自身、新作のアンケート内で放射能関連のアドバイスを前に受けていたりして、これが結構、役に立っていたりする。まことに感謝だ。」

逆沢「でも放射能関連のアドバイスを受けてわずか数ヶ月後に、まさかその情報がリアルで必要になる日が来るとは思わなかったけどね♪」

鼎「で、シロートなりに勉強してみて、それでもやっぱり東京電力の責任は大きかったと判断したという事かなぁ?」

愛原「俺は理系的な視点での原発事情はまだまだ全然と言っていい程、よく分からんが、政治経済的な視点で東京電力がかなりヤバい体質の上に置かれている事は、あれから何となく感じるように変わったな。少なくとも東京電力が今の状態の延長で、経営を続けることは許されないと言える程度には。」

逆沢「でも政府は、福島原発関連だけを切り離して、東京電力をできるだけ現状維持で経営させようと図り始めた感じだけどね。」

鼎「それって完全にトカゲのしっぽ切りだよね。その案のままでいけば、事故の責任は国民の税金でほとんど負担させられる事になって、東京電力はそのままウハウハという事になってしまいかねないよ。」

逆沢「まぁ私的には東京電力の経営体質とか政治経済の問題よりも、これから日本の電力事情はどうなるのかの方が気になるけどね。これから原発反対の動きも広がりそうだし、だからといって火力発電に依存する社会ってのも論外のような気がするし。」

愛原「全く新しいエネルギーでの発電が確保できればいいんだがな。」

鼎「でも世界的に見れば、原子力発電がますますメインになっていきそうだし、それだけ原子力発電にはまだまだ魅力があるのかなぁ?」

愛原「事故さえ起こさなければ、クリーンで効率的なエネルギー手段だからな。それに科学技術の発展に伴い、リスク軽減の可能性も広がるし。例えば今、問題になっている放射能汚染水の問題で言えば、実はこれは関西電力の原発では構造的に起きにくかった問題でもあるらしい。」

逆沢「え? それ、どういう事?」

愛原「実は世界中の原発は、沸騰水型加圧式型の2種類で主に運用されており、このうち、放射能汚染水をそのまま循環させる仕組みで動いているのが沸騰水型と言われるものらしい。一方、加圧式型というのは原子力潜水艦などで使用されている方式で、こちらは汚染していない水を放射能にさらさない状態で循環させる為、たとえ事故が起こっても汚染水自体がでにくい構造になっている。ちなみに沸騰水型はコスト的に安い利点があり、東京電力・東北電力・北陸電力・中部電力・中国電力で使用されている。一方、北海道電力・関西電力・四国電力・九州電力は、コスト的には高いが加圧式型を採用している為、仮に福島原発事故と同種の災害が起きても、ただそれだけでは汚染水が出るという事はないらしい。別の専門家の意見を転載しただけなので、より詳しいことを聞かれても答えられないが、まぁ受け売りできる範囲の情報では。」

逆沢「ちょっと待った。よく考えたら福島原発の事故は、地震で原発本体が崩壊したものじゃなくて、冷却水を循環させる装置が壊れてしまった事から波及して起こった連鎖災害っぽいから、て事は、もしも福島原発が加圧式だったら、ここまでの大事故にならずに済んだって事?」

愛原「俺は専門家じゃないから、その辺は全く分からん。だがアメリカで昔に原発事故を起こしたスリーマイル原発の場合も、加圧式だったからこそレベル5で済んだ部分もあるかも知れない。日本の場合も汚染水流出が問題になるまではレベル5だった訳だから、もしかしたらその差が出たのかも知れん。根拠はないけど。」

鼎「でも東京電力は、日本で一番儲けている電力会社なのに、なんで沸騰水型を採用したのかなぁ?」

逆沢「ドケチ体質って事じゃない? そういえば東京電力が新潟県に持っている柏崎刈羽原発なんか、活断層の上に乗ってるなんて話もあるし。」

鼎「確か刈羽原発は、新潟県の中越地震でトラブルが起きて、それで今でも一部で運転が止まってるよね。でも福島原発があんな事になって、夏に電力が足りなくなる可能性が高いから、そろそろ再起動させようという話になって、それで地元住民が猛反発しているという話も聞いた事があるよ。」

愛原「活断層がどうこうの情報も、俺的には不確定情報だから保証はしない。だが刈羽原発に関しては、地盤的にも決して安心できる土壌の上には立ってなさそうだからな。ニコニコ大百科では【東京や大阪や愛知は軟弱地盤だから原発立地は技術的に不可能】とか書かれているが、これは決めごと的に不可能なだけで技術的には全く問題ない。(福島や東海村や刈羽の原発も、決して特段に頑強な地盤の上になく、単に大都市圏上に建てたくない人間によるこじつけだと思われる。実際、同大百科内には【(埋め立て地という最大級の軟弱地盤そのものである)人工島に、不沈空母成らぬ不沈洋上原発を置き、送電をする技術的可能性も一部で議論をされている】という、上記理論と全く相反する記述すら登場する。)」

逆沢「つまり建てようと思えば、どこでも建てられるし、実際に既に建ち終わっている所もあるけど、何かあった場合のリスクは保証しないって事だけの話ね。」

鼎「けど実際問題として、福島県沖より甚大な被害を受けた地方にある女川原発は無事みたいだし、何も地盤とかそういう問題だけじゃなさそうだよね。」

愛原「先に触れた通り、いきなり原発本体がやられた訳じゃなくて、元は冷却装置関連だけの問題からみたいだからな(もちろん正確には、不明な部分も多くあり)。言い方を変えれば、日本製の原発本体の頑強さが改めて証明されたとも取れるし、妙な部分で手抜きがあったからかもと類推できなくもない。ただ地震と津波のダブルショックを受けても大丈夫だった女川原発のような頑強な原発もある一方で、震源地からかなり離れていた所にあったはずの刈羽原発が簡単にノックアウトされたりと、原発に関しては、色々不確定要素が多すぎる。」

逆沢「けどなんで東京電力に関連する原発ばっかり、やたら事故を繰り返すのかしらねー?」

愛原「それが要するに、【体質】という事なんじゃないか? 東海村の時はバケツで放射性物質を運んでいた事も発覚したし、技術うんぬん問題じゃなく、万事にたるんでいると形容されても仕方がない。過去にどれだけ不祥事を繰り返しても、事実上おとがめなしで許され続けてきたからこそ、今回の大惨事につながったと邪推もしたくなる。そして今回ももし関東人の生活を盾に取った東京電力の横暴な要望が通れば、今後も同じような悲劇が繰り返されるかも知れない。実際問題、他の地方電力会社でも原子力発電所はちゃんと存在しているのに、不祥事を繰り返すのはなぜか東京電力ばかりではないか?(福井県のもんじゅは、関西電力保有の発電施設ではなく、今後の原子力技術の進歩をみすえた日本原子力開発機構保有の実験施設なので、同一視してはいけない。)」

逆沢「体質ねー。て事は、体質さえ変われば、日本の技術力なら問題ないって事か? まぁ体質を変えるなんてのは、人間の性格を変える以上に難しい気もするけど。」

鼎「けど自然の偉大さには、どうやっても勝てないかも知れないよ。」

逆沢「けど立地条件を変える事で、少しくらいマシにはできない?」

愛原「立地条件にあぐらをかいてるようでは、俺はかえって危険だと思うけどな。俺に言わせれば、もしも原発が福島ではなく東京にあれば、関係者も政府ももっと気合を入れて、厳しく原発を管理・監督していただろうから、今回の災厄はなかったような気もするし。」

逆沢「確かにそれはいえるかもね。こんな不祥事を繰り返すのは、東北地方とか東海村という関東のへき地にあるような、彼らにとって他人の住む街での事だから、それで緊張感がなくなってしまうせいかも知れないし。」

鼎「福島原発を含む陸奧沿岸は、そうでなくとも日本で最も津波が発生しやすいエリアなのに、津波対策が想定外なんて理論はおかしいと思うよ。」

逆沢「南米のチリで起きた地震でも、仙台沖まで津波が届いたくらいだしねー。あの辺のエリアで、津波被害を計算に入れないなんてありえないわ。」

鼎「でも原発を運営するには、やはり豊富な水のある場所じゃないと駄目だし、そこが難しい所だよね。」

逆沢「日本で一番、津波が起きない海岸と言えばどこかな?」

愛原「そりゃダントツで岡山県周辺エリアだと思われる。今回の大地震では、和歌山県や沖縄県まで含めて大津波警報が出ていたが、岡山県周辺だけは津波注意報すら出ないくらいだったし。ていうか岡山県周辺に津波被害が出るなら、先に淡路島か因島あたりが水没してると思うしな。神戸であれだけの大地震が起きても、津波なんて全く問題にならなかったように、本州・淡路島・四国・九州に囲まれた瀬戸内海周辺部は、津波被害に対する耐性という意味では、ほぼ鉄壁だ。」

鼎「あと西日本は、元々地盤も固いから、地震に対する耐性もすごく高そうだよね。」

愛原「内閣府の出してる地盤の堅さを示すマップでは、こんな感じだな。瀬戸内海沿岸の頑強さと比べて、福島県沿岸部や東海村のある茨城県や刈羽原発のある新潟県沿岸部の地盤の貧弱さがよく分かる。あと東京などの大都市圏で貧弱な地盤が多いのは、ただの偶然ではない。地下開発や新田開発が進んでいたり、埋め立て地が多い地ほど、地盤は目に見えて弱くなる。例えば本来、頑強な地盤を持つはずの岡山県内で、一部とてつもなく地盤が悪そうな地域があるだろう?」

逆沢「ああ、マップによると、岡山県の南部で赤色表示の一帯があるわね。ここは何なの?」

愛原「倉敷市南部の児島というエリアは、元は文字通り児島という【島】だったのだ。その離島であった児島だが、江戸時代あたりからの継続的な埋め立て事業(や新田開発事業)により、やがて壮大な形で本州の一部に組み込まれていった。あとこのあたりは現在、水島コンビナートなどのあるエリアも含んでおり、既に原形を留めないくらい開発された地盤になってしまっているという事情もあるかも知れない。だからこのエリアを含む周辺地域だけ、例外級に地盤が軟らかいっぽい。」

鼎「あ、こうしてみると、女川原発のあるエリアは、日本国内で最も地盤の固そうなエリアの一つになってるみたいだよ。」

逆沢「とするとやっぱり地盤は大事か?」

愛原「俺は必ずしもそうとは思わないが・・・。今回の地震では、浦安市や埼玉県の一部でも液状化現象が起きてるみたいだが、こういう事が起きるのは、大体、基礎工事がいい加減な所が大半みたいだしな。ちなみに液状化現象は、神戸の震災の時でもあったんだが、主にポートアイランドのような埋め立て地でよく見られていたし、その際の基礎工事の程度によって、液状化現象が起きたり起きなかったりしたみたいだ。つまり逆をいえば、基礎工事をしっかりしていれば、地盤は必ずしも大きな問題じゃない。」

逆沢「でも逆を言えば、元々固い地盤で事業を行なえば、基礎工事にほとんどカネも手間もかけなくて済む分、低コストで済むんじゃない?」

愛原「その低コスト重視の体質が、今回の悲劇につながった気もするんだがな。それに何度も言うが、不祥事を繰り返すのは、ほとんど東京電力関係ばかりであって、他はそこまでまずい事はやってない。」

逆沢「あ、そうか。そうなのよねー。こりゃまた失礼。」

鼎「つまり東京電力関係の専門家の質は、他と比べてもすごく低レベルな上に、その専門家達が国の専門家も抱き込んで、好き放題にやってるのが日本の現状って事かなぁ?」

逆沢「つまりゲーム的な表現をすれば、東京電力の幹部の人達は、【政治工作】のスキルはものすごく高いけど、【原子力】関連のスキルは他の電力会社の人達と比べてもすごく低かったって事になるのかな?」

鼎「なんか選ぶ職業を間違えてる感じがしなくもないよね。」

愛原「まぁ東京電力の幹部の中には、いわゆる天下りもいるらしいしな。彼らの保有スキルが【原子力】よりも【政治工作】重視なのはやむを得ないかも知れないな。」

逆沢「で、その【政治工作】スキル保有者に恵まれた東京電力が、今回も自分達の保身のために、色々策動しているって事ね。【原子力】スキルの未熟さ故の大事故でも、できるだけ責任を取らずに済むように。」

鼎「【政治工作】のスキルというよりも、【責任回避】というスキルの方が合ってるかも。どんな失敗をしても勲功値が下がりにくくなるとか、解雇コマンドや(城主や軍団長や軍師といった)役職解任コマンドなどを受け付けなくなる、出世向きスキルという感じでどうかな?」

愛原「ゲーム的には、あまり身につけてもらってもうれしくないスキルの持ち主だな。」


管理人による後日追記〜東海村の東海発電所は、正確には東京電力を筆頭株主とする(特殊法人 )日本原子力発電の所属です。これは同原発の設立当時、原子力発電所自体がまだ各電力会社固有の所有物として認められる存在ではなく、半国営で運営されていた歴史的事情によるものです。ちなみに同原発で生み出された電力は、東京電力と東北電力に売電されています。








トップページに戻る