トップページに戻る


愛原様のたわごと(11年7月25日)





愛原「大阪の日本橋にも公式キャラクターはあるし、神戸にもBL系の専門店はあるが、乙女ロードクッキーの破壊力にはマジびびった。」

逆沢「のっけからその話か。ってか、いきなりそんな話されても、誰も意味分からないって。」

愛原「最近こっそり無断で貼らせていただいたリンク先に、乙女ロードクッキーなる珍品の写真を掲載されてだな。こいつはキツいぜ!と、さすがに笑わせてもらったのだ。」

鼎「直接行ったことはないけど、乙女ロードともいうのも、今では知る人ぞ知る有名スポットだよね。」

逆沢「さすがにテレビとかで大々的に報道されるほどではないけど、それ系のメディアでは普通にとりあげられてる有名スポットだからね。興味のある人なら、全国どこに住んでても名前くらいは知っててもおかしくない程度には。」

愛原「別にBLの趣味など、これっぽちもない俺でも、名前と大ざっぱな地名くらいは知ってるからな。それ系のお店の中に入った事自体はないけど。関東・関西問わず。用もない上、なんとなく怖いし。」

逆沢「まぁ用事も興味もない人が、面白半分に首を突っ込んでいい世界でもなさそうだし、それでいいんじゃない? お店の人にとっても邪魔にしかならないだろうし。」

愛原「あまり大きな看板もないまま営業できているのも、乙女ロード自体が宣伝力を持ってるせいだろうな。秋葉原や日本橋もそうだが、知名度の高い場所に立地するお店は、それだけでも地方のお店と比べて優位性がありそうだ。」

逆沢「その代わり、激戦区だけどね。ライバルが多い分。」

鼎「でも地方でメイドカフェとかをやっても、なかなか成功しないって話も聞いたことがあるよ。大々的に宣伝を打てるだけの資本力がなかったり、宣伝を打った所で効果が見込めなかったり、口コミが広がりにくくてお客さんがなかなか集まってこなかったり、色々難しいらしいから。」

逆沢「まぁ普通の住宅街やビジネス街や田舎の中に、ぽつんとソレ系のお店があっても、はやらせるのが難しいというのはなんとなく分かるわ。その店に立ち寄るだけのために交通費をかけるのも馬鹿馬鹿しいし、お客さんとしても、閑古鳥が鳴いてそうな所は敬遠しがちだし、なんとなく気恥ずかしいような気もするし。ソレ系の店はやっぱ、そういう街というかエリアの中に密集させておいた方が合理的な気もするし。」

愛原「特定地域に密集させておいた方がいいか? 地方にもばらけておいた方がいいか? これはなかなか難しい問題だ。密集させておいた方が色々便利なのは便利だが、そのエリアの近くに住んでない者の立場からすれば、ある程度は地方にもばらけておいてくれた方が、やはりありがたいというのはあるからな。たとえばオタク街を例に取った場合、関東地方には秋葉原という巨大なマーケットがある一方、そのあおりを受けて茨城県あたりでは、まともなオタク街どころか、それ系のお店すらロクにないという話も聞いた事があるし。西日本の人間なので、本当のところは知らんけど。」

逆沢「つくばエキスプレスとかもあるんだから、茨城県民のオタクは大人しく東京まで出てこいって事なんじゃない? もしくは通販で我慢しろって事で。」

鼎「埼玉県とか千葉県とかでも、首都圏寄りじゃない所に住んでる人は、厳しそうだよね。もしかしたら首都圏寄りの人でも、都内まで出ないとどうにもならない地域もあるかも知れないけど。」

愛原「まぁ普通にリアルな経済圏の話をしても、茨城県・埼玉県・千葉県・神奈川県などには、自分の県内だけで経済の需給を満足に満たす力が不足気味なイメージがあるからな。分かりやすく言うと、人口に見合うだけの飯の種を作る能力がない。良くも悪くも東京に依存しないと、県民の生活を満足に維持できない弱みがこれらの県にはあるという形になりそうだ。」

逆沢「まぁこの手の話は、過去のたわごとコーナーの複数のテーマに分散して、何度も触れた事だから、常連さんにしてみたら【またその話か?】って事になるんだろうけどねー。」

鼎「それなのになんであえて、そういうネタから始める事にしたの? 乙女ロードクッキーのせい?」

愛原「なでしこジャパンの活躍のニュースを見て、今週はこのネタにしようと思った方がむしろ正解だな。まぁ乙女ロードクッキーをネタにからませたかったのも、一因ではあるが。」

逆沢「は? なでしこジャパンと乙女ロードクッキーと何の関係があるのよ?」

愛原「先にテーマを出すぞ。今回のテーマは【戦う地方・媚びる地方】だ。あぁ、最初にいっておくが、今回はちょっと渋い社会ネタだぞ。なんといっても地方分権問題をででーんと取り扱うからな。」

逆沢「はぁ? ますます訳分からんわ? なんでなでしこジャパンと、乙女ロードクッキーと、地方分権問題がつながったりするわけ?」

鼎「何かのとんちクイズみたいだよね。」

愛原「グフフフ。まぁ気にするな。その内分かる。ところでお前達。前の月曜になでしこジャパンが女子サッカーで世界一になって、ブレイク状態のお祭り報道になった事は知ってるわな?」

鼎「すごいフィーバー報道だったよね。優勝が決まるまでは、ほとんど大した報道もされなかったのに。試合のテレビ中継もそんなにやってなかったような気がするし。決勝戦ですら、コアなファン以外は誰も見ないような時間帯だったみたいだし。」

逆沢「でも男子サッカーのワールドカップとかと比べたら、報道の過熱具合に歴然とした差があったわね。男子の方は世界レベルじゃなくても、イベントが始まる前からお祭りムードだったのに、こっちは優勝してからそれに便乗するかのように、突如お祭りムードに激変したって感じだし。もっともそのムードが一過性のもので終わるかどうかはまだ分からないけど。」

鼎「戦う前から盛り上がりがちな男子と、優勝という結果の部分だけで突然盛り上がりをみせた女子とで、どうしてこんなに差があるんだろうね。」

愛原「まぁ究極的には知名度だな。最近の女子スポーツ界の伸長は著しく、女子マラソン、女子フィギュアスケート、そして今回の女子サッカーといい、男子のそれと比べて、日本女子の大活躍はすさまじいとしか言いようがない。だが女子マラソンや女子スケートと比べると、女子サッカーはいかんせん知名度が低すぎるというのがあるだろう。」

鼎「じゃあなんで女子サッカーは、知名度が低いの? マラソンにしたところで、世界レベルではマイナースポーツでしかないし、盛り上がってるのは日本など一部だけって話も聞くし。」

逆沢「まぁそれをいったら、野球ですら、世界レベルではオリンピック競技から外れるほどのマイナースポーツだけどねー。」

愛原「つまり日本国内において知名度を左右するのは、世界レベルでの知名度とは無関係で、ずばり日本国内での報道の程度に比例するという事だ。なぜ巨人ファンが昭和時代において日本中の至る所にいたのか? というか野球が国民的スポーツになったのか? その理由を考えたら分かるだろ?」

逆沢「あぁ、そのネタも過去のたわごとコーナーでやったわ。全国ネットの読売系列がジャンジャン巨人戦中継をやった影響が大きいって話ね。」

鼎「関西限定で阪神ファンが超コアな密度でいるのも、サンテレビが日本初の完全生中継をガンガン流し続けた影響が大きいだろうという話をしてたよね。」

愛原「高校野球の関心度が高いのも、テレビ中継の影響が大きいと思う。究極的には高校の部活動の一つでしかないものが、あれだけの関心を持って受け止められているのも、そのせいだろう。バレーだろうがバスケットだろうが卓球だろうが、部活動は部活動でしかないのだが、世間全体から見た関心度が全然違うし。」

逆沢「テレビの影響力がいかにすごいかを感じさせる思いね。国民の好みまで、もしかしたら彼らに操作されてしまっているとしたら・・・。」

鼎「じゃあなんで、女子サッカーはマスコミさんの関心の対象に、今までならなかったのかなぁ?」

逆沢「主力兼看板選手である澤選手が、30歳オーバーのおばちゃ・・・うわなにをするやめqあwせdrftgyふじこlp」

愛原「・・・お前の推測の是非はおいておくとして、俺は彼女らが首都圏外に拠点を置いている事が一因だと思っているけどな。」

鼎「なでしこジャパンの主力メンバーは、確かほとんどが神戸のチームに所属してたよね。」

逆沢「つまり東京キー局の拠点から遠いから、関心の対象にならなかったと。」

愛原「あいつら、首都圏外まで取材に来る事はほとんどしないからな。余程の大物なら話は別だが、でなければ有名人が成田空港か羽田空港着で来日するか、関空着などで来日するかで、はっきり態度を変えてくるぞ。」

逆沢「でも実を言うと、男子スケートの主な拠点は関西大学で、女子スケートの拠点は主な中京大学だから、よく考えたらキー局からしたら、嫌になるような地方ばかりなのよねー。」

鼎「でもこうしてみると、意外と地方を拠点にしているアスリートさんとかも多そうだよね。」

愛原「そりゃあ多い。アスリートに限らず、学者さんにしろエンジニアにしろ、色んな人材が地方に散って活躍している。たとえば神戸を例に取ってみると、女子サッカーの隠れ拠点であるのみならず、実は女子野球の隠れ拠点でもあるからな。」

逆沢「女子野球? そんなのあったっけ? ああ、欽ちゃんの茨城ゴールデンゴールズに、そんな選手が一人いた記憶もあるわ。」

愛原「そうじゃない、そうじゃない。俺が言ってるのは、女性のみで構成されている野球チームの事だ。正確には【日本女子プロ野球機構】という組織の本部が京都にあって、京都のチームと神戸のチームが年間何試合もやっている。ただ現時点では、両チーム間の戦力差が酷すぎて、神戸側の勝利がほとんど確定している状態だが。」

鼎「あ、そういえば神戸市内でそういうポスターも見たことあるかも。」

逆沢「でも、それ、ちゃんと採算取れてるの?」

愛原「スポンサーの温かい支援により、ギリギリ食いつないでいるのが現状だ。だがこれは、女子野球が特殊なのでなく、圧倒的大多数のスポーツ選手はみーんなそんな感じ。普段は所属企業内の一サラリーマンをやっていたり、別の本業を持っていたり、バイトやってたり、親からの仕送りで何とか食いつないでいたり・・・。オリンピックで活躍する選手の大半も、企業が保有するスポーツクラブに所属したりして、それでようやく生活できているレベルでしかないからな。」

逆沢「つまりスポンサーが撤退したら、大半のアスリートは引退の危機に追い込まれるって事ね。」

愛原「そう。女子野球の選手達を例に取ると、彼らは柔道整復師の資格などを別途取る形にして、将来の生活を担保しているそうだ。」

逆沢「うーん。厳しい。つまりプロ野球(男子)やJリーグの選手の方が、むしろ例外って事ね。」

愛原「当然。四国アイランドリーグなんかも、まぁそんな感じだな。」

鼎「でもこうしてみると、案外、そういう採算度外視のスポーツを支えているのは、むしろ地方ばかりという気がしてくるよね。マラソンの世界でも、男子の旭化成とか、女子の天満屋とか、名門といわれる所は大体地方だし。」

逆沢「地方の方が、奇特なタニマチが集まりやすいのかねー?」

愛原「タニマチの語源自体、大坂の谷町という地名から来ているからな。まぁ平成の今でも、採算度外視の道楽半分に、人工衛星を打ち上げる中小企業グループも大阪にはあるが・・・。株主の目線を気にして、無駄な出費を極力省かなくてはならない大都市圏の大企業には、とてもこういう(利益を上げるという意味では)無駄な事業に労力は割けそうにはないけどな。」

逆沢「まぁスポーツに投資するという事自体、ある意味では採算を無視した道楽事業だしねー。」

鼎「大阪や神戸には、そういう事にお金や労力を投資できるだけの余裕があるって事かなぁ?」

愛原「大阪は昔から、遊び心のある土地柄だからな。神戸は新しい物好きという事もありそうだ。」

鼎「確か新作の南京町のイベントでも、神戸発のものがたくさんあるってのがあったよね。」

逆沢「実際には、異論や諸説があって断定しにくいものもあるみたいだけどね。日本におけるゴルフの発祥地なんかは、定義づけによって若干の差もあるみたいだし。」

愛原「ゴルフごっこが日本のどこで最初に行なわれたかを論じれば、おそらく水掛け論だ。だが最初に正式なゴルフ場が建設されたのは紛れもなく神戸。あと余談だが国産ゴルフクラブを最初に作ったのは兵庫県市川町。ついでにいうとゴルフ場の数自体も、兵庫県は北海道に次いで2番目に多い。神戸に限定すると少しアレな部分もあるが、兵庫県というくくりでいえば、日本を代表するゴルフ文化の発信地といって差し支えない。」

逆沢「でも知名度は全然だけどね。」

愛原「そんな事は全く報道されていないからな。ちなみに女子野球の歴史をたどってみても、正式な女子野球部のある学校が誕生したのも、実は神戸だからな。彼らは人気が出てからあやかるようなミーハーではなく、多くの人がまだ不審な目で見るような時代から、それらを積極的に掘り起こしてきた一種の先駆者だともいえる。この前、神戸のポートアイランドのスパコンが世界一を達成したなんて報道もあったが、彼らの先駆者とならんとする情熱はさすがだと思ったな。」

鼎「うーん。流行は何でも東京から生まれるってイメージだから、東京こそがあらゆるものの先駆者だと思ってたけど、実際は違うのかなぁ?」

愛原「いや。流行の発信源はあくまで東京だ。東京のキー局が動かなければ、なでしこジャパンは今でも闇に埋もれたままだろう。秋葉原や乙女ロードも無名(or地方ローカル)のままだったかも知れないし、逆を言えば東京キー局が取材しやすい場所に拠点を置けば、それだけで知名度的にはかなり有利になれる。首都圏を拠点にしていた方が、情報力でも宣伝力でも、もちろん集客力や便利さでも有利な為、企業から学生まで、こぞって首都圏に集まりたがるのは、なるほど合理的かなとも思う。」

鼎「でも地方が苦労してリスクも背負って育てたものを、普段は全く見向きもしないのに、上手く行った時だけ便乗したりかっさらったりするやり方はちょっとずるいと思ったかも。」

愛原「まぁ、その点は仕方ない。活躍しても報道されないままよりはマシな訳だから、前向きにとらえよう。そうでなくとも東京に住んでる人は、いわゆる【井の中の蛙状態】の人がすごく多そうだからな。我々地方の人は、東京の事もそこそこ知っているが(報道のせいもあるし、仕事や買い物のせいもあるが)、東京の人は地方のことを本当に何も知らないもんな。確かに東京は、政治経済から文化芸術まで、何でも情報の集まりやすい土地柄だとは思うが、その割に地方に関する情報を自発的に全く集めようとしない。地方の人が(宣伝などの理由で)勝手にどんどん都内に情報を持ち込んでくれると勘違いしてる節すらある。」

鼎「今、問題になっているセシウム汚染牛に関しても、東北地方では刈り取られた藁が秋の内に必ずしも屋内に収納されないという文化を、中央省庁が把握してなかった事が招いた悲劇ともいえそうだよね。」

逆沢「こっちの人間からしたら、大震災以降、週に一回くらいは必ず新聞かテレビで話題になる東京一極集中問題が、全く相手にされてない方が目に付くけどね。国会内でも議論されていてそういう議連が立ち上がったり、色んな話も行なわれている事がこっちではニュースになったりもするのに、なぜか全国ニュースは徹底して知らんぷりとか、絶対おかしいわ!

鼎「うーん。でもそれをいったら、九州電力のやらせ問題も、赤旗だけが先にスクープ記事として出していたのに、国会で話題にされるまで、他の新聞社が全くそれを取り上げようとしなかったなんて例もあるよね。」

逆沢「マスコミ業界自体も、電力会社業界同様、色々腐ってる気がしてならないわね。」

愛原「またマスコミの話になってるから、強引に政治関係に話を戻す。ちなみに地方分権問題に関しては、マスコミ以上に政界の人間の方がもっと重大に受け止めているようだ。東京キー局自体は地方分権に後ろ向きなのか、この問題をあまり話題にしたがらないが、実際には常にホットな話題になっているといってよい。たとえば今年の4月末に行なわれた全国知事会の選挙が、【地方vs中央】の構図を濃密に示していて、大変面白かった。」

逆沢「それも報道の規模が小さかったからか、全然記憶に残ってないわ。で、どう面白かったの?」

愛原「全国知事会のトップを選任する選挙は、ここ最近【地方分権推進派VS中央集権維持派】に分かれる傾向があるようだ。もちろん知事も人間なので、個人的な人間関係とかにも大きく左右はされるが、大まかな傾向としては、まずこの対立の構図になると言って良い。」

鼎「それで最近の選挙結果では、どっちが勝ってるの?」

愛原「僅差ではあるが、地方分権推進派が勝っている。たとえば今年の選挙では、山田京都府知事vs上田埼玉県知事の構図。ちなみに勝者である山田京都知事側の推薦人を務めたのは宮城・富山・石川・長野・岐阜・滋賀・大阪・兵庫・奈良・鳥取・広島・山口・徳島・高知・熊本・大分・鹿児島の各知事。対する上田埼玉県知事の推薦人を務めたのは青森、東京、愛媛、佐賀、沖縄の各知事だ。」

逆沢「あん? 京都陣営がダントツじゃない? それがなんで僅差なのよ?」

愛原「知事会長選挙に立候補するには、5人の推薦人が必要だ。で、埼玉県陣営は最低の人数をとりあえず出しただけに過ぎん。実際には黒岩神奈川県知事らも公然と埼玉県知事の応援団員を務めていたし、関東の知事は皆上田知事を応援しているみたいな事も言ってたからな。選挙結果もそれを反映しているかのように25対22の僅差だったし。」

鼎「という事は京都府知事を推薦したのは17人だから、どちらも推薦しなかった25人の内、京都府知事に一票を入れたのは実際には8人しかいなかったって事?」

愛原「うん。ところでこの県の顔ぶれをみて、京都府知事を応援した都道府県には一定の共通点があるのに気付いたか? あ、ちなみに麻生福岡県知事も、前会長だったという立場上、どちらにも推薦状は出せなかったが、ほぼ明確な京都府知事陣営だった事も付け加えておく。」

逆沢「うーん。こうしてみると、ほぼ西日本VS東日本かな? 例外は宮城県が西側で、愛媛・佐賀・沖縄県が東側という事で。」

鼎「でも仙台を抱える宮城県は、東日本を代表する有力県の一つだよね。逆に西日本で京都府知事を推薦しなかったのは、沖縄・宮崎・長崎・佐賀・愛媛・香川・島根・和歌山・福井・・・・。京都府知事を推薦した福岡や熊本や広島や兵庫や大阪と比べると、ちょっと過疎気味な県が多そうだよね。」

逆沢「つまり元々力のある県ほど、地方分権を推進したがってるって事か?」

愛原「知事の思想や人間関係に基づく例外もあるが、大筋としてお前の想像で間違いないと思われる。特に村井宮城県知事なんかは、首都機能の一部を宮城にも移転させろと主張しているくらいの御仁だし、この前、あっという間に辞めた松本龍復興大臣相手にも、皮肉たっぷりに一歩も引かなかったくらいだしな。宮城県知事に限らず、地方分権推進派の多くは、圧倒的な許認可権限を独り占めにしている霞ヶ関に、いい加減、うんざりしている。彼らは東京を基準に何でも物事を決めたがるし、現状ではそんな彼らのご機嫌を伺わないと、事業一つまともに推進できないからだ。」

鼎「陳情という形で、何度も東京まで出向いて、そこにいる官僚さんや国会議員さんにご機嫌をとらないと駄目だという話も聞いた事があるよ。東京に近い都道府県の人ならいいけど、九州とか中国・四国あたりになったら、すごいコストの無駄だよね。」

逆沢「つまり宮城県を始めとした地方分権派の知事らは、中央に頭を下げ続けなければならない現状にうんざりしているし、いい加減、権限を俺達に譲れと言ってる訳ね。」

愛原「関西広域連合自体も、それが目的で設立されたものだしな。地方の大半では、東京目線で勝手に物事を決める国会議員や官僚らに本気でうんざりしている。地方ならではの事情を無視して東京の物差しで許認可権などを振りかざすから、その度に一から説明し直さなければならないし・・・。」

逆沢「ちょっと待て。今の発言おかしい。地方の大半がうんざりしているって、アンタさっき言ったけど、公然と埼玉県知事に推薦状出してる地方の知事もいるし、日和見もいっぱいいるじゃない? 彼らは一体、どう思っているわけよ?」

愛原「たとえば関西広域連合に参加していながら、唯一京都府知事に推薦状を出さなかった和歌山県だが、ここは(土建屋・土方の土)農工商と揶揄する者がいるくらい、公共事業依存率の高い県だ。そして和歌山県を始めとして、中央からの公共事業に依存しないともたない県ほど、中央集権支持派に回らざるを得ないという背景があると思われる。」

逆沢「ああ、なるほど。和歌山に限らず、宮崎や島根は、まさにそんな感じだし。その島根に加えて、福井や佐賀や愛媛や沖縄は、原発マネーとか米軍マネーに依存しているから、やっぱり国に逆らって独立するにはキツいもんがあるし・・・。北日本でも北海道とか宮城県を除く東北地方は、やっぱり公共事業抜きでは、見るからにキツそうだしねー。」

鼎「でも日本一豊かな関東地方の知事さん達も、そろって埼玉県知事派なんだよね。彼らはなんで地方分権よりも中央集権を望んでいるのかなぁ?」

愛原「中央集権側が東京や関東を冷遇しだしたら話は別だが、実際には首都圏を最も優遇し続けているのが現状だからな。厳密には優遇されているのは、ほとんどが東京オンリーなんだが、茨城や千葉や埼玉らにした所で、東京相手に公然とケンカを売る事はできないという事だろう。」

逆沢「なんで? 関西では兵庫も奈良も和歌山も、意見が合わない事があれば、公然と大阪にケンカを売ったりもしてるじゃない? なんでそれと同じ事が、関東ではできないのよ?」

愛原「力の差だろ。大阪は関西第一というだけで、別にダントツの存在ではない。神戸も京都も、大阪に依存せずに経済を維持できるだけの基礎体力はあるし、滋賀なんかも強力な武器をもってるし、他の都市もプライドや負けん気が強いからな。一方、千葉や埼玉には、残念ながら東京を公然と敵に回せるだけの力がない(あるいは彼ら自身がそう思いこんでいる)。関西では橋下大阪府知事が石原慎太郎知事ばりの言いたい放題をやる度に、兵庫や奈良の知事が素早くかみついて、大阪が独裁状態にならないよう抑え込んでしまうが、関東では石原知事がいくら好き放題の暴言を吐いても、【いや、アンタ、それはおかしいだろ?】とツッコミを入れる知事なんか皆無みたいだからな。」

逆沢「つまり身も蓋もない言い方をすれば、中央(or東京)に逆らえないとか、媚びるしかないと考えた知事は中央集権派に与し、逆に中央から権限を奪い取らんとする側は、地方分権派に与すると。」

愛原「大阪や福岡らの立場からすると、東京からライバル視されてる以上、媚びて分け前をもらう事など不可能だし、となれば戦って奪い取るしか方法はないからな。だから地方でも、ある程度以上、力のある自治体は、分権派に与する形にならざるを得ない。」

逆沢「そういえば、新作の隠しテーマの中にも、そういう思想は何となく反映されているっぽいわね。」

愛原「うん。新作で言えば、関東管区=総本部が、ちょうど中央の役割にあたる。で、中央としては地方を言いなりにさせたい。だけど地方としては、いいなりになる気はさらさらない。ただ現実には力の差というのがあって、甲信越管区のように中央に媚びざるを得ない管区もある。端的に言えば、自分が強い奴に圧迫される立場になったとき、どっちの態度を取るべきかという事だ。強者に従属するか? あるいは戦うか?

鼎「あ、そういえば麻生福岡県知事が知事会会長だった時のスローガンがまさしく【戦う知事会】だったよね。」

愛原「厳密には、麻生知事のさらに一代前の梶原岐阜県知事が会長だった時から継続されているスローガンだな。まぁ岐阜県知事が会長だった頃の時代は、小泉が三位一体改革という名の地方分権を推進しようとしていた時代でもあったから、今の時代の潮流と同列に扱うのは無理があるが・・・。」

逆沢「でも強者に媚びるか、あるいは戦うかというのは、ある意味、究極の二択ねー。」

愛原「まぁ信頼できて頼りになる強者に対しては、積極的に協力するという選択肢もアリだろう。だが今の政治の現状を見てたら、残念ながらとても信頼できそうにも、頼りになりそうとも思えないからな。こんな状態の中央に媚びたところで、より搾取されて延命の道具にされるか、悲劇の巻き添えにされかねない。石原慎太郎が東日本大震災直後に【東京は日本のダイナモ】とか言ってたが、東京がクシャミをしたら日本全体が風邪を引くみたいな状況になったら、シャレにもならん。そうならないように東京に依存しない国作りという意味で、地方分権推進派の意見を個人的には支持したい。」

逆沢「うーん。ただ東京に依存しないともたないと考える過疎地方もあるし、東京の発展こそが我が県の発展にもつながると考える首都圏各県の立場もあるし、当分、その結論はでないような気もするけどねー。」

鼎「知事会でも、25対22なら、ほとんど僅差だし。」

愛原「アメリカは、故意に富裕層と貧民層を作り出し、貧民層を兵隊などに志願させ、それで国全体を回しているシステムだ。そして日本も、故意に豊かな地方と貧しい地方を作り出し、貧しい地方に原発などを押し付けて、それで国を回すシステムに変わってしまっている。本当に弱く貧しい者は、強い者に媚びるしかない。そして強い者は弱い者の賛同も取り付けた上で、ますます自分達に都合の良いシステムに国全体を作り上げてしまう。」

逆沢「ある意味、格差の拡大こそが、更なる格差の拡大を生むって感じもするわね。強者に逆らっても勝ち目がないくらい格差が広がったら、弱者は強者の言いなりになるしかなくなるし、弱者が強者を支持すれば、強者が弱者に支持された分、さらに強くなっちゃて好き放題やりかねないという事で。」

愛原「独裁者も最初から独裁者な訳じゃない。独裁者を支持する奴がたくさんいるからこそ、独裁者たりえるのだ。独裁者を誕生させないようにするには、まず独裁者に媚びないと生活もままならないような弱者をできるだけ作らない事。あるいは独裁者に媚びる事で分け前を得ようとする腰巾着どもを作らない事。」

逆沢「う、うーん。弱者を作らないようにするのは、政治次第で可能っぽいけど、腰巾着を作らないようにするのは、どうすればいいのかね〜。」

愛原「それは分からん。というか、腰巾着になるかどうかは、結局、人間性の問題でもあるからな。だが弱者を減らす努力はできる。」

逆沢「でも現実世界では、むしろ格差は拡大する一方と。アメリカはもちろんの事。中国なんかもそうだし。故意に格差を拡大して、弱者に負担を押し付ける形で、国力を高めようとする。それでも弱者は強者を支持せざるを得ない。逆らったらもっとひどい目に遭わされかねないから・・・。」

鼎「日本もそんな国に変わっていこうとしてるのかなぁ?」

愛原「分からん。だが虐げられている側の人間が、虐げている側を讃えたり支持せざるを得ない光景なんか正直みたくない。少なくともそんなエンディングの小説やゲームを作りたいとも思わない。遊びたいとも読みたいとも思わない。」

鼎「あ。でも今更ながらに、埼玉県知事側の推薦人がすごく少なかった理由の一つが分かったかも。」

逆沢「ん? 鼎はどう思ったわけ?」

鼎「心から推薦したいと思ったら堂々と推薦人になれるけど、実際にはにらまれたら怖いという感じでしぶしぶだから、それで日和見に徹した気もするよ。ほら、ブッシュ前大統領が大義のないイラク戦争をしかけた時も、積極的にアメリカを支持したのは日本くらいのもので、後はほとんどどの国もしぶしぶ目立たないように応援部隊を派遣したりしてたし、あれと同じ空気と感じたかも。」

逆沢「あー、なるほど。強大なアメリカには逆らえない。けど恥ずかしげもなく堂々とイラク戦争を支持するのは、さすがに良心の呵責がある。みたいな感情ね。」

愛原「それはあくまで、お前個人の妄想だな。実際の本音は、それぞれの知事に聞いてみない事には分からない。もっともいくら俺達がインタビューしてみた所で、彼らが本音を漏らすとも思えないけどな。外交の世界でも、【嫌々従いました】みたいなセリフがいえるはずがないのと同じで。まぁいずれにしろ、俺としては中央集権は、あまり支持したくない。誰かの言いなりになったり、一方的に搾取されるのも御免だし、中央が倒れた途端に巻き添えを食ってバタンみたいなものも勘弁だからな。むしろ東京や関東で問題が発生した際には、いち早く救援を派遣できるくらいの地力が欲しいとも思っている(もちろんこちらがピンチになった時は、助けてもらうがそれはお互い様)。東日本大震災が起きた直後にも、できる範囲ながらしっかり東北地方に対して貢献できているとも思っているからな。予算も何もないので、救急車や警察官を派遣したり住居や物資を提供する以上の積極的な支援ができない点は歯がゆいが。」

鼎「でもそういう報道すら、実際には全くといっていい程、されてない気もするけど。特に全国ネットでは、岩手や宮城のことはほとんど忘れ去られてるイメージすらあるし・・・。」

愛原「東京キー局は、とにかく物臭だからな。下手に地方が舞台になったりすると、地方まで取材に出向かなければならなくなるし。逆に主な大企業も政治家も芸能人も、みーんな東京近郊に集められたら、近場で重要な情報も全部手に入るというメリットもあるしな。彼らとしたら、地方分権なんかあり得ないってのが本音なんだろう。」

鼎「東京に大物の政治家や芸能人や企業や省庁を集めたら、確かにその分だけ、重要な情報を手軽に集めやすくなると思うけど・・・。でもその分余計に地方に取材に行くのが面倒くさくなるから、井の中の蛙状態も加速するデメリットもあると思うけど・・・。」

逆沢「でもあんただって、秋葉原や日本橋みたいな感じで、ここに行けばそれ系のものが全てが手に入るみたいな場所があると、やっぱ便利でしょ? 私は彼らの物臭な思考も、少しは分かるけどね。」

愛原「でも地方には地方の魅力があるぞ。確かに秋葉原や日本橋までいけば、大抵のものは手に入る。だがこういう街は、良くも悪くも売れ筋思考で横並びだ。プレミア扱いされてるものは、どの店に行っても高いし、売り切れ商品はどこの店に行っても結局売り切れというのも本当に多い。だが地方のお店に行くと、意外な掘り出し物が安価で見つかることもある。意外な商品が売れ残っている事もある。ここの作者も、日本橋で見つけられなかった某商品が、地方のお店で売れ残っててウキウキした事もある。」

逆沢「それでも全国レベルでは、中央集権派と地方分権派がほぼ拮抗しているみたいだし、約半数の人があんたの主張にノーを突きつけるような気もするけどね。街の小さなお店がバタバタ潰れて、大型ショッピングセンターばかりが増えてる現状からしても、勝ち組に機能を集約した方がありがたいという人も多そうだし。」

愛原「まぁ、その恩恵は俺も受けている一人だから、杓子定規に何でもかんでも機能分散を推奨したりはしないけどな。ただある程度のセーフティーネットは必要だと思う。東京がクシャミをするだけで日本全体が風邪を引いても困るし、東京電力が潰れるだけで関東地方の電気が止まるような現状も困る。独裁状態とか独占状態にしてしまうと、そいつが横暴な振る舞いをしても、誰もブレーキをかけられなくなってしまうからだ。」

鼎「つまり東京とか東京電力が横暴な振る舞いをしても、すぐにブレーキをかけられる仕組みが欲しいって事かな?」

愛原「勝ち組に機能を集約した方が便利なのは俺も認めるが、リスクを抑える為にも、ある程度の分散はやっぱり必要だと思うぞ。キー局もこの際、地方に分散して欲しいな。例えばNHK・テレ東・毎日・朝日・フジ・読売が、北日本・関東・中部・近畿・中国四国・九州沖縄に分かれるみたいな感じで。」

逆沢「そんな危険思想の持ち主が地方分権派にいる限り、マスコミも地方分権派が喜ぶようなネタは絶対に報道しない気もするわ。」














トップページに戻る