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愛原様のたわごと(11年8月5日)





愛原「硬派な社会ネタを頑張った前回とは逆に、今回はオタクの話をやってみたいと思う。」

逆沢「ん? なんでまた急に? 一体どうした?」

愛原「いやあ、前々から薄々には感じていたが、どうやらいわゆるオタクといわれる人種でも、最低2種類いるように感じてだな。今更ながらの話になるが、【けいおん!】なるアニメの話をささやかなレベルで知る機会があって、で、その後、特に思った事があってだな。」

逆沢「おいおい。私もそっちの話はほとんど知らないけど、それって1年前にブームになった深夜アニメじゃなかった? 思いっきり【なんで今頃?】って感じなんだけど。」

鼎「私の記憶では深夜アニメに関するブームでは、【けいおん!】ブームが終わった後に、【魔法少女まどか☆マギカ】のブームがやって来てみたいな感じがあるけど、当たってるかな?」

愛原「多分、そうなんじゃないのか? 俺は深夜アニメには特に強い関心がない方だから、詳しいことを語れと言われても、何も語れないけどな。」

鼎「でもオタクと言われる人の間では、【けいおん!】とか【魔法少女まどか☆マギカ】は共通言語に近いと言ってもいい程に広く知られた作品だし、話を合わせる為に、そういう作品の内容を知っておいた方がいいかもと思う事もあるけど、これはどうかなー?」

愛原「今ふり返ると、オタクのしての共通言語的な概念には、ここの作者は昔からそんなには関心を示さなかったな。今思うと、学生時代に所属した部活内でも2種類のオタクがいたが、ここの作者はどちらかというと共通言語に無関心な方のオタクだったと思う。」

逆沢「だーっ。思わせぶりで意味分かんない! 大体、その2種類のオタクというのは、何と何なのよ!」

愛原「おそらく【発信したいオタク】と【共感したいオタク】に分けられると思われる。ちなみに【発信したいオタク】というのは、創作系もしくは探究系のオタクに多いタイプ。作品を作ってそれを発信したいとか、特定のジャンルについてうんちく技術スキルを持っており、それらを披露してみたいとか、まぁそんな感じ。一方、【共感したいオタク】というのは、共通の価値観なり話題なりで仲間内でわいわい盛り上がりたいと考えるタイプ。もしくは自分のツボにはまった萌え作品や燃え作品などに入れ込むタイプ。なお7月2日のコーナーで【発信型】【受信型】の話をしたが、これにダブらせて置き換えてもいけると思う。【発信したいオタク】ならそのまま発信型。【共感したいオタク】なら、既に存在する特定の作品や流行などをまず受信した上で、個人的に入れ込んだり仲間内で盛り上がるから受信型だな。」

逆沢「ああー、なるほど分かった。つまりさっき言った共通言語としての【けいおん!】というのは、【共感したいオタク】が共通の価値観と話題で盛り上がるのに必要なネタの一つでもあるという事ね。」

愛原「もし自分も【共感したいオタク】の一人となって、オタク仲間とわいわいやりたいなら、【けいおん!】などの共通言語に関する知識はなるだけ知っておくに超した事はないと思う。特に大学などでオタク系の部活やサークルに所属した場合は、この共通言語に関する知識は、なるだけ知っておいた方が友人関係を構築する上でも有利になりそうな気もする。」

鼎「やっぱり部活やサークルも集団活動なんだから、みんなと仲良くわいわいやれた方がいいよね。」

愛原「ただ部活動というのは、そう単純なものではなくてな。たとえば野球部を例に取ろう。野球部員にも2種類がいて、甲子園やプロを本気で目指して必死に頑張る人間と、単に青春を味わいたい人間の2種類に分かれる。そして甲子園常連校のような学校の野球部では、後者のような【単に青春を味わいたい】だけで、基礎的な野球スキルのかけらもない者は、邪魔者扱いされる事すらある。容赦のない言い方をすれば、ヘタクソは即退部するか、卒業まで雑用だけをやってろみたいな世界観になる。が、逆に健全な部活動としての高校野球を楽しみたいだけの人もいる。ヘタクソでも野球をやりたい。そんな人が集まるその他大勢の高校野球部も多い。中には部員が9人も集まらず、高校野球の夏の予選に出られるようになる為に他のクラブから必死で助っ人を頼みまくるような貧弱な野球部すらある。」

鼎「確か今年の夏の予選で、71−0で5回コールド負けした兵庫県立氷上西高校も、そんな感じの野球部だったそうだよね。」

逆沢「71点も取られたのは、高校野球の公式試合の中でも全国歴代3位。しかも歴代1位と2位は7回コールド時代の記録だから、5回コールド制度になってからに限定すれば、新記録みたいね。」

愛原「氷上西高校の野球部は当初9人未満の部員がしかおらず、そのままでは試合に出場することすら出来なかった。が、他の運動部などから助っ人もかき集めて、ようやく総勢11人で出場権を獲得した学校だ。つまり氷上西の野球部員達は、【予選に出場する為に部員集めから始める事で、青春した】形になる。」

逆沢「まぁそれも、一つの青春ね。なんとなく【けいおん!】の世界観とも通じるものがあるというか。私も詳しい事は知らないけど、確か【けいおん!】も、【廃部寸前の軽音楽部を舞台に4人の女子高校生たちがガールズバンドを組み、ゼロから音楽活動を行っていくストーリー。2年次より新入生が加わり、5人となった。】らしいし。Wikipediaによると。」

鼎「けど5回コールドで71-0というのは、いくらなんでもすごすぎるよね。どうしてそんな事になっちゃったのかなぁ?」

愛原「相手が悪すぎたな。氷上西高校の初戦の相手は、甲子園出場経験すらある姫路工業。100人以上の野球部員を抱える実力校だ。いわば本気で将来プロ野球選手になれるように日夜必死で鍛錬しているような野球部員がいるチームと、校内をかけずり回ってようやく11人を集めることに成功した急造チームが激突した訳だから、まぁこうなってもやむを得ないかも知れない。新聞記事によると、氷上西の野球部員はフライすら取れないのがデフォルトだったみたいだから・・・。」

逆沢「なるほどね。つまりもしも【けいおん!】の主人公達が中途半端に大きな野心を抱いて大きな全国大会とかに挑戦したら、氷上西高校みたいにフルボッコに遭った可能性もあったわけね。」

鼎「漫画の世界はかなりご都合的だから、案外、全国大会みたいなものに出場して、そのまま優勝とかもありえるかも知れないよ。高校野球をテーマにした漫画でも、弱小野球部だったはずなのに、いつの間にか甲子園で大活躍するようなシナリオも意外とあるみたいだし。」

愛原「まぁ要するに、野球部員と一口に言っても、目標は人それぞれ、学校にもよりけりと言うことだ。オタクも実は同様でだな。たとえばオタク系の創作サークル一つとっても、オタクネタで和気あいあいと盛り上がりたいと考える部員もいれば、真面目に創作活動を頑張るような部員もいたりする。」

逆沢「まぁプロを目指すまで行くと、かなりレアな存在のような気もするけど、普通に創作活動(あるいは創作作品を通じて人に認められる事)が大好きで部員やってる人と、オタク系の仲間同士のふれあいが大好きで部員やってる人の両方がいるというのは、何となく分かるわ。」

愛原「偶然かどうか分からんが、俺が体験した環境では、創作活動が好きとか、あるいは創作にセンスがある人間ほど、テーブルトークをやってる時でも、マスターをよくやりたがっていたな。逆にいくら日頃の話が面白かったり、蘊蓄が豊富でも、創作活動自体に熱心でなかった人間ほど、マスターはしたがらなかった気がする。むしろ彼らは、PCの一人の立場だけで楽しんでいた記憶がある。」

逆沢「やっぱりオタクになった動機とかが、両者間では微妙に違うのかも知れないわね。いや、微妙どころか、最終目的だけで言えば全然違うのかも知れないわ。【共感したいオタク】の中には、始めから自分が創作したり探究する側に回るつもりはない人もいるかも知れないし。逆に【発信したいオタク】の中にも、創作や探究の邪魔になるような友人はいらないと考える人もいるかも知れないし。」

愛原「ここの作者の場合、仲良くしてくれる友人は大切にしたいと思うが、だからといって無理に話を合わすために深夜テレビを観ようとまでは思わないタイプだから、どちらかというと【発信したいオタク】の方の気がするな。」

逆沢「ってか、一部のオタク達が【おれたちの麻生!】と盛り上がっている時も、【東京都青少年健全育成条例】を巡ってカンカンガクガクで盛り上がっている時も、ガン無視してたくらいだしね。」

愛原「自分の思想を曲げてまで、付和雷同する気にもなれないしな。ていうかローゼン閣下とか言ってたオタクの中で、麻生太郎という政治家の事を真面目に把握しようとした人がどれだけいたのか、都の条例が問題になってた時に、その内容を真面目に吟味してた人間がどれだけいたのかというのが、今更ながらの率直な感想だが。むしろ賞賛するべき、反対するべきみたいな感じで、勝手に結論だけ先に決めて、勝手に盛り上がってた気配すら感じたが。」

逆沢「あー、それ以上言ったらまた敵が増える!! 彼らは文字通り【共感したい】だけなんだから、彼らが互いに共感し合ってますます仲間内で盛り上がろうとしている時に、それに水を差すような事を言ったら駄目だって!!」

鼎「いわゆる暴走族に昔、所属していた人も、同様の心理の人が多くいたと聞いた事もあるよ。彼らは必ずしも車やバイクや暴走行為が大好きな人ばかりじゃなくて、単に自分と同じような境遇や不満を持っている人と一緒に過ごすのが楽しかったから、それで暴走族をやっていたみたいな人も多いらしいし。」

逆沢「ああ、なるほど。【境遇や嗜好が似ていたり、共通の不満や不安を抱えている者同士が集まって、一緒にいるのが楽しい】から、単に一緒につるんでいるだけという事ね。それだったら【おれたちの麻生!】で心を一つにできた当時の秋葉原オタクの気持ちも分かるわ。彼らにとって麻生の思想がどんなとかそういうのは二の次で、とにかく仲間達と盛り上がれるのが第一だったって事ね。」

鼎「ネット右翼といわれる人達が、日教組とか韓国とか共通のテーマで画一的な反応を取っていたのも、それぞれのテーマについての深い考察や是非は二の次で、共通のスローガンで盛り上がれた事が第一だったような気もしたかも。」

愛原「共通のスローガンでみんながわいわい盛り上がっている時に、自分一人だけその方針に疑念を抱いて別行動を取ったりしたら、下手したら仲間はずれに遭う恐れもあるし、そこまでいかなくても【仲間と共感できる】喜びは味わえなくなってしまうからな。」

逆沢「つまり彼らにとって一番重要なのは、あくまで【仲間との楽しい時間】という事ね。」

鼎「そういえば【けいおん!】の世界観も、そんな空気みたいだよね。【軽音楽部を建て直して、夢は大きく全国大会優勝】とか、【部員をたくさん増やして名門に育て上げる】とか、そんなシナリオじゃなくて、あくまで軽音楽部の5人の仲間がまったりと楽しい時間を過ごすみたいなシナリオみたいな気もするし。直接一通り観てはいないから、あくまで漠然とした感想だけど。」

逆沢「Wikipediaによると、部活動の仲間達が大学の進学先を巡って悩んだあげく、最終的に3年生全員が同じ大学に行くという形でエンディングになるみたいね。最後まで仲間達と和気あいあいのままできれいに終わるというか。」

愛原「まぁ、うつエンドよりはハッピーエンドの方が好きな俺的には、特に不満はないが、なんともまぁ・・・くらいには思ったな。部活の仲間全員がそれぞれの夢を優先して旅立って行くのではなく、あくまで友情の継続を選んだという事か。」

逆沢「甲子園を目指したり、プロ野球選手を目指す高校野球児達を主人公にした野球漫画などとは、どっちかというと正反対の作りね。スポ根系の場合は、どっちかというとそれぞれが自分なりの夢を優先して、ある者はプロ入りしたり、ある者は学業に専念したり、ある者は家業を継いだり、ある者は別の大学やチームに所属してライバル同士になったりするのに・・・。」

鼎「カッコいい言葉でいえば、よりを優先したという事になるのかな?」

逆沢「今のご時世を反映しているのかもねー。高度成長期もとっくの昔で、夢を追いかければきっとかなうとか、努力すればきっと報われるというご時世でもないし、その反面、孤独死とか人間関係の希薄さが色々問題視されてる世の中でもあるし。」

愛原「総じて、安定志向がもてはやされているという事かも知れんな。を優先するという事は、今までの生活環境を激変させるリスクも背負う事を意味する。なでしこジャパンのメンバーが、世界大会で優勝してブレイクした途端に、にわかファンによるストーカー行為も起きたりして、よりセキュリティーのしっかりした住居への引っ越しを余儀なくされたように、夢を叶えるという事は、良い事ばかりではないからな。」

逆沢「夢を叶える為に行動した結果、故郷から離れなくてはならなくなったり、今までの友達と疎遠にならざるを得なくなったり、今の仕事や学校をを辞めざるを得なくなったり、色んなリスクもあるようだしね。しかもリスクを取ってまで夢を叶えようとしたからといって、結局夢が叶わないままという事もあり得るし。」

愛原「大きな危険やリスクを背負ってまで、夢を叶えようとするよりも、今のまったりした空間を維持したいという思いが、今の日本のオタクの多数派の思いになりつつあるという事かな? 昔のオタクはもっと尖った奴も、たくさんいたんだがな。」

逆沢「というか本来のオタクは、もっと【こだわり】があるものだと思ってたんだけど。ほら、例えば、【この作品を語らせたら、俺の右に出る奴などそうはいない】とか【このキャラを使って格闘ゲームをさせたら(以下同文)】とか、【このジャンルで作品を創らせたら(以下同文)】とか、みたいな感じで・・・。」

鼎「オタクというのは、自分の得意とするジャンルでは、無双といってもいいくらいの知識や技術スキルや収集癖を発揮するタイプも多いイメージがあるよね。」

逆沢「その分、協調性に問題があったり、色々偏ってる人も、オタクにはたくさんいそうだけどね。」

愛原「まぁそれを言ったら、芸術家とか学者とかいわれる人も、似たようなものだ。オタクだけを非難される筋合いのものでもない。」

逆沢「でもそういった尖ったオタクとは少しタイプが異なるオタクの割合が、最近は少し増え出したイメージかもね。一芸に秀でたオタクを目指すのではなく、専門ジャンルが良く分からないような、ただのオタクというか・・・。しかもそういうタイプのオタクの方が、寡黙に己の道を行くオタクよりも声だけは大きいから、ある意味でオタクがますます誤解されるというか・・・。」

鼎「でも私はそれでもいいと思ったかも。作品を送り出す人の立場からすると、作品を楽しんでくれる人がいる事が最大の喜びでもあるし。萌えキャラに素直に萌えてくれるファンがいてくれたり、コアなシナリオに期待以上にどっぷりハマってくれるファンがいてくれたりすると、やっぱり素直にうれしいと思うよね。」

愛原「確かにな。マスターだけでもプレイヤーだけでも、テーブルトークは成立しないようなものだな。もしかしたらお互いに、車の両輪なのかも知れん。」

逆沢「けどウチのサイトの存在自体、よく考えたら、いわゆるオタクの主流派からしたら外れまくってるような気はするけどね。」

愛原「【俺たちの麻生!】ブームに異議あり!みたいなスタンスで、これまでずっとやって来たからな。俺は俺で、古くから続いてきた【こだわり】のある本流のオタクを続けてきた自負はあるが、最近の主流派(?)からみれば、既に本流から外れたオタク、もしくはオタクですらないのかも知れないな。いわゆる共通言語に対する関心や知識も、最近はほとんどなくなった状態だし。」

逆沢「まぁでも、それも独創性を保つには必要な事なんじゃない? ブームに媚びすぎてすっかりつまんなくなった作家さんとか漫画家さんとかも結構いるし。」

愛原「それは言えるな。昔、個人的にファンだった某作家が、数年の潜伏期を経て帰ってきたのは良かったが、作風があまりに変わりすぎてゲンナリした事もあるし。まぁ作家的には売れてナンボだろうから、世間のブームに便乗するという選択肢もアリなんだろうが、昔のその作家さんならではのオリジナル部分に惚れてた自分としては、激しくがっかりしたものだ。」

鼎「昔と比べて絵柄がどんどんロリ化してしまった絵師さんとかもいるそうだし、やっぱり世間のブームには抗えきれないのかなぁ?」

逆沢「せっかく売れっ子絵師さんとして活躍してたのに、いつの間にか絵柄が変化して(あるいはイメチェンに失敗して)、それで急に落ちぶれていった絵師さんも、過去何人もいそうだしね。」

愛原「様々な自主規制の影響で、ぬるいシナリオばかり書くように変わった作家さんもいる。いつの間にか記述内容が激変したブロガーとかも過去にいた。ファン獲得のための苦渋の路線変更なのか、本人も無意識の内に変わってしまっただけなのかは様々だろうが、正直残念だ。路線変更した結果、さらにパワーアップしてくれれば言う事はないが、オリジナリティーを潰して、ただの世間に迎合した駄作にしかなってないケースも多いからな。」

逆沢「世間のブームをうまく取り入れられたら、ますます大繁盛する事は間違いないだろうけど、それと引き替えにその人の長所(ウリとなる部分)をうっかり潰してしまったら、逆に転落一直線にしかならないしね。」

鼎「私達のウリは何かな?」

愛原「さぁな? とりあえずどんなに逆風が吹いても、【俺たちの麻生万歳!】みたいな作品だけは創らない事をウリにしておくかな。」









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