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愛原様のたわごと(11年9月3日)




愛原「また首相が交代する事になった。安倍政権が誕生して以来、5年で6人目か。我が国の政界は、先進国の中でも独自路線まっしぐらだな。」

鼎「今度、新しい総理大臣になるのは、野田佳彦さんらしいよね。」

逆沢「野田といえば、先週の土曜に放送された【たかじん胸いっぱい】内の企画で、ワースト順位だった人ね。確か?」

愛原「おいおい。何が一体ワーストなんだ? みんなに分かるように説明しろ?」

鼎「次期首相候補(?)として選ばれた8人(野田氏の他には、前原誠司・海江田万里・鹿野道彦・馬淵澄夫・小沢鋭仁・ 樽床伸二・谷垣禎一)で、人気投票をやったんだよ。」

逆沢「そうそう。それで野田さんがダントツのビリ。番組内でも野田さん以外の7人に関しては【○○さんならいい】とか【○○さんが一番マシかな?】みたいな感じでピックアップされてたけど、野田だけスルーされてたし。」

鼎「7位だった小沢鋭仁さんですら、一応、ふくよかな感じでよさげみたいなコメントしてた女の子がいたのに、野田さんだけそういう声がなかったよね。」

愛原「おいおい。ふくよかって何だよ? 一体、何を基準にしてんだよ! デブだろうがガリだろうがそんなもの、総理の条件に関係ないだろ?」

逆沢「それがあるのよ。投票のテーマが、【大阪でギャル達に聞きました。この中で抱かれるならだれがいい?】ってな感じだったから。」

愛原「何だよ、そのテーマは! 何の意味があるんだよ? その番組?」

逆沢「近畿広域圏ローカルのバラエティーだし、別にいいんじゃない? あの番組は毎度、あんな感じだし。」

鼎「東京キー局でやったら、かなりヤバそうな番組かも知れないけど・・・。」

愛原「・・・つまり要するに野田氏は、抱かれたくない男NO1に輝いた訳だな。キング・オブ・キモメン。鹿野や谷垣のような年金受給資格者(?)にも負けて。」

鼎「ちなみに1位は樽床さん。2位は前原さんだったよ。」

逆沢「樽床は全国レベルではマイナーかも知れないけど、大阪12区選出だから地元補正もあるし、8人の中では一番若いからね。あと前原と谷垣も京都府出身だし、馬淵も奈良出身だから、知名度的にはやや有利かな?」

鼎「じゃあ逆に関東で同じ質問をしたら、海江田さんとか野田さんが、抱かれたい男ランキングの上位に来るかなぁ?」

逆沢「アハハ。そりゃ私達には推測不能だわ♪」

愛原「ともかく大阪のギャルから見て(オトコとして)最も評価が最悪だった野田氏が、日本国のトップになった訳だ。別の意味で感無量だな。」

逆沢「ブサメンの時代がやって来たとか勘違いしないようにね。」

鼎「とすると今回のテーマはブサメン?」

愛原「んな訳ないだろ?! 前回の続きだ。今回のテーマは【借金】でやるぞ!」

逆沢「ええーっ!? 何そのつまんなそうなテーマ? 絶対ブサメンにした方がウケるって。」

鼎「以前にも散々言ったけど、経済関係のネタは特に人気ないから辞めた方がいいよ。」

逆沢「そうそう。野田さんが不人気なのも、もしかしたら前財務大臣な上、増税容認論をぶって不興を買ったり、市場介入で円高をどうとか庶民からしてチンプンカンプンな事をやったりしただけで、他の派手な業績が全くないせいだと思うし。」

愛原「やれやれ。世の中のというのが本当によくわからんわ。女性の有権者層は、いつ世論調査をしても景気対策ばかり重要視したがるくせに、経済の話には無関心とか。経済とか景気対策とかを、奴らは何だと思ってんだ?」

逆沢「そりゃしゃあねえわ。彼女達が政治に求める態度は、【私達の生活をもっと楽にして!】とか【もっと豊かな生活をさせて】って事であって、どうやって景気を良くするかとか、どうやって生活を楽にするかとかについてはほとんど無関心だから。」

鼎「女性の人は総じて数字の話は苦手だから、それで理系を目指す女性は男性と比べて少なめという話も聞いた事があるよ。女の人が関心があるのは、あくまで【儲け話】であって、どうやって儲けるかという【数学や経済学上の理論話】じゃないから。」

愛原「やれやれ。和牛商法で有名な安愚楽牧場がこの前経営破綻したが、その債権者集会が行なわれた時、集まった債権者の8割が女性だったそうだが、その理由が何となく分かったわ。連中は儲ける事だけが大好きな割に、本当に儲かるかについての勉強を全然しないから、それであんな無様な醜態を演じてしまう訳だな。」

逆沢「そういう鼻持ちならない態度も、モテない理由の一つのような気がするけどね。」

愛原「しかしマジな話。経済に興味のない人間が、求める政治の第一に景気対策を掲げても、俺としては正直失笑ものだぞ。まぁそういうふざけた態度の繰り返しが、今日の借金漬け国家を作り上げた気もするが。」

逆沢「だからそういうムカつく態度はやめろ! ウチのサイトを訪問して下さる人にも分かるように、ゲームがらみでネタはできんのか?」

鼎「そういえば戦国時代を舞台にしたSLGとかのように、国の経営をテーマにしたゲームでは、あまり借金経営はしないイメージがあるよね。」

愛原「かなり古い時代のKOEIの信長の野望などでは、一応、借金経営も可能な仕様になっていた。だが俺としても、使用した事はないな。」

逆沢「かなりのハイペースで領土拡張でもできない限り、借金した分に見合う効果が出ない事と、経営破綻のリスクを考えたら、どうしても地道に内政コマンドを繰り返したりして国力を高めていった方が確実だからね。」

愛原「実際に借金コマンドを使用するプレイヤーがほとんどいなかったせいかどうか知らないが、借金コマンド自体がシリーズの何作目からか、いつの間にか無くなってたな。」

逆沢「ところでリアルで戦国時代の大名家とかは、借金とかしてたの? なんか欲しい時に領民から臨時徴収したりするから、わざわざ借金する必要もないみたいなイメージもあるけど。」

愛原「んな事はない。例えば関ヶ原の戦いを前にして毛利家は、安芸の領民からかなりの借金をしている。」

鼎「でも毛利家は結局、関ヶ原の戦いの後に防長二国に減封されてるよね。とすると安芸の領民はどうなっちゃたの? もしかして借金も踏み倒されたの?」

愛原「関ヶ原の論功行賞の後、新たに安芸を領有することになった福島家が、ちゃんと毛利家に対して借金の返済を迫っているぞ。最終的に毛利家は、大坂の陣の少し前くらいにようやく借金を返済し終えたみたいだが。」

逆沢「つまり戦国時代の大名達も、大きな戦の前とか、大きな出費があれば、やっぱり借金はしてたって事ね。」

愛原「まぁ理論的には増税という形でいくらでも緊急徴収は可能だが、むやみにそんな事をしたら一揆が頻発しかねないからな。ともかく毛利家の場合は、増税ではなく借金という形で、関ヶ原の戦いに必要な財源を急いで集めた形になる。

逆沢「なーんだ。戦国時代も平成の今も、財源を集めるには税金借金のどっちかしかないというのは、結局同じなのね?」

愛原「事業をやって儲けるという方法もあるけどな。ただ役所がカネを集めるメイン方法といえば、やはり税金。そしてメインにすべきではないが、借金という方法もあるのが現状だ。」

鼎「でも借金って、後で利子を付けて返すのが普通だよね。とするとできたら無借金経営がベストだと思うのに、それでも借金しちゃうのはどうしてかなぁ?」

逆沢「足りなければ借りるしかないって事じゃないの?」

鼎「でも後で返せるメドもないのに借りたら、後で大変なことになるよね。」

逆沢「私達個人の場合は、借金が返せない場合は、踏み倒すか破産宣告を受けるしかない訳だけど、国や行政機関が返済不能になったらどうなるわけ?」

愛原「そりゃ個人の場合と同じ。やっぱり踏み倒すしかない。江戸時代でも徳政令とかやってるだろ。あれと同じ。」

逆沢「なーんだ。それだったら日本政府もさっさと借金を踏み倒せばいいのに。そしたら増税も必要なくなるし、色々スッキリするじゃん♪」

愛原「うかつに踏み倒したら、日本自体が速攻で倒れるぞ。」

逆沢「なんで? どうせ国債買ってるのは、ほとんど大企業とか大金持ちとか海外勢だけだろうし、私達小市民には関係ないじゃない?」

愛原「お前は連鎖倒産という言葉を知らんのか? 銀行一つ潰れるだけでどれだけの中小企業が倒れると思っているのだ? たった一つの金融機関の破綻から始まったリーマンショックで、世界経済がどれだけ冷え込んだのか、もうお前達は忘れたのか?」

鼎「あっそっか。そういえば日本でも15年くらい前に住専問題を発端とした金融危機があって、政府がたくさんの金融機関に資本注入した事があったよね。」

愛原「国債を最も買ってるのは、日本国内のメガバンク(ゆうちょ銀行に至っては総資産の約75%)を中心とした金融機関だ。つまり日本政府がデフォルト(借金を踏み倒すという)宣言した場合、日本の銀行もバタバタ倒れる事になる。また投資家達も、二度と日本の国債を買わなくなる可能性が出てくる。国債を買ってくれなくなれば、国を建て直そうと思っても、建て直すだけの資金すら調達できなくなってしまう。」

鼎「うーん。借金を踏み倒した直後に、再びお金を貸して下さいとお願いしても、誰も相手にしてくれないだろうというのは、確かに分かる気がするかも。」

愛原「だから通常の場合、もしもそういう危機的な状況になった場合は、デフォルト宣言するまでにIMFなどに要請して、国際社会に助けを乞うのが基本になる。」

逆沢「あれ? そういえば数ヶ月前にアメリカで、デフォルト宣言がどうとか言ってた事があったけど、あれは結局何だったの?」

愛原「アメリカは日本と比べるとまともな国だから、国債発行額に上限が設定されているのだ。で、その上限ギリギリになったから、デフォルト宣言か上限引き上げの二択になった。だが常識的に考えて、上限引き上げの余裕があるのにデフォルト宣言なんかする訳がないからな。与野党の駆け引きのせいもあって少しゴタゴタしたが、最終的には誰もが予想した通り、上限を引き上げてそれで終わり。ただそれだけ。」

鼎「日本にはなんで上限がないの?」

愛原「昔の日本は、もっとまともだったんだがな。というか戦後の日本では、本来、赤字国債の発行は禁止されている。発行していいのは建設国債だけだ。」

鼎「ほえっ? 建設国債と赤字国債はどう違うの?」

愛原「タテマエとしていえば、建設国債は公共工事による投資事業を行なう目的による借金だ。当時は東名高速道路や東海道新幹線を中心としたインフラ整備が急務で、なおかつそれらは投資に見合う利益が十分に見込める投資事業だった。つまりぶっちゃけた言い方をすれば、政府によるお金もうけを目的とした借金と言えなくもない。」

逆沢「企業や経営者の人がやる借金と同じ中身ね。事業を行ないたいけど、元手が足りないからとりあえず借金するってパターンというか。」

鼎「でもその事業が上手く行く見込みがあれば、それはすごく意味のある借金だよね。」

愛原「その通りだ。借金する事自体が悪ではない。儲けるチャンスがすぐそばに転がっているのに、元手がないから諦めるというのは、商売人の発想ではないからな。ラーメン店一つ開くだけでもある程度の元手は必要になるし、元手がないから直ちに諦めるというのもつまんない話だ。誰も貸してくれないなら仕方ないが、貸してくれるなら、今がチャンスという時に勝負を賭ける発想はとても大事だ。特にもしもその事業が早い者勝ち的なものなら、誰かがその事業を始める前に始めないと手遅れになりかねないしな。」

鼎「ゲーム作りもそんな所があるよね。完成が遅れると鮮度が薄れてしまったり、内容によっては別の誰かに似た作品を出されてしまう事もあるし。あるいは作り始めた当時は最先端の技術を使用していても、完成していた頃に時代後れになったり、ありふれた技術になってる可能性もあるし。」

逆沢「じゃあ赤字国債の方は?」

愛原「単純に赤字を埋めるための借金。こちらは本当はしてはいけない。事業目的とか投資目的の借金と違って、生活レベルを維持する為の借金と解釈しても構わない。」

逆沢「ああ、要するに【今月急な出費があって、お金が足りないの。お願い。10万ほどお金を貸して。給料日が来たらきっと返すから。】みたいなノリの借金って事ね。」

鼎「でもそういう感じでお金を借りた人は、案外、次の給料日が来てもお金を返してくれない気がするけど、これは気のせいかなぁ?」

愛原「多分、気のせいじゃないだろうな。例えば、毎月たとえ2万円ずつでも地道に貯蓄し続けているような家庭なら、10万円くらいの預貯金は常にあってもおかしくないし、逆をいえば10万円を借りたがるような家庭は、貯蓄できるお金がないほどに、収支ギリギリのカツカツ生活をしているはずだ。そのキリギリカツカツの生活をしている家計状況の中で、次の給料日が来てたとえ2万円ずつでも返してしまったら、その月の生活費が2万円分足りなくなってしまうのは目に見えてるだろう?」

逆沢「で、結局借金を踏み倒すか、もしくは自転車操業状態の無限ループにはまるって事ね。」

鼎「消費者金融でたった10万円借りてしまった人が、いつの間にか破産宣告せざるを得なくなってるという話も昔、よく聞いた記憶があるけど、つまりはそういう事だったのかなぁ?」

愛原「毎月の収入が増える。もしくは確実な臨時収入の見込みがあるならともかく、そうでないなら【生活レベルを維持する為(もしくはより贅沢をする為)の借金】は絶対にしてはいけない。借りた金額の多い少ないに関わらず、結局は【生活レベルを落とす事で浮いたお金を、返済に回さざるを得なくなる】か破綻のいずれかに追い込まれる事になる。」

鼎「じゃあ、当月の生活費が赤字になりそうで、なおかつ預貯金もない場合は、どうするのがいいのかなぁ?」

愛原「最初から生活レベルを落として、我慢して過ごすしかないだろな。借金をしてまで【生活レベルを維持】した所で、結局は豊かな生活を前借りしただけに過ぎず、最終的には【借りた分+利子分】だけ、後で余分にひもじい思いをさせられるだけだ。まぁ遅いか早いかの差だけで、最終的に生活レベルを落とさなくてはならない点は同じ。いや、正確には、生活レベルを落とすタイミングを遅らせる程、さらに利子分だけ後で余分にひもじい思いをする事になる。まして破綻状態まで先送りし続けようものなら、もう人生のやり直しすら困難になってしまう。」

鼎「つまり逆を言えば、赤字になりそうだと思った時点で、最初からぜいたくをやめるなどして素早く生活態度を改める事さえできれば、赤字国債型の借金はしなくて済んだって事かなぁ?」

愛原「まぁ、実務的な障害はたくさんあるが、基本的にはそうなるな。たとえば【大きな政府】とか【小さな政府】とか、あるいは【中福祉中負担】とかいう用語は聞いた事があるか?」

鼎「聞いた事あるよ。確か【大きな政府】というのは、国防費や社会福祉は充実してるけど、その分税金は高い方針の政府の事。逆に【小さな政府】というのは、税金は安いけど政府は国防費も社会福祉費用も最小限に留める方針の政府の事だよね。【中福祉中負担】というのは、麻生さんがよく使ってた言葉で、中程度の税負担と社会福祉などを目指した政府方針の事だよね。」

逆沢「つまり高レベルの行政サービスを受けたければ、それだけの税金を払えって事ね。」

愛原「そう。つまり赤字国債を出さなければならない状況というのは、イコール【現状では、今までの行政サービスを財政的に維持できない状況】という事になる。つまり究極的な事をいえば、国民は次の内どれかを選択しなければならない(複数選択可能)。@行政サービスを下げる。A今の行政サービスを継続して受ける為に増税を容認する。B無駄を省くなどの行政効率化を推進する。

逆沢「それらを組み合わせても、足りなければ赤字国債を出すしかないという訳ね。」

愛原「行政サービス自体は、事業や投資と違って、それ単独で利益を産まないからな。建設国債とは目的も質も全然違うのだ。(但し、現実には建設国債も、どう転んでもそれ自体が利益を出さないような福祉的公共事業ばかりに使われてる感じがするが・・・。当然ながら福祉的公共事業は、実質的に行政サービスに含まれる。例えば採算度外視で橋を造るとかいうのは、営利事業とはとても呼べず、単に住民の生活をより便利にする為の行政サービスに過ぎないという事になる。)」

鼎「つまり赤字国債を出す状況というのは、既に今までの生活レベルを維持できない状況まで財政が悪化しているのに、それでも生活レベルを維持したいとか、不相応なほどに生活レベルを上げたいと考えた結果、最終的に手を出す禁断の手法って事かなぁ?」

愛原「まぁ容赦のない言い方をすればそうなる。さっき逆沢がおばちゃん口調で出したあの例と同じだ。お金もないのに、むやみに生活レベルを維持したい(もしくは生活レベルを上げたい)だけの人間がやる、一種の悪あがき。事業や投資目的とは全然別類の借金。究極的な事を言えば、公務員の存在自体も、基本的には利益を産む存在ではないからな。警察官も消防隊員も市役所の職員も、それ自体は快適で安全な市民生活を維持する為の行政サービス要員でしかない。だから公務員の扱い一つとっても、@公務員の数を減らす(行政サービスレベルを下げる)か、A増税を認めて彼らをそのまま雇い続けるか、B今までより安月給で彼らを働かせるなり、配置転換による業務推進を行なうか(行政効率化)なりを選択する形になるのが本来のあり方になる。」

逆沢「あくまで赤字国債に頼るのは、邪道中の邪道って事ね。」

愛原「その繰り返しが、あの悲惨な第二次世界大戦での日本の行動にもつながっているからな。戦後、赤字国債を認めないルールに変えたのも、戦前の反省があるからだ。いずれ好景気がやってきて借金も返せるだろうというのは、残念ながら妄想でしかない。世界中からうらやましがられるほどの空前の高度成長期を体験したにも関わらず、それほどの経済成長率を経てなお、借金が増えるばかりというのが、何よりの証拠だ。」

鼎「つまり赤字国債による借金分だけは、今更どうやっても返せないって事かなぁ?」

愛原「残念ながら、生活レベルを落とすしかないな。重要なことだから何度も言うが、行政サービス自体はあくまで利益を生まないからな。公務員はあくまでサービス業。散髪屋にお金を渡す事で調髪してくれるように、公務員に給料を渡す事で泥棒を捕まえたり施設を維持してくれるというだけの事。払うお金もないのにサービスを受け続けようというのは無茶だし、まして借金し続けてまで身の丈に合わないサービスを受け続けると、後で恐ろしいことになる。」

逆沢「でもちょっと待って。本来、禁止されているはずの赤字国債が、なんで毎年発行され続けているわけ? ほら気がついたら、歳入の過半数が国債によるものって話もあるし。年収300万円の人が300万円以上の借金を毎年重ねているようなもので、超異常事態だとも思うんだけど。」

愛原「事実上、建設国債も赤字国債と同じような目的で使われているから、建設国債分も込みで話をさせてもらうぞ。まず1970年代まで。つまり高度成長期の頃の国債は割合として本当にわずかだった。だが1970年代前半に田中角栄が政権を握りだした頃に、日本列島改造計画などが持ち上がり2兆円台に。さらに1975年に経団連による企業献金が再開されて当時【財界主導の財政赤字】といわれる歴史イベントが発生。5兆円台から15兆円台まで一気にふくれあがる。」

逆沢「もしかして今日の財政赤字の元凶は、経団連かっ!!」

鼎「私は企業献金という名のワイロそのものと思ったかも。当時の政権は、彼らから献金を受け取って、その見返りに国民を借金漬けにしてまで彼らに公共事業とかを流し続けた訳だから。」

愛原「まぁそれでも阪神大震災(1995年)が起きるまでは、最大16兆円までだったからな。1979年の時点で14兆円の借金をしていた事を思えば、15年以上、ずっと横ばいだったから、まぁまぁだったという事かも知れん。阪神大震災があった年はさすがに20兆に達したが、これも許容範囲。翌1996年も住専問題とかがあって、このあたり数年は日本経済にとっても試練の時代だったが、それでも20兆前後に留まり続けた訳だから、まぁ当時の政権は頑張った方かも知れない。」

鼎「でもここ数年は、40兆円とか50兆円とか、とんでもない数字になってるし、どうしてそんなおかしな事になっちゃったのかなぁ?」

愛原「財政面で日本をどん底に突き落とす原因を作ったのは、おそらく小渕政権だと思われる。」

鼎「確か【世界一の借金王だ】とか得意げになってはしゃいでた人だよね。最初の支持率は20%台だったのに、お金をたくさんばらまいた途端に支持率が50%近くまで急上昇して、惜しまれながら亡くなった印象があるかも。」

逆沢「ほとんどの政権の支持率は、政権発足当初が一番高くて、最後は石を投げつけられてもおかしくないような低支持率で政権を去るのに、小渕政権はその点でも真逆だったわね。公明党を連立に加えたり、住基ネットや日米ガイドラインの制定に向かって突き進み始めたあたりから、急に支持率が上がり始めたというか。大量の国債発行が煙幕替わりになってたのかも知れないけど。」

愛原「うん。阪神大震災時があった年でも20兆しか出してないのに、小渕政権になった途端に何をトチ狂ったか、いきなり34兆円。翌年も36兆円。その次も34兆円(急死したので実質的に執行したのは森政権だが)。これで財政はほぼ破綻確定状態。小泉政権でも30兆円枠が問題視された事があったが、この頃から借金で借金を返す自転車操業が本格化しだしたと言っても良い。」

逆沢「確か30兆円枠を越えた時に、【この程度の公約違反は大したことない】とか言ってたわね。名セリフというか暴言というか。」

愛原「後は坂道を転げ落ちるように転落一直線。リーマンショックでの不幸も重なって、鳩山政権時には総額50兆円以上出してるからな。」

鼎「でもリーマンショックは不幸イベントだし、仕方ないような気もするけどどうかなぁ? 今も増税反対の空気が強いし、景気が悪いときに増税すべきでないという意見もすごくもっともな気がするけど。」

愛原「相対的には正論ではあるな。好景気の時というか、稼げる時にしっかりお金を貯めて、不景気の時や不幸な時にそのお金を回してしのぐというのは、一般企業や家庭レベルでも常識の発想だ。だがこの国の場合はな。いくら好景気の時でも【景気の勢いに水を差す】とか言って、やっぱり増税には反対するんだ。それどころか景気がいいからと調子に乗って、無駄な公共事業を乱発する。まるで予算はしっかり消化しないともったいないと言わんばかりに。」

逆沢「うーん。頭の悪い道楽人間のような発想ね。競馬とかで当てて臨時収入が入ったら、調子に乗って散財してしまう。逆に財布の中が寒くなっても、お酒もやめずに借金ばかり重ねるみたいなノリと同じってか。」

鼎「でもそういう人を笑えないかも。私達の心の中にも、国の税金は所詮自分の財布の中身じゃないからみたいな感覚の人がありそうだし。」

逆沢「増税には反対。でも児童手当や子供手当てには賛成って人も多そうだしね。高福祉低負担って、そんな事ありえる訳がないのに。」

愛原「この手の借金は、【幸福の前借り】でもあるのだ。快適な生活を前借りしているだけで、いつかは返さなければならない。借金で贅沢しても、そのツケはいつか必ず払わされる事になる。そして今の流れで行くとおそらく、前の世代で身の丈に合わないぜいたくを続けたツケを、これからの世代が重く払わされる事になるだろう。」

鼎「でも借金って、借りてる人が返すものじゃないの? これからの世代が贅沢してきた訳じゃないのに。それっておかしくないかなぁ?」

逆沢「でも年金制度もそんな感じになってるわね。今、90歳以上の世代は、元々現役時代に年金なんかほとんど払ってないし。そういう払いもしないのにもらい続けている世代がいるから、そのツケを払わされる世代も出てくるわけで。」

愛原「得をした世代がいるあおりで、後の世代が大変な目に遭おうとしている例は、意外とあちこちにあるからな。たとえば阪神大震災を経験した兵庫県議会も、そういう矛盾を抱えていたりするぞ。」

逆沢「ん? どんな矛盾だ?」

愛原「兵庫県議会は統一地方選挙に併せて改選を行なう事になっているのだが、震災の年だけ例外措置が取られて、本来4月末の選挙直後に退任になるはずの議員が6月10日まで居座ったんだ。で、ボーナス支給日が6月上旬の為、その当時に所属していた議員は、ボーナス一回分、まるまる余分に受け取ってニコリと退任。逆に新議員達はボーナス支給日が終わった直後に仕事始めになるので・・・、後は分かるな?」

逆沢「つまりボーナス一回分、もらえなくなったって事か?」

愛原「うん。通常ならそうなる所だが、それも理不尽って事で、兵庫県議会はそれからずうっと、選挙は4月にやるのに議員の入れ替えは6月11日という訳分からない状態になっている。なので兵庫県議会では4月の統一選挙から6月中旬まで、県議会も開かれる事なく、空白の2ヶ月がずうっと続くのだ。」

鼎「いつまでも元の状態に戻さないのは、みんなボーナス一回分がやっはり惜しいからかなぁ?」

愛原「議員年金の問題もある。議員年金をもらうには、3期12年以上の在籍期間が必要になるのだが、もしも元の状態に戻した場合、本来、3期12年目になるはずの議員の在籍期間が3期11年10ヶ月になってしまう。つまりその年の兵庫県議会議員が議員年金をもらえる為には4期目も当選しないと駄目になってしまう訳だが、4期16年も当選し続けられる議員というのは、実はそう多くはないからな。」

逆沢「つまり震災の年に2ヶ月余分に在籍してボーナス一回分余分にぶんどった議員達がいたおかげで、選挙の年の度に毎回、6月中旬まで県議会が開かれることもなく、実質2ヶ月間、県議会が機能不全状態になる異常事態が、兵庫県議会では未だに続いてるって事ね。」

鼎「選挙を延長した東北地方の自治体も今後、とても要注意だよね。」

愛原「これも借金による理不尽と同じケースだな。誰かが理不尽に幸福を多めに取ってしまったおかげで、誰かが理不尽に不幸を多くかぶる事になる。さらにその不幸を理不尽にかぶる事をみんなが拒否すれば、いつまでも不幸な状態そのものが続いて、さらに問題は深刻化する事になる。」

逆沢「今の財政問題も、まさにそれね。借金は増え続けているのに、誰もそれを返済しようとしないから、ますます借金の額だけが増え続けている状態だし。」

鼎「とかいって生活レベルを落とすのも、口で言うほど簡単じゃないよね。昔はエアコンのない生活が普通だったと言った所で、エアコンつきの生活に慣れた人が急にエアコン抜きの生活レベルに落とすのも、すごく大変な事のような気がするし。」

愛原「それも自己破産する人が後を絶たないカラクリの一つだな。パチンコでも性風俗でも何でもいいが、ぜいたくな快感の中毒症になってしまった人間は、いくら貯金が尽きても、簡単に元の質素な生活には戻れない。そして自制心がない人間ほど、返すアテのない借金を重ね、人生を崩壊させていく。」

逆沢「今の日本人自体が、そういう状態になっているのかもね。負担額に見合わない高福祉を当たり前と思っているというか。借金を重ねて維持しているように見えても、それは所詮、幸福の前借りにしか過ぎないのに。」

愛原「モンスターペアレンツとかを笑えない状態だな。何かちょっとでも、自分達の生活レベルを低下させかねない政策が披露されれば、すぐに政府のせいにして叩く叩く。まるで政府は善政をやって当たり前と思いこんでるというか。政府は打ち出の小槌なんか持っていないのに。」

鼎「でも国民の無知につけ込んで、借金で国民をぜいたく漬けにして懐柔しようとした過去の政権も、すごく罪深いと思うよ。」

逆沢「ちょっと待て。ぜいたくな思いをしたのは、公共事業の関係者と公務員達と経団連関係者くらいでしょ。小渕が何十兆ばらまいたか知らないけど、こっちにはさっぱり実感ないし。私からすれば、【どこに何十兆も消えたの?】って感じなんだけど。」

愛原「小渕らのバラマキ行為によって誰が一番得をしたかは知らないが、とにかく我々はとんでもない額の借金を背負わされている。にもかかわらず、福祉レベルを下げる気もない。無駄を省こうとしても、それにすら反対する奴らが多くいて切り込めない。それでいて増税には反対? じゃあどこで財源の辻褄を合わせろと言うのだ? まだ借金か?」

逆沢「あんたなら、どこで辻褄を合わせようとする?」

愛原「そりゃあ無駄・・・、というか優先順位が低い事業を全て切る。例えばスーパー堤防とかな。あと特別会計関係。それと公務員の人件費の切り下げは何にも増して重要だ。国家公務員関係は多少マシになったが、地方公務員関係なんかは野放図状態だしな。正直、今の状態でいくら増税しようが、その増税分は、公務員の懐に流れていくだけ。公務員のポケットとつながる穴の空いたバケツに、庶民の血税をいくらつぎこんでも全く意味がない。今のままでは公務員救済の為の増税になりかねない。無駄を切り詰めるだけで何とかなる額でないのは分かっているが、穴の空いたバケツの中にお金を垂れ流し続けるのは、さすがに無駄だ。」

逆沢「なるほどねー。いかにも男性的な発想だとも思ったわ。」

愛原「ん? それはどういう意味だ?」

逆沢「最初の方であんた自身が言ってたでしょ。女性は【どうやって景気を良くするかとか?】とか【どうやって儲けるか?】という理論話よりも、【景気を良くなる事】【儲かる事】に関心があるって。つまり理屈にはそんなに関心がなく、結果にこそ関心がある。手段よりも目的が大事って感じかな?」

愛原「ふむふむ。」

逆沢「逆に言うと、男性は目的よりも手段。結果そのものよりも、手順とか過程とか理屈を重んじるって事なんじゃないかなぁと思って。」

鼎「あ、それ、何となく分かる気も。ほら男の人は、イデオロギーとか論じるのが好きな人も多そうだし。女の人は政治体制がどうであれ、自分達が幸せであれば文句はないけど、男の人は自分の信仰する政治体制とか、自分が尊敬する指導者でないと気に入らないという人も多そうだし。」

逆沢「そうそう。気がついたら目的よりも手段の方が大事になってる人も多そうだし。家族のために働いているといいながら、気がついたら家族のことを見向きもせず、会社にこもって働くことが目的になってしまってたり。日本のためといいながら、ターゲットロックした仮想敵を攻撃する事だけが目的になってしまってたり。そんな人、ちょくちょくいるでしょ。」

愛原「でもお前らの結果主義も、やっぱり大問題だと思うぞ。【要は今が幸せならそれでいい。手段は問わないし関心もない。】という態度が、借金という安易な手法による幸せの先食いにつながってしまってるんだからな。どうせお前ら、未来のことは未来の人が考えたらそれでいいとか、そんな無責任な事を考えてるんだろう?」

逆沢「んな事言ってもねー。やっぱ財政とか経済の話は難しいのよ。それにお金のことに細々とした人は、ケチなイメージとか、神経質なイメージもあって、それで不人気なんじゃないかな?」

愛原「俺自身は、神経質とは真逆のタイプなんだけどな。むしろ後ろをふり返らない突撃タイプだぜ。」

逆沢「でもアンタ。もしあの人気投票に9人目のキャラクターとして参加したら、多分野田さんより下行くと思うわ。」

愛原「!!!」








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