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愛原様のたわごと(11年9月16日)






愛原「今回も、いつもの調子で暴れることにするぞ。」

逆沢「【いつもの調子】って、いつの調子だ? ここ最近続いてる痛い話の流れなら、ノーサンキューなんだけど。」

鼎「最近の話題は、ネタとしても何となく使いにくいよね。」

愛原「うん。ゲーム内のネタとして使えそうなら、ゲーム内のネタに使って消化してもいいんだがな。このコーナーで話題にするしか消化するところがないから、このコーナーで消化している感じだな。」

逆沢「つまりこのコーナーは、廃棄物処理場って事か?」

愛原「廃棄物呼ばわりはやめろ。俺様のお言葉は、いつでも金言だ。ありがたーく拝聴しろ。」

鼎「このコーナーは【お言葉】でも【金言】でもなく、【たわごと】のコーナーだよ。」

逆沢「そうそう。自分のコーナーの名前まで忘れたのか、このブタは? このコーナーはあくまで、真面目に耳を傾けるにも値しない【たわごと】のコーナーなのよ♪」

愛原「畜生・・・。だが俺はめげないぞ。今回はここ最近続いてる流れの集大成のようなテーマを扱うつもりなんだからな。」

逆沢「集大成? 何、でかい事言ってんだか?」

鼎「それで今回はどんなテーマなの?」

愛原「うむ。その前にちょっと前座として、ゲームがらみのこんな話をしたい。例えばRPGとか少年誌とかには、いわゆる【敵】とか【悪】といわれるポジションのキャラクターや組織が存在するだろ?」

鼎「【敵】や【悪】が存在しないと成立しない作品も、すごく多いよね。」

逆沢「でもそれは、別に漫画やゲームの世界だけじゃないでしょ? 宗教にしても政治にしても、敵や悪の存在はつきものだし。【悪】とされる行いや考えがあるから、【善】とされる行いや考えもあるわけで。」

鼎「【あんな悪い事をしたらダメだよ】って教えがあるからこそ、【良い事をたくさんしましょう】みたいな教えが生きるというのはあるよね。」

逆沢「【悪人】とか【悪の国家】が存在するからこそ、その悪人や悪の国家を成敗したり矯正する自分達の行いが正当化されるというのもあるしね。」

鼎「少年誌にしろゲームにしろ、一番受けるテーマは【争い(バトル)】だから、【対立する敵】が必要なのも当然だし、その敵が悪であればあるほど、それをやっつけようとする主人公側にとって都合がいいというのもあると思うよ。」

逆沢「最近は、絶対悪じゃなくて、同情の余地のある悪とか、悪と呼ぶには少し微妙な対立相手というのも、より登場するようにはなってる気もするけどね。」

愛原「俺としては、漫画もゲームも、スカッと楽しめたらいいなという思いがあるから、基本的には勧善懲悪ものの方が好きなのだが・・・。」

鼎「7lcwシリーズでの黒藤軍あたりが、ちょうど絶対悪的な存在だよね。」

逆沢「でもひとそれの方は、逆に絶対悪的な存在が全くと言っていい程、出てこないみたいだけど、これは何で? 心境の変化でもあったの?」

愛原「心境の変化って程でもなさそうだけどな。強いて言えば【相手の立場】というか【相手の言い分】みたいなものに、光を当てたくなったという所かな?」

鼎「そういえば、ラスボスを倒した後、そのラスボスが悪に走った理由を主人公達が聞いて、それで主人公達がラスボスの言い分に同情を抱いて、それなりに綺麗に終わるパターンも割とあるような気がするよね。」

愛原「ああ、俺はそのパターンは少し苦手な方だから、自作ゲームでそのパターンをそのまま踏襲するつもりは今の所ないぞ。」

逆沢「何で? 相手の言い分に耳を傾けて心を通い合わすというのは、定番中の定番じゃない?」

愛原「【北斗の拳】的なパターンといえばいいのかな? モブの敵は容赦なくぶち殺すのに、一部の大ボスにだけ同情的になるようなパターンは、どうも苦手なのだ。確かに敵キャラにも敵キャラなりに、家族もいれば同情を寄せたくなるような過去もあるだろうし、納得したくなるような言い分もあるだろう。そういう部分に同情して、悪役と心を通い合わす事自体はまぁよい。だがそれならモブの敵にも、同じくらい同情を寄せてやれよとも思うのだ。」

逆沢「めんどくせ〜。そんなヌルい事をしたら話が全然前に進まないじゃない? 現実社会でも、その他大勢の敵兵を船ごと沈めて皆殺しにしたり、無差別空爆で無辜の住民も殺し回るのに、最終的に降伏した敵国の国家元首達は赦すみたいな光景は十分あり得るわけだし。」

鼎「でもスポットが当たらなかったモブは皆殺しスポットが当たったメジャーどころだけ優しくというのは、やっぱりなんか変かもとは思ったかも。昔のがけっぷち犬報道のエピソードを思い出したかも。」

逆沢「毎日のように保健所に運び込まれていく野良犬らの末路には無関心なくせに、がけっぷち犬にだけ飼い主希望者が殺到した例か? 本当にスポットが当たった奴は得だなとは、まぁ私も思わなくもないけどね。」

愛原「俺はそういう部分に昔から違和感を持っていた。なのでモブだからといって、ずさんな扱いにはなるだけしないようにとも思っている。特に新作では穏健派の三方監督に重しを置く事で、捕らえたカオス戦士らにもできるだけ無体な扱いをしない仕様にしたつもりだ。」

逆沢「三方監督という人は、どんなに仕事が忙しくても、血も涙もない流れ作業でカオス戦士を扱ったりは絶対しないタイプだと思ったわ。モブの敵の言い分にもちゃんと耳を傾けて、それなりに説得しようとしちゃうタイプだしねー。」

愛原「以上、ここまでが今回のテーマの前置きな。」

鼎「なんか、原発や財政をテーマにした前回までの流れとは違った感じになりそうだよね。で、今回のテーマは何?」

愛原「今回のテーマは【利権】だ。」

逆沢「だーっ!! 結局、いつもの調子かー? ってか、今までの前置きはどうした? 利権と何の関係がある?!」

愛原「おいおい。利権は【悪】とか【悪い敵】を表す象徴のようなキーワードそのものではないか? 【利権をむさぼる者=悪のキャラクター】というのは、時代劇だけに限らず、あらゆるドラマや小説・漫画などで使用される定番そのものだろうが。」

逆沢「ま、まぁ・・・、確かにそれはそうなんだけどねー。利権という言葉を聞いて、いいイメージを抱く人なんかいないだろうし。」

鼎「利権をむさぼっているシーンを入れるだけで簡単に、【このキャラクターは汚い心を持ったゲス系の悪玉キャラクターだな】と、プレイヤーや読者に認識させる事ができるよね。もしかしたら殺人シーン以上に、悪役認定しやすい便利なシーンかなと思っちゃう事もあるよ。」

愛原「もちろん俺もその一人だ。というか俺は、元来、利権には不寛容な側の人間だからな。俺にとっても【利権=悪】だ。今、製作中の内容にもこの部分は色濃く出てくる事になる。もちろん、利権や既得権益に固守する者が、そのまま善玉として扱われる事もない。」

鼎「けど利権というのは、結局どういうものなのかなぁ?」

愛原「うーん。国語辞書などによって若干の解釈の差があるが、一般的には【政治家や役人などの権力者と結びつく事で得られる不当な利益】という感じになるのかな? 特に強調すべきは【不当な利益】の部分だろう。不当でなければ誰も怒らないし、悪い行いと認識される事もない訳だから。」

逆沢「けどこの不当の中身があやふやなのよね。確かに世間一般の人から見て【不公平】とか【ずるい】とか思うけど、必ずしも違法行為とはいえない部分もあるし。」

愛原「違法とか犯罪行為であれば、利権などという表現をせず、そのまま違法とか犯罪と呼べば済む話だからな。まぁ本当は違法行為であっても、役人らが見て見ぬ振りをしていたり、証拠不十分であったりして、結果的に違法行為でない扱いの枠に収まってるケースも多いだろうが。闇カルテルとかを始めとした談合行為や口利きを通じた斡旋行為とか、そういう分野でかなりありそうだ。本当なら独占禁止法やあっせん利得処罰法などで、もっと厳しく処罰されるべきなんだが・・・。」

逆沢「各新聞社の休刊日や新聞代金が横並びなのも、独占禁止法的な観点で言えば明らかにおかしいしね。」

鼎「結局、利権を一言で表現すると、【ずるい利益】という事になるのかなぁ?」

愛原「辞書にはそのまま載せられないような漠然とし過ぎた解釈だが、案外そんな所だろうな。東電社員達があれほどの不祥事を起こしても守られていたり、役人らの平均給与がやたら高かったりする事に対して、我々が【不当利得】だとか【ずるい】と感じれば、それは利権に含まれるんだろうと思う。」

鼎「でもプロ野球の選手の中にも、大して活躍しない割にやたら年俸の多い選手がいるけど、その人達の待遇を指して【利権】という人はいないよね。これはどうしてかなぁ?」

逆沢「別に【不当利得】とか【ずるい】とまでは思われてないからじゃない? 別に私達が納めた税金が、プロ野球選手の給与に回されている訳でもないし。単なる商売上手の枠内で収まると解釈できそうだし。」

鼎「とするともしも東電が独占企業でなかったり、税金で賠償金などを補填されてなければ、東電社員の給料がいくら高くても、利権扱いはされずに済んだという事かなぁ?」

愛原「何を利権と位置づけるかは人それぞれだが、俺個人の意見で言えば利権呼ばわりするのは、やや厳しそうな気がしなくもない。もっとも電力会社のバックには、経産省や電力労組。そしてそれらと関わり深い自民党や民主党らがいるから、利権と無縁とまでは絶対に言うつもりはないが。」

鼎「つまり何が利権に値するかについては、結局はそれぞれの人の主観によるという事になるのかなぁ?」

逆沢「そりゃ、そうでしょ。少なくとも公務員の人自身は、自分達の給与や待遇について尋ねられても、おそらく【正当な権利】と答えそうだし。中には【そんなに嫉妬するなら、お前らも公務員になれば良かっただけじゃないか?】と言う人もでそうだし。」

鼎「うーん。でも後半の部分に関しては【バレない犯罪は犯罪じゃない】とか【捕まらなければ何をしても良い】と同類のすごくおかしい理論だと思うけど・・・。実際に、彼らが不当に多くの報酬を受け取るからこそ、財政がここまで悪化したという方が正論な気がするし。」

逆沢「でも少なくとも、利権を得ている側の人が【私は利権を得ています】とは決して言わない気がするけどね。公共工事関係でも、受注業者側の人は必ずと言っていい程【十分な利益が見込める】とか【地元経済の発展のために必要】とかばかりで、【たとえ赤字になっても、俺が儲かったらそれでいいんだ】とは絶対に言わないし。もちろん最終的に酷い赤字になった所で、推進した責任も取らないし。」

愛原「利権というものは【利権を得ていない者】側から見たら利権以外の何者でもなくても、【利権を得ている側の人間】からみれば、常に正当な権利に感じられる、もしくは正当と主張しなくてはならないものなんだろうな。」

逆沢「お金持ちの人がよく使う言い訳と同じね。【金持ちには金持ちなりの苦労があるんだ】と同じニオイというか。政治家の世襲批判が問題になってた時も、似たような反論をしてた議員さんもいたような気がしたけど。」

愛原「でも麻生や鳩山に対して、【じゃあ俺達が金持ちの苦労とやらを多少なりとも引き受けてやるから、財産の半分をよこせ】と言ったら、彼らは絶対に拒否するだろうけどな。」

鼎「お金持ちの人なりの苦労とか、世襲議員なりの苦労とか、公務員なりの苦労とかいうのは、実際にたくさんあると思うよ。でも年収300万円未満の契約社員の人と地位や財産を交換しようと提案したら、普通は絶対拒否するよね。冷静に考えたら、どっちの立場がマシかくらい誰でも分かる話だから。」

愛原「もっともお金持ちや政治家や公務員の全てが、いわゆる利権漬けかといえば、これはひどい偏見だと思う。プロ野球選手や一部芸能人の年俸がいくら高額でも、正当な報酬といえるケースはたくさんあるように、報酬に見合った働きをみせる富裕層や政治家や公務員もたくさんいるはずだ。ここはしっかり分けて考えなくてはいけない。」

鼎「今回のテーマは、あくまで利権だよね。第三者からみて【ずるい】とか【不当利得】だと思われるような報酬を得ている人達とか、そういう行為自体がテーマだよね。」

逆沢「でもそれだったらやっぱり、政治家や役人がらみのネタが中心にならざるを得ないわね。彼らはプロ野球選手らと違って、税金という私達の財産から報酬を得ている訳だから、働きに見合わない多額の報酬を税金から頂戴してたり、税金を湯水のようにバラまく事で己の地位を強化しようとする人ほど、バッシングされても当然だし。」

鼎「談合とか不正入札とかも、典型的な不正利権だよね。」

愛原「政治家や役人が特定の業者と癒着してその業者に有利な発注をした事で、別の真っ当な業者が受注できなかったような事があれば、それはもう超典型的な利権そのものだ。過去に日本中で実際にあってニュースもなった程だが、特定の政治家や役人による口利きだけで、村役場の職人に就職できたりみたいな事も割とあったみたいだし。」

逆沢「それ、完全にズルじゃない? 誰かがズルで合格したおかげで、別の誰かが不合格になったと思ったら、すごく腹立たしいわ。」

鼎「でも東電とかも、政治家や原子力保安員の子息を優先的に雇ったり、天下りを受け入れる事で、特権的な立場を維持しようとしてたという話もあるよね。」

愛原「この【誰かが理不尽に得をすれば、その分だけ別の誰かが理不尽な損をする】というのが、利権の根源的な構図でもあるからな。前回のテーマでも強い口調で触れたが、経済行為というのは、どうしてもそういう形になりがちだ。理不尽な理由で人事登用が行なわれれば、その数だけまともな人が登用されるチャンスを失う。無駄な公共工事や談合行為などで儲かる業者が出るという事は、その分だけ余分に国民の税金が浪費されたり、まともな業者が入札できるチャンスを失う事を意味する。そういう構図だから、当たり前のように利権は嫌われる。」

鼎「たくさんの人に嫌われてまで、利権にしがみつかなくてもいいと思うのに、それでも利権がなかなか無くならないのはなぜかなぁ? そこまで拝金主義的にお金に執着しなくても、平凡に生きていけるだけの財産があれば十分だと思うのに。」

逆沢「それだけ拝金主義者が多いって事なんじゃない? 周りの人からどれだけ嫌われても、お金さえあればそれでいい。捕まらなければそれでいい。お金さえもってれば、他人は自分をおだててチヤホヤしてくるに決まっているみたいな感じで。清水元社長も、世間から嫌われる事も覚悟で、5億円をもらう道を選んだらしいけど、私達の感覚だと老後の生活だけの為にそんなにいらないと思うけどねー。」
(2013/04/22管理人注〜後日、塩崎委員と東電幹部の間に行なわれた国会答弁によると退職金5億円というのはデマで、実際には4000万円強だったらしいです。返上はしていないとの事)

鼎「今の世の中は、ネットショッピングも充実してるから、家に引きこもったままでも、お金さえあれば、生きていけるという事なのかも知れないけど・・・。」

愛原「まぁそういう側面もあるとは思うが、俺は【利権=麻薬説】を支持したいな。」

逆沢「何それ? 利権には麻薬みたいに止めたくなっても止められなくなるだけの魅力があるって事?」

愛原「福島の原発事故が起こった後、一部の政治家や地方役人らが【原発利権は麻薬のようなものだ。一度それに慣らされたら、後で止めたいと思っても、止められない】という旨の発言をしていた。その理由を聞いて、なるほどと俺は思ったものだ。」

鼎「やっぱり国や電力会社による原発マネーが美味しすぎて、それで豊かな生活ができるようになったけど、今度はその豊かな生活が当たり前になってしまって、原発がなかった頃の生活レベルには今更戻せないって事かなぁ?」

愛原「まぁ、それも大きな理由の一つだ。だが他にも大きな要因がある。中でも最大のものは、他の地場産業が急速に衰退してしまうという問題だ。つまり原発がなければないで、彼らは鉄工所なり製材所なり果樹園なり旅館なり、他の仕事を続けていたはずだが、そういう仕事を辞めて原発がらみの仕事にどんどん転職していって、原発がらみ以外の仕事が地元ではほとんど失われてしまうという問題が起きる。」

鼎「それは沖縄でも問題になっているケースと同じだよね。米軍基地で働く人の年収は、そうでない沖縄県民の平均年収よりも150万円以上も高くて、それで米軍基地で働きたがる人が増えて、それで昔からの産業従事者比率がどんどん減っていって、米軍基地がないと地域経済の維持が難しくなりつつあるとも聞いた事があるよ。」

愛原「大阪でも、似たような事例でエラい目に遭った中小企業が、昔、結構あったそうだ。」

逆沢「どんな事例?」

愛原「うん。とある中小企業X社は、大企業A社を始めとして複数の会社と取引を持っていた。が、大企業A社は他者と比べて何割も儲けのでかい仕事をX社に回し続けた。それを受けてX社は、他者との取引の比率をどんどん下げて、A社の仕事を優先的に引き受け続けた。そしてある日。A社は突如、態度を豹変させて極めて厳しい条件での取引しかX社に持ちかけなくなった。ところがX社は、A社向きの設備投資を進め過ぎてた事と、A社以外との取引をほとんど止めていた事で、今更X社との取引を止めたら、即倒産みたいな状態になっていた。で、以後、X社はA社の実質系列企業として、割の合わない仕事だけをやらされるハメになったというお話。ちなみにこれはフィクションではない。昭和のある時期の話だが、A社はかなり大規模にやってたようだ。名前は出さないけどな。」

逆沢「うーん。まさしく【おいしい利権】と思ってたら、実は【麻薬そのものでした】って感じの事例ね。麻薬で気持ちいい思いをしてたら、いつの間にか麻薬を切らしたら生活できないような体に改造されてしまっていて、後は麻薬の売人の言いなりってパターンというか。」

愛原「まぁ大阪の事例の場合は、民間業者間の駆け引きの問題でしかないから、基本的には自業自得でしかないのだが、原発利権の場合は違う。国策で無理矢理、麻薬を吸わされた的な側面もあるからな。」

鼎「最初は豊かな生活が出来るようになってバンザーイと思ってても、気がついたら他の仕事に転職したくなっても仕事場がないような状態に街自体が改造されてしまってたり、役場は役場で年々減っていく固定資産税を何とかする為に、さらに原発の増設をやらざるを得なくなってたりみたいな感じかなぁ?」

逆沢「あ、そうか。固定資産税は年々減っていくシロモノだしねー。最初の一番税収が高い時期に貯蓄に回したらいいという声もあっただろうけど、役所というのは【予算は使い切って当たり前】みたいな感覚が蔓延してるから、それも難しそうだし。」

鼎「でもこれって、あらゆる利権でいえる話だよね。米軍利権はもちろんだけど、島根県とかでは公共工事利権とかが蔓延しててもおかしくないイメージだし。」

逆沢「土建屋やってた方が儲かるって空気になったら、今の仕事を辞めて、どんどん地元の人が土建屋関連の仕事に転職してしまいかねないというのも、何となく分かるわ。諫早湾の干拓事業が本格的に推進されだした途端、たくさんの漁師さんが漁師を廃業して、土建屋にジョブチェンジしたって話もあるし。」

愛原「その麻薬に慣れきった人に対して、ある日突然、麻薬を切ると宣言すればどうなるか? 何となく分かるよな?」

逆沢「禁断症状を起こすというか、猛反対しそうなのは目に見えて分かるわ。あー、なるほど。それで八ツ場ダム一つ、中止にできない構造がそこにあったって事ね。」

愛原「ダム利権も原発利権同様、複合構造だから余計にややこしい。単に土建屋だけが儲かるんだけじゃなくて、立ち退き関係の利権から役人の天下り利権に至るまで、色んな人が関わっているからな。もちろんその財源は、国民の税金から出ているのだが。」

鼎「つまり漫画やゲーム的な表現をすれば、もしも【利権をむさぼる悪の幹部】と対立したならば、彼らとのバトルは避けがたいという事かなぁ? 正義の味方がいくら【これ以上、利権にこだわって大衆を苦しめるのはやめろ。今からでも遅くはない。人生はやり直せるんだ!】と説得を試みた所で、彼らは今更、麻薬状態の利権を手放す事はできないし、一度は激しいバトルになるのはやむを得ない感じもするし。」

逆沢「どんなに無駄な事業であっても、事業推進派が素直に反対派の説得に応じたシーンなんか、リアルでは見たことないしねー。漫画やゲームと同じで、バトルは避けられないんじゃない?」

鼎「でもこのバトルは、仮に正義の味方が勝った所で、ちょっとむなしそうだよね。利権に染まってた悪のキャラクターのこれからの生活を思うと。」

逆沢「一部の作品では、ラスボスがどんな悪逆非道のジェノサイドをやっていても、そのラスボスがかわいいロリ少女で、しかもラストバトル後、心から反省していたら、あっさりと正義の味方は許しそうなシチュエーションもあるらしいけどね。」

愛原「ラスボスの悪逆非道によって、ひどい目に遭わされていたモブが浮かばれないエンデイングになりそうだな。そういうのは。」

逆沢「まぁ、モブにも光を当てるタイプの人には、ちょっと受け入れがたいシチュエーションかもねー。そういうのは。」

愛原「俺が利権団体に対して、割と冷ややかなスタンスなのには理由がある。それは彼らの多くに、加害者意識がほとんど見られない事だ。今まで散々、利権を享受しておきながら、いざ利権を取り上げられそうになると、逆に被害者意識を前面に出して、激しく抵抗する。【俺達の生活はこれからどうなるんだ!】とか【賠償しろ】とか【責任取れ】みたいな感じでだな。」

逆沢「あー、でも、それはしゃあないわ。最初の方でも言ってたけど、第三者にとっては利権でも、当事者にとっては当然の権利だから。ほら、鳩山政権の時に暫定税率を廃止すると言った時にも、ものすごい抵抗があったじゃない? 法的にはあくまで【暫定】なんだから、いつ廃止されてもおかしくない特別な税でしかないんだけど、それを【もらって当たり前】と思ってる側からしたら、今更廃止するなんてあり得ないって事で。」

鼎「子供手当てや児童手当にしても、麻生政権の時に誕生したばかりの最近の新概念でしかないんだけど、いざ廃止とか縮減という話になったら、きっとたくさんの有権者が抵抗を示すと思うよ。みんなバラマキは大好きだけど、取り上げられるのは大嫌いだから。」

逆沢「思いやり予算にしても、開始時はアメリカの不景気を理由とした特別措置でしかなかったのに、いつの間にか当然の扱いになっちゃってるし。本当に一度与えたものを、後で取り上げるのはしんどいんだなと、つくづく思ったわ。」

愛原「だからマキアベリなんかは、著書ではっきりバラマキを強く戒めているんだけどな。バラマキで大衆の歓心を買えるのは一瞬の事。その一瞬が過ぎれば、それは利権享受者にとって【もらって当然の権利=一種の既得権益】になってしまう。そしてそれを取り上げるのは、とんでもない難作業になるからな。」

鼎「一度与えた利権を取り上げるのは、本当に大変だよね。」

逆沢「平民からあれほどの高支持率を受けた明治新政府ですら、武士特権を廃止しようとしたら、士族からとんでもない反発を受けたしね。内乱は起きるし、大久保利通のような大幹部すら暗殺されるし。」

鼎「でも利権を、いつまでもそのままにはできないよね。武士特権を残していたら今の日本はなかったと思うし。」

愛原「利権を残すという事は、その影で不当な損をする人がこれからも出続けるという事だ。誰か一人、不正に裏口入学なり不正合格するごとに、別の誰かが不合格になる。利権構造が悪とされる理由を簡略に表現すれば、そういう形になる。彼らは、利権を取り上げられそうになると、いかにも自分が被害者のような顔をして激しく抵抗するが、【お前が利権によって生活を守り続けた代償として、別の誰かが人生の歯車を狂わされたり、不当な不利益を被り続けている事が分からないのか?】と、俺としては言いたくなる。そりゃあ、利権享受者からしたら、モブな他人がどんな人生を歩むハメになろうと、そんな事は知った事じゃないのかも知れないが。」

鼎「自分がモブ扱いされている側の立場で考えたら、こんな理不尽な事はないよね。」

逆沢「誰でも取り上げられる側になったら、被害者意識を持つのは当然だけど、取り上げられる理由次第って事になりそうね。【東電の利権を守る為に、電気料金の値上げと増税という形で貴方の財産をさらに取り上げます】と言われたら、そりゃあ怒って当然だし。逆に【極めてずさんな管理で過去にない未曾有の大災害を引き起こしました。なので東電社員の既得権益を取りあげます】といわれたら、それはやむを得ない気もするし。」

鼎「つまり取り上げられてもやむを得ない人と、取り上げるべきではない人がいるという事かなぁ?」

愛原「俺としては、取り上げるという発想自体、後ろ向きであまりしたくないのだが、逆にバラマキ過ぎて、恐ろしい状態になってるのが今の日本の現状だからな。・・・誰でも人気者になりたい。人気者になるにはバラマキが一番手っ取り早い。逆に取り上げようとしたら、真っ先に嫌われる。下手すると血を見る事になる。俺も無闇に嫌われたい訳ではないから、本当はこういう話はしたくもないのだが、これ以上放置できない事が分かっている以上、誰かが言わないとならない事だろうし。」

鼎「麻薬中毒者がますます増えていくような社会は、すごく怖いよね。たとえ麻薬中毒者が禁断症状を起こして暴れるであろう事が分かっていても、社会としては、そういう人から麻薬を取り上げる方向に進めないと駄目だよね。」

逆沢「麻薬中毒者を放置した結果、ラリった凶人が街中で無関係の市民を刺しまくる世の中がきても困るし、中毒者が売人からヤクを買うお金を手っ取り早く稼ぐ為に、強盗や窃盗を繰り返すような世の中になっても困るからね。」

愛原「利権という麻薬は、社会自体をむしばむからな。真っ当に生きている人の権利を奪い、財産も奪う。そしてそんな異常事態がまかり通れば、誰も真面目に働かなくなる。世の中を建て直そうという声も、やがて響かなくなってしまう。原発ムラで、原発反対の声をあげにくくなってしまうように。」

鼎「原発を誘致するかしないかの段階では、反対派住民もそれなりにはいるだろうけど、やがて原発関連の仕事に就く住民が増えていくにつれて、反対運動もやりにくくなって、やがてはそういう声すら消えていくらしいよ。誰だって、自分が普段から生活している場所で、社会的に孤立したくないから。」

愛原「そうでなくとも、利権を享受している側は強いからな。たとえばダム利権で利得を得る国民の割合自体は圧倒的に少数派のはずだが、それでもダム利権を潰すのは至難なように。利権享受側陣営は生活を賭けて必死で活動するから、俺達のような覚悟のない第三者達がいくら漫然とした抵抗を示した所で、どうにもならない場合が多いんだ。」

鼎「利権に依存しない第三者が、利権側に負けないくらい激しい活動をするようになるには、どうしたらいいのかなぁ?」

愛原「命の危険を感じるようになれば、話も違ってくるだろうけどな。たとえば水俣病クラスの災害が起これば、嫌でも住民は立ち上がる。」

逆沢「それでも水俣病を引き起こしたチッソ社陣営は、とことん抵抗し続けた印象があるけどね。利権団体というのは、本当にしぶといんだなぁと真剣に思ったわ。」

愛原「チッソ社には、水俣市内の住民も多く働いていたからな。なので実際の所で言うと、当時の水俣市内の世論は真っ二つに割れていたらしい。命に関わるような健康被害が地元で蔓延した以上、反チッソ運動が盛り上がるのは当然だったが、それに抵抗する親チッソ陣営もかなり強力だったようだ。反チッソ陣営は、地元の熊本大学の専門家による検証結果などを証拠に国に救済を求め続けたが、当時は全国で公害が蔓延していた時代であり、しかも国自体が産業界の言い分を優先していた事もあり、国は実質的に親チッソ側についた。東京大学の専門家も親チッソ側の言い分を支持した上でな。」

逆沢「薬害エイズの時もそうだけど、東京の大学の権威とやらは、国の御用学者ばかりで本当に嫌になるわ。そのくせノーベル賞を受賞するような大物は大して出さないし。」

鼎「ノーベル賞関係は、京都の方が圧倒的に強い感じだよね。」

愛原「地方の大学は、政界や財界の思惑に振り回されずに、純粋に学問や研究に没頭できる強みがあるからな。逆に東京の学者らは、国や財界がバックにつくから権威というハクはつきやすいし、収入的にも優位だが、国や財界に都合のいい発表を強制されがちだから、学問的には信用もできないし、自由な研究もしにくい気がする。」

逆沢「でも水俣病クラスの大事件が起きても、それでも利権団体は簡単に潰せないのねー。戦後最大の大不祥事ともいえる原発事故が起きてもなお、原発利権が一掃できない理由が何となく分かって来たわ。」

愛原「利権団体というのは、本当に強いだろ? 利権を享受していない第三者陣営が生命や財産の危険を本気で感じて、本気で運動した所で、それでやっと利権団体陣営と互角の戦いができる程度なんだ。」


鼎「そこらの漫画やゲームに出てくる悪の組織よりも、実はずーっと強いのかも知れないよね。利権団体というのは。」

愛原「いくら強大な悪の帝国といった所で、大抵のゲームでは、独裁者を倒したら割とすぐにハッピーエンドだからな。だが利権団体は違う。明治新政府が士族を抑え込むのに、短くない年月と多くの犠牲を必要としたように、大変な労力が必要だ。ボス一人倒せば、パッピーエンドになるような安易な敵ではない。しかも彼らは一人一人が狡猾だ。色んな詭弁を弄して自己正当化した上での説得もしかけてくるし、買収や引き抜きといった策略・工作もどんどん使ってくる。さらに狂信徒ばりの意志も持っている事が多く、データをそろえて理論的な説得を試みようが、あるいはハートに響く熱い説得を試みようが、彼らが望んでいる以上の更なる利権を提示しない事には、ほとんど寝返ってくれる見込みもないだろう。」

逆沢「麻薬中毒者をこちらの陣営に寝返らせるには、より強い効果を持つ麻薬を提示して、欲で釣るしかないってか。でもそんなの正義の味方のやるべき行為じゃないわ。」

鼎「でもラリった人に、理論的な説得も、情熱的な説得も、あまり効果は無さそうだし、難しいところだよね。」

逆沢「うーん。説得は困難。数も多く、しかも組織的なプレーもしてくる。策略もバンバン使ってくる。さらに本気で抵抗してくる。これ、絶対強すぎるわ。うん。独裁者の率いる悪の帝国よりも、絶対強そう。もしかして利権団体って、こんなに厄介な相手だったの?」

愛原「はっきり言って強すぎる。そのせいか、市販ゲームの世界でも、利権団体が敵というシナリオの作品は、そんなには見たことがないな。」

逆沢「いや。厳密には結構あるんだけど・・・。ただ賄賂を渡す悪徳商人とか、賄賂を受け取る汚職政治家とか、そういう分かりやすい奴だけが倒されて終わりというか・・・。」

鼎「現実世界は、そんなに簡単なものじゃないよね。たとえば建設業者から賄賂を受け取った市長が逮捕されたからと言って、それでその市の建設利権が壊滅するとも限らないし。」

愛原「市長が汚職で逮捕された後、建設業界は新たに別の市長候補を推薦して、それでそのまま建設業界が推薦した側の候補が当選したなんて例も、現実には意外とあるからな。」

逆沢「それ、全然解決になってね〜。マヌケな前市長が、トカゲの尻尾のごとく切られただけじゃないの?」

鼎「利権構造を本当に改めたければ、政治家とか役人とかいった、分かり易い象徴を捕まえて処罰するだけじゃなくて、もっと根本的な対策が必要って事なのかなぁ?」

愛原「まぁ、根本を断たないと話にならないのは間違いない。ただ利権に関わるものは、全員処分みたいな解決方法は、俺としては全く支持できない。たとえば公務員の給料がいくら高いと思った所で、公務員のいない世の中というのは考えられないからだ。建設業界にしろ電力業界にしろ、その業界自体は社会にとって必要だ。」

鼎「簡単に人を切り捨てるような世の中は嫌だし、落ち度があるからといって人をどんどん非難して処罰して切り捨てたらいいという考えも嫌だよ。粛正の嵐が吹き荒れるような国は、指導者がどんなに気高い理想を持って、強い意志を持って実行力を発揮し続けていたとしても、とても国民にとって幸福な国にはなりそうにないし。」

逆沢「でもずるい人の不正を許して、別の真面目な人が理不尽な理由でひどい目にあって、ずるい人だけが得をし続ける世の中を放置する事はできないし、本当になんか良い方法はないものかしらねー。うーん。利権・・・。本当に最低最悪の敵だわ。とことん私達を悩ましてくれるし・・・。」

愛原「モブの悪人キャラクターを容赦なく斬り殺し、心を通い合わす事に成功した一部の悪人キャラクターにだけ寛大になった所で、そんなのはひどい偽善だと思う。そうじゃなくて、全ての人が全ての人に思いやりを持てる世の中になればいいと思うのだが。モブの他人を思いやる心を持つ事ができれば、自分が利権をむさぼる事で、別の誰かが不当に蹴落とされる事になる事にも気付けるはずだから、軽い気持ちで利権をむさぼる人も出なくなるだろうし。」

鼎「あ、そうか。モブの他人に対して、どれだけ関心を持てるかが、問題解決の鍵なんだよね。」

愛原「モブの他人に無関心な人間は、どちらに転んでも問題を起こしがちだ。自分さえ良ければそれでいいと考える者は、軽い気持ちで利権に染まるだろうし、逆に悪は決して許さないという気高い志の持ち主でも、他人に対する思いやりに欠けた人間は、気がついたら単なる粛清主義者に陥っている可能性がある。どちらも自分にとって気に入らない奴を蹴り落としたり、処罰するしか考えてないという点では案外大差ない。」

逆沢「罪は罪で償わせないと、被害者が救われないから罰や補償は必要だと思うけど、【罪を憎んで人を憎まず】の精神で対応する必要がありそうって事かな?」

愛原「今回はいつも以上に理想論的というか机上の空論というか、楽観主義的な結論になってしまったが、今の俺的には他に良い方法が思い浮かばない。力だけで利権を撲滅しようと思えば粛清の嵐を吹き荒らすしかなくなるし、説得だけで納得してもらうのも難しそうだし、とか言って利権がはこびるのを見て見ぬ振りし続けると、自分の生活や出世の為なら他人をいくらだましても踏みつけても構わないという、恐るべき修羅の世の中になってしまうからな。」

鼎「今回は久しぶりに、前置き部分と本題が綺麗につながったよね。」














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