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愛原様のたわごと(12年2月5日)




愛原「前回更新からの二週間は、すごく寒い二週間であった。」

鼎「東北とか山陰とかの日本海側では、すごい豪雪になったらしいよね。」

逆沢「温暖化現象で海の水がたくさん蒸発してる分、雪質も水蒸気を多く含んで重くて大変とかいう報道もあったけど、温暖化なのになぜ雪なのかとか、訳わからん事ばっかだわ。」

愛原「モスクワなんかでは昔から40度くらいの気温差がある事は珍しくないらしいし、砂漠地帯なんかでも日中は猛暑なのに深夜になるとすごく寒くなるっていうからな。激しい気温差を伴う現象なのかも知れんが、俺も完全専門外なので原理はさっぱり分からん。」

鼎「私達シロウトさんが無知なのをいい事に、【温暖化現象なんてものは始めから存在しない】と主張する識者もたまにいたりするよね。」

逆沢「原子力関連の話題もそうだし、TPPや増税議論でもそうだけど、色んな意見が飛び交うと、シロウトさんとしては何を信じていいか分からなくなるわ。誰かが統一基準を決めて、【この人の意見が正しい。それに反発する意見は決して流布しないように】とか言ってくれたら、私達も迷わなくてすごく楽なのに。」

愛原「それじゃ神権政治そのものじゃねえか。神の代理人とやらの説く正解にさえ従ってたらそれでいいなんて世の中は、俺は絶対ごめんだな。たった一つだけ正解があって、その正解にたどり着いた者こそが勝ち組なんて世の中は、センター試験で高得点を取れる人間こそ勝者とすべき世の中と言ってるのと変わらん。」

逆沢「あはは。それはいかにも、どこかの真理教とかにはまりそうな秀才が喜びそうな世の中だわ。正解のない課題に取り組むのは苦手だけど、用意された正解をいち早く理解し、忠実に行動できるタイプの秀才も世の中には多いからねー。上司の指示に従うのは得意ですタイプというか。」

鼎「でも私達の世の中は、たとえ正解が不確定なままでも急いで行動しないと駄目な事は多いよね。温暖化の問題もそうだし、財政の問題もそうだし。」

愛原「ま、この2週間がいくら寒くとも、ツララができたり、水たまりが凍ったり、水道の水が出なくなったり、シモヤケやアカギレができる程、寒くはなかったからなぁ。少なくとも俺の体感するエリアでは、ここ数年ずっとそうだ。」

逆沢「ま、瀬戸内季候に属するエリアは、なんだかんだいっても冬はかなり温暖な方だしね。福岡とかよりもほとんどのエリア内で年間降雪量も少ないし。」

愛原「ていうか俺自身、自動車のタイヤにチェーンまいたり、冬用タイヤに交換した事なんか生まれて一度もないからな。先週あたりに東京でも路面が凍結して大変な事になってたという報道があったが、そういうのがない分は、やっぱり温暖なんだろう。それでもやっぱり寒い事には変わらないけど。」

逆沢「本当に寒いわ。北日本や山陰に住んでる人には笑われそうだけど。」

愛原「仕方ない。今回は温かくなるようなネタにしよう。今回のテーマは、さっきのお前のセリフから引用して【笑い】だ。」

逆沢「笑いか。ステレオタイプ的には大阪人の得意技という事になってるらしいわね。」

鼎「でも笑いというのは、大体ボケツッコミで構成されているから、ボケたから即笑いにつながったりはしないよね。」

愛原「うん。ボケたらちゃんとツッコめ。でないとボケた方が浮いて、かえって寒い空気になってしまう。」

逆沢「でもこういったらなんだけど、東日本の人はあまりツッコミたがらないイメージなのよねー。私の勝手な偏見でしかないけど。」

愛原「お笑い芸人自体は、東西ほぼ均等にいそうだから、元来的には東西に大きな差はないと思うのだが・・・。だがあえていえば、東の人の方が冷静というか、評論的なのかも知れん。大阪の人などは、相手がボケたと思ったら条件反射的にツッコミで返す人も多いが、東京や名古屋の人はそれが面白いかどうか吟味して、面白ければ笑うみたいな二段階構造になってそうだ。」

鼎「古典的なネタで【大阪の人は指で鉄砲作ってパンとやったら、やられた人はとりあえず撃たれた演技をする】というのがあるけど、他の地方の人はとりあえずきょとん≠ニするだけのような気もするよね。」

逆沢「それは多分、ツッコミが体に染みこんでないだけだわ。」

愛原「笑いというのは、面白いボケができればそれでOKという単純なものではない。笑いを発信する側だけでなく、笑いを受信する側にもそれなりの心構えを要求するものだ。たとえば何度かでも、お笑いを観に行った人はこの中にいるか?」

鼎「はぁい。私、落語会も新喜劇も観に行った事があるよ。」

愛原「面白かったか?」

鼎「周りの観客の人も笑っていたし、面白かったと思うよ。」

愛原「では次。この中でアイドルや人気歌手のコンサートに行った事がある人はいるか?」

逆沢「はいはい。連れられてついていった事が何度かあるわ。」

愛原「盛り上がったか?」

逆沢「テンションの高い曲になると観客が総立ちになってリズム取ったり色々ガヤガヤやってたから、とりあえずそれに合わせてたけど、まぁ楽しかったんじゃない?」

愛原「つまり周りが笑っていると自分もその空気に合わせて、全てのネタが面白く感じてしまう。あるいは周りがハイテンションで盛り上がっていると、やはり自分もそれに合わせて踊ったりはじゃいだりして盛り上がれてしまう。そういう群衆心理が、落語会場やコンサート会場では働くわけだな。」

逆沢「まぁ群衆心理だろうがなんだろうが、楽しかったからそれでいいけどね。」

愛原「お笑い芸人にしろ歌手にしろ、このお客さんを楽しませる事ができる空気というのは、なかなかに大事な要素だ。デパートの屋上でお笑いステージをやっても、なかなか盛り上がらないのはなぜか? ガラガラの会場でお笑いをやってもあまり好反応が得られないのはなぜか? まぁそういうケースと比較してもらえたら分かり易いと思う。」

鼎「お笑い芸人さんは、普段と同じネタをやってるだけなのに、それでも反応で大きな差が出るのは、周りの環境の差も大きそうだよね。」

逆沢「つまり大阪と東京でお笑い芸人のスタイルが違うのは、そこに住む住民の質の差もあるって事かな?」

愛原「お笑い芸人にレポーターをやらせた場合なんか、特に地域性がはっきり出るよな。大阪で取材をやったら、取材を受けた側の一般人も積極的にボケて来たりツッコミも入れてくる。だがこれを他の場所でやると、反応が全然変わってくる。東京などでは良くも悪くも冷静。だが【お笑い芸人なら、きっと面白いネタをやってくれるはず】とかいう思いこみが強いせいか、そういう思いこみを嫌がる都内のお笑い芸人は、特にプライベートでは目立たない格好をして、素っ気ない態度を取る事が多そうだ。」

逆沢「【面白いネタをやってくれるはず】なんて構えられると、かえってプレッシャーになって、逆効果なんだけどねー。評論してやるみたいな姿勢で構えられたら、面白いネタをやっても滑りやすいのは当然だし。」

鼎「でもこうしてみると、お笑い芸人が面白いかどうかよりも、それを受け取る側の人の意識や構え方の差の方が結構大きそうだよね。」

愛原「少なくとも【さぁ、俺を笑わせられるものなら、笑わせてみやがれ】みたいな姿勢の人を笑わせるのは不可能に近いな。テレビのバラエティー番組を見てても思うが、視聴者のスタンスによっても、その番組が面白いかどうかはかなり変わってくると思う。始めからつまんないものとか下品なものとしか思っていない人からすれば、大抵のバラエティー番組は退屈なものでしかないだろう。」

逆沢「ああ、それは何となく分かるわ。私もテレビでJPOPとか聞いてても、それほど大したものに思わないけど、コンサートとかだと結構盛り上がるしね。」

鼎「テレビ番組の収録に参加した事がある人なら分かると思うけど、実際の収録現場では独特の雰囲気があるよね。」

逆沢「つまりリアル世界に関して言えば、空気そのものでお笑いの受け自体が変わってくる事が多いという訳ね。大阪でお笑い系の取材が上手くいきやすいのは、街自体がそういう空気に仕上がっているからという事で。」

愛原「会話のキャッチボールとでもいいのかな? 何かの番組でやってたが、レポーターが全国各地で街の人を聞こうとした時に最も難儀したのは、名古屋らしい。そもそも取材拒否する人が多いので、キャッチボールする所までいかないというか。東京の人は割と素直。大阪の人はまぁイメージ通りという事で。」

鼎「大阪だと、低レベルなボケをしてしまってもそれなりにフォローの入ったツッコミで返してくれそうなイメージがあるから、何となくボケやすい雰囲気はあるかも。」

逆沢「それはあるわ。東京でうかつにボケると、素で愚かな奴というイメージで受け止められかねないし、こっちもそんなリスキーな事はしにくいイメージがあるわ。」

愛原「そうでなくとも最近は、【他人をコケにして笑いを取る】風潮が強まっているからな。うかつにボケると、本気でバカな奴扱いされて、社会的評価まで下がりかねない。ビートたけしあたりもたけし軍団を率いていた頃からそのパターンがメインだったし、島田紳助やダウンタウンなど、東京キー局が好むバラエティー番組では、そういうタイプの芸人が特に多用されがちだ。」

鼎「最近、すごく人気が上昇してるらしい有吉弘行さんやマツコデラックスさんも、他人を下においていじるタイプの芸人さんだよね。」

逆沢「まぁお笑いの世界では、いじられ役とかスベリ芸というのもあるから、それはそれで役割分担なんだろうけどね。」

愛原「俺は、今は亡き横山ノックを始めとした、どんなに大御所になっても自分がアホの役に徹せるタイプのお笑い芸人の方が好きだけどな。」

逆沢「そういう芸人は、東京では売れないし、通用もしないけどね。大御所をコケにするような芸は、今時の向こうの芸人にはできないし。そうでなくとも芸能界は序列が厳しいし、大御所がいじられ役をやると、芸能界の秩序がぐちゃぐちゃになってしまいかねないから。」

鼎「それでビートたけしさんとか島田紳助さんのような序列をはっきりと示してくるタイプの芸人さんの方が、東京ではウケやすいのかなぁ?」

逆沢「志村けんとかも、全盛期はいかりや長介が率いていた頃だった気がするし。いじられ役として爆売れした芸人が出世して大御所の立場になっちゃうと、関東ではかえって本領を発揮し得ないのかも知れないわね。大御所をコケにしてもお笑い界の秩序を保てる文化が、向こうにはあまり馴染まないせいかも知れないけど。」

愛原「というか関西でも、そういう悪い風潮がどんどん入り込んでいて、はっきりいってお笑い界の質が昔よりも低下している。まぁこれはあくまで、俺の主観だが。」

鼎「誰かをコケにして笑いを取るという方法は、よほどうまく運用しないと、誰かをイジメてそれをあざ笑っているのと変わらなくなるから難しいよね。」

愛原「今のお笑い界が、つまらないとか不愉快とか下品と言われる理由の一つだろうな。」

鼎「昔のお笑いと、今のお笑いでは、やっぱり色々形が変わって来ちゃったのかなぁ?」

愛原「おそらくは、ボケに対する社会的地位が下がりすぎたんだろうな。たとえば昔は、ドリフターズのメンバーの中では、志村けんが一番人気だった。それは彼が最大のボケ役だったからだ。だが時代が変わって、今はかつていかりや長介が占めていたポジション。つまり上から目線でツッコミをする役・・・ビートたけしや島田紳助などの地位の方がボケ役よりも高くなっている。いや、かつてのいかりや長介は、コント内でも最低一回はたらいを頭に受けたり、志村らから反撃を受けてボケ役に回る事も珍しくなかったが、たけしや紳助らはそれすらほとんどない。つまり段偉そうにしている役がここぞのタイミングでやられ役を演じる事で、笑い全体のバランスを取る機能が失われている。

逆沢「あー、そっか。そういや昔のお笑いは、志村けんがボケても【志村ざまぁww】ばかりではなくて、【志村がんばれ】みたいな空気も強かったし、実際、そんな志村達にも見せ場があったから視聴者もスッキリしてたけど、今はそれがほとんどなくて、たけしや紳助が汚れ役をほとんど引き受けないから、視聴者の中にあるストレスが抜けきらないのかも知れないわね。」

鼎「つまり昔のドリフターズの面白さは、単に志村けんさんによるボケだけではなくて、いかりや長介さんがツッコミ役だけでなく嫌われ役までまとめて引き受けて、ここ一番でボケとかやられ役を一身に引き受けてくれるから、それが良かったのかも知れないよね。」

逆沢「誰かが一方的にいじめられ役ではなくて、最後はちゃんとバランスが取れていると。」

愛原「ドラえもんでも、基本的な構図はドリフターズのコントと同じだ。ジャイアンやスネ夫がのび太君をいじめただけで終わる事はない。しかしのび太君が調子に乗りすぎて悪い事を考えたら、オチの部分で必ずのび太君がひどい目に遭うように出来ている。ジャイアン達が秘密道具を取り上げて悪用しても、やはり最後は悪用した本人が痛い目に遭うようなオチになっている。」

鼎「つまり健全なお笑い世界の中では、序列は始めから存在しないという事になるのかなぁ? 誰かが誰かを無理矢理上から押さえつけようとしても、最後はその報いを受けて大団円になっちゃうから。」

愛原「そうかも知れん。ただそんな難しい話はおいておくにしても最低限言いたい事は、【相手がボケたら、ちゃんとツッコめ】という事だ。せっかくボケても、冷たい反応や見下した態度で返されようものなら、ボケた側の面目は丸つぶれだし、二度とその人の前でボケようとも思わなくなってしまう。ところが残念な事に現代人の中には、相手がレベルの低いボケをしてきた事を好機とばかりに、上から目線ではっきりと社会的序列をつけたがる人間もいるから困る。」

逆沢「ボケの中には、天然ボケというか、いわゆる失敗や愚かな所行も含まれるけど、相手がミスマヌケ行為をしてきたのを幸いとばかりに、それを責め立てたりあざ笑う事で、相手の地位をおとしめようとする人はどこでもいるからねー。」

鼎「つまり現代では、ツッコミ役の質の方が問われているのかも知れないよね。」

逆沢「たとえば相手が【指で鉄砲作ってバンとやった】時、素直に撃たれた演技ができるか、あるいはそこまでしなくとも穏和にツッコミなりフォローを入れられるか、あるいは単純に気付かないふりをして無視するか、あるいはシンプルに撃ち返してやるか、あるいは顔を真っ赤にして【ふざけるな!】と怒るか、あるいは上から目線で【つまんね】と冷淡な反応だけ返すか、その差だけでも、ツッコミ役の度量とノリが問われそうだしね。」

愛原「時と場合にもよるだろうが、ボケに対して適切につっこめれば周囲の雰囲気も良くなるし親近感も高まる。そこで相手を見下したりコケにすれば、それ相応の人間関係にしかならない。」

鼎「ボケに対していい反応を返してくれたら、またこの人の前でボケてやろうという気にもなれるけど、逆にひどい反応を取られたら、二度とこの人の前でボケようとは思わないという事にもなりかねないよね。」

愛原「ボケるというのは、ある意味では【相手に対して隙を見せる】という事でもあるので、相手がその隙につけ込んでこちらの上に立とうとしたなら、こちらも相応の警戒心をもたざるを得ないからな。」

逆沢「ボケる行為というのは、動物がわざと腹を見せて自分の無害さをアピールする行為ともつながるかも知れないわね。そこで仲良くなってくれるなら腹を見せた意味もあるけど、それを理解せず、こちらを踏みつけてやろうとするような輩には二度と腹は見せられないからねー。」

鼎「とすると私達も、相手がボケてきたら、なるだけ相手を満足させるようなツッコミやフォローができるようになれた方がいいよね。」

愛原「お笑いはボケに対して適切なツッコミが返されて、初めて成立する。いくら派手にボケても、相手が誰も笑わないならそれはお笑いとは言わないからな。」

逆沢「そういえば最近のファンタジー作品でも、このお笑いという要素は、かなりシェアが大きくなってる気がしない? ほら、昔で言う所の恋愛ものでも、今では随所にコミカルなお笑い要素が入ってるじゃない?」

鼎「今はただシリアスなだけの純愛小説やバトルものは、少なめになってるような気がするよね。ドタバタコメディーものがその分、増えてきてる気がするというか。」

愛原「別にいいんじゃねえのか? 笑いもないよりはあった方がいい。リアル世界と異なり、ファンタジー世界では全ての配役が作者の思い通りに動くのだから、ボケとツッコミの相性も抜群だ。誰かがマヌケな行動をとったら、それに対して誰かが適切にツッコミ返してやればいい。ボケ役にスベリ役もやらせたいなら、ナレーションにでもその旨の説明をさせてもよい。特に普段上から目線だったり、クールだったり、偉そうにしているキャラクターが【うぎゃあっ!】となるシーンは割とおいしいから、随所に入れるのは悪い選択ではない。」

逆沢「そういえば最近の作品には、主人公の男はクールなツッコミ役。ヒロインの女は元気なボケ役というのも多くない? でもってヒロインに主人公が翻弄されるパターンが王道というか。」

鼎「演出的には、元気な女の子側がクールなツッコミ役の男の子を暴力で制して笑いを取るパターンも、近年よく見られるようになった気がするよね。」

愛原「【男は女よりも強い】という社会的大前提があるからこそ、通用する笑いの取り方だな。上でも触れたが、弱者が強者をぎゃふんと言わせる絵は、それだけで笑いになる。逆に元気な男キャラが大人しい女の子キャラを不条理に殴ったりしたら、思いっきりどん引きものだ。」

鼎「それ以前に最近の男主人公は草食系過ぎるというか、自分からケンカをふっかける事はもちろん、率先して自分からボケる事も少ない気がするよ。」

逆沢「今のご時世の反映なんじゃない? 上手にボケるのはなかなか難しいけど、他人にツッコミ入れるだけなら自尊心も保たれるしリスクも少ないし、少なくともそういう人たちにとっては感情移入もしやすいだろうし。」

愛原「自称、【聞き役の方が得意です】タイプが言いそうなセリフだな。話し下手の人間ほど【自分は聞き役に向いている】とかよく言うが、俺に言わせればそういう奴の半数以上は、話し役にも聞き役にも向いてないクチだ。」

鼎「本当の聞き上手というのは、明石家さんまさんとか桂三枝さんのように、初対面の人やシロウトの人からもどんどん話を引き出せて、相手を気持ちよくしゃべらせるのが得意な人の事を言うと何かで聞いた事があるよ。」

逆沢「つまり【聞き役=ツッコミ役】と置き換えれば、本当に上手なツッコミは、下手なボケすら面白い笑いに変えられる能力の持ち主といえそうね。」

鼎「あ、それは分かるかも。テレビで見てても、誰かが面白そうなネタをふった時よりも、それに対する司会者や雛壇芸人からツッコミが入った時の方が、大きな爆笑が起こる事も多いよね。」

愛原「俺が、【相手がボケたらちゃんとツッコめ】と言い続けている理由が分かるだろ。ボケをヒーローにするのも恥さらしにするのも、ツッコミ次第。自称、聞き上手とやらの大半はそれを理解せず、いかにも客観的に(しかもフォローもせず)【面白いものは面白いといい、つまんないものはつまんない】と言うから、場が冷却してしまう事も多い。冷めた視点で構えられたら、どんな面白いネタもつまんなく聞こえるに決まってるだろうという事すら分かっていない。」

鼎「冷静な人ほど、陥ってしまいそうな一種のジレンマだよね。」

愛原「冷静さ自体は良いのだが、それに相手をフォローしてやろうという思いやりがあれば、聞き上手に一歩近づけるんだがな。」

逆沢「とすると、もしも最近のお笑いがつまんないとするなら、その原因の一つは、ツッコミというかフォローする能力に欠けた日本人が増えた事があるかな?」

愛原「そう思う。その結果、積極的にボケる人間の絶対数も減っている。リスクのある行為には手を出さない的な安全志向の人間が増えて、自ら腹を見せるようなリスクと背中合わせのボケ行為を避けたがるというか。」

鼎「草食系というよりは、臆病でつまらないプライドの持ち主が増えた気もするかも。恥をかく可能性のある真似は初めからしたがらないというか。」

逆沢「まぁそりゃしゃあないわ。ボケても、ちゃんとフォローしてくれない人ばかりだったら。テレビのお笑い見てても、ボケた芸人をコケにして笑いを取って、コケにした側の株だけ上げようとするような連中が本当に増えたなと感じるし。ボケ担当がツッコミ担当の踏み台にしかなってない現状では。」

愛原「まぁそういう世の中だからこそ、ファンタジーの世界ではお笑いの比率が高まっているような気もする。現実世界のお笑いが不健全な分、ファンタジーの世界くらい健全な笑いが欲しいからな。」

逆沢「架空の世界なら、普段から偉そうにしている上司キャラとか、イヤミな秀才キャラとか、一騎当千のコワモテキャラにでも、遠慮なくタライをぶつけられるからね♪」






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