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愛原様のたわごと(12年3月18日)




愛原「前回、理系文系のネタでやるつもりで思いっきり話がそれたが、今回は文系的証明アプローチという角度から、時事ネタも織り交ぜながら色々取り上げてみたいと思う。」

鼎「理系方面は、今回は取り上げないの?」

愛原「理系的証明アプローチという角度からも、思いっきり深く考察したいマニアネタが1点ばかりあるのだが、長くなりそうだから次回に回す。今回は文系方面からな。」

鼎「なんか難しい話になるのか? 難しい話は正直パスなんだけど?」

愛原「なぁに。全然難しくない。ちなみにテーマ名を最初にあげると、【情報収集】だ。」

逆沢「は? 情報収集? それと文系的なんちゃらほにゃららと何の関係があるわけ?」

愛原「何かを証明しようとした場合、理系と文系とでは証明方法が全く違う。理系はあくまで科学的見地に基づいて真相に迫るわけだが、文系の場合は、何かの文献や資料を参照したり、誰かから知識を得たり、状況証拠となる周辺情報を積み重ねて推理するという方法で、真相に迫ろうとするわけだ。」

鼎「そういえばなんか首都圏の方で、結婚詐欺師の裁判が行なわれているそうだけど、理系的な証拠が全然残ってないから、検察側が文系的な証拠を積み重ねて結婚詐欺師を殺人罪で立件しようとしているらしいよね。」

逆沢「ああ、なるほど。仮に死体とか指紋とかが残ってたら、監察医が解剖したりして医学的・科学的観点から殺人罪を立証できる。けどあの裁判の場合は、事件発生当時は自殺だったと推測されてた事から物証が全くない状態になってるわね。それで検察は状況証拠という文系的視点から何とか立証しようとしているわけね。」

鼎「それにしても、判明している分だけでも3件の殺人が疑われているらしいけど、最初の1件はともかく、後の2件も同じ女性がからんでいて、しかも練炭がらみという共通点もあるのに、警察は何の疑問ももたなかったのかなぁ?」

愛原「2件目と3件目は、司法解剖率が全国ワーストクラスの埼玉県警と千葉県警の管轄内で起きてるからな。あの2県内で起きた不審死なら、まぁ仕方がない。と、そんな話をしてる場合じゃなかった。とにかく文系的証明アプローチの話に戻るとしよう。」

鼎「けどこうして比較すると、文系での証明は、理系での証明と比べると、信憑性という点で分が悪い気がするよね。」

逆沢「監視カメラに映っていたとか、死体から何かの成分が検出されたというなら、揺るぎない証拠になると思うけど、状況証拠だけでは不十分な気がしてならないわ。それこそブッシュアメリカが昔やった【イラクは大量破壊兵器を保有している疑いがある】とも、大差ないとも思うし。」

愛原「うむ。実際問題、有力な物証もないまま、文系的な視点だけで真相に迫ろうとすると、そういう不確実性はどうしてもつきまとう。そしてこの文系的証明アプローチという点で、我々が最も信用を置くのがマスコミなどの報道内容や文献といったものだ。」

鼎「そういえばWikipediaなども、独自研究に基づく記事は基本的にタブーになってるよね。報道や広報を通じて明らかにされたものとか、何かの文献や書籍に記されている事を根拠にして記事が書かれる事になってるみたいだし。」

逆沢「でも最近はマスコミが出す記事よりも、ネットの方が信用できるという意見の人も多そうね。彼らのソースが何か、よく分からないんだけど。」

鼎「マスコミの人は、取材した内容を編集した上で、記事を出しているよね。それに比べてネット内で飛び交う意見は、ごく個人的な憶測や感想でしかないものだったり、真偽も確かでない匿名の書き込みであったりする事が多いよね。情報収集もロクにしてないというか。」

逆沢「ツイッターとかでは、真偽も確かめずにRTしまくって、デマを拡散しまくる人も多いらしいわね。」

愛原「無論マスコミの人も人間である以上、間違った記事を出すこともあれば、偏向した記事も出す事はあるだろう。だが少なくとも何の裏付けも取らずに、ネット内でデマをむやみに拡散させる連中と同列に扱われる筋合いはないと思う。大体、タダでちゃんとした情報が簡単に手に入ると思いこんでる方が大きな間違いだ。」

逆沢「中世ファンタジーの世界では、情報屋という職業の人が普通に登場するわね。正確で有用な情報を入手したければ、彼らにカネを払うしかないとか。」

鼎「ゲームの世界でも、昔の信長の野望とかでは偵察コマンドがあったよね。ちゃんとコストを払わないと、貴重な情報は手に入らない仕様になってたというか。いつの頃からか、(条件を満たせば)情報見放題のシリーズが普通に変わってきた感じもあるけど。」

愛原「それは【セーブ→偵察→ロード】を繰り返すプレイヤーが増えたからだろう。ともかく本来、有用な情報というのはタダで手に入るものではない。ここははっきりと覚えておいて欲しい。」

逆沢「なんでよ?! ネットでニュースのページを開いたら、色んな新聞社の記事がタダで読み放題じゃない? NHK以外の民放も基本、タダで見放題だし。情報屋が活躍してた中世と違って、情報は基本的にタダなんじゃない? 知る権利も法的に保証されてるみたいだし。」

愛原「古代の頃から、タダの情報は印象操作(煽動・宣伝)目的のものだけだ。マスコミも中世の情報屋と同じく営利目的なんだから、そこは勘違いしてはならない。そもそも彼らは何を収入源としてるんだ?」

鼎「ええと中世の情報屋なら、情報を買う人だよね。現代のマスコミの場合は、新聞の購読料とか、お金を出して情報を買う人もたくさんいるけど、広告収入の割合も多いよね。」

愛原「そう。そして情報屋は、自分達にカネを出す人のために情報を出すのだ。仮に現代のマスコミも中世の情報屋(但しまともな)と同じように、情報の買い手からしか収入を得ない構図なら、現代のマスコミも徹底的に政界や財界の闇の部分を暴き出し、国民生活の改善に役立つ情報を積極的に出そうとするだろう。だが仮に広告収入だけで運営されていたならばどうなるか? もちろん広告主にとって有利な情報ばかりを流すに決まっている。営利目的なんだから、当たり前といえば当たり前だ。」

鼎「あ、そうか。そういえば独裁国家の国営放送などの場合は、独裁者を賛美する番組しか作らないけど、これも当然と言えば当然なんだよね。独裁者が国営放送のスポンサーである以上は。」

逆沢「日本のNHKの場合は、受信料を安定的に得る為にも、視聴者にとって有用な情報を出す必要があるから、その点はまだマシかな? 民放の方はどうかな?」

愛原「日本のテレビ局は新聞社が親会社になってるケースが多い事もあり、購読料がメインであれば深刻にとらえる必要はない。だがネットの普及と共に、購読率がだだ下がりになってるので、ここ数年でかなりヤバいレベルに変化していると思われる。新聞の方はともかく、テレビは広報の名を借りた宣伝だらけ。ネット内の記事も、まともなように見えてかなりヤバい。」

逆沢「ネット内の記事って、そんなにヤバい? 複数の会社の記事が読み比べられるから、ちゃんと読み比べできれば、すごく信用できそうだけど。」

愛原「どの社の芸能記事も、AKB48一色のアイドル記事ばかりなのに、これで全信用できるのか? まともといえるのか? ネット新聞の記事もまともなように見えて、かなり恣意的に絞っているぞ。煽るようにな。」

逆沢「でもお金を払って新聞を読んでも、中身は一緒なんじゃないの?」

愛原「んな事はない。実例もいくらでも出せるが、いちいち張り付けるのも面倒だから、ここのコーナーでとりあげたネタで例に出すか? たとえば少し前に、白い恋人騒動があっただろう? 本家が吉本興業を訴えたという記事。」

鼎「スポーツ新聞を中心に、色んな記事がたくさん出てたよね。それで【これは吉本が悪いだろう】みたいなコメントもたくさんついてた記憶もあるよ。」

愛原「ちなみにこの記事をネットで読んだ翌日のスポーツ報知を読む機会があったのだが、記事の中身はそのまま同じで、容量だけが倍くらいあったな。白いお台場とか色んな複数の類似品を記事内で紹介していた。」

逆沢「ちょっと待て。それ、同じ報知新聞社の記事でも、ネットだけ読んだ人とスポーツ報知だけ読んだ人とだけでは、読者の印象が全然違うんじゃないの? 前者なら吉本が悪いという印象になるし、後者なら吉本だけがつるし上げられた印象になるし。」

鼎「なんで報知新聞社は、ネットの記事の容量を削ったのかなぁ? 読者に与える印象が正反対になるのに?」

愛原「おいおい。タダの記事と有料の記事の中身が同じなら、誰がカネを出してまで有料の新聞を買うんだ?」

逆沢「あ、そっか。考えてみたら当然ね。とするとタダの記事は、情報乞食をあおって騒ぎを大きくする為にあるって事か? 彼らはカネは出さないけど、その代わり騒ぎを大きくしてくれるから。」

鼎「ネット内の匿名コメントの中には、【タイトルが恣意的すぎる】とか【これだけの情報では、全然判断できないだろが】とか、色んな新聞社批判のコメントがあるけど、新聞社にしてみれば【無料の記事に、なに有料並の情報を求めてんだ?】ってなるのかも知れないよね。」

愛原「ネットで記事を読むのに慣れすぎると、ネット内の記事に高い公平性や信憑性まで求めがちになるが、無料の炊きだしに有料の飯屋並のレベルを求めるくらい、厚かましい行為だとも思う。それどころか、タダの記事には、新聞社やスポンサーの隠れた思惑が、より強く込められている事にも気付かない事も多い。自分があおられている事にも気付かず、ネット内のあちこちにリンク貼りまくって、ますます拡散する人も多そうだし。」

逆沢「流言飛語の計略の構図と同じね。本当に重要な情報ほど秘匿され、悪意あるスキャンダラスな記事ほど拡散されやすいというか。」

鼎「そういえば最近は、わざわざお金を払ってまで、有料放送を見る人も多いらしいよね。」

愛原「有料には有料なりの価値があるからな。価値がなければそんな有料放送は、すぐに契約解除されるだけの話だし。ていうか無料と有料の質が同じなら、誰も有料なんか選ぶ訳ないから、これも当然と言えば当然だ。」

逆沢「とするとネットで読み放題の記事の信憑性には、限界があるって事か?」

愛原「幸い、善良な人間が多いおかげで、Wikipediaなどに有用な情報を丁寧に記載して下さっている人も多い。また悪意ある記事や誤った記事が出回っても、それを修正する動きも多くみられる。俺もネット内の記事に、色々助けられている一人なので、否定よりは肯定が勝るのは事実だけどな。ただ可能な限りで、裏を取るようには心がけたいと思っている。」

逆沢「裏を取るというのは、複数のサイトを見て比較するみたいなやり方ね。セカンドオピニオン的手法というか。」

愛原「別にネットの中で完結しようとも思わないけどな。新聞記事は特に参考にするし、興味が沸いたなら直接取材する事もある。」

逆沢「取材って、お前は新聞記者か?」

愛原「新聞記者じゃなくても、取材くらいするぞ。プロの漫画家だって、ネタのために取材を兼ねた旅行をする人はいくらでもいるし。ここの作者も、ゲーム作りのネタ集めも兼ねて、色々回る事はある。」

鼎「生野銀山関連のネタとかは、wikipediaだけじゃどうにもならないくらいコアな話が入ってるよね。」

愛原「今思えば、数年前におおい町の原発PR館に行った時に、もう少し色々取材しておくべきだったと思う。まぁパンフレットにある写真とかの転載はOKと許可をもらったので、ゲーム内に登場させる事くらいはできるが。」

逆沢「原発の中の写真とかもあるか?」

愛原「正式なツアーでの参加ではなかった為か、原発本体の写真撮影はダメといわれた。でもPR館内の模型ならOKらしい。まぁ、今は原発事故でおおい町の大飯原発もあの状態で取材できる雰囲気でもないので、あの時にもっとちゃんと取材してればと思うと、実に惜しい惜しい。」

鼎「やっぱり取材で得られるものは、たくさんあるよね。」

愛原「うむ。そういえば原発関連でこの前、興味深い新聞記事があったぞ。なんでも関西電力管内の複数の都市で、新発電所の建設や停止中の火力発電所の再稼働を求める地元自治体の声が高まっているそうだ。」

逆沢「ん? 停止中の発電所? 原発が全て止まっているのに、まだ止まったままの発電所があったのか? 電力が足りないとか散々煽っている割に、どこまで余裕かましとんねんって感じだけど。」

愛原「うん。雇用も確保されて地元経済の活性化にもつながるから早く火力を再稼働しろと、海南市や宮津市などが関西電力に要請してるらしい。あと高砂市には2006年に廃止された火力発電所の跡地があるが、そこに太陽光なり火力なり別の発電所を建てて欲しいという声も出てるようだ。」

鼎「確か宮津市と高砂市のお隣にある舞鶴市と姫路市の火力発電所も、震災後に再稼働してたよね。それで隣の市の経済が活性化したから、【よおし、オラが街も!】という気になっちゃったのかなぁ?」

逆沢「つまり原発が停止したおかげで、逆に経済の活性化につながっている自治体もあるって事か? まぁ発電所が新たに稼働すれば、その都市周辺で雇用も増えるし、物流も増えて、色んな相乗効果があるだろうけど。」

鼎「それだったら、原発が始めから無くても、停止中の他の発電所を順次解禁していけば、実は電力は十分余裕があったって事かなぁ?」

愛原「それは微妙だな。ほら、去年からYahoo!Japanのトップページなどに電気予報みたいなものが掲載されていただろう? その過去の統計を見る限り、関西電力管内の消費電力のピークは8月で、2011年度は約2000万KW〜2800万KW。一方、原子力抜きの関西電力単体(つまり子会社や他社からの買い取り分を除く)での発電力は関西電力公式では2500万KWという事になっている。但し、やはり関西電力公式資料で(関西電力管内の原発全てが停止した)2012年2月21日以降の電力供給実績は最高で2800万KWなので、現在停止中の宮津市・海南市・岬町の発電所を全て回せばさらにプラス240万KWで、節電なしでも夏を何とか乗り切れそうとも受け取れる。あと現在、姫路発電所で建設中のコンバインドサイクル火力発電所が来年に完成見込みらしいので、これが完成するとさらにプラス240万KW。来年まで粘れば、原発ゼロでも余裕確定になりそうではある。」

鼎「もしも原発ゼロでも夏を乗り切れるという実績さえ作れたら、脱原発の勢いも一気に加速しそうだよね。」

逆沢「逆を言えば、今年の夏までに1基でも原発を再稼働させたら、【やっぱり原発がないと、電力は足りないんだ】という認識を庶民に与える恐れもあるかも。ほら、私達もそうだったけど、原発の発電量は圧倒的で、原発抜きで日本経済が回るわけないと思っている人もたくさんいるだろうから。」

愛原「関西電力側が原発再稼働する気マンマンで準備もOKである事。かつ宮津や岬町でも再稼働できる準備を整える意志がない事。かつ野田総理が大飯原発の【再稼働に全力を尽くす】と叫びまくっている事。この3点が大きな不安要素だな。政界と財界が足並みをそろえて、原発利権を守るためにか、何としても夏までに原発を再稼働させて【原発ゼロで夏を乗り切れる】という実績を潰す気マンマンなのが正直気になる。」

逆沢「こうしてみると原発問題一つとっても、情報収集の重要性を感じさせるわね。無料の情報をホイホイ受け入れているだけでは、逆に洗脳されそうな気もするし。ほら、夏と冬の時に広く公開された電気予報とか、それを毎日見ているだけでも【ああ、本当にギリギリなんだな。早く再稼働しないと・・・】という気分になってしまうし。」

鼎「逆に、まだ未稼働の発電所があるとか、原発の発電量が必ずしも圧倒的でないとか、原発以外の他の発電所でもそれが建設・稼働されれば地元の人は喜ぶとか、そういう側面は、情報収集意欲なしではなかなか手に入らないと思ったかも。」

逆沢「政界や財界に都合の悪い情報が、自動的にタダで庶民の間で拡散される訳がないって事かな? そこまで政界や財界がお人好しなはずもないし。」

愛原「本当に有益な情報を得るには、カネなり手間なりが必要だって事だな。カネも手間もかけずに、自分達に都合が良い情報がほいほい寄ってくるはずもない。自分達に都合がよい情報に思えても、それらは罠でしかない事も多い。」

鼎「でも私達も、自分に都合の良い情報とか、センセーショナルで受けそうな話題だったら、疑いもせずにツイッターに即RTするみたいな事をしかねないから、油断できないよね。」

逆沢「しかし、本当にめんどい。情報収集を本気ですると、こんなに手間がかかるのかってくらい、めんどい。」

愛原「だからこそ俺は、記者と言われる職の人には、割と敬意を払っているんだけどな。そりゃあ、マスゴミといわれてもやむを得ない事はある。しかし、タダで正確なお役立ち情報がいつでもネットやテレビから手に入って当たり前と思いこむ事こそ、俺に言わせれば傲慢だ。」

鼎「戦場カメラマンとか、命懸けで情報収集に取り組み続けるような、気骨のあるジャーナリストも多いよね。昔は、政界や財界を敵に回しても、大きなスクープをつかんで追及してみせるような気骨のあるジャーナリストも、もっと多かった気もするし。」

逆沢「今は商業マスコミと化しているから、スポンサーが嫌うようなニュースはなかなか大きく出てこないけどね。得体の知れない週刊誌のゴシップ扱いしかされない事も多そうだし。」

愛原「半分は俺達のせいでもあるんだけどな。購読料収入よりもスポンサーからの広告収入などの比率が高まって、購読者よりもスポンサー寄りのマスコミに変貌しつつあるのは否めない。タダの記事ばかりにとびついて、扇動者の狙い通りに踊り狂うだけの情報乞食が増えれば増える程、ますますその傾向は強まる一方だとも思う。」

逆沢「でも、タダとかセンセーショナルという名の甘いにおいを漂わす、毒のような情報に飛びついてしまう傾向は、私達自身も十分にあるから注意が必要ね。」

鼎「普段から【政府の発表は信用できない】とか【マスゴミは信用できない】と言いながら、【じゃあお前は、どこから情報を仕入れているんだ?】と問われて、困るような事はしたくないよね。」

愛原「いずれも、ごもっとも・・・。少なくとも自分にとって都合の良い情報だけを、鵜呑みにする事はないようにしないとな。まぁ俺の判断基準の場合は、データはできるだけ信用するが、印象操作には気をつけるという感じかな? 上の例で言えば、電気予報の内容とか、放射能の拡散状況に関する情報自体が嘘とは思わない。しかしその裏に潜む印象操作の部分には警戒するという感じ。」

逆沢「最近は除洗費用が何円とか、賠償金が何円とかいわれてるけど、お金の単位でも億とか兆の単位になると、それが相場や費用対効果と比較して大きいのか少ないのか、全然イメージがわかない事も多くて困るわ。【わずか】とか【多額の】とかいった形容表現だけでその気になっちゃう事も珍しくないし。どうせ私のようなシロートには、ベクレルとかシーベルトとか、数字だけ聞かされてもそれが本当に甚大な数字なのか無視するに足る数字かも分からないから。」

鼎「【年間○○万円もの経費削減に成功】と言うのと、【年間わずか○○万円の経費削減効果しかなく・・・】というのとでも、○○に当たる数字が同じでも、与える印象が正反対だよね。」

逆沢「分かる分かる。テレビショッピングで【なんと5割引きで△△円】とか言われると、すごく安い気になったり。でも後でネットとかで調べると、似たようなものがもっと安く普通に売られてたりして♪」

愛原「【○○で有名な××さん】とか【今、全米で大ヒット中の××】とか【○○では今や常識となっている××】とか言われると、その××がすごく大物で、今まで××の存在すら知らなかった(あるいは××に関心を持たなかった)自分が恥ずかしいと錯覚してしまう事すらあるしな。」

逆沢「あはは。それも分かる分かる。【○○で有名な××さん】とか【○○にお詳しい××さん】と言われても、私の場合は【そんな人知らねえよ!】とか、【いかにもうさんくせ〜】って、すぐにツッコミを入れてしまうけど。」

鼎「でもテレビやネットの世界では、こういう印象操作がすごくたくさん仕組まれていそうで、油断できないよね。」

愛原「人は必ずしも、数字を見て評価する訳ではない。数字の後ろにある【高い】とか【安い】とか【多い】とか【少ない】という形容詞などを見て、判断しがちな生き物だ。だが、ここで騙されてはいけない。高い安いや多い少ないは、あくまで著作者や執筆者の主観でしかない。本当に高いのか安いのか、多いのか少ないのかは、他のデータと対比しながら、できるだけ客観的に判断しなくてはならない。」

逆沢「ひとそれのイベントの例で言うと、尾鷲の年間降水量が約4000mmと言われてもそれが多いのか少ないのかさっぱり分からないけど、全国平均値を出したり東京や大阪の降水量と比較する事で、より客観的に判断できるようなものね。」

鼎「もしもそういう比較対象を出さずに、【尾鷲市の年間降水量はわずか4000mm】という記事を書いたら、逆に尾鷲市は乾燥地帯と誤認する人も出かねないから、こういう形容表現に振り回されない姿勢はすごく大事だよね。」

愛原「情報収集情報分析は、本来全く別物だ。情報収集した数字や情報自体は正確でも、情報分析に費やす努力を怠ると、とんでもない事になる。情報分析という作業は、あくまで様々な対象と比較しながら、できるだけ客観的に取り組む必要がある。」

鼎「でも世の中には、先に結論を決めて、後から理論武装する人も多いよね。」

愛原「うむ。昔、ゲーム脳という似非科学が蔓延した事もあるが、これもその典型だな。まず【ゲームは人間をダメにする】と結論だけが先にあって、それを無理矢理裏付けようとするからおかしな事になってしまう。だがこういう類は、我々もしょっちゅう起こしがちだ。」

逆沢「自分にとって都合の良い結論だけが先にあるってのは、まぁ誰しもありがちだから怖いわね。」

愛原「たとえば【貴方はAとBのどちらがより正しいと思いますか?】と問われたら、特に大した理由もなく【なんとなく】A(別にBでも可)を選択する人は多い。で、その質問の後に【なぜ貴方はAを正しいと思ったのですか?】と聞けば、その人はその時になって初めてAが正しい理由を考え始める。こういう人間は、特に洗脳にかかりやすい。特にその人が意地っ張りであったり、プライドが高かったり、視野の狭い人間だったならば、洗脳者がうまく煽ってやるだけで、強固なAの信者になってしまうだろう。はじめは【なんとなく】Aを選んだだけに過ぎなくとも、いつの間にか脳内で理論武装をガチガチに固めてしまって、Aが正しいに決まっていると思いこむように変わってしまうからだ。」

逆沢「そういう人は、もっとも情報分析に向かないタイプともいえそうね。」

愛原「真相究明を試みる上で、結論を仮定する事自体は何も悪くない。これは科学者が実験を進める際にも、捜査官が犯人探しをする際にも、よくやる手法だ。だが仮定は仮定でしかない事を忘れて、仮定を真相と思いこむようになると、とんでもない事になる事も多い。情報収集や情報分析をする際には、こういう視点も大切にしたい。」

鼎「自分が入手した特ダネ情報がガセネタである可能性もあるし、ニュートリノが光よりも早いと思ったら実験ミスの可能性もあるから、自分が信じたくてたまらない程おいしい情報ほど、疑ってかからないと危ない事も多いよね。」

逆沢「流言飛語とか煽動工作とか還付金詐欺の基本は、信じたい人を信じさせる所にありそうだしね。」

愛原「センセーショナルな情報をすぐにネットで拡散させたい気持ちも分かるが、そういう時ほど、油断は禁物。タダで相手から近付いてくる情報だけを丸呑みせず、恣意的な形容詞にも振り回されず、できるだけ多くの対象と比較しながら冷静に判断するようにしたい。」

逆沢「口で言うほど、そういう作業は簡単じゃないけどね。」

愛原「情報収集は奥が深すぎるよな。」










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