トップページに戻る


愛原様のたわごと(12年6月2日)




愛原「本当はスカイツリー関連のネタを軸にやる事に決めていたのだが、急遽ネタ変更。原発再稼働ネタでやる事にした。」

逆沢「おいおい。このコーナーはワイドショーか? そこまで時事ネタにこだわらなくてもいいのに。」

愛原「何年か経った後、後で読み返してみたら面白いぞ。当時はこんなしょうもない事で盛り上がっていたのかとか、なんてアホな事言ってたんだろとか、自虐要素も含めて色々楽しい。」

逆沢「自虐要素って、お前はマゾか?」

愛原「人間というのは、自分に都合の悪い事を忘れがちな生き物なので、昔の自分とか昔のブームとかを知る事は、自分自身や社会そのものを見つめ直す上で、色々有効なんだぞ。」

鼎「でもスカイツリーと原発再稼働では、全然ネタの方向性自体が違うよね?」

愛原「ま、しゃあない。たまには明るいニュースをネタにやってやろうと思ったが、遠い東京の明るいニュースよりも、地元の暗いニュースが先だ。」

逆沢「おいおい。原発再稼働が決まって喜んでいる人も多いのに、なんで暗いニュースなんだ?」

鼎「リーダーは、原発再稼働に後ろ向きなスタンスだから仕方ないよ。」

愛原「去年の6月21日や8月21日にも書いた事だが、別に再稼働そのものに後ろ向きって訳ではないけどな。ただ【何も変わらないまま】での再稼働という選択肢だけはやめてくれというだけの話だ。ミスをした場合、そのミスの原因を洗い出し、また他の不安要素に関しても再検証した上で、対策をしっかりと施すのが先だろうと1年前から、しつこく言ってきただけで。」

逆沢「大丈夫大丈夫と言ってても、何も大丈夫じゃなったし、まして福井の原発は他地方の原発と比べても老朽化が進んでいるからねー。元々耐用年数40年を前提に作ってあるのに、もう40年経っているものすらあるし。」

鼎「津波と地震ばかりクローズアップされがちだけど、実際には人為的ミスによる事故の可能性とか、テロなどの破壊行為による損傷の可能性とか、使用済み核燃料の後始末の問題とか、福井で事故が起きた場合に琵琶湖や舞鶴港を始めとした周辺にどのような影響があるかとか、仮に20km圏内が立ち入り禁止になれば福井の原発全てはもちろん舞鶴の発電所なども一気に使用不能になる可能性があるけど、その際の電力供給はどうなのとか、賠償問題とか、既に耐用年数が近付いている事を踏まえて今後の展望をどのように考えているのかとか、他にも色んな重要な検証要素があるよね。

愛原「当面の課題にしぼっても、関西電力管内以外は、原発が全停止しても耐えられるだけの余剰発電量をちゃんと確保できていたのに、関西電力だけが大ピンチなんて、あまりにも恥ずかしい限りだ。」

逆沢「でも中には【原発再稼働に反対するなら電気使うな】みたいな意見を言う人もいるらしいけどね。」

愛原「麻生太郎が定額給付金というバラマキをやってた時に、ネット右翼らが言ってた発言と同じだな。でも鳩山らが子供手当てやガソリン税暫定税率廃止などを言ってた時に、【俺は民主党に反対するから手当てもらわない】とか【反対するからガソリン使わない】と言った人間なんか、これっぽちも聞いた事がないが。大体、関東地方の人も好きで東京電力と契約してるんじゃない。そういう現状も無視して、自分に都合の良い時だけ【反対するなら使うな】といい、都合の悪い時は【反対しながら堂々と使い続ける】もしくは【知らんぷり】。そういう他人にはドヤ顔で猛烈な我慢や制限を課すくせに、自分はロクに我慢も制限もしないダブルスタンダードを平気で叫び続けるのは、人間の中でも最も下劣な振る舞いの一つだ。」

逆沢「あはは。原発再稼働賛成派の中には、自分は節電協力という名の我慢なんかロクにする気もないのに、他人には【反対するなら電力使うな】と猛烈な我慢を押し付けるような、真性の人間のクズも含まれてそうだからマジ困るわ。」

愛原「そもそも他地域を大きく上回る原発利権中毒のせいで、関西電力管内だけがこんな恥ずかしい状態になってる事を、連中はどう思っているのか、逆に聞きたいわ。」

逆沢「あはは。それもどうも思ってないと思うわ。麻薬中毒の人に麻薬や麻薬売人についてどう思うか聞いても、麻薬が嫌いとか麻薬は不要とは絶対いわないだろうし。ネット中毒の人に同じ質問をしても、ネットなんか嫌いだしもう見たくもないとは絶対いわないだろうし。原発依存中毒の人にいかにそれが問題なのかを説いても、【それでも原発は必要だ】としか返ってこない事は目に見えてるというか。」

鼎「麻薬中毒から生活保護依存症に至るまで、中毒症状とか依存症になると羞恥心も失われていくから、自分が中毒症や依存症である事で、他人が自分をどう思っているか、他人にどれだけ心配や迷惑をかけているかについても分からなくなると思うよ。【自分さえ良ければそれでいい。他人にとやかく言われる筋合いはない】みたいな感じになって。」

原「世界的に見ても日本は、新エネルギー対策が著しく遅れていて、水力・火力・原子力以外の発電施設比率が異常に低い。【原子力さえあれば他は何もいらねー】ってな態度で、技術開発を軽視したツケもまとめて返ってきた感じだ。」

鼎「日本の電力会社は民営化前の電電公社と同じで、独占状態だから、技術開発にコストをかける必要など全然ないから。原子力発電自体も、もしも国策として利権も保証しながらバックアップしなければ全然普及せず、日本の電力会社はオール火力のままだっただろうなんて意見を言う人も聞いた事あるし。」

愛原「関西電力の原発依存症は他地方の電力会社と比べても特に重症だな。未だに積極的に追加の発電施設を作る計画すら立ててないし、原発依存を改める意志すら見せない有り様じゃねえか?」

逆沢「原発さえ回せば電力は余りすぎるから、それで追加の発電施設なんていらないって事なんじゃないの? あの東京電力ですら、原発を全然回さずとも発電量的には全然余ってる有り様だし。」

鼎「菅さんが太陽光や風力や余剰自家発電力などの買い取り制度を制定したけど、電力会社にしてみれば、民間から電力を全く買わずとも、原発さえ回せば余るくらいの発電量があるから、そういうのはやって欲しくなかったという声は聞いた事があるよ。」

逆沢「おー、さすが独占企業。電力自由化なんて絶対認めない。利権は独り占めって言わんばかりね。」

愛原「競争原理がちゃんと働いてないが故に、東京電力管内の住民も電力料金の値上げに応じざるを得ないような状態になってしまっている。他にも選択肢があれば、あんなクソ電力会社と契約しなくても済むのにと思っても、始めから選択肢がないからどうしようもない。かつての国鉄や電電公社と同様、独占企業であるが故にボリ放題、手抜きもし放題、責任も実質的に取らなくていいという、経済学的にみても安全面でみてもゆゆしき事態だ。」

逆沢「あ、そうか。そうなのよねー。東京電力。誰も逮捕されてもないし、賠償金も国民の税金と関東地方の人の電気料金でまかなう構図だから、実質的にそんなに痛くもないのよねー。それでいて【値上げは権利だ】とか平気でのたまうくらい、強気も強気。」

鼎「関西電力も、【原発再稼働認めないと停電させるぞ!】と完全に脅しモードに入ってるよね。1年前の平身低頭ぶりが嘘のように。」

愛原「今年の3月18日のネタでも少し触れたが、どの程度足りないかについては、実際には微妙なラインだ。ま、民間や他の余裕のある電力会社から電力を買えば、少しの節電でも十分っぽいし、大阪市が後日、同様の指摘をして、関西電力をひいひい言わしていたけどな。」

鼎「始めは15%の供給不足と言ってたのに、大阪市側に数字をつきつけられて、5%の供給不足まで譲歩させられたんだよね。」

逆沢「5%ならほとんど問題ないじゃん。ていうか去年の夏の時も冬の時も、同じ事言ってたけど、公共工事の経済効果予測ばりの過大見積もり状態だったし。もうオオカミ少年そのものというか。」

愛原「それ以前にあいつら、まだ未稼働の発電所を実は2カ所も残しているからな。タテマエ上は今から再稼働させても間に合わないという主張だが、【見込みより早く稼働させることが出来た】とか屁理屈ごねで、他の発電所は全て順次再稼働していってたのに、野田総理とおおい町議会が再稼働に向けて具体的に動き出したのを見るや、【やっぱりどうやっても間に合わない】といわんばかりに、残り2カ所は回さないままにしたようだ。」

逆沢「ひでー、出来レース。なんで関西電力と野田総理はそこまでして原発を回したいのか? 関西広域連合のお偉方はなんで突如態度を軟化させたのか? 色々疑問があるんだけど。」

愛原「という訳で今回のテーマは、【ホンネとタテマエ】だ。」

鼎「本音建て前?」

逆沢「タテマエといえば確か、結婚式で新婚の二人が【なぜこの人と結婚しようと思ったのか?】と聞かれた際に、よく使われる奴ね。」

鼎「【相手の性格とか優しさに惹かれました】と答えるのが、大体デフォルトだよね。後は【性格の一致】とか。」

逆沢「婚活情報を見る限り、女の人が男性に求めるホンネは、大体収入とか経済的安定性らしいけど、結婚式でそんな事を言う女の人は見た事ないわね。【公務員の妻なら、経済的に安定していると思いましたので、公務員の彼と結婚する事にしました】とかいう人、全然聞いた事ないもん。」

鼎「男の人なら【すごく可愛く思ったから】とか、ホンネで答える人も案外多いけど。」

愛原「ちなみに【貴方はなぜウソをつくのですか?】という設問で、アンケートをとっている番組があったが、男女間の理由差が面白かったぞ。男性は【自分の保身のため】が主。つまり打算だ。一方、女性は【相手を傷つけないため】が主らしい。」

鼎「つまり新婦さんが【相手の性格や優しさに惹かれました】と答えるのは、自分の保身の為ではなく、相手の新郎を傷つけない優しさって事かなぁ?」

逆沢「なんかウソくせえー。【何、かわいこぶってんだよ、このアマ!】とツッコミたくなるのは、私だけか?」

愛原「俺に言わせれば、【ウソにウソを塗り固める】感じだな。男はウソがバレたら、開き直るか素直に謝るか逆切れするか、いずれにしろウソ自体は認めるが、女の場合は、【あなたの為を思ってウソをついたの】みたいな感じで、あくまで自己正当化して悲劇のヒロインとして酔いしれる感じか?」

逆沢「うへえ〜。でも実際にそういう女も、意外といそうだから困る。」

愛原「人間はしばしばホンネとタテマエを使い分ける。もちろん社会を円滑に保つためにも、使い分け自体が否定されるものでもないが、議論の際にはこのホンネとタテマエの乖離が邪魔になる事が多い。相手の主張に真面目に耳を傾けた上で、その主張の問題点を指摘しても、その主張自体が相手のホンネと全く違ったものの場合、相手は無敵くんモードに入って、次から次と新しいタテマエを繰り出して議論が一向にまとまらない可能性があるからだ。」

鼎「ホンネは別にあるけど、それを実際に言ってしまうと(あまりに利己的すぎたり身勝手すぎたりして)自分の立場が悪くなる場合、人はタテマエを別に用意して、とことん理論武装とか自己正当化したがる傾向があるよね。」

逆沢「つまり原発再稼働問題にしても、実は各陣営はホンネと全く異なるタテマエでモノを語っている可能性があるというの?」

愛原「電力会社。政府。関西広域連合の面々。関西在住の原発再稼働賛成派。逆に反対派。それぞれ別のホンネがある。まずは一般の再稼働賛成派の立場からホンネとタテマエを検証してみよう。」

逆沢「一般人の発言力なんかどうせゼロなんだから、そんなのどうでもいいでしょ? なんで一般人からよ?」

愛原「少なくともネット内の再稼働賛成派に限って言えば、論理が最も破綻しているというか、ツッコミどころ満載というか、ホンネとタテマエの乖離が最も大きそうだからな。とりあえずサンプルとして分かり易いからと考えてくれ。」

逆沢「おいおい。ネット住人が怒るぞ。彼らは彼で必死に真面目に考えて、再稼働を主張し続けているだろうに、そんな言い方したら。」

愛原「もちろん敬意をもって拝聴するに値するレベルの主張をする者もいる。そういう人達の事は尊敬こそすれ、批判する事は一切ない。だが、そういう尊敬すべき人達の足を引っ張るような低レベルの主張しかできない者も残念ながら多いのだ。賛成派にしろ反対派にしてもな。」

逆沢「まぁそれは分かるわ。上の方であげた【反対するなら電力使うな】級のクズになると、なぜ再稼働すべきかという理論要素が一切無く、一方的な要求でしかないしね。」

鼎「それ以外のパターンでは、どんなおかしな主張をする人がいるの?」

愛原「まず何の根拠も示さず【電力が足りなくなるのは自明なのに。】みたいな感じで、結論だけ主張する人。結論を先に出して後から理論武装したがる人に多いタイプでもあるが、実際には理論武装すらできてない者も多い。反論されても【放射脳】とかレッテルを貼るしかできない。本人の頭の中では、それは真理であり自明であり常識なのかも知れないが、その根拠が全くないので、レッテルを貼ったり、上から目線で結論部分だけを押し付けるしかできない。結果的にそれが当たろうが外れようが、その根拠には勘とか願望以上の価値はない。」

逆沢「一番説得不能なタイプね。けど一番多そうな気がするわ。」

鼎「強いて言えば、電力会社の公式発表を間に受けているのかなぁ?」

愛原「それでも彼らは政府や電力会社自体には不信を持っているのか、【電力会社や民主党がそう言ってるのだから、正しいに決まってるだろ?】みたいな主張はしたがらない傾向があるな。むしろ【もし停電でもしたら、お前が責任取れるのか?】みたいな主張を好みそうな気がする。」

逆沢「そんな主張をするバカに限って、自分は何が起こっても絶対責任を取らない気がするけどね。ていうか福島原発事故前の時点では、過半数の日本人が原発容認だったと思うけど、責任の名に値するほどの行動(少なくとも義援金1万円程度じゃ話にならない)をとった日本人自体、ほとんどいない現状から逆算しても。」

愛原「仮定の話を持ち出して、相手の主張を全否定するのは、有名な詭弁技法の一つだな。人権擁護法案や東京都の児童ポルノ規制条例の際に、ネット右翼の人達が多用していた技法でもあるが。」

鼎「国会議員や官僚の人は答弁の際に、【仮定の話にはお答えできない】と一蹴してしまう事が多いよね。」

愛原「ま、リスク管理という視点でいえば、もしも事故が起こったらとか、不測の事態に備える姿勢はすごく大事なので、国会答弁のような安易な一蹴も論外なんだけどな。真面目に議論するなら、条件闘争で克服すべき課題となる。【じゃあ貴方は、どういう条件ならこの提案を飲んでくれるのですか?】と聞き返してみて、相手がまともなら常識的な条件を出してくるだろうし、相手が非常識なら【提案自体を却下しろ】の一点張りだろう。いわゆる【なんでも反対】という奴だ。」

逆沢「ああー、なるほど。建設的な議論のやり方を一つ学んだわ。」

愛原「次に石油の燃料は、中東リスクなどの不安があるという論理もわずかだがみられる。」

鼎「なんか頭良さそうな主張だよね。すごく正論っぽく聞こえるけど実際はどうなのかなぁ?」

愛原「大丈夫とはいえんが、原発の燃料となる濃縮ウランなどよりは調達はラクだから、原発再稼働を推進する論拠としては無理がある。イラン問題一つとってみても分かるとおり、核燃料の輸出入は国際社会全体にとってもすごくナイーブな問題であり、燃料調達リスクに関しては、実は原発の方がはるかに大きい。特にアメリカを怒らせたら、あっという間に原発も使用不能になりかねない事くらいは憶えておいた方がいい。」

逆沢「ま、そんなマニアックな理由で原発再稼働を正当化する人は少数派だと思うわ。それよりは燃料費高騰などを理由に、再稼働を容認する主張の方が、何倍も多く見受けられると思うんだけど。」

鼎「これも正論そうだけど、やっぱり矛盾があるの?」

愛原「ある。まず電力会社が赤字なのは、火力燃料費を高く買い取りすぎているのが第一。特に天然ガスなんかアメリカの相場の6倍くらいボッタくられているなんて話すらある。次に原発維持経費が、原発停止前と比べてもあまり減っていない事。まぁ原発はその性質上、廃炉にしない限り、稼働中だろうが定期検査中だろうが、絶えずかなりの維持費用がかかるのは一緒なんだけどな。福島原発だけに限らず、全ての原発で冷却費用を始めとして、バカにならない維持費がかかる。ちなみに余談だが、原発を止めていようが回していようが、危険性も極端には変わらない。原発を停止中だから、福島のようにポンといく訳ないと思ったら大間違いな。」

逆沢「つまり再稼働反対派の中に【再稼働は危険】と主張する人もいるけど、実際には危険リスクに関して言えば、再稼働してもしなくてもそう大きなリスクの差はないって事か?」

愛原「廃炉にしない限り、実は危険性も経費もそう極端には変わらん。」

鼎「でも、という事は、仮に原発を再稼働しても、燃料費を安く抑えられるという事にはならないって事なの?」

愛原「原発を再稼働するのと引き替えに、どこか別の火力発電所を止めたというのなら、その火力発電所の燃料費分は安くなるだろう。しかし【原発を回さないと電力が足りない】と主張し続けている以上、電力会社としてもアリバイ作りの為に、火力発電所を止める可能性は低いと思う。もしも火力を一つでも止めたら、【なんだ余ってたじゃん】って事になるし、一つも止めなかったら燃料費は原発を再稼働させた分、さらに(そう多くはない額だが)より高くなるので、どっちにしても論理に矛盾が生じる。」

逆沢「つまり燃料費を言い訳にするのも、実は矛盾だらけって事か?」

愛原「そもそも再稼働に熱心なのは、(電力会社や政治家などを除けば)関西人だけだからな。再稼働賛成派の関西人のホンネでいえば【節電したくない。停電も嫌だ。】ってだけで、その不安さえなければ、実は燃料費なんかどうでもいいんだ。だから関西圏以外の住人で、再稼働に熱心な人はほとんどいない。というか関西人自体も、冬まではそんな声、ほとんど出してなかったじゃないか?」

逆沢「あ、そうか。電力に余裕がある内は、首都圏で多くの人が電力不足に苦しめられていても、所詮他人事だったのに、自分達の身がピンチになってから燃料費がどうの、安全性が確認されただの、タテマエを色々並べて、再稼働を主張し始めたって事ね。」

愛原「逆を言えば、政府や電力会社が【原発再稼働抜きでも電力の安定供給のメドが立ちました。もう節電や停電の心配はいりませんよ。】と言えば、再稼働賛成派の半数以上は、再稼働反対派に鞍替えすると思われる。1年前のように。」

逆沢「つまりホンネとタテマエを使い分ける人に対しては、ホンネの部分を見抜いて、そこを考慮する方向に議論を持っていけば、丸く収まる可能性が高いって訳ね。」

鼎「公共工事の推進派の地元土建屋さんとか、沖縄米軍の駐留に大賛成の地主さんとかも、【地元の発展につながる】とか【日本の安全のために必要だ】というタテマエをよく使うけど、これもホンネは別だろうから、このホンネ部分をどう扱うかがすごく大事って事だよね。」

愛原「仮に【貴方の地元の発展の為に公共工事はやります。しかも安くて腕も良い他県のゼネコンに発注する事にしました。】と言えば、推進派であったはずの地元土建屋の大半から、ブーイングが出ると思われる。【地元の発展】というのはあくまでタテマエに過ぎず、ホンネは自分達が工事を受注してお金もうけする事にあるだろうから。」

鼎「て事は、たとえば野田さんが【関西の電力需給に応える為、大飯原発を再稼働します。さらに高騰する経費を抑える為、おおい町への原発関連の補助金をゼロにします。さらに事故が起きてもどうせ税金で面倒見てもらえるだろうという甘えを排除する事で、より安全性を高める為に、もしも事故が起きた場合、政府は、地元住民に対しても一円も支援を行ないません。】といえば、おおい町の町議会は、賛成モードから一気に大反対モードに激変する可能性があるって事かなぁ?」

逆沢「それ、絶対、町民総出で再稼働大反対に回る気がするわ。彼らのホンネは、再稼働そのものではなく、再稼働する事で得られる原発ムラ特有のうまみの方だから、うまみの方を取り上げられたら、誰が再稼働に賛成なんかするねんって感じで。」

愛原「ホンネタテマエの乖離についてよく分かるだろ? 関西電力にしても、関西経済や関西人の事を思いやって再稼働に固執した風だが、もしも政府が、原発を再稼働した場合、その出力に応じて高額の税金をかける(事故が起きた際の賠償費に充てるという名目で)と言ったら、多分、彼らは手のひらを返すと思うぜ。ホンネはあくまでお金もうけの方にあるだろうから。」

逆沢「そりゃ、福島原発事故の後の事故処理を見る限り、仮に事故を起こしても、関西電力は全然痛くもかゆくもなさそうだしねー。独占状態を維持している限りは、政府も【あの電力会社を潰せ】とは絶対言えないだろうし、それは東京電力の今の状態を見ても明らかだから。」

鼎「こうしてみると、関西人の再稼働派の人にしてみても、おおい町の原発ムラの人達も、関西電力も、みーんな、口ではきれい事ばかり言ってるけど、実際は私欲にまみれたホンネが別にありそうだよね。ある人は【俺は節電なんかしたくねー。停電も嫌だ。】であり、ある人は【利権を取り上げられてたまるか】であり、みたいな感じで。」

愛原「ちなみにネットの中には、【(節電や停電となると)みんな困るだろが】とか【お前ら、耐えられないだろ】みたいな表現をする人もいるが、【俺】といわずに【みんな】とか【お前ら】という言葉を使いたがる人も多いよな。」

逆沢「有名な【またお前らか】もそんな感じね。自分ではなく、他人をダシに使う所がいかにもネットらしいというか。」

鼎「これもホンネとタテマエの観点でみれば、面白いよね。ホンネ【自分自身が困るから】なんだけど、それだとカッコ悪いから、【みんなが困るから】とか【お前らが困るから】という理由を使うとか。」

逆沢「しかしなんで、再稼働賛成派の人達の中には、ツッコミ入れられても論理的に理由を説明できない程度の知識もないくせに、結論だけ先に決めちゃう人がが多そうなのかしらねー。恐怖でパニックになってるのかも知れないけど。」

愛原「まぁ、そう言うな。俺も自信を持って再稼働しなくても大丈夫なんて言えない立場だしな。ラインとしては本当に微妙なんだ。関西電力の連中が真面目に電力をかき集めようとしなかったり、節電に全然協力しようとしない住民があまりにも多いと、さすがにヤバくなるラインである以上、彼らを非難する事まではできん。醜いタテマエを使う連中だけは別だけど。」

鼎「醜いタテマエって、たとえばどんな?」

愛原「少数派ではあるが、岩手や宮城のガレキ受け入れ問題をテコに、原発再稼働に慎重な陣営を非難する手合いがたまにいる。この前にも書いた【一部の問題児がいるからという理由で、相手陣営全体をこき下ろす】詭弁をするタイプに含まれるのだろうが、あいつらだけは不愉快。そいつの醜いホンネ部分をあぶり出してやりたいくらいだ。」

鼎「安易に詭弁とかレッテルを多用する人達は、私もあまり好きじゃないけど。」

逆沢「あー、でも、まだ解けてない謎があったわ。関西広域連合の連中よ。あいつら、なんで土壇場で態度を豹変させたのよ?」

愛原「俺は彼らに直接インタビューできる立場ではないから、ここからはある程度推論にはなる。まず一般論から入ると、おそらく責任回避の視点だろうと思われる。」

逆沢「は? 責任回避? 政治家のくせに。」

愛原「うん。彼らのホンネとしては、おそらくどういう態度を表明すれば、最も責任を回避できるかという一点にあると思われる。ほら、岩手や宮城のガレキ問題でも、真っ向から受け入れに反対はしないけど、受け入れ反対の住民を刺激もしたくないからという理由で、あいまいな態度で受け入れを(【現状では】という条件付で)拒んでいる首長が多いだろう?」

逆沢「ああー。なるほど。彼らのホンネとしては、住民が賛成一色に染まれば迷わず賛成に回り、反対一色に染まれば迷わず反対に回るけど、現状ではどちらを表明しても一方から強く非難を受けるだろうから、どっちつかずの態度を選択してる訳ね。」

愛原「ま、首長というのは、その自治体の代表であるから、住民自体の意見が割れているのに、無理矢理どっちかを切り捨てるのが正しいとはいえない。そういう意味では、日和見の首長が愚かともいえないけどな。永田町で有名な政治の言葉の一つで【早く出し過ぎると潰される】というのがあってだな。議論が煮詰まっていないのに、結論を急ぎすぎると、どっちの結論を出しても、それに反対する陣営の猛反撃に遭って潰されるというのがあるんだ。だから閣僚人事などでも、意図しない範囲で早く人事が漏れてしまった場合、その漏れた閣僚候補は、実際には絶対閣僚には成れないなんて話もある。」

逆沢「反対派をねじふせるだけの腕力があるか、説得できるだけのカリスマや調整力があるなら、しょっぱなから結論を出すのもアリだけど、それができるだけの腕力もカリスマもない並の政治家が、カッコつけて颯爽と結論を急いでも、ピエロで終わるだけってか?」

愛原「我々庶民の立場だと、決断できないリーダーにイライラくる事も多いが、【あのリーダーにそれだけの腕力やカリスマが、そもそも備わっているように見えるか?】という視点で見直すと色々面白いかも知れんぞ。」

鼎「とすると、関西広域連合の首長さんも、どうやったら有権者を敵に回さないで済むかという視点で、ギリギリまで結論を先延ばしにしたって事かなぁ?」

愛原「まず総論から言うと、【我々は必死で、再稼働阻止の為に努力した】というアリパイを作る為に、ギリギリまで抵抗した可能性が高い。また中盤までは、本気で再稼働阻止に動いていたフシも見える。だが野田総理の後援を受けて計画停電のスケジュールまで経産省が作り始めたので、【ヤツらはマジだ。本気で停電させかねない】とブルッたようにも思われる。」

鼎「残り2つの火力発電所も回そうとしないあたり、関西電力は本気で【コイツら、本気でいっぺん痛い目に見せたらなあかんわ。一発やったったら、キャン言いよるやろ】とか考えてた可能性もあるよね。」


愛原「野田がもし【関西で停電させたらタダじゃ済まんぞ】と関西電力を脅したなら、関西電力も大人しく残り2つの発電所を回すか、揚水発電所をフル稼働させるか、電力買い取り事業を本格化させただろうが、逆に【原発は必要】とか【私の責任でやる】とまで言い切って、原発再稼働を強く後押しし、関西広域連合が抵抗し続けた場合、本気でキャン言わせる強気の姿勢まで臭わせた以上、橋下を含めて、全員白旗を上げざるを得なかったというのが真相かも知れない。」

鼎「つまり野田さんは、関西電力と再稼働賛成派を脅すべきなのに、逆に関西広域連合と再稼働反対派を脅してしまったって事かなぁ?」

逆沢「諸悪の根源は、野田かーっ!!!」

鼎「やっぱり協力を得たい自民党の思惑とか、電力労連の圧力とか、早期の原発再稼働を要求するアメリカと財界の要請とか、そんなのがバックにあったのかなぁー。野田さんは、東京電力に対してもすごく弱気だし。」

愛原「すまん。野田のホンネに関しては、鼎が言うような理由しか思いつかない。RPGであるような、誰もが予想しなかった衝撃の理由が別にあれば、むしろ俺が教えて欲しいくらいだ。あー、それと関西の首長も、決して一枚岩でなかった事は、この際、付け加えておきたい。」

鼎「メディアで目立ってたのは橋下さんだけど、橋下さんは確か強硬な再稼働反対論者だったよね。」

逆沢「ていうか関西の首長で、しょっぱなから結論を強く打ち出せるようなカリスマ性と豪腕を持つのは、橋下さんだけでしょ?」

愛原「橋下の元にはいいブレーンもそろっているのか、関西電力が出したマイナス15%の虚構も打ち破って、あと一歩まで追い詰める大健闘ぶりだった。ある意味では橋下の強さに関西電力単独では太刀打ちできそうにないから、野田が政治力をもって関西電力を後方支援までせざるを得なかったとの見方もできるくらいだ。」

鼎「関西電力に5%まで譲歩させた時点で、これでもう再稼働抜きでも計画停電はないだろうみたいな状態まで追い込んでたもんね。一時的に。」

逆沢「けどその後の野田や経産省の巻き返しがあまりに強すぎた・・・か?」

愛原「もっとも真面目な意味で、最も再稼働に慎重な姿勢だったのは、おそらく京都府と滋賀県の両知事だったように思われる。」

逆沢「そりゃあ京都府と滋賀県は、いわゆる20キロ圏とか30キロ圏にあって、人ごとで済む立場じゃないしねー。うっかり再稼働に積極賛成なんかして、もしもの事があったら、リアルで首つりしなきゃならなくなりかねないし。」

愛原「これは【東京電力清水前社長による菅内閣への全面撤退依頼の電話】疑惑についても、同様の事が言える。東京電力の幹部どもは【全面撤退とは最初から言ってない】とか抜かしてるが、【部分撤退とも電話で一言も言ってない】訳だから、菅らの立場からして、撤退に猛反対するのは当然すぎる。もし菅らが【徹底してもいいですよ】とか言って、東京電力のメンバーが本気で撤退したら、福島は今のレベルで絶対収まらないより致命的な結果になっていたはずであり、東京電力は【総理から了解を得た】というお墨付きにより全面撤退を正当化できる一方、菅内閣の責任は無限大になってしまう。仮に(東京電力が今頃になって主張してるような、作業に直接関係のない社員を一時的に退避させる)部分撤退だけをしたいなら、そもそもその程度なら政府に許可を取らずとも、勝手にやればいい訳で(そもそも作業に関係のない人間なら、地元の一般人と同じだから避難させるのは最初から当たり前)、何重もの意味で論理破綻している。にもかかわらず、この問題で【どっちもどっち】みたいな言い方でケンカ両成敗に持ち込もうとしている一部メディアは、俺からみて全くもって許し難い。【お前ら、東京電力の手先だろ?】と思えるくらいに。」

逆沢「財界が東京電力の味方である以上、財界からのスポンサー料で経営しているテレビ局が、東京電力に不利な報道をしたがるとは思えないけどねー。特に財界から総スカンの菅陣営と東京電力のどちらを取ると言われたら、菅の肩を持つメリットなんてこれっぽちもないだろうから。」

鼎「つまり滋賀県と京都府の立場からすると、再稼働に消極的なのは、立場上当然と言う事かな? 現状では原発のうまみは全部福井県側に取られていて、滋賀県と京都府はリスクだけを多く背負うような状態だから、最も抵抗が強いのは当然という事で。」

逆沢「大阪府は、橋下さんの意向通り、やっぱり原発再稼働に強く反対。和歌山県は、最初から最後までコメントなし。兵庫県は色々口は出してたけど、なんかよく分からない感じだったわ。」

愛原「兵庫県は事情が特殊。まず抑えておかないとならないのは、日本の原発の半数は、神戸で作られているという事。」

鼎「え? 確か福島県で爆発したのはアメリカ製だと聞いたけど。」

愛原「福島のあれに関してはアメリカ製だが、日本の原発のほとんどは日本製。で、その日本製の半数は神戸の工場で作られている。」

逆沢「何ぃ!! て事は神戸は隠れた原発ムラの住人だったのかぁっ?!」

鼎「という事は、神戸市や兵庫県の立場としては、もしかして原発推進って事??」

愛原「あー、そこまではいかない。原発推進の立場を明確にしているのは、原発を作ってる工場のある兵庫2区の国会議員くらい。神戸市長自体も、最初は橋下や京都側と距離を置いていたが、時期を遅らせながらも、中長期的な原発全廃を求める運動には参加してるし、関西電力に対する株主提案にも参加しているくらい。」

逆沢「でも参加時期を遅らせてというのが、少し気になるんだけど。」

愛原「色々調べてたみたいだな。参加を決断した時の神戸市長のコメントが印象的で、何やら新エネルギーの事を具体名も出しながら言ってたのが記憶に残っている。まぁぶっちゃけていえば、神戸としては原発縮減の流れになればなったで、新エネルギー特需による利益も見込めると判断した印象だ。」

鼎「あ、そうか。原発が止まったおかげで景気に沸いてる都市もあるように、原発が無くなれば無くなったで、別の発電施設が作られるだけだから、それはそれで新たな景気の刺激になるんだよね。」

逆沢「つまり神戸財界がソロバンを弾いたところ、橋下に同調してもそれはそれでオイシイと判断したって事か? まぁ兵庫県は日本有数の工業地帯だし、先進的な科学技術施設もそろってるし、神戸港は外国から必要な材料や燃料を調達するのにも向いているだろうから、そういう計算が成り立ったのかも知れないけど。」

愛原「俺の見立てでは、神戸財界は麻雀でいう所の両面待ち態勢に入った。今後、国の原子力政策がどっちに転んでも、それはそれでビジネスチャンスととらえてる印象。神戸市長は橋下の提案を全てのむではなく、いわゆる部分連合を打診し、今では橋下をすっ飛ばして京都市長との共闘での株主提案も色々模索している。中でも興味深いのは神戸市単独での株主提案部分で、神戸市は【代替電源の確保】を独自に主張している。」

鼎「ほえ? 代替電源?」

愛原「要するに原発やめる前に、原発が無くなっても電力不足にならないように、先に別に発電所作れという提案。」

逆沢「なんか暗に、発電所を作る事でさらにお金もうけしてやろうと考えてそうねー。」

鼎「でもいい所ついてると思うよ。ただヒステリックに原発反対いうよりも、リアリティーがある感じで。」

愛原「一方、大阪府などと共同提案としているのは、原発に依存しない体制を作ろうという主張の部分。ま、大飯原発あたりが福島みたいになったら、福井県の周囲の原発全部がまとめて使えなくなる恐れが高いので、これもある意味リアリティーはある。」

逆沢「ていうか、よくよく考えると、福井県の原発って割と高齢でしょ。どっちにしろ長持ちはしないのよねー。それにそのメンテナンスをしてるのも神戸のメーカーだとしたら。」

愛原「ああ、言っておくの忘れたが、関西電力の原発は百パーセント、メイド・イン・神戸だ。だから神戸財界は福井の原発の現状について、意外と情報を持っている可能性もある。あと福島の原発はアメリカ製だったから日本政府もだんまりだったが、日本企業の原発で事故があったら、メーカーの賠償問題に発展する可能性もあるから、神戸サイドとしても耐用年数が迫っている原発をごり押ししにくい事情も少しはあるかも知れない。」

逆沢「全国ニュースでは全くの無名だけど、なんか神戸市って、何気に原発問題では隠れた影響力がありそうねー。」

愛原「そりゃ全国の半分の原発を一手に担っているからな。」

鼎「原発が止まって、神戸の景気は悪くなってないの?」

愛原「メーカーの研究開発部門は色々変わっているみたいだが、神戸財界全体としては大して影響はなさそう。原発だけに依存しているおおい町などと違って、神戸市クラスになると、原発部門なんてたくさんある得意分野の内の一つでしかないから。むしろ廃炉に向かえば、それはそれで特需のチャンスと考えられるくらい、色々余裕もあるみたいだ。」

鼎「あ、そうか。福島原発の廃炉ビジネスには東芝などが入ってるけど、日本の原発の半分を神戸が抑えているとしたら、廃炉にしても新しいのを建設し直すにしても、莫大な利益を期待できる立場なんだよね。」

愛原「彼らが恐れているのは、耐用年数近い原発を無理矢理維持する事によって発生するリスクの方だな。電化製品にしろ何にしろ、どんなに整備に気を使っても、いずれは壊れる。扇風機でも何十年も使い続けたら、いずれモーターが火を噴いて家屋を全焼させてしまう事もあるし、それが原発なら・・・。神戸市陣営が代替電源の確保を関西電力に対して独自に株主提案しているホンネが、何となく推測できない事もない。」

逆沢「橋下の提案を最初は蹴ったかと思ったら、急に歩み寄ったり、部分連合とか言い出したり、神戸市の動きは関西人からしたら色々異様だったけど、原発ムラの裏ボスならではの暗躍と考えたら、実は自然だったって事か?」

鼎「そう言えば兵庫県知事の立場も、何となく中途半端だった印象かも。」

愛原「兵庫県は、福井県に次ぐ隠れた電力供給地でもある。日本最大級の揚水発電所を2つも抱え、姫路・相生・赤穂と3カ所に火力発電所も抱え、高砂にも跡地がある。ちなみに現在、姫路発電所で240万KWもの増設がされる見込みだが、これは実は老朽化した火力発電施設を壊す代わりに新設する予定だったもので、いわゆる電力不足とは関係ない(環境アセスメントの関係で、火力発電所を作るにはそもそも計画段階から何年もかかる)。ところが降ってわいた電力不足イベントで、この周辺エリアの注目度がかなり上がっている。」

逆沢「つまり原発のシェアが下がる程、兵庫県の電力供給地としての地位は上がるという事?」

愛原「揚水発電所との距離も良い。東京電力管内の場合は、福島や新潟の原発で作った電力を長野県や群馬県にある揚水発電所に送り、それをさらに首都圏まで運ぶような構図にもなるから、いわゆる送電ロスが半端ない状態だった。というか福島県から東京都までストレートに電気を送るだけでも10%くらいのロスはあるらしいし。一方、兵庫の場合、市川上流にある揚水発電所と、市川下流にある姫路発電所との距離は50キロくらいしかなく、高砂・相生・赤穂の3都市も近郊にある為、送電ロスがかなり軽減できる。兵庫県知事からみても、福井県に替わる代替電力が真面目に議論される状態になれば、これはかなりおいしいと思えそうな諸条件がそろっている。」

鼎「兵庫県知事の立場としても、感情的な脱原発ではなく、リスクの高い原発維持でもなく、うまく第三の道で着陸したいというのがホンネなのかも知れないね。」

逆沢「何が何でも原発再稼働しか頭に無さそうなおおい町らとは、なんか全然ホンネのレベルが違う感じだわ。この前もマスコミがおおい町の議長に【何か一言】と聞いた際に、【あ】と一言だけかまして、大ひんしゅく買ってたけど、ああいうの見せつけられると、余計にレベルの差を感じるというか。」

愛原「ま、誰だって知られたくないホンネ部分を集中攻撃されると、逆切れしたくもなるからな。おおい町側のホンネが原発利権にある事はほぼ間違いないと思われるが、このホンネだけにしぼってマスコミに質問され続けた事で、理性がぶっとんだんだろう。【良薬は口に苦し】というが、【正論は耳に痛し】。原発利権を糾弾する俺を含む大半の意見はおそらく正論寄りだと思われるが、その正論という刀をもって、マスコミがおおい町陣営の触れられたくないホンネ部分に斬り込もうとしたから、彼らとしては逆切れするか、幼稚な反撃をするしかなかったという所かも知れない。」

鼎「詭弁に対しては逆襲のしようもあるけど、正論に反論はできないし、正論という刀でホンネという決して触れられたくない大事な部分に直接斬り込まれると、私達もどうしようもなくなるよね。」

愛原「でも俺は聖人じゃないから、詭弁をもってこちらを侮辱してくる相手に対しては、一切容赦しないけどな。」

逆沢「ま、それでも真面目で思いやりのある人のホンネと、自分の利益しか考えない身勝手な人のホンネが激突すれば、前者の方が勝てる程度には、正論の力は強くあって欲しいけどね。幸い、今の社会は、心が汚い人のホンネほど、触れられたら簡単にダメージを受けるようになってるみたいだから。」

鼎「ところで原発再稼働問題は、まだ始まったばかりだし、これからどうなるのかなぁ?」

逆沢「野田や福井県陣営は、暫定のいう名の恒久状態に持ち込む腹づもりみたいだけどね。現状で原発抜きでもさして問題のない地域でも、順次原発を再稼働させていく野望の為に。」

愛原「前々から言っているとおり、条件さえ満たせば俺自身は、原発再稼働に全く異議は唱えない。安全性確保と経済性向上の為に、独占体制を始めとする利権をぶっ壊すのが最低条件。あと自己責任水準をもう少しあげた方が良い。【爆発しても貴方たちの生活は引き続き安泰です】なんて事になったら、手抜きがますます加速する。財政も破綻する。これが俺のホンネ。脱原発だろうが原発推進だろうが、こちらは俺にとってのホンネの争点ではないから、実はこちらではいくらでも譲歩の余地はある。」

逆沢「ああー、これはでも厳しい。電力会社や自民党らのホンネが【利権の確保】にあるとすれば、こちらのホンネが【利権の破壊】にある以上、相手の触られたくないホンネに刀を向けざるを得ないし、とすると相手も全力で抵抗してくるだろうからねー。」

鼎「けど相手陣営としては、まさか【利権確保の為に】なんてホンネで議論はできないから、色んなタテマエを争点に繰り出して応戦する可能性が高そうだよね。」

逆沢「うーん。これはこれで上に上げた【無敵くん】相手の議論になりそうで、すごく面倒そうだわ。仮にこちらがどれだけ論破できたとしても、次々と、別のタテマエを出してくるだろうから。」

愛原「それでも議論になれば、まだマシだ。怖いのはむしろ脅しの方。アメリカもそうだが、力のある陣営は【俺達の言うことを聞かないと、無理矢理キャン言わすぞ】という奥の手が使えるからな。」

逆沢「関西広域連合勢も屈服させた究極の奥の手ね。とするとこれからも、野田の脅しプレイの前に関西勢は連戦連敗か?」

愛原「残念ながら十分ありえる。橋下大阪市長が夏限定の再稼働を新たに争点に設定したのに対し、野田にも福井県側にもその意思は全くなさそうだし。神戸・兵庫陣営は代替電源確保までという独自の争点を設定しているが、これも野田は無視する可能性が高そう。」

鼎「でも野田さんが総理辞める頃までは、原発の寿命も持つだろうから、勝負はその後になるかも。」

逆沢「でも自民党がその後に政権についたら、完全アウトだけどね。」

愛原「自民党が政権を取るまでに、せめて電力自由化だけでもやり遂げて欲しい。独占体制のままでは、そもそも議論にすらならず、力を持っている者の脅しだけで全てが決まってしまう。関東の民も関西の民も、その他の地方の民も、電力会社がしたいままになっている。議論でなく脅迫で物事が決まるような世の中は、いくら何でも大問題だ。」















トップページに戻る