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愛原様のたわごと(12年7月1日)





愛原「とりあえず製作は割と好調。ただし暑くなってきたのと、仕事が多忙気味なのと、データの移転作業が面倒なのがタマに傷。」

逆沢「何、その書いた本人しか分からないような箇条書き?」

鼎「でも雰囲気だけは何となく分かったかも。ヒマな時ほどなぜかやる気が出なくて、やる気が上がってる時に限って忙しい事も割と多いよね?」

逆沢「ああー、それなら何となく分かるわ。忙しい時ほど、時間が惜しいから、かえって効率よく作業ができるというか。人間、時間に余裕がある時よりも、追い詰められた時の方がかえって仕事がはかどるってあるからねー。」

愛原「別に追い詰められてはいないけどな。締め切りもないし。ただネタだけがたまり過ぎて、肝心の作業が全然進まない事に対するあせりのようなものはあるが。」

鼎「ところで暑いのと仕事が多忙なのは仕方ないとして、データの移転作業って何?」

愛原「うん。古いバージョンのままのせいかどうか分からんが、ウディタ内のとあるマップデータファイルの容量が5000KBを越えようとするあたりから、やたらウディタが強制終了ようになってだな。色々試した結果、そのファイルのデータ容量が5000KBよりも少ない余裕のある状態に保てば大丈夫という事が判明したのだが、その結果、本来なら1つのファイルにまとめたいデータを強制的に2分割しなくてはならなくなって、それがちょっとだけ面倒な状態になっている。」

鼎「その問題のマップデータファイルって、どういう内容のファイルなの?」

愛原「本編移行後のイベントテキストデータファイルという扱い。戦闘部分やキャラクターデータなどは完全に別ファイルに分離しているので、ここにあるのは早い話、ひたすらAVG部分における会話部分などのテキストが中心。」

逆沢「なんだ、テキストファイルか? て、ちょっと待て? なんでテキストファイルの容量が5000KBにもなる?」

鼎「確か日本語は、1文字あたり大体2バイトと聞いた事があるけど。」

愛原「俺はウディタの内部仕様がよく分からないので、実際に文章データの保存に、どれくらいの容量を食うのかは分からんけどな。3バイトかもしれんし5バイトかも知れんし10バイトかも知れん。ってか、選択肢とか別イベントへのジャンブ処理とかもかなり混ぜているので、そちらで食う容量がでかいせいかも知れないし。」

逆沢「参考までに聞くけど、仮に5000KB相当の小説を書くとしたら、どれくらいのページ数になるの?」

愛原「アバウトな質問過ぎて、正確さとはほど遠い回答しかできないが、5000KB=1024×5000バイトだから、この数字を1文字あたり2バイトだから2で割ると、大体256万文字。ページ数あたりの文字数についても、本によってバラバラとしか言えんが、仮に徳間書店版銀河英雄伝説(全10巻)なら、1ページあたり大体960文字で、それが大体1冊あたり250ページだから、1巻あたり大体、250×960=約24万文字。つまり5000KBというのは、銀河英雄伝説全10巻分を書ききった容量とほぼ同じ・・・なのかなぁ? まぁ、最近のライトノベルの場合は、(作者や作品にもよって大きな差はあるが)1冊あたり平均大体12〜15万文字くらいらしいから、文字がぎっしり詰まった銀英伝と比較しても、大きく的外れという程ではないと思うが。」

逆沢「銀英伝全10巻分に相当するテキストファイルか。・・・なんかワロタ。」

愛原「ただ実感として、その半分も書いてるとはとても思えないから、やはり顔グラを移動させたり、戦闘イベントを呼び出す処理を入れたり、そういう部分で容量食ってるんだろうな。選択肢も5拓だと、単純計算で実際にプレイヤーが感じる文章量の5倍は容量食うわけだし。」

鼎「そのあたりは、ゲームブックと同じ感覚だよね。ゲームブックのライターさんは、あらゆる分岐部分について丁寧に執筆されているけど、プレイヤーが1周あたりに読む文章量は、多分その5分の1くらいしかならないだろうし。」

逆沢「ゲームブックにしろAVGにしろ、この手のライターさんは、製作にあたっては、読み手が感じる数倍の苦労をしてそうね。」

愛原「ゲームブックか。懐かしいなぁ。作者も昔はよくやったらしい。押し入れの中をあさったら多分20冊くらい残ってそうだから、また久しぶりにやってみたくなってきたわ。【王たちの冠】シリーズや【暗黒教団の陰謀】とか有名どころはさすがの出来で今でも大体の内容は覚えているが、【モンスターの逆襲】とか【ティーンズ・バンタクル】とかも、個人的な嗜好とぴったり合致してお気に入りだった。」

逆沢「聞けば聞くほど、古くせえ時代遅れのオタって感じがしてならないわ。」

愛原「ま、自分でもオールドタイプだと自覚はしているけどな。新しい時代に適応したニュータイプには、色んな意味でもうかなわんわ。」

鼎「けど最近は、ゲームブックという存在自体、あまり語られないような気がするよね?」

逆沢「これも時代なのかもねー。ま、強いて言えばAVGが、その上位互換として存在するから、それはそれでアリのような気もするけど。」

鼎「けどAVGも、昔のゲームと比べると、ゲームブック的な選択肢がどんどん失われているような気もするよ。たくさんの選択肢が登場して、違う選択肢をえらべば違うシナリオが展開されるみたいな、重厚な物語性が失われつつあるというか。なんとなくだけど、最近はどの選択肢を選んでも、物語の基本的な流れはほとんど変わらないとか、エンディングに少し差が付くだけとか、そういうゲームの比率が高まっているような気がするけど。」

愛原「その最近の潮流を地でいってるウチとしては、すごく耳が痛いなぁ。まぁ言い訳にしかならないが、ゲームブック的な分岐や選択肢を実装するには、並大抵ならぬ労力を必要とするのだ。ていうか選択肢という要素を加味するだけでも、小説を書く数倍の労力が必要になる。仮に5拓にすれば、5通りの文章や展開を考える必要が出てくるからな。」

逆沢「しかも、プレイヤーがどの選択肢を選んでも、ゲーム展開が破綻しないようにする工夫も必要になるしね。ま、間違った選択肢を選んだら、即ゲームオーバーだらけという仕様もアリだとは思うけど。【Fate/stay night】みたいに。」

鼎「作者としても、味わって欲しいシナリオの流れというのはあるから、それ以外の選択肢を選んで欲しくないという心境は分かるし、それだったらいっその事、選択肢自体をなるだけ排除しようとなる気持ちも、分からなくもないよ。」

愛原「同感。仮に5拓にした所で、プレイヤーが選ばなかった残り4つの選択肢が、結局一度も読まれないまま終わるリスクもあるしな。」

逆沢「選択肢という要素は、作り手からしたら色々面倒くさい仕様だけど、けどプレイヤー側からすると、ただ読まされるだけの小説やビジュアルノベルよりも、やっぱりプレイヤーの意思で物語が動かせる可能性を感じさせるという意味で、割と魅力的なんだけどねー。」

愛原「というわけで今回のテーマは、【選択肢があるということ】だ。お前らは無論、選択肢が有るのと無いのとでは、有る方が当然いいよな?」

逆沢「あったり前じゃない! 選択肢があれば、その中で最も自分が好きなものを選べるわけだから。」

愛原「ま、普通はそう考えるよな。だが現実世界には、選択肢がない方がいいと考える人も案外いたりするのだ。」

逆沢「は? そんな奇特な人がいるの?」

愛原「うん。残念ながら少なからずいる。選ぶ自由があるという事は、選んだ結果に伴う負担や責任も当然ながらあるわけだが、これを嫌って、他人に選択を丸投げしたがる人も残念ながら多いのだ。」

鼎「上の方で取り上げた銀河英雄伝説の柱となるテーマも、【国民の一人一人に為政者を選ぶ権利がある民主主義陣営(自由惑星同盟)と、為政者を選ぶ事のできない専制主義陣営(銀河帝国)のどっちがいいか?】というものだよね?」

逆沢「普通なら誰でも民主主義陣営を選びたいところだけど、銀英伝の世界では、銀河帝国陣営にあまりにも理想的な英雄すぎるローエングラムが現われる一方、自由惑星同盟陣営では政治家達の腐敗が目に余る状態になっているのがミソなのよね。」

愛原「その結果、銀河帝国の民は、皇帝万歳を叫んでいれば万事OKな状態になってしまう。偉大すぎる皇帝陛下が、勝手に善政を敷いてくれるからだ。」

鼎「けどこれって、冷静に考えたらすごく怖いよね。もしもその皇帝陛下が乱心して悪政ばかりするようになったり、あるいは後継者が愚鈍だったりした場合は。」

愛原「銀河帝国を作ったルドルフという人間が、ちょうどそんな役回りになっている。国民が国民自らの意思でルドルフというカリスマに全権を託し、そして全権を得たルドルフが、独裁者として振る舞うようになる感じでだな。」

逆沢「誰かに全権というか、全ての選択肢をたくして任せっきりにする危険性を感じるけど、こういう思考の人って、今の日本人の中にも案外いそうで怖いわ。」

愛原「正しい選択肢を選ぶ自信のない人間ほど、他人に選択肢を預けたがるものだからな。占い師とか教祖といわれる人に相談し続ける内に、やがて占い師や教祖の教えに依存してすっかり言いなりになってしまうなんて例も、案外多いと思われる。」

逆沢「【この人の言う事を聞いてたら間違いない】なんて思いこむようになると、かなりヤバイって事ね。」

鼎「でも他人に色々依存したがる人というのは、意外とどこでもいそうな気もするよね。」

愛原「困ったときに他人の助けや協力をあおぐ事自体は極めて有意義だと思うが、本当の意味で信頼できる人と巡り逢えないと、弱気になった時、かなりヤバい。昨年末から今月にかけて逮捕された3人のオウム指名手配犯をみて、改めてそう感じた。」

逆沢「3人のオウム手配犯?」

愛原「うん。最初に自首してきた平田容疑者と菊池容疑者は、共にオウムの教義からほぼ完全に抜け出しているっぽい一方、信頼できる配偶者的存在と巡り逢っていた。一方、最後に逃走したあげく捕まった高橋容疑者は、独り身である代わりにオウム関係の本を、最後の逃亡中でも持ち歩いていた。平田容疑者と菊池容疑者が、オウムの教義よりも大事な存在に巡り逢えたのとは対照的に、高橋容疑者はオウムの教義以上に大事に思える存在(別に人じゃなくても、趣味でも目標でも生き甲斐でも可)やすがれる存在に、15年以上巡り逢えなかったのだろう。」

鼎「誰かにすがりたい心境の高橋さんが偶然巡り逢ったのがオウム真理教で、その結果、高橋さんの人生を悪い方向に狂わせてしまったとしたら、これってすごく悲しい事だよね。」

逆沢「平田容疑者と菊池容疑者も、オウム真理教と出会う前に、もう少し別のすがれる存在に巡り逢えてたら、多分全然別の人生を歩んでただろうから、そう考えると、運命のいたずらのむごさを感じなくもないわ。」

愛原「ま、一番間違いないのは、人生を左右する選択肢まで他人任せにしないという、強靱な心の強さを維持する事だろうけどな。このままじゃ過労死させられると思ったら、そんな職場はきっぱり辞める。こんなDV夫と一緒に居続けたらいずれ殺されると思ったら、さっさと別れられるよう行動する。そんな感じで。」

鼎「でも悲観的な人とか依存性の人とか保守的な人ほど、そういう自立した考え方はできにくい気がするかも。【この宗教を辞めたところでこれからどうすればいいんだ?】とか【この会社を辞めたところで次の職場が見つかるのか? あるいはもっとマシという保証なんてあるのか?】とか【この人がいないと、私、生きていけない】とか、そういう風に考えてしまっても、おかしくないような気もするし。」

愛原「俺は根が楽観的だから、そういうマイナス思考の人間の心理を洞察するのは苦手だ。」

逆沢「根が楽天的な割に、原発依存の現状とかには、割と憂いを持ってる方みたいだけどね。」

愛原「逆だ、逆。根が悲観的な人ほど、物事を悪く考えるから、現状維持を選択したがる。たとえ心の奥で【このままではいずれダメになる】とか【現状のままではいつか破綻する時が来る】と分かっていても、変えようとした際に、より悪くなるリスク面ばかり先に頭に浮かぶから、それなら現状維持となってしまうのだ。【フラれるくらいなら、最初から告白しない】とか【将来必ずうまく行く保証もないのに、努力したり痛みだけ先に背負うのは嫌だ】タイプと同類というか。」

逆沢「そりゃあ先行投資して、必ず上手く保証があるほど、世の中はあまくないけど、【変えようとしても上手くいく確証がないなら、いつまでも変えない事でさらに状況が悪くなる確証があっても変えない方を選ぶ】というのは、あまりに保守的過ぎるんじゃない? もしかしたら【いずれ将来、誰かがなんとかしてくれる】と考えているのかも知れないけど。」

鼎「でもそれって、占い師とかにすがるだけの人と同じ思考回路だよね。自分で運命を切り開く思考じゃなくて、他人が何とかしてくれるだろうというのは。あるいは、そのうち理想の皇帝が現われて自分をハッピーにしてくれるだろうから、とりあえず権力者に全選択肢を与えて、好きにさせてみた方がいいとか。あるいはアダム・スミスさんの【神の見えざる手】に期待して、余計なことはしない方がいいとか。」

愛原「一方、逆に根が楽観的というか、自分という人間の可能性を信じられる人は、自ら行動したり変えることで今より良くなるイメージが先に浮かぶから、とりあえず行動する。行動した結果、失敗してもヘコたれない。何度でも立ち上がる。挑戦しようとする。悲観的な人間が口だけ立派で、さっぱり行動したがらないのとは正反対というか。ま、少なくとも俺なら、自分を取り巻く職場環境や人間関係があまりに劣悪なら、速攻で逃げ出すな。その代わり、新しい環境を構築できるよう、新たに行動を開始したいとも考える。ちなみにこういう思考は、うつ病を克服する際にも大事な考え方でもあるから、憶えておいた方がいい。うつ病と診断された経験のある友人も、お医者さんからそうアドバイスされたと言っていた。」

鼎「うつ病を克服するのにまず必要なのは、うつ病を引き起こした原因となる環境から、その人を速やかに引きはがす事らしいよね。それだけでもかなり治るらしいから。」

愛原「そうなのだ。だがうつ病になってしまうと、ますます思考が悲観的になるから、周りの家族や友人が真剣に彼のことを思って行動してやらないと、ますます状況が悪化する事もある。速やかにそういう危険な環境から引きはがす必要があるのに、うつ病患者自身は、環境を変える事に伴うリスクばかりを考えて、ますますその環境の中に閉じこもろうとする心理が働くからだ。だから会社が原因でうつ病になりながら、それでもクソ真面目に会社に通勤し続けて、ある日突然、飛び降り自殺なんて事も起きたりする。」

鼎「悲観的になると、自分自身のことも信じられなくなって、自分の意思で自分の運命を切り開くという発想ができにくくなるから、ある程度は楽観的でいたいよね。」

逆沢「ただ自分で選んだ選択肢がハズレばかりだと、段々と自分に対する自信がなくなっちゃうのよねー。その結果、現状から抜け出す事にますます臆病になったり、あるいは逆に投げやりになって、それこそ怪しい宗教やカリスマにどっぷり依存したがっちゃうようになるとか。」

愛原「ま、この点は、ゲームブックやAVGを遊ぶ人間の心理でも、たまにみられる心境だな。たとえばさっき触れた【Fate/stay night】の場合、選択肢を間違えると即ゲームオーバーという場面が非常に多い。もちろんゲームオーバーシーンも楽しめるプレイヤーなら無問題だが、そういうのが嫌いなプレイヤーの場合、こういう選択肢の存在自体をウザく感じる事もあるだろう。」

逆沢「あー、分かるわ、その気持ち。せっかく作中の世界観にどっぷりはまって楽しんでんのに、いきなりゲームオーバーにさせられたら、一気にしらけるというか。」

鼎「そういうタイプの人は、ゲームブック方式よりも、小説方式の方が向いてそうだよね。普通に読み進めるだけで、感動のまま正式なラストまでたどり着けるだろうから。」

愛原「【自分で好きな選択肢を選べる状態よりも、最善の選択肢が始めから用意されている方がいい】と考えるタイプでもありそうだな。あるいは【戦うのが好きなのではなく、勝つのが好きなのだ】タイプともいえそうだ。」

鼎「私は、選択肢を間違える事で不利な状況に陥るリスクがあっても、選択肢がある方が好きかも。パラメータ上は剣を装備した方が有利だと分かっていても、このキャラに似合うのは斧なんだと思ったら、斧を選べる心のゆとりというか。」

愛原「うーん。鼎の今の指摘はもっともだが、そう言われると、なんかすごく恥ずかしくなる思いもあるな。パラメータ上の誘惑に負けて、自分が担当するPCに似合いもしない重装備をさせたりとかも、昔は普通にやってたからなぁ。」

逆沢「ていうか、特定のアイテムの威力をひいきしたら、そういう心境になっちゃうのは当然じゃない? 選択肢があるようにみえて、事実上、選ぶべき選択肢が一つしかない状態なんて邪道というか。」

愛原「ま、せっかく選択肢があるのなら、選ぶ楽しみが欲しいわな。どの選択肢を選んでも、それなりに楽しめる工夫というか。」

鼎「そう考えると、最近のAVGも、案外いいかもと感じたかも。どの選択肢を選んでも、劇的にシナリオが代わり映えしない代わりに、どの選択肢を選んでも安心だから、プレイヤーも気兼ねなく、自分好みの選択肢を選べるメリットはあるから。」

愛原「そういう解釈をしてくれるプレイヤーがいると、俺的にもありがたい。プレイヤーさんからの貴重で有り難い書き込みによって、ひとそれにも選択肢が実装される事になったが、基本コンセプトとしては【選択肢自体に、当たり外れはない。選んだ内容によってパラメータはそれぞれ変化するが、どの選択肢を選んでも、トータルの有利不利はあまり変わらない。】というスタンスでやっているからな。ある選択肢を選んだら攻撃力が上がって防御力が下がるとか、別の選択肢を選んだら知覚力が上がって敏捷力が下がるとか、そういう差はあるが、トータルで差をつけない事で、プレイヤーが安心して好きな選択肢を選べるようには配慮したつもりだ。」

逆沢「当たり外れのない選択肢ばかりならいいけど、現実世界では、人生の岐路においてどの選択肢を選ぶかによって結構当たり外れの差が大きいからねー。」

愛原「でもある程度は、本人の気持ち次第だろ? 悲観的に考えると、どの選択肢を選んでも失敗だったと思えてしまうが、楽観的に考えれば、全ての選択肢が経験値に見えてくるだろうしな。」

鼎「私は、どんなものでも、選択肢は多ければ多いほどいいなと思うよ。たとえばJ-POPにしても、何もAKB48やジャニーズばかりである必要はないと思うし。」

逆沢「店長イチオシの素晴らしい商品も悪くないだろうけど、他の商品と見比べた上で納得して選びたいというのは、私もあるわ。」

愛原「いずれも同感。ただたくさんの選択肢を用意するには、何かとコストがかかるのだ。本当なら剣と斧の両方を売り場に置きたくとも、両方置くスペースがないなら、より売れる方だけを置くしかない。たくさんのアイドルを同時に売り出したくとも、それだけの余裕が業界になければ売り出すアイドルを絞らざるを得ない。ゲームブックばりの豊富な選択肢をゲーム内に埋め込みたくとも、作者側にそれだけの技量や時間や予算が無ければそれもできない。・・・みたいな感じでな。」

逆沢「選択肢が多い世の中というのは、それだけ余裕がある世の中という事かも知れないわね。」

愛原「選択肢を提示する側にも余裕が必要だが、選択肢を提示された側にも余裕が欲しい。だが残念な事に、せっかく複数の商品を展示して、それぞれの長所と短所を丁寧に説明してやろうと思っても、【要するに一番いい商品はどれなんだ!】とばかりに、結論だけ急ぐ客もいる。その客がどれだけの予算を持っていてどんな機能を最優先に求めているのかも分からない内に、いきなり一番のオススメを問われても、店側としては最も利益率が高かったり、最も在庫を圧迫している商品を売りつけるしかなくなってしまうだけなのに。」

逆沢「でも結論だけを求める短絡的な人ってのも、割といるからねー。その占い師の思惑とかには興味なく、とにかく【今どうすべきか?】だけに興味がある状態というか。そういう人が求めているのは選択肢ではなく、(最も正しいと思われる)結論だからねー。欲しいのは問題の解き方とか魚の釣り方ではなく、問題の解答とか釣り終わった魚の方状態というか。将来のことを考える余裕なんかなくて、とりあえずが大事というか。」

鼎「残念だけど、それだけ今の日本人は、余裕が無くなってきているという事かなぁ?」

愛原「物理的・経済的に余裕がない分は仕方がないが、気持ち的に余裕が無くなる事態だけは避けたいものだな。人間、悲観的・保守的になればなるほど、【アレもダメ。コレもダメ】という心境になって、本当ならたくさんある選択肢を自らどんどん否定してしまうようになる。またひどい人間になると、他人にまでダメ出ししまくり、他人のやる気や選択肢まで奪おうする事もある。」

逆沢「そうゆう奴、すごく邪魔だわ。ま、やる気と可能性に燃える他人を見てうとましい気持ちになるのか、現状を破壊される事に不安を感じているのか、分からないけど。」

鼎「でも心理的に現状維持しか選択肢がないと思いこんでる人から、現状を奪ってしまったら、何も残らなくなるから、そういう人が現状の破壊行為をうとましく感じる心理は分からなくもないかも。」

逆沢「占い師の助言や宗教だけが心の救いと思っている人から、その宗教や占い師を引きはがすとか、ネットだけが唯一の楽しみという人からネットを奪うとか、会社の肩書きだけがアイデンティティーという人に会社をすぐに辞めるようにいうのとか、そういうのが難しいのは何となく分かる気がするわ。」

愛原「心の中に選択肢をたくさん保有している人ほど、人間的にも余裕ができる。一つ二つ失敗したり断念する事があっても、それで生き甲斐とかアイデンティティーとかが消滅する危険もないし。逆に心に余裕のない人ほど、不要なプレッシャーにもさらされやすい。心に余裕のある人からみれば許される失敗が、許されない失敗になってしまったりしてな。」

逆沢「それでも心の拠り所がある人というだけで、まだマシだわ。何かのきっかけで、かけがけのない人とか、大切な趣味とか、将来の目標とか、自分の未来に希望を持てる状態とかを見失ってしまって、心に大きな穴が空いてしまうと、それこそ怪しい宗教や占いとかにハマりかねないと思うし。」

愛原「人間はいつでも強くいられるわけじゃない。だからこそ心理的・経済的・物理的に余裕のある内に、より選択肢を広く持つ気持ちも持ち続けたいなとも思う。」















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