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愛原様のたわごと(12年7月15日)




愛原「今更になって知ったが、パンダというのは想像以上に希少なものだったらしい。」

逆沢「は? 先週あたりに話題になった上野動物園のパンダの報道見て、何か影響されたのか?」

鼎「東京スカイツリーがオープンした時並の大きな報道だったよね。上野動物園でパンダが産まれたニュース。」

逆沢「でも産まれて間もなく、すぐ死んじゃったらしいけどね。死んだ事もテレビのニュース速報テロップで放送されたらしいけど。正直、そこまで大きなニュースなのかと、色々ツッコミたかったんだけど。」

鼎「その件に関して、ネット内で興味深い記事を見つけたよ。こういう話題が取り上げられるのも、ネット文化のいいところだよね。」

逆沢「大津市のいじめ事件で9ヶ月ぶりに進展が見られ出したのも、ネットで祭りになったからみたいだしね。いやあ、ネットの力も侮れないわ。」

愛原「まぁ、ネットが強力な道具なのは間違いないわな。願わくばその強力な道具が、人々を幸福にする方向で使われて欲しいなとは思う。」

逆沢「で、今回の時事ネタは、イジメ問題でも小沢新党問題でもなく、よりによってパンダの話か?」

愛原「東京視点でみれば【パンダ=上野動物園】であるのか、和歌山や神戸のパンダの事など眼中にないといわんばかりに、上のリンク先記事で取り上げられているが、じゃあ、地方の人の視点は、東京視点よりはるかに客観的なのかと問われたら、実は俺個人に関しては正直自信はない。俺は俺で、パンダはもっとたくさん日本国内で飼われているものと思いこんでいたからな。」

鼎「日本国内でパンダが飼われている場所は、全国でも東京の上野動物園と神戸の王子動物園と和歌山のアドベンチャーワールドの3カ所しかないらしいよ。ただ、中国政府と新しい合意が成立したおかけで、もう少ししたら仙台市にもパンダがやってくるらしいけど。」

逆沢「現状3カ所。もう少し経ってようやく4カ所か。意外と少なかったのねー。わたしももっと全国にたくさんいると思ってたわ。パンダ。」

愛原「王子動物園に関しては、作者が小さい頃に連れていってもらったらしいから元々知ってるし、アドベンチャーワールドに関しても、テレビCMで割と流れるからたくさんいる事くらいは知ってたし、上野動物園に関しても東京キー局がちょいちょい報道してるから、そこにパンダがいる事くらいは昔から知っている(厳密には2008年から2011年までパンダのいない期間もあったみたいだが)。だもんでパンダなんてものは、全国どこにでも普通にいるとばかり、頭から思いこんでいた。」

鼎「まさしく【愚者は経験に学ぶ】そのものだよね。自分の身の回りの事だけで物事を見て、それが日本全体でも当たり前の光景と思いこんでしまうというのは。」

逆沢「東京の人は、報道や身の回りの光景からパンダといえば上野動物園が唯一(もしくは最先端)と思いこみやすくなってしまって、逆に関西の人は、和歌山にいけばたくさんいるし、神戸にも東京にも同様に普通に飼われている事を知ってるから、きっと他の地方でも同様にパンダの1頭や2頭いても珍しくないと思いこんでしまう愚者が出てきても仕方ないという事か?」

鼎「他の地方の人の視点も、知りたいと思ったかも。東京マスコミの影響を色濃く受けて、上野動物園だけが唯一と思いこんでいたか、逆に全国の色んな場所に点在していると思いこんでいたか、それとも元々東京と関西にしか存在しない程度には貴重なものと正確に知っていたか?」

愛原「【思い込み】というのは本当に危険だな。ちょっと調べたらすぐに分かる事まで、ちっぽけな経験だけを頼りにして、間違った認識のまま、なんとなく確信してしまう。」

逆沢「もしも私達が首都圏で生まれ育ってて、しかもネットに一切触れない環境だったら、上野動物園のパンダ報道もすんなり受け入れて、首都圏が暴風雨になったら全国でも暴風雨に違いなくて、首都圏に10cmの大雪が降ったら大事件として報道されるのも当たり前みたいな感覚に慣れてしまう可能性もあるって事か?」

愛原「十分あり得る。無知な他人をあざ笑うのは簡単だが、自分も十分無知な人間の一人である事を認識しておかないと、全て自分自身にはねかえってくる事くらいは認識しておいた方が良さそうだ。」

鼎「今度またパンダを見る機会があったら、もう少しありがたみをもって見るようにしたいよね。本当は全国でも限られた場所にしかいない貴重な動物なんだから。」

逆沢「で、今回のテーマはなんだ?」

愛原「今回のテーマは前回の続き。【選択肢を選ぶ事による覚悟(リスク)】の話をしてみたいと思う。」

逆沢「おいおい。そのテーマとパンダの間に、何の共通点があるのだ?」

愛原「・・・特にない。まぁたまにはそんな事があってもいいだろう。」

逆沢「で、今回の話。前回とどこが違うわけ? なんかよく分からないんだけど。」

愛原「前回のテーマの主眼は、【選択肢が多く用意されているのと、そうでないのとではどっちが望ましいのか?】という事と、【選択肢を多く用意するには、それなりのコストがかかる】という事がメインだった。今回は、選択肢を選ぶ事によって引き受けなくてはならないリスク面について、もう少し具体的に斬り込もうと考えている。たとえばお前らが、家電店で買い物をする際に、どの商品を買おうか迷った事はないか?」

逆沢「そんなの誰でもあるんじゃない? 【高くて良い商品と、安くてそれなりの商品をどちらを選ぶべきか?】とか【機能性や耐久性や拡張性のどれを優先すべきか?】とか【色は黒とグレーと青と緑のどれがいいか?】とか。」

鼎「【近くのお店で手早く買うか、遠くの電気街まで出向いて徹底的に品定めして買うか、直接目で見れないリスクやすぐに届くとは限らないリスクはあるけど通販で取り寄せるか】とか、どこで買うかもいっぱい選択肢があるよね。」

愛原「そう。人生の至る所で選択肢は常に登場する。そして厄介な事に、この選択肢に明確な【正解】は存在しない。安い商品を選べば性能面でのリスクは覚悟しなければならなくなるし、高い商品を選んでもそれだけの対価を払っただけの価値があるとは限らない。同じ値段の商品の中から選んでも、耐久性を選んだら予想外の低スペックに泣く事もあれば、高スペックを選んだらあまりに難解な操作性に泣く事もある。」

鼎「つまりどの選択肢を選んでも、それなりにリスクはつきまとうって事だよね。」

愛原「【ハイリスク・ハイリターン】という言葉がある。大きな見返りを期待するなら、その分だけの大きなリスクも背負う覚悟が必要という事だ。高収入を得たければ、その分だけ厳しい競争を要求されたり、人一倍の過酷な労働成果を要求されたり、(事業や資産運用に)失敗して財産を失う可能性も背負わされたり、世の中、大きな見返りを要求をすればするほど、それだけのリスクを背負うように出来ている。」

逆沢「面倒な世の中ねー。学校のテスト問題のように、選択肢の中に必ず正解が含まれているような世の中だったらいいのに。たとえば最も安い商品が、最も性能も操作性も耐久性もあるような世の中になれば、誰も選択肢で悩まなくて済むと思うのに。あるいは株や先物取引や投資信託や定期預金よりも、普通預金が一番実質利回りが良くなる世の中とか。要するに【ローリスク・ハイリターン】と【ハイリスク・ローリターン】しかない世の中というか。」

鼎「それだったら、実質、選択肢がない世の中と同じだよ。誰だって一番良いものを選びたいと思うはずだから。」

愛原「だからゲームの世界でも、【きちんとゲームバランスの取れたゲーム】ならば、選択肢のバランスはきっと取れているはずだ。同じ値段の武器が複数あるならば、一方は破壊力は高いけど命中率は低かったり、一方はその逆だったり、別のものは攻撃射程が長いけどそれ以外は中途半端だったり、使い手を限定するものであったり、特定の敵にのみ高い性能を発揮するものであったり・・・。」

逆沢「まさしく迷う楽しみね。家電店とかにいって、どのメーカーのどの製品を買うか悩むのと同様というか。」

愛原「まぁ、迷うのが楽しみな内は結構だ。だが世の中にはネガティブな人がいて、そういう人はどの選択肢を選んでも、必ず後悔するような人もいる。高い商品を選べば【もっと安い商品にしておけばよかった】と後悔し、安い商品を選べば【こんな安物買うんじゃなかった】と後悔するみたいに。」

逆沢「そういう人はどうしようもないから、放っておけば。大体、どの選択肢を選んでも、リスクを伴うのは当たり前なんだから、それをいちいち気にする人は、うっとおしいだけというか。」

鼎「けど現代学校教育の影響かもしれないけど、【選択肢の中には、必ず正解が含まれている】と思いこむような人も多いと思うよ。だから【政治が良くないのは、政治家が正しい選択を選ばなかったからだ(=政治家の質が良ければ政治はきっと上手くいってるはず)】とか【事故が起きたのは、担当者が適切な処置を怠ったからだ】とか【優勝できなかったのは、監督やフロントに落ち度があったからだ】とか、仮に担当者が正しい選択肢を選べば必ず満足する結果が出たに違いないと思いこむ人も多そうというか。」

逆沢「おいおい。世の中には、どんなに努力しようが、どんなに最適の選択肢を選んだつもりでも、うまくいかない事の方が多いだろうがって。」

愛原「選択肢を選ぶという事は、基本的に【ある種のリスクを背負うのと引き替えに、ある種のリターンをつかみに行く】事を差す。これはたとえば政治改革などにおいて強くその傾向が現われる。いわゆる【改革には痛みを伴う】という奴だ。」

逆沢「小泉純一郎の名セリフにもあったわね。【痛み無くして改革無し】だったっけか?」

愛原「仮に痛みのない改革。要するに【ノーリスク・リターン十分】の改革なんてものが世の中に存在するなら、歴代の為政者が小泉が現われるよりもずっと先に実行しているだろう。誰だって英雄としてチヤホヤされたいわけだから。」

鼎「あ、そっか。よく考えたらそうだよね。仮に【みんなに喜ばれて、誰も不快にならないような素晴らしい改革】がもしもこの世にあるなら、そんな素晴らしい改革は、誰もがすぐにでも実行したいと思うか、既に実行されているはずだよね。」

愛原「なぜ小泉以降の自民党政権が【私の代には消費税は上げない】と言い続け、常に増税論議を先送りにしておきながら、民主党政権による消費税増税を後押ししたか? もっと時代をさかのぼれば、消費税が3%から5%に上げる法案を通したのも社民党の村山政権の時だったし、自民党は竹下政権の時を除いて常に【消費税増税は必要だ】といいながら、自民党が政権を握っている時には決してそれをやろうとせず、そうでない時に他党にやらそうとする。それはなぜか? ちょっと考えてみれば分かるはずだ。」

鼎「確か村山さん率いる社民党はあれからガタガタになって、旧社会党の時の大勢力の見る限りもなくなっちゃったし、竹下さんの時も支持率がヒトケタになっちゃってたし、そういうリスクを恐れたのかなぁ?」

逆沢「とすると民主党は、消費税増税という火中の栗を拾ったせいで、かつての社民党のような状態になる事が予想されるってか?」

愛原「ま、支持率がヒトケタになったのは、歴代でも竹下登と森喜朗の二人しかいないからなぁ。森はまぁ例外として、消費税増税というのは、一つの政権を完全に破滅させる。小泉も安倍も福田も麻生も、もちろん現自民党総裁の谷垣も含めて、自民党政権の歴代総裁に自分自身を破滅させてまで、改革をやり遂げようとする者は皆無だったんだろう。」

鼎「鳩山さんが率いた民主党政権も、事業仕分けとか八ッ場ダム建設中止とか普天間問題とか年金問題とか色々改革をやろうとしてたけど、ほとんどポシャっちゃってたし、改革をやり遂げようとすると、ものすごい反発圧力がかかるけど、それで断念しちゃった所があるよね。」

愛原「学校のテストなら、選択肢の中には必ず正解が含まれているが、現実世界の選択肢に正解はない。あるのはリターンに見合うリスクのみ。大きなリターン、大きな改革をやろうとすればするほど、その際のリスク面や反発の度合いも大きくなる。鳩山は反発に怯えて敵前逃亡し、菅は最後まで戦おうとしたが民主党内からも強い反発が出て戦いに敗れた。ただそれだけの事ともいえる。」

逆沢「戦って敗れるならまだしも、敵に怯えて逃げ出すってのは、最悪だと思うわ。あとリスク部分だけ他人に背負わせて、リターン部分だけ享受しようとする自民党も。」

愛原「まぁそれでも、リスク面を恐れていつまでも選択肢を選ばないという方がより最悪だと、俺なんかは思うけどな。失敗すればその失敗を糧にして再挑戦すればいいが、いつまでも挑戦しようとせず時間を空費しているだけの奴の方が、個人的にはよりムカつく。ハイリスクが怖いなら、ローリスクから始めればいいだろと思うが、そのローリスクすら嫌がるのも多いからな。」

鼎「無謀な挑戦が良いとは全然思わないけど、どうすれば勝算が上がるかとか、色んな下準備とか研究とかシミュレーションは大事だと思うけど、そういう試みすら自分の頭でしようとせず、とりあえず他人の提案を否定する事から始める人がいるとすれば、すごく悲しい事だよね。」

愛原「ちなみに俺が個人的に尊敬する原発肯定派の人の主張があるのだが、ちょっと聞いてはくれないか?」

逆沢「ん? お前はどっちかというと、原発抑制派の方ではなかったか?」

愛原「基本スタンスはそうだが、いつでも肯定派に鞍替えできる程度の余裕はあるぞ。」

鼎「で、その肯定派の人はどういう主張の持ち主なの?」

愛原「うん。被曝した福島原発周辺の一帯を、放射性廃棄物の最終処分地兼原発立地として、固定するという案だ。既に放射能汚染された地域を急いで除洗しようというのではなく、逆にその地域を放射性物質のゴミ捨て場として固定しようという案。また原発自体もその周辺にできるだけ集積させる。こうする事で、元々放射能汚染されていないエリアまで事故や処分過程で新たに汚染される可能性も減らそうという目論見もある。」

逆沢「う・・・うーん。それはダーティーな案ねー。福島県民の前でそんな事をいえば、袋叩きにされてもしょうがない程の黒々しい案というか。」

原「俺もそう思う。公の前で口にする事すらはばかられるような、極めて主張に覚悟のいる案だ。ちなみにその者の主張として補足しておくと、原発が破壊されたのは劣等なアメリカ製原発4基だけであり、残る2基は無事な事。もちろん福島以上に強い地震が襲った女川原発も無事だった。つまり日本製原発はむしろあの大地震・大津波にも耐えた事を日本政府は声高に世界にアピールするべきであり、トモダチ作戦アメリカ万歳なんてのんきな事をせず、むしろアメリカ側を激しく糾弾すべきだったというものも含まれる。」

逆沢「アメリカを糾弾!! これも相当の覚悟がいる主張だわ。」

鼎「理としてはかなっているかも知れないけど、単純に並大抵じゃない覚悟が必要な主張だよね。」

愛原「俺は、人生のあらゆる選択肢にはリスク面もつきものと思っているから、そのリスクから逃げない姿勢には、強い好感を覚えるけどな。正直、原発をどう扱うかについては、推進にしろ反対にしろ、強い勇気と覚悟を要する。仮に原発にこれからも依存していきたいのなら、新たな原発立地と放射性廃棄物の処分地は絶対に必要だ。逆に原発依存を改めたいなら新エネルギーの研究開発と節電協力が不可欠だ。そのどちらの動きにも同調しようとせず、ただ現状維持なんてのはあり得ない。消極的な現状維持を選択すれば、みんなから嫌われることも我慢を強いられる事もないかも知れないが、そういうのは自民党的であまりにズルい。いつか誰かが嫌われ役を買ってくれるだろうから、それまでは現状維持に徹してなんてのは一番嫌いだ。」

逆沢「けど世の中には、【野田の消費税増税は許せない】とか【野田の原発再稼働強行は許せない】といいながら、【だから次の選挙は自民党支持】という変な人もいるからねー。どっちも参議院で過半数を制した自民党側がやらせている事なのに。」

鼎「むしろ自民党が以前から公約し続けていながらもできなかった事を、野田政権がやり遂げたわけだから、自民党支持者ほど次の選挙は民主党を支持しないとおかしいよね。自民党がやろうとしてできなかった事を民主党がやり遂げたわけだから。」

愛原「ま、どの政党を支持するかはテーマと関係ないから、その話は置いておく。が、絶対に忘れてはならないのは、選択肢に伴うリスクをどう覚悟するかという一面だ。これは年金問題や生活保護問題やその他財政問題にも当てはまる。これもみんなが喜ぶバラ色の改革なんてものはなく、誰かがリスクをかぶらないとならないのは同じだ。」

逆沢「年金問題の解決方法自体は、実は簡単なのよねー。大まかに言うと、老人に渡す年金を減らすか、現役層が収める年金を増やすかだけの2拓だから。」

鼎「現状では、年休受給者層に手厚すぎる感じがするかも。年金受給額の平均年額は300万円弱らしいし、共済年金受給者に限れば平均550万円以上らしいから。一生懸命働いても年収300万円の人も多いのに、いくらなんでも理不尽過ぎると思うよ。」

愛原「自営業者などの国民年金のみの受給者に限れば、40年満額かけても年収80万円弱だけどな。生活保護の方が余程高くなる。」

鼎「てことは、単純にお年寄りに渡す年金の額を減らせばいいと話ではなくなるのかな? 人によってそんなに格差があるとすれば・・・。」

逆沢「今の年金財政を破綻させているのは、どうみても公務員じゃないの? 連中は厚生年金でいうところの企業負担分まで税金で負担してるとかいうし、それ自体が大間違いなんだから、公務員も自営業者と同じ扱いにすれぱいいのに。それだけでも年金財政は全然変わってくると思うし。」

愛原「昔、長妻元厚労相が公務員の年金を減らす法案を厚労職員という公務員に考えさせようとしたら、みんなサボタージュして、結局何も進まなかった事があるからなぁ。公務員は自分達を肥え分取らせる為の法案を成立させる為なら知恵を絞るが、自分達が貧乏になる為の法案作りには知恵も貸さないという話。結局、その後、【官僚主導から政治主導へ】というスローガンは闇に葬られ、公務員を優遇して彼らに仕事をして貰わないと日本は回らないという旧態依然に逆戻りしてしまった。」

逆沢「おいおい。だからって、このままさらに状況の悪化を待つだけでいいのか!?」

愛原「もちろん良くない。そんな事は誰にでも分かっている。ていうか日本の現状が悪化する一方なのは、このままではより情勢が悪化する事が分かっていながら、誰もより積極的な新しい選択肢を選ばないからだ。選択肢がゲームの画面に現われた状態のまま、ゲームが止まっているような状態。誰も新しい選択肢をクリックしない。いや、ゲームの世界ならそれでもいいかも知れないが、現実世界の場合、それでも時は進んでいくし、誰でも老いるし、物は腐るし壊れるし、外国も停滞する日本を尻目にどんどん先に進んでいってしまう事だろう。」

逆沢「今の日本に必要なのは、停滞した分の遅れを取り戻せるような新たな選択肢を選ぶことだけだろうけど、選択肢を選ぶ事による見返りよりも、リスクを恐れている人の方が多いのが問題なのよねー。」

鼎「家電店に物を買いに行きながら、どの商品を選んでも値段とか性能とか利便性とかで迷って、どれを選んでもどこかの部分で後悔しそうたがら、結局何も買わずに帰ってきてしまうようなのを、今の日本人は繰り返しているのかもね。」

逆沢「あるいは、誰かがアンリ・マユになって、全てのリスク部分をかぶってくれるのを待ってる状態というか。今は野田が諸悪の根源として国民の怒りを引き受けてるような状態だけど。」

愛原「本来なら、鳩山の段階でその覚悟が欲しかったんだけどな。だが鳩山は普天間問題でも、沖縄にもアメリカにも同時に良い顔をして、結局何もできず、逆に両方に激しく嫌われるだけで終わってしまった。選択肢を選ぶという事は、選ばれなかった方に嫌われるリスクを背負う事も意味するが、鳩山はリスク面に対する覚悟が全くなく、ヒーローぶろうとして失敗した。八ッ場ダムの件での前原もそうだったし。郵政民営化の時の小泉のように、変えようとするなら必ず現われるであろう勢力と全面戦争する覚悟が全く足りない。」

逆沢「菅のように、戦おうと頑張ったけど、能力不足とカリスマ不足で力尽きる場合もあるけどね。戦う意欲さえあれば誰でも勝てるというなら、日本は戦争でアメリカに負けるはずがなかったと同義というか。」

愛原「それは仕方ない。戦う覚悟さえあれば必ず勝てるというなら、みんな先物取引でもFXでもやればいいという話になってしまう。少年漫画の世界と違って、覚悟や努力だけで全てが乗り越えられるほど、現実は甘くない。」

鼎「けど戦いから逃げ続けるわけにもいかないんだよね。」

愛原「うん。むしろ【負けることを恐れず、勝つまで挑戦し続ける思考】の方だな。ジョジョののスティール・ボール・ラン編で真の失敗とはッ!開拓の心を忘れ! 困難に挑戦する事に、無縁のところにいる者たちのことをいうのだッ!という名セリフがあったが、まさにそれ。間違った選択肢を選んで後悔する事が失敗ではなく、選択肢を選ばない事自体が真の失敗という考え方だな。」

逆沢「ま、家電店で商品を買うような例であれ、年金問題や普天間問題で改革する例であれ、どの選択肢を選んでもリスクを伴うのは同じだからねー。重要なのは、そのリスクを背負ってまで、選択肢を選ぶ事によるメリットをどれだけ大きく感じられるかという事で。」

鼎「仮に家のパソコンが壊れたから、新しいパソコンを買いにいった所で、後悔の可能性は常につきまとうよね。後で【別の店で買ってたらもっと安かったのに】とか、【こっちのメーカーの方がもっとスペック高かったのに】とか。でも後悔する可能性があるからって、何の目算もないままどのパソコンも買わずに帰っても、その人は後でもっと後悔するような気もするよ。」

逆沢「ネット中毒の人とかパソコンが仕事で必須の人なら、買わずに帰るという選択肢が一番、色んな意味でダメージは大きい気がするわ。そりゃあ数万円もの緊急の出費もバカにならないだろうけど、だからといっていつまでも優柔不断なまま、パソコン抜きでいるのはつらすぎるだろうというか。」

鼎「それってせっかくお金がたまったのに、武器と防具のどっちを買うかで迷って、結局、どっちも買わないままの状態を維持するくらい、無意味な葛藤だよね。せっかくラーメン屋に入ったのに、みそラーメンにするかしょうゆラーメンにするかで迷ったあげく、結局決められなくてどのメニューも注文しないまま、店を出て行くくらい無意味な優柔不断ぶりというか。」

逆沢「腹が減ったら何らかの食事を取らなくてはならないのに、豊富なメニューで迷いに迷った結果、どのメニューも選べないまま餓死する奴は、本気でアホだと思うわ。」

愛原「だがそんなアホな日本人が増えている。放っておいたら年金は破綻し原発も老朽化する事が分かっていながら、この先どうすべきを全く考えようとしない。」

逆沢「それを言われると耳が痛い。年金問題にしても原発問題にしても、消極的な現状維持派が一番多そうというか。」

愛原「方針を決めて本気で立ち向かおうとすればするほど、どうしても敵は増える一方になるからな。本気で原発と共存しようとしても、逆に廃止に向かおうとしても、その為には乗り越えなくてはならない巨大な巨大な壁が存在する。年金問題にしても、本気で解決しようとすれば、誰かを敵に回さざるを得ない。必要なのはそういう覚悟の面だ。だから俺は、足を引っ張るだけで解決のためになる知恵一つ出さない無策な現状維持派よりは、リスクに立ち向かう積極的な思想の人間の方を尊敬する。無策な幕末の幕府よりも、過激な尊王攘夷派の志士の方が百倍マシという感じだな。」

鼎「一部の賢ぶった人からすれば、【できもしない攘夷思想を掲げた時点で、彼らは愚か】という主張をする人もいるらしいけど。」

愛原「キャッチャーミットにボールが収まってから、後で【あのボールは振っておくべきだった】とかいう三流解説者と同類のアホだな。彼ら攘夷思想者が本気で薩英戦争や四国戦争を引き起こしたり、生麦事件や英国大使館放火事件を起こしたからこそ、日本は欧米の植民地化を避けられたという考え方ができないんだろうかと思う。攘夷志士が本気で欧米に抵抗して【他のアジア諸国のようにはいかない】事を見せつけたからこそ、欧米諸国が日本に対して一目置くような外交姿勢に変わった事。攘夷志士が全力で抵抗したにも関わらず、攘夷が成らなかったからこそ、攘夷は無謀だという事で、後の積極的な開国(文明開化)政策が前向きに受け入れられた事。もしも攘夷志士らが全力で抵抗しなければ、日本国民の中に【どうして外国に本気で抵抗しないんだ?】という鬱憤がいつまでも残り、欧米諸国も脅したら簡単に言いなりになる国として中国や東南アジアと同じように、一植民地として組み込まれていた可能性が高い。というか幕府の方針がそれそのものだった。今の大津市のいじめ問題にしても、仮に【いじめの撲滅なんて不可能だ。できもしないいじめ撲滅なんてスローガンに意味はない。】とか賢ぶって言ってる奴ばかりだと、とても今の展開はなかっただろう。犯罪撲滅・いじめ撲滅が不可能でもあえて犯罪撲滅・いじめ撲滅を叫び続ける事が、その減少につながる。」

逆沢「大津市のいじめ問題に関しては、いじめと無関係の人の個人情報や顔写真までさらされたりして、結構タチの悪い副作用もあるみたいだけどね。」

愛原「もちろんそれはそれでなんとかすべき大問題だが、デマを流すバカも含まれているからといって、ネットで騒ぐ事自体が悪いとはいえないだろう。そりゃあ、ネットでどれだけ騒いでも、警察も教育委員会も全く動かない可能性もあった。事件と無関係な人を巻き込むデマだけが拡散する危険性もあっただろう。だが、そういう【リスクがある以上は、我々は動くべきではない】という意見には賛同できない。それは【飲酒運転するバカが現われる可能性がある以上、日本国民は自動車の運転をすべきでない】と同類の暴論だ。」

鼎「日本人は、リスクを恐れ過ぎている所があるけど、もう少し積極性が欲しいって事かな?」

逆沢「ていうか、変に賢ぶる人が多すぎるんじゃない? デモをしない国民性とも関係してると思うけど、効果が見えにくいものはやりたがらないというか。【行動して失敗するよりは、何もしない方がいい】というか。」

愛原「創作や発明が好きな人間の場合は、【とりあえず行動する】事から始める人も多いんだけどな。とりあえず作ってみる。とりあえず書いてみる。その結果、ああ、この料理はまずいと気付く事もあれば、これはいけると感じる事もある。書いてる内に創作したキャラクターに魂がこもって、勝手に動き出す事もある。みんな最初から上手くいくと分かって、作ったり書いているわけではない。うまくいかないリスクも承知した上で、とりあえず行動できるからこそ、最終的に成功する事もあるのだ。」

鼎「じゃあ選択肢がそこにあれば、困難も承知した上で、とりあえず踏み出した方がいいって事かな?」

愛原「【恋人いない歴=今までの人生】でいるよりは、選択肢ありまくりのハーレム状態の方がいいと思える程度にはな。そりゃあ選択肢を間違える事で、クソのような配偶者に人生をぐちゃぐちゃにされる可能性もあれば、出来の悪い息子のせいで犯罪者の親としてネットにさらされる可能性もあるが、それでも選択肢そのものが存在しない状態よりは上だとは思う。あと、賢ぶって何も挑戦しない人間が何かを産み出す事は決してないが、リスクを恐れず何かに挑戦し続ける人間ならば、優れた創作物を世に産み出したり、優れた改革を断行したりもできるからな。」

逆沢「【賢ぶって何もしないバカ】よりは【行動するバカ】の方が、何かを産み出せる可能性がある分だけマシって事ね。」


















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