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愛原様のたわごと(12年9月22日)



愛原「今回も自民党総裁選がらみの話。」

逆沢「んな事。今更どうでもいいでしょ。一時は盛り上がりを見せたけど、今では尖閣諸島問題とか反日デモ問題とかで、そんな事どーでもいい流れになってるし。」


鼎「与党であるはずの民主党代表選に至っては、完全に空気なままだったよね。」

愛原「まぁ民主党代表選に関しては、初めから勝負が見えてるというか、荒れる要素も盛り上がる要素も皆無だから、最初から予想された展開ではあるけどな。」

逆沢「勝負の結果が見えないという点では、自民党総裁選の方が傍観者からしたら面白いかも知れないけど、誰が勝とうと喜べる要素がないという点からすると、五十歩百歩な気もするけどねー。オリンピックとかペナントレースだったら、特定の選手が勝ったりすることですごく喜んだりできるんだけど。」

愛原「まぁ、そう言うな。ベストな候補者がいなくともベターな候補者を選ぼうとするのが、間接民主主義の手法である以上、【誰も選びたくなくとも、誰かは選ぶべき】という考え方は常に持つべきだ。仮に投票権があったとしても、無投票や白票を選択すれば、それは組織票を持つような候補者を間接的に支援するのと実質的に変わりないからな。」

逆沢「んな事言ってもねー。たとえばみんななら誰を選ぶ?」

鼎「私なら谷垣さんかな? 野党という苦しい立場で3年間総裁を勤め上げたけど、その間、大きな不祥事もなく、無難に党をまとめあげたし。自民党にしろ民主党にしろ、3年間も党の代表の地位を維持できたのは、小泉さん以降は谷垣さん一人しかいないんだし、実はこれって、何気にすごい事だと思うよ。」

逆沢「あ、そうか。自民党と民主党も、代表がころころ替わりまくってたもんねー。なんだかんだいっても谷垣の安定感は、実は群を抜いてたって事か?」

鼎「かつての安倍さんにしても、今の民主党にしてもそうだけど、期待値が上がりすぎるとその分だけ失望も大きくなって、他の人と同じことをやっても、より評価されなくなってしまうというのはあると思うよ。その点で谷垣さんは、期待値は上がらないじまいだったけど、その分すごく手堅かったと思うよ。」

愛原「おいおい。せっかくだが谷垣は総裁選へ立候補していないぞ。だからお前が谷垣を推して、なおかつ投票権があったとしても、谷垣を当選させる事はできん。」

逆沢「あ、そうだった。確か子分の石原伸晃に謀反を起こされて、推薦人の数を確保できなくなったんだっけ。」

鼎「かつての河野洋平さんもそうだったけど、自民党が野党の時に精一杯汗を流した人ほど、総理の椅子が見えた瞬間に用済みだと言わんばかりにハシゴを外される光景は、すごく嫌だと思ったんだけど。」

逆沢「まさしく【織田がつき、羽柴がこねし天下餅。座りしままに食らう徳川】って感じね。河野や谷垣が厳しい冬の時代を支えて、ようやく春が来たと思ったら、その瞬間に別の人間に天下をさらわれる構図は。まぁ自民党らしいともいえるけど。」

鼎「みんなは誰がいいと思う?」

逆沢「私は石破。他の人よりは尖閣問題とか上手く解決してくれそうだし。」

愛原「でも石破は、小泉政権時代で中国漁船が領海侵犯を行なった時に、何もせず中国に送り返した時の防衛庁長官でもあるけどな。しかもこの前、テレビで見てたら、【当時はそれがベストだった。でも今の民主党の対応は弱気すぎる。】とかコメントしてた。政治家としては、場当たりすぎるというか、結果論でものを語る傾向が強すぎるとも感じたけどな。」

逆沢「じゃあ、あんたは誰を推すの?」

愛原「・・・・。ごめん。代案なき批判をやってしまいました。反省します。」

逆沢「・・・ったく。私も好きで石破の名前を出した訳じゃないのに・・・。自分なら誰を推すと言える覚悟もない人が、あいつはダメ。こいつもダメとか言うんじゃないわよ。他人の批判だけして、【じゃあ自分ならどうする?】って聞かれた時にちゃんと返答できないなんてのは、ただの無責任に賢ぶってるクズと一緒じゃない?」

愛原「ごめんなさい。じゃあ消去法で石破あたりを推薦します。町村は体調不安がなければ△。林はよく分からない上に実績が弱すぎて党内を統御しきれないだろうから▲。石原も御輿としては軽すぎる上、場当たり感が強すぎるから▲。安倍は前回からの反省や改善がほとんど見られないから×で。」

鼎「安倍さんのどういう部分が特に気になるの?」

愛原「いっぱいあるけど、今回のテーマにつながる一点だけを今回は挙げる。安倍は前回に首相だった時に、自分と仲良しの人材ばかりを露骨に優遇した為に、【お友達内閣】と揶揄されたが、推薦人などの顔ぶれを見ると、やっぱりお友達だらけだなと感じて、これはまずいと強い危機感を感じたのだ。」

鼎「お友達ばかりが集まるのは、何かまずいの?」

逆沢「某少年誌の三大原則も【友情・努力・勝利】だし、言ってみれば【お友達が集まって力を合わせて努力する事で、勝利を勝ち取る】というのが、一種の美学になってる気もするけどねー。」

愛原「8月19日のたわごとコーナー以来続いている話ではあるが、【自分と親しい人間だけで組織を運営して精神論で押しきれば、きっと最終的に神風が吹いて勝利を我がものにすることができるだろう】というのは、極めて危険な思想だと俺は思っている。」

鼎「リーダーはあくまで、友情よりも理念とか政策・戦略とか、そういうものを重視するタイプだよね。」

愛原「【誰が言ったか?】よりも【何を言ったか?】を優先する立場なのは間違いない。これは出戻りで党内基盤の弱い石破が常に口にしている内容でもあるけどな。」

鼎「石破さんは、【自民党では政策などの中身よりも、誰が言ったかを優先するところがある】という旨の発言を何度も言ってた気がするよ。だから総裁選でも、一番、政策を前面に出して訴えているようなところがあるし。」

逆沢「まぁ安倍も、石破に負けないくらい強いベクトルの思想を持ってそうではあるけどねー。派閥とか長老筋とか、完全に人間関係をバックにしている石原や町村とは、根本的にタイプが違うというか。」

愛原「今回は【友情やコネによる人事起用の危うさ】をテーマにしてとりあげる。最近、コネとかコミュ力とか人間関係重視とか、色んな言葉がもてはやされるが、そんなに立派なものなのか? そんな事で人事を決定していいのか?という一種のアンチテーゼを今回、行なってみたいと思う。」

逆沢「なるほど。まぁコミュ障とかアスペとか言われる人でも優秀な人材はいっぱいいるし、人間関係を築くのが苦手だからといって、それだけでその人を窓際に置くのももったいない話だとは思うけどねー。」

鼎「でも最近は、企業の人材募集の項目にも、コミュニケーション能力を重視する会社がすごく増えているような気がするよ。」

愛原「公務員なんかの場合は今でも能力(?)重視らしく、公務員試験によってデジタル的に合否で判定されるウエイトが非常に高い。反面、コネでしか入れない会社も最近増えていて、一昔前では林原という企業がその代表格として知られていた。」

鼎「林原は、トレハロースというすごく汎用性の高い糖質を開発して特許を保有している事で、その分野では世界的といってもいい力を持っている大企業だよね。」

逆沢「でも2年ほど前に一度倒産してなかった? 正確には会社更生法だったかな?」

愛原「うん。林原という企業は典型的な同族企業で、経営者一族がとんでもない力を持っていた。しかも大企業でありながら社員の公募を一切せず、コネでしか社員を採らないという、かなり異色の存在だった。」

鼎「コネで社員を採用すると、どんなメリットがあるのかなぁ?」

愛原「縁故採用の場合、どこの馬の骨か分からない人間が社員として入り込む可能性が激減する。その人が大体、どんな能力、どんな人格、どんな身元の持ち主かを会社側が事前に把握しやすくなるメリットが一つ。もう一つは推薦者による一種の保証がされている事だ。仮にその社員がとんでもないクズ社員だった場合、そんなクズ社員を推薦した人間のメンツが潰れる事になる。だから推薦人も変な人材を推薦しないだろうし、社員の方も推薦してくれた恩人のメンツを潰さないように頑張るという心理的効果を期待できたりなど。」

逆沢「なるほど。コネ採用も結構、メリットがあるわけね。」

愛原「ただ縁故採用を重視する場合は、組織の権力者や推薦人の立場にある者がクリーンである事が最低条件だ。たとえば推薦人の立場にある者が汚職上等の黒々しい人間だった場合、そんな黒々しい推薦人をかばうような黒い新入社員ばかりが登用されがちになる。あるいは金満政治家がその政治的権力を笠に着て、支持者の子息を特定企業に押し込むような例は聞いたことないか?」

逆沢「ああ、なるほど。縁故採用の場合、必ずしも優秀な人材ばかりを推薦人が推挙してくれるとは限らないって事ね。推薦人にとって都合の良い人材ばかり、会社に押し込むようなケースもあるって事で。」

愛原「林原の場合も、経営者一族のイエスマンばかりが社員に採用され続けた事で、経営者一族がますます会社の資金を私的流用したり、放漫経営するようになって、そしてついに2010年末に1300億余りの負債を抱えて会社更生法を申請するような惨状になってしまった。ただ幸いにしてこの会社は、技術としては世界有数のものを持っていた事もあって、それからわずか14ヶ月後の2012年の2月に更生終了しているけどな。」

鼎「たった1年2ヶ月で更生が集結するって早すぎるよね。これってすごく珍しくない?」

愛原「この負債額で考えると、極めて珍しい。ただこの企業の場合は、企業自体の資産価値自体は極めて高く、放漫経営を続けていた経営者一族さえ追放できればすぐにでも経営改善できる余地があったから、異例のスピード解決になったのだ。」

逆沢「なるほど。つまり世界的超優良企業であるはずの林原が一度倒産に追い込まれたのは、縁故採用しかしなかった為に、経営者のイエスマンしか社員になれず、その結果、独裁者状態の経営者一族が暴走してしまったのが原因って事ね。」

鼎「周りにイエスマンしかいなくなるとトップが暴走しかねないというのは、歴史上にもよくある光景な気がするよ。」

逆沢「末期の大日本帝国も、ある意味それそのものだったみたいだしね。権力者が自分に合わない思想の者をとことん左遷して、自分と似た思想の者ばかりを要職に就かせた結果、組織内にブレーキをかけられる者がいなくなって、どんどん暴走する。そして仲間の中に腐敗した者が多く現われるようになっても、仲の良いお友達ばかりだから、そいつを罰したり厳しく指導したりもできない。縁故者ばかりで内部を固めると、組織を腐敗させるようなガンが現われても、【Aを罰したら、Aを推薦したBのメンツが潰れ、Aと仲がよいCやDも敵に回す事になる】みたいな発想になって、結局、誰も罰する事が出来ない不健康な組織になってしまうというか。」

鼎「その組織のガンみたいな人が人間関係構築だけは上手な人だったりすると、誰もその人の暴走や腐敗を止められないという事にもなりかねないよね。人間関係重視の組織だと、余計に。」

愛原「縁故採用やコネ採用というのは、みんながクリーンで強い意志を持つという前提の元なら、どこの馬の骨か分からない者を採用する公務員方式より高い効果を発揮する。が、ダーティーな人間が幹部にいたり、そのダーティーな人間を掣肘できないなぁなぁの空気が蔓延するようになると、どこまでも際限なく腐敗する欠点がある。そして汚職まみれの国家ほど、縁故採用が蔓延しているという側面もある。」

逆沢「まぁ黒い人間ほど、その黒い自分の立場を擁護・強化してくれるような人間を増やしたいと思うだろうから、自分に都合の良い人間をどんどん組織内に送り込むだろうし、その結果、組織がますます腐敗するってのも分かるわ。」

鼎「日本の政治も、ずっとそんな感じだよね。自分の派閥を強化する為に、自分の派閥の人間の公認権を巡って醜い争いを続けるというのは、戦後の日本の政治でもずぅーっとおなじみの光景だし。」

逆沢「日本の政治が三流と言われ続けているのは、政策ではなくお友達の多さを競う合うような政争を、ずっと続けてきたせいもありそうね。」

愛原「安倍内閣の場合は、それが戦後歴代内閣と比べてもあまりにも露骨だったから与党の中でもお友達内閣なんて揶揄された。トップが任命した大臣などの要職担当者は、ほとんどトップのお友達だらけ。で、トップ自身がそのお友達が不祥事を起こした時に毅然とした対応も取れないなぁなぁ状態だったから、ナントカ還元水問題の時にも泥沼にはまって自殺者まで出た。郵政解散の時に一度自民党を追放された議員らに対しても、お友達を優遇する形であっさり復党を認めたりしたもんだから、国会もぐちゃぐちゃになった。お友達であろうがなかろうが、政策に反対した者を容赦なく追放した前任者の小泉とは真逆で、安倍の場合は、相手の人間がお友達かどうかが第一だった。」

逆沢「【たとえ世界が敵に回ろうと、トモダチは絶対に守る】。少年ジャンプあたりなら、読者に喝采されそうな価値観だとは思うけどねー。」

愛原「けど自民党の中では、今でもそれに近い空気は続いているようだ。麻生太郎が安倍晋三を支持するコメントを出した時も、義理人情の観点を全面的に出して安倍支持を明言してたしな。政策がどうこうではなく、あくまで自民党では人間関係が第一らしい。」

逆沢「ただ国会というのは魑魅魍魎の世界だから、人間関係がまずいと、みんなが法案に反対に回りかねない世界でもあるからねー。子供手当ての時も消費税増税の時もそうだけど、考えてる政策の中身や方向性は同じでも、くだらない駆け引きばかりして全然前に進まないのが、国会という世界だし。今でも解散時期がどうだの、くだらない事言ってるし。」

鼎「もしも解散時期がどうだのというもめ事がなかったら、審議は今の10倍くらいで進んでたかも知れないと思うよ。どの法案を審議する際にも、法案の中身を議論するのではなくて、解散時期をいつにするとか、小沢さんを追放するのかとか、どうでもいい問題が駆け引き条件になってて、余計な時間を取られ続けていたから。」

逆沢「まして嫌いな人間が政権担当者になろうものなら、全ての法案に反対してやろうと考える人が出てもおかしくないのが、今の日本の政治だからねー。地方議会でも、既成主流政党を批判するタイプの無党派や共産党系が知事や市長になると、議会主流派が全否定モードに入って、一切審議が進まないなんて光景は見慣れたものだし。」

鼎「石破さんのセリフじゃないけど、本当に【何を言ったかではなく、誰が言ったか】が重視されるような状態だよね。嫌いな人間の主張や発言は全否定。でも自分の好きな人間が権力者に変わって同じ事を言っても、今度はスムーズに賛成みたいな感じで。」

逆沢「コミュ障やアスペが何を言っても全否定されかねないのが、今の政界って事ね。言ってる事が正しいかどうかではなく、他人を取り込む能力があるかが第一という点では。」

愛原「ただ人間関係というのは必ずしもクリーンなものではなく、かなりのどす黒さも混じっているものだ。保身とか利権誘導とか友情とか、色んな要素が含まれる。今、全国で露見し始めたいじめ隠蔽問題にしても、その根幹にあるのは【臭いものに蓋をして、今まで通りの無難な人間関係を保つ】というものだろう。もし警察沙汰にしたら、PTAとの関係が悪化するとか、マスコミが学校周辺をかぎまわって校内外の秩序や安寧が脅かされるとか、教師や生徒間で犯人捜しが始まると信頼関係がぐちゃぐちゃになるとか・・・。」

逆沢「なるほど。職場内で汚職やイジメが発覚しても、みんな見て見ないふりをするのも、そういう秩序優先の空気があるからかもね。」

愛原「空気を読めない正義感あふれるアスペなら、もしも職場内で汚職が発覚すれば、見て見ぬはしないだろう。そしてそういう人が組織内に少なからずいれば、組織の自浄機能も長く保たれる事になると思われる。だが悲しいかな。縁故採用がまかり通るような組織だと、それが期待できなくなってしまう。」

鼎「ちゃんとした公務員組織の場合は、関係者との癒着を防ぐために、短期スパンでの人事異動も行なわれていると聞くよ。一人の人間がいつまでも同じ人間とつながって業務をしていると、関連業者とか特定顧客とか同僚とおかしな癒着しておかしな事をする可能性があるから。」

愛原「イジメなども、同じ空間に同じ人間を閉じこめておく程に悪化するものだしな。同じ空間に同じ人間を閉じこめる期間が長くなるほどに、人間は本来ある倫理観を麻痺させていく。仲が悪い者同士を閉じこめれば当然だし、仲が良い者同士を閉じこめても今度はお互いに談合して仕事を手抜きしたり、ひどい場合は汚職を繰り返してお互いに見て見ぬ振りするような構図ができあがるようになる。仲がよい者同士でも、何かのきっかけで上下関係ができあがる事で、イジメや虐待に変異する事も多い。というか猿や犬に限らず、人間を含む多くの動物は、平等意識を強く持たないと、少しずつ相手を品定めして上下感や優劣を感じるようにできているからな。」

逆沢「そこを言うと、自民党なんか二世議員の集まりだし、有力議員間に限ってはお互いに何らかの縁戚関係もあるらしいから、ほとんど身内ばかりみたいだしねー。究極の縁故組織ともいえそうだし。」

愛原「同じ空間に同じようなメンツが集まり続ける事で、世間常識とかけ離れた常識が、その組織内で常態化する事も多い。世間の感覚と国会議員の感覚に乖離がみられる理由の一つがそれだろう。外から見たら明らかに異常でも、その組織内ではそれが常識になっており、誰も違和感を感じない。いや、違和感を感じて正論を唱えても、それは組織内の常識では異論だから、正論ではなく異論として処理されてしまう。」

逆沢「うーん。人間関係といっても、難しいものねー。空気を読めるというとすごくいい事のようにも感じるけど、実際には空気に取り込まれるだけの無能ともいえそうだし。」

愛原「まぁ良し悪しは別として、高い危機管理意識を持つ企業や公的団体ならば、硬直した人事やなれ合いを嫌うのは当然だ。小売店なら内引き(社員によるドロボウ行為)対策は当然にやるし、頻繁な配置換えもやるだろう。性悪説的手法ともいえるが、職場でのイジメや汚職を最小限に留めるという意味では、社員自身にとっても悪い事ではない。」

鼎「でもフレンドリーな会社を謳う所も多いよね。特に団塊世代が活躍した頃の大企業などでは、社員旅行とか社員寮とかもいっぱいあって、終身雇用が当たり前で、結婚式にも上司が仲人を務めて会社の同僚をいっぱい招待して、会社自体が一つの大家族みたいな部分もかなりあって。」

逆沢「で、お互いに身内だから、お互いに会社の悪いところも見て見ぬ振りするのよね。まぁ無能扱いされても組織内で孤立さえしてなければ、会社に留まり続けられるから、一部の人には有り難いシステムかもしれないけど。」

愛原「ま、社会が右上がりなら、ダメ社員や汚職社員が少しくらい混じっていても、利益分で吸収できるからそれで良かったのかも知れないけどな。今はそういう余裕は無くなって、なれ合い体質の悪い部分だけが出ている。能力手腕などではなく人間関係が重視される構図だけはそのままで、切り捨てだけが加速している状態というか。仲良し貴族階級がお互いに力を合わせて、貴族階級になり損ねた人や敵対貴族グループを攻撃・搾取しているような状態と言っていいかもしれん。」

逆沢「ああ、なるほど。政策がどうのではなく、単純に自分を抜擢してくれる人を支持する構図が、自民党内で蔓延しているのは、そういう事なのかも知れないわね。いくら優秀でも、自分を大事にしてくれない候補者はバツ。逆に自分の言うことを聞いてくれる人ならマルって事で。」

鼎「だから長老などは自分の言いなりに動いてくれそうな候補者を擁立して応援するし、自分の派閥を優遇してくれそうな候補者を応援しようという人も出るし、自分と最も仲が良くて友達をひいきしてくれそうな候補者を選ぶ人も出るだろうし、そういう後ろ盾のない人ならせめて国民人気が高くて当選確率が高くなりそうな候補者を推すし、みたいな感じになるのかなぁ。」

逆沢「それ・・・完全に私利私欲。日本のためでもなんでもないじゃん。」

愛原「現代社会は人間関係が希薄だとも言われるし、その弊害も多いだろう。だが人間関係が濃密な国、濃密な組織であるほど、汚職も起きやすいし、有事に先鋭化もしやすいし、臭い物に蓋をする傾向も増す。お友達であろうが悪いことは悪いと言い切れるだけの高潔な倫理観もないまま、単純に【友情・努力・勝利】と言った所で、それは単なる身内のかばい合いをするだけの醜い保身組合に過ぎん。またお友達でない者・・・すなわちヨソモノであったり、思想の異なる者であったり、凡人と異なる長所や短所を持つ者に対する差別が肯定されやすい点も問題だ。」

逆沢「日本人は出る杭をすぐに打つというけど、共通点を持つ者同士が集まって、そうでない者を差別化する所がかなりありそうだからねー。ムラ意識というか、ヨソモノを必要以上に警戒する所も地方の山間部ではまだ残っているというし。」

鼎「お友達を優遇するって事は、裏を返せばお友達でない者を冷遇するという事にもつながりかねないから、人事起用が大きな意味を持つような組織では、あまり採用して欲しくないシステムと思ったかも。」

愛原「古来から英雄と言われる者は、かつて敵対したものですら有益と思えば要職に抜擢して高い成果を出し続けたものだ。逆に器の小さい人間ほど、とても自分に反発できそうもない小心な身内ばかりで周りを固めるか、その場の雰囲気と思いつきで人材を抜擢してそいつの不祥事や暴走も止められず右往左往する事になる。」

逆沢「そんな人事起用しかできない小物に、一国の舵取りなんか任せたくないわ。」

愛原「今の時代に必要なのは、自分を支持してくれる無能(or私欲まみれ)な支持者を優遇するのではなく、本当の意味で適材適所の人事を敢行できる者だ。もちろん人間は神ではないから、人事起用でミスもあるだろうが、その際には直ちに勇気と正義感のある決断力がトップには求められる。不祥事を起こしたのがお友達やコワモテさんだからかばうとか、見て見ぬふりをするとか、そんなイジメを見て見ぬ振りするような小物は、決してトップになってはいけない。」

逆沢「公立私立問わず学校で一番出世しそうなのは、そういう問題を見て見ぬふりをするような人間ばかりの気がするけどね。政治の世界もそんな所、ありそうだけど。」

愛原「そんなくだらない小物人間ばかりが無難に出世してしまう世の中だから、日本の閉塞感も増す一方なんだろうな。」














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