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愛原様のたわごと(12年10月7日)



逆沢「あんたの希望とは裏腹に、自民党総裁選で安倍晋三が勝ったけど、なんか感想ある?」

愛原「そういう質問されると、いかにもマスコミにインタビューされてるような気分だな。」

逆沢「でしょ。いかにも視聴者が一番喜びそうないい質問≠ナしょ。勝者に勝利のコメントを聞くよりも、敗者に敗戦の責任を問うようなコメントを求める方が絶対メシウマだし。ついでに炎上しそうな負け惜しみコメントとか捨てゼリフコメントでも返してくれたら、なおインタビュアーとしてはおいしいんだけど。」

愛原「あいにくだが俺は、前々からずっと言ってるが、誰が何の職責に就こうと頭ごなしに否定するような事はしないぞ。純粋に前回の苦い経験を糧にして、より重厚なカムバックを期待するとしかいいようがない。」

逆沢「何、いい子ぶってんのよ。【どうせアイツはまた失敗するから】とかいえば、色々メシウマなのに。」

愛原「そんな不健康な捨てゼリフを吐く程、いくらなんでも落ちぶれてないわ。大体、人の失敗を期待する事自体がクズの発想だし、まして政治家が失敗するという事は、俺達自身が不幸になる事を意味するんだぞ。極論から言えば、誰が党首になろうと何党が政権に就こうと、善政さえ敷いてくれれば俺的には万歳というスタンスだからな。」

鼎「リーダーは、ずうっと昔からそういうスタンスだよね。豊臣家だろうが徳川家だろうが、誰が支配者になろうと善政さえ敷いてくれればそれでOKという、かなり割り切ったスタンスというか。」

逆沢「ああ、そうだった。ついでにいうと重要なのは政策の中身であって、権力争い自体はあまり好きじゃないというスタンスだったわね。前回もそういう話だったし。」

愛原「まして困難な状況に置かれた今の日本で、くだらん内部抗争をしている余裕なんてないだろう。誰でもいいからさっさと政治を建て直せというのが、俺の偽らざるホンネだ。」

逆沢「わかるわかる。内憂外患のこの時期に、まだくだらん権力争いに明け暮れる永田町の人達の思考が私には分からんわ。」

鼎「子供手当ての時なんかが最も分かり易い例だけど、政策的には一致しているのに、それでもお互いに足を引っ張り合ってなかなか前に進まないのが、残念ながら今の日本の現状だよね。」

愛原「【正しいことであろうが無かろうが、嫌いな奴がやろうとする事はとりあえず徹底して妨害する】みたいな状態がずっと続いてる。まぁ、憎しみにとらわれると、特にそういう心境になりやすいみたいだが。」

逆沢「ああ、分かる分かる。憎しみにとらわれると、損得勘定も倫理観もみんな吹っ飛んで、ただ憎い相手の不幸や破滅だけを願うようになるのよね。【あいつを殺せるなら、死刑になっても構わない】みたいに。」

愛原「今回はこの【憎しみ】をテーマにしたいと思う。テーマ名は【憎しみにとらわれた人達】。RPGなどでも悪玉キャラクターが行動原理としやすい感情である【憎しみ】を、少し掘り下げて語ってみたいと思う。」

逆沢「まぁ、誰でも憎しみの感情を持つ事はあるけどね。特に誰かに理不尽な目に遭わされたりしようものなら、その相手を憎んでも別におかしくないと思うし。」

鼎「自分自身や自分の大切な人が、理不尽な理由で傷つけられたとしたら、怒るのは当然だし、憎しみを抱いても当然だと思うよ。」

逆沢「てかひどい目に遭わされて、それでもヘラヘラしてる人間の方が、私は嫌いだわ。怒るべき時は怒る。その方が人間として真っ当とも自然とも思うし。」

愛原「まあ、否定はしない。ただ憎しみの感情を抱く理由は、そういう真っ当(?)な理由ばかりではないからな。」

鼎「相手を憎む理由として、他にはどんなものが考えられるかなぁ?」

愛原「嫉妬。伝聞や知見による思い込み。見栄。この3つがとりあえず思い浮かんだな。俺は。」

逆沢「ああ、嫉妬はわかりやすいわ。相手はこっちの事など何とも思ってなくて、しかも相手から何の理不尽な嫌がらせも受けてもいないのに、一方的に相手を憎む感情としては、一番分かり易い感情かも知れないわね。」

鼎「憎んでいる側の方が、ずっと理不尽な存在だよね。憎まれた側はいい迷惑というか。」

逆沢「一方的に嫉妬されて敵視されて、そのあげく、理不尽な嫌がらせをされたりしようものなら、こっちの方がずっと真っ当(?)な理由で、相手に憎しみを抱くようになると思うわ。」

愛原「次に伝聞や知見による思い込み。偏った書籍や文献、あるいは風評被害とか流言飛語の類を間に受けて、【あいつ(ら)はひどい奴だ】と思いこむような感情。自分自身が既に偏った思想や信仰を持っていた場合は、その思想や信仰理念に照らし合わせた結果、特定の個人や団体を【憎むべき悪】と自動認定してしまうケースも含んでいいだろうな。」

逆沢「ああ、なるほど。これも分かり易い憎み方ね。」

鼎「嫉妬と違って、それなりに理性的に相手を憎んでいる所が、ちょっと厄介かなぁと思ったかも。」

愛原「理性的ではあっても、知性的とはいえないケースも多いけどな。特に流言飛語や誹謗中傷の類を間に受けて【あいつはそんなひどい事をしてたのか! 俺はあいつを絶対に許せない!】と勝手に思いこむケースも多いと思われる。」

鼎「テレビやネットの記事を一握り分だけしか読まずに、ごく断片的な情報だけで、相手がシロかクロか速攻で判別したがる人も多そうだし、そういう人は特に理不尽な憎しみをまき散らしそうだから、要注意だよね。」

逆沢「政治家なんかは日常的にプロパガンダの類を行なってて、ライバル政党とか特定外国の事を一方的に悪く言って煽ったりするから、そういうものに対するリテラシーも必要ね。」

愛原「今のアメリカ大統領選のロムニー陣営なんか、オバマ陣営に対するネガティブキャンペーンばかりだからな。自分が政権を取ったらどうするかについては具体的なことをほとんどいわず、ただ漠然とオバマは失政だらけだと批判を繰り返す。いわば国民に、オバマに対する憎しみの感情を植え付けて、相対的に自分の価値を上げようという戦略で、個人的にはかなり不快だ。」

逆沢「今の自民党のやり方にも近そうだけどね。自分達が政権をとったら、こういう部分をこういう方法で改めるみたいな事は一切触れず、ただ相手の悪口だけをいうやり方というか。」

鼎「自民党と民主党では、政策的な違いはほとんどないから、仕方ないと思うよ。違うのはイメージだけだから。」

逆沢「で、最後の見栄って何?」

愛原「これは【Aを評価(支持)するか? それとも評価しないか?】というシチュエーションが発生した時に、育ちやすい憎しみの感情だ。たとえば【新入社員のAは使えない】と、上司のBが思いこんだとしよう。これだけなら無害だが、もしもBがそれを周りにも公言する性格で、しかもプライドが高いと、かなり面倒な事になる。仮にAが、Bの予想に反して有能であればあるほど、【Aは無能】と公言したBの面目は丸つぶれになる。だからBは、何かにつけてAにいちゃもんをつけて、【いかにもAが駄目な奴】であるかのように、喧伝したがるように変わっていく。」

逆沢「あー、なるほど。要するに【Aは駄目だ】と公言した以上、【Aには駄目なままでいてもらわなければならない】みたいな感情になるわけね。で、自分のプライドを引き裂くような活躍をするAの事を、ますます憎むようになっていくと。」

鼎「見栄嫉妬もブレンドした感じで、かなり複雑で面倒な憎悪の感情に育ちそうで、ちょっと怖いと思ったかも。」

愛原「このケースは意外と多いぞ。たとえば鬼シュウトメが息子の嫁さんの事を駄目とくさしたり、頑固親父が娘の連れてきた男にキツい駄目出ししたり。社会的な現象で例を出せば、嫌韓の人が朝鮮人は劣等人種と言い切ったり、ネトウヨが民主党を全面否定したり。こういうのも、仮に息子の嫁さんや娘の彼氏が立派であればあるほど、あるいは韓国の芸能界や財界が成功すればするほど、あるいは民主党が善政を敷けば敷く程、より語気を強くして、それらを攻撃・非難するようになりがちだ(もしくは苦虫を噛み潰したようにダンマリを決め込んで捨てゼリフだけを吐くような状態になる。もちろん相手がミスをしたタイミングで、息を吹き返したように相手を猛然と攻撃する)。なぜなら自分が駄目出しした相手が仮に有能と認められれば、駄目出しした自分の面目が丸つぶれになってしまうから。」

逆沢「でもそういう厄介な人の見分け方は簡単ね。何しろ結論が先に来るタイプだから、何もしてない内から、頭から否定してくるし。」

愛原「俺も聖人にはほど遠いタイプだが、それでもそんな不健康な真似はさすがにできんわ。何もしてない内から【あいつ(ら)は駄目だ】とか【あいつ(ら)はどうせ失敗するに決まっている】と喧伝するような奴は、きっと内心で相手が駄目な奴である事を望んで、呪詛してそうだからな。相手の不幸を内心で祈願するような人間は、さすがにあまり好きにはなれんわ。」

逆沢「でも本人は、予想屋になったみたいに相手を勝手に酷評して、結果が悪ければドヤ顔をして、結果が良くてもイチャモンをつけて駄目出しして、結果が不明なら相手の悪い部分だけを強調して、いかにも自分の予想が当たったみたいな顔をするのよね。」

鼎「けど相手に駄目出しされた方は、たまらないよね。もしも自分が駄目出しされた立場に置かれた場合は、どう対応すればいいのかなぁ?」

逆沢「なんか人間関係のハウツー本みたいな設問ねー。【上司に一方的に嫌われているみたいですが、どう対応すればいいでしょうか?】みたいな感じで。」

愛原「その設問に対するハウツー本の回答は、俺が知る限りではほとんど同じだな。身も蓋もない言い方をすれば【低姿勢に出て上司の歓心を買え】という回答が多い。」

逆沢「要するに【自分を嫌う上司には媚びろ】って事か? ダメダメ。そんな事をしたら余計になめられるわ。私なら自分がどれだけ有能な存在かをアピールするわ。」

愛原「上司は、ムカつく部下が実は有能である事など、全く望んでいない。部下いじめをするような上司の多くは無駄にプライドが高いから、部下が自分の権威を脅かすような展開を最も嫌うし、逆に部下を叱りつけたり厳しい指導をする事で上下関係をはっきりとさせたがる傾向も強いから、おとなしく下手に出て、上司のプライドを満足させろというのが、多くのハウツー本の回答だ。」

逆沢「私は、そんなの絶対にイヤ。むしろ部下いじめをするようなクソ上司の鼻を明かすようなノウハウを教えて欲しいんだけど。」

愛原「島耕作の世界なら、愚劣な上司はバッドイベントで勝手にむごたらしく退場してくれるかも知れんが、現実はなかなかそうはいかん。いじめられっ子がいじめっ子をギャフンといわす事自体、決して簡単ではないし、役職という名の明確な格差がある会社組織では尚更のことだ。」

逆沢「イ・ヤ。私はそんな弱腰対応には納得しない!」

愛原「別に納得する必要などない。ただこれだけは覚えて欲しい。嫌韓の人に対して、韓国経済や韓国文化の美点をどれだけアピールしても、ますます憎しみ(虚勢を伴う軽蔑を含む)が強まるだけのように、自分を憎んでいる人に対して自分の強さや素晴らしさをアピールしても、ますます憎しみが増すだけの事も多いのだ。嫉妬の対象になっているにも関わらず、さらに活躍をアピールした結果、ますます強い嫉妬と憎悪を煽るケースに近いかも知れん。」

鼎「つまり自分の事を駄目出しするような人間の歓心を買いたければ、下手に出るしかないって事?」

愛原「全く勧めはしないが、歓心さえ買えればそれでいいというなら、下手に出るのが一番手っ取り早い。たとえばどんな嫌韓の人でも、仮に韓国政府や朝鮮人が日本政府や日本人に対して謙虚かつ従順で居続ければ、いずれそれなりには見直すようにも寛大な対応をするようにもなるだろう。これは嫁いじめをする鬼シュウトメとか、部下いじめをするクソ上司でも同じ。彼らは、嫌っている相手に対して上に立つことを望んでいる(orドヤ顔をしたい)だけだから、下手に出て、【貴方の方が上です】みたいな恭順な態度をとり続ければ、いずれ宥和できる可能性は十分にある。」

逆沢「うーん。ごめん。やっぱり聞けば聞くほど、下手に出ろなんてアドバイスには、全く賛同できないわ。それって要するに、自分を嫌っている相手に対して不戦敗宣言をしろって事じゃない?」

愛原「ま、会社組織の場合は、元々、役職上で上下関係が規定されているのだから、部下が上司に対して下手に出る事自体は、何もおかしくないからな。だからハウツー本でも、そういうアドバイスが多いのだろうな。」

鼎「たとえばお嫁さんと姑さんの関係では、上下関係は存在しないと思うけど、こういう場合はどうすればいいの?」

愛原「これはかなり厄介だ。姑さんの側は自分の方が年長で人生経験も豊富だから【相手が自分に対して敬意を払うのは当然】と思いこんでる場合も多いからな。嫌韓の人が韓国人を見下すのも、自分達の方が上に決まっているという大前提があるから。自分の方が上だと思ってる人間にしてみれば、相手がタメ口を利いてくる事自体が生意気にも非常識にも感じるし、憎しみの感情にもつながる。」

鼎「つまり対等な友人関係を望んでいない人に対して、対等な友好関係を望んで親しげに接しても、絶対に仲良くはなれないって事かなぁ?」

愛原「残念だがそれはありそうだ。嫁側がシュウトメさんと仲良くしたいと思って、おいしい料理などをごちそうして親愛ぶりをアピールしても、シュウトメ側が自分よりおいしい料理を作る嫁に嫉妬したり、あるいは馴れ馴れしさを感じて嫌悪する可能性は十分にある。会社組織のように上下関係が規定されている組織の人間関係はもっと複雑で、部下が部下なりに敬意と親愛の意を示したつもりでも、上司にしてみれば小生意気に映ったり、あるいは逆に弱々しく頼りなげに映ったり、自分の地位を脅かす才知の持ち主と警戒したり、逆に自分の足を引っ張る口先だけの無能な奴と思いこんだり・・・。対等な同盟関係とか無礼講といったところで、本当に対等に接したら、相手はブチキレという事は現実にままあるからな。」

逆沢「特に相手との距離感や敬意のレベルでミスマッチがあると、かなり悲惨って事ね。」

愛原「特にこちらを屈服させてやろうと考えている相手は厄介だ。仲良くしようと思えばこちらが下手に出るしかないが、下手に出ることによるデメリットも無視できないからな。」

逆沢「ていうか、こちらを屈服させてやろうと考える人間と仲良くしたいとも思わないし。そりゃあ誰が見ても明らかな格差があるなら、その格差を認めた上で人間関係を構築していくのも、大人の対応なんだとは思うけど。」

愛原「まぁいずれにしても、相手に強い憎しみを抱いた時点で、その修復は容易ではない。特に対等な和解というのは、優れた調停者なり仲買人が間に入らない限り、かなり困難だ。憎しみが募ると、憎んだ相手に対して【勝つか負けるか】【どっちが上か】【どっちが正しいか】といった尺度でしかものをみれなくなりがちだし。」

逆沢「そうなのよねー。白か黒か、決着を付けないと気が済まない心境になるというか。灰色の入る余地がなくなってくるというか。」

鼎「相手に対する憎しみが募ると、あらゆる手段を講じてでも、相手に謝罪させたいとか、相手を懲らしめたいとか、相手に恥をかかせたいとか、そういう心理になりがちだよね。そんなことをしても、より憎しみの連鎖が強まるだけだと思うけど。」

愛原「しかも自分が嫌った人間の事を好きになる可能性があるとすれば、まず第一に、相手が屈服なり恭順なりの姿勢をみせる事だからなぁ。相手が自分に対して頭を下げてきたなら、自分も寛大さを見せざるを得ない。相手から歩み寄ってきたからには、自分もそれなりに歩み寄って寛大さをアピールしなければ逆に自分の器量が問われるというのもあるし。」

鼎「それで【プライドの高い上司に嫌われたら、とりあえず下手に出てみよう】みたいなアドバイスをするハウツー本も多いって事かな?」

愛原「実際には、こちらが下手に出たらますます増長するタイプの人間も多いけどな。ハウツー本に従ったら必ず上手く行くなんてと思ったら大間違いで、あくまで【上手くいく場合もある】程度に捕らえないと危険だと思う。」

逆沢「ああ、増長するタイプか? タチの悪いいじめっ子の場合は、いじめられっ子が下手に出れば出るほど、ますます調子に乗って、よりハードなイジメに発展するケースもあるみたいだしねー。カツアゲされる金額が、どんどん増えていくみたいな感じで。」

愛原「こちらが下手に出る事で、相手の憎しみが軽減される可能性は十分あるが、その代わり、それによって主従関係が決定づけられてしまう事も多い。もちろん後になってそれを後悔して突然反旗を翻したとしても、今度は【のび太のくせに生意気な!】みたいな感じで、再び危険な憎悪関係に戻ってしまう可能性は極めて高い。相手は自分のプライドとメンツにかけて、さらに強い態度でこっちに対して屈服を迫る可能性も高く、こうなると新聞に載ってもおかしくないような、凄まじいイジメ状態になる事も珍しくない。」

鼎「【のび太のくせに生意気な!】って、かなり有名な言葉だけど、やっぱり自分が見下していた人間に反抗されるのは、すごくムカつく事なのかなぁ?」

逆沢「クラス一のダメ男君がダメ男君のキャラクターに徹している限りは平穏で済むけど、もしもダメ男君が変に気取って、キャラクターイメージが壊れるようなカッコよさげな振る舞いをしたら、案外すぐに潰されるってのは、やっぱあるんじゃない? 【アイツはダメな奴】という事でクラスのみんなが安心しているのに、そのクラスのみんなが思ってるイメージを下手に壊す振る舞いをすると、今度は【あいつはカンニングしたに違いない】みたいな風評が立ったりして、結果的により状況が悪化したりとか。ましてそのダメ男君が他のクラスメイトの悪事を担任にチクッたりしようものなら、壮絶なイジメに発展したりとか。人は、他人が自分のイメージが狂うような振る舞いをする事を全く好まないから。」

鼎「だから【あいつ(ら)はダメな奴だ】と公言する人ほど、内心で相手がダメな奴で有り続ける事を望むし、それに反する振る舞いをすれば猛反発するって事かなぁ?」

愛原「まさしくアンリマユだな。他人を【ダメな奴】と認定する事で、そいつよりマシな自分に優越感を感じ、精神を安定させる事ができる。他人を【クズ】と認定する事で、この世に起こる不幸や自分の身に起こる不幸を【あいつのせいだ】で済ませる事ができる。逆を言えば、アンリマユが社会的に素晴らしい活躍をすると、そいつより出来の悪い自分とか、不幸をそいつの責任にできない情けない自分が露呈されてしまう為、強い憎悪をもって、それを否定にかかる。」

逆沢「つまり日教組でも在日朝鮮人でも民主党でもなんでもいいけど、特定の悪役を設定して、そいつに憎しみの感情を叩きつける事で、【世の中(or自分)が上手くいかないのはあいつらのせい】という精神的な逃げ場を確保しているともいえると。」

愛原「人を憎むには色んな理由があると思われるが、自分が善玉でいたい為というのも、大きな理由の一つかも知れんな。」

鼎「理不尽な理由で他人を悪玉に仕立てるような人間が善玉だなんて、私は絶対に認めたくないけど・・・。」

逆沢「同感。憎しみを募らせて、全ての不幸を他人のせいにするような人間が、善玉であるはずがないわ。」

愛原「なので自民党総裁選の結果に関しても、これまでと同様、勝者に対して祝福のエールを送る事から始める。もちろん上から目線で大した根拠もなく辛口の評論をする事もしない。もちろん祝福して送り出しても、最後まで支持するかどうかは別物だけどな。辞めるまで明確に不支持を公言しなかったのは、小泉政権以降では福田と菅くらいだし。」

逆沢「それでも十分、辛口じゃない?」

愛原「どの政権もダメとか、政権運営しない内から駄目出しする奴よりはマシだろ? あと個人的に信者は嫌いだ。」

鼎「信者?」

愛原「うん。人間、信賞必罰が必要で、良いことをしたら褒め、悪いことをしたら批判する精神が必要だ。だが中には、【あいつはA党に投票した。にもかかわらずあいつは、今、A党を非難している。あいつは無責任だ】とか、【俺はA党を支持しなかった。A党はきっとロクな事をしないに決まっている】みたいなセリフを吐く人間がいる。でもこれって、すごくおかしいだろ? 一度支持したら、そいつがどんな裏切り行為をしても、支持しなければならないのか? 最初に不支持をつきつけた以上は、そいつが何をしてもくさし続けないといけないのか? その方が余程不自然だろ?」

鼎「もしも自分が批評にさらされる立場だと考えたら、何をしても【お前はダメだ】と腐すことしかしない上司には当たりたくないし、その一方で別の同僚が同じ事をやっても、そっちの方は擁護される一方だとしたら、絶対耐えられないと思ったかも。」

逆沢「ああ、でもそういう信者思考の人は多いと思うわ。【あいつはダメだ】と言い切った以上は最後まであいつを非難しないといけないとか、あの人を支持したからには、どんな不祥事を起こしても最後まで擁護しないといけないみたいな、変な義務感にとらわれている人。」

愛原「人間、良いところも悪いところもある。だが白黒で物事を判断しがちな信者思考の人は、自分が嫌いな相手に対しては(相手が下手に出るか敗北宣言でもしない限り)とことん批判し続け、相手をとことんおとしめる。最初から【あいつはダメだ】と決めつけ、まともな事をしても【他の奴ならもっと上手くやっていた】とか【卑怯な事をしたに違いない】とけなしたり、あるいは【どうせ上手くいかないから余計なことはするな】といって行動自体を阻止して、阻止したらしたらで【それみろ。やっぱりできなかった】と批判する。【できなかったのは、お前が阻止したからだろ】と、言いたくなる事も正直多いのだが。」

逆沢「まぁ、のび太にはのび太でいてもらわないと困るし、アンリマユにはアンリマユでいてもらわないと困るからねー。ダメ認定した奴に活躍されると、ダメ認定した人間のメンツも潰れるし。アメリカが戦争する際の大義名分もそうだけど、【憎むべき悪】が実は普通だったりすると、色々困る人もいるのよ。」

鼎「でも一方的に憎まれる側の人からすれば、たまったものではないよね。そういう発想は。」

逆沢「でも自分が正義の味方であり続けるためには、【憎むべき悪】は必要なのよ。憎むべき悪とか、倒すべき悪がこの世から消滅したら、正義の味方は廃業ものだし、そういう人は冷戦が無くなろうと平和になろうと、絶対に次の【憎むべき悪】を創造して、争いの種を無くさないようにするものだと思うし。」

鼎「それ、正義の味方の仮面をかぶった【真の邪悪】だと思うけど・・・。他人をクズ呼ばわりして、周りに人間にも【あいつはクズだぞ】と宣伝してその人の名声を地に落として、周りの人間が【あんなクズ人間。叩きのめしちまえ】と叫ぶようになったら、いよいよその相手を暴力なり権力なりで叩きつぶして、ドヤ顔で【正義は必ず勝つ!】とか言う人は。」

逆沢「けどネットでもいるじゃない。別に自分が直接被害を受けたわけでもないのに、勝手に特定の相手に強い憎しみを抱いて、信憑性も不確かなまま【拡散希望】とか書いてネガティブキャンペーンを展開したり、その人の個人情報を暴露したり、ブログや掲示板を炎上させる人とかは。」

鼎「特定の相手をみんなが憎むように世論操作する人は最低だと思うけど、自分一人だけが相手の悪口を言い続けると陰湿な奴と思われやすいから、世論を味方につけようとする人は多いよね。」

逆沢「分かる分かる。自分一人が相手を憎んでいる状態ではなく、周りのみんな全員が特定の相手を憎んでいるような状態にすると。そうする事で、誹謗中傷を繰り返す陰湿な卑怯者から、【みんなに憎まれるべき悪玉】を堂々と非難する正義の味方にクラスアップできるから。一方、憎まれた側の人は、散々ネガティブキャンペーンを吹き込まれて、誰もがその人を避けるようになって、完全に孤立無援のアンリマユに仕立て上げられると。」

愛原「正義にも色んな形があるが、誰かに親切をするのではなく、誰かを悪認定して、そいつを叩きのめして不幸にする事に喜びを感じる【歪んだ善人】というのは、残念ながらいるからな。」

鼎「悪役が悪事を行なう事を期待する人も、同じくらい問題だと思ったかも。嫌いな政治家が悪政をして支持率が急落する事を期待したり、嫌いな上司が不祥事を起こして会社を大混乱に陥れる事を期待したりとか。」

逆沢「それ、間接的に自分自身の首も絞める馬鹿行為じゃん。」

愛原「ただ、憎しみにとらわれた人の場合は、損得勘定も倫理観も二の次になりがちだからな。憎いあいつが不幸のどん底に落ちるなら、自分が返り血を浴びても本望となるんだろうな。」

逆沢「それでRPGに登場するような悪のボスも、世界を滅ぼそうなんて本気で考える訳ね。世界を滅ぼしたら、自分自身も自分の大切な仲間もみーんな巻き添え食っちゃうのに。」

愛原「憎しみは連鎖する。そして不幸を拡散する。だから人々が憎しみにとらわれないような世の中になればいいのだが。」

逆沢「けど誰かの下手に出ることで憎しみの連鎖を断つという方法は、私は選ばないけどね。【あいつは愚かな奴だ】認定されて、はいそうですねと、愚かなピエロを、自分を憎むそいつの自尊心を満足させる為に演じてやる気なんかさらさらないし。」

鼎「相手が理不尽な理由でこちらをおとしめようとしてきたら、こちらから相手を憎む事になっても仕方ないし、憎しみを断つのは本当に難しいと思うよ。」

愛原「俺も、聖人にはほど遠い人種だから、お前達の言いたいことはよく分かる。だからせめて理不尽な理由で相手を憎むような真似だけでも、したくないなぁとは思うのだ。悪意あるプロパガンダや流言飛語に踊らされて、誰かを憎むとか。くだらない信念や見栄やプライドを守る為だけの為に、相手をクズ認定してそれに固執するとか。」

逆沢「なるほど。ま、悪いことをした人を批判するのは当然だとしても、その人そのものを全否定したりはダメだって事ね。」

鼎「信者と言われる人は、善玉認定した人がどんな不祥事を犯しても寛容なのに、悪玉認定した人が何かしようとする度に批判ばかりするから、せめてそういう人にならないようにしないとダメだと思ったかも。」

愛原「誰かを激しく憎んで、そいつが叩きのめされる事で正義感を感じるような安っぽい正義の味方はノーサンキューだ。特に誰かの悪口ばかり言って、しかもその悪口を拡散する事が正義の行いと勘違いしてる奴なんかはな。」












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