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愛原様のたわごと(12年11月17日)




愛原「たとえば正義超人のヒーロー達が悪魔超人や完璧超人を改心させるみたいな感動のシーンがあるが、お前ら、これをどう思う?」

逆沢「どう思うって、普通に見せ場じゃないの? 普通に感動のシーンというか。正義の味方がいかにも正義の味方らしい、良い仕事をしたなぁと思えるいいシーンだと思うし。」

鼎「時代劇みたいに悪人をばっさり斬り殺すのも、爽快感があってアリだと思うけど、悪人を改心させるシーンも結構味わいがあっていいよね。」

逆沢「そうそう。【かつて憎い敵として登場したアイツが改心して、ヒーローのピンチを救うために颯爽と駆けつける】なんて、いかにもドラマじゃない? 私、そういうのも結構好きだわ♪」

鼎「かつての悪玉が次々と善玉化して、主人公パーティーの一員としてどんどん加わるというのは、ゲームでもよく取り入れられるシーンの一つだよね。」

愛原「じゃあ逆の質問な。たとえば主人公が可愛がっていたヒロインの一人が、悪の勢力にそそのかされて敵対陣営の幹部に寝返ってしまうようなシーンについてはどう思う?」

逆沢「あー、悪墜ちって奴ね。好きなキャラクターが悪墜ちするとすごくヤキモキさせられるけど、まぁ物語を盛り上げる手法としてはアリだと思うわ。まぁ大抵の場合では、最終的には主人公達に救われて元の鞘に戻る事になるんだけど。」

鼎「元の鞘に戻れない場合もあるけど、それでも死の間際までに普通の人間の心を取り戻したりくらいはできるよね。プライドの高いキャラの場合は、素直に元の鞘に戻ろうとしない代わりに、助っ人役とか別働隊役として主人公達を陰で支える役割になったり。」

愛原「今回のテーマは、この【改心】について取り扱いたいと思う。」

逆沢「改心ねー。ファンタジーの世界では、最も魅せるシーンの一つだけど、現実に照らして考えるといかにも難しそうなテーマね。」

鼎「私達も正義の味方を気取りたい時はあるから、明らかに間違っている考えを持っている人に対しては、なんとか誤解や偏見を取り除いて【改心】させてあげたくなるけど、なかなか難しい事が多いよね。」

愛原「それ以前にお前ら自身。他人の諫言にちゃんと耳を傾けて、改心しようと思った事すらないんじゃないのか?」

逆沢「そりゃお前もだろ? 人の事をどうこう言う前に、まず我がふり直せや、コラ!」

愛原「ごもっとも・・・。このように【他人を改心させる気マンマンな者】が多い割に、【自分が他人に改心させられる気はない】というタイプは非常に多いと思われる。俺やお前自身も含めて。」

鼎「それは仕方ないと思うよ。たとえば正義超人が悪魔超人を改心させればそれは英雄的な行為だけど、逆に正義超人が悪魔超人側の誘惑に負けて悪の陣営に与したら、それは悪墜ちという名の恥ずべき振る舞いになっちゃう訳だから。」

逆沢「つまり他人を改心させる事ができたらそれはカッコいい行為だけど、逆に他人に改心させられてしまったら、それはすごくカッコ悪い振る舞いになりかねないって事かな?」

鼎「つまり自分が正義の味方と思いこんでいる人ほど、他人の今までの振る舞いを散々非難した上で、その性格を改めてやるという気持ちもマンマンだけど、自分が他人の意見を聞き入れる側に回る気は毛頭ないみたいな形になりやすいって事かなぁ?」

逆沢「それ、前回のテーマ内に登場する【布教したい人】の心理そのものなんじゃないの?」

愛原「ご名答。つまり今回のテーマは、ある意味では前回のテーマの続きでもある。もっとも多くのマンガやゲームの世界では、【主人公=善】が暗黙の大前提になっている為、主人公が悪魔超人らを一方的に改心させ続けようが、それ自体は一向に構わないんだけどな。」

逆沢「現実世界の場合は、そう単純じゃないからねー。そりゃあ自分のことを正しいと思いこんでる人はいっぱいいるだろうけど、それが本当に正しいかどうか自体、あやふやな事も多いし。」

愛原「ただ今回だけは、テーマを円滑に進める関係上、あえて【一方は明らかに正しく、もう一方は明らかに間違っている側である】事を前提に話を進めさせてもらえれば助かる。」

逆沢「ん? なんで?」

愛原「今回のテーマは、あくまで【改心】なんだ。何が善で何が悪かを語るのが目的ではない。つまり自分が善で相手が悪。あるいは自分が悪で相手が善でも構わない。とにかく【善玉が悪玉を改心させる上で、どうすれば相手をうまく改心させる事ができるだろうか?】という趣旨で話を進めてみたいのだ。」

逆沢「なるほど。とにかく一方が明らかに間違っていて、その間違いを改めてやりたい時にどうすればいいのかを語りたいわけね。」

愛原「そう。たとえば計算ミスであったり、勘違いであったり、偏見であったり、思い込みであったり、色んな理由で人間は判断を間違える事がある。で、そういう人に対して、間違えを指摘してあげる事で感謝される事も多いが、残念ながら逆切れされる場合も多い。人に間違えを改めさせたり、改心させるというのは、簡単なようにみえて、案外難しい。特に相手が【自分が正しい】と思いこみやすいタイプなら、なおの事な。」

逆沢「しゃべればしゃべるほど、オマエモナーの世界だけどね♪」

愛原「ま、半分以上は自戒の意味もあるけどな。」

逆沢「しゃべればしゃべる程、自分自身にダメージが跳ね返りかねない危険な話題をあえて振った理由の方が、わたしゃ興味があるわ。」

愛原「理由か? うん。実は少し前に、田中芳樹の【創竜伝】に関する書き込みをネット内で見てだな。個人的に銀英伝ファンでもある俺としては、随分と懐かしい作品名を見てしまった事による懐かしさも重なってほんわかした気分でその書き込みを拝読させていただいたのだが、するとさらに懐かしさ満点のとあるツッコミもしっかり書かれてあって、これは間違いを指摘してやるべきかどうかと、ふと思ってしまったわけだ。」

逆沢「なに、その間違いって?」

愛原「うん。創竜伝の中に【90式戦車という名の兵器が川底の岩に当たって破損する】シーンがあるのだが、そのシーンを根拠に田中芳樹をあざ笑うような書き込みがあったのだ。」

鼎「それに対する議論は、大体20年近く前に行なわれていたものだよね。確かこのシーンを含む小説が発行されたのは1980年代後期の頃で、当時は90式戦車なんてものもこの世に存在しなくて、作中の90式戦車と後世になって現実に登場した90式戦車は全く別物なんだけど(当時は89式戦車というものが設計されようとしている段階だったが、最終的に開発した時点で1990年8月になってしまっていたので90式となった。なので田中氏が作品内でオリジナルとして創作した90式とは根本的に全く別物)、にもかかわらずそれが分からない90年代のアンチファンが、そのスペックの違いを根拠に散々田中さんを叩いた事があるらしかったけど。」

逆沢「なにそれ? そんな事言ったら作中で2003年生まれという事になっている鉄腕アトムとか、199X年に核戦争が起きたことになっている北斗の拳シリーズなんかどうなっちゃうのよ? 馬鹿じゃないの?」

愛原「うん。2012年になってそんな懐かしい骨董品級のコメントが見れるとは思わなかったので、逆の意味で懐かしさで感動してしまった。」

鼎「創竜伝シリーズは2003年を最後に新刊の発表が止まっている状態だから、実質10年前の作品なんだよね。その作品に関するツッコミを2012年になって入れたという事は、その人は2012年に入ってから初めて創竜伝シリーズを読んだ若い世代の人だったのかなぁ?」

愛原「俺がその書き込みのあるサイトの履歴を辿った範囲では、とても若い感じはしなかったが・・・。」

逆沢「て事はもしかしてそのコメントした人は、最低でも10年以上、思いっきり勘違いしたままずうっと生きてきた可能性があるって事?」

愛原「確証はないが、可能性としてはある・・・。」

逆沢「だっせーっ! ってか、ありえねー!! 普通にネットサーフィンしてるか、リアルの友人相手にそのネタを振るだけでも、もう何年も前に気付いてないとおかしいだろうに。そいつは天文学レベルの情弱か、極度の引きこもりなのか?」

愛原「うん。ともかく内容が内容だから、勘違いを指摘してやった方が親切かなと老婆心が働いたんだが・・・。」

逆沢「で、指摘してあげたの? その浦島太郎な書き込みをした人に♪」

愛原「やめた。元々俺は基本ロム専だし、書き込みを読んでいると【どうもこの人はアンチ田中芳樹っぽいな】と感じたから、うかつに間違いを指摘しても逆切れされて終わりかなと感じたから。あとその人は、ミクシィやってるみたいだから、俺がわざわざ間違いを指摘しなくとも、その内別の誰かが、ミクシィなどを通じて間違いを指摘してくれるかもという期待もあったし。」

鼎「アンチの人なら仕方ないと思ったかも。ミクシィやってるような人なら、既に他の誰かに間違いを指摘されている可能性も高いと思うけど、仮にそれでも間違った考えを改められない人であったり、もしくは自分の間違いを知った上でそれでも故意に田中芳樹さんの評判を落とす為にネガティブキャンペーンを続けているような人であれば、私達ではどうしようもないと思うし。」

逆沢「ってか、そういう奴には関わらなくて正解だわ。むしろ放っておいた方がいいって。どうせそいつは、今後もネット内で自分の無知と馬鹿っぷりをさらし続けるだけだろうから、そいつの好きにさせておけって♪」

愛原「俺が個人的に誤りを正してやるべきか迷ったのには、もう一点理由がある。それは誹謗中傷の拡散をそのまま放置しておいていいのか迷ったからだ。」

鼎「誹謗中傷??」

愛原「そう。誹謗中傷。世の中には、誤った情報を拡散する人間が多くいるし、それ自体は【人間は必ずミスをする生き物】でもあるから、いちいち非難する必要もない。だがその誤った情報が広まった結果、誰かの名誉が不当に毀損されるとなれば話が別だ。上記のケースの場合、その勘違い君が誤った情報を広め回った結果、田中芳樹氏の名誉が不当に失墜する可能性があるわな。」

逆沢「あー、言われてみればそれはあり得るわ。言ってみれば、デマや勘違い情報が広められてしまった事によって、誰かの名誉が不当に傷つけられている状態と変わらないからねー。」

鼎「してもいない罪をなすりつけられて、罪人として非難される人もいるよね。この前も、明治大学の学生さんが、神奈川県警にしてもいない脅迫の罪で逮捕されて、自白調書も取らされたあげく保護観察処分になったなんて事件があったけど・・・。」

逆沢「あれはIPアドレスだけを根拠に明治大学生を犯人と決めつけたあげく、特定の閉鎖空間に隔離して半ば無理矢理自白に追い込んだえん罪事件だっけ?」

鼎「確か【わずか2秒で書き込みが行なわれた】という客観的データがあって、普通に考えて彼が直接キーボードを通じて書き込んだとは思えない証拠もあったのに、そういう【彼が犯人だと決めつけるには都合が悪い証拠】に関しては一切公にされず、IPアドレスという【彼が犯人だと決めつけるのに都合が良い証拠】だけを主な根拠として、神奈川県警は先入観で彼を逮捕してしまったんだよね。」

愛原「これによって彼の名誉と社会的権利は、大きく毀損される事になってしまった。結果的には大阪府警がウイルスによる遠隔操作というトリックを捜査段階内に見破ったおかげで、彼がえん罪である事も明るみにされたが、そうでなければ彼は一生、脅迫犯という汚名を背負わなければならなかったかも知れない。恐ろしい話だ。」

逆沢「先入観だけで犯人と決めつけてしまったり、悪人と決めつけてしまったりして、罪なき人の名誉や権利が毀損される事など絶対にあってはならないと思うわ。」

鼎「という事は、さっきの話だけど、やっぱり田中芳樹さんの名誉がこれ以上、不当に毀損されないようにする為にも、やっぱりそのアンチ田中芳樹の人に間違いをちゃんと指摘すべきだったのかもと思い直したかも・・・。」

逆沢「だ・か・ら、それはやめておけ。理想としてはその通りなんだけど、アンチに間違いを指摘しても火に油を注ぐだけだから。どうせそういう人間は、別の理由を根拠に田中芳樹さんを今後も非難し続けるに決まっているから。」

愛原「チキンと言われたらそれまでだが、俺も逆沢に同意。間違いを指摘した側が逆に炎上させられる例すら、世の中にはあるからな。」

逆沢「ん? たとえばどんなケース?」

愛原「俺が知ってるネット内の例では、2008年に日教組の全体集会が行なわれる予定だったプリンスホテル側が突如、予約取り消しをした際のエピソードが記憶に残っている。」

逆沢「うへぇー。また面倒くさい例を出してきたわねー。で、どういう間違いがあったの?」

愛原「うん。一度予約の受理をして相応の日数が経っているにも関わらず、一方的にホテル側が予約のキャンセルをしたから日教組側が怒って問題化したにも関わらず、頭の悪い連中が【プリンスホテル側が最初からホテルの予約を受け付けなかった】と勘違いした上で、日教組を非難する流れがあったんだ。で、その勘違いを改めようとする勇者も現われたのだが、頭の悪い連中がその間違いを一切認めずに、逆に間違いを指摘した側を猛攻撃。【ホテルにも宿泊客を選ぶ権利はある】とか【最初から日教組だと名乗っていれば、ホテル側も予約を受けなかった】とか【街宣右翼を連れてくる日教組側に全面的な非がある】とか【裁判所が日教組の主張を認めてホテル側が賠償するよう命令したけど、こんな判決は間違っている】とか、(ネット内だから自称かどうか知らないけど)法学部卒とか言う人間も含めて、こんな間抜けな主張を繰り返すんだぜ。どうみても狂ってるだろ?」

鼎「普通に考えて、ギリギリになってからホテル側に突然キャンセルくらったら、予約したお客さんがどんな迷惑を被るかくらいは想像できるよ。まして日教組の全体集会くらいになると、たくさんの人が集まってもおかしくないんだから、既に予約済みのホテル側から突然キャンセル食らったら、どれだけの損害が出るかくらい、予想もできると思うし。」

愛原「我々が客の立場に立てば、こんな問題、誰が見ても誰が悪いかは分かるはず。嫌なら最初から予約を受け付けなければいい。別に日教組である事を隠していた事実などないし、そんな事もできる訳がない。それにホテル周辺で騒音をまき散らすのは右翼団体であって、日教組ではない。そして最も問題視すべきなのは、プリンスホテル側が裁判所の仮処分命令すら無視した上で、本来の開催日に別のイベントの予約まで入れて、日教組側のホテル使用と立ち入りを完全拒否してしまった事だ。ある意味、裁判所をも侮辱した行為であり、後に日教組側の損害賠償請求を受けて、プリンスホテル側が全面敗訴になるのも当たり前。なお当時の与党(自公政権)の大臣も口をそろえてプリンスホテル側を公然と批判していたが、これも法治国家なら当然。」

鼎「そういえば今年の夏では、神戸で日教組の全体集会が行なわれたらしいよね。」

愛原「うん。俺は日教組と無関係の人間なのでそんな事、全然知らなかったが、当日、作者がフラワーロード近くを歩いていると兵庫県警の車がやたら集まっていて拡声器の音声が響き渡っていたので、立てこもり事件でも起きたのかと野次馬根性で近付いたら、それがどうやら噂に聞く日教組の全体集会なのかと、産まれて初めて肌で理解したようだ。ま、右翼団体が正式にデモの届けを出せば、警察もそれを許可せざるを得ないし、警察もデモの規模に応じた警備陣営を敷かざるを得ないから、構造としてはおかしくはないのだが。日本には、集会の権利と同時にデモの権利もあるからな。」

逆沢「おー。直接自分の目でどういう光景なのかを確認した人間の感想は、口先だけで一方だけを叩いている人間よりも、リアリティーがあっていいわ。やっぱり騒然としていた?」

愛原「通行人は大体いつも通りに、何事もなかったように通り過ぎるのがほとんど。でもとにかく警察車両が多い多い。あとうるさいのは事実だが、デモとはそういうものだから、それを法的な観点で批判するのは筋違い。政治家の街頭演説と同じで、あれらはちゃんと正規の許可を得て行なわれているものだからな。某フジテレビデモでは、警察に無許可だったケースもあるらしいが・・・。」

逆沢「警察に無許可のデモや街頭演説って、ただの迷惑行為でしかないじゃん。誰も無許可のデモが間違いだとも教えてあげなかったのか?」

鼎「うーん。でもこういうケースでも、間違っていた側が改心する可能性なんて、ゼロだと思ったかも。彼らに取ってみれば日教組の存在自体が悪という認識である以上、プリンスホテルに賠償を求めた裁判所こそが間違いで、日教組相手にドタキャンをかましたプリンスホテルこそが善という認識だろうから。」

逆沢「同感。無許可のフジテレビデモにしても、彼らにしてみればフジテレビが悪である以上、無許可のデモ自体が違法であろうがなかろうが、自分達こそが善と思いこんでそうだし。」

愛原「争点は【日教組が悪か否か】ではなくて、【プリンスホテル側によるドタキャンが社会通念に照らして正当か否か?】が論点なのだから、この場合謝罪すべきは、誰がどう見てもプリンスホテルとそれを支持した一部ネット識者側だろう。フジテレビデモにしても、争点は【無許可のデモは正当か否か?】であり、フジテレビが善か悪かなんて関係ない。愛国無罪じゃないんだから、【悪い奴を無実の罪で罰しても構わない】とか【悪い奴を罰するのなら手段は問わない】なんて論理が通じるわけがない。それは【あいつはいじめられて当然の奴だから、どんな嫌がらせをしても構わない】と主張する奴によるトンデモのクソ論理と変わらない。」

鼎「トンデモといえば、そういえばこの前、山本弘さんのプログを見てみると10月26日付けで【副島隆彦先生に謝罪します】という記事があって、すごく好感を持った事があるよ。山本弘さんを含むと学会は過去に副島さんが出版した『人類の月面着陸は無かったろう論』という著書をトンデモ本として批判した事があったけど、だからといって副島さんを全否定するのではなく、自分側に非があればそれはそれできちんと認めて謝罪できる人なんだと。」

愛原「山本弘氏は、11月4日の記事のコメント返信部分でも、過去に自分が誤った情報を信じて拡散した事を謝罪するコメントを載せている。こういう潔い態度は、自分自身が苦手とする事もあって、すごく尊敬してしまう。自分に非があれば、その部分に関してきちんと改心する。謝罪する。こういう姿勢は、人間としてすごく大事だ。」

逆沢「プリンスホテルの件で日教組を叩いていた人には、そういう殊勝な気持ちは微塵もなさそうだけどね。自分が悪と認定した相手に対しては、どんな道理が通らない理由で相手の名誉を失墜させても構わないという気持ちがミエミエだから。」

愛原「田中芳樹が嫌いであろうが、日教組が嫌いであろうが、それ自体は個人の自由だ。だがデマやウソを根拠に相手を誹謗中傷すべきでないし、ルールを一方的に破っていいという事にもならない。もしもそういうあやまちを犯してしまったなら、まずはその部分に関して謝罪し、相手の名誉回復を図るべきだ。神奈川県警も、大阪府警がトリックを見破ってえん罪の可能性を突きつけられた時点で、えん罪被害者の保護観察処分を解除して謝罪しただろ?」

逆沢「いや、せっかくだけど、今回のえん罪脅迫事件に関しては、神奈川県警には全く誠意を感じないんだけど・・・。【とりあえず世間がうるさいから、形だけ謝っておきますよ】みたいな空気を感じてならないというか。」

鼎「警察関係者は、過去のえん罪事件に関しても、大体そういう不誠実な所があるよね。中には埼玉県警による桶川ストーカー殺人事件のような例もあるし。」

逆沢「確か被害者側が生前の頃から警察にストーカー被害を相談して告訴状も提出していたのに、警察側はそれを改ざんして放置し続けた結果、被害者が殺されて、そしたら今度は埼玉県警側が【被害者側はいかにも素行の悪い人間であり、これでは殺されても仕方ない】といわんばかりの発表を繰り返して、とことんまで被害者の名誉を毀損してまで、県警が自己正当化と自己保身を企てていた事件ね。」

愛原「埼玉県警の本部長はその後も、【3年前に非を認めたのは警察庁の指導があったから】と言って被害者遺族の国家賠償請求に対抗する姿勢を示したり、あげく【原告もあまり金を取れないと、多額の賠償金が取れると思ったのにこれでは話が違う、高裁に控訴しよう、となるのではないか】ともコメントしてたらしいが、【本当にコイツら、ゲスの集まりだ】と感じたわ。間違いを認めて改心するのではなく、あくまで被害者の名誉を毀損し続けてまで、自分達の名誉だけは守ろうとする執念に。」

逆沢「上の件で田中芳樹や日教組を批判していた連中も、大体は埼玉県警と同類なんじゃない? 彼らも間違いを認めて被害者の名誉回復を図るのではなく、逆に【田中芳樹や日教組は批判されて当然だ】みたいな論調で、ますます被害者の名誉を毀損し続ける事で自分の名誉だけは守ろうとしそうだし。」

鼎「間違いを指摘された事で改心するのではなく、逆に自己正当化するような人間は、すごく問題だと思ったかも。」

愛原「開き直って自己正当化するような人間はヤバいな。間違っている事を正しいと思いこむことで、その間違いを今後さらに堂々とやりだす恐れがある。普通なら【相手を不当に傷つけた→それが間違いだと気付いた。俺が悪い→改心して謝罪した】という流れになるはずが、【相手を不当に傷つけた→あいつは傷つけられて当然の悪い奴だ。俺は悪くない→あいつがどんなに悪いかを周りにも知ってもらおう→さらに誹謗中傷強化】のコンボになると。」

逆沢「こえー!! 間違いを指摘した事で、逆効果になる恐れがあるって事か?」

鼎「でもそういうケースもありうると思ったかも。たとえば田中芳樹さんが嫌いな人に間違いを教えた途端、【田中芳樹の問題点は他にもこんなにあるぞ!】とさらに批判活動が活発化する恐れもあるし。そういう人はそれを根拠に、自分が勘違いしていた点についても絶対に謝罪しないと思うし。」

逆沢「まさに桶川ストーカー事件の時の埼玉県警の反応と同じねー。」

鼎「どうやったら、間違いを認めてちゃんと改心してもらえるのかなー? 本当に悩みどころだよね。」

逆沢「うーん。やっぱり世間が強い圧力をかけるくらいしかないんじゃない? 悪い奴を改心させるには。」

鼎「世間による圧力?」

逆沢「そ。神奈川県警が明治大学生に対して謝罪の意向を示したのも、世論の視線が気になったからだと思うし。ネットでも、確か圧力で改心というか間違いを反省させた例もあったはずだし。」

愛原「というか匿名が主流のネットで、間違ってた相手を改心させる事など可能なのか? もし良ければ実例を示して欲しいのだが?」

逆沢「え? 私が実例示すの?! そういうのすごく苦手なんだけど? うーんとねー。たとえばちょうど1年前くらいに【野田総理が韓国に慰安婦像7体を寄贈 】という朝日新聞のサイトを真似たねつ造サイトの記事がネットに登場して、で、そのウソ記事を間に受けた一部ネット住民が、2ちゃんねるにスレ立てしたり、ツイッターで拡散しまくった事があったんだけど・・・。」

鼎「あ、その話は聞いた事があるよ。けどその記事がウソ記事である事がすぐに判明して、逆にデマを拡散したツイッターのアカウントがさらされて炎上した結果、反省させられた人も出たようだよね。」

愛原「ああ、その件か? そのニュースなら俺も知っている。ウソ記事を信じて野田をあざ笑うコメントをした人間自身が、その次のレスで【釣られたゆとりは出ていけよ】と素知らぬ顔でコメントしたり、スレ立てした本人が【通報しました】と手のひら返したり。色々面白い事になったらしいけど。ただ【名誉毀損された野田総理に謝罪するコメント】だけは、俺がさらっと斜め読みした範囲では見つけられなかった事だけが不満要素だが。」

逆沢「中にはウソ記事である事に気付いても、【野田ならやりかねないと思った】とか【朝日新聞にダマされた】といった風に、自分以外に責任を転嫁するコメントすら見られたくらいだしね。」

鼎「客観的に見れば【加害者=ねつ造記事の作者とそれを信じて拡散した一部ネット住民】【被害者=朝日新聞と野田総理】の構図なんだけど、被害者の傷口にさらに塩を塗りつけてまで、ウソ記事を拡散した自分を正当化するのは人としてどうかなーと思ったんだけど・・・。」

愛原「救われるべき被害者にさらに責任を負わせて、自分は決して頭を下げない構図は、上の田中芳樹や日教組の例と全く同じだな。」

逆沢「けどとりあえず、ウソ記事にダマされてデマを拡散していた側の人間が、そうじゃない人に間違いを指摘された事で間違いに最終的に気付いて、反省する人も現れた点は、やはり評価すべきじゃない? 」

愛原「改心したというよりは、炎上させられた事でとりあえず頭を下げざるを得なくなっただけのような気もするが・・・。」

逆沢「それはしゃあない。正義超人が悪魔超人や完璧超人を改心させる過程において、相手を叩きのめすという前提が必須になるようなものだから。」

鼎「あ、そうか。よく考えたら、ゲームの世界でも、相手を改心させる前にその相手をバトルで叩きのめす事が大前提になっている作品は多いよね。」

逆沢「ま、言ってみれば体罰ね。正義の味方が暴力で相手を叩きのめす。その上で相手の間違いを指摘し、最終的に改心させる。うーん。ドラマだわ!」

愛原「こらこら。それじゃ仮に正義の味方が、悪魔超人なりに完敗したらどうなるのだ?」

逆沢「当然、改心させる事はできないわね。もしかしたら逆に悪の陣営に改心させられて、悪墜ちする事すらあるかも・・・。」

愛原「それ・・・ただの暴力による支配じゃねえか?」

鼎「私、さっき出た明治大学生がえん罪で捕まったあげく、自白までさせられた件を思い出したかも。ほら、明治大学生は神奈川県警の厳しい尋問を受けて心をへし折られて、ついにしてもいない罪を認めてしまったわけでしょ。これも暴力や圧力によって、自分の心の中にある良心を無理矢理ねじ曲げられた点では全く同じだと思うんだけど。」

愛原「つまり暴力や圧力によって、悪人が善人として改心する場合もあるけど、逆に善人が悪人として逆の改心というか、悪墜ちする事もあるという事だな。」

鼎「私。暴力や圧力で無理矢理人の心を変えるのは、さすがに素直に賛同できないと思ったかも。」

逆沢「でも暴力や圧力抜きに、人を改心させるなんて事できるの? たとえばネットで炎上させる事で無理矢理相手を反省させる事はできるかも知れないけど、理性的な説得だけで、間違った考えを持つ人を改心させる事なんて可能なのかって事だけど。」

愛原「改心というのは、本来、改心させようとする側よりも、改心する側の度量の方が大きく影響するからなぁ。あと改心するということは、改心する以前に蓄えてきた人脈や思想をリセットしかねないものなのも問題だ。たとえば悪魔超人のプリンスと言われた男が改心して正義超人の仲間入りをするとどうなるか? 当然、悪魔超人界での居場所はなくなるだろう。悪魔超人界ではプリンスとして幹部級の地位にいたにもかかわらず、今度は正義陣営の新入りという立場に転落する。場合によっては悪魔超人界から裏切り者扱いを受けて、刺客を送り込まれたり誹謗中傷の的になるかも知れない。また新しく家族ができても、今度は息子がかつて悪魔超人陣営の幹部だった父の過去に気付いてグレるかも知れない。」

逆沢「うーん。人を改心させるという事は、その人の人生を狂わせる可能性もあるって事か?」

鼎「つまり仮に特定政治家の後援会会長を務めていた人がその政治家の支持をやめたら、その後援会内で蓄えてきた人脈も、後援会会長という地位もリセットしなくてはならなくなるようなものかなぁ?」

愛原「改心すると、今までの地位も人脈も全て失う恐れがある。場合によっては裏切り者呼ばわりされたあげく、何らかの報復を受ける事もある。これも人が容易に改心に応じない理由の一つかも知れない。」

逆沢「けど間違いは間違いであると認めさせないと、無実の被害者がさらに増える事になるからねー。」

愛原「その通り。人は必ずミスをする。だから間違いを犯した事自体を責めるべきとはいわないが、間違いが判明した場合は、素直に改心し、被害者に謝罪すべきだ。間違っても自分の保身などといったつまらない理由の為に、えん罪被害者の名誉や権利をさらに奪うような事をしてはならない。」

鼎「誰だってえん罪で逮捕されたり、言われなき理由で誹謗中傷をされたくないよね。」

愛原「そう。冷静に考えたら、自分が被害者の立場で考えれば、この程度の事は子供でも分かるはず。無罪の罪を押し付けられて【お前は悪い奴だ。反省しろ】とののしられる屈辱。明らかに被害者の立場なのに【お前が悪い】とさらに責められる屈辱。桶川ストーカー事件の被害者にしろ日教組にしろ、間違いに気付こうとしない、もしくは間違いを素直に認めようとしない醜い心をした連中によってそんな屈辱を味あわされた点では全く同じ。心から同情する。」

逆沢「せめて間違って人を誹謗中傷した側が、間違いに気付いた後からでもいいから、ちゃんと改心と謝罪の意志を示してくれれば、まだ救われるんだけどねー。」

鼎「間違いを素直に認めるような度量の持ち主の言葉は、聞いててもすごく重みと信頼感があるよね。少なくとも間違いに気付いても、絶対に訂正しない人よりは。」

逆沢「ウソもホントもごちゃまぜにして自己正当化してるような人の言葉ほど、重みのないものはないわ。その人の言ってる事の何が本当で何がウソかが判別できないから。」

愛原「特に俺の場合は、あやまちを素直に認める度量が大きくない方かも知れないと考えているから、その分、裏を取るなりして、思い込みだけで安易にしゃべらないようにしている。軽い気持ちでポンとしゃべって、それが誰かの名誉や権利を不当に侵害するものだと、後でそれを訂正するのがツラいからな。」

逆沢「よく言うわ。普段からいらん事しか言わないタイプのくせに。」

愛原「いらん事言いなのは、性格だから仕方がない。ていうか性格を変えるのは簡単ではない。自分の性格を変える事もできないのに、まして他人の性格を安易に変えられるとも思っていない。人を改心させるのは簡単ではない。とかいって暴力や圧力で他人を思い通りに動かしたいとも思わない。」

鼎「けど罪のない人が不当におとしめられているのに、それを何とも思わないような人になるのも嫌だよね。」

愛原「まして人を不当におとしめて、しかもその事実に気付いても改めようとせず、さらに人をおとしめ続ける事で自分を保守しようとする側の人間にだけはなりたくないわな。」

逆沢「ま、結論としては、素直に改心できる度量のない人間や、ちゃんと情報の真偽を確かめる手間をかけられないような人ほど、人の悪口はなるべく言わないに越した事はないって事ね。人の悪口を最初から言わなければ、後で反省や謝罪に追い込まれる事もないって訳で。」

愛原「そこまでの聖人になるのは、キャラクターが変わってしまうから不可能だが、自戒すべき項目して覚えておこう。」












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