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愛原様のたわごと(12年12月2日)





愛原「今年の大河ドラマは、例年にない低視聴率のまま幕を閉じそうだが。」

逆沢「ていうかいきなり何で、誰も関心ないような話題から入る? つかみの段階で大失敗でしょうが?」

愛原「今回のテーマは【売れ筋(人気筋)】でいきたいと思っている。人気・不人気の境目。どうやったら人気が出るか? どうやったら票が集まるか? どんなゲームなら売れるか? そんな話。で、とりあえずの話のきっかけとして【なぜ今年の大河ドラマは空気扱いされても仕方ないような低視聴率のままだったのか?】という質問から始めたいのだが?」

逆沢「単純につまんない話だったからじゃないの?」

愛原「それはつまり、実際に何回か視聴してみた上でこれは退屈な作品だと感じたから、という解釈でいいのか?」

逆沢「・・・いや。最初から今まで一回も見た事ないけど。」

愛原「一回も見てないのに、なんでつまんないと言い切れる? ていうか、そう断定した理由はなんだ?」

逆沢「いや・・・そういうツッコミをされると困るんだけど・・・。なんか興味を引かなかったというか、平清盛なんていうマイナーな歴史人物を主人公にすえた時点でつまんなそうと感じたというか。まぁ後は、テレビ自体が昔ほど面白く感じなくなったというのもあると思うわ。」

鼎「こうして見ると、人気不人気というのは、作品の出来映えとは無関係のような気もするよね。たとえ作品の質がすごく良かったとしても、それを見る機会自体がなければ誰もそれに気付かないような感じで。」

逆沢「あー。でも【今、この番組が大人気♪】みたいな感じで話題になると、今までつまんないと思いこんで見なかった番組を見る気持ちに変わる時はあるかもねー。」

鼎「学校やサークルの友人の多くが同じ番組で盛り上がってたりすると、自分も興味が沸いてきたり、あるいは話を合わすためについつい見るようになっちゃう事も多いよね。」

愛原「それも作品の良し悪しとは、あまり関係ない理由だな。それでは単なるコミュニケーションツールだ。」

逆沢「そりゃ、しゃあないわ。私達は芸術評論家じゃないし。作品の出来の良し悪しを審議するために、見る番組を選別するわけでもないから。」

鼎「ネットの世界でも、良質な情報記事が必ず評価される訳じゃなくて、むしろあおり記事の方がたくさんのアクセス数を集めるような気がするよね。」

逆沢「自分にとって都合のいい情報が載っているサイトとか、いかにも叩きがいがあるような記事を集めているサイトとか、自分と同じような感性を持つ人が集まりやすいサイトとか、そういうサイトの方が、どうしてもアクセス数は伸びやすいかも知れないわね。正直だけど当たり前すぎてつまんないニュースよりも、信憑性に疑念はあってもみんなの意表を突くような内容のニュースとか、過激な論調のニュースとか、滅多に起きない大事件(or怪事件)ニュースとかの方が読んでても面白いだろうから。」

愛原「それ、まんまワイドショーのやり口じゃねえか。厨二病患者が最も喜びそうなエサそのものというか。」

鼎「厨二病というと確か、【凡人(愚民)どもと違う知識(や視点や能力)を持っている俺カッコいい!】と思いこんだりして自分を特別視したがる思考症例の事を差すんだよね。」

逆沢「以前、【ネトウヨと不良キャラの共通点】というテーマで取り上げた時の人達に多そうな症例でもあるわね。確か。」

愛原「うん。こういう人は、ワイドショーが連呼するような【真相】をすごく好む。定説を嫌い、定説を覆すような真相(?)とやらに強い好意や関心を示す。その結果、陰謀論やトンデモ理論を間に受けてしまう人も少なくない。また凡人が熱狂している事に対しては斜に構えてドライな対応をする割に、凡人がどうでもいいと思ってる事に熱狂しやすい特徴もあるようだ。」

逆沢「うん。分かる分かる。凡人が何とも思わない【見えない敵】に対しては憎悪をむき出しにして必死に叩き続ける割に、震災でみんなが被災地を救おうとボランティア精神に燃えていたり原発問題を真剣に考えている時には、逆に【ボランティアは邪魔】とか【マスコミに煽られすぎ】とか斜に構えて、人の熱意ややる気を削ぐような事しか言わないようなものね。」

愛原「だからトンデモ論も陰謀論も新興宗教も、決して廃れる事はない。【凡人の知らない真実】とか【隠された陰謀】とか【この国を操る真の黒幕】とか【自分達だけが知っている本当の神(世界)の姿】とか、そういう要素にあこがれる人も無くならないからな。」

鼎「でも厨二病というのは、面白いゲームシナリオやラノベを書く上では、絶対に欠かせない要素だとも思うよ。」

愛原「ま、それは同感。当たり前の日常が繰り返されて、当たり前の結末で終わるようなシナリオなんか、誰も読みたくないからな。どうせなら、日常ならあり得ないようなヒーロー体験を出来て、凡人の立場では知り得ないような秘密にもたくさん遭遇したい。俺も一人のフリゲ作者として、そういう若々しいハートは、ずっと大事にしたいと思っている。」

逆沢「ま、現実世界でもファンタジーでも、悪を成敗してスカッとしたい気持ちというのは厨二病患者も含めて誰でも大なり小なりあるだろうし、それで叩き甲斐のある悪玉として分かり易く紹介されているあおり記事が受けるってのはあるかも知れないわね。」

鼎「それで不祥事関連のネタは、テレビでもネットでも一番人気というか、一番の売れ筋なのかも知れないよね。」

愛原「悪玉が登場するゲームも決して無くならないと思う。正義の味方を気取って悪を成敗する事以上に爽快感のあるものは、そう多くはないからな。」

逆沢「もしかして今年の大河ドラマが受けなかったのは、主人公である平清盛自身がどちらかというと負け組で悪玉の歴史人物として認知されているせいもあるのかな? ほとんどの大河ドラマの主人公は、歴史上の成功人物であったりヒーローであったりするけど、今回は勝ち組の源氏に滅ぼされた側の陣営が主人公だから。しかも真田幸村とか源義経とか新撰組のような華もあって同情も誘うような負け組キャラでもないし。むしろ【おごる平氏は久しからず】なんてことわざすら有るくらいだから。」

愛原「平清盛自体が悪役イメージキャラとして浸透してしまっている事も視聴率低迷の要因の一つではあると思うが、メインの理由は他にもありそうだけどな。」

鼎「私は、源平時代というマイナーな時代背景を選んだ事に尽きると思うけど。ほら、斜に構えた人達はよく【大河ドラマは戦国と幕末の繰り返しでつまらない】というけど、現実はその逆で、視聴者の大半はもっとミーハーだとも思うし。」

愛原「うむ。その意見に俺も賛同したい。厨二病患者は、一見凡人から背を向けていているように見えるが、実際に一匹狼を貫ける者はそう多くない。深夜アニメでも、かつて【涼宮ハルヒの憂鬱】とか【けいおん!】とか【魔法少女まどかマギカ】などがヒットしたらしいが、彼らは共通言語となる象徴の元にどうしても群がりやすい傾向があるようだ。大体、誰も関心を持たない超マイナーなマンガにハマって熱弁をふるっても、その超マイナーなマンガに関心のない大半の人間にとっては【ふーん、それで?】以上にはなりにくいからな。」

逆沢「あー、なるほど。それは分かる。たとえ私が源平時代の大ファンだったとして、平清盛のことを熱く語っても、大半の人からは関心なさげな寂しい反応しか返ってこないのは目に見えてるしね。」

鼎「つまり平清盛が主人公では、世界観も登場人物もマイナー過ぎて残念ながら共通言語にはなりえないからアウトって事かなぁ?」

逆沢「そうなんじゃない? 斜に構えて賢こぶった人達が【戦国と幕末ばかりでつまらない】と言った所で、現実は【てめえらの言う通りにしてやったら、ごらんの有り様だよ】って感じだし。今年の大河ドラマは、内容的にはお江の時のような超ファンタジーとは正反対で、比較的正統派歴史ファン好みの硬派な作りだったらしいけど、それでも結果がこれじゃあ・・ね。」

愛原「大半の厨二病患者は、残念ながら承認欲求のカタマリでもあるからなぁ。正義の味方を気取るのも、賢ぶった態度をしてみせるのも、【俺はこんなに立派な人間なんだぞ!】とアピールする事で称賛・共感・承認・居場所・存在価値を勝ち取りたいからに過ぎない。そんな打算的思考の厨二病患者からすれば、共通言語にもなり得ないような作品に固執する意味はほとんどないからな。誰も振り向かないマイナーネタに詳しくなっても、誰も自分の価値を認めてくれないから。」

鼎「けどこういう風潮って、新商品を開拓して景気を刺激せんと考える上では、すごく問題だよね。せっかく新しい流行を創ろうとして、中身のある新機軸の新商品を開発しても、誰も見向きもしなければ全然意味がないし。」

愛原「そうなのだ。これはテレビ業界でもゲーム業界でも深刻な悩みの一つ。過去になかった新ジャンルのドラマやゲームを創っても、誰も関心を持とうとしないから、せっかく魂を込めて創っても、結局不発に終わって寂しい事になる。で、そしてそんな冒険をするよりは今の流行に乗っかった方がいいと安易に考える制作者がどんどん増えて、似たり寄ったりの作品ばかりが濫造されるようになる。」

逆沢「で、その似たり寄ったりの作品が続くと、今度は【大河ドラマは戦国と幕末の繰り返しでつまらない】的なマンネリ状態になってしまうわけね。」

愛原「似たり寄ったりはつまんないと言いながら、変わったものを創ると見向きもしない。ほんならどないせえっちゅうねん! そうは思わないか?」

逆沢「あはは。消費者は基本的にワガママだからねー。ただ日本人の場合は【みんな】に弱いから、ステマでも何でもいいから、とにかくしっかり宣伝するしか方法ないんじゃない? 【魔法少女まどかマギカ】なんかも、第1話を放送する前から期待値を高めておく方法で成功したみたいだし。」

鼎「けど宣伝力は残念ながら経済力にほぼ比例しちゃうし、経済力に恵まれない同人作家や新人作家などは、ブームに乗っかるしかないのかなぁ?」

逆沢「そうなんじゃないの? 少なくとも同人界では、オリジナルよりも二次創作の方が圧倒的に強いし。オリジナルでも萌えとかエロとか戦国とか、最初から一定以上の固定ファンがいるジャンルで勝負した方が固いみたいだから。」

愛原「今年の大河ドラマの低視聴率ぶりを見る限り、不本意ながらジャンル別に存在する既存のファン層の厚さは無視できないと感じた。戦国や幕末と比べると、源平のファン層はあまりに薄すぎた。売れ筋をとことん無視しているウチのサイト的には大変忸怩たるものがあるが、売れ筋を追及するなら、新ジャンルを無理に開拓しようと思わずに、手堅く【多くの人が強い関心を持つジャンルで勝負しろ】と言う事になってしまうのかも知れん・・・。」

逆沢「この際、ウチのサイトの路線も変えてみる? 危険なネタだらけのたわごとコーナーもやめて、代わりに今、人気筋のツイッターでも始めるとか?」

愛原「俺がツイッターをやると十中八九、時間食い虫になるだろうから、現段階で100%やる予定はない。ま、心情的にツイッターにはあまり良い感情を持っていない点もあるが・・・。」


鼎「えー? 人気のツイッターを否定するような発言をすると、ますます嫌われ者になっちゃうよ。そういう発言は慎んだ方がいいと思うけど・・・。」

愛原「うーん。確かに誤解を招く発言だな。俺も巡回するくらいお気に入りのツイッターのサイトはあるし、別にツイッターをやってる人自体を悪く言うつもりは微塵もなかったのだが・・・。正確には古い発言がどんどん奥に追いやられて検索などでそれを掘り起こすのも困難なシステムと、文字数制限が厳しすぎるシステムと、手軽にリツイートできてしまうシステムのおかげで、無責任な発言とか誤解を招きやすい発言があっという間に拡散しやすい部分について不快なだけだが。」

逆沢「人は不祥事が大好きだから、有名人がツイッターでうかつな発言をするとすぐに祭りになるし、逆に注目される事を期待して故意にあおるような発言をする有名人もいるしね。人の好奇心を煽るようなネタが提供されると、それがデマかどうかも検証されないままあっという間に拡散してしまうリスクもあるし。だからツイッターは、デマ拡散器とかバカ発見器と呼ばれたりもするわけだけど。」

愛原「真面目な議題を語るにはツイッターは文字数制限がキツすぎる。だからツイッターでの発言はどうしても、小泉純一郎や橋下徹が得意とするような中身のないワンフレーズのあおり主体になりやすい。」

鼎「でも2ちゃんねるでも長文は嫌われがちだし、それで短文でまとめる事が強制されるツイッターが人気なのかも知れないよね。」

愛原「短文だと結論だけしか書けなくなる。結論に至る理由。その結論があてはまらない例外部分に関する補足説明。そういうのが伝えられないまま、結論だけが重視される世の中は非常に危険だと思っている。」

鼎「さっきの【ツイッターにはあまり良い感情を持っていない】という危険な発言にしても、補足説明がないとかなり誤解を与えやすい発言だったと思うし、短文で表現すると、どうしても舌足らずになってしまうリスクは大きくなるよね。」

逆沢「連投して補足説明する手もあるけど、それでもリツイートされるのは結論部分の1ツイートだけの事が多いから、結局拡散する段階で、舌足らずになってしまうから、やっぱ意味ないか。」

愛原「ま、テレビ番組で学者の見解が放映される時でも、この手の問題はよく起こるらしいけどな。学者自身は【○○という例外もあるが、通常こういう現象はほとんど起こり得ない。今回も諸条件から例外には該当しないケースだと思われる】とコメントしたつもりでも、テレビに放送される段階で【○○という例外もある】という部分だけが放映されて、学者が伝えたかった思いと正反対の論調が広まる事も多いそうだ。」

鼎「ツイッターでも、リツイートした人にとって都合のいい部分だけが抜き出されて拡散される恐れがあるよね。」

愛原「そう。ツイッターを含む短文はあおりやデマの拡散には有効だが、真面目な話をするにはどうしても不向きだ。たとえばTPP問題にしたって、アメリカがどんな条件を突きつけても賛成とか反対というのはおかしいだろ? 原発問題や核廃絶問題も同じ。長期目標(or最終目標)と当面の課題をごっちゃにして、賛成か反対の2拓を無理矢理強制するようなもの。でもツイッターのような短文では、そういう本当に大事な部分まで書ききれず、不毛な争いを誘発する事も多い。」

逆沢「その不毛な争いが起きやすいシステム自体も、不祥事やスキャンダルやバトルが大好きな人達にとってはメシウマ要素なんだろうけどね。短文であればあるほどツッコミ入れやすいし、誤解も生じ易いから。」

鼎「特にメリットとデメリットが共存するような話題ほど、相手を論破したい側には都合がいいよね。相手がどの意見を支持しようとその意見のデメリット部分を糾弾しやすいし、とかいってそのデメリット部分を事前にフォローするには、ツイッターは文字数が全然足りないから。」

愛原「しかもデマやあおりの発信源を突き止めようとしても、その頃にはデマの原因となったツイート文は思いっきり奥底に埋まって掘り起こしにくくなっている事も珍しくないしな。それを逆手にとってか、故意にあおったり誤解を生じるような発言をする者もいたりするから困る。」

逆沢「しかしたとえ誤解を生じても分かりやすさを優先するのが、今の流行というか、人気筋みたいだしねー。」

愛原「じっくり吟味して考える事よりも、安直に結論を出す事が尊ばれる。10年後の未来よりも明日の生活。そんな刹那的な思考自体が、今のトレンドになっているような気もする。」

鼎「ゲーム業界も、昔はじっくり考えながら遊ぶゲームも多かったけど、今はユーザーの射幸心や興奮を煽って課金させるようなタイプにシフトしているような気がするよね。」

逆沢「課金ゲームといえば、最近はスクエアエニックスやKOEIといった大手すら色々やり出しているみたいね。やっぱり売れ筋だからかな?」

鼎「課金ゲーム自体は、昭和のゲームセンターもその一部だし、ずぅーっと昔から続いてる流れだから、それが携帯やオンラインゲームに移り変わっても、経営母体とシステムが変わっただけなのかも知れないけど・・・。」

逆沢「でも正直これ。売れ筋とか人気とか、そういう次元で語る内容じゃないでしょ? ある意味、タバコやお酒と同じで、人間の神経細胞に働きかけるものだから。」

愛原「まぁ、そういう側面もあるとは思う。あとゲームセンターにしろソーシャルゲームにしろ、対人関係を人質に取って課金を迫る構造なのもミソだと思う。」

鼎「【対人関係を人質にとって】というのは、たとえばどんな感じで?」

愛原「たとえばネトゲにはまる人は、【ここで自分がゲームを抜けたら、仲間が迷惑するから】みたいに考えて、責任感からやめられないという人も多いらしい。対人関係を過度に気にする気の弱いオタクがみんなと話題を合わせる為だけに【共通言語となるアニメを見る】ような感覚に近いかも知れない。次に見栄。たとえばゲームセンターに入り浸る人間の多くは、ゲームをやり込んでいてそれなりに上手い人間も多い。そんな上手い自分を周りにひけらかす快感故に、ゲームセンター通いをやめられない。ソーシャルゲームにはまっている層にも、時間やお金を投資し続けたおかけで、他人とのバトルに勝利し続けたり、仲間に尊敬される快感から、同様の中毒症になる者は少なくないと思われる。」

逆沢「で、責任感だか見栄だか知らないけど、そんなつまんない理由で、どんどん課金せざるを得なくなっちゃうって事か?」

鼎「これって、ママ友とのお付き合いとか会社の同僚とのアフターで見栄を張る為に、不相応な洋服買いまくったり、高いディナーを食べたりして、借金地獄にはまっていく女の人の心理と同じ構造だよね。」

逆沢「闇金ウシジマ君の世界そのものね。つまんない見栄を張り続けたが為に、自分自身を滅ぼす典型というか。」

愛原「課金する事で目に見えて強くなる。あるいは賞賛される。羨望される。それによって快感や自尊心をくすぐられる事でますます抜け出せなくなる。今味わえる快感にとらわれて、失うものの大きさに気付かない。」

逆沢「ま、衝動買いという言葉もあるし、その場の感情とか衝動をあおって理性を麻痺させるというのは、物を売る視点では常套手段だしねー。催眠商法という言葉もあるし。」

鼎「そうでなくても今の世の中は、分かりやすさやその場の雰囲気がすごく重視されてるような気がするし、刹那的な判断基準で売れ筋が決まりがちな世の中になっているのかも知れないよね。」

逆沢「今の世の中は何でもそろってるけど、全てのモノを関心を持つには時間もお金も足りないしね。とかいってじっくり吟味する時間も惜しいと。」

愛原「2ちゃんねるやツイッターが人気な要因の一つも、この分かりやすさだと思われる。あと刹那性。昔の自分の発言内容との整合性が全くない、その場のノリだけの発言内容が散見されるが、誰も気付かないのか、それによる矛盾も容認される。」

逆沢「あはは。それを言えば今、衆院選に立候補しようとしている各陣営の主張もそうじゃない? 数年前に自分達が何を主張し、何をやってきたか? そういう過去の言動や失敗が全て無かったことになってる候補者や陣営だらけの気もするし。みんな、その場のノリだけで都合のいいことを言ってるようにしか思えないし。」

鼎「橋下さんなんて、企業献金廃止とか脱原発とか言ってたのに、正反対の考え方を持つグループと合併して、何がしたい党か分からなくなった感じがするよね。橋下さんは以前、立候補者を募集していた時に【自分の政策に共感できない人はいらない】とまで言って、企業献金廃止などの考えに共感できる人ばかりを集めたはずなのに、その直後に考えをひっくり返したりして、彼を信じてついていった人達が可哀想すぎるかも。」

愛原「選挙に勝つ為に数を集めるという発想は理解できるが、手段(選挙に勝つ)を優先した結果、目的を完全に見失ったという感じだな。」

逆沢「とかいって公明党や自民党のバラマキ路線も、今だけの幸福を優先する刹那的な麻薬でしかないしねー。」

愛原「地デジ化に伴って、去年までテレビが馬鹿売れだったが、その反動で今年のテレビ不況は致命的な水準にまで落ち込んでいる。同様に国債を大量に発行して一時的に景気を良くしても、景気の先食いにしかならないのは過去の歴史からも明らかなんだが。積極経済論者は大型公共投資を過去に何度も繰り返したからこそ今の日本があるというが、現実には景気が良くなって借金が減るどころか、借金は増える一方だし。小渕政権以降は、借金で借金を返す自転車操業すら追いつかなくなって、改革断行政権として知られた小泉内閣でも30兆円枠突破は避けられず、麻生政権時代には40兆円。今は50兆円だ。」

鼎「でもよくよく考えたら、【世界一の借金王だ】とはしゃいで世界最大級のバラマキをした小渕さんの評判は、2012年になった今でもほとんど落ち込んでないよね。今の経済悪化を招いた元凶ともいえる人なのに。当時の支持率も、就任当時は20%代だったのに、バラマキをした途端50%代に急上昇して、惜しまれて亡くなった気もするし。」

愛原「【未来の借金地獄よりも、今のバラマキ】という事なんだろうな。国民自体が過去に学ばず、未来にも無関心で、今だけが最優先という刹那的な心理になっているんだと思う。まぁ安倍のデフレ脱却という目標自体は高く評価するが。インフレは借金を減らす最大の特効薬でもあるからな。反面、自民公明あたりがニューディール政策を引き合いに出して大規模な公共投資を主張しているが、あれは許せん。ニューディール政策は、日本の高度成長期における東名高速道路や東海道新幹線の建設工事のように、それ自体が黒字を産み出す公共投資だったからこそ意味があったのであり、そうでなければ単なる【ぜいたくを維持する為の浪費】にしかならん。」

逆沢「ただ闇金ウシジマ君の世界に登場するあわれな人達もそうだけど、あの手の人は、自分が借金して得たお金の使い道を【ぜいたくによる浪費】とは絶対考えないからねー。で、結局、これが借金返済の元手になるんだと解釈してパチンコにつぎこんであっさり消費したり、自分磨きの為の投資とか英気を養うという名目で、お食事代とか風俗代に化けてあっさり消えて、後には借金だけしか残らないと。」

愛原「幸福の先食いをした所で、その分はいずれ利子も付けて返さねばならん。だが今までの幸福な時代を当然とか普通と思いこんでしまっているのが、今の日本人の不幸だ。今が普通とか当然と思いこんでいる限りは、今より不便で不幸な世の中に変わるのは耐えられないだろうから。」

鼎「ウチのコーナーでも、以前、【借金】をテーマにした時に触れたけど、世の中が変わっているにも関わらず、今の生活水準を維持しようとすると、借金で破綻しやすいみたいだよね。」

愛原「一般的に破産する人間は貧乏人と思われがちだが、これは必ずしも正しくはない。正確には元々裕福だった人間が貧乏になったにも関わらず、生活水準を落とせなかった人間の方が破産に追い込まれやすい。一方、元から貧乏な人間は、生まれたときから貧乏なりの生活を営んでいるから、さらに貧乏な状況に陥らない限りは、ほとんど破産する事はない。」

鼎「日本人は幸福の先食いで、本来あるべき姿以上に裕福な生活に慣れてしまってるから、こういう試練の時が訪れるとつらいよね。」

愛原「環境が悪化しても、新しい環境に素早く順応できる柔軟性があれば乗り越えられる可能性が高い。電気代が高くなると思ったら、素早くLED電球に変えるみたいなノリで。逆にそういうのを面倒くさがっていつまでも現状維持にこだわると、ますます負債が増えて、結局長い目で見れば自分の首を絞めることになる。」

逆沢「けど新しいものに挑戦するのは勇気が入るのよねー。今年の大河ドラマも、マンネリを打破しようとしてコケた感があるし。」

愛原「新しいものを軌道に乗せるのはなかなか難しい。たとえば石油燃料に依存しない電気自動車というものもあるが、現状では市場規模が小さすぎて、採算面や利便性でまだまだ現状のガソリン自動車には及ばない。また原発を含む新エネルギーも、一朝一夕には採算ラインには乗らない。経済的な言い方をすれば、黒字ラインにもっていくまでには、それなりの初期投資と時間がかかる。」

鼎「今の日本は、とにかく刹那的すぎて初期投資にコストをかける意欲が欠けていて、たとえば製薬業界などでも新薬の発明や特許の部分で欧米にどんどん遅れを取っていると聞くよ。エネルギー分野の投資に関しても、昔は日本が太陽光の分野などでは突出していた頃もあったらしいけど、今は太陽光以外の分野も含めてすごく研究開発の動きが鈍くて、そのシェアも他の先進国よりもすごく低いらしいし。」

逆沢「初期投資というか設備投資自体が、今の日本ではあまりふるわないらしいわね。冒険心がないというか、失敗する可能性があるなら現状維持の方がいいというか。」

愛原「要するに新しいものに関心を持つ意欲自体、今の日本人は乏しいという事だろうな。だから今年の大河ドラマのような新ジャンルの意欲作が出ても、ほとんど注目されない。そしてマンネリだと分かっていても、結局は既存のパターンの方が安定して売れると。」

鼎「マンネリの先には、先細りしかないと思うけど・・・。」

逆沢「今の日本人には新しいものに関心を持つ意欲が欠けているとして、その原因としては何が考えられるかな? やっぱり豊かな現状に慣れてしまった事が一番かな?」

鼎「日本人は昔から横並びを大事にして、自分だけが突出するのをすごく嫌うから、そのせいもあるんじゃないかなぁ? 現代の学校のイジメの過酷さも、日本は外国よりも陰湿で悪質と言われているし。少しでも他の人と違う所があれば、その人を集団で叩かずにはいられない空気というか。逆を言えば【みんな】にすごく弱いともいえるけど。」

愛原「まどかマギカにしてもツイッターにしても、【みんな】が関心を持つ事でブレイクしたともいえそうだ。【みんな】とつながれるコミュニーケーションツールだったからこそ、成功したともいえるというか。」

鼎「ツイッターなら、普通なら知り合いになれないはずの人とも対話できる可能性が広がるし、そういうのが人気の秘密かも知れないよね。」

逆沢「ツイッターにしろ携帯電話にしろ課金ゲームにしろまどかマギカにしろ、日本ではじわじわと人気が出てくるパターンよりも、一気にブレイクするケースの方が多そうだし、【みんな】のハートをつかむのが日本で売れ筋を考える上でのキーワードかも知れないわね。逆を言えば【作品の質さえ良ければ口コミでじわじわと人気が広がっていくはずだ】みたいなパターンは、今の日本ではあまり期待できないと。」

愛原「いつの頃からか、ブレイクという芸能単語がしょっちゅう聞かれるようになったが、日本ではじわじわ人気が出るパターンよりも、一気にブレイクするパターンの方が多い感じもする。ゲーム業界も初動がすごく重視される。政治の世界でも刹那的な言動やパフォーマンスが重視される。よく言えば、他人を信じやすい。世間の評判を信じやすい。悪く言えば、自分の頭で考えない。理由より先に結論が出やすい。雰囲気に流されやすい。」

逆沢「過去のコメントがどんどん奥にやられるシステム上、仕方ないのかも知れないけど、ツイッターや2ちゃんねるでは、どうしても即時反応が大事になっちゃうしね。誰かが好奇心に富んだコメントをしたとして、そのコメントの情報がウソかホントか裏を取ってたりするのに時間かけてたら、とっくにそのコメント自体が埋もれてしまって陳腐化してしまいかねないから。」

鼎「だからツイッターなどでは、どうしてもデマが拡散しやすいよね。裏を取るのに時間をかけてたら、リツイートやコメントの返信が間に合わない。だからとりあえず深く検証する前に相手の情報の価値を決めつけて、その上で即興で対応するしかないみたいに。」

愛原「今の日本人の刹那性とツイッターや2ちゃんねるは、すごく相性が良いのかも知れない。重要なのは情報の真偽や中身ではなく、とにかく刹那的に結論だけ先に決めつけてレスを返す。リツイートをする。そして過去の自分の言動に誤りや矛盾があっても気にしない。他人の過去の言動にも気にかけない(但し、自分が嫌う存在の過去の言動だけはいつまでも忘れないが)。そんな感じ。」

鼎「昔、安倍さんが総理だったときにKYという言葉がはやっていたけど、空気を読んで反応するというのが日本人の特質だとしたら、空気を読んで即レスしたりリツイートするシステムが日本人の好みと一致したというのも、なんか納得かも。」

愛原「ただ【空気を読む】風潮は、価値観の多様性とはどうしても相性が悪いからなぁ。上手くはまれば、AKB48やソーシャルゲームのように新しい流行としてブレイクする可能性もあるが、そういう成功例はあくまで一握り。埋もれていくだけならまだしも、潰れていく挑戦者があまりにも多すぎる。その結果、失敗するくらいなら挑戦しないという人を多く生む。俺としては、一握りの成功者だけが大ブレイクする世の中よりも、多くの挑戦者がほどほどに報われる世の中の方が理想なのだが。一部の成功者だけに富と名誉が集中する世の中よりも、多くの挑戦者が食べていける程度には報われる世の中の方がいいというか。」

逆沢「ま、戦時中の日本軍の奮戦とか、高度成長期の日本の成功の裏には、【みんな】が国家だの会社だのに忠誠を誓って価値観を共有しあえたという側面もあるから、価値観の統一性と多様性のどちらがいいかは良し悪し有ると思うけどねー。ま、統一性を重視した場合は、上手くいけばデカいけど失敗したらみんなそろって奈落の底というリスクもあるから、ハイリスク・ハイリターンだとも思うけど。」

鼎「日本人は【赤信号、みんなで渡れば怖くない】風の民族だから、たとえハイリスク・ローリターンが分かりきってても、みんながその道を選ぶなら、黙ってついてきそうな気もするけど・・・。」

愛原「結局の所、判断を単純化したがってるだけなんだよな。【みんな】が良いと言うなら、それは良いに違いない。【みんな】が非難するなら、それは悪い事に違いない。良いか悪いか分からない目新しいものには首を突っ込まない。じっくり読まなきゃ内容が分からない長文なんかは読みたくない。裏を取ったり比較したりするのは面倒くさいから、今、目の前にある一記事やワンツイートだけを参考資料に、全てを理解したつもりになる。シロかクロかだけをはっきりさせたがる。みたいな感じで。」

逆沢「物事を単純化して、とりあえず結論だけを先に出したがる世の中になっているのは、それだけ世の中自体が複雑になりすぎて、人々の思考が追いつかなくなっているのかも知れないわね。」

鼎「今回の有権者の反応を見ても、小難しい上、守られるかどうかも分からない公約の中身はどうでも良くて、【どの党に政権を取らせたら、自分達の生活が良くなるかだけが知りたい】という人は多そうだよね。知りたいのは問題の解き方とか判断材料ではなく、正解そのものというか。魚の釣り方でも魚の焼き方でもなく、調理済みの魚そのものが欲しいというか。その結果、目の前のおいしそうな臭いにとりあえず飛びついてしまうというか。」

逆沢「そうかと思えば判断材料となるはずの公約も出ない内から、何党支持とか結論だけ先に出してる人も多いしね。イメージや好き嫌いだけで結論を先に出すタイプも多そうというか。」

愛原「ま、だからこそイメージ戦略が大事になってくるんだろうけどな。マイナスイオンでもヒアルロン酸でも何でもいいから、とりあえずイメージを植え付けたら勝ちみたいなノリで。で、日本人は【みんな】が大好きだから、【売り上げNO1】などのかけ声がすごく利く。逆にライバル陣営を妨害するためのネガティブキャンペーンも有効で、選挙でも自党の公約の宣伝をするよりも、有力なライバル政党の悪口を叫び続ける方が効果があるともいわれているし。」

逆沢「ネットでも、自分が支持する党の公約を宣伝をするのではなく、嫌いな党の悪口ばかりツイートするような連中もいっぱいいるしね。Aの出来が悪いからといって、Bの出来がいい証明にはならないのに。」

愛原「イメージだけで人気が決まる。あるいは刹那的な利益だけで人気が決まる。将来性より即戦力。先行投資する余裕も、未知の分野に挑戦する余裕もなく、現状維持が精一杯。考える余裕すらないから、目の前にある情報だけを頼りに結論ばかり先に出す。今の日本のトレンドは、熟慮より即断。挑戦より保守。そんな余裕のない世の中になっているのかも知れない。」

鼎「そんな世の中だからこそ、じっくりと心に希望と余裕を持ち続けたいところだよね。」

愛原「ツイッターのリツイートやブログのコメントは、すぐ反応しないと間に合わないかも知れないが、投票日まではまだ十分余裕があるのだから、じっくりと一票を託す相手を吟味したいと思う。過去の発言や行動や政策に対する反省も全くない候補者や政党の主張は、その場のノリだけでもっともらしい事をツイートしまくる人達と同じで全く信用できない。温故知新の視点で当日まで迷いながら自分の頭で判断して投票したい。」

鼎「見た目にもイメージにも【みんな】にも心の奥底にある見栄や承認欲求にも惑わされず、現状を打破できる勢力。もしくは現状を打破しようとしないふがいない政権担当勢力にムチを入れられる骨のある勢力が増えるような選択を心がけたいよね。」









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