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愛原様のたわごと(12年12月29日)






愛原「今年の更新もこれで終わり。」

逆沢「ウチ的には、今年はたわごとコーナーだけの一年だったけどね。」

鼎「政権も再び交替したし、来年は今年よりも良い年になればいいよね。」

逆沢「しかし民主党が負けるのは予想できたとして、なんで自民党があそこまで勝てたのかねー? えーと、何議席増えたんだっけ? 倍以上になってたような気もするけど。」

愛原「衆議院全480議席の内、自民党が294議席。全議席中の約61%で余裕で過半数。ちなみ以下、民主党57(約12%)。日本維新の党54(約11%)。公明党31(約6%)。みんなの党18(約4%)。日本未来の党9(約2%)。日本共産党5(約1%)。衆院だけで政党要件を満たせるのは以上の計7党だな。」

逆沢「うーん。国民の過半数が自民党支持って事か? なんか私のイメージとかなりズレがあるんだけど。」

鼎「それは480議席中300議席を占める小選挙区制度がもたらした数字のマジックだよ。死票がほとんどでない比例の得票率を見ると、全然比率も変わるから。」

逆沢「参考までに聞くけど、比例の得票率で並べると、どんな感じになるの?」

愛原「上位から順に、自民党27.6%、日本維新の党20.3%、民主党15.9%、公明党11.8%、みんなの党8.7%、共産党6.1%、日本未来の党5.6%の順。」

逆沢「ちょっと待て。民主党、第3位じゃん。テレビでは今でも2大政党の一角の扱い受けてるみたいだけど、なにこれ?」

鼎「だから選挙制度がもたらした数字のマジックだよ。」

愛原「ちなみに政権交代ブームが起きて民主党が大勝利した2009年の時の比例の得票率を出すと、上から順に民主党42.4%、自民党26.7%、公明党11.5%、共産党7.0%、社民党とみんなの党がほぼ同率の4.3%と続く。」

逆沢「おいおい。前の衆院選って、自民党大惨敗で鳩山ブームの時だろが? 自民党の得票率、前回と今回でほとんど変わってないじゃん。」

愛原「でもこれが実態。要するに民主党に幻滅した層が、比例では維新やみんな等に流れただけ。自民党も公明党も共産党も、基本的にはほぼ横ぱい。小選挙区では1人しか勝てないのと、後援会に支えられた地盤がモノをいうから、自公か民主以外ほとんど勝ち目が無く、結果的に民主党に幻滅した層の受け皿になれるのが自公しかないから、自公に票が流れただけの事。実際問題、小選挙区では全300議席のうち、自民公明民主の3党で273議席(91%)抑えている。次に日本維新の党で14議席(約5%)。あとはみんなの党や共産党や日本未来の党などががぜーんぶ寄ってたかって計13議席。」

逆沢「ムチャクチャや。」

愛原「ま、比例制度自体は参院も含めると昭和時代から既に存在していたが、昭和40年代以降でも自民党単独では過半数割る状態になっていたくらいだからな。自民党の長期政権を支えたのは、有権者の判断以前に選挙ルール自体が主因と言ってもいいかも知れない。」

逆沢「ひどい選挙制度ねー。まぁゲリマンダーなんて言葉もあるし、与党が与党に都合がいいように選挙制度を改悪する流れは、世界共通なのかも知れないけど。」

愛原「ま、それはその通り。与党が与党に有利な選挙に改悪する傾向は、どの党が政権を取ろうと変わらない一種の宿痾なのかも知れんな。」

鼎「今の小選挙区制度を作ったのは非自民政権(細川内閣)の頃だし、その後比例枠を削ったのは自公政権だし、野田内閣も比例80削減を目指してたくらいだから、与党になったらどの党も自分の党が有利になるように選挙制度を改悪したがるものなのかも知れないよね。」

逆沢「仮に比例が80削減されてたら、どうなってたのかな?」

愛原「単純計算すると、公明党と日本維新の党は最大でも約3分の2以下の勢力に縮小。共産党は最大でも半減が精一杯で、全滅の可能性もある。そしてその分だけ自民党と民主党の議席占有率だけが相対的に上がる。」

逆沢「うーん。小選挙区は、まさに自民党と民主党の2大政党の為の選挙制度といえそうね。民主党の支持率なんかもはや第2位ともいえないし、自民党も本来なら過半数割ってるはずなのに。なにこれって感じ。」

愛原「ただ日本の場合は、外国と違って野党は与党の足を引っ張る事ばかりだからなぁ。東日本大震災が起きた時も、野党が法案通すなら菅降ろせとか散々ゴネて、復興予算案が何ヶ月も通らなかった事もあったし。だから安定多数を取りやすい小選挙区制にメリットが全くないとまではいえないのがつらい所ではある。世界的にみればアメリカ以外のほとんどの先進国では非二大政党制だし、当然ながら野党は野党なりに与党と協力する事もできるのが普通のなんだが。」

鼎「アメリカでも議会の与党と大統領の所属政党がねじれる事は珍しくないけど、それでも割合上手くやってると思うし、ねじれ状態でここまで混乱が続くのは、先進国では日本くらいだと思うよ。」

逆沢「それ以前に、日本は1年で首相が交代し続ける国でもあるからねー。みんな足を引っ張りまくる事しか考えないから。大臣も他国では考えられないくらいころころ替わるし。」

鼎「日本は人の良い所を褒める加点方式ではなく、人の悪い所を叩く減点方式が主流だから、支持率も落ちる一方の事が多いし、それで長続きしない事も多そうだよね。」

愛原「ま、大臣がころころ変わるのは、少しでも多くの議員に元大臣の肩書きをつけたい与党議員の思惑もあるだろうけどな。校長先生が毎年のように交替するような感じで。元校長となると、ハクもつくし、生涯収入も段違いになるかららしいが。」

逆沢「うーん。それにしてもひでえ選挙制度だと思うわ。郵政解散の時も鳩山ブームの時も今回も、あまりにも実際の政党別得票率と実際の議席占有率が乖離しすぎているというか。本当に誰がこんなクソ選挙ルール考えたんだと言いたくなるわ。」

愛原「という訳で今年最後のテーマは、ルールだ。」

逆沢「本当にどうでもいい話から、いきなりテーマが飛び出してくるわねー。まぁ今年も最後まで平常運転でしたって感じではあるけど♪」

鼎「ルールというと、交通ルールや選挙ルールから、ゲームルールまで色んなルールがあるよね。」

逆沢「ルールという言い方をすると、マナーとか常識とか慣習よりもずっと厳しいイメージになるわね。【〜しなければならない】という雰囲気にさせられるというか。」

鼎「ルールを守らなかったら、罰則が待ってる事も多いよね。あるいはルールを守る以外の選択肢が初めから用意されていなかったり。」

逆沢「コンピュータゲームのルールなんかは、ゲームのデータを開けて中身を改造するくらいしか、実質ルールを破りようがないしね。戦国SLGをプレイしてて【この武将の能力値が理不尽すぎる】とか【こんな内政システムは現実離れし過ぎて非常識過ぎる】とか【こんな魔法みたいな必殺技はありえねー】とか【この難易度調整ひでぇー】思っても、それがゲームルールなら仕方ないし。ルールが気に入らないなら、そのゲームのプレイをやめるくらいしか、普通のプレイヤーには選択肢が残されていないというか。」

鼎「スポーツの世界でも、理不尽なルールはたくさんあるよね。WBCも、対戦相手があらかじめ固定されてたり、メイン会場も毎回アメリカと固定されているし、主催者も固定されているから日本は金銭面で不利を被っているし、でもそれが嫌なら大会に参加しないくらいしか、実質選択肢がないというか。」

逆沢「【嫌なら大会に参加するな】も【嫌ならゲームをやめたらいい】も、なんか傲慢な感じがしてヤな感じだわ。」

愛原「まぁ【やめる】と選択肢があるだけマシだろ。選挙ルールとかは、そうもいかないからな。日本人をやめる訳にも人間をやめる訳にもいかないし。」

逆沢「【今の選挙制度や政治が嫌なら、選挙に行かなければいい】・・・・という選択肢は、さすがにまずい・・・かな?」

鼎「それはまずすぎるよ。選挙に行かなくても、税金は取られ続けるし、変な法律を作られたらそれを守らなくてはならなくなるし、景気や財政が悪くなればそのあおりも受けるから。」

愛原「プロ野球選手になりたいのなら、たとえ理不尽と思っても現状のドラフト制度も受け入れないとならない。希望の高校や大学に進学したいのなら、社会で役に立つかどうかも分からない古文漢文や受験英語や因数分解も勉強せねばならない。それがルールであるなら受け入れざるを得ない。ルールというのは、時に非常に理不尽なものだ。」

鼎「けどルールがない社会も怖いよね。たとえば交通ルールがもしも存在しなくて、赤信号も一方通行も制限速度も一切関係ないような世の中にしちゃったら、それはすごく怖いと思うし。」

逆沢「まぁそれは分かる。野球からストライクゾーンという概念を取り払うだけで、それはもう野球じゃなくなっちゃうしね。」

鼎「ルールは絶対に必要。でもそのルール自体に説得力とか公平性がないと駄目だという事なのかな?」

愛原「仮に野球を例にすると、たとえばボールの規格に関するルールは必要だ。しかし仮に【ウチの球団は既にホームラン数に関する記録を持っているから、その記録が永遠に破られないように飛ばないボールを新規格にしよう】という理由で、特定の球団が圧力をかけて飛ばないボールが新規格として採用されたらどうなるか? 明らかに大問題なのは分かるだろ?」

逆沢「お前は、どこかの球団をさりげなく皮肉ってんのか? でもまぁドラフト制度にしろFA制度にしろ、特定の球団の思惑通りに改悪される例がないとは言わないけどね。」

鼎「だからといってボールの規格を決めない訳にはいかないし、選手の雇用条件や契約条件もルールとしてあらかじめ明確にしておかないとまずいよね。ルールを決めないままという訳にはいかないし。」

逆沢「うーん。私もルールは絶対に必要と認めざるを得ないか。しかしそのルール作りの段階で、誰かが自分に有利なルールに変えてしまう可能性は常にあるって事ね。」

愛原「以前、河野太郎氏と二宮清純氏の共著を読んでいて、その中に【ルールとは何か】という項目があったのだが、そこにかなり興味深い対談が掲載されていた。日本人はルールを守る事が第一と考えるが、欧米人はルールを作る事を第一に考えるという趣旨の内容だったんだが。」

逆沢「つーか、政治家とスポーツジャーナリストの対談自体、あまり見ない組み合わせだけど、どういう対談になったの?」

愛原「たとえばアメリカでは大統領選挙が終わった直後から、次の選挙のルールを巡って各党が激しい駆け引きをすると河野氏が主張すると、二宮氏の方もオリンピックが終わった直後から欧米の各競技団体は次の大会に向けてルールの改訂作業に全力に取り組むと主張する。」

逆沢「要するに日本人は【決められたルールの中で全力を尽くす】事を美徳とするけど、欧米人は【ルールを改訂する段階で既に戦いは始まっている】と考えるわけね。」

鼎「そういえばアメリカでは、ロビー活動といわれる政治活動がすごく盛んらしいけど、やっぱり【法律という名のルールを変えることで、自分達に有利な社会を作ろう】と考える人達がすごく多いという事かなぁ?」

愛原「アメリカは建国当時から基本的に自己責任の国だ。アメリカが未だに銃社会なのも、理由の一つに個人の自衛権に対する高い意識がある。全てのアメリカ人には自分の身を自分で守る権利がある。その手段の一つが銃というわけだ。日本人は【国に守ってもらおう】とか【法律に守ってもらおう】という考えが強いから、その延長として【私はルールを守ります。その代わりルールを守る私を社会全体で守って下さいね。】となるが、アメリカではルールをも自分有利に作り替えることで自分の身を守ろうとしたがるというか、仮にルールが自分の不利な内容に改訂されたら。それは自分の政治活動が未熟だからであり、自己責任となりやすい。」

鼎「災害が起きた時に、特に国民性の差が出るよね。アメリカは自己責任の国だから、政府が必ず助けてくれるはずと過信はできない。そもそも国民皆保険制度もないので、病気や怪我になっても自己責任。他人や政府がアテにできないから略奪も起きやすい。アメリカ政府も略奪や暴動が発生しても当然というスタンスだから、食糧支援部隊よりも治安維持部隊を先に送り込む。日本は逆に、【ルールを守って略奪などもせず良い子にしていれば、政府はきっと私を助けてくれるはず】と考える。国民もルールを破って略奪などをする人間に対しては厳しいけど、ルールを守る人間だけはできるだけ守ってあげたいと思うし、政府も彼らを助けて当然と思いこむ。みたいな感じで。」

逆沢「思いやり予算などをちゃんと支払っていれば、アメリカはきっと自分達を守ってくれるはずというのも、日本人独特っぽい思想みたいだけどね。ルールや約束を守っていれば絶対に悪い結果にはならないと考えるあたりが、いかにも日本人気質というか。良い子にさえしてれぱきっと悪い人生にはならないはずと考えがちというか。」

愛原「外国は全然違うよな。何もせず大人しくしていると、自分を取り巻く状況は必ず悪くなると考える。だから積極的に行動する。他人が積極的に前に進もうとする以上、自分だけマゴマゴしてると必ず置いてけぼりを食らう。そう考える。だから政治活動も比較的熱心になりやすい。」

逆沢「そういえばアメリカだけに限らず、中国でもヨーロッパでも中東でも、大抵の国の民衆はデモも大規模に起こすし、割と積極的に政治活動を行なうイメージがあるわ。投票率も外国の方が大体高めのようだし。」

鼎「日本人は【誰が政権を取っても日本は変わらない】とあきらめ顔の人も多いけど、外国では【敵対陣営に政権を取られると、自分達に不利なルールに改訂されてしまうけど、逆に自分達が政権を取ったら自分達に有利なルールに変えることができる】から、それで積極的に政治活動に参加したがるのかも知れないよね。」

逆沢「【決められたルールの中で全力を尽くす】なんて言ってる日本人は、世界レベルでは甘ちゃんって事か? 少なくともルール作りの段階で、既に全力で勝負している人達と比べたら。」

愛原「そういえばルールに関してインターネットで興味深い格言があったな。出典は不明だが、【世の中には5種類の人間が居る。ルールを知らない奴。ルールを守る奴。ルールを破る奴。ルールの裏をかく奴。ルールを作る奴。書いた順番に弱い】というものだが。」

逆沢「あー、なんか見た事あるわ。3番目だけはちょっと引っかかるけど、後は私的には大体同意だわ。」

愛原「ま、【ルールを知らない奴】が最下位なのは同感だな。ストライクゾーンも知らない者が野球で活躍できるはずもないし、選挙ルールも知らない者が下手に立候補しても、何らかの選挙違反でアウトになるのは目に見えてるようなものだしな。」

鼎「どんな理不尽な内容であれ、ルールを知っているのと知らないのとでは大違いだよね。赤信号の意味も知らないで街に出たら、どんな惨事になるかくらいは、誰でも予測できることだし。」

逆沢「【ルールを守る奴】が下から2番目なのは、ルールを守ることが美徳の日本人気質の人からすると不快だけど、上2つと比べるとやっぱり不利なのは否定できないのかな?」

愛原「【ルールの裏をかく奴】の立ち位置は、かなり微妙だな。節税脱税が似て非なるものであるように、一歩間違えると【ルール違反して捕まるマヌケ】と紙一重でもあるからな。村上ファンドやライブドアの経営者がそんな微妙なラインで派手に立ち回ったあげく、結局捕まった事もあったが。」

鼎「けどゲームの世界でも、裏技とかハメ技とかバグ技といわれるような、ゲームデザイナーが想定していないプログラムの穴をついた攻略方法が発見される例は多いし、政治経済の世界でも、ルールの穴を突いて大もうけする人はたまにいるよね。」

愛原「政治献金に関する法律なんかは、どう見ても【抜け穴を故意に開けた状態】そのものの法律だしな。政治資金規正法自体は過去に何度も改定されてるけど、あらかじめ穴をどこかに確保した状態で改訂されるから、毎回理念とされる効力が絶対に発揮されないというか。」

逆沢「そして一番最強なのは、【ルールを作る奴】か。まぁこれは当たり前すぎるかな? だから外国ではロビー活動が当たり前のような状態になってるわけだし。」

愛原「【ルールの裏をかく奴】として成功して、後に【ルールを作る奴】に出世する奴も世の中にはそこそこいるようだな。」

逆沢「たとえばどんな感じで?」

愛原「とりあえず、速攻で頭に浮かんだのがジョセフ・P・ケネディと司馬懿の一族。ちなみにジョセフ・P・ケネディは有名なジョン・F・ケネディの父親で、株の空売りで大儲けして富豪となり、後に証券取引委員会の初代トップになって規制する側に回った人物だ。後に【金儲けとは法律で禁止されそうなことを法律で禁止される前にやることだ】という言葉を残したという逸話もあるらしいが。」

逆沢「ずるっ!! で、司馬懿の場合は? なんか私が三国志で知ってる範囲では、それっぽい逸話は知らないんだけど。」

愛原「三国志演義での記述はないが、史実準拠でいえば司馬一族は曹操らが始めた屯田制で財と権力を築いた一族だ。屯田制の利権を手中に収めて魏を乗っ取り、その直後に司馬一族は屯田制を廃止している。」

逆沢「屯田制の利権で国を乗っ取ったくせに、自分達が王様になったら、今度は臣下が屯田制を利用して私腹を肥やす前に廃止ってか。さっきの【金儲けとは法律で禁止されそうなことを法律で禁止される前にやることだ】と全く同じパターンというか、まさしくルールの裏をかいて出世して、自分がルールを作る側に回った途端、他人にその穴を利用させないように素早く穴自体をふさいでしまうやり方がエグすぎるというか。」

愛原「まぁ、だからといってルールの穴を、いつまでも放置しておくわけにはいかないからな。穴をふさぐ作業自体は正しいと認めざるを得ない。」

逆沢「まぁ、政治資金がらみの法律で絶対に穴をふさがないというか、仮に世論の圧力で穴を塞がざるを得なくなっても、その場合は別の場所に穴を開け直してから法律を改定し続けようとする今の日本の政界よりは、マシかも知れないけどねー。」

愛原「日本は国民が圧力をかけて政権交代させても、新与党が旧与党化するから、いつまでも政治が変わらない。自民党一党独裁に嫌気がさして細川連立内閣が成立したと思ったら、当時話題になってた機密費問題でいきなり【機密費はやっぱり必要だ】みたいな事を言って国民にうっちゃりをかまし、さらに与党にもっと有利な選挙制度に改悪する。与党に有利すぎる選挙制度で自分達がどれだけ長年苦しめられてきたかのかを忘れて、さらに与党に有利な選挙制度に改悪してすぐに政権奪還される。」

逆沢「自分達が貧しい時は貧しい人でも救われるような権利を要求し続けながら、自分達が貧しい人の支援を得て出世して豊かになると、一転して金持ちの味方をするようなものかな?」

愛原「まぁそれを言ったら、貧しい労働者の味方としてスタートした旧社会党系の労組も、今では派遣労働者や零細企業の社員よりもはるかに裕福な大企業の正社員と公務員が中心の組織になって、既存の労組自体が民主党系の貴族互助組織に変わってしまっている実態もあるし。貧しいものが裕福なものに変わったら、考え方自体も、貧しい者の味方から豊かな者の味方にシフトチェンジするのは自然なのかも知れんが。」

鼎「それで弱い者の味方としてスタートした人でも、権力を握ったら強い者の味方に変貌しちゃうという事かなぁ? だからどの政権も、自分達が与党(強い者)になったら与党(強い者)に有利な選挙制度をますます推進しちゃうと。」

逆沢「それでルールというのは、常に強者に有利なようになってるのかねー。プロ野球の世界でも、一番資金力も戦力もある巨人を中心にルール改正が行なわれて続けてる感じだし。」

鼎「ルールというのは本来、強い者も弱い者も公平な条件で勝負出来るように作られるものだと思ったけど、実態は違うのかなぁ?」

愛原「いや。アメリカの大リーグなどではウエーバー方式といって、弱い球団から順に独占交渉できる新人選手を指名できるドラフト制度になっている。弱い球団ほど有利に新人を採れるシステムにする事で、少しでも球団間の戦力格差を縮めようという配慮からだ。元々の戦力格差があまりに大きすぎると、プロ野球がつまらなくなってしまうからな。」

逆沢「格闘ゲームでも、各キャラの総合的な強さは大体拮抗してるしね。特定のキャラがあまりに強すぎたりすると、対戦がつまんなくなっちゃうから。」

愛原「公平なルールを採用する事で、人は前向きに努力できるようになる。もしもルール自体が不公平極まりないものなら、不利なスタートラインに置かれた者は、初めから人生を諦めかねないし、そういう人間が増えると、犯罪者予備軍すら増やしかねん。格闘ゲームでもしも特定のキャラがあまりに強すぎるとどうなるか? それと同じでバランスを欠いた社会システムでは、諦めたり腐ったりする人を増やす要因にしかならん。」

逆沢「そうでなくとも日本人の場合は、ルールは守るべきという美徳が強いから、そのルールの信頼性自体が揺らぐと、色々ヤバい気もするし。」

鼎「選挙の投票率が下がる一方なのも、選挙ルールの信頼性が揺らいでるせいじゃないかなぁ。選挙に行くことで世の中が良くなりそうなら選挙に行こうって気にもなるけど、そうじゃないなら選挙に行く意味もないって感じで。年金制度も信頼性が全然無くなってるから、それで未納率も高まる一方の気がするし。日本人は信頼できなくなると、単純に諦めと見切りに走るから。」

愛原「民主党は、副作用も恐れず公約した改革は断行すべきだったな。良くも悪くも政治は変えられるということを国民を見せつけるべきだった。外国の場合は、政権交代する事で今まで損してた人が急に報われたり、逆に今まで既得権益を享受していた人がいきなり失業する事も有りうるから、否応なく自分の為に働く政党を真剣に応援するようになる。日本の場合は、どこの政権が担当しても結局大して変わらないから、【誰がやっても同じ】と考えて投票率がどんどん下がる。」

逆沢「アメリカでは政権が交替する度に、公務員の顔ぶれすら変わるからねー。日本が変われないのは、公務員の身分保障なんて概念に縛られた官僚システムが元凶のような気もするわ。そういう所はもっとアメリカを見習えとも思うけど。」

鼎「【今の制度やルールが気に入らないなら、なんでルールを変えようとしないのか?】とは私も思ったかも。ただ諦めてるだけって、それも無気力すぎるというか。そういう所も外国の人からもう少し見習うべきかもとは思ったかも。」


愛原「日本人の場合は、真面目(ルールを守ること)が取り柄の若者が挫折すると、ルールを変えるべく戦うのではなく、人生諦めたりニートになるケースも相当多そうな気もする。ルール依存症が強すぎるというか。【アメリカに従順な良い子で居続ければアメリカはきっと日本を守ってくれるはず】と同種の思い込みだが、有事に際してその思惑が外れた時、日本人は果たして自分の足で立って戦えるのか? 現状では無気力症候群に陥りそうでかなり不安だ。」

逆沢「そうでなくとも、欧米勢の感覚で言えばルールは戦って勝ち取るものという感覚が強そうだから、日本人の悠長な感覚のままでは、TPP交渉とかでも日本に著しく不利なルールで決着しかねないような気がするわ。」

愛原「日本人はルールを真面目に守る意欲は強いけど、ルール作り争いを制す意欲には欠けるところがあるからなぁ。上に取り上げた河野氏と二宮氏の共著にも、日本人はルールを変えたがらないという旨の指摘が掲載されていたが、全く同感だ。」

鼎「日本人はルールを変えて戦う事よりも、ルールの中でどう戦うかを考えがちで、そうこうしてる間にルール自体がどんどん自分達にとって不利なものに変えられていくとしたら、これはすごく大変だよね。」

愛原「だから外国人の多くは、積極的にルールを変えようとする。ある意味【殺らなきゃ殺られる】世界にいるからだ。【(有利に)変えなきゃ(不利に)変えられる】世界ともいえるかも知れない。」

逆沢「【殺らなきゃ殺られる】って、いかにも銃社会的発想ねー。」

鼎「逆に日本は【失敗するくらいなら何もしない方がいい】と考える人もいるくらいの減点社会だよね。ルールを変えて悪くなる可能性があるなら、ルールを変えようと思わないという心理もやはりあるのかなぁ。」

逆沢「それはあるかもねー。ただ民主党の場合は、改革のやり過ぎで瓦解したのではなく、改革をするという約束を踏み倒して瓦解しちゃったから、どっちが民主党にとって良かったかは断定できない部分もあるけど♪」

愛原「俺は問題点が見つかれば、可及的速やかに改めるべきだと考えているからルール改正には元々前向きな方だと思っている。少なくともバグが見つかったのに、そのまま放置したいとは思わない。つーかゲーム作りを趣味にしているだけあって、ルール作りも基本的に大好き人間なので、【あの法律をこう変えたら】とかそういう発想をするのも結構大好きだ。ゲームパラメータを少しいじるだけで、新しいメリットとデメリットが発生することも珍しくないが、そのバランスを見極めながら修正点を見いだす作業とかな。」

逆沢「強者が自分の都合のいいルールに変えようとする欧米流の風潮についてはどう思う?」

愛原「シムシティーを遊ぶ的な神の視点でルールを考えるのが好きな俺としては、自分を有利にするのが目的の私利私欲にまみれたルール改変は全く好みではない。いわゆるロビー活動的なものも好きになれないが、日本でも日本医師会とか建設業界などは、それと全く同類の働きかけを続けているようだが。」

鼎「そういうロビー活動をする利権団体を排除するためには、自分達も負けずにそれ以上の政治活動をするしかないと思うけど、これはどうかなぁ? だまって見ていても、利権団体がロビー活動をやめる訳がないし、むしろ積極的に献金したり票を融通したりする人達の思惑通りに、ルールが改悪されちゃうだけだと思うし。」

逆沢「生活保護問題でも、新厚生大臣が4月からの引き下げも検討してる一方で、生活保護受給者の医療費の自己負担導入には反対姿勢みたいだしね。これも医師会の圧力がかかってるような気がするし。逆に一般の生活保護受給者は、貧しくて政治献金なんか全然してないだろうから。」

愛原「生活保護費の総額は年間約2.8兆円。うち生活扶助費は約1兆円。残りの1.8兆円は、医療費の公費負担などに消えている。人間というのは自己負担が1割でもあると、(貧しい人ほど)病院にもなかなか行きたがらないが、タダだと全然遠慮しないし、病院側も公費負担分は踏み倒される可能性がないから、過剰な医療を施して薬もバンバン出したがる。で、生活保護で恒常的に暮らしている患者の中にも過剰に睡眠薬などを入手しては、闇で売りさばいて副収入にしたりもうメチャクチャ。少なくとも本来の生活扶助費(約1兆円)をはるかに上回るお金が、医療界や闇社会の利権に消えている点くらいは憶えておいた方がいい。」

逆沢「うーん。政権交代して日本でもいきなりロビー活動と利権政治復活か。日本人はもっと【誰がルールを決めているのか?】の構図について、もっと真剣に関心を持たないと、ますます一部の悪人達によってルールが歪められかねない事を自覚しておかないと駄目かもね。」

愛原「【誰がやっても政治は変わらない】なんて悠長に達観している内にも、すばしっこい連中はルールをどんどん変えている。自分達だけにとって都合のいい形にな。そういう連中に対して【ルールを変えるな】と言っても無駄であり、相手が我欲を満たすために行動力を惜しまないなら、こちらも負けずに行動するしかない。」

逆沢「こっちにはカネもヒマもない不利はあるけどね。まぁだからといって、不利だから最初から諦めるでは話にならないだろうけど。」

鼎「口で言うのは簡単だけど、具体的にはどういう行動や心構えが必要かな?」

愛原「たとえば誰だって仕事をしていて【俺だったら、ここを変えてもっと効率的に業務をこなすのに】とか、ゲームをしていて【俺ならこの部分の仕様を変えてもっと面白いゲームにできるのに】とか、野球を観ていて【俺だったら、ここで代打を送るのに】とか、考える事はあるだろ? その延長線だ。ルールをどう変えたら今より世の中が良くなるかを日頃から考える癖をつける。そして【どうせ駄目だ】と諦めず、とにかく変える意志を持ち続ける。ゲーム作りもルール作りも一朝一夕にはいかないが、時間がかかることを承知であせらず腐らず志だけは持ち続ける。とにかく現状維持だけは絶対に選択しないという強い意志を持ち続ける。諦めたらとにかく終わり。諦めて良い子にしてたら現状より悪くならないと思ったらとんでもない話で、諦めて他人の決めたルールの虜になったら、ますます自分を取り巻く環境は悪い方向に変えられていくと思った方がいい。

逆沢「相手の要求を丸呑みしていたら、コイツはどんな安値で買い叩いても、黙って従うだろうと足元みられるだけだと思うわ。」

愛原「世の中には理不尽な事はたくさんあるが、おかしいと思ったら【それがルールなら守るべきだ】で終わるのではなく、どうやったらそのおかしなルールを改められるか?を考えるようにしたい。人はルールの奴隷ではない。ルールは人が作ってるんだ。そしてルールが社会に必要であるからこそ、みんなが信頼できるルールに変えていく必要があると思う。ルールを盲目に信じて、結局裏切られて、無気力になったり自暴自棄になるなんてのは最悪の末路であり、そうじゃなく自分の力で納得できるルールを模索していく。青臭くとも、【昨日よりより良い明日にするために、ルールをどう改善していくか?】を常に考えられる人間でありたい。従順で当たり障りもないけど自ら積極的に現状を切り開くための努力はしない真面目系クズという名の無気力な奴隷で終わりたくないとも思う。」












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