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愛原様のたわごと(13年7月28日)






愛原「【ひとそれ】は超能力を扱う作品であるが、超能力と一口に言っても、その範囲は幅広い。」

逆沢「まぁ、それはしゃあないわ。架空の能力だし、その気になればその範囲は無限大だし。」

鼎「メジャーな超能力の種類としては、増幅系(探知系含む)・変質系(生成系含む)・移送系(召喚系含む)などがあげられるかな。架空の概念でありながら、読み手にイメージさせやすく、かつSF設定的にも比較的説得力を持たせやすいという事で。」

逆沢「増幅系一つとっても、身体能力を増幅させれば単純に力仕事や戦闘に有利になるし、物体の硬度や密度をいじれば、その物体を多目的に使えたり、あるいは逆に無力化もできるし、第六感なり察知能力なりを増幅させれば探知能力が上がるし、応用次第でかなりの事ができそうだしね。」

愛原「今回はそのメジャーな超能力ジャンルの一つである【予知・予測】を取り上げたいと思っている。」

逆沢「未来を観る能力か? まぁノストラダムスの時代よりもずっと前から、そういうネタはメジャー過ぎるわね。いや、占い師とかシャーマンといわれる存在は紀元前からいるし、ある意味、最も古くから知られてる超能力ジャンルといってもいいかもね。」

鼎「何千年も前から、人類は未来を知りたいと思い続けてきたという事かな?」

逆沢「未来を知りたいというよりは、正解を知りたいのかもね。仮にAという行いをした結果、不幸になる事が予知できれば、人はAという行いを避けようとするでしょ。逆にBをする事で思わぬ幸運が舞い込むと予知できれば、人はBを選択したがるだろうし。特に判断の成否が国や一族の存亡すら左右する軍事部門では、古代から中世では意外な程、占い師が幅をきかせていたという話も聞くし。」

鼎「日本の戦国時代でも、本来の軍師像は占い師というか祈祷師というか、そういう側面もあったと聞いた事があるよ。緻密なデータなどに基づいた近代的な軍師像が確立したのは、意外と最近なのかも知れないね。」

愛原「スポーツ選手でも、いわゆるゲンをかつぐ人はいっぱいいる。勝負師といわれる者ほど、科学を超越したような何かにすがる一面は、意外と存在するのかも知れん。」

逆沢「【こうすれば勝てる】とか【このままいくと破滅的な未来が待っている】とか【ここに行けば素晴らしい出会いが待っている】とか【この余計な一言が命取りになる】とか、そういうのが事前に予測できれば、これほど心強い事はないからねー。まぁ人が、予知予測という概念に惹かれる気持ちはすごく分かるわ。」

鼎「でも、うちの【ひとそれ】では、予知能力はほとんど登場してないよね。強いて言えば鈴木さんのディテクトハザードくらいなものというか。」

愛原「ディテクトハザードは、厳密には増幅系(探知系)の延長だ。動物的な超感覚で敵意を持っている相手の接近を早期に察知したり、相手の軌道を読んでこの方向からこの種類の攻撃が来るだろうと分析したりみたいな感じの延長。プロ野球選手でも、ピッチャーの腕や肘や手首の出方を見るだけで、投げる前から球種を事前に読む例は多いが、まぁそれを直感部分も含めて強固にした感じか。」

逆沢「漫画の世界では、一見無害そうな人の殺気を即座に見破ったりするキャラもいるけど、あれも超感覚的だけど、非現実的とまではいえないけど、そのようなものかな?」

愛原「過去の経験や第六感などから、その場の空気だけで【この人間は信用できない】とか【ああ、彼は私に対して怒っているようだ】とか感じる事は、誰でもあるだろ? 科学的・論理的にそう感じた理由を説明するのは難しいけど、それでもそう直感できる状態の時というか。人間は誰しも、そういう超感覚を持っている。超能力ではなく超感覚を。そして動物の中には、人間の数十倍の超感覚を持っているものもいる。」

逆沢「もしかしたらアスペといわれる人は、この超感覚が不足しているのかも知れないわね。だから【怒っている相手】に気づかなかったり、あるいは誤った思い込みをしてしまったり。」

鼎「アスペルガーの人は、その代わり常人を上回る論理力がある人も多いらしいよ。それは多分、超感覚で相手の感情を読めない分、科学的論拠や論理的根拠に基づいて相手の感情を読む事でそれを補おうとしているのかも知れないよね。」

愛原「目の見えない人は、そのハンデを補う為に、聴覚や触覚を常人の何倍も発達させているようなものかも知れんな。俺たちが両目を閉じたら、多分最寄りのバス停にたどり着く事も不可能だが、目の見えない人達の中にはその超技をやってのける人もいるような感じで。」

鼎「人間には現代科学で証明できないような、不思議な能力がまだまだ秘められているのかも知れないね。その場の空気だけで相手の感情を読んだりできるような感じで。」

愛原「だが未来予知とまで行くと、それは超感覚ではなく超能力そのものだ。投手の腕の動きから球種を事前に読むとか、過去の統計からこのカウントの時に投手がカーブを投げてくる確率は70%とか、そういうのならばデータや統計から導いた予測そのものだが、予知は違う。」

鼎「予測の【測】は、はかるって意味だし、何らかの科学的・統計的・傾向的・経験的根拠が根底にありそうな時に使われるけど、予知というと、本当に超常的なイメージがあるよ。」

逆沢「そう考えると、予知と予測は、本来は全然別物かも知れないわね。」

愛原「多分、全然別物だろうな。だがそれが混同される理由の一つとして、占い師が予測したものを、あたかも予知したものであるかのように公言する傾向が過去に多く見られた事にありそうとは感じる。」

逆沢「つまり、本当はちゃんとデータなどに基づいて判断しているにもかかわらず、そういう事実は一切伏せて、神のお告げとか、訳の分からない理由を背景に判断したと振る舞うって事か?」

鼎「諸葛亮さんがもしも、本当は気象データに基づいて間もなく東南の風が吹くだろうと予測できていたにもかかわらず、その事実を隠していかにも神かがり的な祈祷行為で東南の風を吹かせた演出をして実際に東南の風が吹いたりすれば、本当に諸葛亮さんが超常的な能力の持ち主のように、周りは感じちゃうかも知れないよね。」

逆沢「ああ、そう考えると、戦国時代までの軍師の実態も見えてきた気がするわ。本当は科学的なデータや隠密からもたらされた秘密情報などに基づいて軍略を練っているだけなのに、その事実は伏せて、あえて超常的な能力者を装ってただけに過ぎないと。」

鼎「でもなんで彼らは、自分たちが知将である事を伏せて、祈祷師のように装いたがったのかな? 普通に論理的に説明すればいいと思うのに。【ここに伏兵を置けばいいと神のお告げが出ている】ではなく、【過去のデータでかくかくしかじかだから、敵がこの時刻にこの場所に現れる可能性が高い。かつ敵がこの場で伏兵対策を用意できる状況も、かくかくしかじかの理由でほとんど考えられない。よってここに伏兵を置くべきだ】と説明した方が、周囲も納得させやすい気もするし。」

愛原「うーん。神の権威が薄れた近代以降ならともかく、古代でそれは厳しかったのかも知れん。【私はこうだと思う】と主張するよりも【これは神のお告げである】と言った方が周囲に対する説得力や影響力が全く違ったというか。そしてそのお告げ(?)通りに物事がうまく進んでいった場合、その発言者は間もなくシャーマンとして尊崇され、卑弥呼のような存在に祭り上げられていくみたいな感じで。」

鼎「それに少しだけ似た例を、以前、漫画のクロサギで見た事もあるよ。新興宗教の教祖の人が、その人の個人情報や過去や悩みなどを次々と言い当ててしまった事で、言い当てられた人が【この人は神がかってる。すごい!】みたいに感動して、次々入信しちゃう話。もちろんその教祖の人がその人の過去や悩みや個人情報を言い当てられたのはちゃんとトリックがあって、事前にその人の事を色々調べてたからなんだけど。」

逆沢「本当はデータを前もって集めてただけなのに、その事実は一切伏せて、いかにも超常的に予知してみせたように装う事で、自分がいかにも神かがった人と相手に思わせるパターンね。そういうのも。」

愛原「それを応用すれば、ピッチャーの微妙な腕の動きだけで球種を事前に予測できるバッターも、意外と占い師を名乗れるかもしれんな。」

鼎「昔、Mr.マリックというマジシャンが超能力を装って(無論、彼の場合はネタとしてだけど)色んなマジックを披露してたけど、トリックさえバレなければ、どんなマジシャンも、占い師や神の代理人のふりをできたかも知れないよね。特に中世以前の場合は。」

逆沢「現代でも、朝原○晃の空中浮遊みたいなマジックが、あたかも神の奇跡であるかのように宣伝された例もあるし、マジックを超能力と誤認させる力くらいはあるかも知れないけどね。最近でも、色んな偉人の言霊を代弁できるとされる某教祖が、新政党立てたりしてるけど♪」

鼎「こうしてみると、古代のシャーマンも、中世の軍師も、現代の新興宗教教祖さんも、みんな考えてる事は同じなのかも知れないね。本当はちゃんとした理由に基づいて予測しているだけなのに、それを超常的な予知であるかのように装うことで、特定の人達から特別な尊敬を受けるという構図は。」

愛原「その通りかも知れん。数年前の新春番組で【今年のプロ野球のセリーグはどこが優勝するか?】を番組曰く著名(?)な占い師達に予知してもらった結果、そろって巨人ばかりだった時なんかは、さすがに失笑した。前年度、巨人が圧倒的な優勝をしていたからだろうけど。」

逆沢「あはは。シロートでも予想できそうだわ。」

鼎「どうせならパリーグの優勝予測をして欲しかったのに。そっちの方が予測も難しいだろうから。」

愛原「去年のパリーグの順位予想は、プロ野球解説者の目線ですら、完全に予想を外すようなひどい有様だったらしいな。こういう記事を読むと特にそう感じる。」

逆沢「こいつはひでえっ!! プロの解説者が30人近く寄ってたかって、全員が1位と6位を外すとか?!」

鼎「こういう誰もが外すような予想をうまく当てた人こそが、ネットでもと呼ばれたりするのかな?」

愛原「古代でも神の代理人として、シャーマン扱いされるのかも知れない。中世なら軍師になれる見込みありかもな。」

逆沢「そのせいか、現代でもことさらに自分の先見の明をやたら吹聴したがる手合いが後を絶たないわね。【どうせ○○に決まってる】とか【○○になるのが目に見えている】とか【犯人は○○に違いない】とか。で、その願望やいい加減な見識に基づくテキトーな予想がたまたま当たったら、【それ見ろ。俺の言う通りなったじゃないか】とか【俺は前々からそう言っていたはずだ】みたいな口調で何度も何度もしつこくそれをアピールしたがる手合いとか。」

鼎「でもそういう人に限って、自分が間違った予想をした時は、一切その件に触れないよね。下手すると、自分が過去にそういう予想をした事自体を完全に忘れていたりとか。」

愛原「たとえば黒田総裁が異次元緩和に踏み込んだ時、ほとんどの経済学者が国債金利の上昇を懸念するコメントを出す中、(何らかの介入をしたのだと思うが)その直後だけ不自然に金利が逆に大幅に下落して、一部のネット民達が経済学者らを批判する書き込みをした事があった。だが(介入による効果は一時的な効果を生まない事もあってか)その後の結果は、見ての通り。あの不自然な下落をしてみせた時が過去10年でもピークで、福田総理政権頃から野田政権頃まで続いた金利の流れは反動し、大半の経済学者が予測した通りの上昇に転じた。だが当時、経済学者らを批判する祭り騒ぎをしたネット民の内、どれだけの人間がそれを反省するコメントを出しているか? 全くといっていい程見られないよな?」

鼎「自分の予想が当たったのがたとえ全体の中のほんの一瞬であっても、その一瞬の正しさを大きく宣伝するし、逆に大半が間違いだらけでもその部分については一切触れたがらない傾向がよく分かるよね。」

愛原「この点については、山本弘氏もニセ科学を追究する趣旨の著書で分かりやすく触れている。いわゆる自称予知能力者がよく使う手の一つだと。」

逆沢「鼎がクロサギに登場してたニセ宗教家による予知のカラクリについて触れてたけど、他にもパターンがあるって事?」

愛原「うん。クロサギのパターンだと、自称予知能力者は事前に調べて分かっている事を、あたかも予知しているかのように振る舞うパターンであり、誰でも真似られる手口ではない。マジシャンのマジックや諸葛亮の演出に、タネやトリックがあるのは分かっていても、そのタネやトリックの中身まではそう簡単には分からないようなものというか。で、だが山本氏の触れるパターンは、もっと単純で誰でもできるものだ。すなわち、【予想が当たった部分だけ大きくアピールする】という手口はな。」

逆沢「ネットでも誰でもやってる手口だしね。自分の予想が外れた部分には一切触れず、たまたま当たった部分だけをドヤ顔でしつこいくらいアピールする手口というのは。」

愛原「たとえばパリーグの全球団が1位になるという順位予想を記したブログを事前に6種類(6球団あるため)用意しておく。で、仮に日本ハムが優勝した場合は、日本ハムが優勝したと書いたブログだけを公開して、【私はこの通り、昔から日本ハムが優勝すると予知していた】と言えば良い。もちろん他の5種類は未公開のまま、こっそり削除してしまえばOKだ。」

逆沢「なるほど。当たった部分だけ公開するという手口ね。」

愛原「あるいは我がクラスの中で、サイコロで2回連続で狙い通りの目を出せる超能力者がいると事前にアピールしておくみたいな手法もある。でも冷静に考えたら、2回連続で狙い通りの目を出せる確率は36分の1だから、40人近くいるクラスなら、64%以上の確率でそういう能力者(?)が出てもおかしくないけどな。」

逆沢「そういうのは簡単な確率論を知ってる人間からすれば、超能力どころかマジックですらないけどね。」

愛原「ところがそれが大まじめにニュースになってしまう事もある。前回のワールドカップか何かで、勝敗予知確率100%のドイツの水族館のタコとやらが日本でも報道されたが、こんなもの確率的にみればなんてことは無い。仮に世界中の動物園なり水族館なりで似たような事をやったら、世界のどこかで似たような事はほぼ必ず起きる。40人どころか数万人いるクラスからならば、5回連続で狙い通りの目を出せる奴が何人か出てもおかしくないようなものだからな。」

逆沢「その確率的にみればなんでもない事を、たまたまやってのけた人なりタコなりが取り上げられて、全世界ニュースになってしまっただけって話ね。」

愛原「宝くじで1位当選をする確率は極めて低いが、でも誰かは当たってもおかしくない。で、そのたまたま当たった人を超能力者だともてはやしているようなノリだな。正直なところ、どんなバカ人間でも、100も予想をすれば、1や2は大穴予想を的中させてもおかしくない。で、そのたまたま当てた大穴予想の部分だけを大きく宣伝してみせる手口について、山本弘氏は著書で触れられている。」

逆沢「ネットでも、たまにいるわね。厨二病丸出しの凡人の予想を裏切るような逆張り予想ばかりしてみせて、で、逆張り予想がたまたま的中した部分だけをしつこくアピールしたがる手合いってのは。」

愛原「順張りで予想を当てても誰も感動してくれないが、逆張りで予想を当てたら(自分と同じ予想をしてみせた人間の方が少数という事もあって)他者から尊敬を得られる可能性が高くなるからな。」

鼎「でも10の内の1を逆張りで当てても、残りの9を外してたら、その人はただの大穴狙いの賭博師でしかないよね。競馬なら、当選したときの快感が忘れられなくなって最終的に一番身を滅ぼしやすいタイプというか。」

愛原「この手の詐欺師は、実際には10の内9を外していても、その9の部分については一切触れず、当たった1の部分だけをアピールするのが特徴だ。ネットでもいっぱいいるだろ? 他人が予想を間違った部分と自分が予想を当てた部分だけをしつこくしつこくアピールして、その逆の部分については一切触れないタイプとか。上にあげた黒田総裁の時のエピソードの時もそうだし。」

逆沢「まー、気持ちは分からなくも無いけどね。誰も好き好んで自分のウイークポイントをさらしたいとは思わないから。」

愛原「だが確率的見地で言えば、この手の逆張り予知屋は、一番信用できないから要注意だ。」

逆沢「ん? なんで?」

愛原「たとえば○×クイズを当てずっぽうで答えて、正答できる確率は平均何%だ?」

逆沢「50%ね。小学校高学年以上なら誰でも分かるわ。」

愛原「つまりどんなバカが予想しても、最低50%の平均正答率があるのが○×クイズという事になる。問題が簡単であったり、回答者が賢ければその平均正答率は、50%より上にしかならないからな。」

鼎「つまり○×クイズ的な二者択一の予想なら、賢い人なら100%近い正解率になるだろうし、そうでない人でも正解を知ってる問題が2割でもあれば平均60%の正解率にはなるし、逆にどんな馬鹿な人でも平均50%くらいにはなるという事だよね。」

愛原「そう。ところがみんな(多数派)と常に逆の選択肢を選び続ける逆張り予想屋の場合はどうなるか? 平均正答率が70%の○×クイズなら、平均30%しか当たらない。簡単な問題ばかりなら平均正答率90%の中、自分だけ10%という事にもなりかねないし、逆に難問だらけでも、回答者のたとえ1割でも秀才が混じっていれば平均正答率は52%くらいにはなってもおかしくないから、その場合の逆張り予想屋の正答率は48%程度にしかならない。つまりどうやっても50%を超える事はできない。」

鼎「つまりみんなの言う事の反対ばかり予想する人は、平均トータルでいえば【どうしようもないほど馬鹿だけど順張り】な人よりも、さらに下の正解率しか出せない可能性があるって事だよね。」

愛原「そう。逆張りの予知というのは、当たればみんなに注目されるが、本来はかなりリスキーなものだ。」

逆沢「だけど順張りの予知をして当てたところで、誰かに注目されるわけでもないからねー。巨人の優勝を予想して巨人が優勝した所で、それでスゴイなんて事には絶対ならないし。」

愛原「だから歴史に残る活躍した名軍師などは、奇策で有名になっても、それ以外の戦でも手堅い戦果を上げているものだ。要は逆張りを選ぶ機会をどう見抜くか。たとえば織田信長は桶狭間の戦いで有名になったが、だからといってこれに味を占めて奇襲攻撃マニアになったかというと、そんな事は絶対にないわな。でも桶狭間の戦いで奇襲を選択しなければ、やはり天下人としての織田信長の未来は無かったように思われる。つまり順張りだけでもダメだし、逆張りだけでもダメだという事。」

逆沢「競馬の世界でも、それは言えるわね。たとえばスポーツ新聞に載ってるような本命ばかりに賭けた結果、全体で黒字になる事はほぼ絶対に無いし(それで黒字になるようなら、みんなスポーツ新聞買って、その指示に従って馬券を買いあさるに決まっている)。でも大穴ばかりに賭けたら、もっと早く破産しかねないし。」

鼎「だからここぞという場面だけ、大穴に賭ける必要があるって事かな? で、そのここぞの場面で勝てる人こそが、シャーマンと呼ばれたり名軍師と呼ばれたりすると。」

愛原「多数派に常に合わせるような順張り路線マックスの人が、他人を出し抜く成功を収める事はできない。それでは大多数の人と変わりないからだ。だが逆張りオンリーでも【馬鹿だけど順張り】な人よりも下になりかねない。いつ逆張りに挑むか? これが肝心なのかも知れない。」

逆沢「ただその【ここぞの場面】を見抜く目が、私達凡人にはないからねー。残念なことに。」

愛原「それは同感。だからこそ正しい予知・予測ができる人は紀元前の頃から重用されるし、尊敬もされる。」

鼎「古代ならちっぽけ人間の見解に基づく予想よりも、神の権威に裏付けられたような予知の方が価値があったかも知れないけど、現代では科学や論理に基づいた予測の方が好まれる気はするよね。」

逆沢「当たればどうでもいいって人も、案外多そうだけどね。天気予報のメカニズムなんかどうでもよくて、要は当たればそれでいいみたいな人も多そうな気がするし。だから降水確率の意味すら勘違いしてる人もたまにいるらしいし。」

愛原「選挙予測のように、判断自体が難しいものもあるしな。選挙予測を見た有権者が【この候補に票を入れても、善戦はできても当選は絶対不可能だ】と判断した結果、その候補者への票がさらに減って、結果的に供託金まで没収されるような大惨敗になったり。あるいは【本命候補は余裕で当選確実っぽいけど、このままでは不快なこの候補者も当選してしまう】と考えた有権者が、その候補の当選を妨害する為に本命候補ではなく不快な候補の次に有利な候補に票を入れるように判断を変えたり。」

鼎「一種のタイム・パラドックスだよね。駅前で車にはねられるという未来を予知したとして、じゃあ【その予知通りの結末を回避する為に家に引きこもっていたらどうなるか?】みたいな感じで。誰かが予知・予測した結果、そういう未来を望まない人が、意図的に行動や判断を変える例は珍しくないだろうし。」

逆沢「ファンタジーの世界では【一度予知された未来は、どうやっても覆らない】説を採用している作品も多いみたいだけどね。予知された未来が回避可能なものだったら、その予知は100%という事ではなくなって、価値が激減してしまうから。」

愛原「現実世界でも、選挙予測にしろ株価予想にしろ、一度予知・予測・予報・予想されたものは、常に正解であるべきという空気は感じなくもない(だから予測や予想が外れる度に、それを叩いたりする人は必ず出る)。実際にはその予測を見た大衆が、その予想された結果を嫌がって、意図的に判断を変えてしまう事も多いし、その結果、予測と正反対の結末になる事も珍しくないのだが。」

鼎「その点から考えると、新聞社などの選挙予測の正確さはスゴいの一言に尽きるよね。マスコミアンチの人はそうは思えないかも知れないけど、統計的見地からすると、ものすごく当たってる事の方が圧倒的に多いから。」

愛原「俺から見ても賞賛に値するくらい正確というか、だからこそ怖い側面もある。【一度誰かに予知・予測された結末は、どうやっても変えられない世の中】というのもどうなんだ?・・・と感じたというか。たとえば仮に名軍師と言われて評判高い人間から、【お前には反骨の相がある】とか評されたら、それはそれで怖いだろ?」

逆沢「うーん。昔は占い師や祈祷師の他に、人相見とかも幅をきかせていた所もあったそうだけど、そういう社会的権威のある人に【お前は将来、間違いなく社会に害悪をもたらす】みたいに評されたら、それはそれでショックな気はするわ。しかもその気持ち悪い予知を周りの人が信じたりしようものなら・・・。」

鼎「でもそういう例は、現実にも多いと思うよ。【あいつはいつか悪いことをするに違いないと評判を立てられて、みんなから迫害される→迫害された結果、生活に窮する→やむなく悪事に手を出す→やっぱりあいつは悪人だったと言われるようになる】みたいなコンボは、割と成立しやすいから。理由のない差別やイジメをされた結果、その人が社会に復讐心を抱くようになって、その結果、皮肉にも悪い予知が現実のものになってしまうケースは、世の中にいっぱいありそうな気がするし。」

愛原「そうでなくとも一度、予知した人間は、その予知を外したくないと考えがちだ。だから一度【コイツは有能だ】と評すれば、できるだけそいつを出世させたくなるし、逆に【コイツはロクなものじゃない】と評すれば、そいつの欠点ばかりを探し出してできるだけそいつの社会的価値をおとしめてやりたいと考えがちになる。周りの人間も同様で、尊敬する教祖とか尊敬する人相見とかの間違いはできるだけ認めたくないから、その教祖や人相見の言った通りになるように図るようになる。予知というのは、良くも悪くも未来を変えるきっかけにもなる。選挙予測をみた結果、票を投じる候補者を変えたくなる時もあるし、誰かの人物評価を聞いた結果、信頼していた人に疑心を抱くようになったりみたいに。」

鼎「ひとつ思ったのは、あまり悪い予知・予測はしない方がいいかなと思った事かな? ほら、どんなにネガティブな予想でも、一度その予想内容を世間に公言してしまったら、誰でも予想を外す事は恥ずかしいから、その悪い予想通りになるように行動しがちだと思うし。」

逆沢「受験生が【いくら勉強しても、こんな学校に絶対に受かりっこないんだよ!!】とタンカを切るのは御法度って事ね。くだらないメンツを守る為にわざと不合格になるような振る舞いをしかねないリスクもあるし。」

愛原「【出来っこない!】という未来予知は、その夢を叶えたいという気持ちが少しでもあるなら、絶対に禁句という事だろうな。事後に【だから俺はできないと言ったんだ!】という言い訳というか、逃げ道を用意してしまう事になるから、本来の実力の半分も出せなくなる懸念もあるし。」

逆沢「逆にポジティブな予知ならありかもね。特に根拠は無くても、その予知を実現するために頑張ろうという気になれば、それだけでもプラスに働くだろうし。」

愛原「頑張ろうという気になれるタイプなら、全くもってその通り! 但し、慢心するタイプは危険だけどな。俺は(特に努力しなくても)将来、それなりの大学行ってそれなりの就職してちゃんとした家庭を持って幸せな老後を送れるだろうとか思い込むタイプなら、そういう予知自体しない方がいい。そういう怠惰な人間は、ポジティブな予知をされても(まるで裏入学での進学があらかじめ約束されているようなノリで)手を抜くし、ネガティブな予知をされてもどうせ無駄だからと、やっぱり手を抜くからだ。」

逆沢「そういう人間には、限定的ネガティブ予知が一番効果的かもね。【このままではダメだけど、自分を変える(今後の生活パターンを変える)ことができれば未来も変える事ができる】的な。」

鼎「社会全体に関する予知も、【一度予知された未来はどうやっても覆らない】的な考えはまずそうだよね。たとえば神風が吹いてアメリカにも勝てるみたいな根拠のないポジティブ予知も、最終的に悲劇しか起こさない気がするし。逆に○○年に地球は滅びる的なネガティブ予知も論外だろうし。」

逆沢「うんうん。社会全体に関する予知も、限定的ネガティブ予知くらいがベストだと思うわ。【どうやっても変えられない未来予知】ではなく、【このままではダメだけど、ちゃんと対策する事で事態の改善が見込める内容の未来予知】という感じなら、問題点の改善も見込めていい感じだと思うし。」

鼎「回避不能な未来予知ではなく、回避可能な未来予知というのが、一番ベストなスタイルなのかも知れないね。現実世界でも選挙予測や株価予想を受けて、その予想結果を嫌った人が反発して行動パターンを変えた結果、未来が変わるケースは多いから。」

愛原「あとネガティブなものに関しては、常に予知ではなく予測であるべきだろうな。大した根拠もなく自分自身や他者や社会全体を悪く見積もる行為は、それ自体が呪詛となりかねない。ネガティブな状況を回避できるような改善策や対策もセットで用意すべきという主張には、完全に同意。まぁポジティブにしろネガティブにしろ、あまり予知行為自体に、深刻にハマらないのが一番なのかも知れないけどな。」

逆沢「でもハマりたがる人が多いのは確かだろうしねー。将来に不安がある人は予知能力者に未来や正解となるべき生き方を教えてもらいたいと思うだろうし、逆にチヤホヤされたい人は、自分の予想がたまたま当たった部分だけをドヤ顔でアピールして、先見の明なり高い知性の持ち主であると自分を売り出したいだろうし。その需要と供給が一致した結果、タチの悪い逆張り予想屋による運任せの無責任な未来予知や人物鑑定を、安易に信じる人も後を絶たない気がするし。」

鼎「せめてタチの悪い予想屋に騙されない方法だけでも、知りたいと思ったかも。」

愛原「うーん。そうだなぁ。難しいけどとりあえず主なポイントとしては、予知予測の区別をつけ、雰囲気や上っ面だけで根拠の希薄な予知には警戒すること。日本人の場合は【みんなもそう言っているから】あたりを相手が主張してきたら、最も警戒すべきだろう。」

逆沢「選挙でもたまに【私達も○○さんを応援しています】的なアピールをする手合いがいるけど、ああいう主張しかできないタイプは要注意って事ね。もちろん、その○○さんが本当に信用できる人であったり、中身もしっかりしてたら別だけど。」

鼎「ネットでも自分に都合のいい記事ばかりリンク貼りまくったり、リツイートしたがる人がいるけど、ああいう姑息な工作活動を主張をする事で【みんなもそう言っている】的なアピールを試みる人も、私もすごくうさんくさいと思うよ。そういう人はそのリンク先の記事やリツイートの中身の矛盾点を突いても、自分が書いた記事じゃないからとか言って、逃げを打つ事しかできないだろうし。」

逆沢「矛盾点を突かれて説明もできないような記事を、無責任に拡散するなよって思うわ。まぁそういう人達だから、デマ記事も簡単に拡散しちゃうんだろうけどね。」

愛原「それ以前に、ネットでは自分にとって都合のいい意見なんて、探せば無数に見つかるから、星の数ほどある記事やレスから10や20、自分寄りの主張をコピペしてきた程度で、多数派を主張するなんて統計的にも無謀だけどな。まぁともかく横にずれた話を戻すと、次に過去の話ばかり持ち出して予知能力をアピールする人も、警戒したい。シーズンが終わってから【私は日本ハムが優勝するとはじめから予想していた】くらいは誰でも言えるしな。あと同じネタばかり繰り返す人。いくら過去に素晴らしい大穴予想を成功させたとしても、そのネタばかり繰り返す人は、それ以外に目立った功績がないと考えられるから。そして何よりも重要なポイントとして、予想を大きく外しておきながら、後でその事に関して一切無かったことにするタイプ。このタイプだけは絶対に信用しない方がいい。上の例で言うと、黒田総裁のイベントで国債金利が一瞬だけ下がった時に、【アベノミクスすげー!】とか【経済学者涙目!】とか散々経済学者を罵倒しておきながら、後になってその事に際して一言も触れないような人は、自分にとって都合のいい一部分だけを切り出して大々的にアピールする詐欺師気質そのものだから、そうと分かり次第あまり関わらない方がいい。」


逆沢「ライブドアの株価がワイドショーで取り上げられるほど急騰した時に、【今こそ買い時!】と煽りながら、それから数ヶ月持たずに大暴落して以降、その事には一切触れずに、別件でまた【私はこれで大もうけ! 今のトレンドはこの株!】とか言っちゃう人は絶対に信用できないって事ね。」

愛原「後は、失敗を別の誰かのせいにしたり、論点をすり替えたり、で言い訳する人とかな。国債金利なんて福田・麻生・鳩山・菅・野田と、政権問わずずっと値下げで続いてきたのに、【民主党の時よりマシ】とか言って、自分の予想不的中を弁解したり。牟田口中将ではないが、そういうタイプは一番困る。つうか、意味もない(ダメ君主が、劉禅よりはマシと言い訳するようなもの)。まぁ俺的には、今くらいの国債金利の方が実体経済に即していると思ってるくらいだから、過去10年にも無かったような不自然な瞬間下落をした時にこそ、(その国債市場の動きと一部ネット民のはしゃぎぶりに)気持ち悪さを感じたし、そういう人間の視点ではあるけれども。」

鼎「事故前までは従来の安全基準を満たしているから大丈夫だという原発安全説(原発神話)を推進しながら、事故後は【絶対に安全なものは存在しない】と論点をすり替える人もいるよね。そのくせ従来の安全基準を満たしていても事故は起きたのに、従来の安全基準すら満たしていない原発があると判明した途端、活断層の定義を変えて従来の安全基準よりもさらに安全基準を緩めようという動きもあるし、もう訳分からないよ。この人達は、自分が以前にした事前予測に責任を感じないのだろうかとも思ったし。」

逆沢「まぁ私的には難しい予知までバンバン当てる人間の方が気持ち悪いと思うから、ライブドアの株価が最高潮の時に買い時と言おうが、国債金利が不自然な下落をしたときに黒田総裁を喝采しようが(経済学者を叩いた行為はさすがにNGだけど)、原発神話に与しようが、それ自体は全然構わないんだけどねー。後でちゃんと修正さえしてくれれば。」

鼎「間違っていた事実を隠していたり、下手な言い訳して他人に責任転嫁したり、自分の間違いを認めるべきなのにそれをしなかったりするのが、一番良くないって事だよね。」

愛原「偶然当たった予知や助言だけを派手にアピールして、それ以外を無かった事にしてしまったり、予知や助言をミスる度に他人に責任をなすりつけるようなダメ軍師の助言を真に受けてたら、オウンゴールだらけで自滅しかねないからな。○×クイズなら当てずっぽうでも50%は当たるのに、それ未満の助言正答率になりかねない厨二病的嘘つき軍師はさすがに困る。」

逆沢「だからって、助言正答率100%のスーパー軍師も、私は絶対イヤだけどね。【君には反骨の相がある】とか【君はこの戦で生きて帰ってくる事はできないだろう】とか、そんな予知をされても困るし。」

鼎「予想通りに世の中が動く事で、大抵の軍師さんや予想屋さんはニンマリできるんだろうけど、私的には【行動次第で未来を変えることができる】と言ってくれるタイプの人の方が好きだよ。【君がどうあがいても、運命は変えられない。私の予想的中率は100%だ!】と言いかねないスーパー軍師さんよりも。」

愛原「【君は必ず成功する】でも【君は必ず失敗する】でもなく、できるだけ誠実なデータに基づいた一定の前提での評価予測をしてみせた上で、【但し、君の今後の行動次第で成功確率は、この程度変化がある】と説明するくらいが、一番ベストなのかも知れない。無論、成功確率を上げるにはこうした方が良く、逆にこういう行為はマイナスに作用するといった的確な助言もつけた上で。」

鼎「助言正答率100%の予知をしてみせる事が名軍師の条件ではなく、未来をより良い方向に変えられる可能性も提示できるのが、本当の意味での名軍師の条件かも知れないよね?」

逆沢「まぁ私が軍師を雇うなら、【貴方は確実に負けます。私の助言正答率は100%です】みたいな軍師よりも、現状の勝率を的確に示した上で【私は貴方の勝率をさらに引き上げるべく、どうすればよいかを適切に提示する事ができます】みたいな軍師を選ぶしね。【勝算はほとんどありませんよ】と言い切ってそれで終わる弁護士よりも、現状の勝算は厳しくとも【但し、私の指示通りにしていただければこの程度まで勝率を上げる事は可能です】と誠実で説得力ある説明をしてくれる弁護士を選びたいみたいな感じで。」

愛原「どっちにしろ、自分にとって都合のいい点しかアピールしなかったり、助言や予知を誤っても絶対それを認めないような、口先だけの嘘つき軍師だけはゴメンだけどな。」























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