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愛原様のたわごと(13年11月24日)







愛原「今回のテーマは【秘密】だ。」

逆沢「秘密か? そういえばだいぶ昔に、【謎】をテーマにした事があったわね。」

愛原「秘密と謎は、共通している部分も多いが、異なる部分もある。たとえば宇宙の謎は、別に秘密ではないだろう?」

鼎「謎は、ただ単に分からない事を指す言葉だよね。一方、秘密というのは、誰かが意図的に隠しているものを指す解釈であってるかな?」

逆沢「逆を言えば、誰もが疑問に持たない秘密もありそうね。以前、問題にされたアメリカとの密約問題とか、まんまそうだし。完全に隠されているから、疑惑にもならないというか、誰もおかしいと気づかないというか・・・。」

愛原「そう。宇宙の謎のように、誰も秘密にしていないけど、単純に謎というケースもある一方で、誰かによって秘密にされているんだけど、誰もそれに気づかないから謎とすら認識されていないものもある。謎と秘密は、共通の部分も多いが、そうでない部分も多い。」

鼎「でも謎も秘密も、なんかすごく解き明かしたくなるよね。」

逆沢「厨二病的な感性で言えば、【俺だけは本当のことに気づいている!】状態になりたいわけね。」

愛原「【誰も知らないような事を、知りたい】だけなら常人だが、【誰も知らないような事を、知っているつもりになりたい】になったら、厨二病の入り口だな。」

逆沢「で、実際に【誰も知らないような事を、俺は知っている!】と思い込むようになったら、厨二病真っ最中って事ね。」

鼎「それを言ったら、歴史修正主義者はみんな厨二病になっちゃうよ。彼らはみんな、自分は(世間が誤認している)本当の歴史を知っていると信じ込んじゃってるから。」

愛原「人は、自分に都合のいいことを信じたがる。だからマスコミや警察などが本当の事を報道している場合でも、【奴らは本当の事を隠している。いい加減嘘をつくのはやめて、真相を明らかにしろ】と、自分が信じる【真相】(?)ばかりを要求し続ける人も多い。」

鼎「歴史修正主義者は、みんなそういうスタンスだよね。」

逆沢「ひとそれにも、そういうシーンはあったわね。確か新宮市の市会議員が集団丸坊主になった時、【これは超素質者の仕業に違いない!】と思い込む人が多数出て、それで彼らが望む【真相】(?)が明らかになるまで、何度も和歌山支部が再調査を命じられるというシーン。」

鼎「なんか犯人でない人に、【お前が犯人に違いない。そろそろ本当の事をしゃべれ!】と無闇に自白(?)を迫る捜査官みたいだね。」

愛原「秘密を解き明かしたい気持ちや真相を明らかにしたい気持ちは分かるけど、最初から結論を決めつける人は、そういうあやまちを犯しやすいわな。」

鼎「私は、秘密は意外性がある方が面白いと思うよ。【ああ、やっぱり!】と思うよりも、【まさか、そう来るとは?!】と思える方が感動やドキドキ感もずっと大きいというか。」

逆沢「私もそういうシナリオを描ける人が、本当にうらやましいわ。思わぬ大どんでん返しというか。昔はやった推理小説やサスペンスドラマでも、【ああ、やっぱり!】と思えるような人ではなく、より意外性のある人が真犯人の方が断然面白いしね。」

愛原「けど現実には、歴史修正主義者のように、ひたすら【ああ、やっぱり!】を求める層も現実には多いけどな。彼らは彼らが予想しない真相が明らかになっても、絶対認めないだろうから。」

鼎「【事実は小説よりも奇なり】なのに、想定外の結末だったら受け入れられないなんて、小説も現実も楽しめない人だよね。なんか可愛そう・・・。」

逆沢「ま、不都合な真実が明らかにされるよりは、都合のいい真実(?)が明らかにされた方が助かる人も多いだろうけどねー。」

愛原「お前は今、すごくいい事を言った。そう。秘密はなぜ秘密にされるのか? まずはそれから改めて整理してみよう。」

逆沢「だ・か・ら、さっきも言った通り、不都合の真実を明らかにされたら困るから、秘密にしたがる訳でしょ? そうでなければ秘密にする必要性もないわけだし。」

鼎「つまり知られても別に困らない話なら、誰も秘密にしないって事だよね。」

逆沢「もちろん秘密にするには、それなりの力などもいるけどね。既に複数人に知られている秘密なら、それを誰にも口外させないだけの権力や政治力が必要になるし。あるいは誰かが漏らしても、それをもみ消せるだけの権力や政治力も必要になるというか。逆に自分以外誰も知らない秘密であっても、それを酒の場などでついうっかりしゃべらない程度の警戒心は必要になるし。現実には宝くじで高額当選しても、それを最後まで隠し通せる人があまりいないように、それすらできない人も多そうだけど。」

愛原「つまり、もしも仮に秘密がそこに存在するとするなら、秘密を維持することによって、誰が得するかを考える必要もある。ところがごく一部のゲーム等各種メディアでは、これが不明確なケースも多い。主人公らの活躍によって、隠された本当の過去が明らかにされるのは良いのだが、わざわざ隠した理由がよく分からない作品というか・・・。」

逆沢「分かる分かる。数百年後に悪の大魔王が復活すると分かっていたはずなのに、その将来の危機が継承されずに、時代が流れていつの間にか大衆の誰一人として知らない事になってたり。あるいは強力な魔法がいつの間にか失われた魔法扱いになってたりとか。」

鼎「中にはどう見ても市民生活を豊かにする便利な魔法なのに、なぜか失われた魔法扱いされているものもあるよね。」

逆沢「強力すぎたり便利すぎるから、みんなに教えるのがもったいなくって隠されるというケースも、なくはないと思うけどね。」

愛原「強力すぎたり便利すぎる魔法なら、使用できる人間が限定される事はあるだろうけど、誰も使用できなくなる事はあり得ない。核兵器の技術もそうだろ? 無闇に拡散すべきでない危険な技術であるが故に色々制限されてはいるが、失われた技術扱いになる事は絶対にないと思うぞ。」

逆沢「むしろ隠そうとしても隠しきれないというか、どっちかというと拡散方向だしね。ファンタジーの世界ではオーバーテクノロジーであるが故に封印された技術というのもたくさん登場するけど、現実にはそんな例はまるで聞かないわ。【我が国は技術先進国だから、この技術を封印します】みたいな国。」

鼎「ファンタジーの世界では、残念ながらその辺の練り込みが甘い作品も、中にはあるよね。大魔王復活劇のように後世まで伝えなくてはならない重要情報のはずなのに、なぜか秘密扱いされてる例なんかは、秘密にする動機自体がよく分からないし。オーバーテクノロジーであるが故に封印されたなんてのは、もっとよく分からないし。」

逆沢「ファンタジーの世界なら、より残虐な戦争が起きかねないからとか、技術を悪用・暴走させかねないからという理由で封印される例は多いけど、現実世界はどれだけ悪用されようが暴走しようが、ダイナマイトも自動車もインターネットも、決して封印される事はないけどね。」

愛原「だが真面目に考えて、秘密というのは、本来秘密にしたがる人がいて初めて存在するのは間違いない。もう少し具体的に言うと、まず誰に対して秘密にしておきたいのか? なぜ秘密にしておきたいのか?など。」

鼎「とすると、今、話題になってる特定秘密保護法とかいうのは、何の理由で秘密にしようとしている法案という事になるのかなぁ? 軍事機密とかそういうものなら、今までの法律でも十分対応できているのに・・・。」

愛原「十分対応できているかどうかは、とりあえず置くとして、従来の機密保持関連法と比べてどこがどう変わるかに注目した方がいい。あと誰がこの法案を積極的に推し進めようとしているか? 逆に誰に対してその法案で秘密を隠そうとしているのか? 誰まではその秘密情報を知り得ていても問題ないか? それらに注目してみれば、誰が何の目的で隠そうとしているかが見えてくるはずだ。」

逆沢「誰に対してその秘密を隠そうとしているのかについてだけは、明らかね。すなわち一般の日本国民。」

鼎「そういえばこの法案については、選挙前、誰一人として話題にも公約にもしてなかったよね。ある意味、民主党の消費税公約の時よりもひどいというか・・・。選挙前は景気だの震災復興だの言ってたのに、選挙が終わってからいきなりどの案件よりも優先して電撃的に推し進めようとしてるし。裁判所からも違憲扱いされた選挙制度問題や、従来から最大級の課題とされた年金制度問題なども差し置いて。」

逆沢「そりゃ国民を不利益をもたらす法案なら、選挙前に公約として出す訳にもいかないし、時間をかけてじっくり取り組む程ボロも出るから電撃的に進めざるを得ないしって事じゃない? 国民にとって有益な法案(実際には有益でなくとも、国民にそう誤認させても可)なら、選挙前からアピールしたり、小泉さんの郵政民営化の時のように、抵抗勢力を悪役化したりして、ちょっとでもメディアに露出する時間を長くした方が有利だし。」

愛原「次に誰がこの法案を推し進めようとしているのか?について考えてみよう。実はこの法案に関しては省庁間でもかなり温度差があって、決して全省庁が一枚岩で賛同しているわけではない。」

鼎「意外なことに、自衛隊の人とかは、あまり積極的でないというか、無関心らしいよね。」

愛原「防衛関連の機密保持関連法に関しては、昔から既に整備されているし、今更ほとんど変わらないのが実情だからな。法案の詳細をよく読み比べてみれば分かる。」

逆沢「財務や国税関係はどうかな?」

愛原「これも大きな動きはない。彼らにとっては悪名高い国民背番号制度を導入して、国民一人一人が持つ財産を丸裸にする事の方が重要であって、秘密をより強固にする方向ではなく、国民のプライバシーを丸裸にする方が最重要案件だからだ。」

逆沢「あーそういえばそうだった。どっちかといえば、秘密を守る側よりも、他人の秘密をのぞき見したい側だったわね。彼らは。」

鼎「一番推進したがっているのは、アメリカ政府。次に外務省。次に自民党幹部(党側ではなく、政府側の人達)かな?」

逆沢「つーか、アメリカ政府は日本の有権者でも何でもないだろ? なんで彼らの意思が一番に尊重される?」

愛原「俺も不思議でならんが、自民党は昔からそうだからなぁ。実は特定秘密保護法も、アメリカとの密約をばらさない事を最念頭で作られているようだ。たとえば昔からアメリカには内容によって細かく秘密保護年数などが決められており、その保護期間が満了するごとに秘密が公開されているようになっているが、日本の秘密保護法は、アメリカよりも先に秘密をばらせない事が大前提になっている。」

逆沢「つまりアメリカがばらした状態を後になって追認する事はできるけど、アメリカがまだ隠しておきたい情報を、保護期間が満了したとかいう理由で先にばらす事はできないって事か?」

愛原「絶対にできん。まだ法案自体は成立しておらず修正の余地はあるが、少なくとも自民党と外務省は、この点だけは絶対に折れないと断言して言える。なぜなら彼らはアメリカの犬だから。まぁ見ていろ。無限に保護期間を延長できるような抜け道を、彼らは必ず作る。なぜなら彼らはアメリカの犬だから。」

逆沢「同じ事は二度もいわんでいい。」

愛原「大事な事なので2回言いました♪」

鼎「つまり特定秘密保護法案というのは、あくまでアメリカの為の法案で、その監視対象は日本国民という事になるのかな? 表向きは中国などの他国に対する機密漏洩を防ぐみたいに言われているけど。」

愛原「そもそも外国に住む他国要人に罰則なんか適用できないし、仮に適用可能だとすれば、それで最も被害を受けるのは日常的にサイバー情報収集をやってるアメリカだから、そんな方向にはまずならない(法案の中身をみても、実際にそうなっていない)。」

鼎「少し前にストーカーに殺された女性のわいせつ画像が加害者に流されたとか、公務員が個人情報を悪用して国税アタック食らわせたとか個人情報をヤクザに流したとか話題になったけど、そういう国民一人が持つ個人情報の保護を厳重にする方向にはほとんど進んでいないのに、お役所が持つ国民が知るべき情報だけどんどん機密化していく流れには、すごく疑問に感じるよ。」

愛原「同感。某市職員がヤクザに市民の個人情報を流した時でも、市は市民の被害回復や関係職員の処分よりも、市のそういう悪しき実態を隠蔽するのを優先したっぽいからな。連中は市民の秘密を守るよりも、役所の秘密を守り続ける事を優先したがるらしい。某教育委員会もそうだったし。」

鼎「アメリカや政府機関の方は、国民背番号制度を導入したり、サイバーアタックを繰り返して日本国民の秘密を丸裸にしたがるのに、彼ら自身は日本国民に黒い秘密を知られないようにますます秘密の強化をしたがるとか、本当にずるすぎるよ。」

逆沢「ちょっと確認し直したいんだけど、そもそも誰に対する情報漏洩を防ぐ為の法案なのよ?」

愛原「お前が最初に言った通り、一般の日本国民。新たに加わる罰則も、マスコミ関係者やオンブズマン関係者等政府機関が持つ情報を開示したい側を狙い撃ちにしているものだから、あくまで規制する対象も日本国民向け。要するに日本人に余計な情報は漏らすなという事。スノーデン氏があの快挙を成し遂げた事も、2013年の今になって、電撃的に特定機密保護法を設立させる流れの一端になった可能性もある。元々、日本はアメリカと各種情報を相互提供する約束を交わしており(と言っても、日本政府にアメリカを上回る北朝鮮など他国を諜報する技術はない為、この方面では米→日の完全一方通行。その代わり、スノーデン氏が明かしたような他国民(日本人含む)を対象にした諜報活動を事実上容認する事で、バランスを取っていると思われる。おそらくグーグルのような表向きの諜報活動だけでなく、ほぼ全てのアメリカによる諜報活動に対して日本政府はダメ出し出来ないだろう。要するに日本国民のプライバシーはアメリカに筒抜け)、それを法的に担保する作業の一環だと思われる。」

鼎「以前、対米防諜政策の一環として我が国独自のGPS衛星を上げようという話になって民主党政権時代等にいくつかの衛星も打ち上げられて下準備も進められたけど、あれも今は中断気味だし、日本政府は本気で私達の個人情報をアメリカ政府に売り渡したいように思えてならないよ。」

逆沢「とにかくあの秘密法案はまずい。絶対に止めなきゃ!!」

愛原「多分無理。なぜなら彼らはアメリカの犬だから。」

逆沢「ええい、うっとおしい!! これ以上の繰り返しは、ギャグにもならないからやめろ!」

鼎「でも本当にヤバすぎるよ。児童ポルノ法案とかで暴れてた人達は、なんでこの件でもっと騒がないの? こっちの方がもっともっと恐ろしい法案だと思うのに。」

逆沢「彼ら自称愛国者達にとっては二次元ポルノを見る権利を死守する方が重要だって事なんじゃないの? もっとも彼らの思考回路はよく分からんけど。」

愛原「事の重要性が分かってないだけの気もする。冒頭で触れたが、謎と秘密は違う。なぜなら完全に秘密にされた情報は、疑惑にすらならないからだ。誰もそれをおかしいとも思わず素直に受け入れる状態・・・。それこそが秘密が最高レベルで守られている状態であり、それを狙った法案がこの特定秘密保護法という事にもなる。誰も密約の存在に気づかなかったら、それは謎でも疑惑でもないからな。現在猪瀬東京都知事が、賄賂疑惑の渦中にあるが、これも金銭の受け取りが発覚したからこそ、疑惑になっただけの話であって、もしも金銭の受け取り自体が秘密にされた状態のままだったら、誰も猪瀬氏と徳田容疑者一族との関わりなんて気づかないままだったようなものだ。」

逆沢「本当に怖いのは、謎や疑惑が明らかにされない事ではなく、本来隠されるべきでない情報が謎にも疑惑にもならずに放置されている方って事ね。ゆでカエル状態にあるのに、カエル自身はそれにも気づかない状態というか。」

鼎「恐ろしい法案が通過しようとしているのに、それすら気づかないとすれば、私達もゆでカエルと変わらないよね。」

愛原「情報を知らされない恐ろしさというのは、戦前戦中の日本を振り返ればよく分かる。右翼系の人は【日本が戦争に突き進んだのは、日本国民やマスコミがそれに賛同したからだ】という論調も好むが、もしも偏った情報だけしか、国民やマスコミにもたらされなければどうなるか? 実際、当時の大日本帝国の大本営はフィリピンや台湾の戦域がアメリカ軍に陥れられるような戦況まで追い詰められていてもなお、【米航空部隊壊滅】とウソ情報を国民に流して、それを信じた日本国民が提灯行列で祝福するような有様だったんだぜ。」

逆沢「本当はかなり絶望的なほどのゆでガエル状態なのに、あくまでその事実に気づかないというか、気づかせない状態に置かれてるわけね。」

愛原「でもこの場合、ゆでカエルに罪はないわな。ゆでカエルは、正しい情報を把握できない状況に置かれている訳だから。」

鼎「そうでなくとも人間は、都合の悪い真実よりも、都合の良い情報を信じたがる傾向があるよね。だから・・・。」

愛原「そう。流言飛語の計略も、この【都合の良い情報を信じたがる】人間の悪癖を利用して行われる。だからたとえば排除したい敵の名将がいるならば、その敵の名将をねたんでいる敵の同僚や、有能すぎる彼を密かに警戒している敵の上司に対して、行使されるのが普通だ。敵の名将をねたんだり警戒している人間なら、名将のスキャンダルは(それが嘘であれ誇張であれ)間違いなく都合のいい情報だからな。」

鼎「芸能人や政治家のスキャンダルなんかも、強力なアンチがいる人ほど、強力に効くよね。なぜならアンチが騒いで、勝手に騒ぎを大きくしてくれるから。みのみんたさんも、本人の罪とは無関係の部分で騒がれて、大変な事になったし。」

逆沢「逆を言うと、小泉人気の時の小泉とか、今の安倍を叩くのは、容易ではないって事ね。アンチの質量が絶対的に弱くて、少々のスキャンダルなんて無効化されてしまうから。」

鼎「ただ一つだけ、気になる事があるんだけど、仮に秘密保護法が成立したとして、効果はどの程度なのかなぁ? 私は国家秘密級の核兵器の技術ですら実際には世界中に拡散しているように、人の口に戸は立てられないように思うんだけど。」

愛原「良いところに気づいたな。実際問題、人の口に戸は立てられん。たとえば【米航空部隊壊滅】と大本営が発表したからと言って、それを大多数の国民が真に受けるかといえば、実はそんな事は無い。当時、現場にいた軍人はもちろんだが、それ以外の民間人も、おかしいと思った者は多数いただろう。帰ってくるはずの味方航空機も帰ってこないし、戦域が縮小して入ってくるはずの資源や物資も入ってこないし、壊滅したはずの敵の航空機がその後も日本領内をぶんぶん飛び回っているとなったら、普通おかしいと誰でも気づく。」

逆沢「だったらなんで、その嘘っぱちを国民は糾弾しなかったのよ!!」

愛原「北朝鮮の国民が未だに将軍様万歳をやってるようなものだろ? それが権力とか政治力というものだ。少なくとも秘密なんてものは、その秘密を強く知りたい者がいる限り、必ず流出する。核兵器がすごく欲しいと思う国なら、あらゆる手段でその製造方法を入手するだろう。覚醒剤や拳銃が本気で欲しいと思う人間なら、それが可能な関係者と交友して、何としても手に入れるだろう。国家や企業の機密情報が流出する例も後を絶たない。」

逆沢「私は拳銃や覚醒剤の入手方法なんて全然知らないけど、中学生でもクスリやってる人もいるらしいし、拳銃も持ってる人は当たり前のように持ってるようなものね。蛇の道は蛇というか、知ってる人は教えなくても知ってしまうというか。言われてみれば。」

愛原「密約だろうがなんだろうが、知ってる人は知っている。本気で知りたければいくらでも入手方法はある(但しそれなりの手間はかかるので、その手間を惜しまないだけの情熱や能力などは必要になる。)。隠そうとしても隠す事は不可能だ。だがこの手の秘密保護法の厄介なところは、民主主義の基幹である国民の知る権利を、大幅に制限する所にある。より具体的に言えば、疑惑が出たときに、潔白を証明したり、検証・証明を行う義務がなくなる。今までなら疑惑が出れば、国会で野党に追及されたり、特捜部の捜査を受けたり、マスコミにかぎ回られるのが普通であり、無闇に隠そうとすれば【クロとみなされても仕方がない】状況であったが、今後は【それは機密事項なので情報の真偽は明らかに出来ない】とか言って、【秘密】の名の元に彼らを門前払いし、それをかぎ回る連中も速やかに捕縛可能になる。身の潔白なんか証明する必要は無くなって、追い詰められても【秘密事項なので、肯定も否定もしない】という言い訳すら可能になる。バレたら背任罪に問われるような悪事をやっても、秘密の名の元に証明責任がなくなる事で、そういう真似すら可能になる。」

逆沢「なんかいじめ問題で揺れた某教育委員会を思い出すわ。プライバシーだのなんだ言って、秘密を盾にくさい物に蓋をするというか。」

鼎「バレたら職務怠慢とか背任とか加害者に荷担した罪でまず免職されるようなケースであっても、秘密の名の元にその事が明らかにされないようになったら、これはすごく怖いよね。」

愛原「そう。秘密法案というのは、法的根拠を盾に調査を拒んだり、詳細情報の提供を拒む為の法とも言える。クソ教育委員会のやってる事を合法に変える方向性をもった危険な法とも言える。」

鼎「今の日本は、疑惑が出れば何度も裁判をやり直せたりする程度には、まともな国だよね。」

愛原「うん。JR西日本の社長や小沢一郎が有罪と感じたら、さらに捜査で追求する事もできる。もちろん彼らが本当に有罪に値するかどうかは別問題だぞ。上のひとそれの新宮市会議員丸坊主事件のイベントのように、事件をねつ造しない限り、どれだけ細かく捜査し直してもおそらくシロで変わらないというケースも多い。(実際に無罪の人間が、無理矢理有罪にされたらそれはそれで大問題なので、まぁこれは当然。)だが再調査する事で、シロかクロかより詳しく検証できる世の中なのは間違いない。学校でイジメ問題が起きたとしても、世論が騒げばその分だけ詳細に再調査がなされる世の中でもある。」

逆沢「だけど秘密保護法が奨励されるような世の中になったら話は全然違うと。【それは秘密だから】の一言で再調査される事も無く、勝手に結論だけが決められていくと。」

愛原「厳密に言えば、政治案件に関しては日本の裁判所もあいまいな部分があって、ちゃんとした理由も述べないまま判決だけ述べる例も無きにしも非ずだけどな。ただ秘密というのは、彼らにとっては色々便利だ。有罪といおうが無罪と言おうが、あるいは賛成と言おうが反対と言おうが、その理由を述べずに済めば、己の欲望のままにやりたい放題になるからな。理由を強く求められる程度には情報公開がまともな国なら、身勝手な理由に基づく事例など、そう簡単には通りづらくなるのだが。」

逆沢「秘密保護法によって真相が閉ざされるか否かだけが問題点ではなく、真相を不明瞭にしたままでも物事を推進できる点が大問題な訳か?」

愛原「上にも触れたとおり、秘密なんてものは、常に知っている者は知っているものだ。だがそれを広く大衆に知らしめられるかどうか? ここがむしろ重要なのだ。自分が米航空部隊壊滅がデマであるという事実を知っていたとしても、それを大衆に知らせる事ができない世の中だったならどうだろうか? 仮に大衆にその事を知らせても、その途端に非国民と罵られたり、国家秘密の漏洩として逮捕される世の中だとすれば・・・。あるいは誰もが王様は裸であると感じていながらも、それを口にした途端に【あの素敵な服が見えないなんて、貴方は相当のバカに違いない!】と罵られる展開が明らかに予想できる世の中だとすれば・・・。」

鼎「自分だけが本当の事に気づいていたとしても、それを口にする事ができない世の中というのもすごく怖いよね。」

逆沢「その点で言えば、和製RPGなんかヌルヌルね。主人公達が真相に気づいてそれを発表しただけで、みんな納得してその真相を受け入れてくれるんだから。」

愛原「まぁファンタジー世界では、教団のトップが実は利権ズブズブの小物だと暴露するだけでも、信徒が簡単に愛想を尽かせて教団が勝手に壊滅してくれる事すら珍しくないからなぁ。現実世界では信じたがっている人に、疑念を持たせる事自体難しい。日本軍の勝利を確信して歓喜している人に壊滅したのは日本軍の方だと言ったところで、憎まれるだけのケースの方が多いだろう。狂信徒に対して、その宗教の悪事を教えたら、逆にこちらが危害を受けるかも知れない。」

逆沢「本当の事が言えない世の中なんて、怖すぎるわ。」

鼎「みんなというか、多数派や権力者が間違ったことを信じたり、都合の悪い事を隠蔽したがっている可能性もあるから、疑惑が出た時に検証する作業はとても大事だよね。安易に秘密の名の元にうやむやにするのではなく。」

愛原「人間は、自分に都合のいい展開ばかり信じたがるから、そうでなくとも近視眼的思考になりやすい。どうしても都合の悪い事ほど隠蔽されやすいのが世の常であり、その結果、みんなにとって都合のいい情報だけが出回る世の中こそが、本当の地獄のような気もする。本人達は耳障りの良い都合の良い情報しか耳にしない為、幸福感でいっぱいだが、現実はむしろ逆で、しかもその事に気づかないままだとすれば、状況を改善するチャンスもないままゆでカエルになりかねないからな。」

逆沢「あー、でもファンタジーの世界で、数百年後に大魔王が復活するという事実がいつの間にか伏せられている事がある理由が、一つだけ分かった気がするわ。みんな都合の悪い事実には触れたくないから、意図的に忘れようとしてたんじゃない? どうせ大魔王の復活が数百年後なら、自分達の代には全く関係ないし。それなら余計な心配をして心労を煩う事もないと。そして世代が進んで、いつの間にか誰も大魔王がいずれ復活する事実についてすら知らない状況に陥ってしまっていると。」

鼎「それ、年金問題を真剣に考えようとしないお年寄りや、原発維持派の思考と同じだよね。自分達の代さえ無事ならそれでいいと考えるなら。」

逆沢「でも実際、そういう事なんじゃないの? 日本の年金制度なんかどう見ても昔から自転車操業そのものだし、偉い官僚サマなら初めから制度の不具合にも気づいてないはずがないだろうから。それでも今まで放置してきたのは、絶対それしか理由ないと思うわ。」

愛原「自分に直接の被害がなければ放置という思考も、割とありがちだからな。当時の厚生官僚達も、下手に自分の仕事を増やしたくもないし、仲間に面倒くさいヤツと思われたくないから、内心ヤバいと思ってても一切触れなかった可能性は高い。イジメ自殺問題にしても、当時のクラスメイトが真相を暴露したら一発なのに、それを誰もしなかったのは、単に面倒くさい状況を嫌ったからだろう。」

逆沢「逆を言えば、秘密を守り続ける方がより面倒くさい状況に追い込めば、話は違うと。」

愛原「それはそう思う。某いじめ自殺事件の場合、警察などが積極的に各生徒の家まで出向いて聞き込み調査を始めた途端、かなり新鮮な情報にも踏み込めたようだしな。自分がイジメに荷担したわけでもないのに下手に黙秘して、よりまずい状況に追い込まれるくらいならと考えた生徒がそれだけ多かったような気がする。政治スキャンダルなんかにしても、隠蔽し続けた方がより面倒くさくなると判断した場合は、あっさりトカゲの尻尾を切る事は珍しくないだろ?」

逆沢「ああ、そういえば前回の安倍内閣の時に不祥事をかばい続けたあげく某大臣が自殺して以来、身内のスキャンダルが出る度に速攻でトカゲの尻尾切りをする例が目立ってるわね。隠蔽し続けるほど、ますます状況が不利になるから。」

鼎「つまりくさい物に蓋をさせない方法として最も有効なのは、隠蔽した方がもっと面倒くさくなると彼らに認識させる点になりそうだよね。」

愛原「そうだな。野党やマスコミや警察はある意味、少しうっとおしいくらいで丁度いいかも知れない。隠蔽すればするほど状況が不利になると認識させる事ができれば、くだらん密約とかもなくなるだろうし。イジメ問題でも、全国的に騒ぎになった所もある反面、そうでない所の方が残念ながら多く、騒ぎにならない所では、未だに学校側によって秘密が死守されて、被害者が全く報われない状況が続いている。日本はむしろ、権力側が持つ秘密に対してより厳しくなるべきだろう。お役所が隠そうとすればする程、不利になるような世の中に変えていかなくてはならん。」

逆沢「現実には、お役所サイドによる秘密の強化は、ずっと進みそうだけどね。少なくとも秘密保護法が可決されれば、正直に国民に真相を打ち明けるよりも、黙り続けていた方が役人にとって面倒くさくない世の中になりそうだし。」

愛原「【こうして秘密は守られる】といういい見本だな。厳密には秘密がいつまでも秘密のままであり続ける事は不可能だが、誰もそれをとがめられない世の中になれば、それは【公然の秘密】にはなるわけだし。」

逆沢「【公然の秘密】か? 本当はみんなが知ってるけど、みんな知らないふりをしている状態ね。今の北朝鮮がそうというか、戦時中の日本もそうだったっぽいけど。」

愛原「公然の秘密状態にされたら、推理小説もサスペンス劇場も成り立たなくなってしまう。主人公が真相を突き止めても、誰も相手にしてくれなかったり、逆に民衆から迫害されるようになったら、それはホラーになってしまう。せっかく偉大なる教祖様が人間のクズである事を突き止めたのに、それを公表した途端、仲間から逆に命を狙われるような展開はさすがに嫌だ。」

逆沢「あはは。でもそれもリアリティーだわ! アンタが何度も触れている通り、人は自分に都合のいいものを信じたがる生き物だから、自分が敬愛する人間がクズだと言われて、はいそうですねと認識を改める人間なんかほとんどいないと思うし。」

鼎「でもだからこそ、普段から都合の悪い情報も受けとめられる度量が、世の中全体に必要なんだよね。企業なんかでも上層部が都合の悪い情報を握りつぶしてしまったせいで、さらに状況が悪化してそのまま倒産する例もあるし。私達がゆでカエルにならないようにする為にも。」

愛原「ファンタジーの世界では世の中を救うような秘密の兵器が発見されたりする場合も多いが、現実世界の場合は、秘密にされている情報は大体(少なくとも隠した側の人間にとっては)不都合なものだ。秘密を暴けば暴くほど、より悪い状況が明らかになっていく場合も多い。」

鼎「なんかクトゥルフの世界観そのものだよね。真相を知れば知るほど、SAN値が上がっていく状態というか。」

愛原「けど秘密というのは、元来誰かにとって隠しておきたい程、不都合な情報だから、隠されているものだからなぁ。秘密を暴いていけばいくほど、隠された有効な魔法を多く発見できたり、隠された新兵器と巡り会えたりするようなご都合展開はそうないと見ていい。力の無い者であれば、【秘密を知ってしまったが故に命を狙われる】ような展開を避ける為にも、知らない振りをしておくのは処世術的にアリかも知れない。ただ誰もが知らないふりをしなければならない世の中というのは、さすがにまずい。くさい物に蓋をし続ける世の中というのは、くさい物を放置し続ける世の中と同義であり、いつかは蓋をしても追いつかなくなって、いずれ世の中自体が臭いもので覆われてしまう事になりかねないからだ。大魔王が復活してもなお、それに誰も気づかないふりをする世の中はさすがに困る。年金制度がヤバいと分かっていても、それを見て見ぬ振りする世の中もやっぱり困る。知れば知る程、不都合な真実が明らかになる事が分かっていても、そこから逃げない人物ではありたい。勇者自身にはなれなくとも、そういう困難に立ち向かう勇者の足を引っ張る人間ではいたくない。」

鼎「もちろん本当にプライバシーでしかないケースも多いし、何でもかんでも秘密を暴くのが正しいとはいえないけど・・・。」

愛原「それは極めて同感。年金未納問題の時に、本来なら保護情報とされるべき納付履歴が漏れたケースはさすがにまずいと思った。今年でも某市の市会議員の年金記録がネットに流出して、どうやらその市会議員を快く思わない市役所内の公務員の誰かの仕業っぽい所までは特定できたらしいが、市は形だけの聞き取り調査をして、【私がやりました】とその関与を認めた職員が一人もいなかったという理由で【ウチの職員が漏洩に関与したという事実は見つからなかった】と主張して、即座に内部調査を打ち切ったらしい・・・。」

逆沢「何それ、どこぞの某中学と教育委員会と同じ対応じゃない?」

鼎「自分達が隠したい黒い情報は探す振りだけをして徹底的に隠し回るのに、元々守られるべき一個人の個人情報を軽い気持ちで流出させる人間なんてひどすぎるよ!」

逆沢「でも某法案が成立したら、探す振りすらせず、秘密の名の元に門前払いする余地まで広がっちゃうんだろうけどねー。」

愛原「守られるべき情報が全然守られず、問題視されるべき情報が隠蔽される世の中は異様だ。人ごとと思わず、秘密というものを我々はもっと深く考えるべきなのかも知れん。ファンタジーの世界では、隠された情報はひたすらあばくものであり、あばく事で物語が好転するケースも多いが、実際には、暴けば暴くほど、世の中の腐った実態が明らかになる一方だったり、おもしろ半分に暴露しまくると親しい誰かの恥ずかしい秘密や忘れたい過去をもえぐってしまう事もあるからな。もちろんだからといって腐った実態があれば、それを見て見ぬ振りして放置し続ける方が余程危険だし、それほどまでに秘密というのは奥が深い。」

鼎「秘密をうまくシナリオに織り交ぜることが出来れば、かなりの佳作にもなりそうだよね。」

















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