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愛原様のたわごと(13年12月8日)






愛原「再来年の大河ドラマの主人公は、吉田松陰の妹らしい。」

逆沢「それ以前に、来年の大河ドラマも始まらない内に再来年の大河ドラマの話を振る所が意味不明なんだけど・・・。」

鼎「来年の大河ドラマは、確か黒田官兵衛さんが主人公らしいよね。一般の人からすればちょっとマイナーな人物だけど、戦国ファンだったら知らない方がおかしいクラスの人物というか。」

逆沢「名前くらいは誰でも知ってる平清盛ですら一般受けしなかったし、もう少し有名どころを主人公に起用すべきだと、私は思うんだけどねー。」

鼎「黒田官兵衛さんクラスなら、若い層なら大抵知ってるからか、ネットでもさほど批判を受けなかったけど、吉田松陰さんの妹が主人公に決まった件については、すごくネガティブなコメントをネットでもたくさん見つけてしまったけど・・・。」

逆沢「でも私もその意見の一人だわ。ネットの書き込みでもたくさんあったけど、なんで吉田松陰ではなく吉田松陰の妹なのか、全然意味分かんないし。」

愛原「けど吉田松陰を主人公にしても、活躍時期が短すぎて、とても1年も尺持たんだろ?」

逆沢「だったら伊藤博文でも木戸孝允でもいいんじゃないの? 幕末長州を舞台にするなら。」

愛原「俺も長州フリークの一人だし、木戸孝允を主人公にした大河ドラマは是非とも見てみたい。伊藤博文もなかなか面白いと思うけど、史実を重んじれば重んじる程、制作側は苦労するだろうなぁ。」

逆沢「あはは。イギリス大使館を焼き討ちしたり、奇兵隊で相撲部隊を率いていたり、エロ大王まっしぐらで岩倉具視の娘をレ○プした逸話まであったり、初代兵庫県知事を経て初代内閣総理大臣まで就任する破格の大出世を遂げる一方、最後は韓国人に暗殺されたり、面白いを通り越して危なすぎるわ。伊藤博文は。」

鼎「私はマイナーな人物を主人公に置くのもアリだと思うよ。独眼竜政宗さんにしろ、春日局さんや篤姫さんにしろ、大河ドラマがヒットしたおかげで有名人になったケースもあるわけだし。」

逆沢「あー、なるほど。内容さえ面白ければ、主人公が歴史的にマイナーな女性であろうと大丈夫って事か?」

愛原「ただ歴史物で女性を主人公にするリスクはやっぱりデカい。元々、史実で明らかになっている部分が少ない事もあって、どうしてもシナリオ全体におけるファンタジーの比率が高まりやすいリスクが伴うからな。」

逆沢「ああ、そういえばファンタジー大河と揶揄された作品もあったわね。確か浅井長政の三女を主人公にした時だったか?」

愛原「今年の大河ドラマは、その反省もあってか、ファンタジー部分をやや抑えた反面、主人公と無関係の歴史の流れにスポットを当てる方針にしたようだ。しかしこれはこれで、やはり批判の声もあるらしい。」

逆沢「そりゃしゃあない。主人公と無関係の場面が多ければ多い程、そいつを主人公に据える意味が無くなっちゃうもん。」

鼎「黒田官兵衛さんの大河も、その懸念が少しありそうだよね。公式のノベライズ読む限りでは。なぜか黒田官兵衛の動きとは無関係の部分での織田家の動向シーンがやたら多そうだし。」

愛原「篤姫や新島八重とは違って、黒田官兵衛の歴史に関しては、知れば知る程、血湧き肉躍る面白いものなのに、その面白い部分がごっそり抜け落ちてないか、今から心配でならない。」

逆沢「でもなんかややこしそうじゃない? 黒田官兵衛周囲の歴史って。ある意味、独眼竜政宗や毛利元就を主人公にした時より難しそうと言うか。」

愛原「黒田官兵衛の置かれた状況と毛利元就の置かれた状況は、実は非常に酷似している。毛利元就は大内・尼子の二大勢力に挟まれ、地盤の安芸国は小勢力が多数割拠しながら互いに牽制している状況からのスタート。一方の黒田官兵衛も、織田・毛利の二大勢力に挟まれ、地盤の播磨国は小勢力が割拠しながらやはり互いに牽制し合っている構造。この小勢力が割拠している状況を細かく説明するとややこしくなるというのは、分からなくもない。」

逆沢「播磨国で形式上一番偉いのは赤松家なんだけど、その勢力はかなり衰退していて、しかも置塩城の赤松本家と龍野城の赤松政秀が険悪な関係にあったり。備前の浦上家の分家が播磨の室津城にあって、そこに官兵衛の一族が嫁ぐんだけど、赤松政秀に攻め滅ぼされたり。その赤松政秀と播磨最大の勢力を誇る三木城の別所家が組んで、小寺家包囲網を形成したり。でも官兵衛は英賀城の三木家の救援を経て辛くもこの状況を切り抜けたり。で、赤松政秀の勢力が弱まったと思ったら、浦上家もいつの間にか宇喜多直家に滅ぼされて備前の情勢ががらりと変わってしまってたり。さらに官兵衛が織田家につくと、三木家は毛利家の軍を呼び寄せて官兵衛らへの攻撃に荷担したり。元々親織田派だった別所家が突然毛利方についたり。ついでに主家の小寺家や嫁の実家の櫛橋家も毛利家側に寝返ったり。敵味方が複雑に入り組んでいる上、頻繁に入れ替わるから、史実通りに再現したら、多分視聴者がチンプンカンプンになっちゃうと思うわ。」

鼎「でも毛利元就の時は、それでも割とうまく処理してたよね。安芸の情勢も敵味方が頻繁に入れ替わるオセロ状態だった上、歴史的にはマイナーな人物や合戦も多いながらも、割と史実に近い形で処理できてた気もするし。」

愛原「けど黒田官兵衛の方は、脚本を見る限りどうも怪しそうだ。現実の黒田官兵衛は決して最初から織田方だった訳ではないにも関わらず、なぜか終始一貫して織田方になってそうな感じだし。いや、まだ始まってみるまでは分からないけど、あくまで今、紹介されている各種媒体の中身だけを見る限りでは・・・。」

逆沢「史実では、備前の浦上家や播磨竜野の赤松政秀や三木城の別所家などが比較的織田寄りで、逆に赤松本家や播磨の浦上家が黒田家と比較的親しい状況。特に赤松政秀は娘を織田信長の養女にして、足利義昭に嫁がせようとしてる程の織田シンパだったみたいだし。で、その赤松政秀が圧倒的兵力で黒田官兵衛を襲ったのが青山の合戦。でも官兵衛がそれを返り討ちにしちゃって、織田信長の西方戦略はいったん完全崩壊。そして官兵衛や宇喜多直家らは敵対関係にあった浦上氏や赤松政秀らをやがて追い詰め、特に宇喜多直家はさっさと毛利家の傘下に入っちゃうという事で、とても官兵衛も終始織田シンパだったとはいえないんだけど。」

愛原「一部では黒田官兵衛がクリスチャンだった事をやたら強調する手合いも見かけるが、実際に官兵衛がクリスチャンだったのはほんの数年だけだったし、結果論で言えば知将の官兵衛らしくバテレンを味方に取り込む為だけに形式上一時期だけクリスチャンになった感じマンマンだし、こういう部分はできるだけ妙な解釈をして欲しくないなぁとは思ってる。」

鼎「いわゆる史実厨である必要はないと思うけど、その人物像が崩壊するような演出まではして欲しくないなぁとは思ったかも。」

逆沢「分かる。黒田官兵衛に関しては、吉田松陰の娘とか新島八重と違って、ちゃんと調べたらいくらでも面白いネタはあるんだから、変な脚色なんかしなくても盛り上がるドラマにできると思うし。時代背景も最高だし。」

鼎「本能寺の変とか関ヶ原の戦いとか、戦国で一番盛り上がる時代と活躍時代が完全にかぶっちゃってるのは大きなメリットだよね。ある意味では、織田信長や豊臣秀吉を主人公にするよりも盛り上がりやすい年代というか。」

愛原「素材はいいんだから、後は調理方法だけだな。あと某知人が黒田官兵衛の大河に関して一つだけ注文していたなぁ。【ひめじ】のイントネーションだけはちゃんとやれよと。」

逆沢「あはは。なぜか関東方面の人とそれ以外の人で、イントネーションが違うみたいだからねー。昔、サザエさんで同じ問題が起こったらしいけど。」

愛原「サザエさん一家が姫路に旅行に行った話で、地元の姫路人(役の声優)が【姫路にようこそ】みたいなセリフを言ったそうだが、そのイントネーションが地元人ならまずありえないイントネーションだったらしい。で、大河ドラマで同じ失敗しないでくれと言う事だ。」

鼎「主演の岡田准一さんは大阪出身だから、普通に考えてイントネーションを間違えるとは思えないけど・・・。」

愛原「まぁ、監督が【東京イントネーションに直せ】とか、無茶な要求さえしなければ大丈夫だと思うけどな。」

逆沢「さすがに方言とか、そういうのまでは忠実に再現して欲しいとは思わないけどね。私は。」

愛原「東北弁とか九州弁とか、まともに再現されたら、理解できなくなるからなぁ。ああいうのが似合うのは、織田信長や豊臣秀吉(尾張弁)、あるいは坂本竜馬(土佐弁)や西郷隆盛(薩摩弁?)クラスまでであり、独眼竜政宗や黒田官兵衛がバリバリの東北弁や播州弁でしゃべったら、それはそれでイメージ狂うからなぁ。農民階級ならまだしも、武士階級でもあるし。」

鼎「私は、外部の人がネガティブキャンペーンさえしなければ、来年の大河ドラマは、そこそこはいけると思うよ。」

逆沢「去年、平清盛が始まった時は、いきなり第一話放送後に地元の兵庫県知事が【汚い】とか発言したからねー。地元が足引っ張るなよとは思ったわ。」

愛原「まぁ兵庫県知事からみれば、平清盛は9年ぶりの地元大河だったし、期待値が上がりすぎてたのかも知れない。まぁ黒田官兵衛も実質兵庫が舞台だし、さすがに同じ失敗はしないだろ。」

鼎「10年に一度も大河の舞台が回ってこない都道府県も多い事を考えたら十分優遇されてる方だし、今度はポジティブにお願いしたいかな?」

逆沢「本当に来年の大河にはちょっと期待してるわ。最近の大河は視聴率的にもイマイチだし、再来年も今の所、全く期待できそうにないから。」

鼎「けど最近の大河ドラマって、隔年で女性を主人公にしてるイメージもあるかも。」

愛原「ほぼ隔年ではあるな。今年が新島八重で、その二年前がファンタジー大河と揶揄された江。さらにその3年前が篤姫で、その2年前が山内一豊の妻。その前は4年前の前田利家の妻になるが、それ以前までさかのぼると過去40年の大河でもほんの数人しか女性主人公はなかった訳だから、やはり最近の女性重視の流れは顕著であるとは思う。」

逆沢「無理矢理女性を主人公にしても、ファンタジーにしかならないと思うけどねー。それでもやるのは、需要があるのか? その割に視聴率は下がる一方な気もするけど。」

愛原「さー、よく分からん。ただ再来年に関しては、安倍総理の肝いりという説も聞かない事はないけどな。少し前にNHKの人事に強制介入したのも、大河ドラマを無理矢理地元に誘致する目的もあったという一種の怪説ではあるが。」

逆沢「昔、森喜朗が総理だった時に森総理の地元石川県を舞台にした【利家とまつ】が決定されたけど、それと同じ流れが感じられるという事か?」

愛原「まぁ今年の大河が長州憎しの怨念渦巻く会津が舞台だったからというのも含めて、長州人の安倍総理を刺激した可能性はあるかも知れないな。かなり陰謀論的というか、イチャモン的な発想でもあるが。」

鼎「実際の所はどうなのかな? 単なる偶然なのか、森総理の時同様に何らかの見えない圧力があったのか?」

愛原「という訳で今回のテーマは【陰謀】だ。」

逆沢「おいおい。まさか吉田松陰の妹の大河が決定したのは、安倍総理の陰謀だとでも言いたいのか?」

愛原「そこまでは言っておらん。ただ今回のテーマの前置きとして、絶好の前置き材料だと思ったからな。」

鼎「陰謀というか、計略や謀略の類いは、私達の作品でも割と登場するよね。」

逆沢「来年大河の主人公である黒田官兵衛も、日本屈指の大軍師といわれるだけあって、そういうのは大得意だったのかねー?」

愛原「史実で明らかになっている範囲だけで言えば、日本屈指の戦術家であり、縦横家でもあるのは間違いないな。外交上手で味方につけた者は数知れず。その一方で九州戦線などでは戦術家としても比類無き手腕を発揮している。信長が本能寺で死んだ時に秀吉に【天下取り】をささやいたとエピソードや、豊前宇都宮(城井)氏をだまし討ちにしたエピソードや、秀吉に警戒されていると感づくや否や即座に剃髪して如水と名乗って一線を退くそぶりをみせたエピソードも加味すれば、謀略家、あるいは知将としての評価も妥当かも知れない。」

鼎「でもよく考えたら、竹中半兵衛さんにしても蜂須賀正勝さんにしても、知将のイメージが強い割にそれ系のエピソードはそんなに多くはないよね。美濃稲葉山城を十数人で奪ったエピソードとか墨俣一夜城のエピソードは有名だけど、それ以外はあまりよく分からないというか。」

愛原「本来、計略・謀略の類いは、業績不明な事が多いから仕方ない。特に陰謀と言われるものは、表に出たら社会的に非難を浴びる事も珍しくないし。そうでなくとも敵に手口を教えてやる義理もないので、真相は闇のままというケースは本当に多い。スパイ戦なんかは、特にそうだろ?」

逆沢「まぁ、そりゃそうだ。仮に敵から機密情報を奪ったとして、敵にわざわざ【貴方の機密情報を奪いました】と教えてやる義理はないもんねー。」

鼎「第二次世界大戦時に、イギリスのチャーチル首相が、ドイツ軍の暗号情報を解読したにもかかわらず、その事実をドイツ軍に隠し通す為に、あえてドイツ軍の攻撃を受け続けたというエピソードも聞いた事があるよ。」

逆沢「ああなる程。ドイツ軍の攻撃に素早く対応したら、その時点でドイツ軍が暗号を解読されている事に気づいて暗号を変えてしまう可能性があったから、そう気づかせない為にあえて攻撃をまともに受けたという事か?」

愛原「もっともこのエピソードの信憑性自体、不確かな部分もありそうだけどな。ドイツ軍の攻撃で大きな被害を受けた責任を回避する為に、そういう作り話を創作した可能性もある。」

逆沢「うーん。つまり一方的にやられまくりましたではカッコつかないから、【あれはわざと攻撃を受ける事で、敵を油断させる策略だった】と言い張った可能性もあるって事か?」

愛原「無論、本当のところはよく分からない。陰謀というのは、元来そういうものが多い。戦国ネタで最近よく聞くものとして、【毛利元就の策略によって尼子新宮党が壊滅した説】への疑惑も出ているようだが、これも考察すればする程、真相が難しい類いだと思われる。」

鼎「一般的には、毛利元就がしかけた情報操作によって尼子晴久さんが【尼子新宮党は毛利に内通しているに違いない】と思い込んで、それで尼子新宮党を粛正したという話になってるよね。で、尼子家最強の戦闘集団である尼子新宮党が尼子家当主自身の手で壊滅させられた事で、以後尼子家は急速に勢力を弱めていくというお話なんだけど。」

逆沢「けど最近は、それを裏付ける信頼できそうな資料がほとんど存在しない事などから、その陰謀説を否定する動きも見られるようね。最近よく聞くのは、尼子新宮党は当時、当主である尼子晴久が危惧する程、勢力を強めており、それを警戒した晴久が自らの意思で新宮党を討ったという説らしいけど。」

鼎「尼子晴久が新宮党を討つ大義名分として【毛利家に内通している疑いがある】説を利用した可能性があるという主張も見た事があるよ。」

逆沢「あー、【敵に内通している疑いがある】とか【謀反の疑いがある】とか言うのは、紀元前の頃から最もよく使われる功臣粛正の際の大義名分だもんねー。最近でも【大量破壊兵器を保有している疑いがある】論で粛正された国があるけど♪」

愛原「じゃあ本当の所、毛利元就は新宮党事件に際して、全く無関係だったのか? お前らはどう思う?」

逆沢「うーん。分かんね。だって証拠となる資料とか何にもないんでしょ?」

鼎「状況証拠だけでいえば、元就さんがクロである可能性もありそうなんだけど・・・。実際問題として尼子新宮党が当時、当主晴久さんが警戒する程、大きな力を持っていた点に関してはあまり異論はないみたいだし。とすると新宮党が滅んで誰が一番得するかを考えたら・・・。そうでなくとも当時は、陶晴賢さんの腹心であったはずの江良房栄さんが厳島合戦直前に陶晴賢さん自身の手で誅殺されたとか、その後も月山富田城攻防戦時には、尼子義久さんも自分の財産を投げ打って兵糧を買い集めたりまで尽くした宿老の宇山久兼さんを謀反の疑いで誅殺したりとか、似たようなエピソードが多すぎるから。」

逆沢「証拠はないけど、状況証拠的にみれば疑われても仕方がないってか。なんか首都圏で婚活男性を連続殺人したとされる木嶋某を思い出すわね。あの事件も、物的証拠が全くない上に、容疑者自身が全面否認しているなど、状況証拠のみでクロと見なされている状態みたいだし。」

鼎「それに尼子新宮党の人達が実際に毛利家に内通していなかったとしても、【尼子新宮党をこのまま放置しておくと、いつか宗家が危なくなるぞ】とそう晴久さんを思い込ませるように元就さんが仕組んだ可能性もあるよね。」

愛原「相手に特定の思い込みを強制する類いは、現実にも多く存在する。たとえばヤクザっぽい人が【夜道に気をつけるんだな】とすごんで見せたら、それは十分な脅しになるわな。でもこれだけなら、まず脅迫罪にはならない。」

逆沢「ああ、なるほど。【殺すぞ】とか【痛い目に遭わせるぞ】と言ったら脅迫罪になるから、そういう暗喩で脅してる訳ね。」

愛原「政治の世界では、特にそういう類いは多い。露骨に賄賂を要求したら贈収賄になるから、お互いに露骨に口にはしないけど、暗に【献金しますから、便宜を図ってくださいよ】と意思表示したり、【献金しないと、公共事業を発注しない】ニュアンスを漂わせたり。」

逆沢「表向きは【今の状態だと、これからも以前と同じようなおつきあいを続けるのは難しい】とか曖昧な言い方で濁すんだけど、お互いに相手が何を要求しているのかは完全に伝わってる状態って、社会に出るとやたら多いからねー。」

愛原「この手の圧力は、足が非常につきにくい。たとえば冒頭にあげた大河ドラマ誘致の陰謀論を例に挙げると、仮に前任の人が安倍総理の無言の圧力を退けた結果、更迭されて新人事になったとしても、その時点で証拠は何もないからな。無言の圧力なんてのは証拠にもなり得ないから。」

鼎「でも反対派の人だけが更迭されたりしたら、明らかに相手は反対派を嫌っていると、誰でも分かるよね。表面上は無言であっても。」

逆沢「社会ではそういうの多いわよね。電力業界も技術振興名義で色んな学者に多額の資金援助を申し出てるけど、その援助対象の学者はそろって原発推進派ばかりだし。決して【利益誘導目的です】とは口に出して言わないけど。」

愛原「企業献金を受け取る政治家も、同様だな。口では【献金企業を優遇します】とは決して言わないけど、企業が無償の資金援助を申し出る事はありえないし(特に株式上場企業の場合は、株主から献金目的を問われた際には【○○先生に献金する事で当社の利益が得られる】と説明せざるを得ない。利益が見込めない相手に投資する事は、イコール背任にしかならないから)。」

鼎「そういう表には決して出せない裏のつながりとか、世の中にはすごく多いよね。」

愛原「そう。陰謀というのはそういうものなのだ。相手は特定の思い込みを強制はしてるけど、直接教唆している訳ではない。だから表向きはシロなんだけど、実際は真っ黒というか。尼崎の事件でも、角田容疑者自身は一言も【お前が死ねば保険金が入るから死ね】と言ってないんだけど、死んだ方が楽になれるような仕打ちを続けてそう被害者を追い込んだ例もあったし。一言も口には出してないけど、事実上圧力をかけているような例は社会にいっぱい存在する。」

逆沢「そういうのも含めたら、安倍晋三などが大河ドラマを誘致する為に陰謀に荷担してたとしてもおかしくないって事か? 無言の圧力まで荷担行為に含めたならば。」

愛原「あと陰謀というのは、圧力をかけられた側ですらなかなかそれを表に出せない魔性も秘める。たとえば政治家と建設業者のどちらかが相手の弱みを握って、諫早湾の干拓工事を決めたとしよう。そしてこっそり賄賂(表向きは献金であったり、個人的な借金であったり)の受け取りなどがあったとしよう。しかしお互いに約束を履行する(贈賄側は約束通り資金を提供する。収賄側は約束通り事業を決定する。)限りにおいては、これはほとんど表に出ない。」

逆沢「どちらかが途中で約束を破っても、表に出ない例の方が多い気がするわ。だってバレたら贈収賄の罪で即逮捕だもん。」

鼎「とすると仮に安倍さんがNHKに圧力をかけていたとしても、それが表に出る可能性はないって事かなぁ? 仮にNHK側がそれを暴露したら、普偏不党であるべき報道機関が特定の政治家の圧力に屈した事まで表沙汰にされちゃうから。」

愛原「それが陰謀の魔性だ。被害者自身をも共犯にする事で、それを表に出させない状況すら時に作り上げる。だから尼崎事件のようなものでも、なかなか表面化しない。そして陰謀の中でも、最も真相が判明しづらいのが情報操作の類いだ。」

逆沢「軍記ものでは、流言飛語の計略とかよく見るけど、現実はどうなのかねー? まぁ政府によるプロパガンダとかマスコミによるブーム作りとかも含めれば、日常的に行われている気がするけど。」

鼎「AKB48ブームとか恵方巻ブームとかバレンタインデーにチョコレートブームとか、そういうのまで誰かによる陰謀と解釈するなら、陰謀は常に毎日どこかで行われるような気もするよね。」

愛原「まぁそういう誰も損しない(?)ポジティブな陰謀なら構わんが、本来、陰謀の大半はネガティブなものだからなぁ。」

鼎「誰かが損をする事が確定な陰謀なら、なおさら表には出にくいよね。その損をする人が絶対に怒るだろうから。」

逆沢「昨日強行採決された特定秘密保護法案だったか? あれも陰謀隠しに使われる可能性があるのか?」

愛原「というか、それ目的だろ? 前回も言ったが、本来機密とされるべきものは、前から機密のままだ。今更何も変わらない。変わるのは、主に外交関係。もっと細かく言えば密約関係。過去の事例で言えば、非核三原則が決められているにもかかわらず、実際には核搭載米軍艦が日本国領海内を平然と航行していたり。あるいは米軍が負担すべき費用を日本側が肩代わりしているにもかかわらず、米軍が負担してますと国民に説明したり。要するに今までは本当の事を言うと法律違反になってしまう件をこっそり隠し続けていたが、今後は法的に堂々と隠せるという事。要するに【秘密】の二文字が上に付くだけで、法律違反しても良くなるという点が大きく変わる。」

逆沢「何それ? 今の法律が気に入らないなら、法律を変えたらいいだけの話なのに?」

愛原「法律自体は変えたくないんだろ? たとえば人を殺したら殺人罪という法律自体は変えたくない。しかし逮捕したくない要人が人を殺してしまった。その時に秘密をかぶせて捜査を難航させて事件を闇に葬るとか。あるいは逮捕されては困る大物がその疑惑の矢面に立たされた時に、秘密の任務中だったという名目で詳細は明らかに出来ないと突っぱねたり。あるいは中国のスパイ行為は遮断したいけど、アメリカのスパイ行為に関しては見て見ぬ振りしたかったり。分かりやすく言えば、ダブルスタンダードを容認するための法律と言って良い。本来の法律は、相手が要人であろうがホームレスであろうが、超大国だろうが仮想敵国だろうが、公平に運用されるものだけど、公平に運用したくない人間も世の中にはいるからな。」

逆沢「中国や北朝鮮などが核搭載船を日本に持ち込んだら困るから非核三原則は堅持するけど、アメリカが持ち込むのはOKにしたいから秘密の名の元にそれは容認する法律って事か? 要するに。」

愛原「以前問題視された通信傍受法と同じ性格をもった法ともいえる。あれは国民の秘密をのぞき見できる法律であり、あれによって共産党員などのプライバシーはかなりまずくなってそうな気がするが、誰が盗聴対象になってるかも実質秘密扱いだからなぁ。」

鼎「でも法案が通過した後は、誰も騒がなくなったよね。」

愛原「通信傍受法通過前には、密かに盗聴されていた事を察知した某共産党幹部が訴えて大問題になった事もあったけど、あれによって国による特定人物の盗聴行為が合法になってしまったからなぁ。合法になったら騒ぎたくても騒げんだろう。合法になった事でよりバレないようにもなってしまってるし。共産党幹部宅が盗聴されていた件は、NTTの人間が疑惑を抱いた共産党員が要請した調査への協力に応じた事から発覚したけど、通信傍受法が成立した今では、NTTが協力してくれる可能性はまずゼロだから。要するに騒ぎたくても、証拠がそろえられないから、騒いだところで反動戦力によるイチャモンにしかならないのが現実なのだ。」

逆沢「つまり以前なら、アメリカが密かに核搭載船を入港させていた事自体は違法以外の何者でもなかったから、不信を抱いた人間が徹底調査を依頼すればそれなりに前進は望めたけど、今後は(核搭載船を入港させる事自体は今でも違法だけど)秘密の名の元に行政側が調査を拒否しやすくなるから、米艦船が違法行為をしていたとしてもそれが表に出なくなるって事ね。」

愛原「一部の左派が【今後はより息苦しい世の中になる】と発言し、一部の右派が【大げさに騒いでるが、実際には今後も何も変わるはずがない】と発言してるがどちらもウソだ。現実には今まで表に出ていた不祥事等が隠されるので、より静かに変わる。表面上は頭痛の種が減り、その代わり内部がより腐敗した状態に変わる。今までなら【法律>密約】だった為、アメリカが法律違反をしていたという秘密がバレたらアメリカも日本の法律に従わざるを得ない状態(だから隠していた)だったが、今後は【密約>法律】に変わる為、それが違法行為と官僚達が認識していても、秘密指定されていたら表に出せなくなってしまう。」

逆沢「法律より秘密が上位に来てしまうって事か?」

愛原「一例を出そう。たとえばかつて鳩山邦夫が麻生太郎の郵政人事に関する陰謀の内容を暴露した際に麻生が直ちにそれを否定して【証拠もないのにデタラメ言うな】とばかりに怒ってみせた事があった。しかし鳩山邦夫が証拠の手紙を出してみせて、追い詰められた麻生は態度を翻して【私文書を公開するなんて非常識だ】と逆ギレする始末になった。さてこの郵政人事が秘密扱いになったとしよう。この場合、鳩山邦夫が麻生の陰謀内容を口にした場合、麻生には3つの選択肢がある。一つはそんな事実はないと嘘をつく。もう一つは真偽は明らかに出来ないとぼかす。そして3つ目として秘密法違反で逮捕という強権を発動する方法もある。」

鼎「現実には3つめの運用は難しそうだよね。いきなりそれをしたら、鳩山邦夫さんの発言が事実と認めるような形になっちゃうから。」

愛原「だろうなぁ。俺も麻生は嘘をつくかとぼけるかの二者択一を選択すると思う。現実には麻生は嘘をつくという1番目の方法を選んだけど。」

逆沢「アメリカが負担すべき費用を日本が負担したのにアメリカが負担した時のように、疑惑が出たら大抵の場合は、ウソをつくと思うわ。変にぼかしたり、いきなり強権を発動したら、それが事実と認めるようなものだから。」

鼎「嘘をつかれると、それを信じたい人がウソを真に受けて調子に乗るから、あまりウソだけはついて欲しく無いんだけど・・・。」

愛原「で、鳩山邦夫が証拠を提出した場合を次に考えてみよう。今までなら逆ギレしてマナーだの品格だの非常識だのと、人格攻撃するくらいしか対抗手段はなかったわけだが。」

逆沢「借りた金を返さない人が言い訳の手段として最後に選ぶのがそれね。あらゆる言い訳が通用しなくなったら、【その言い方はなんだ!】とか【お前には情がないのか?】とか【お前のような非常識な奴に返すカネはない】とか相手の人格を批判して状況を打開しようという。」

愛原「石破のテロ発言もある意味、その類いだな。論理で勝てなくなると、相手の品格を中傷するようになる。そういえばネットでも、対立陣営の主張に対する反駁はせずに、相手のポスターか何かだけを批判する手合いを見つけたけど。」

逆沢「そんな事を言い出したら、【お前のような自分の体調管理もできないデブに、他人を批判する権利はない】とか【相手を批判するなら、その相手より社会的に大物になってから言ってみろ】とかになって、話が本題と完全に外れてぐちゃぐちゃになっちゃうわ。」

愛原「だから俺は品格だの何だの持ち出して人格攻撃する奴は、大嫌いなんだけどな。ただいずれにしろ今までは麻生のような醜い逆ギレくらいしか対抗手段はなかったわけだが、今後は秘密法案が生きてくる事になる。」

逆沢「嘘をついている奴のウソを暴いてしまったら、逮捕されちゃうわけね。逆を言えば逮捕を怖れる人間は、本当の事を言えない。鳩山邦夫も証拠を出せなくなって、麻生に【それ見ろ。証拠もないのにいい加減なこと言うな!】とか罵られて終わってしまうと。」

愛原「ま、そういうわけで現実には、通信傍受法が成立して以降のように、上から押さえつけられた平和状態というか、ゆでカエル状態になると思われる。おかしな事が起こっても、それに気づけない世の中というか。仮に気づいても、それ以上の抵抗が出来ない世の中というか。石破のテロ発言も、国民が国のやることに反対するなという一種の意思表示だろう。もっと口汚い事をひたすら叫びまくるヘイトスピーチデモには、だんまりのくせに。」

逆沢「まぁ、気に入らない奴は何でもかんでもテロ呼ばわりすればいいってのは、ここ数年のブームみたいなものだからねー。」

鼎「特定秘密保護法案は、外交・軍事・スパイ・テロ分野などが特定秘密保護範囲に入ってるから、気に入らないものを何でもテロ呼ばわりする事で、事実上封じ込められるって事かなぁ?」

愛原「そういえば昔、愛知万博の際に、テロの疑いがあるから弁当やペットボトルや缶ビンの持ち込みは禁止とか言ってた事があったなぁ。カメラを持っての入場はテロの疑いがないからOKだけど、弁当や飲み物を持っての入場はテロの疑いがあるから万博敷地内で買って食えとか、訳分からんかった。」

逆沢「その気になれば、デモから弁当まで何でもテロの疑いにできるのか? おっそろしいわ。」

鼎「んんん? 今、気づいたんだけど、今回のテーマは何だったっけ?」

愛原「しまった。また話がそれた。うーん。ただ陰謀論と秘密はどうしても相性が良すぎるからなぁ。」

逆沢「ま、陰謀と言えば秘密だし。切り離す事なんかできっこないとは思うけどねー。」

鼎「でも秘密であるからこそ、どうとも解釈できる部分が厄介だよね。たとえば毛利元就が新宮党粛正事件に関与してたかどうかなんて、本当の所は誰も分からないし。」

逆沢「本能寺の変の黒幕が誰かも未だに謎だしねー。坂本竜馬を暗殺したのが誰かも謎のままだし。」

愛原「その結果、えん罪が起きる事もある。【あいつがやったに違いない】が一人歩きした場合は特に。」

逆沢「結局の所、安倍晋三が大河ドラマの地元誘致に圧力をかけたかどうかも、やっぱり不明なままか?」

愛原「多分、永遠に不明のままだな。表向きは安倍総理自身も、安倍総理によって任命された新NHKの幹部達も口をそろえて、その関与を否定するに決まっているけど、本当の所は誰も分からない。総理による露骨な圧力が本当にあったかも知れないし、実は安倍総理側にそんな意図なんて全くなかったにも関わらず、NHKサイドが勝手に安倍総理の影響力を過大評価して媚びを売る為に自ら長州ゆかりの大河を決定した可能性もあるし、単なる偶然が重なった可能性ももちろんある。漫画的オチも含めるのなら、安倍総理を陥れる為にNHK側が仕組んだ高度な(?)罠という可能性もあるかも知れない。」

鼎「新宮党粛正事件も、毛利元就が狙って仕組んだ可能性もあるし、毛利元就や新宮党側にそんな意図はなかったけど尼子晴久がそれを大義名分に使った可能性もあるし、どちらの事実も存在しない可能性もあるようなものかな?」

逆沢「けどどうみてもクロって事もあるんじゃない? たとえば私は木嶋某による婚活連続殺人は絶対クロだと確信してるし。」

愛原「松本サリン事件の河野義行さんのようなケースもあるから、油断はできないけどな。実際問題、警察やマスコミに情報操作されると、我々一般人がそれを疑うのは至難の業だからな。桶川ストーカー事件の時のように、警察側が意図的に被害者を(殺されても仕方ないようなビッチだと)中傷する例すらある。国際的にみればこの手の情報操作はもっと露骨で、湾岸戦争の時の油まみれの鳥の時のようなものもあるし、数年前には次期世界銀行トップ候補だったフランスの要人が女性スキャンダルに巻き込まれて、失脚した例もあった。最終的にはその疑惑が晴らされるけど、既に時遅くアメリカ人が世界銀行トップに就任する事になったけど。」

逆沢「何、そのあからさまな陰謀劇。」

鼎「でもアメリカは、ここぞの場面で女性スキャンダルを使う例が多いよね。クリントン大統領が追い詰められた時もそうだし、最近ではアサンジさんもレイプの疑いをかけられてなぜか国際手配までなってるし。」

逆沢「どんなひどい性犯罪者でも、まず国際手配にはならんでしょ? 陰謀以外の何者でも無いわ。」

愛原「銀英伝内でもちょこっと触れられていたが、セックススキャンダルというのは相手の名声を打ち砕くには絶好の素材らしい。中国のハニートラップよりも、アメリカのセックススキャンダルの方がずっと怖いかも知れない。何しろ全世界に速攻で恥ずかしい悪名を広められてしまうから。」

鼎「もしかしたらそういうのも、日本の政治家に対する無言の圧力になってるのかなぁ。もしも日本の政治家がアメリカに逆らったら、金権疑惑を突如表に出されたり、夫婦仲を裂くような深刻なスキャンダルをばらされたり、ありもしない罪を背負わされたり、ルーピーというあだ名をつけられたりとか。それで(田中角栄と小沢一郎と鳩山由紀夫以外は)誰もアメリカには逆らえないとか。」

愛原「これも典型的な陰謀論だな。本当にアメリカ側が日本の政治家の弱みを握って脅してる可能性もあるし、日本側が過剰反応して一方的にアメリカに媚びを売っている可能性もあるし、全然そういう政治的駆け引きはないかも知れないし。本当の所は分からない。しかし仮に陰謀が事実だとすれば、その陰謀を表に出そうとすれば高確率で報復されるだろう。日米密約を実際にばらした結果、グダグダにされた某政権のように。」

逆沢「なんでもかんでも陰謀論に結びつけるのはまずいけど、陰謀論(笑)で片付けてゆでカエルになるのもまずいし、どうすればいいのかねー?」

愛原「結局の所、証明できる世の中にするしかないわな。自分が潔白・無罪であるなら潔白・無罪だと証明できる社会。逆にクロなら、悪人がどれだけそれを隠そうとしてもちゃんと暴かれて裁かれる社会。疑惑があるなら、シロかクロか徹底的に証明される社会。」

逆沢「推理小説にしろサスペンス劇場にしろ和製RPGにしろ、最後は謎が明らかにされてモヤモヤ感から解放されるからこそ爽快感につながるんだし、本当に証明される世の中って、国民の幸福度と直結してる気がしてならないわ。」

鼎「秘密保持が証明責任を上回る世の中にしたらダメって事だよね。」

愛原「犯罪が決して無くならないように、陰謀も絶対になくならない。だからこそ犯罪に対抗できる法作りが必要なように、陰謀にも対抗できる世の中にしないとダメだ。まして陰謀を助ける法律なんて論外。それは犯罪を助ける法律を作ってるのと、なんら変わらないからな。」















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