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愛原様のたわごと(14年8月3日)





愛原「今回は前置き抜きで真面目にゲームの話をしたいと思う。テーマ名は【パケゲとブラゲ】。近年ますます勢力を強める一方で社会問題化もみられる随時課金型ゲーム(ブラゲ型ゲーム)と、従来型商業ゲーム(パケゲ型ゲーム)の2つを個人的立場で色々比較検証してみようというあんばいだ。」

逆沢「ついに来たか。まぁいつかは触れたいネタではあったけどねー。」

鼎「ええと。課金ゲームというのは、ブラウザゲームや携帯ゲームでよくみられる形態のゲームだよね?」

逆沢「コンプガチャ問題で一気に知名度と悪名が広がった商法でもあるわね。基本無料を謳って客をおびき寄せて、彼らの射幸心をあおってそれとなく有料コンテンツに誘導する仕組みだったっけか?」

鼎「お金を払えば払うほど、より有利なアイテムを入手しやすくなるとか、よりゲームを快適に遊ぶようになるとか、とにかくそういうパターンだったよね。確か。」

愛原「まぁ、それ以外のパターンも色々あるけどな。たとえばいわゆるゲームセンター方式。お金を払う事で、一定期間だけゲームを遊べるようになる。長いこと遊びたければ、それだけたくさんのお金を払い続ける必要がある。そんな課金システムも珍しくはない。」

逆沢「ああ、ゲームセンターか? コアなゲーマーだと、一つのゲームに何万円も投じたりするらしいわねー。普通にゲームソフト買って遊んだ方がずっと安いだろうに。」

愛原「ちょっと強引ではあるが、そういう随時課金型ゲームの事をここでは【ブラゲ型】と総称したい。ブラゲとはブラウザゲームの略な。」

鼎「とすると逆のタイプのゲームは【パケゲ型】と呼べそうだわね。パッケージゲームの略でパケゲ。」

愛原「うむ。家庭用ゲームハードにソフトを差し込んだり、PCにデータをインストールしたりする事で遊べる形態のゲームは、全てパケゲといえる。最近はお店でパッケージを買うパターンだけでなく、データをダウンロードするパターンも増えているが、形態としてパケゲである事に変わりはない。ちなみにウチのサイトで公開しているゲームも、全部分類としてはパケゲだ。」

逆沢「パッケージも何もないのにパケゲなのか?」

愛原「純然なパケゲだぞ。一度データをダウンロードしさえすれば、後はオフラインであろうが、複数のパソコンであろうが、動作環境さえ満たしていればいつまでも無限に遊び続ける事ができる。分類としては、パケゲ以外の何物でもない。」

鼎「パケゲはいいよね。一度入手すれば、後は動作環境さえ維持できればいつでも自由に好きなだけ遊び倒すことができるし。気に入ったゲームだと、何年も遊び続ける事も可能だけど、それでも一円の追加料金もかからないし(もちろん電気料金とかはかかるだろうけど、それらはゲームメーカーの収益とは無関係なので除く。)。」

逆沢「けどそんな素晴らしいパケゲ型のゲームメーカーが、今、全国的に危機に立たされているみたいなのよねー。ブラゲ型に押されているというか、何というか。」

鼎「私は随時課金型のブラゲとかはあまりやりたくない方だけど、それでもブラゲの人気に押されているとするなら、どういう所に原因があるのかなぁ?」

愛原「俺は別にブラゲだからゲーマーに人気があるとか、パケゲだからゲーマーに人気が無いなんて、これっぽちも思ってないけどな。仮にもしも同じゲームが両形態で販売されているならば、(そのゲームが面白いと確信している限りは)俺なら確実にパケゲの方を買うし。ブラゲは無限にお金を吸い取られるリスクもあるし、メーカー側がサービスを中止した途端に二度と遊べなくなるリスクもある。お気に入りのゲームであればあるほど、そんなのは嫌だ。」

逆沢「ああ、アンタは、二者択一なら絶対に電子書籍は買わないタイプね。電子書籍の購入は、決して本そのものを入手する権利では無く、あくまでサービス提供者側のシステムを通じて本を読むサービスを買っただけにすぎないから、倒産や事業転換などでサービス提供者が事業をやめたら、それ以降は二度と本を読めなくリスクがあるからねー。」

鼎「電子書籍はブラゲ型リアルの本はパケゲ型という事になりそうだよね。で、ブラゲ型の電子書籍はサービス提供者がサービスを提供し続けている間だけ読み続けることが出来る。逆にパケゲの方は手放さない限りは永遠に読み続けることができる上、不要になったら他人に譲り渡すこともできると。」

愛原「まぁ、ブラゲ型の本やゲームの場合は、リアルの本棚やハードディスクの容量を圧迫しにくい長所もあるし、紛失して困るリスクも少ないから、どちらを選ぶかは好みの問題ではあるだろうけどな。」

鼎「けど好みの問題の差はあるにしても、それだけではパケゲがブラゲに対して一方的に劣勢になる理由にはならないよね? でも現実には、パケゲのシェアはどんどんブラゲに奪われている一方だし、これはどうしてかなぁ?」

愛原「個人的には、買い手側の事情では無く、売り手側の事情のような気がするが・・・。」

逆沢「売り手側の事情? つまりパケゲでは利益が出ない。ブラゲの方が利益がでやすいって事か?」

愛原「多分、そうだと思う。従来から中古売買される事によってメーカー側の機会損失が一定分出る事は指摘され続けてきたが、それに加えて、最近は【割れ】といわれる反社会的現象まで見られるようになってきた。」

鼎「【割れ】というと、少し前ではwinnyをはじめとしたファィル共有ソフトによるものが話題になってたけど、最近はもっと露骨なものも増えだしてるそうだよね?」

逆沢「ゲームソフトだけに限らず、同人誌とか色んなものが割られているらしいわね。詳しくは知らないけど。」

鼎「私が聞いた話だと、割れを扱うサイトには、色んなブラゲのアフィリエイトとかが貼られてたり、ブラゲの提供元に誘導するようなポップアップが出るサイトもあるそうだよ。」

逆沢「人様が精魂込めて作ったパケゲをタダ同然でばらまく事でパケゲ勢の経営に大ダメージを与え続ける一方で、ブラゲの宣伝も行えて一石二鳥ってか? 悪魔の所業そのものだわ。恥を知れ、ブラゲ企業!」

愛原「無論、【著作権者から指摘があれば、直ちに公開を中止します】というタテマエの元で割った張本人は活動しているようなんだが・・・、じゃあ著作権者が抗議したらすぐに問題が解決するかというと、事情はそう簡単ではない。抗議メールがちゃんと届いてないふりをしたり、ニホンゴワカラナイデスみたいな対応をしてくる事もあったり、仮に削除に応じたとしても、また別の場所で別人のふりをして割り続けたり。」

逆沢「ネットでは、他人のなりすましをする奴も珍しくないからねー。誰かの抗議を受けてその場では削除に応じても、別のアカウント作って、そこで再びデマを拡散し続けたりするような奴も珍しくないし。はっきりいってイタチゴッコなのよねー。」

鼎「日本では著作権はホワイトに近いグレーで、だからこそ著作権者の好意や寛容を前提とした同人文化も発達することができたんだけど、それを逆手に取られた感じだよね。」

逆沢「同人誌界では【もしも著作権者から指摘があれば、直ちに公開や販売を中止します】といった、特に指摘が無ければOKという前提で、色んな漫画やアニメの二次創作品やエロものが出回っているけど、まさにその寛容な文化を悪用されているって事か?」

愛原「せっかく愛情と手間をかけて世に送り出した作品が、割れ行為によって直ちに無料でばらまかれるとしたら、こんなひどい話はない。だがそんなひどい話が現実に起こっているのもまた事実なのだ。」

逆沢「けど対策方法もあるんじゃないの? ほら、コピープロテクトとか認証方式とか?」

愛原「認証方式は、KOEIなどの大手もやり始めているが、不評も多い。何しろ毎日インターネットにいちいち接続して認証作業が済まないとプレイが出来ないゲームとかもある有様だし。」

鼎「私、パソコン内にあるプライバシー情報まで密かに外に持ち出されていないか不安だから、ネット認証というのは基本的にやりたくないんだけど・・・。」

逆沢「携帯アプリなんかだと、そういう例は珍しくないらしいわね。ユーザーはアプリのインストールや認証作業などの為にアプリ提供者側とデータを送受信しただけのつもりなのに、実は密かに電話帳のデータとか、色んな個人情報まで一緒に送信されていたなんて例も珍しくないようだし。」

愛原「守秘すべきプライバシー情報まで一緒にまとめて密かに送信されているかどうかなんて、そう簡単には分からないからな。認証方式は、そのメーカーが信用に足る企業でない限り、安易に採用して欲しくないが・・・。」

鼎「認証方式は不安も大きいけど、けどコピープロテクト方式も、一長一短だよね。いわゆる【誤爆】という例も珍しくないし。」

愛原「俺も、一度誤爆食らった事があったわ。発売日に買った某ソフトをインストールする際にいきなり誤爆メッセージが出たんで、ネットにつないだら、どうも同じような誤爆被害者が他にも続出してるみたいで、ちょっとした祭りになってた事があった。まぁエラーメッセージ等を記して状況を説明したメールをメーカーに送ったら、即日にパッチ用意してくれたけど。」

逆沢「パッチ用意してくれたなら、別に問題ないんじゃね?」

愛原「俺自身は問題ないけど、【このパッチさえあったら、割れユーザーでも問題なくプレイできてしまうんじゃね?】とか、不安になったわ。まぁ発売日当日に割られる心配は(内部流出でもない限り)ほとんどないけど、【みんながみんな、発売日に買う訳じゃないしなぁ】とか、人ごとながら心配にはなった。」

逆沢「コピープロテクト方式も、対策としては色々リスクが多いって事か?」

愛原「コピープロテクトを導入する際の費用面でのリスクや誤爆が発生した場合のサポートリスクの大きさを考慮した結果か、コピープロテクト方式も最近はあまり見られなくなった気がする・・・。」

鼎「それでパケゲがどんどんブラゲに押されるようになっているのかなぁ? いわゆる経営面でのリスク管理が困難になりつつある事から。」

愛原「まぁ、それだけではないだろうけどな。ゲームによっては【初動が全て】という作品も珍しくなく、そういうゲームなら、割れによるリスクは必ずしも致命的でないかもしれないし(割られたり中古市場に出回る前に期待される売り上げの大半を回収し終わっているため)。」

逆沢「じゃあ他にもパケゲには、構造的な問題点があるって事か?」

愛原「無料(orお試し価格)からはじまるブラゲ型の場合、いわゆるクソゲをつかまされて後悔する確率は低い。一方、パケゲ型の場合は、それなりにまとまった料金を客が先払いする形になる。客側にとってつまり敷居が高い。」

逆沢「ウチのゲームは無料だから、敷居すらないけどね♪ 変なアプリが一緒に付いてくるようなリスクもないし、レジストリも使用していないから不要になってもアンインストール作業すら必要なく、ゴミ箱に放り込んで即オシマイにできる超親切設計♪」

愛原「ウチのようなフリゲの場合はその通りなんだけど、パケゲ型の大半をしめる商業ゲームは、そうはいかないからな。まずは買ってもらわないと話にならない。」

鼎「けど面白いかどうかも分からないゲームの料金を先払いするのは、客の立場からするとどうしても勇気がいるよね?」

逆沢「ましてや基本無料をうたうブラゲ型が、ここまで勢力を強めてしまうとねー。客からすれば、訳の分からないゲームに何千円も投資するよりは、ブラゲ型の方を選んでも不思議はないって事か?」

愛原「実際問題、パケゲで最も力を持っているのは、ブランド力のあるシリーズものかメーカーものだけになりつつあるからな。」

逆沢「既に信用力のあるブランドのゲームなら、実際にプレイしてみるまで面白いかどうか分からないと言っても、ある程度は過去の実績から信用できるだろうからね〜。」

鼎「けど逆を言うと、ブランド力も何もない新規のメーカーなどでは、尚更大変だよね。余程、宣伝費などをかけられるのなら別だけど。」

逆沢「家庭用ゲームの世界でも、一部の有名ものか、とんでもない程宣伝費をかけられた作品でもなければ、かなり厳しいみたいだしねー。」

愛原「タダである事が最大の強みであるフリゲ界ですら、宣伝力の無さとブランド力の無さが災いしてか、現状かなり厳しいからな。」

逆沢「つうか基本無料をウリにしたブラゲがこれだけ普及してしまった以上、フリゲが無料をウリにしても、もうアドバンテージはほとんどないからね〜♪」

愛原「パケゲで、しかもマイナーブランドでありながら比較的健闘可能なジャンルがもしも残っているとすれば、あえていえばいわゆる18禁の廉価型ソフトくらいかなぁ? それでも一昔と比べると恐ろしいほど厳しくなってるようだが。同人サークルのふり(?)をして、二次創作ものを出す事で生き延びようとするゲーム会社なども少なからずあるようだ。」

逆沢「同人サークルのふり(?)をしてれば、二次創作ものでも許容されるし、二次創作ものなら宣伝費をさほどかけなくても、スクリーンショットだけで十分な宣伝効果が見込めるからねー。ついでにいうとツクールやウディタ製である事が丸わかりであろうが、無料素材サイトからかき集めた音源や背景素材で構成されていようが、スクリプト技術などが少々未熟であろうが、恥ずかしくもないしね♪」

愛原「ただそういう同人系ゲームは、クオリティーではまともな商業ゲームと勝負できないので、必然と廉価ものにせざるを得ない。しかしそう簡単には薄利多売とまではいかないだろうから、故に経営としてはやはり厳しくならざるを得ないと思われる。」

鼎「そうでなくとも、ゲームメーカーというのは、構造上、自転車操業にならざるを得ないよね? かっぱえびせんを売るような企業と違って、基本的に一人の客が何個も買う商品ではないから。」

逆沢「あ、そうか。食品や消耗品なら、飽きられたりライバルにシェアを奪われない限り、何度でも買い直してくれるけど、ゲームや漫画本などは、一人につき一つあれば十分だから、どれだけヒット作を飛ばしても、それだけではいつまでも経営は続けられないのよね〜。一定間隔ごとにヒットを飛ばすか、毎回黒字を確保できるだけのクオリティーの作品を作り続けないと、いずれは廃業するしかない厳しい業界なのよね〜。」

鼎「オタクの世界で【保存用と鑑賞用と布教用で最低3個買う】なんて話も聞くけど、そんな人でもない限り、ゲームも本も、普通は一人1個しか買わないよね。」

愛原「そのネタは都市伝説にしか思えんわ。中には本気でそれを実行している猛者もいるかも知れんが、少なくとも売り手が一人につき3個ずつ買ってくれる事を前提にして商売するのは無謀だろう。」

逆沢「結局の所、ゲームメーカーは、常に作り続けるしか生き残る道はないって事か? しかも一人につき1個しか買ってくれないのを前提に。」

愛原「ところがブラゲ型だと、ビジネスモデルが根幹から変わる。ゲームセンターの課金ビジネスモデルと同じで、そのゲームが飽きられない限りにおいては、定額収入が継続して見込める。」

逆沢「それはでかいわね。人によっては、有料アイテムとかに手を出して、毎月ウン万円も投資してくれる客もいるだろうし。」

鼎「でもかっぱえびせんと違って、元はゲームだから、一つの作品で何年ももたせるのは難しいと思うけど・・・。オンラインゲームで何年も人気が続いているシリーズはごく一部に限られるし、今すごく話題になってる艦これとかも、2.3年後、今の人気が継続しているかどうかは分からないし。」

逆沢「そこいくと、かつてのストリートファイターUなんかは、神作品といえなくもないわね。どれだけの数のゲームセンターの経営を何年も助けたことやら。そのカプコンですら、最近はヒット作も出せずに苦戦してるみたいだけど。」

愛原「ゲームメーカーは、立ち止まったら死ぬ。過去にどれだけヒット作を飛ばそうが、何年も閑古鳥を鳴かせ続けてたら確実に死ぬ。漫画家のような個人事業者なら、一生遊んで暮らせるだけのヒットを飛ばせたら即引退しても逃げ切れる可能性は高いけど、ゲームメーカーはそうはいかない。(大ヒット作を飛ばした直後に会社を即売るかたたむ勇気があれば別だけど)逃げる事すらできない。まぁこの点に関しては、パケゲでもブラゲでも同じだが。」

逆沢「まさに修羅の世界ねー。ゲーム会社ってのは。」

鼎「ただそれでもビジネスモデルとしては、ブラゲの方がやっぱり安定性が高いという事になるのかな?」

愛原「そう断定まではできないが・・・。ブラゲ型の場合、どうやって課金させるか、そのノウハウが無いとどうにもならないだろうし。あと、ブラゲ開発会社同士での競争もあるだろうから、成功例だけを見て、安定性が高いとまでは断じたくはない。ただパケゲビジネスが、以前よりも相当厳しくなってるのも事実だが・・・。」

逆沢「ブラゲをビジネスとして成り立たせる上で課題になりそうな要素としては、何があるかな?」

愛原「まず開発費の回収までに時間がかかること。ブラゲだからと言って開発費が安く済む保証はどこにもないし、発売日までに開発費の大半を一気に回収できるようなシステムでもないから、黒字化するまでに時間がかかる。次にパッケージ詐欺が困難な事。つかみに失敗するだけでも客が逃げる可能性が高く、コンスタントに客を満足させ続けるノウハウが必要になる。」

逆沢「ま、パッケージ詐欺が起きにくいという点では、プラゲ型を高く評価するわ。同人本の表紙詐欺や、同人ソフトのスクリーンショット詐欺みたいなのは正直御免だから。」

鼎「けどコンスタントに客を満足させ続けるというのは、簡単そうに見えて難しいよね。ゲームってのは、結構飽きやすい所もあるから。」

愛原「ブラゲ型ゲームで、最も実績のあるゲームシステムとしては、まず対人プレイがあげられる。対戦プレイがメインであったり、あるいは逆に仲間と協力し合うシステムであったり、ライバルと比べっ子ができるシステムであったり。」

逆沢「ああ、ゲームセンターの経営モデルがまさにそれね。対戦プレイで客を引き寄せる。で、ライバルに勝つ事でチヤホヤされたいプレイヤーほど、深くはまると。」

鼎「よくあるMMOゲームでも、ライバルに羨望されたい欲求を刺激するタイプのゲームは多そうだよね。【俺のキャラはこんなに強いんだぞ】とか【俺のキャラはこんなレアアイテム持ってるんだぞ】とか、そういうのをさりげなく自慢できるシステムのゲームというか。」

逆沢「で、チヤホヤされたいプレイヤーほど、強くなったりレアアイテムを入手する為にたくさんお金を落としてくれるようになると。」

鼎「仲間と協力し合うゲームも、プレイヤーにゲームをやめさせない上で、すごくうまくできてる仕様だよね。自分一人だけ先にプレイをやめたら仲間が迷惑すると考える事で、いつまでもゲームをやめられなくなりやすいというか。」

愛原「どんなゲームでも、いずれは飽きが来る。その飽きをいかに遅らせるか? そういうノウハウがブラゲ型ビジネスには必要になる。その点では、パチンコやカジノなども、実によくできている。飽きさせない頻度で成功報酬を提示したり、ここでやめたらもったいないという心境にさせる工夫が実によくできている。ゲームに勝てばリアルマネーが増えるというのは、何にも増して蠱惑的な魅力がある。」

鼎「社会問題にもなったコンプガチャも、ここでやめたらもったいないという心理と、入手する事でライバルに羨望されたいという心理をうまくついてるよね。」

逆沢「よくよく考えたら、ブラゲ型ゲームのビジネスって、ギャンブルビジネスとほとんど変わらないじゃん。」

愛原「まぁ、そういう一面はあるかも知れん。あとブラゲ型ゲームの特徴としては、金銭的な敷居の低さだけでなく、実際にプレイする上での敷居の低さもあると思われる。携帯ゲームなんかで特に多く見られるが、とにかくいつでも気軽に始められる。また比較的気軽に中断・終了できる。そんなゲームの比率がパケゲ型ゲームと比べて明らかに多い。」

鼎「逆にパケゲ型ゲームは、どちらかというと大艦巨砲主義志向のゲームが多そうだよね。壮大なシナリオがウリであったり。クリアまでに必要な時間がすごく長い事がウリになってる作品が割と多そうというか。」

逆沢「つうかウン千円払って手に入れたゲームが、わずか数十分で終わったら、いくら何でも詐欺以外の何者でもないだろ?」

鼎「できるだけ長い時間遊ばせてくれる(クリアまで時間がかかる)ような壮大なゲームであればあるほど、高く評価されやすいというのも、バケゲ型ゲームの特徴といえそうだよね。」

愛原「もちろん格闘ゲームやシューティングゲームやパズルゲームなど、一回あたりのプレイ時間は決して長いとは限らないし、何度も何度も失敗を繰り返した後にようやくクリアまでたどり着けるようなジャンルもあるが、たとえそういうジャンルであっても、あまりに簡単すぎて試行錯誤の必要も無いまま、数十分でエンディングまでたどり着くようなゲームが喜ばれない点は一緒だろうな。ウン千円以上払った値打ち分以上の時間を楽しませる工夫が、パケゲでは割と要求される。」

逆沢「そしてほとんどのゲームの場合では、長い道を走破した後に、エンディングというか、最終勝利条件が明確に用意されているパターンが大半ね。で、エンディングにたどり着いたら、めでたくゲーム終了と。」

鼎「ブラゲ型ゲームとは、その点でも正反対だよね。MMOゲームなんかの場合は、その気になれば無限にゲームを続けられる仕様になってる事がほとんどだし。他のジャンルでも、何度でもプレイし直せる仕様になってるケースがほとんどだし。一回あたりのプレイ時間はパケゲ型と比べて短い例も多いけど、その代わり、何度でも遊び直せるというか、いつまでも遊び続けられるような仕様になってる事が多そうというか。」

逆沢「特に携帯ゲームは、その傾向が強そうな気がするわ。まとまった時間は取れないけど、ちょっと浮いた暇な時間を穴埋めするには向いてそうなゲームが、携帯ゲームでは特に人気のようだし。」

愛原「まとまった時間はないけど、隙間時間を埋めるには絶好という仕様は、社会人ゲーマー向きであるとも言えるな。」

逆沢「年齢を重ねるほど、気力が続きにくくなる事もあって、大艦巨砲主義の本格長編ゲームをプレイし続けるのがしんどいと考える高齢ゲーマーも多いだろうしね。」

鼎「少子化による若年ゲーマーの減少と、ゲーマーの平均年齢の上昇が重なっているのも、本格長編ゲームを多く含むパケゲ離れを推進させる原因に一つになってしまってるかも。」

愛原「俺は大艦巨砲主義のゲームは好きだけどなぁ。まぁ年齢の上昇に伴って、集中力が衰えてしまった分、詰め将棋並の思考難易度を要求するゲームや、記憶しなければならない要素が多すぎるゲームや、高い反射神経を要求するゲームに関して、心理的なハードルが高くなってしまっている点は認めざるを得ないが。」

逆沢「けどちょっとした息抜きができるゲームも嫌いではないでしょ?」

愛原「うん。マインスイーパや数独のようなゲームも、シンプルに大好きだぞ。ちょっとした暇つぶしにはうってつけだ。」

逆沢「そこに射幸心を煽る要素を付け加えたのが、ブラゲビジネスなんだろうけどね〜。」

愛原「マインスイーパや数独には、対人要素も萌え要素もエロ要素もリアルマネー要素もないから、そういう意味では安心だけどな。しかしそういう要素が加わると、色々ヤバい事くらいは想像がつく。」

鼎「他人に羨望のまなざしで見られたいとか、そういう事を考え出すと、無意識のうちに色々課金しちゃうようになってしまってるかも。ゲームセンターで多額のコインを投げ込んでいる人のように。」

逆沢「無論、きちんと対価を払う値打ちのあるゲームも多いだろうけど、その場の劣情をあおって次々と課金させるようなゲームはあまり好きになれないわ。10年くらい前にはやったインチキ出会い系ともイメージがかぶってしまうというか。」

愛原「ブラゲ型ゲーム全体を非難するつもりは毛頭ないが、どう見てもゲーム業界自体の品位をおとしめているとしか思えないようなビジネススタイルのゲームも、残念ながら多く見かけるのは事実。コンプガチャ商法なんかはその典型だし、割れサイトのスポンサーやってるようなブラゲ企業も不愉快だ。」

鼎「もちろんパッケージ詐欺みたいな事をやるパケゲメーカーもあるし、逆にすごく良心的なブラゲ作者もたくさんいて下さるのは事実だけど。」

愛原「うむ。それはその通り。フリゲ作者だけに限ってみても、最近はフリーのブラゲ作者さんもすごく増えた気がする。ブラゲだから、パケゲだからという理由だけで、善し悪しを断じるのは極めてナンセンスだ。」

逆沢「ただリアルマネーが絡んでくると、色々まずい事も出てくるからね。ブラゲでもパケゲでも詐欺的商法をやろうと思えばどちらでも可能だけど、被害の大きさを考えると、やはり現状ではブラゲに軍配があがるだろうから。

鼎「詐欺という観点で言えば、パケゲは粗悪品をだまして売るタイプの詐欺が可能だけど、こちらには被害限度額があるよね。一方、ブラゲの方は中毒症状に陥らせるパターンが多くて、被害額も甚大なものになりがちだし。」

逆沢「一月あたりの上限額を設定できる仕組みとか、密かに個人情報などを抜き取れない仕組みとか、そういうのを業界全体できちんと整備して欲しい気がするわ。それだけでもブラゲ型ゲームにつきまとう問題点の大半は改善すると思うし。現状では、携帯アプリ方面でもPCオンライン方面でも、まだまだ無法地帯だから。コンプガチャ問題も、騒がれた割りには骨抜きにされた感は否めないし。」

鼎「そしてパケゲ型業界も、不正防止対策に業界全体で力を入れて欲しいよね。たとえばマスコミ業界だと、業界全体でコピーワンスとかの対策を進めたおかげで不正コピーはかなり難しくなってるけど、それと同じような対策も可能かも知れないし。」

愛原「マスコミ業界における不正コピー対策は、家電メーカーなどに圧力をかけて、不正コピー不可能な製品しか流通させないような形で実現してるからなぁ(だからたとえば台湾などにいけば、B-CASカード一つとっても、日本で流通してないようなものが普通に流通している)。パケゲ業界が同じような事をやろうとするなら、マイクロソフト社や各種DVDプレスメーカーやDVDドライブメーカー等に圧力をかけて、絶対に誤爆しないコピープロテクトが可能なPCソフトやPCパーツしか流通させない方法を模索する形になるが、果たしてマイクロソフトなどが日本のパケゲ業界の圧力に屈してくれるかどうか・・・。」

逆沢「うーん。強大なマスコミ業界ですら日本国内のメーカーにしか特定の規格を強要できるような圧力をかけられないのに、ゲーム業界ごときに世界のメーカーに特定の規格の製品しか作らせないような圧力をかける力があるとは思えね〜。」

鼎「国や業界に圧力をかけるどうこう以前に、自分が生き残るのに精一杯な所ばかりのような気もするよね。」

愛原「【悪貨は良貨を駆逐する】という言葉があるが、まともな良作を作れるメーカーが、射幸心を煽るだけの拝金主義メーカーに駆逐され、利益が出ずにどんどん衰退していくような光景は正直みたくない。また一部の携帯ゲームや艦これなどだけを基準に、これが日本のゲームの最高峰とか、日本のゲームの技術力の限界などとも誤解されたくない。」

逆沢「最も売れてるゲームが最も素晴らしいゲームとは限らないからねー。最も売れてるハンバーガー屋が、最も素晴らしいハンバーガー屋とは限らないように。」

鼎「ハンバーガー屋に関しては、費用対効果に基づいて客が店を選んでいるからまだしも、単なる射幸心やブームだけで製品の善し悪しを語られるのは、ちょっと残念と思うかも。」

逆沢「けど危険ドラッグとかが蔓延しつつある日本の現状をみてると、今の日本人は刹那的な快感にすごく弱くなってるのかもねー。それが刹那的な興奮や快感をあおるタイプのゲームとも相性が良いのかもね。」

愛原「俺はじっくりと考えたり、回想しながら物語を味わったり、達成感や爽快感が長く続くゲームの方が大好きだけどな。ただ単に難易度が高いだけのゲームはしんどくなってるけど、麻薬的な興奮よりは、いい意味での余韻が長く続くようなゲームが今後も出続けて欲しいし、そういうゲームが今後も衰退することなく世に出てくれるような世の中であって欲しい。」



















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