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愛原様のたわごと(14年10月5日)







愛原「今回のテーマは【挫折(ざせつ)】。」

逆沢「どうでもいいけど、なんで普段は絶対つけないような読み仮名をつけた?」

愛原「単なる気まぐれだ。深く気にするな。まぁ日常会話では普通に使われるし意味も通るだろうけど、いざ漢字で書くとちょっと読みづらそうだし、かといって平仮名で書くとどうにも締まらない感じだったので、こういう感じにしてみた。まぁパソコンもワープロも何も無い、便利な漢字変換機能も無いような時代なら、もしかしたら俺も平仮名で書いてしまうかもしれん。」

鼎「鬱(うつ)とか、読むのは難しくないけど、いきなり書けと言われたらすごく難しいよね。」

逆沢「わたしゃ、新潟や栃木や愛媛でもいきなり書けと言われたらつらいわ。読むのは簡単だけど。」

愛原「ただ漢字変換機能があると、わざわざ難しい漢字を使う必要がない場面でも、変にインテリぶって変換キーを押したくなる時があるから困る。」

逆沢「厨二病入ったような小説家モドキの文章読んでると、不自然なまでに漢字変換しまくっている文章もあるけど、正直イラッ!としなくもないわ。」

鼎「でも私達も、ついつい漢字変換機能を多用したくなる時もあるし、逆に平仮名ばかりの文章でもすごく読みにくいから、バランスよく使っていきたいよね。」

愛原「まぁ今回は漢字変換機能について語りたい訳ではないから、とりあえず本題に戻していいか?」

逆沢「えーと、今回のテーマは挫折か? 大きな失敗をしたり、自分の無力を思い知らされたりして、ショックで打ちのめされているような状態の事か?」

鼎「辞書的な意味で言えば、何か上手くいかない事が生じた状態、もしくはそれが原因で意欲を無くした状態の事を指すみたいだよね。」

逆沢「私的には、上手くいかなかった状態というのは単なる失敗挫折というのはその失敗が原因でクヨクヨしたり、自信喪失したり、自暴自棄になったり、諦めたり、気力や闘志を失ったり、そういう状態の事を呼びたいわ。失敗しても、すぐに立ち上がったり、吹っ切れたり、リベンジを誓ってさらに燃え上がるような人には、挫折という言葉は使いたくないし。」

鼎「世間での挫折のイメージも、多分そんな感じだよね。単に上手くいかなかっただけではなくて、その失敗を悪い意味で引きずった状態の方が、いかにも挫折しましたという感じがしなくもないし。」

愛原「まぁいつまでもクヨクヨしたままでは困るし、いつかは吹っ切れてもらわなければ困る訳だが、人間誰しも、長い人生を生きていれば、挫折経験の一つや二つはあってもおかしくないと思う。」

逆沢「あー、受験に失敗したり、恋愛や就職に失敗したり、あるいは新しい学校や職場で己の力の限界を思い知らされたり、色んな理由で挫折をしてもおかしくはないわね。」

鼎「でも本気で挫折できる人というのは、本気で頑張った人でもあるような気がするよ。本気で頑張って、それでも上手くいかなければ、ショックも大きいだろうけど、適当にやってて上手くいかなくても、そんなにはショックを受けないような気もするし。」

逆沢「本気を出さない人は【俺だって本気を出せば・・・】って言い訳する事で安心できちゃうからねー。まぁ怠慢な日常を続けたあげく、あまりにも上手くいかない状態が長く続いたなら、【本気を出せない自分】とか【努力できない自分】に対して自己嫌悪感というか、ある種の挫折感を感じるようになるかも知れないけど。」

愛原「挫折状態というのは、ある意味、自分の可能性を信じられない状態でもあると思う。自分の可能性を信じられる状態ならば、たとえ上手くいかなくても【自分はまだまだやれる】と信じて、何度でも立ち上がれる。吹っ切れる。失敗も糧にしてさらに燃え上がる事もある。また怠慢な人であっても【今までは本気を出していないから上手くいかなかっただけで、本気を出せば上手くいく自分】を信じる事ができる。しかし頑張っても頑張っても上手くいかない現実を思い知らされた時。もしくは頑張れない、本気モードになれないダメダメな自分に気づいてしまった時。人は自分の可能性を信じられなくなり、挫折感を味わうような気もする。」

逆沢「努力できない自分に絶望するのはただの怠け者の自業自得のような気がしなくもないけど、本気で努力しても努力しても上手くいかない自分に絶望せざるを得ないのは、ちょっと切ないわねー。」

鼎「でも最近は、挫折を味わいたくないから、勝負自体しないという人も増えているそうだよね。傷つくのが怖いから恋愛もしない。実力の底が見えるのが怖いから本気で競争ごとにも打ち込まない。本気にならなければ、自分の力の限界を思い知らずに済むから、わざと本気にならず、クールを気取るような人が増えているような気がするというか。」

愛原「まぁ自分の底が見えるのは、確かに怖いわな。本気で努力してそれで最下位だったりしたら、さすがに誰でもヘコむ。だから勝ち目の薄い勝負は割けるというか、仮に勝負事に巻き込まれても、決して本気のそぶりを見せず、誰にも自分の底を見せようとしない人も少なからずいそうではある。」

逆沢「体育の授業の時に、メタボ体型の同級生の中にやたらチンタラ走ってる奴がいたけど、あれも自分の底を見せたくないから、わざとチンタラしてたのかもとか思ったわ。全力で走って、それでも最下位だったらあまりにも悲しいと思ったからかも知れないけど。」

愛原「勉強の方でも、勉強が苦手であるにも関わらず、ロクに宿題もせずにゲームセンターに入り浸っているような者には、そういう心理の者がいるかも知れないな。故意に本気を出さない事で、自分の底を誰にも見せず、かつ自分の可能性を信じられる状態を保つ上では有効なのかも知れんが。」

鼎「私はダメでも全力で観張る人の方が好きだよ。今はダメでも頑張り続ければいずれ力もついて、徐々に結果も出るようになる事も多いし。」

愛原「その通りだな。痩せようと思って努力を始めたからといってすぐに痩せられるはずがないように、努力したからといってすぐに結果が出るものでもないが、何度失敗しても、その度に立ち上がって頑張り続ける事で、少しずつ成功に近づいていくという事も、世の中には多いからな。」

逆沢「けど頑張り続けても上手くいく可能性が信じられなくなっちゃうからこそ、挫折するんでしょうが。もしくはそこまで頑張り続けられる自分の姿が信じられなくなるか。」

鼎「挫折というのは、人間不信ではなく、自分不信というか、自分自身が信じられなくなるから起きてしまうものなのかなぁ?」

愛原「誰でも自分自身を否定するような事はしたくない。だが、いや、だからこそ、自分自身を信じられなくなった時のショックは大きい。その場から逃げ出したくもなる。どこに引きこもりたくもなる。誰にも会いたくなくもなる。」

鼎「ファンタジー世界でも、主人公や仲間キャラが挫折するシーンは珍しくないけど、そんなパターンばかりな気がしてきたかも。【もう俺の事は放ってくれ!】とばかりに叫んで自暴自棄になって、仲間が励ましたり引き留めようとしても、ダッとその場から走り去って、どこかの部屋の隅とかに引きこもったりとか。」

逆沢「おいおい。もしかしてネットでしばしば登場する【引きこもり】と言われる人達は、挫折した人間のなれの果てって事か?」

鼎「けど現実世界でもファンタジー世界でも、挫折シーンと引きこもりシーンは、すごく相性が良さそうな気がしなくも無いけど。」

逆沢「そんな軟弱な輩は、思いっきりひっぱたいて、早急に立ち直らせないと駄目ね。」

愛原「乱暴な奴だなぁ。」

逆沢「けどファンタジーの世界では、挫折して引きこもっている主人公を立ち直らせる方法で最もメジャーなんじゃないの? ひっぱたいたり、殴り飛ばしてやる事で、いつまでもいじけてる主人公を立ち直らせるというのは。親父にもぶたれた事のない顔を思いっきりぴしゃりみたいに。」

鼎「ショック療法というのかな? あえて突き放すような憎まれ口を叩いてみせたり、色々挑発して、いじけてる相手を怒らせる事で、相手の気力や闘志を一気に回復させるシーンは、割と見なくもないよね。」

逆沢「そうそう♪ いつまでもいじけて引きこもっているような駄目人間は、とりあえず相手がその気になるまで何度でも殴り飛ばすに限る♪」

愛原「それで相手が、こちらの手の届かない程の奥にまで引きこもってしまったら、今度はどうすんだ?」

逆沢「知ラネ。そんな駄目人間なんか、もう構ってる暇なんかないっしょ。無視してたら、その内、向こうから出てくるんじゃねえの? 天岩戸(あまのいわと)の神話のネタじゃないけど、こちらはこちらで、引きこもりの存在なんか忘れてどんちゃん騒ぎしてりゃいいのよ。その内、引きこもりに飽きた向こうの方から首出して来るから。」

鼎「天岩戸の話は、北風と太陽を彷彿させるいいお話だよね。」

愛原「現実に天岩戸の逸話を再現しようとしたら、引きこもりがナイフを片手に、どんちゃん祭りに乱入して事件を起こす可能性も無くはないだろうけどな。【自分はこんなにつらい思いをしてるのに誰も俺に構ってくれないし、それどころか幸福そうにしているあいつらは許せない! 殺してやる!】みたいに。」

逆沢「おいおい。引きこもりを犯罪者予備軍の扱いみたいにするな。そんな物騒な思考をする奴は100人に一人もおらんわ。」

愛原「そうか。ならいいんだが。」

逆沢「おい、いいのかよ!? 自分で流れ作っておいてなんだけど、そういうオチにされるとすごく困るんだけど。ってか、たとえ100人に一人以下でも大迷惑には変わりないんだけど。」

鼎「じゃあ挫折した人を立ち直らせるにはどうすればいいのかな? もちろん自分一人で挫折感を克服して、一人で立ち直ってくれるのが一番いいんだけど。」

愛原「ファンタジーの世界では、挫折した主人公が自然に立ち直るのを悠長に待っている余裕がないようなシーンも無くは無いからな。一刻も早く主人公に立ち直ってもらって、すぐにでも戦線に復帰してもらわないとならないシーンとか。」

逆沢「うーん。殴っても蹴っても駄目なら、陳腐だけど愛の力で訴えるしかねーんじゃねえの? 可愛いヒロインが挫折している主人公の元に駆けつけて、【お願い!私のために頑張って!】とか【私も手伝うから、一緒に頑張ろう!】と励ましたりとか。あるいは頼りになる上官が【責任は全てワシが取る。だからお前は安心して暴れ回ってこい!】と、失敗した際のリスクを引き受ける覚悟を示す事で、安心させてみせるとか。あるいはもっとシンプルに、ひたすら褒めちぎったり、あるいは【もう駄目だと思ってるかも知れないが、実は後一歩の所まで来ている。ここでやめたら絶対もったいない】と、成功報酬が間近にある事をにおわせたり。」

愛原「うーん。心理学的にいえば、可愛いヒロインによる励まし行為や、成功まで後一歩と思わせる行為は一種の報酬による釣りだな。ヒロインと仲良くなれると思わせたり、報酬が目前にある事を暗に示す事で頑張る気にさせる。後者の上司による励ましは、失敗しても責任を取らなくていいと思わせる事で安心感を植え付けて、リスクを怖れず前向きに頑張る気にさせる効果が見込めそうだ。」

鼎「挫折に至る原因には、努力しても報われない事による不安や絶望感があるからだとも思うし、逆をいえば報酬が目の前にある事を示されたり、失敗する事による不安やリスクを怖れずにいられる環境が用意されていれば、人は挫折から容易に立ち直れるという事かも知れないね。」

愛原「しかし随分と他力本願な立ち直り方だな。よっぽど可愛い女の子とか、恵まれた上司とか、そういうのが身近にいないととても実現できなそうだ。」

鼎「それと素直な性格の人相手でないと、その手の説得は難しいような気もするよ。ファンタジーの世界でも、その手の説得が通じやすいのは、素直が取り柄のヒロインとか、馬鹿正直が取り柄の熱血ヒーローとか、そんなキャラクターが多めで、逆に皮肉屋や理屈屋には効きにくい気もするし。」

愛原「皮肉屋や理屈屋は、言葉の裏を読もうとするからな。安直に報酬やリスクの引き受けを口にしても、とりあえず疑ってみせたり、言質を取ろうとしたがるから、説得する側からしたら面倒くさいし、それ以上にしらける。なんでこんな打算思考のクズの為に、こちらが責任をかぶるリスクを犯したり、報酬を用意しなければならないのかみたいな気分にすらなりかねない。はじめは落ち込んでいる仲間を助けるために一肌脱いでやろうと思っていても、あまりグダグダ言われると、だんだん嫌になってくる気持ちは正直分かる。」

鼎「結局の所、励ましだけで効果的に心を癒やせるのは、ある程度以上心が綺麗で素直な人だけに限られるのかな?」

逆沢「つうか何でも物事を素直に受け取れないようなニヒルな奴は、殴って立ち直らせるシーンの方がずっと似合うわ。ワイルドダンディーに。」

鼎「愛(or報酬)の力が有効なのか、ショック療法が有効なのかは、その人次第なんだろうけど、どちらにしても他人の協力あってのものだから、自分が落ち込んだ時に自分のために骨を折ってくれるように、日頃の人間関係は大事にしたいと思ったかも。」

愛原「まぁ一番理想なのは、あくまで自力で立ち直る事なんだろうけどな。」

逆沢「つうか自力で挫折から立ち直るには、もうその人自身の資質の問題になっちゃうからねー。精神力や意志力やバイタリティーの旺盛な人なら、放っておいてもすぐに立ち直るだろうけど。」

鼎「逆の発想もあるよ。植木等さんが歌って有名になった【そのうち、なんとかなるだろう♪】って歌詞があるけど、こういう前向きで脳天気な発想が出来る人なら、簡単には挫折しないだろうし、挫折してもすぐに立ち直れそうな気もするし。」

愛原「青島幸男作詞の【黙って俺について来い】のワンフレーズだな。【ゼニのない奴ぁ、俺んとこに来い。俺も無いけど心配すんな!】で始まる脳天気な作詞作曲が実に素晴らしい。つうか他にも有名なスーダラ節をはじめとした青島&植木の名曲は、本当に脳天気で素晴らしいものばかりだ。」

逆沢「勤勉で前向きな人が挫折防止の為に歌うのはいいけど、既に引きこもっている人が歌うと、充実した引きこもりライフを満喫してしまいそうで、なんか怖いわ♪」

愛原「ま、社会に害悪をもたらさないのなら、俺はそれでも別に構わないと思うけどな。別に働く事を無条件に美徳として、引きこもる行為を無条件に悪徳と呼ぶ趣味は特にない。十分働けるはずなのに生活保護を受けていたり、ネットで汚い書き込みを続けているようなのは。社会に実害を与えているのでNGだが、普通に親の好意の元にスネをかじって大人しくしているだけなら別に構わん。他人に迷惑をかけていない限りは、他者の生き様にいちいちケチをつける気は毛頭ない。本人が病む事もなく充実したニート生活を送っているだけなら、それはそれで俺的には一応OKだ。」

逆沢「わたしゃ嫌だけど、私も他人の考えに無闇に干渉する気もないし、あんたがそう思う分には別に構わんわ。」

鼎「しかし一つ気になる事があるんだけど、人が挫折に至った場合、ただ引きこもるだけなのかなぁ? ファンタジーの世界では、すぐに立ち直っちゃう事が多いからいまいちイメージしにくいんだけど。」

逆沢「うーん。情緒不安になって、暴れる。八つ当たりする。逆恨みするみたいな事くらいはあるんじゃないの?」

愛原「さて、挫折のメカニズムを語る上で、とある容疑者Xの人生がすごく気になったので、色んな推測も交えながらちょっと取り上げてみたいと思う。新聞記事に載ってた内容を参考にしながら、色々な仮説を展開してみせたい。」

逆沢「とある容疑者Xって誰の事だ?」

愛原「名前を出したくないからXにしてるんだから察しろ。そもそも犯罪が確定した訳でもないし、罪とされる事件の内容について触れるつもりもないからこれでいいのだ。俺が気になったのは、あくまでそれまでのXの人生の歩みについてだからな。」

鼎「そのXさんは、どんな挫折を体験したのかな?」

愛原「本人が挫折と感じたかどうかは不明だが、高校卒業後自衛隊に入るも2年で退官。任期からすると中途脱退だろう。その後も地元で食品メーカーやパチンコ店などを転々。のち、関東・関西などに移動。暴力団の構成員になったり、風俗店の店員になったり。今の住所に移り住んでからは生活保護を受けながら、昼夜問わず酒浸りの毎日。近隣住民とのトラブルは絶えず、路上で大声を上げたり、近所の主婦につばを吐きかけたり、苦情を言いに来た住民を恫喝したり。その一方でネットでFXやったり嫁探ししたり、グリーに登録して友達募集したり。またそれとは別に教会に礼拝に訪れたり。」

逆沢「・・・おいおい。誰の事か、余裕で分かったぞ。確か生活保護受けてるだけじゃなくて、近年になって発達障害か何かで精神障害の手帳受けてたとか、去年の5月に刑務所から出所したとか、中には強姦容疑で捕まったなんてネットの噂もあるけど、そいつの事じゃねえのか?」

愛原「強姦容疑だと行方不明期間や出所時期が量刑と比較して全く合わないし、ちゃんとソースもないみたいだから、ほぼ間違いなくガセだろう。精神障害者手帳を持っていたとされる点に関してはまぁ不思議とも思わないが、仮に発達障害としてならば、佐村河内氏ばりとまでは言わないが、不正の疑いの声もゼロではない。実は精神障害手帳の認定基準は各都道府県で異なるのだが、兵庫県の基準は激甘で(二次障害がない単純な発達障害だけでは取得不可能な自治体もある中)、なんと他の知的障害を伴わない発達障害単独でも3級くらいは簡単に取れてしまう(ついでにいうと発達障害の認定基準自体も、実はザルである)。そして手帳があると生活保護を受けやすくなったりする。」

鼎「私が想像した人だと、確か学生時代は部活でキャプテンか何かやってたらしいし、それなりには優秀な人だった可能性も感じたんだけど。ゴミ屋敷を形成して近所に迷惑をかけていたという報道もある一方で、自宅には机とパソコンくらいしかないという報道もあったような気がするよ。」

逆沢「生活保護受けてる一方で、酒食らう人だけならよく聞くけど、さらにFXやったり彼女や友達募集したり、ネット三昧の生活って、ネット中毒者でもあるんじゃねえのかとも思ってしまったわ。」

愛原「最初に言っておくが、別にX氏の普段の素行を責めるとか、そんなつもりは毛頭無いぞ。俺が興味をもったのは、もっと別の部分。あまりにも波瀾万丈というか、引きこもりとは真逆ともいえる、あまりにも広すぎる行動範囲の部分だ。」

逆沢「ああ、言われてみれば、決して引きこもってなんかいないわね。良い悪いは別にして、職を選ばなすぎるというか、自衛隊から食品メーカーから風俗店員から暴力団構成員まで、何でもアリ過ぎるというか。今時のニートに、お前らももう少しXみたいに頑張って職探せって言いたくなるレベルというか。」

鼎「私は教会を訪れた事もあるという部分が一番気になったかな? それとネットで友達募集してたという部分。ご近所トラブルや職歴から粗暴なイメージもあったんだけど、そのイメージと違う感じがするというか。」

逆沢「意外と寂しがり屋だったのかねー? あるいは誰かに救いを求めたかったとか、悩みを聞いて欲しかったとか。大した用もないのに去年から今年にかけて260回も110番通報していたなんて事も、新聞記事に載ってる有様だし。」

鼎「でもその一方で、近所の人を恫喝したりして、色々迷惑をかけていたという記事もあるよ。」

逆沢「構ってちゃんだったんじゃねえの? 子供でも、誰かの目を引くためにわざと問題を起こす子っているじゃない?」

愛原「昼夜問わず酒浸りだったいう点などに関しては、どう思った?」

逆沢「嫌な現実を忘れる為の現実逃避じゃねえの? ネットにはまってたのも、現実逃避したかったと考えたら辻褄は合うし。ネット弁慶といわれる人も、リアルの人間像とは真逆の上から目線を好む人が多いけど、リアルから現実逃避して、自分が大きくなった気になるには格好のツールだし。」

鼎「最終的には生活保護と酒&ネットまみれの人生になっちゃったんだろうけど、それまでは良い悪いは別にして、必死で生きようとしていた感じが伝わらなくもないし、ちょっと考えさせられるような部分もあったかも。」

逆沢「警察だろうが、ヤクザだろうが、牧師だろうが、誰でもいいから話を聞いて欲しかったとすれば、単なる引きこもりでも無い感じではあるわね。ネットで友達募集してたのも、ご近所で色んな人にからみまくっていたのも、自分という存在に関心を持って、正面から向き合ってくれる人が欲しかったのかも知れないし。」

鼎「誰でも良ければ、お悩み無料電話相談とかでも良さそうな気もするけど、そういうのにはコンタクト取ったのかな?」

愛原「ただ最終的には、本人次第というのはあるからなぁ。警察にしろ牧師にしろ友人にしろ無料相談員にしろ、、どれだけ真摯に相談に乗ってあげたとしても、本人が正面からその忠告を受けとめる気がなければ、こちらがどれだけ正面からアドバイスしても意味がないというのはある。」

逆沢「自分に都合のいい答えだけを期待してるのかもしれないけど、本当にまともなアドバイザーなら、中身のない甘言だけのアドバイスは無闇にしないし、最終的には詐欺師や悪徳宗教の餌食になるだけの気がするわ。詐欺師や悪徳宗教は、甘い言葉で相手をその気にさせて【私の言う通りにしていたら、貴方はきっと幸せになりますよ】みたいな誘いを最も得意としているから。」

愛原「人が新興宗教や占い師に最もハマるのは、本当に悩んでいたり、落ち込んでいたり、将来の不安に頭が痛くなってる時だからな。藁にすがる思いで新興宗教や占い師に相談して、そのまま彼らの餌食になってしまう。もちろん新興宗教や占い師の全てが邪悪などというつもりはないが、その善し悪しを見抜くのは簡単ではないからな。」

逆沢「【レッツゴー!陰陽師】の歌詞を思い出したわ。【辛い時、悲しい時。人はそんな時、心の隙間に闇が出来る。その心の闇に魔物達は容赦無く入り込んでくるのだ。だから苦しくても挫けるな、落ち込むな、くよくよするな。何事にも屈しない強靭な心こそが、最強の武器なのだから!】というフレーズが途中に登場するんだけど、こういう時に詐欺師やヤクザという名の魔物が甘言を弄して、その人の心の闇の中に入り込んでくるんだろうなぁと。」

鼎「一時期暴力団に所属して、その直後に出所するまでの間、行方不明(おそらく服役)になってたのも、悪い人にだまされて悪事の片棒でも担いじゃったのかなぁとも思ったかも。」

逆沢「誰かに頼って立ち直りたかったのかもしれないけど、他力本願ってのが、そもそもの間違いな気もするわ。良い人に恵まれればいいけど、実際には赤の他人の心の隙間に率先して入り込んで来るのは、ロクでもない人だけのような気もするし。仮にまともな警察官や牧師さんが誠実にアドバイスしたところで、耳に痛いアドバイスは全て受け流して、耳に優しい甘言だけを受け容れるような人柄だと、どう頑張っても最終的には悪い人の言いなりにしかならないだろうしね。」

鼎「新聞記事では、牧師さんのお話を聞くや否や逃げるようなそぶりをみせて、目も合わせず手も震わせて、出された食事にもほとんど手を付けずじまいだったらしいけど・・・。」

逆沢「そりゃ駄目だわ。自分に都合のいい回答だけが欲しくて、そういう甘い回答してくれる誰かを求めて、さまよってるのが明らかすぎるというか。つうか他力本願自体をやめろよと、アドバイスしたくなるわ。」

愛原「自分に自信を持てないから、他人に頼りがちになる。これはまぁ理解できなくもない。しかし他人の厳しい諫言には耳を貸さずに、甘言だけを求めるとなると、これはどう対応したらいいのか? 本当に悩ましい問題だ。」

鼎「ただ他人の厳しい諫言を正面から受けとめられるだけの精神力の強さがあれば、他力本願にならずとも自力で挫折状態から復帰できるような気がしなくもないけど・・・。」

逆沢「失敗による挫折は成功体験によって打ち消せるんだから、成功するまで頑張ればいいのにって、私なんかは思っちゃうけどね。もちろんあり得ないような高い目標を掲げたら、永久に成功しないまま、寿命が尽きてしまうだろうけど。」

愛原「低い目標を掲げると志が低いと怒られるかも知れんが、そんなものは自己満足目的なんだから、他人がどうこう言う問題じゃない。ダイエット目的の市民ランナーに向かって【世界を目指さないなんて志が低い】と言ったらあきれられるだけだし、誰もが東大京大を目指す必要は無いし、甲子園優勝が最終目標であっても、それ以外はみんな敗者という考え方は、あまりにも不健康だ。重要なのは本人が満足すること。どんな形でも満足できれば、人は幸せになれる。」

鼎「年収1000万円以上でも不満たらたらの人もいる一方で、年収300万以下でもそれなりに充実した日々を送っている人もいるよね。志の問題で言えばあれだけど、本人の幸せという意味では、後者の方がいいと思ったかも。」

逆沢「高い目標に挑むのは、低い目標をクリアしてからでも遅くはないからねー。まずは一回戦で勝つ。そして喜ぶ。次に2回戦でも勝つ。また喜ぶ!の繰り返しでもいいわけで。優勝できなければ一回戦負けと同じとか思っちゃうとストレスもたまるけど、そもそもそれは己の身の程をわきまえず、ありえない目標を掲げて、勝手に挫折して、勝手にストレスをためた奴が悪いだけだし。もう自業自得としか言えないというか。」

愛原「過去に勝手に婚活で撃沈して、己の身の程もわきまえずに婚活システムに対して逆恨みしてる奴を見つけた事があるが、ああいうのも目標が高すぎるクチだろうな。普通にしてたら誰でも結婚できるとか、誰でも合格できるとか、そんな風に考えるから、うまくいかない時に腹が立つ。絶望する。妊娠したら無事に赤ん坊が産まれて当たり前と思うから、流産した際に病院を訴えたくもなるが、よくよく調べてみたらかかりつけの産婦人科も持たずに定期検診すら受けていない例もあるし、そもそも子供は誰でも安全に産めるものではなく、人生有数の難事だという事すら分かっていない。普通に生きてたら、普通に進学して、就職して、結婚して、ちゃんと子供も立派に育って、円満な家庭も気づけて、定年まで無事に働けて、老後も悠々と、それが当たり前と思うから、うまくいかなかった時の挫折感も半端なくなるが、そもそもそれ自体が高すぎる目標なんだ。もちろん人生の浮沈には多分に運や環境がからむから、順風な人生を歩んでいる人間が必ずしも優秀で、そうでない人間が劣等って訳じゃないぞ。どれだけ真面目に誠実に精一杯努力して生きていても、会社が倒産したり、親の介護に苦しんだり、隣に良くない人が引っ越してきたり、子供に振り回されたりして、ほんのちょっとしたきっかけで人生を棒に振る人もいる。」

逆沢「人間誰でも、不幸になる時はなるし、挫折感を味わう時もあると。」

鼎「そういう時は、もう開き直るしかないよね。いつまでもクヨクヨしてても、それで状況が改善するわけじゃないし。」

逆沢「他力本願で立ち直る事を期待しても、本人に他人の苦言を受け容れる度量がなければ結局意味はないし、どっちにしろ最終的には本人の問題になっちゃうしね。闘志をもって立ち上がれるならそれに超した事は無いけど、それができないなら青島幸男&植木等流に開き直って生きるのも、一つの方法と。」

愛原「逆にやってはいけないのは、自分が上手くいかない理由を考えすぎて、しかも他人や病気に責任転嫁するやり方だな。上手くいかない理由を分析した結果、自分に落ち度があると思えれば、努力して克服するきっかけにできる。しかし他人のせいとか社会のせいにしてしまうと、(他人や社会を簡単に変えられるはずがないから)他者を逆恨みしながら、永久に不満を抱える羽目になる。」

逆沢「そういえばXも、精神障害者手帳もらってたみたいだけど、自分が上手くいかない理由作りというか、逃げ道作りにしたのかな? 自分が上手くいかないのは病気のせいだみたいに。」

愛原「昔から家族や周囲から精神病院行けと言われる程、明らかに普段から挙動不審なら話は別だが、仮に発達障害でそのレベルなら少年の頃から既に問題視されてただろうし、おそらく深刻視されるレベルではないと、俺個人は思っているけどな。大体少々、空気が読めないとか言われてても、それなりに生活を営んでいる者も多いし、X氏にしても、仮に人生がもう少し自分の期待に添えるものだったなら、まず自発的に病院に行ってわざわざ精神鑑定してもらう事もなかっただろう。」

逆沢「人生がそれなりにうまく行ってるのに、自分からわざわざ【私は精神障害者です】と自己申告するメリットなんかまず無いからねー。そりゃ、まぁそうだ。」

愛原「仮に本当にヤバいレベルの発達障害だったら養護学校卒でもおかしくないし、軽度の発達障害程度ではまず障害者手帳自体を発行しない都道府県も多いのは、そういう理由だ。まして学生時代のX氏は、それなりにはイケた人生だったみたいだし、精神障害で障害者手帳と言われても、もうちょっと事情を説明してもらわないと、現状では違和感がないと言えば嘘になる。」

鼎「けど病気のせいにしちゃうと、悪い意味で開き直っちゃうよね。病気を逃げ道の言い訳に使って、挫折感を克服しないまま、酒浸りでネット中毒な毎日におぼれかねないというか。」

愛原「本来のX氏は、職歴の広さなどから判断する限り、凡人よりもはるかにアグレッシブな生き方もできたはずだが、精神障害者手帳をもらって以降、職探しもロクにしないように変わったのか、完全に逃げの人生に入ったようですごく残念だ。挫折を克服するのではなく、他人や病気のせいにしてしまった事で、克服の意思を削がれたようで本当に残念でならない。」

逆沢「他人のせいにするような人が挫折感を克服せずに、心の奥に不満をため込み続けると、いつか社会に対して牙をむきそうで怖いわ。ああ、もうむいてしまったか?」

愛原「まだ有罪無罪も確定していないし、事件の話はしないと最初に断ったのに・・・。という訳でこの話はこれで終わり。ただファンタジーの世界でも、挫折感を克服しないまま、歪んだ妄想を根拠に【この腐った世の中を壊してやる】とか【人類なんか滅べばいいんだ】とか言って、社会に対して牙をむくようなのは悪役の典型だ。そもそも挫折は誰でもしうるものなんだから、もっと我々は気楽に構えたいもんだな。」

















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