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愛原様のたわごと(14年11月16日)






愛原「前回のたわごとコーナーの内容を覚えているか?」

逆沢「確か小渕優子の不祥事の話だったか?」

愛原「それは前振りのネタであって本題ではないのだが・・・。まぁそっちの方が印象に残ってるのなら、それはそれで構わない。」

鼎「けどたった2週間で金権スキャンダルの話は隅に追いやられて、今ではすっかり解散総選挙の話題一色だよね。2週間前は、解散のかの字も話題になってなかったのに。」

逆沢「一部の跳ね返りが、金権スキャンダルごときで国会審議を止めるなとか騒いでたけど、解散風が吹いた途端にダンマリになったのが何ともおかしいわ。解散モードになったら1ヶ月はまるまる国会機能は停止するのに、そっちは構わんのかと問い詰めたい心境というか。」

愛原「少し前に橋下徹大阪府知事が大阪都構想を争点に出直し選挙に打って出たが、その時、マスコミはこぞって【選挙にかかる税金が無駄】だの【まだ任期がかなり残ってるのに】だの【解散する大義がない】だの騒いでたが、同じような批判がこれっぽちも出ないのも、不自然を通り越して不気味だな。とあるコメンテーターが【解散権は総理の専権事項】とか【解散に関するウソは許される】だのテレビで発言してたが、そういうコメンテーターの発言をも是とするテレビ局の二枚舌対応ぶりに失笑を禁じ得なかった。」

鼎「私が観た番組では、過去の中曽根政権時代の寝たふり解散の例を持ち出して、その不意打ち解散劇ぶりを【策士】と褒め称えてたよ。橋下知事の時は【卑怯】とか【独裁的手法】とすごく批判されてたけど。」

逆沢「ものは言いようね−。だまし討ちを否定したい側からすれば【卑怯】になるけど、肯定したい側からすると【あっぱれな知将の策】って事になるわけね。」

愛原「俺としてはどう解釈しようがそれ自体は構わんが、ダブルスタンダードだけはやめろと言いたい。」

鼎「銀英伝のバグダッシュ大佐の名セリフを思い出したかも。【主義主張なんてものは生きるための方便です。それが生きるのに邪魔なら捨て去るだけのこと】というセリフなんだけど。」

逆沢「テレビのコメンテーターもまさにそれね。もっともらしく主義主張を展開してるけど、都合が悪くなったら、過去の自分の言動は無かった事にして、平気な顔で正反対の主義主張をもっともらしく展開しまくったりして。」

愛原「俺はバグダッシュ大佐は好きだぞ。確かに彼はご都合主義者ではあるが、それを隠さないから好感が持てる。テレビのコメンテーターの場合は、正論主義の仮面をかぶったまま、平気で主義主張を使い分けるから不快な者も多いけどな。」

逆沢「あはは。そりゃしゃあない。解説者という職業は、タテマエ上、正論を主張すべき仕事だから【これは自分に都合のいい方便でしかありませんよ。都合が悪くなれば今言った事を無かった事にしてしまいますよ。所詮、中身のない方便なのだから、私の言う事を真に受けたら駄目ですよ】って言う訳にはいかないし。」

愛原「その点、バグダッシュ大佐は自分の主義主張を隠す事なく【方便】と言い切っているから素晴らしい。カッコいい!」

逆沢「おいおい。カッコいいのかよ?!」

愛原「カッコいいな。少なくとも俺には無理な生き方だ。というか俺を含む凡人にはまず不可能な生き方だ。凡人は常に自分を美化したがるから、何をするにもいちいち理由をつけたがる。もっともらしい主義主張をつけたがる。もちろん主義主張が一貫できれば、それはとても素晴らしく尊敬できる生き方なのだろうが、残念ながら凡人にはそれができない。その結果、どんな崇高な主義主張も、ただの方便に成り下がる例も珍しくない。で、それを方便と自覚できる人間ならまだ救いがあるのだが、残念ながら凡人は、自分の方便を崇高な主義主張と思いたがるが故に、気がついたら真面目な顔をして壮大な二枚舌をやらかしてしまう事も珍しくない。第三者からしたら信用に足らない二枚舌野郎でしかないのだが、本人だけは大真面目に論理展開してるつもりになっていたりとか。」

鼎「でも本当に解散しちゃうのかな? まだ任期を半分も残してるし、解散の大義名分も全く分からないのだけど。」

逆沢「その大義名分を今、考え中なんじゃないの? もっともらしい大義名分を思いついたら、その時、いよいよ解散に踏み切るという形で。いやあ、こうしてみると選挙の大義名分も、所詮方便に過ぎないって事かねー?」

鼎「タテマエとしての大義名分はともかくとして、本音として、解散したい理由は何なのかなぁ? 前の選挙で勝ちすぎたせいもあって、今より与党の議席をさらに伸ばすのは難しそうだし。それに金権スキャンダルなどで支持率が下がっている今のタイミングで解散しなくても、もっと解散しやすいチャンスは後で何度でも訪れそうな気もするのに。」

愛原「まぁ真面目な話をすると、総理が解散権を行使するタイミングは3つしかない。一つは与党に有利なタイミング。支持率が上向いている時とか、これから国民が喜ぶような争点・公約などが整備されている時など。戦後の解散劇のほとんどは、このパターンだな。誰だって、自分が有利なタイミングで選挙をしたいだろうから、当然の理由だが。」

逆沢「2つ目は?」

愛原「2つ目は、国会が行き詰まってしまった時。小泉総理の時の郵政解散などが代表例だな。もっと古い典型例を出せば、大平内閣の時とか。といっても大平内閣は昭和50年代初めの頃だから、戦後政治史のマニアでないとピンと来ないだろうけども。まぁ大平の時も小泉の時も、与党がパックリ割れて、ガラガラポンする意味で行われた点については共通だ。」

鼎「大平内閣の時は生まれてもないから知らないけど、小泉内閣の時は、郵政民営化に反対する自民党議員がすごく多く出て、与党がパックリ割れて審議が前に進まなくなったから、じゃあ国民に判断を決めてもらおうという大義名分で行われた選挙だったよね。」

愛原「大平内閣の時は、派閥争いが原因だったようだけどな。反主流派を自民党非公認にして潰してやろうという意図で行われた、内輪もめ喧嘩選挙そのものだった。肝心の大平総理が選挙期間中に死んだから、ますます争点がぼやけて、うやむやに終わったけどな。ただ歴史的にみれば、この2つ目のパターンはかなり珍しい。少なくとも与党が割れるような非常事態にならないと起こりにくい、レアケースではあるからな。(与党は普通は常に過半数を維持している為、与党が割れるような非常事態にならない限り、国会が完全に行き詰まる事などあり得ないため)」

逆沢「最後に3つ目は?」

愛原「これからどう頑張っても支持率が暴落する未来しか予想できない時。あるいは国民が嫌がる政策をごり押ししたい時など。中曽根内閣の時の寝たふり解散などが分かりやすい例だな。中曽根は選挙を終わらせて次の選挙までの任期を4年確保した後、いきなり売上税(消費税の前身と思って構わない)法案をぶち上げて、国民をだまし討ちにしてみせた。もっとも当然のごとく、中曽根内閣への支持率は急降下し、中曽根内閣自体も崩壊するオチに終わってしまったが・・・。ただ中曽根内閣支持率の急降下の流れを利用して竹下登が政権を奪い取り、その竹下が消費税3%法案を強行成立させたという意味では、寝たふり解散の効果は十分だと言えなくもない。」

逆沢「つまり国民が嫌がる政策をやってから選挙をすると恐ろしい事になるから、先に選挙を済ませてからその直後に国民が嫌がる政策を進めようという思惑から行われる解散劇って事ね。」

鼎「そういえば数日前の新聞記事で、全く同じ内容の記事があったよ。消費税を10%に上げてたら選挙をすると大敗しかねないから、先に選挙だけ済ませるべきだと考える与党議員もいるらしいって記事なんだけど。」

逆沢「そういえば今の安倍政権は、消費税の件だけでなく、原発再稼働の件とか、TPPの件とか、おそらく支持率がだだ下がりになりそうな懸案が山積みだしねー。小渕議員の周辺に特捜部が入った件からすると、与党から逮捕者が出るかも知れないし。」

愛原「景気回復でも拉致被害者帰国でもなんでもいいから、支持率が上がるような何かが近い内に実現できそうなら、安倍総理はきっと解散をその頃まで遅らせるだろう。誰だって支持率が上昇したタイミングで選挙をやりたいはずだし。しかしそうじゃなく、もしも今の時期に解散を強行するなら、そういう明るい未来を残り2年の任期以内に実現できる可能性自体を安倍総理自身が信じられなくなって、色々諦めてしまった可能性が高いと思われる。」

鼎「新聞報道では、安倍総理はアベノミクスによる景気回復をまだ諦めてなくて、その夢をぶち壊しかねない消費税10%法案にはすごく後ろ向きという記事も見なくはないけど・・・。」

愛原「安倍総理がアベノミクスによる明るい未来を未だに信じているなら、今、解散はしないだろう。もしくは仮に解散に踏み切るにしても、その場合は小泉総理が郵政解散に踏み切った時のように、消費税増税案の凍結を公約にして(場合によっては増税派の麻生らを自民党非公認にした上で)、国民に信を問うだろう。しかしどちらでもないなら、国民が嫌がる政策をごり押しする準備の為の選挙である可能性が高いと思われる。一度選挙さえ済ませてしまえば、最大4年は衆院を維持できるし、4年もあればほとぼりも冷めるだろうからな。」

逆沢「マスコミは、そんな事はこれっぽちも触れないけどねー。」

愛原「NHKのトップに気の狂ったような奴が就任して以降、民放も含めて、マスコミがますますおかしくなっているような気はする。拉致問題関係やプーチン訪日関連のニュースの扱いにしても、【なに見当違いのコメントしてんだ?】みたいなニュースも多かったし。」

鼎「10年以上、停滞していた拉致問題も、ようやく進展の兆しが見えてきたと思ったのに、なんかうやむやの流れになったり、日本政府が積極的に招待しようとしていたプーチン大統領の訪日も結局うやむやのままに流れてしまったけど、それに関するテレビの報道は、まるで触れたくないような扱いばっかりだったよね。」

愛原「テレビと違って、新聞の方はまだマシだけどな。もしも関心があるなら、図書館でも行って古い新聞を時系列順に読み比べてみるのもいいだろう。本来はどちらも勝算は十分あって、拉致問題進展による支持率急上昇をネタに衆院解散もあるか?という記事も過去にあったくらいだしな。北朝鮮との戦後補償交渉(要するにカネ)をエサに【拉致問題は解決済み】と語る北朝鮮を再び交渉のテーブルに乗せ、飯島参与や猪木議員らが代わる代わる訪朝するなど、当時の日朝関係は明らかに好転していた。日露関係も北方領土問題もいよいよ進展かとかいう盛り上がりをみせて、俺自身、【今の安倍ちゃんすげーじゃん】と期待のエールを心の底で贈らせてもらっていた。もっとも安倍の方も、敵対派閥のボスである石破を幹事長から外すなど、しっかり次の選挙の準備も整えてホクホクしていたようだけど。」

鼎「なんで雲行きが危うくなってしまったのかなぁ?」

愛原「プーチン訪日がご破算になった件に関しては、アメリカによる圧力とはっきりと記事になっていたが、不自然なまでに全く同時期に対北朝鮮交渉が突然停滞したのも同じ理由だろう。以前からアメリカは、対朝制裁を理由に日朝の接近を強く批判し続けていたし。もっと古くさかのぼれば、第一次安倍政権の頃から、アメリカは拉致問題を進展させるべく策動する日本を常に牽制し続けてきた。ぶっちゃけていえば、拉致問題を絶対進展させてはならないという意思がアメリカ側にあって、その圧力に安倍も屈したという所だろう。もちろん北朝鮮側の対応に不誠実な部分が多々あれば、いつもの安倍節を炸裂させて北朝鮮バッシングに発展したのだろうが、日本側が戦後補償問題の進展などの約束を破った事で交渉が止まった場合は、日本側から北朝鮮をバッシングするのも困難で、それで奥歯に物が挟まったような感じで、話がうやむやになった可能性が高いと思われる。」

逆沢「なるほど。プーチンが一方的に約束を破ったとか、北朝鮮が一方的に約束を破ったならバッシングは簡単だけど、約束を破ったのが日本の方だと、話をうやむやにするしか方法はないって事か?」

愛原「まぁ対ロ外交や対朝外交を二度と改善する気がないなら、相手が悪いという事にしてバッシングに走るのも一つの方法だ。どうせ国民も踊らされて、ロシアや北朝鮮を激しく叩く姿勢をみせる事で支持率もおそらく上がる(中国や韓国の政府が、日本叩きをアピールするほど、国民の支持率が上がるようなもの)。だがあくまでバッシングしないという事は、アメリカの隙を見て、またいつか北方領土問題や拉致問題の進展を成し遂げるという希望を安倍総理自身が失っていない事の表れとも取れる。」

逆沢「未来に希望を与えるのが、人の上に立つ者の務めだとも思うし、どんな苦難があろうとも決して諦めないで欲しいとは思うわ。現実は厳しいけど。」

愛原「お前らしくないセリフだなぁ。現実は厳しいとか。」

逆沢「でも事実でしょ。私だけじゃなくて、安倍総理も思ってんじゃないの? 実際にはアベノミクスも拉致問題も対ロ外交も内閣改造もTPPも全然思うようにいかなくて、厳しい現実に心折れそうになってるような気がしなくもないんだけども。それで色々諦めて、解散に踏み切ろうとしてるようにしか見えないというか。」

愛原「なる程。一理ある。しかしそういう自称現実主義者的発想は俺は嫌いだな。」

逆沢「なんで? 現実主義者って、地に足が付いているというか、理性的というか合理的な判断ができるイメージで、最近では理想主義者よりも上位に語られるような気がしなくもないんだけど。」

愛原「俺はファンタジーの中のリアリティー部分を大事に考える程度にはリアリストだと思っているし、トンデモ科学やデマやダブルスタンダードにも否定的になれる程度には正論主義だが、理想主義者現実主義者の2拓を迫られれば、自信を持って理想主義者なんだけどな。」

逆沢「そこまで言い切るか? というかてっきりお前は現実主義側の人間だと思ってたから、ちょっと驚いてるんだけど。」

愛原「バカを言うな。大体、理想主義を否定して現実主義者を気取るだけの正義の味方がどこにいる? むしろ悪玉が使うセリフではないか? 現実主義ってのは。」

鼎「【ふははは。これが現実だ。諦めろ!】とか【くだらぬ理想など捨てて、ありのままの現実を受け容れるのだ。これが現実。決して変えられない現実なんだという事をな!】とか【現実を思い知るがいい!!】と言うと、いかにも悪玉って感じだよね。」

愛原「という訳で、今回のテーマは【現実主義者の正体】だ。」

逆沢「おいおい。小渕優子からアイスソードのネタにまで発展した前回もトンデモ的展開だったけど、今回もすごい流れにもっていくわねー。」

愛原「三題噺ではないが、普通ならまずつながらないような複数のネタを無理矢理つなぎ合わせるのは、俺の得意技だからな。グフフフ。」

鼎「でも【現実を受け容れろ】とか【お前には現実が分かっちゃいない】みたいなセリフは、ごく日常会話でも割と見かけるような気がするよね。」

愛原「いかにも【自分は賢い現実主義者です。そして貴方は無知なバカです】と言わんばかりの態度で、相手を見下しているような態度で使われるケースが多そうだな。」

逆沢「実際にそう思ってるんじゃないの? 実際に賢いかどうかは別にして、本人にしてみれば少なくとも相手よりは現実が見えてると思い込んでいるからこそ、恥ずかしげも無く出てくるセリフな訳で。」

愛原「まぁそいつの言ってる事が正しいかどうかは、とりあえず置いておくとして、まずは問おう。彼はどういう目的をもって【現実を受け容れろ】と相手に要求しているのか?」

鼎「つまり現実を受け容れるという事が、何を指すかという設問でもあるって事かな?」

愛原「そう。たとえば悪の大魔王が【現実を受け容れろ】と主人公に要求して、それを主人公が受け容れたとしよう。それはどういう状況なのか?」

鼎「うーん。悪の大魔王の意のままである事を受け容れて、素直に諦めろという話になるのかな?」

逆沢「そういえば現実論の話になると、最終的に【抵抗しろ】という方向では無く、【抵抗するな】とか【諦めろ】という方向に話が進行して行きがちな気がするわ。」

鼎「【現実の前には無力】みたいな表現は聞くけど、逆はほとんどないよね。現実主義者の持論を黙って聞いていると、最終的にはどうやっても妥協や諦めを余儀なくされる流れになってしまうというか。」

逆沢「そうそう。【抵抗しても無駄】だとか【いい加減に諦めろ】と言いたい時に、【これが現実なのだ】とか【現実を受け容れろ】という言葉で置き換えているだけのような気がするわ。」

鼎「すると現実主義者の正体は、実は単なるあきらめ主義者でしかないと言う事かな? 厳しい現実を受け容れるという名目で、あきらめの口実を作るだけというか。」

逆沢「本人があきらめ症なのは本人の勝手だけど、それを他人に強制する自称現実主義者って、そう考えるとかなりタチが悪いわね。現実を金看板にして、他人にあきらめを強要している訳だから。」

愛原「だが、そう考えると悪玉が現実主義を唱えても、不思議はないような気もする。現実を盾にして、他人に諦めという名の堕落を勧めている訳だから。」

鼎「逆に正義の味方は、往生際が悪いというか、諦めが悪いタイプが多いような気がするよね。」

逆沢「まぁ現実主義路線のクールな正義の味方もいるのはいるけど、悪玉の現実主義とは、中身が違ったりするのかな?」

愛原「そりゃあ全然違うだろう。クールな正義の味方は、現実を現実として受け容れる一方で、現実を乗り越える気力や能力も持っている。つまり現実主義者理想主義者なのだ。三国志演義の諸葛亮とか大河ドラマの軍師官兵衛とか、その典型だろ?」

鼎「軍師と言われるだけあって、すごくリアリストな側面もあるけど、漢室復興とか争いのない世の中とか、すごく大きな理想も持ってるのが、クール系正義の味方の特徴だよね。」

逆沢「現実主義者と理想主義者は、大抵反対の立場として語られる事が多いけど、実際にはそうじゃないって事か?」

愛原「俺は現実と理想は、X軸とY軸の関係だと思っている。だから現実主義と理想主義を同時に語る場合、人を4つのパターンに分けてみるといいかなとも考えている。」

鼎「4つのタイプというと、たとえば?」

愛原「一つは現実主義と理想主義を高いレベルで均質に併せ持つタイプ。現実を乗り越えるタイプと言い換えてもいい。温故知新の発想が出来るというか、発明家タイプだな。今、現実にある知識や状況を最大限に活用して、新しいものを創造できるタイプだな。このタイプは現実世界に存在しなかった新しいものを生み出すのにも最も向いている。起業家や漫画家などを含めたクリエイタータイプも、大体これだろう。今まで現実世界に存在しなかった物を新たに作りあげるのに最も適したタイプ。」

鼎「現実を知らないと、新製品と思って作った物が実は既製品という可能性も出てくるし、新記録と思ったものが実はそうでなかった事もあるだろうから、本当の意味で新しい価値観を生み出すには、現実の把握と、理想を実現する能力のどちらも必要なのは分かる気がするかも。」

愛原「次に現実主義だけが先行しているタイプ。現実に屈するタイプと言い換えてもいい。理想主義を馬鹿にして現実主義だけを是としている者は、大体このタイプだろう。世の中に迎合する能力は高いが、不快な現実を前にした時に、それを乗り越えようとせずに、諦めたり妥協する可能性が極めて高くなる。誰かの言いなりになって仕事をする分には向いているかも知れない。従順な戦闘員だけを欲する悪の大魔王や、反抗しない国民だけを欲する国家指導者や、ブラック企業の経営者などは、このタイプの臣民や労働者を最も好むだろう。」

逆沢「変に自立心や理想をもたれると、反抗されたり、寝首をかかれる怖れもあるからねー。保守的な会社の上司や保守政治家ほど、現実を強調する理由が分かる気がしなくも無いわ。」

愛原「もちろん現実主義者が本当に現実を理解しているかどうかは別問題だぞ。頑張れば乗り越えられるはずのものでも、乗り越えられないと思い込んではじめから諦めるようなタイプも多いしな。」

鼎「みんなが選挙に行けば結果も変わるのに、どうせ投票率は上がらないからと思い込んで、自分も選挙に行かないタイプの人も多いよね。」

愛原「確かに自分一人だけが選挙に行っても、結果は変わらないだろう。しかし自分自身も選挙に行かなければ、より状況は悪化する。その事も理解できないのならば、現実を知って賢そうな顔をしてるけど、実際にはただの諦め主義者に過ぎない。」

鼎「うーんと、この流れで行くと後2つは、理想だけが先行して現実が伴わないタイプと、現実逃避している上に夢も希望もないタイプという事になるのかな?」

逆沢「どっちも人間として色々破綻してそうなタイプねー。」

愛原「まぁそれでも、内実によるだろう。たとえば自称現実主義者は、よく他人を見下す際に【お前は理想ばかり高くて、現実が見えていない】という表現を好む。しかし相手が本当に現実が見えていないかどうかは、全く別問題だからな。」

鼎「周囲には高望みにしか思えなくても、実は密かに夢を叶える努力をしていたり、現実と折り合いを付けながら上手くやってるようなケースもあるよね。」

愛原「あきらめ症の現実主義者は、子供が【将来、プロ野球選手になる】とか【漫画家になる】と言う度に、頭ごなしにそんな事は不可能と否定してしまう事だろう。確かにその夢がかなう可能性は低いけど、けど誰かは成功するし、最終的にそれ自体には失敗しても、それに本気で挑戦した事で得られるものもあるはずだ。良質な人間関係を築けたり、努力できる人間と周囲に認められたり、あるいは別の才能に気づけたりとかな。成功失敗に関わらず、挑戦した事で得られるものの大きさも考慮せず、いたずらに頭ごなしに否定する自称現実主義者が賢明とは、少なくとも俺には思えん。」

鼎「精一杯頑張り続ける事で、どんなチャンスが降ってわいてくるかも分からないし、無闇に他人に諦めを強要する必要はこれっぽちもないよね。」

逆沢「他人に諦めを強要する人は、その人が成功するのを怖れてたり、ねたんでるだけの気もするわ。」

鼎「悪の大魔王が、正義の味方に【そんな攻撃など無駄だ。大人しく諦めて我が軍門に降るがいい】みたいなセリフを吐いて、やたらと諦めを強要するのも、早く諦めさせないと、いつか自分の野望が正義の味方に打ち砕かれかねない怖れがあるからと考えると納得かも。」

逆沢「相手に成功されたら困るから、現実とかをタテマエにしてとにかく諦める方向に仕組んでいるだけって事ね。」

愛原「まぁ努力とかそういうのは抜きにしても、人が理想を持つのはいい事だ。極端な話、何の根拠も無く【宝くじを当てて億万長者になる】とか【ビジネスで成功して人生の勝者になる】と信じているだけでも、少なくとも本人はそれなりに幸せな気分になれるのなら、他人がそれを一方的に否定する意味もないように思う。」

逆沢「まぁ確かに極端な話、【俺は宝くじで一発当てて、億万長者になる】という夢も、100%実現不可能な夢物語とはいえないからねー。」

愛原「宝くじを買わなければ当たる可能性もゼロだが、買えば少なくとも0%よりは上になるからな。確率的には馬鹿げた話ではあるが、だからといって頭ごなしにそれを否定する自称現実主義者が立派とも思えん。そりゃあ身内が対象なら、大切な家計を宝くじやパチンコに大金をつぎ込む身内には厳しく指摘する必要があるだろう。しかし個人の小遣いを常識の範囲で宝くじ等に回してもそれ自体は趣味や娯楽の一環でしかないのだから、頭ごなしに否定すべきとは思えん。まして赤の他人に対してまで、現実主義を盾に頭ごなしにそれらを否定するのがまともな大人の対応とはとても思えん。」

鼎「多少、現実離れした夢や理想であっても、それが不健全なものでないなら、他人が現実主義を盾にして頭ごなしに否定するべきではないよね。」

愛原「人は夢や希望を持ち続けるからこそ、明るく前向きに生きられるのだ。現実主義を盾に、人の夢や希望をいちいちぶち壊そうとする現実主義者という名のあきらめ教団宣教師に対しては、俺はどうしても嫌悪感を禁じ得ない。」

逆沢「まぁ世の中には、何の根拠も無く【俺はいつか大金持ちになる】とか【美人と結ばれる】とか【本気を出せばいつでも成功できる】とか【俺だけは真相を知っている】と思い込んでる痛い人も多いけど、心の中で思い込むだけなら無害だし、そういう幸せな妄想を打ち砕いたところで、その人に無用のストレスを与えるだけだからねー。その人が社会や自分自身に絶望して世の中に牙をむくリスクを考えれば、無闇に人の夢や希望を打ち砕くべきでないというのは賛成だわ。」

鼎「でも世の中には残念ながら、夢も希望も持てない心境の人も存在するよね?」

愛原「鬱病とかになると、かなり危険だな。現実も見えなくなり、夢や希望も失い、人間としての存在理由自体を脅かされる異常事態になりかねない。」

逆沢「しかし鬱病の患者というのは、日本でもかなり多いそうだからねー。ブラック企業とかで働くと、特にそうなりやすいらしいけど。」

愛原「今回のテーマ的に表現するならば【つらくて逃れられない現実に潰される】といったところだな。本来ならば辞めるという方法もあるのに、【辞めてもこの景気では次の就職先も見つからない】とか【どの企業もどうせ似たような待遇だろうから、辞めたところで意味がない】とか、暗い現実(?)ばかり上司に吹き込まれて、逃げる事も戦うこともできないままに精神を病んで使い捨てられていく構図というか。」

逆沢「もちろんそういうブラック上司は【今はつらいだろうけども、頑張り続ければいつか報われる】と言って希望も与えるのだけども、実際には過酷な労働ばかり続いて、いつか来るはずの報われる日もいつまでも訪れず、ついにいずれ報われるはずの嘘の理想と、そうでない現実のギャップに耐えられずに、精神と肉体を病んでしまうのよね。」

鼎「もう何が現実で、何が現実がないかの区別すらつかなくさせられちゃうんだよね。ただ言いなりにされて、使い潰されちゃうと言うか。」

愛原「他人に吹き込まれる理想ほど、根拠のないものはないからな。いや、そんなのは理想ではなくただの信仰か? 【俺はお金持ちになる】という理想と、【アベノミクスで俺はお金持ちになれるはず】という信仰は全然中身が違うからな。」

逆沢「漠然と【俺は幸せになる】という願望と、【社長のいう通りにサービス残業を続ければいつか幸せになれるはず】という信仰でも、中身が全然違うわね。」

鼎「理想信仰は、似てるようで中身が全然非なるって事だよね。」

愛原「信仰では幸せになれないとまでは言わないが、相当のリスクは覚悟する必要はある。どんな宗教でも啓蒙本でも、その人に合う合わないはあるし、その理想を唱える教祖や経営者や政治家が信用に足るかどうかもよく吟味し、自分の身が危ないと感じたら、すぐに撤退する勇気も必要だと思う。でないと骨までしゃぶられてすりつぶされる危険性すらあるからな。」

鼎「【自分は小説家になれる】と信じて理想をもって前向きに頑張るのは尊いけど、【この講座を受ければ小説家になれるはず】とか思い込むようになると、色々危険って事だよね。うまくいかなかった時に不満や矛盾を抱える事にもなりかねないし。」

逆沢「ただ自分自身を信じられなくなるというか、能動的な夢や希望という名の理想を持てない人ほど、【他人が与える希望】という名の信仰に捕らわれる気もするわね。自分自身で能動的に理想を持てないから、他人が提示した信仰を受動的に真に受けやすいというか。」

愛原「能動的な理想は、自発的に理想をかなえる為に、時には頭を使い、時には働き、時には休養も取りながら、マイペースで前向きに頑張ろうという気持ちにさせてくれる。一方、他人にすり込まれた信仰は、誰かの言いなりになってたら幸せになれるはずという他力本願なもので、休むべき時にまで無理矢理働かされる羽目になったり、不必要な支出を強要されたり、色々理不尽な制約がつきまとう。信仰は人を見えない鎖で束縛しかねないものというか、その差ははっきり認識しておいた方が良さそうだ。」

鼎「自称現実主義者がよくいう所の【現実】も、見えない鎖そのものだよね。現実という名の信仰を相手に植え付けて、その人の夢や希望を諦めるように束縛したり。」

愛原「自称現実主義者のいう所の【現実】など、所詮、現状でしかないからな。理想を持つ者なら、現状を変えられる可能性がある。しかし現状で諦めれば、現状が現実として固定束縛されてしまう。」

鼎「自称現実主義者に乗せられて現実に屈してしまうと、本当なら勝てるチャンスも勝てないと思い込んでチャンスを不意にする、駄目な現実主義者になってしまうって事だよね。」

逆沢「そして駄目な現実主義者ほど、本当なら勝てたはずのチャンスにも気づかずに、【どっちみち勝ち目がなかったから、これで良かったんだ】みたいな思い込みの現実(?)だけを信仰して生きていく事になるわけね。」

愛原「そう。自称現実主義者は、必ずしも現実が見えているわけではない。諦めた自分を正当化して、それを普遍の現実と思い込んで生きているだけだ。あの時必死に抵抗すれば、全く別の現実が実現していた可能性を否定して。」

逆沢「自称現実主義者を正確に要約すれば、現状維持主義者という事にもなりそうね。諦めて現状を受け容れる。あるいは他人を諦めさせて現状維持を受け容れさせる。典型的な保守思想というか。」

愛原「現状把握自体は、手段であって目的ではない。現状を把握した上で、それを乗り越えるのも、屈するのも己次第。そこを勘違いしてはいけない。」

逆沢「もちろん現状を正しく把握したつもりなだけでも、まずいだろうけどね。」

愛原「うん。特にその場の雰囲気に流されて、現実を理解したつもりになるのは最も危険だ。体感治安や風評と同じで、その場の雰囲気ほど、アテにならないものはない。大体、その場の空気や雰囲気など、2週間あれば大きく変わる事も、今の我々ならちゃんと理解できているはずだ。」

逆沢「2週間で全く別物になるような現実なんか、参考にしても馬鹿らしいわ。そんな刹那的な現実に振り回される暇があれば、自分の理想を大切に持ち続けて、現実とやらに惑わされずに前に進む方が余程マシというか。」

愛原「現実を正しく理解した上で理想をもって生きられれば最善だが、仮に理想主義と現実主義のどちらかを選ばなければならないなら、アテにならない現実(?)に振り回されるよりは、しっかりと地に足を付けて理想を新たな現実に作り替える道を模索した方が賢明かも知れんな。」

逆沢「おいおい。地に足を付けている代名詞が現実主義なのに、あえてそんな皮肉めいた事を言うか?」

愛原「諸葛亮や黒田官兵衛のような知恵者が現実を語るなら説得力もあるが、2週間前の流れも忘れてその場の雰囲気に流されるだけの我々凡人が、現実を正しく理解したつもりになっても、色々おかしいだけだからな。それなら理想をコンパスにして、自分が進むべき方角だけは見失わない生き方を目指すのも一興とは思わんか?」

鼎「私は現実主義は大事だと思うけど、現実を正しく把握する事と、現実に振り回されて翻弄される事を、一緒にしてはいけないと思ったかも。」

逆沢「諦めの正当化手段として現実主義の看板を掲げるあきらめ教団の奴も、困るわ。現実主義と理想主義を無理矢理対立させて、現実主義者は理想を軽視すべきみたいな流れに持っていく似非現実主義者というか。」

愛原「総理にも、自ら掲げた理想を諦めて、安易に自己保身を図るような選択はして欲しくないと思う。国民をだまし討ちにしたら、鳩山の二の舞だからな。」

鼎「諦めたらそこで試合終了だよね。実際にはアベノミクスもTPPもまだまだ決着はついていないのだから、アメリカがどんな圧力をかけようと屈するべきではないと思うし。」

逆沢「オバマのTPP対日交渉を弱腰と批判し続けた共和党が選挙に大勝したから、TPP交渉は今後さらに厳しくなるだろうけど、だからといって諦めたらそこで終わり。諦めてアメリカの言いなりになるくらいなら、さっさと交渉を中断して離脱すべきだわ。ブラック企業の経営者の言いなりになるくらいなら、さっさと逃げ出して辞めた方がマシなように。」

愛原「アベノミクスも金利やGDPなどを見る限り、仮に今のまま終われば、黒田バズーカの名の元に札束を大量に刷ってばらまいた結果、原材料輸入費だけが高騰して物価が高騰する一方、給与にはほとんど反映されず(現状では価格高騰分は企業の収益ではなく、原材料調達費として海外に流出しているだけなので給与の反映されないのは当たり前といえなくもないが)、国民が持つ貯蓄や実質所得だけ目減りさせるスタグフレーションにしかならないが、まだ結論を出すのは早い。」

鼎「せめてリーマンショック前の金利くらいに戻れば、経済成長率もそれだけ戻ってアベノミクスの成果もあったといえるかも知れないけど・・・・。」

愛原「厳密には新たに刷った札束の割合を超える割合の金利にならないと、経済成長したとは言えないが、札束を大量に刷ったにも関わらず、金利も据え置きだから、実質的には経済成長マイナスなのはつらい(但し人々が景気回復を実感するまでに貸出金利が上がると、さらに景気が冷え込むので悪い話ばかりではない。問題なのは低金利が続く状態であるにも関わらず借り手が増えない事と、国内に資金を置いたままだと実質的に目減りする一方なので、その資金が外貨や海外投資などに移し替えられて国内資産が国外に流出する懸念)。福田内閣の頃は銀行の5年定期で最大0.9%くらいだったのに、今は0.2%までが限界で、札束を刷った割合も加味してみれば、リーマンショック前の数分の一だからなぁ。ゴールドの価格も世界的にはすごく下がってるのに、日本では無駄に札束だけ増えたものだから、日本円価格では現状維持でお買い得感がまるでない。株価も札束を大量に刷って、お札の価値が下がった分だけ上がってるにすぎず、徳川政権時代に小判の質を下げて、それをばらまいた【悪貨は良貨を駆逐する】状態にしかなっていない。そういう客観的情報を無視して、得体の知れない雰囲気だけに踊らされて【アベノミクスで景気は良くなっている】などと錯覚すると、値上げして客足が減ったとか、色々泣く事になる。安倍総理には、そういう現状の問題点を把握した上で修正して、最終的にみんなが笑顔になれる状態にもっていって、いい意味で歴史に名を残して欲しいのだが・・・。逆に現実に屈して逃げ目的の選挙を打ったり、現実逃避して何の修正もしないまま【アベノミクスで景気は良くなった】とか強弁するだけにはなってもらいたくないものである。」

鼎「現実に屈するのも、現実逃避も、どちらも本当の意味での現実主義者が取るべき姿勢ではないよね。現実は雰囲気に翻弄されるべきものではなく、正しく把握した上で乗り越えるものだから。」















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