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愛原様のたわごと(15年3月29日)








愛原「今回のテーマは【プロギャンブラー(バクチで生計を立てる者)】だ。」

逆沢「前回、テーマ名を忘れたままだったから、今回は忘れる前に冒頭に持ってきたか?」

愛原「う・・・。まぁ、それを言うな。ともかく今回は経済ネタで行くぞ。」

鼎「ギャンブルって一口に言っても、色々あるよね。もちろん一番メジャーなのはお金がらみだけど、人命を賭けたり、魂を賭けたり、その他何かの権利を賭けたりとか。」

逆沢「まぁ賭け事系のイベントは、RPGやSLGに埋め込むサブイベントとしては、結構盛り上がりやすい部類だし、そういうネタもいいかもね。」

鼎「ギャンブルって、中毒になる人が後を絶たないくらい、すごく蠱惑的だよね。ゲーム内のサブイベントとして、隅に置いておくだけでも、それなりに盛り上がるのも、すごく納得できる気がするよ。」

逆沢「闘技場で誰が勝つかを賭けたり、試合でどちらが勝つか賭けたり、普段は退屈なNPC同士の対戦でも、賭けイベントにするだけで、何倍も盛り上がるくらいだしねー。」

鼎「逆に主人公がイベントに巻き込まれて、闘技場で戦う羽目になったり、何かの賭け事の対象にされてしまう事もあるよね。」

逆沢「少年漫画系では、そっちの方が多いかもね。主人公は主人公で武闘会の優勝を狙ってるだけなんだけど、その主催者は武闘会そのものを賭けの舞台にもしてて、世界中の大富豪達が、どちらが勝つか、あるいは誰が優勝するかを密かに賭けて楽しんでたりするのよね。」

鼎「でも主人公があまりに強すぎると賭けが成立しなくなるから、そこで主催者側は、主人公が不利になるようにルールを勝手に変えたり、卑怯な策を弄したりもするんだよね。」

逆沢「そういうのは厳密にはイカサマ行為なんだけど、だからこそ盛り上がる側面もあるかもね。どうやってイカサマを見破るか? あるいはイカサマによる不利を覆すか? 頑張れ主人公!みたいに。」

愛原「主人公側が積極的にイカサマをしたり、ハッタリをかます事で、バクチに勝つような漫画も珍しくないしな。」

鼎「ギャンブルの世界では、イカサマは必ずしも悪ではないって事かな? 勝敗の決着が付くまでバレなければ、全然問題にされないというか。」

逆沢「カンニングとか万引きとか、リアル世界の不正は、事後にバレても罪は罪なんだけど、ギャンブルは違うのかもね。イカサマで相手のカードを盗み見たり、こっそり抜き取ってたとしても、要は勝敗の決着がつくまでバレなければほとんど問題にされない作品も多そうなくらいだから。」

愛原「まぁ日本国の法律でも、賭博行為による借金は無効にされるくらいだしな。たとえば賭け麻雀でどれだけ負けて、どれだけ借金を背負おうが、賭け麻雀そのものが違法行為だから、そんな借金を返済する義務もないという法律の運用が成されるわけだ。」

逆沢「なる程。逆を言えば賭け行為そのものが違法だから、たとえイカサマされていた事に後で気づいたところで、裁判所にそれを訴えて抗議しても無駄って事ね。」

愛原「そんな事で裁判所に訴え出たら、イカサマの中身どうこう以前に、賭博行為に関与していた点を警察に追求されて、派手に自爆するのがオチだな。まぁ法律上は、ギャンブルでどれだけ負けても一円も払う必要は無いが、その代わり、その賭博場には二度と出入りできなくなるだろうし、裏社会の怖い人に襲われるリスクもあるだろうから、その辺の覚悟は必要になるだろうけどな。」

鼎「でもそういうのは、あくまで違法賭博の場合であって、競馬や競艇やパチンコや宝くじのような公的に認可(or黙認)されているギャンブルの場合は、全然話が違うよね。」

愛原「公的に認可されているギャンブルは、基本先払いだから、借金関係でトラブる事はないけどな。もちろんそいつが勝手に親類や消費者金融にお金を借りて、それを元手に馬券を買ったり、パチンコに興じている場合もあるだろうけど、それによる金銭トラブルはあくまで貸し手借り手間の範囲に留まり、競馬場やパチンコホールまで累が及ぶ事は通常ない。」

逆沢「公設賭博場がイカサマに加担していた場合はどうなるのかな?」

愛原「ちょっと想像しにくいシチュエーションではあるが、仮に公設賭博場がイカサマしている事が明らかになった場合は、原則としてはやはり公設賭博場の責として損害賠償を負う事になるだろう。但しこれはあくまでタテマエであり、仮に大相撲の力士や競馬の騎手が八百長をやっていた事が発覚したとしても、それで実際に賠償問題にまで発展する確率は低そうだ。法的には八百長試合が興行されてしまった時点で興行主の不履行で全額弁済になってもおかしくないのだが・・・。まぁ森喜朗が総理大臣だった時に起きた履修単位不正の時の超法規的措置みたいに、できるだけ騒ぎを小さくする方向でまとめたがるのと一緒だな。」

逆沢「あー、そういえばそんな事があったわね。進学校の何割かが、大学受験を有利にする為に、入試に関係ない教科の授業をほとんど行わず、入試に関係ある教科ばかり重点的に授業するイカサマをやってた事が明らかになった不祥事。けど文教族のドンでもあった森喜朗は、超法規的措置を発動して、高校卒業に必要な単位数を満たしていない進学校の生徒に対しても特例で卒業資格を満たしとあげたんだっけか?」

鼎「森さんは、イカサマをせずに正々堂々受験に臨んだ多数の生徒が受験で不利益を被る点よりも、イカサマをした進学校の生徒の保護を優先しちゃったんだよね。あれで事実上、イカサマをした進学校の生徒だけが受験に有利なカリキュラムで授業を受けられた分だけ相対的に受験で有利になっちゃってしまって、正々堂々受験に臨んだ人がすごく気の毒だったよ。」

逆沢「うーん。イカサマしたもの勝ちの傾向は、違法賭博の世界だけじゃないって事か? 後でイカサマがバレようと、勝った者が勝つのは。」

愛原「さて、話を少し本題に戻そう。ギャンブルやバクチというのは、しばしば【運任せの勝負】の代名詞としても使われるが、それならプロギャンブラーといわれる人達は、どうやってその運任せの勝負に勝っているのだろうか?」

逆沢「やっぱりイカサマしてんのかねー? ギャンブルで生計を立てられるくらい勝てるのなら、運だけで何とかなるようなレベルじゃ無いと思うし。」

鼎「ギャンブルというのは、本来胴元が儲かるシステムだよね。つまりトータルでいえば、ギャンブルの参加者は必ず負けの方が上回る世界というか。」

愛原「うん。宝くじであろうが、競馬であろうが、パチンコであろうが、公営カジノだろうが、胴元が損をする事は通常ない。胴元が損を確信した時点で、宝くじの運営団体も、競馬の関連団体も、パチンコ経営者も、廃業するしか道はないからな。つまり胴元が儲けた分だけ、客全体でみれば確実に損をしている。そんな客に不利なルールの中、生計を立てられるレベルでギャンブルに勝ち続けられるプロギャンブラーというのは、まぁ並大抵の存在ではないわな。」

逆沢「つまりプロギャンブラーを見つけたら、イカサマ師と疑えって事ね。パチンコでも常勝するような奴の大半は、ゴト師とか言われてる連中が大半みたいだし。」

愛原「いや。そう決めつけるのは早計だぞ。確かこの前でも、競馬の予想ソフトを独自に開発して、そのソフトの勝敗予想を元に何億も利益を上げたのはいいものの、その利益を巡って、税務署に訴えられた人がいただろ?」

逆沢「あー、なるほど。並外れた眼力とか、記憶力とか、計算力とか、技術力とか、開発力とか、センスとか、そういうのがあれば、勝率がどれだけ低くとも、それなりに勝てなくもないって事か?」

愛原「麻雀とかカードゲームとかが、特にその代表格だな。もちろん運の要素も大きいけど、記憶力と確率計算力が相当高ければ、残っている牌やカードがかなりの水準で予想できてしまうものらしい。ちなみに俺の昔の知り合いにも、とんでもないUNOの達人が一人いて、そいつは場に捨てられたカードをほとんど記憶できる能力の持ち主だったから、半端なく強かった。もう4のカードは出尽くしたはずとか、あいつはラスト一枚の時にパスしたから少なくともこの色のカードは持ってないはずとか、そういう情報を対戦が終わるまでいつまでも忘れないので、手に負えない強さだったというか。我々凡人にとっては単なる運ゲーでも、そいつにとってみれば運の要素は絡んでも、十分実力次第のゲームだったりするのだ。」

鼎「つまり競馬で安定的に黒字を出す能力の持ち主が、リアルにいても不思議ではないって事かな?」

逆沢「でもそんな有り難い競馬予想ソフトが実在するなら、私にも売って欲しいわ。パチモンでないなら、百万円出してもいいから。」

愛原「仮にそんなソフトが本当に実在していて、かつその予想ソフトが広まった時点で、競馬という興業は終了してしまうだろうけどな。胴元が赤字になった時点で、その興業自体が成り立たなくなるから。」

逆沢「あ、そうか。ギャンブルは大多数の人の屍でできてるのよねー。」

愛原「宝くじも、圧倒的大半の客が損をする事で、興業が成り立っているからな。一部の人がギャンブルで儲けるのは別に構わないが、その一部の人が儲けた分以上に、大多数の人が損をしないと、ギャンブルという興業が成り立たない事を忘れてはいけない。」

鼎「最近、アベノミクスとか超低金利政策で何かと注目されがちな株やFXも一種のギャンブルと言う人も多いらしいけど、あれも損をする人が多く出るようにできているのかな?」

逆沢「アベノミクス支持者や、証券業界関係者とか、そういう人からみたら、みんなが得しています的な論調だけどねー。」

愛原「局地的にみれば、みんな得をしているのは当たり前だ。仮にスーパーテイオウという馬が競馬で一着になったとして、【スーパーテイオウに賭けた人はみんな儲かっています】と言っても、そんなのは当たり前の話だろ?」

逆沢「あはは。そりゃそうだわ♪」

愛原「せっかくだから、今はやりのFXを例にとってみよう。全くFXに興味が無い人からすれば、一攫千金。もしくはハイリスク・ハイリターンという印象でしかないだろうけど。」

逆沢「8割の人が、最終的に負けて引退するとも聞いた事があるけど、実際にはどうなのかな?」

鼎「それは昔ながらの先物取引の事じゃないかなぁ。先物取引の営業マンに関しては【客を3人自殺に追い込んで一人前】という格言すらあるらしいし。後妻業で連続殺人したとして有名になった某千佐子容疑者も、先物取引の営業マンにそそのかされて10億円くらい溶かしたそうだし。先物取引で溶かして資金が底を突く度に、次々別の資産家のお年寄りと結婚して、殺しては金品を巻き上げてたとか言われてるけど。」

逆沢「3人の客が自殺するのではなく、客の伴侶が3人以上他殺されまくってるじゃねえか。まぁ先物取引の営業マンにしてみれば、カネさえ巻き上げられれば、客が死ぬ側に回ろうが殺す側に回ろうが、どっちでも同じだろうけど。」

愛原「ちなみにFX自体も、先物取引の一種な。小豆やゴールドではなく、賭ける対象が外貨なだけで。」

逆沢「外貨をどうやって賭けるのだ?」

愛原「例えば1米ドル100円の時、1枚買い玉を建てるとする。ちなみに【1枚】というのは、多くの場合は1万通貨相当を指す(南アフリカ通貨などの場合は10万通貨相当である事も多い)。つまり100万円支払って1万米ドルを買う構図。で、皆も知っての通り、相場は常に変動する。仮に1米ドル120円になれば、その1万米ドルは120万円の価値になるから、その時点で決済すれば20万円の利益になる。」

逆沢「なる程。つまり1米ドル100円未満の時に米ドルを買った人は、今頃かなり儲けてる構図になるわけね。」

愛原「ま、そういう事。で、FXや先物取引ではレバレッジをかける事ができる。簡単に言うと、1米ドル100円の時に1万米ドルを買う際に、100万円もの自己資金は必要としない。今の日本の法律では、国内のFX業者を通じてなら最大25倍のレバレッジをかけられるので、仮に手数料などが0の場合(実際にはスプレッドやスワップ差などの手数料が業者の儲け分として必ず乗り、0なんて事は絶対にあり得ないけど)、4万円の自己資金があれば1枚分の米ドルを買う事ができる(注〜1米ドル100円の場合)。」

鼎「1ドル100円の時に4万円で1万ドルを買った後、1ドル120円の時に1万ドルを売ったらどうなるの?」

愛原「普通に20万円の利益になる。4万円の種銭が24万円になって返ってくる計算になるぞ。」

逆沢「おいおい。ぼろ儲けじゃん。私もFX始めたくなってきたわ。」

愛原「おいおい。予想通り上がったらいいけど、逆に下がったらどうすんだ?」

逆沢「下がってる間は塩漬けにして、上がるまでずっと待ってれば問題ない。」

愛原「レバレッジ1倍とかならともかく、普通はそんな事できんぞ。ちなみに25倍だと相場が約1〜4円下がるだけで、強制ロスカットされる(実際はスプレッド差や各業者の定めたロスカット条件設定により、かなりの幅がある)。ぶっちゃけて言うと4万円の自己資金が没収されたり等する。10倍のレバレッジに抑えたとしても、その場合は10万円の自己資金が必要となり、相場から数〜十円ほど下げた時点で、ロスカットが執行される。一定以上下がると強制決済されてしまうルールがあるから、上がるまで気長に待つなんてのは不可能だ。」

逆沢「大もうけするか、強制決済されるかの2者択一って事か?」

愛原「手堅い利確と損切りができるなら、そんな乱暴な2拓にはなりにくいけどな。但し、大暴落もしくは大暴騰した場合は、全額没収どころか借金まで背負う事もあるぞ。上の例でいうと、4万円の証拠金で1ドル100円のドルを1万ドル分買った直後に、暴落して1ドル90円になったとしよう。すると1万ドルの資産価値は10万円分のマイナスになってるから、4万円の証拠金を全額没収しても、まだ6万円足りず、その分はマイナスとして借金取りに追われる事になる。」

逆沢「うへぇ。何それ怖い。全額没収されるだけでもつらいのに、さらに借金まで背負わされるのか?」

愛原「FXで一番恐ろしいのは、相場が極端なマイナスに一瞬でも触れた時。今まで数千円儲かってウハウハしてた人が、いきなり数十万円の借金持ちになる危険性すらあること。いちいちニュースにもならないけど、ほんの少し前にも、スイスフランがらみで巨額の借金背負う人がたくさん出たようだな。」

鼎「全然ニュースにもならなかったけど、これほんの数十日前の話なんだよね。ちょっと驚いたかも。」

逆沢「これだけマイナスが出ると、借金を踏み倒す人も出るだろうし、FX会社も大丈夫なのか?」

愛原「この程度では余程の弱小証券会社でもない限り、ビクともせんよ。物語でも何でも無く、シロートが迂闊に手を出したら数分で百万円溶かすのがFXだから、証券会社もその辺の対策はちゃんとしてる。まぁこんな阿鼻叫喚のリアルな裏事情をいちいちマスコミのニュースにしたら、達人以外誰もFXをしなくなって、市場が崩壊するからな。アベノミクス関係者だけに限らず、ギャンブル市場の裏の顔なんて普通は表にださんよ。」

鼎「でも儲けている人はすごく儲けているんだよね。」

愛原「FXに限って言えば、半数以上は儲けているかも知れんな。構造的にコツコツドカン型だから。半数以上の人がコツコツ儲ける一方で、一部の人がある日突然、ケツの穴の毛まで抜き取られるようなシステム的構造になってるから。理屈上は一番安い時に買って一番高いときに売り抜ければいい(or一番高い時に売り玉建てて一番安い時にそれを決済すれば良い)だけの話なんだが、それを完璧に実現しようとすれば、高いセンスだけでなく、まず時間が必要だ。少なくとも会社から帰ってから就寝時間までの数時間だけ取引するみたいなサイクルだと、たまたまその数時間の間に狙いのタイミングが訪れない限り、最高のタイミングをつかむのは容易ではないし(未来を読む能力があるなら、指値注文すれば対応可能だけど)。逆に就寝中や会社勤務時間中に暴騰や暴落が起こったら、何の回避策も打てないまま、借金だけが残る可能性すらあるのが恐ろしい。専業トレーダーならまだしも、空いた時間に片手間でやるというスタンスで挑むなら、少なくともレバレッジを3倍未満に抑えるくらいの安全策を取るか、活動時間内に決済可能なスキャルピング(1日に何回も小刻みに売買を繰り返す手法)中心で臨まないと危険極まりないとは思う。もちろん種銭は余剰資金のみで、生活資金だけは絶対につぎ込まない事。そういえば天空の城で有名な兵庫県の朝来市が、以前仕組み債というFXまがいの金融商品に公金を突っ込んで、エラい目にあってたな。」

鼎「ちょっと質問だけど、公金に余剰資金って概念はあるのかな?」

愛原「公金は、事業や公務員の給与などに充てる通常の費用の他に、大震災などの突発イベントや長期プロジェクトに備えた準備金という概念があり、後者が一応、余剰資金的な扱いになるのだろう。しかしこれらは非常時にいつでも引き出せる事が条件であり、仕組み債などに突っ込むなど論外だ。たまたま引き出さなければならないタイミングの時に相場がひどい事になってたり、途中解約のデメリットが大きすぎる状況になってたら、目も当てられないからな。」

逆沢「けど1米ドル100円から120円に値上がりする事が最初から分かってれば安心してボロ儲けもできたと思うし、先を見抜く眼力さえあれば無敵なんだろうけどね。」

愛原「残念。貧乏人はそうはいかない。それがFXを含む、この手の金融商品の宿命だ。この前、フランスから来日したピケティとかいう経済学者が、金持ちだけがますます資産を増やし、貧乏人はますます貧乏人になるという現在の先進国資本主義経済について語っていたが、これは株取引やFXではより分かりやすく如実に表れる。」

逆沢「なんで貧乏人は、相場が読めてもダメなのよ? 説明しなさいよ。」

愛原「じゃあ説明してやろう。仮に貧乏人が米ドルの上昇を見越して、余剰資金4万円を1米ドル100円で1枚分(1万米ドル分)買って塩漬けにしておいたとする。しかし現実の相場は激しく上下に振れるので、仮に1年後にドルが20円値上がるとしても、その途中にドルが2円3円、時には10円下がる事も珍しくないわな。で、遠い将来に20円上がるのを待ってても、その前に先に1〜4円下がった時点で強制決済されてゲームから無理矢理退場させられる。」

逆沢「むむむ・・・。」

愛原「ところがお金持ちは話が違う。仮に1億円の余剰資金の持ち主なら、レバレッジが1倍でも100枚分(100万米ドル分)の米ドルを買える。レバレッジ1倍なら、一時的に米ドルの価値が1ドル10円以下になっても絶対にロスカットされないから、安全確実に1ドル120円になるまで放置できる。そして1ドル120円になった段階で決済すれば、その時点で2000万円の不労所得ゲットだ。」

逆沢「ぐむむ・・・。貧乏人は相場を読む眼力があっても没収されるだけなのに、金持ちは何もしなくても数千万円ゲットかよ。」

愛原「余剰資金が10億100億あるなら、不労所得も億単位になる。お前が少し前に言った通り、相場が逆に転んでも、絶対に強制決済されないから、何年でも放置して相場の好転を待ち続ける事もできるし、FXは典型的な金持ち有利のゲームなんだ。」

鼎「貧乏人はFXに手を出すべきでないって事かな?」

愛原「探せば1枚単位未満でも取引可能な業者はあるが、スプレッドをはじめとした手数料に難があったり、仮に儲かってもその額はわずかだからなぁ(種銭が少ないため、たとえ元手を何倍に増やしても上の例なら20万円が精一杯)。まぁそれでも当たりのでかさ故にFXブームは当分続きそうだし、種銭数万を元手に昼飯代を稼ぎ出すくらいの手堅い運用を心がける限りでは、それなりに勝ち続けられる庶民もいるらしいから、腕次第ではあるだろう。但しそれでも、FXだけでなく、公開株の現物取引をはじめとした投機ギャンブル自体、貧乏人には構造的に不利な事くらいは認識しておいて損はない。」

鼎「株の場合も、やっぱりお金持ちの方が有利なシステムなの?」

愛原「たとえば現時点で最も高配当が望めるであろうトヨタ自動車の株を買おうとすれば、最小でも85万円の自己資金が必要になるし、人気株ほど概して必要な自己資金も多くなるからな。あと種銭が少ないと分散投資ができなくなるので、下落時のリスクが半端なく高くなる。安い株でも将来有望な株はいくつもあるだろうが、それを見つけるのはプロでも困難だし、シロートなら尚更だ。株取得にかかる手数料も概して安くないし、安かろう悪かろうの株をつかんでも悲しくなるだけだぞ。」

逆沢「アベノミクスで日経平均株価も上がってるし、金持ちから貧乏人までみんなウハウハという訳にはいかないのか?」

愛原「適正に銘柄を選択できればという条件つきで、ウハウハだな。あと厳密に言うと、今回の株高は、日本の景気の好転によるものというよりは、黒田バズーカーで日本円の価値が下落した影響の方がメインだから、株で儲かっているというよりは、円のまま銀行に預けている人が相対的に損をしているだけといった方が正確だ。外貨で日本株を買ってもかなりお得というのなら大万歳なのだが、世界的な原油安でも街のガソリンスタンドの相場があの程度という点からしても分かる通り、実際はそうじゃないのが悲しい。ただ円のまま持っていても、すり減るだけなので、株なり外貨なりゴールドなりに資産を置き換えるという戦略自体は間違っていないと思う。というかそう考える人が増えたから、株価などが急騰しているのだろう。株で儲けるというよりは、株に逃げるという発想で。」

鼎「つまり日本の景気が良くなったから株価を上がっているというよりは、日本円の価値が下がっている事と、このまま日本円のまま寝かしておく事に危機感を抱いた人が日本円から逃げ出して株や外貨に逃げ出し中である事が、株価や外貨の上昇(円の立場から見ると円安)につながっているという事かな?」

愛原「あと日経平均株価についてだが、これは株価の指針としては若干問題のあるものという事も触れておこうか?」

鼎「ほえっ? どういう問題があるの?」

愛原「日本の株価を表す代表的な指数として、まず日経平均株価。次いでTOPIX(東証株価指数)などがあるが、実は参考材料に結構差があるのだ。TOPIXの方は、東京証券取引所一部に上場している全ての企業の株式を参照しており、かつ企業規模も考慮されている(ちなみにトップはトヨタ自動車)。一方、日経平均株価は名前の通り、日経つまり日本経済新聞社が任意の大企業225銘柄のみを抽出して独自の計算式で算出する方法を取っている。中でもファーストリテイリング(ユニクロの会社)の影響力が9.5%近くも占めている。つまりユニクロの株価次第で、日経平均株価はどうとでも変わる。」

逆沢「おいおい。日経平均株価の正体は、大企業とユニクロとなかまたちって事か? どこかの政党名みたいというか、なんでユニクロが中心やねん? おかしいだろ?」

鼎「確か本店は安倍首相のお膝元の山口県にあって、トップの柳井さんと安倍首相の関係も深いとは聞いた事があるけど・・・。」

逆沢「今、政府は公的年金で株を買いまくっているらしいけど、もしかして日経平均株価を上げる為に、ユニクロ株買いまくってたりするのか?」

愛原「その内訳までは不明だから何とも言えない。但し、TOPIXと日経平均株価では、伸び率が異なる。もしも日経連動型の投資信託と、TOPIX連動型の投資信託の両方を買っている者なら、ここ最近の伸び率の差を否応なく思い知らされているはずだが。」

鼎「どちらも日本企業の株価の平均を表す数値なんだから、本当は同じ伸び率を示してないとおかしいのに、日経の方だけ大きく伸びて、TOPIXはそれほどでもないというのは奇妙だよね。しかも政府やマスコミは、何かと日経2万円台がどうこうとか、日経の方ばかり注目して取り上げるし。」

逆沢「日経平均株価は、扱う銘柄が限られている上、特定企業の影響力が偏って強い配分だから、政府にとっては操作しやすいからじゃねえのか?」

愛原「日経平均の事を日経ダウと呼ぶ人もいるくらいだからな。アメリカで有名な株価指標にダウ平均株価というのがあるが、これはダウ・ジョーンズという会社が独自に選んだ工業株30種。輸送株25種。公共株15種の計65種のみで成り立っている。」

逆沢「日本でたった225種の日経平均株価もアレだけど、ダウ平均はそれ以上に偏りすぎてるだろ? こんなのを超大国アメリカの株価の指標にすんなよってツッコミたくなるレベルというか。まぁ操作したい側にとっては、特定企業の株価だけを上げる事で国内全体の景気が良いように見せかける事が出来るから、都合がいいのだろうけど。」

鼎「株式市場というギャンブル市場も、こうしてみるとイカサマだらけなのかなぁ。みんなの年金を株価の操作に回されていると思うと嫌な気もするし、ましてそれで見た目だけ日本全体の株価を上げたように見せかけてると思うと・・・。」

逆沢「まぁイカサマ一つないクリーンな賭博市場というのも、物語としては面白くないとは思うけど・・・。ここまで胡散臭いと、カタギの人はちょっと近寄りがたいわ。シロートが軽い気持ちで首を突っ込むと、有り金全部巻き上げられそうな雰囲気がぷんぷんしてるというか。」

愛原「ま、今、株式市場に首を突っ込むと言う事は、日本政府や安倍政権という巨大な胴元を相手にギャンブルを挑むという事に他ならないからな。まぁここまで来たら、どれだけ公的年金を追加投入してでも一旦は日経平均株価を2万の大台には乗せてくるだろうし、それでも株価がまた下がりそうなら黒田総裁が紙幣を再度印刷してばらまいてくるだろうから、欧米や中国で経済危機が起きない限りは、当面は日本株価の大幅暴落はなさそうに思えるが。」

鼎「私達民間人が株価を不正操作したら刑罰の対象になるのに、政府が特定の株価になるよう誘導するのは構わないというのは何か変な感じがするけど・・・。」

逆沢「うーん。それにしても、儲かると見せかけて客を賭け事に誘う手法は、まさしくギャンブルそのものって感じねー。」

鼎「国が日経平均株価を操作して株価をつり上げているのは、アベノミクスが上手くいってるように見せかけるだけが目的なのかなぁ?」

愛原「うーん。麻生財務大臣が貯蓄する層に対して【守銭奴】呼ばわりして、資産を積極的に投資するように強く促し続ける一方な所をみる限り、国家戦略として貯蓄中心の日本の消費者経済システムを投資中心のアメリカ式に変えたいという思惑もあるだろうけどな。」

逆沢「なんでもアメリカの言いなりかよ。ってかなんで貯蓄が悪者扱いなんだよ?」

愛原「まぁ景気を回す為には消費活動が不可欠という思想が根底にあるんだろうし、資本主義経済下では、必ずしもそれは間違いではない。但し貯蓄も投資の一環ではあるんだけどな。タンス預金ではなく銀行預金であるのなら。」

鼎「銀行は、私達が預けた預金を各企業などに貸し出して運用しているだけだから、厳密には投資活動そのものだよね。」

逆沢「株を買うという行為は特定企業に投資する行為だけど、銀行にお金を預けるという行為は不特定多数の企業など社会全体に投資する行為な訳だから、預金を悪呼ばわりする麻生以下の連中の気心が知れないわ。」

愛原「株を公開して資金調達できるのは大企業くらいのものだし、中小企業にとっては銀行などの金融機関が経営の命綱になる事すら珍しくない。銀行の規模が縮小し株式市場の規模が拡大するという事は、国家全体が大企業中心になる事をも意味する。株式を上場可能な大企業にしてみれば、銀行に払う金利よりも、株主に対する配当金の方がはるかに安くつくし、業績が悪化しても、株価が下がるだけで株主から返済を迫られる事もないので、どう考えても銀行からの資金調達と比べれば、株式公開による資金調達の方がメリットが大きいのだ。但し今までの日本の場合、一般国民の余剰資金は株式市場よりも銀行などの金融機関に多く流れがちだから、大企業としても、(トヨタなどの一部企業を除いて)株式市場だけで資金調達できる額には限界があり、不足分は銀行で借りざるを得なかった。それを麻生や経団連としては改めたいのだろう。」

鼎「株式市場が大きくなると大企業は銀行に借り入れせずに済みやすくなる分、、銀行は最大の得意先である大企業から収益を得るのが難しくなって、その差を埋めるために中小企業に対する金利を上げざるを得なくなったりして、ますます中小企業の経営が圧迫されるだけだと思うけど。」

愛原「大企業からしたら、そんな事知ったこっちゃないんだろう。政府にしても、今までは国債の最大の引き取り手である銀行はお得意様としてそれなりに優遇しなければならなかったけど、財政赤字ももう正攻法では償還不可能なほど拡大して、これからは円の価値を下げて対応せざるを得なくなったから、これ以上銀行を優遇させる必要もなくなったという所かも知れない。麻生財務大臣自身、銀行は既にカネ余りの現状(預金額の多さと比べて、企業が銀行に借り入れを申し込む額の割合が少ない事により、銀行側は預金者に多くの利子を還元できず、低金利政策を維持せざるを得ない)を認めており、銀行を中心とした経済構造自体が行き詰まりつつある現状も把握しているようだしな。」

鼎「そうでなくともマイナンバー制度が加速すると、個人が銀行に預けている資産も丸見えになって、預金封鎖のリスクも高まるらしいし、銀行に預けるメリットがどんどん失われている気がしなくもないけど。」

逆沢「預金封鎖なんてあり得るわけないって言いたいけど、実際には戦後日本でも一度実行されているらしいからねー。」

愛原「大震災と同じだな。滅多にはおきないし、起きることを前提に深く考える程でもなさそうだけど、実際にはいつ起きてもおかしくないものというか。まぁ大金持ちはスイスの銀行とか諸外国の金融機関にも隠し資産を分散させているだろうから、預金封鎖が起きた時に泣くのは一般庶民だけだ。」

逆沢「本当に金持ちだけが得をして、貧乏人ほど損をする仕組みなのねー。今の日本は。」

鼎「うーん。とするとどっちにしても円の紙くず化は、当分は進行を避け得ないという事かな?」

愛原「ヨーロッパ経済も似たようなものだけどな。上で少し取り上げたスイスフランの大暴騰も、スイスが日本を上回る超低金利(というか実質マイナス金利)政策を取っている点とリンクさせると分かりやすいかも知れない。スイスフランは売り玉を建てた方がスワップ(金利差による利益)的に有利になりやすい為、売り玉を建てている日本のFXユーザーも少なからずいたようだが、だからこそ被害も少なからず広がったと思われる。」

鼎「仮に日本も、今の流れが続いたらどうなるのかなぁ? 私達は、子供の頃から賭け事は悪い事だと教えられているし、コツコツ真面目に働いて稼ぐのが日本人としての正しい生き方という風にも薫陶を受けた気もするし、貯蓄の美徳も誰となく教わった感じもするけど・・・。仮にその流れが否定されていくとすれば・・・。」

愛原「目減りするのが嫌なら、ギャンブルに打って出るしかない。ギャンブルに勝つには、知恵をつけるなり、技術を磨くなり、権力者と癒着するなり、イカサマをするなりするしかない。しかしギャンブルに勝つ人が増えると胴元は困るから、ルールを変えたり、あらゆる策を弄してでも、大半の人が負けるように仕組んでくるだろう。」

鼎「かつて税金対策としてビール業界が努力して安価な発泡酒が生まれたのに、それによる税収減を憂慮した政府が発泡酒を狙い撃ちした酒税法の改正をして、それで発泡酒が割高になって、衰退した流れを思い出したかも。」

逆沢「仮に私達国民が知恵をつけて政府相手にギャンブルに勝てるようになったら、また胴元である政府がルールを変えて、国民の大半を負け組にできるシステムに変えてしまう気がするわ。つまり国民がどれだけ努力しても無駄というか。」

鼎「私達がギャンブルを避けても資産は目減りするだけだし、国民を無理矢理ギャンブルに引きずり込んで財産を巻き上げようとしているとしたら、こんな恐ろしい話はないよ。」

愛原「少数の国民がギャンブルに勝つ分には、胴元も寛大なんだけどな。誰も勝たないギャンブルには、誰も挑まないだろうから。ギャンブルに勝った人がこれだけ幸せになってますという映像をみせる為にも、少数のギャンブラーには買ってもらう必要がある。しかし胴元が儲けるためには、大多数の客には負けてもらわないと困る。」

逆沢「勝てる競馬予想プログラムで大もうけした人が、裁判の度に判決内容が変わって散々振り回されてたけど、裏取引でもあったのかねー? お前一人だけが儲けるなら許容するけど、そのプログラムを売ったり広めたら、お前の人生終了させるぞみたいに。」

鼎「ふと思ったんだけど、ゲームの世界のギャンブルと、現実世界のギャンブルの最大の差は、ギャンブルの勝敗が人生終了につながるかどうか?の差かなとも思ったかも。」

愛原「ん? それはどういう事だ?」

鼎「ゲームの世界の闘技場でギャンブルして勝っても、大した収入にはならないよね。どれだけ派手に勝っても、100回戦闘分の儲けには絶対にならないというか。絶対に武器屋の武器を一気に買い占めたりはできないというか。その代わり負けても怖くないというか。少し真面目に働いたら(モンスターをしばいたら)、すぐに損失も埋められてしまうというか。」

愛原「ゲームバランスの都合もあるからな。ギャンブルに勝つだけでレアアイテムを簡単に買われても困るし。逆にギャンブルに負けただけで、総資産がいきなりゼロorマイナスになる仕様も、プレイヤーにはきついだろう。つうかどっちにしろ、セーブ&ロードしまくるプレイヤーがきっと出る。」

逆沢「あ、そうか。ゲームの世界ではセーブ&ロードという最大の切り札があるから、どんなハイリスク・ハイリターンのギャンブルも怖くないのよね。」

鼎「仮にギャンブルで少々の損失が出ても、真面目にコツコツ働いたら(モンスターを何体かしばいたら)すぐに挽回できるのも、ゲーム世界の特徴だよね。」

愛原「つまりゲーム世界のギャンブルに、人(PC)の人生を変える程の影響力はない。一夜にして大もうけして、レアアイテムを簡単に買えるようにもならないし、逆にいきなり巨額の借金を抱えてそのままゲームオーバーになる事もない。仮にそんな無茶仕様にしても、セーブ&ロードかリセットボタンで即問題解決だ。」

鼎「でも現実のギャンブルは違うよね。先物取引やFXに失敗して自殺したり他殺する人もいるし。バブル崩壊の時には、大企業も含めて多くの損失を抱えて倒産したところもいっぱい出たし。現実世界でギャンブルに負けたら、本気で人生終了する人は全然珍しくないし。」

愛原「ゲームでは絶対再現不能な部分だな。セーブ&ロードやリセットボタンで何度でも人生をやり直せるゲーム世界と、決して人生をやり直せない現実世界との絶対的な差。」

逆沢「ゲームの世界ならギャンブルで負けてもコツコツ働けばいずれ必ず元が取れるけど、現実世界ではどれだけ真面目にコツコツ働いても絶対に挽回できないケースも多いしね。働きたくてもまともな働き先が見つからなかったり、介護職のように激務の割りに薄給な業界もあるし。ギャンブルに限らず、事業の失敗や就職の失敗で、借金や奨学金が返せなくて破産する人も後を絶たないし。」

愛原「破産したらカードも作れなくなるし銀行などから借金もできなくなるから、今後の人生に大きなハンデを抱える事になるしな。奨学金レベルの額でも、対応を間違えたら人生を詰む。それでも自己資金が少ない者は、人からお金を借りたり、色んなバクチを挑まざるを得なくなりがちだ。というか大バクチに挑まざるを得ない心境に追い込むシステムが、この世には多すぎる。」

鼎「今日の夕飯を賭けてギャンブルくらいなら、人生を終了させられることもないし、勝っても負けても仲間内で楽しめるのにね。」

逆沢「そうそう。勝ち負けを争うのは結構楽しいし、ギャンブルそのものが悪いとも私は思わないし。ただ今の社会の場合、ギャンブルで負けた側に対する安全弁が壊れてる所が大問題なのよねー。負けると本気でどん底に落とされてしまいかねないというか。」

愛原「今のギャンブルは、富裕層や胴元ばかりが有利に働くシステムになっているし、またそのシステムを維持する為には、イカサマも平気でやるからな。そして一部の者が得られる利益を最大化するには、それ以外の者が被る不利益も最大化する必要があるのだろう。」

鼎「私はそんなシステムが嫌だから、コツコツ働いてコツコツ貯めて堅実に生きていく生き方を薦めたいけど・・・。日本人の美徳にもかなっていると思うし。」

逆沢「けど今の日本にも、そんな人様がコツコツ稼いできたお金を、一気に巻き上げようとする人達が増えてきたという事かな? 振り込め詐欺をやるような反社会勢力だけでなく、カジノ議連だの経団連だの政治がらみの連中まで含めて幅広く。」

愛原「ギャンブルをするしないは個人の自由だ。しかし甘い言葉でシロートをギャンブルに仕向ける流れには賛同しがたい。」

逆沢「ただギャンブルの主催者としては、玄人だけでギャンブルを回したくはなさそうだしね。絶対に競馬で勝てる人ばかりとか、カードゲームの達人ばかりとか、株やFXの達人だけばかりとか、そういう玄人ばかりでギャンブル大会を開催しても、主催者が涙目になるだけだから。主催者的には所○ョージのCMを見て宝くじを買いたくなるようなドシロートばかりの方が有り難いだろうし。」

愛原「そういえば某千佐子容疑者は、先物取引の一任勘定をやっていたという記事もあったな。一任勘定というのは、本来は法で禁じられているのだが、先物取引の営業マンに全てお任せという事。つまり先物取引のドシロートである容疑者は、プロである業者に運用を任せて、プロがそのカネをまるまる溶かしたという事。もちろんプロでも負ける事はあるけど、闇金ウシジマ君では実際には取引自体していないのに負けた事にしてカモから銭を巻き上げてるシーンがあるし、別の漫画でも逆建て(客と正反対の取引をして、客の損失をまるまる自分の利益にしてしまう方法)するシーンがあるし、客が損をすればするほど、胴元や業者が儲かるシステムが残る限りは、この手の不幸はつきものなのかも知れない。」

逆沢「プロに任せてたら安心なんて思ってたら、そのプロに根こそぎ巻き上げられて終わりかねないって事ね。」

鼎「ギャンブルというのは、誰かが負ける事で成立している部分もあるけど、逆を言えば、ギャンブルで生計を立てるような人は、他人を負けさせる方法に長けているからこそ成功しているとも言えそうだよね。」

逆沢「みんなが儲かったらギャンブル自体が成立しなくなるし、ギャンブルというシステムを維持しながらなおかつ自分も儲けようとすれば、それ以上に損をするイケニエを大量に用意しないといけない。それで宝くじやFXやアベノミクスで夢をみせる事には熱心でも、スイスフラン大暴騰とか、宝くじで高額当選する確率は交通事故死する確率よりはるかに低い事実や、アベノミクスの負の部分を、彼らは絶対に広めようとしないと。」

愛原「一攫千金の夢はあってもいい。故に宝くじが悪いとは思わん。宝くじで人生崩壊する人間なんてちょっと聞かないし。但し負けたら一発で人生計画が崩壊するような一部のギャンブルは疑問だし、そういう危険なギャンブルに挑まざるを得ない方向にいざなう社会の流れはさすがに疑問だ。」

逆沢「私の場合は、頭ごなしにハイリスク・ハイリターンは否定しないけど、富裕層だけが有利に働いたり、胴元が勝手に自分有利にルールを書き換えるようなイカサマシステムだけはやめろと言いたいわね。」

鼎「ファンタジーの世界のギャンブラーは結構カッコいい人も多いけど、貧しい人や真面目なカタギの人をだまして、シロートから全てを巻き上げるような真似はしないよね。腕に覚えのある人同士で血湧き肉躍るようなギャンブル対戦するのは盛り上がって有りかもしれないけど、シロートをだまして搾り取るようなのは駄目すぎると思うよ。」

逆沢「そうそう。やるなら富裕層同士とかプロ気取りの者同士でつぶし合えって感じだわ。シンガポールでもラスベガスでもどこでもいいから。」

愛原「公営カジノも、所得制限とか外国人専用とか条件を設けて富裕層以外を出入り禁止にすれば、日本国内に設置するのもアリかも知れんな。大王製紙のお坊ちゃんやハマコーだけに限らず、お金の使い道に困っている人達から巻き上げる分には、治安面でのマイナスもないし、経済効果でも大きいから一考の余地はあるだろう。貧乏人からなけなしのカネを巻き上げて収入とするよりも、その方がより効率的に稼げそうだ。アメリカなんかでは国内の99%の富を1%の富裕層が握っているなんて主張する人すらいるし、ならばそのごく少数の富裕層から徹底的に金銭を巻き上げて、それらを日本の財政改善や福祉に回す方が健全と思えなくもないし。」

逆沢「貧しい人や真面目な人をだまして金品を巻き上げるのはナニワ金融道や闇金ウシジマ君チックで後味も悪いけど、悪人ヅラした成金どもや上から目線の自信家どもをギャンブルでギャフンと言わせる分には逆にスカッとするし、それはいいアイデアだわ。」

鼎「大富豪が決して見ないような地上波テレビに競艇や競馬のCM流すよりも、大富豪が多く集まるようなコミュニティー空間に、そういう広告をバンバン流す方が効果的かなと私も思ったかも。シンガポールやラスベガスやモナコのカジノは、富裕層に絞った広告戦略ができるから、富裕層だけを集めて効率よく営業する事で成功し続けているのだろうし、他国のそういう戦略は日本も見習ってもよさそうだよね。」

愛原「強者同士の対戦であるからこそギャンブルシーンも盛り上がるのであって、プロの先物取引業者や大企業や日本政府のような強大な組織が寄ってたかって、シロートをイカサマ同然の手段で騙して、骨の髄までしゃぶり尽くすようなギャンブルはシャレにもならない。」

逆沢「ことギャンブル文化に対しては、日本は外国よりも経済的弱者に冷酷なのかもね。外国のカジノとかは完全に富裕層向けのオシャレなイメージだけど、日本のギャンブルは宝くじから競馬・競艇に至るまで、貧しい人に夢を見せてさらに追い込むイメージだし。」

愛原「案外そうかもな。FX一つとっても、海外業者では全額没収まではあっても借金までは背負わせない仕組みになっている所が少なからずあるが、日本ではそんな良心的なFX業者は皆無で、容赦なく借金を背負わせてくるからな。欧米にとってのギャンブルと、日本にとってのギャンブルでは、色々質自体が異なるのかも知れない。」

鼎「欧米の富裕層にとってのギャンブルは基本的に娯楽だけど、日本の庶民にとってのギャンブルは、生きていく為の手段であったり、貧しい者が一発逆転を狙う上で唯一の手段であったりするのが悲しいと思ったかも。」

逆沢「ある意味、日本人の方がプロギャンブラー寄りなのかも知れないわね。但し、日本人のプロギャンブラーには2種類あって、シロート相手に徹底的にだまして搾り取る富裕層寄りガチギャンブラーと、ギャンブルに勝つ為のノウハウはまるでないけどそれしか手っ取り早く豊かになれる手段がないから、とりあえず運を天に任せる感覚で挑むドシロートのプロギャンブラーに分かれて。」

鼎「日本のギャンブルは純粋な娯楽からは、かなりかけ離れつつありそうだよね。負けたら本当に人生終了しかねないものも多いし。一方で胴元も娯楽の提供者という自覚はまるでなくて、本気で相手から搾り取る事しか考えてないから、イカサマも平気でやるし。」

愛原「ゲームの世界のギャンブルなら、負けてもリスクはほとんどないから、純粋な娯楽として楽しめる。が、それに対して、日本のリアルギャンブルは、生活がかかっているからすごく殺伐としかねない。搾り取る側は全力で絞りにかかるし、搾り取られる側も途中で引けなくなって、破滅まで一直線になりやすい。」

逆沢「そして日本政府自体が、その胴元として、ますますその傾向を強めていると。」

鼎「タバコでもちゃんとリスクの説明はしてあるのに、アベノミクスとかマイナンバー制度に関してのリスクはほとんど公式サイドから説明されないし、夢やメリット面だけみせてその気にさせて搾り取る事しか考えてないとしたら、こんなにひどい話はないよ。」

愛原「しかもその最大の犠牲者は真面目なだけが取り柄の小市民だ。一文無しのプー太郎ははじめから資産を持ってないから、元々巻き上げられる額はたかが知れている。資産家やプロも巻き上げる側だからそうそう泣くことはない。最も泣くのは、真面目であるが故に若干ながらも資産はあるが、特にずる賢くもなく、偉い人達の言う事を聞いて素直に生きていたらそうひどい事にはならないだろうと考える人達。」

逆沢「そういうシロートに基礎的な知識すら与えず、真面目なだけが取り柄の小市民を否応なくギャンブルに巻き込んで、ケツの穴の毛まで引き抜くような真似をするのは、典型的な悪玉行為そのものね。漫画なら正統派主人公に徹底的にぶっ飛ばされても仕方ない人達というか。」

愛原「実力者同士、あるいは富裕層同士の血湧き肉躍るギャンブルなら絵にもなるし、そう問題にする事もない。詐欺師が詐欺師を騙すようなお話も痛快だろう。だが現実の勝ち組ギャンブラーや悪徳先物取引業者などは、強敵相手に戦いを挑むのではなく、もっともカモっぽい相手を騙して戦いを挑ませ、確実に戦果を得ようとする。あまりにもやる事が汚い。」

逆沢「胴元も勝ち組ギャンブラーも、勝てる相手にしか戦いを挑まないのよね。それでも負けそうになったら、今度はルールを書き換えたりイカサマしてでも、無理矢理勝とうとする。他人を人生終了させる事は平気でも、自分が人生終了する気は絶対無いというか、自分の人生が終了させられるくらいなら、どんな卑怯な手段にも平気で手を染めるというか。」

愛原「娯楽なら強い奴に勝つ喜びを優先する事もあるだろうけど、生活の手段だから確実に勝つ事を優先したがるのだろうな。」

逆沢「【オレは戦うのが好きじゃねぇんだ。勝つのが好きなんだよッ】ってセリフを思い出したわ。まさしく悪党にふさわしい心理ね。強い奴にギャンブルで勝つのではなく、弱い奴だけに戦いを挑み確実に勝つ。それでも負けそうになったら、イカサマしても構わないと。」

鼎「燃えるギャンブルシーンと、ゲスなギャンブルシーンが、作品によって両方登場したりするけど、後味が悪い後者のギャンブラーには絶対なりたくないし、支持もできないよね。」

逆沢「私は白熱するギャンブルシーンは結構好きだし、真面目にコツコツってガラでもないから、ギャンブル自体は否定してほしくないけど、だからこそギャンブルに対する印象を悪化させるような悪党どもだけは許せないわ。楽しいギャンブルを、人から命を奪うギャンブルに換えて、自分が得する事しか考えない連中を。」

愛原「ギャンブルは、扱い方によって人を楽しくも不幸にもする。そして娯楽で済む内はゲームの延長線なのだが、人生や生活を賭けだすと、途端に無限のどす黒さが混じり出すものでもある。そして無限のどす黒さに包まれた者は、知識も覚悟も無い無垢なイケニエを求めて、それらを餌食にしようと、醜くうごめくようにもなる。そして無垢なイケニエ自身も黒く染まり、家族や友人も巻き込んで多くの者を不幸にする。」

鼎「人生には伸るか反るかのギャンブル的側面がいくつか付きものではあるけど、自分の意思で覚悟を決めてそれに臨むのと、他人にそそのかされてフワフワした覚悟のまま首を突っ込むのとでは、意味も全然違うよね。」

愛原「無垢なシロートをそそのかして地獄に叩き落とす事を生業とするような悪のプロギャンブラーと、強敵や悪党どもを相手に知力や胆力で競り勝つような血湧き肉躍るプロギャンブラーを一緒にまとめてはいけない。それらを全く別の存在と認識した上で、後者が前者を倒す爽快感のあるギャンブルバトルものなら、俺も大好物だぞ。」

鼎「私も普段はコツコツ生きる日本人的な生き方を支持するけど、今日の昼ご飯を賭けたりするくらいは嫌いじゃないよ。」

逆沢「イカサマ抜きのスポーツルールなら、私も勝負ごとは割と好きだしね。」

愛原「俺も確率計算とかは割と好きだし、ゲームバランスが取れたギャンブルに美を感じる事はあっても、不快感を感じる事は実は少ない。逆をいうと公平なルールにみせかけて実はかなりイカサマ状態だったりするものには、強い嫌悪感を禁じ得ない。まして人の人生を賭けの対象にしたり、覚悟のない者をそそのかして引き込んだりするのは、娯楽としての賭け事くらいはできれば容認したい者からすれば、冒涜行為であるとすら思っている。」

鼎「楽しいものは楽しいままに留めておくべきで、それを食い物にして、人の人生まで壊したら駄目だよね。」














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