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愛原様のたわごと(15年5月10日)






愛原「悪玉が悪い事をやる際に、それぞれ色んな動機があったりするわな。」

逆沢「割とありがちだけど盛り上がるのは、今の世の中にうんざりしてて【だったら俺がこの腐った世界を変える】系かな?」

鼎「そういう動機のラスボスさんは、割と見かける気がするよね。」

愛原「でもそういう高尚(?)というか、遠大な動機で悪さ(?)をする悪玉なんて、実際にはかなり少数派だよな。特にリアルでは。」

逆沢「そんな高尚な悪玉は、【戦後レジームを壊す】とか息巻いて戦時中の日本がやってきた事に対して謝罪の必要ない世の中に変えると燃えている、安倍晋三だけでお腹いっぱいだわ。昔は、極右とか極左とか、色んな革命家がたくさんいたようだけど。」

鼎「でも実際には、悪い事をして捕まってる人の99%以上は、そういう思想犯関係とは無関係だよね。」

逆沢「実際の所、ほとんどの悪玉は、生活に困ってやむなく犯罪に手を出す人と、理性もしくは感情が制御できず、衝動的に悪事を行ってしまう人が大半な気がするわ。置かれた境遇さえ悪くなければ、本来、罪を犯したり、悪人扱いされずに済んだ人達というか。」

鼎「とすると生まれついての悪人というのは、存在しないという事かなぁ?」

逆沢「少なくとも悪事をしないと生きていけない環境に置かれたり、あるいは攻撃的な心理状態に置かれたり、あるいは変な思想を吹き込まれたりしない限りは、人は本質的に善良な生き物なのかねー?」

愛原「残念ながら、そうとも言いきれんな。今回のテーマが、まさにそれ。今回は【サイコパス(反社会的人格者)】について取り上げてみたい。」

逆沢「おー、サイコパスか。一般的なRPGからサスペンスものまで、幅広く使われる悪玉の典型の一つね。」

鼎「ラスボスよりは、中ボス向きの悪玉キャラクターとして、使用しやすいイメージだよね。」

逆沢「サイコパスは良くも悪くも欲望に忠実だからねー。別に世の中を変えたいとか、高尚(?)な思想があるわけでもないから、ラスボス的な役割を求めるには底の浅さが否めない面もあるけど、吐き気がするほど気持ちが悪くて、分かりやすい悪玉としての機能が期待できるから、そういう意味での需要は高いわね。」

愛原「人を殺す事に快感を覚える殺人鬼。あるいは己の知識欲や研究欲を満たす為ならどれだけの人間や社会を犠牲にしても良心の呵責を覚えないマッド・サイエンティストあたりがサイコパスの代表格として有名だが、実際にはそれ以外のパターンのサイコパスも多く存在する。そして精神医学や犯罪心理学の観点からみる限り、彼らに共通するのは、おおむね【共感能力が欠如している】【良心が異常に欠如しており、自己中心的】の二つ。また総じて口が上手かったり、自信過剰であったり、他者に責任転嫁したがる傾向が見られるらしい。【一見博学だが、実は他人の知識の寄せ集めである】【難解な外来語や、人を驚かすような言動を好む】【思い込みが激しく、他人の批判を許さない】【平気で嘘をつき、いつの間にか自分の付いた嘘ですら本当の事であるように思い込む】などの傾向を主張する学者もいる。」

逆沢「何、その発達障害?」

愛原「発達障害である事とサイコパスである事は決してイコールではない。サイコパスである事と全く無縁な発達障害者の方が圧倒的に多く、ここを勘違いして発達障害者を偏見の目で見る事は、絶対に慎むべきだ。但し、サイコパスである事は、発達障害者である事の必要条件ではなくとも、十分条件程度に位置づけられる事はあるらしい。」

鼎「必要条件とか十分条件というのは、数学で習ったよ。」

逆沢「うーんと、要するに発達障害者だからといってサイコパスであるはずは決してないけど、サイコパスである以上は発達障害者特有の傾向をそれなりには持ち合わせているという事か? ぶっちゃけて言うと、発達障害者の一部がサイコパスになるというか?」

愛原「鳥と卵の関係が分からないから、そう定義づけるのは早計ではある。サイコパスを続ける内に発達障害的な要素を強めていくのか、発達障害者の一部がサイコパスに変容していくのか、その流れがイマイチ分からないし、そもそも両者が似て非なる別物である可能性も十分あるからな。氷とドライアイスが似て非なる別物であるように。」

逆沢「たまたま傾向として似通っているだけの別物なのか、精神構造の根源部分で何らかの関連性があるのか、その辺は学者の今後の研究に任せるとして、まぁシロートからみて、両者が混同されがちな部分を持っている点については理解できたわ。」

愛原「先にも触れたが、サイコパスは常人が持っている共感能力や良心が大きく欠けている。その結果、自らの欲望の為には、他人を傷つけても構わないというか、傷つけられて苦しむ相手の気持ちが理解できないから、平気で悪事に手を染められるという風になりがちだ。」

鼎「自分のせいで苦しんでいる人の気持ちが分からないから、平気で誰かを傷つけられるという事かな?」

愛原「サイコパスというのは、必ずしも殺人鬼の事だけを指す訳ではない。厳密には、自分の欲望の為に、他人を痛めつけたり、犯罪に手を染める事に、全く良心の呵責を感じない人全般の事を指す。」

逆沢「つまり殺人鬼やマッド・サイエンティスト以外のサイコパスも、世の中にはたくさんいるという事か?」

鼎「お金を稼ぐためなら、どれだけ人の道を外れるような真似をしても何とも思わないような人なら、案外たくさんいるような気もするかも。」

愛原「まぁどこまでが悪でどこからか犯罪かの定義で揺れるような概念は省くとしても、明らかな犯罪に手を染めても、良心の呵責を感じないというか、それを成す事にある種の快感を覚える人種というのは、残念ながら存在する。少し前にニュースになった名古屋大学のタリウム女子とか、サイコパスとしての条件を満たしすぎているような気がしてならん。」

逆沢「あー、同級生にタリウム飲ませて、ほぼ失明寸前にまで追い込んだとか、ニュースであったわね。」

鼎「なんか他にも放火未遂の余罪も自白したとかいうニュース記事もみた事あるよ。」

逆沢「育ちに原因があるのか、生まれついて精神のどこかに欠陥があるのかは知らないけど、よくそういう事ができると本気で思ったわ。」

愛原「もっと分かりやすいサイコパスによる犯罪も、少し前にあったな。勝田○彦とかいう容疑者による女子切り裂き事件がそうだが。」

逆沢「あー、コイツ。何年か前にも女児の内蔵を破裂させるような暴行事件も含めて似たような事件を10件以上も起こしていて、警察に捕まってた事があったらしいわね。で、数年ぶりにシャバに出てきたと思ったら、早速、再犯か?」

鼎「確か数年前に捕まった時に自供した犯行の動機が【女の子が痛がる顔が見たかった。痛がる顔を見ると、性的興奮が得られる】とか言うものだったよね。今回も、似たような事を自供しているらしいけど。」

逆沢「今回は、中学3年の女子がナイフで10数箇所も切られて、一部は指を動かす腱を断裂する程の重傷で殺人未遂罪で捕まったけど、確か【殺すつもりはなかった】とも自供して殺人未遂には当たらないと一部否認してるらしいわね。」

愛原「まぁ痛がる姿が見たいというのが動機なら、殺すつもりが始めからないという自供の中身自体は、一応筋は通っている。」

逆沢「しかし、こういうニュース見ると、本当に怖くなるわ。世の中には、こういう人を傷つける事に快感を覚えるサイコパスが本当に実在しているのかと思うと。」

鼎「この容疑者のように人を殺す事を目的にしないサイコパスというのも、実際にはたくさん存在するという事かな?」

愛原「そりゃあ、ちゃんと調べてみればいっぱいいるんじゃないか? 被害者のプライバシーに配慮してか、いちいち大きなニュースにならないだけで、常習レイプ犯とか、かなりいるとも言われるし。」

逆沢「あー、何年か前に、たまたま殺人事件に発展したせいで、大きなニュースに格上げされたレイパーもいたわね。そいつも出所後にさっそく再犯に及んでたというか。」

鼎「服役中に色んな矯正教育が行われると聞くけど、性癖までは矯正できないって事なのかなぁ?」

逆沢「ロボトニー手術でもするしか無いんじゃないの? 性癖まで変えたければ。もっともそうすれば、人格も変わってしまうけど。」

愛原「この手のサイコパスで厄介なのは、動機が生活苦のような経済難でもなく、衝動でもないところだ。環境が原因でないから、環境をどれだけ改善しても改善が見込めない。衝動が原因であれば、後で冷静になったときに反省する機会も生まれるし、反省する事ができれば同じ失敗を繰り返さない配慮や抑止力にもなり得るが、サイコパスにはそういう基本的な良心が欠けているので、そういう部分での改善も期待しにくい。」

逆沢「特に性欲というのは、食欲や睡眠欲と同じで人の根源を成すものの一つだからねー。人が食欲や睡眠欲を理性だけで完全に抑え込むのが困難なように、人並み外れた特異な性欲を理性だけで押さえつけようとしても、やはり難しそうなのは何となく分かるわ。」

鼎「でも欲望のままに行動しているからといって、必ずしも頭が悪いとは限らない部分が、逮捕する側としては厄介だよね。」

愛原「名古屋で捕まったタリウム女子にしても、凡人なら入手困難なタリウムを言葉巧みに薬局で入手できるくらいの才知はあるからな。というか名古屋で事件を起こさなければ、東北地方在住時に起こした複数のタリウム傷害事件も、放火未遂も、おそらく永遠に発覚しないままだったような気もする。ある意味、完全犯罪を成立させる一歩手前だった訳で、下手な犯罪者の数倍、頭が良いといってよい。」

逆沢「当時、まだ一女子校生に過ぎなかったにも関わらず、その行動力と演技力と知能を考えると、恐れ入るわね。よく考えると、名古屋大学自体、アホが受かる大学じゃないし。」

愛原「勝田○彦容疑者にしても、初犯で捕まる前までの時点で、既に10件以上も同様の傷害事件を起こしているくらいだし、逆をいえば何度も何度も似たような犯罪を繰り返したからようやくバレただけで、本来、そう簡単に捕まえられるタマでなかった可能性がある。というか今回、割とスピード逮捕につながったのは、【また、あいつか!】みたいな感じで、以前からマークされて当然の前科があったからに過ぎないし。本人なりに犯行がバレにくいように偽装工作(地元から離れた場所を犯行現場に選び、自動車から途中で自転車に乗り換えるなど)はしてたようだしな。頭の悪い粗暴犯に見えるが、実は英語の勉強のためにアメリカに留学していた経験もあるインテリ肌でもあったみたいな話もある。」

鼎「どっちも繰り返し犯罪に手を染めていたからいずれバレただけで、最初の一回で犯行を止めてたら、おそらくバレないまま逃げ切れていた可能性が高い事案だったという事かなぁ?」

逆沢「なんかMONSTERって漫画、思い出したわ。あの作品のラスボスもサイコパスだったけど、ものすごい知能犯でもあったし。」

愛原「サイコパスとは無関係の発達障害者にも当てはまる事だが、発達障害であったり、共感能力が無い事と、知能の高さは基本的に無関係だからな。むしろ他人に共感しないで済む事により、躊躇なく冷静に犯行計画を練り、犯行に手を染められるという事かも知れん。」

逆沢「ただサイコパスであるが故に、良心に基づいた自制が効かないのが、彼らにとって最大の弱点かもね。凡人なら一度大それた事をしてしまったら、二度と同じ事をするまいと考えがちだけど、彼らはそれ自体が生き甲斐のようなものだから、何度でも同じ犯罪を繰り返して、いずれ捕まりやすいというか。」

鼎「せっかくバレないように犯行を成功させても、すぐに次の犯罪に手を染めるから、そうしてる間に隙もできるし、捕まっても一度釈放されたら、また同じ事を繰り返したがるから、やはり以前のようには上手くいかなくなるという事かな?」

逆沢「けどサイコパスに襲われた被害者の立場からすると、後で彼らが捕まろうが罰せられようが、それで解決にはならないからねー。一番いいのは、やはり彼らが改心してくれる事なんだけど。」

愛原「人格改造が無理なら、欲望を上書きするか、何かで代償させるなりして、その欲望を解消していくしかないだろうな。少なくとも倫理道徳を説くだけで、彼らを改心させるのは困難だと思った方が良い。」

逆沢「欲望の上書きというと?」

愛原「他にやりたい事が出来たり、しなければならない事ができれば、ネット中毒も自然と解消されるみたいな話は聞いた事がないか? つまりそういう感じ。」

逆沢「あー、なる程。現実世界で承認されない人間がネット中毒になるとすれば、現実世界で承認してもらえるようになるか、無理矢理現実世界に縛り付けておくのが、ネット中毒解消に効果的であるようなものね。」

愛原「戦場で性犯罪が横行しやすかったり、兵士がゲイ(男性同性愛)化しやすいのも、性欲を発散させる機会に乏しい環境が続くのが主因とされている。欲望を理性だけで抑えつけようとしても、それは簡単ではない。」

鼎「【そんな事をしてはいけません】という倫理規定だけで、サイコパスを改心させようとしても困難って事かな?」

愛原「凡人でも、欲望を抑えられるレベルには限度がある。サイコパスなら尚更だろう。彼らには凡人が抱える共感能力や良心といった縛りに期待しにくいため、欲望に歯止めがかけにくい。現状、彼らに対する歯止めとなっているのは、倫理ではなく、罰則のみだからな。」

鼎「でも罰則だけでしか、彼らを抑えられないとすれば、すごく悲しいよね。」

愛原「サイコパスも知能は人並みはあるから、どうやったらバレずに済むか、どこまでなら罰せられないかなどを、絶えず考慮に入れている。で、自分の知能や力では、犯行を犯した場合にバレずに逃げ切れるのは難しいと判断したならば、怜悧な打算の結果、欲望を抑え込む事は十分に考えられる。」

逆沢「逆を言えば、逃げ切れる自信があるとか、それだけの知能がある者は、躊躇なく犯罪に手を染められるという事ね。良心や共感能力といった枷のないサイコパスの場合は。」

鼎「それでサイコパスの人には、自信過剰な人が多そうとか、頭がよさそうな人も多いという印象につながっていくのかな?」

逆沢「嫌な言い方になるけど、自分に自信が無いから犯罪に手を染めずに済んでいるサイコパス予備軍というか、潜在的サイコパスも、意外とたくさん存在している可能性はあるかもね。心の底では他人が傷ついていても何とも思わないし、むしろ他人が痛めつけられる事に快感を覚える側だけど、自分がそれを実行に移したら、あまりにもリスクが大きいから、理性によって踏みとどまっているだけの人種というか。」

鼎「そういう人は、北斗の拳の世紀末みたいな時代が来たら、簡単にモヒカングループの手先に入ってしまいそうだよね。」

愛原「うーん。潜在的サイコパスか。そういう発想まではなかったな。けど言われて見れば、そうなのかも知れん。反社会性パーソナリティーという概念も心理学にもあるが、彼らはいつでも反社会的という訳ではなく、相手の顔などをみて、それで相手によって威嚇する態度に出たり、逆に媚びへつらったり、あるいは極力目立たないように振る舞ったり、色んな態度を使い分けたりするようだし。置かれた情勢などを加味して、好機とみれば犯罪や反社会的行為に平気で手を染めるが、そうでなければ善良な市民を装う事くらいは朝飯前かも知れんな。」

逆沢「つうか凡人以上に善良な市民を装えるからこそ、タリウムを手に入れたり、悪事を起こしても自分が疑われないように工作できるんだろうしねー。」

鼎「凡人と違って良心の呵責がないから、平気で人をだませるような気もするよ。詐欺師とか、特にそうだよね。」

愛原「良心の呵責があったら、表情や態度でそれがバレる事も珍しくないからなぁ。他人を騙す事に躊躇がないから、心にもないおべんちゃらを言って他人のご機嫌を取ったり、相手によってはとことんサディスティックな態度に出たり、相手によって態度をコロコロ豹変させる事ができるというのはあるかもしれんな。」

鼎「サイコパスというのは、犯した犯罪だけを切り取ってみると、危険な変人以外の何者でもないんだけど、それ以外では凡人以上に善良な市民を装う事もできるから、普段からその人と付き合っている人ほど、逆に彼を善良な普通の人と誤認する可能性すらありそうだよね。」

逆沢「なんかジョジョの吉良吉影を思い出したわ。吉良吉影って、実はすごく才能あるのに、不用意に注目されたり侮られたりしないように、なんでも3位くらいに留めてたなんてエピソードもあったけど。」

愛原「サイコパスと聞くと、普通は奇人変人を思い浮かべるが、普段から奇人変人としての本性を出すと周りに注目されたり警戒されたりして、暗躍しにくくなるから、普段はむしろ凡人以上に普通に徹するというのはありそうだよな。だからこそ入手困難なアイテムを入手したり、事件を起こしても自分が犯人だとばれないように出来るんだろうし。」

鼎「こういう普通の人を装っているサイコパスを見破るいい方法ってないかなぁ?」

愛原「うーん。簡単ではないが、あえていうなら人によって大きく評判が異なる場合は、要注意かも知れんな。サイコパスは、人を騙す事に躊躇がないというか、人によって最も自分に都合のいい自分を演じて見せる傾向があるから、ある人から見たら弱々しい善人に見えても、別の人から見たら気持ち悪いサディストという例も珍しくない。」

逆沢「大多数の人間からみたら普通の人でも、幼女からの評判は最悪だったりしたら、その人は幼女に何かのこだわりがある変態である可能性があるみたいなものかな?」

愛原「あくまで可能性だぞ。変に疑心暗鬼になって、街にいる人のほとんどが変態にみえるみたいになっても困るし・・・。ただ詐欺師なんかにしても、普段は誰よりも信用できる人間を装ってはいるが、詐欺師に騙された被害者だけは彼のことを強く憎んでいるだろうから、そういう人から評判を聞く機会に恵まれたら、自分が被害者にならずに済むかも知れない。サイコパスにしても、普段は善良な庶民を演じているが、誰かの前では極悪非道なサディストになってるだろうから、そういう人の評判を聞ければいいのだが・・・。」

鼎「世間での評判はいいけど、社員からの評判が最悪だったりしたら、その経営者は、金儲けという自分の欲望の為なら、平気で社員を使い捨てにするサイコパスの可能性もあるって事かなぁ?」

愛原「自分の目的を達成しようとした結果、心ならずも誰かに負担をかけたり、傷つけてしまう事は誰でもある。だが仮にそういう事があったとして、それでも一切良心の呵責を感じなかったり、あるいは人を傷つけている事が自覚できるだけの共感能力がなかったり、あるいは人を傷つける事で優越感や快感を感じるタイプなら、サイコパスである可能性は十分にありそうだな。」

鼎「そういう人って、すごく怖い〜。」

逆沢「つうか気持ち悪い。少しでも早くこの世から消えて欲しいタイプというか。」

愛原「そういうある種の嫌悪感も感じさせる事から、サイコパスというのは悪玉キャラクターとしては、非常に重宝する。特にファンタジーの世界なら、北斗の拳のモヒカンのように、自分がサイコパスである事を隠さないようなチンピラ悪党も珍しくないだろう。一方、リアルの日本のように治安の良い社会では、自分がサイコパスである事が世間にバレると面倒な事になるから、吉良吉影みたいに普段は普通の人を装っている方が自然になると思われる。」

逆沢「で、その内、自信過剰なタイプのサイコパスが、実際に事件を起こしてしまったりするわけね。」

愛原「【人の不幸は蜜の味】ではないが、サイコパスでなくとも人間である以上、誰でも多少はサディストとしての一面も存在する。しかし大半の人には共感能力や良心もあるので、それらで相殺できて、実際にそういう猟奇的な事件を起こすことはほとんどない。しかしサイコパスにはそういう枷がない為、条件次第で平気で悪事に身を染める。自分に自信が無いタイプのサイコパスなら、サイコパスとしての本性を隠して、潜在的サイコパス状態のまま平凡に一生を終える事も可能だが、変に開き直ったり、妙に自信過剰だったり、あまりに欲望が強すぎるタイプのサイコパスは要注意だ。」

逆沢「特に狡猾なサイコパスの場合は、別人に罪をなすりつけたり、自分だけは犯人でないように見せかけたりする事にも躊躇ないだろうしねー。」

愛原「そういう善良な市民のふりをしたサイコパスをやっつけるシナリオも、作品としては面白い。北斗の拳のモヒカンみたいな分かりやすいサイコパスも、躊躇なくやっつけられる悪玉キャラとしては秀逸で重宝する。しかし現実世界にまで、そういうサイコパスに出張されるのは正直困る。すごく困る。というか実在して欲しくない。」

逆沢「けど残念ながら、サイコパスはおとぎ話だけの存在じゃないのよねー。何が原因でそういう存在が生み出されるのかは分からないけど。」

愛原「残念だが俺も、彼らが生み出されるメカニズムに関しては、よく分からん。ただ、快楽目的で人を襲う殺人鬼にしろ、マッドサイエンティストにしろ、彼らとの妥協や共存は非常に難しい。」

逆沢「こちらが圧倒的な力をみせつければ、相手によって態度を豹変させる事に罪悪感を感じないタイプなら、平気で頭を下げて媚びてくる可能性はありそうだけどねー。でも表面では従順なふりをして、裏でまた悪い事を画策してそうだから、それはそれで面倒だわ。」

鼎「漫画の世界での殺人鬼やマッド・サイエンティストの場合は、もはや本性を隠さないというか、相手に媚びるくらいなら、信念を貫いて死ぬみたいな美学のある悪玉も多いけど・・・。」

愛原「もはや逃げ場がないと悟ったなら、開き直って自分の本性と欲望をさらけ出して、戦って死ぬみたいなタイプもいるだろう。しかし逃げ場さえあれば、彼らは誰かの靴の裏を舐めてでも、その場をやり過ごそうという者が大半な気がする。だからこそ刑務所では更正したかのように大人しく過ごし、出所後も一見大人しく過ごしながらも、密かに計画を練っては再犯を繰り返したりもするんだろうし。」

逆沢「ま、普段から欲望全開で誰の目から見ても分かりやすいサイコパスなら、周りも警戒して、そもそも犯罪自体起こせないだろうからねー。」

愛原「なので一部のファンタジー作品で登場するようなマッド・サイエンティストとかには、ちょっと疑問を感じたりもする。【そんな危険思想を素で垂れ流すような変人。普通、誰も雇わんだろ】みたいに。」

逆沢「あははは。まぁ分かる♪」

鼎「戦隊ものであるような、分かりやすい悪の組織なら、いかにも悪人って感じのマッドな科学者や殺人鬼の方が、好待遇で雇ってもらえそうな気もするけど。」

愛原「まぁ組織自体が狂った存在なら、初めから自分がサイコパスである事を隠さない人間の方が、雇ってもらいやすいというのはあるかも知れんな♪ 北斗の拳の世界観で、モヒカン達が好き放題できるのも、世界自体が狂っているからと考えたら納得だ。」

逆沢「しかしリアルの日本では、狂った人間は社会から排除されるようにできているから、サイコパスも表向きは普通の人間を装わずにはいられないし、だからこそ暗躍レベルで留まっているともいえそうね。」

愛原「娯楽も充実してるから、それらによって欲求不満もある程度は解消できるしな。余程自分の才知に自信のあるサイコパスや、開き直ったサイコパスだけはどうしようもないが。」

鼎「サイコパスの人に、なぜか自信家キャラが多いのは、才知に自信があったり、開き直ったりしてるからかな?」

逆沢「変に自分に酔ってるというか、罪悪感もなくて自信過剰だからあっさりと犯罪に手を染める。あとは一度捕まっても、今度はもう正常な社会復帰は絶望だと思って、開き直って再犯するみたいな、サイコパスもいるかもね。」

鼎「更正してくれる見込みがあるならいいけど、再犯を繰り返す人が釈放されると、また被害者が出るだけだし、そういうのはすごく困るよ。」

愛原「ファンタジーの世界なら、サイコパスみたいな分かりやすい悪玉を殺した所で、何の問題もないんだけどな。現実世界はそうじゃない事もあって、釈放される度に何度でも再犯を繰り返す手合いも多く、その点がすごく悩ましい。特に詐欺師系と窃盗(万引き等)系のサイコパスは、暴力などで人を傷つけない為に短い刑期で済みやすい事もあって、すぐに出所しては、再び人を騙して金品を奪い取るみたいな事を何度も何度も繰り返すから始末に悪い。」

鼎「世の中には、生活苦でもなんでもないのに、何度捕まっても万引きを繰り返すようなタイプの犯罪者もいるようだよね。一般的には、気の毒な心の病と解釈されがちで、そういう人をサイコパスと呼ぶ事はあまりないらしいけど。」

逆沢「日本は、万引きにはなぜか寛容だからねー。」

愛原「ちなみに万引きを繰り返す心の病のことを、クレプトマニアと呼ぶらしい。万引きをしている時のスリルと、それを成功させた時の達成感や快感を病的に追い求める傾向があり、何度捕まってもやめようとしない。無理矢理やめさせようとすると、自殺を図ったりする事もあるらしい。なので常習犯でも執行猶予がつきやすく、執行猶予期間中に再び万引きしても、さらに執行猶予がつくだけに終わったような判例もあるらしい。」

逆沢「おいおい。執行猶予期間中に再犯したら、実刑確定だろ? 執行猶予期間中に万引きしても執行猶予のままって、なんだそりゃ?」

愛原「俺も、ポルナレフのアスキーアートを貼りたいくらいの心境だが、実際にそんな謎判例があるらしい。日本では学校での暴行・脅迫・窃盗などの犯罪と、万引きにはなぜか甘いとつくづく思う。」

鼎「サイコパスと称すると、この世に存在すべきでない気持ち悪い邪悪そのものというイメージになるのに、心の病と称すると、かばってあげなくてはならない可愛そうな人という印象になるから、すごく不思議だよね。」

逆沢「人を切り裂いたりレイプしたくなる性癖は許されざる巨悪で、万引きの常習性癖や暴力癖のある発達障害者は救われるべき対象という区分が意味分からね〜。」

愛原「同感。俺に言わせれば、万引きも窃盗も中身は同じだし、万引きを繰り返す心の病とサイコパスも、中身は一緒なんだけどな。人を殺す心の病も、危ない実験を繰り返す(そして時にはその実験対象の患者を観察する)心の病も、人の苦しむ姿をみて快感を感じるのも、人を騙したり盗みを成功させる事で勝者(or成功者)としての快感を感じるのも、誰かを暴力やパワハラで無理矢理屈服させる事で優越感を感じるのも、性犯罪を繰り返すのも、根っこは一緒。被害者の気持ちを理解できるだけの共感能力がない事と、良心が欠如している事が引き起こした、サイコパス独特の精神の病という点で何ら変わらない。」

鼎「世の中には、軽い気持ちで暴力を振るったり、パワハラを繰り返したりする人もいるけど、そういう人も、潜在的なサイコパスなのかなぁ?」

逆沢「まぁサイコパスと加虐嗜好は切っても切れない関係だし、それはあり得るんじゃないの? サイコパスは基本的にずる賢いから、犯罪扱いされないラインを熟知しててもおかしくないし。あとDVの加害者とかパワハラの常習者とかも、しつけだの教育だの冗談だのスキンシップだの言って、自分が悪いことをしている自覚がない事が多いけど、そもそも被害者の気持ちに無自覚な事と良心が欠如している事がサイコパスの基本条件なんだから、自分が悪い事をしている自覚がない時点で、もう色々とサイコパスとしての条件を満たしまくっているというか。」

愛原「本気で教育のためとかしつけの為と思っているのなら、頭が悪い奴によるただの勘違いだろうが、そこに快感や常習性という要素が加わったら、サイコパスの素質十分だろうな。自分が誰かを傷つけている時に、何らかの満足感なり優越感なり達成感なり快感なり、心地良い興奮を感じるタイプなら、かなりヤバい。どれだけもっともらしい理由を付けても、本当の所は、快感を味わいたいから他人を虐待しているだけに過ぎない訳だから。」

鼎「でもそういう人は、他人を傷つけている自覚がないだけで、何かのきっかけで被害者の気持ちが理解できるようになれば、改心できる余地はありそうだけど・・・。」

逆沢「【目には目を】じゃないけど、弱者の痛みが分からない強者に弱者の痛みを教える事が、そういう病んだ思考を改める一つの方法だとは、私も私も思わなくも無いわ。」

愛原「その思考は、一歩間違えると負の連鎖になる危険と背中合わせなんだけどな。【俺が1年生の時、上級生に散々いびられてこき使われてきたが、それが当たり前だと言われて我慢してきた。俺が上級生の立場になった今、下級生をいびってこきつかうのは当然の権利だ】みたいに考える奴も必ず出てくるだろうから。」

逆沢「何、その頭の悪そうな体育会系?」

鼎「でも、そういう上下関係を当たり前だと信じてるような部活や企業も、たまにあるよね。【下っ端は上の指示に従って当然。文句があるなら出世して、人をこき使える立場になればそれでいいだけの話】みたいな。」

逆沢「【弱い幼女は、強い男に襲われて当然。文句があるなら俺より強くなればいいだけの話】みたいに聞こえて、なんかすごく不愉快になるわ。」

愛原「そんな理屈を容認してしまったら、今の日本の治安はおそらくメチャクチャになってしまうだろうな。」

逆沢「でもサイコパスの思想を簡単にまとめたら、そういう危険思想になっちゃうのよねー。他人に対する共感能力と良心の二つを排除した結果に行き着くのが、【俺は俺のやりたいようになる。てめえの事なんか知ったこっちゃねぇ。文句があるならかかってくるんだな。でも俺も簡単には隙をみせねえけどな】みたいな思想になっちゃう訳だから。」

鼎「その結果、【被害者が傷ついてもなんとも思わない。自首する気も無いし、むしろ犯人が自分だとバレないように徹底的に知恵を絞りながら、犯行を繰り返してみせる】みたいな考えになるのかなぁ。」

逆沢「で、犯行を成功させる度に【愚かな愚民どもめ。これで俺は10連勝中だ】みたいな快感に酔いしれて、次の万引きなり傷害なりの犯罪にチャレンジしたりするわけね。」

鼎「サイコパスにとっては、犯罪は社会を舞台兼エネミーとしたゲームのようなものなのかな? 万引きに失敗して捕まるのも、彼らにしてみたら、たまたまゲームに負けただけでしかないというか。だから【次こそは成功させてみせる】と再ゲームに燃える事はあっても、被害者が可愛そうみたいには決して思わないというか。」

逆沢「そんな奴を釈放して欲しくね〜。」

愛原「ちょっと説得しただけで被害者の痛みが理解できて改心できるような精神の持ち主なら、はじめからサイコパスなんかにならないし、仮に説得した所で、罪を軽くしたり、免罪してもらう為に心にもない謝罪くらいしかしないだろうから、結局本質的な解決にならない。心の病と位置づけて、治療を施すのも一つの手だが実際の所、サイコパスどころか、発達障害やクレプトマニアを治す手段すら確立されていないのが現状だ。」

逆沢「もう○しちまえよ、そんな奴。」

愛原「犯罪者の全てがサイコパスならともかく、実際は生活苦や衝動、その他やむなく罪を犯しただけの人も多く、本来なら軽微な罪とか、償い可能な罪の人に重罪を課すのも問題だ。というか囚人一人あたりにかかる一日当たりの管理費は、実は一人一日あたりの生活保護費よりも高い。裁判費用なども含めると圧倒的な差になる。万引きレベルの罪で刑務所に置いておくよりも、適当に不起訴なり執行猶予にして、街に転がしていた方が税金支出面でははるかに上というのもある。更正可能な人の方が大半だから、そういう人は一日でも早くシャバに返して、税金を納める側に戻ってくれた方がありがたいというのもあるし。」

鼎「普通の善良な精神の人を早くシャバに戻してくれる分なら構わないけど、サイコパスの人まで戻されるとすごく困るよ。彼らは戻ったらすぐに、再犯を繰り返そうとするし。」

逆沢「とりあえずサイコパスだけを選別して、奴らだけ処分する法律作ってくれたらいいのに。」

愛原「と、このようにサイコパスの取り扱いは非常に難しい。北斗の拳のような世界観なら、問答無用にぶっ殺してやれば済む話だが、現実世界のような世界観ならそれも困難だろう。また愛する家族なり、恩人なりが、何かの理由でサイコパスになってしまっていたら、主人公はどう対処すべきか? きっと悩むはずだ。」

鼎「クレプトマニアの発症者は女性が主で、どちらかというと高齢になるほど発症しやすいらしいけど、奥さんや母親がこういう傾向になったらすごく悩むよね。」

愛原「赤の他人なら、さっさと殺せとか、一生牢屋に閉じ込めておけと簡単に言えるが、家族だとそう簡単ではないからな。最初の方で何度も触れた話だが、大半のサイコパスは普段の生活は至って普通そのものなので、家族からみても【なんで彼がそんな罪を繰り返すのか理解できない】と感じてもおかしくないのだ。またサイコパスも様々であり、人を殺さずにはいられないタイプから、傷つけたり犯したりはするけど殺すつもりまではないタイプ、口先手先で金品は奪うけど暴力などには決して訴えないタイプ、パワハラやイジメなど直ちに警察沙汰とならないラインで加虐行為を繰り返す事で快感を得るタイプ、本来は知識欲を満たしたいだけで加虐趣味すらないが良心や共感能力が死んでいる為、結果的に人を虫けら同然にしか見られないタイプなど、色々おり、必ずしも同じ対応が適切といえない事もある。」

逆沢「そんな風に言われると、ますます悩ましい〜。」

愛原「そんな中、彼らに共通する唯一の共通点が、良心や共感能力が乏しい(or欲望が抑えられないほど大きすぎて、良心などが二の次になってしまう)為に、更正がほとんど見込めない事。加虐欲、支配欲、達成欲、知識欲、性欲・・・、欲の内容は様々だが、いずれにしろサイコパスは、欲のためなら平気で他人を踏みにじる。自らの欲望を満たす為なら、善良な市民のふりもできるし、他人をだます事も躊躇しない。但し、彼らがみせる善人としての顔は、あくまで悪人としての本性を隠し、欲望をスムーズにかなえる為のものでしかない。そんなずる賢いサイコパスと、我々はどう対処すべきか?」

鼎「彼らはずる賢いから、厳罰路線だけだと、彼らに仕組まれた別人が厳罰を被るリスクもあるし・・・。そもそもサイコパスでない犯罪者の方が大半なのに、彼らを長い時間、牢獄に置いておくのも税金の無駄でしか無いし。サイコパスとそうでない人の見分けがつけばいいけど、本当に悩ましいよね。」

愛原「小難しい事を考えず、スカッとする路線でいくなら、サイコパスを爽快にぶっ殺すシナリオが最適だ。北斗の拳モードで、本当に悪い奴を徹底的にやっつける事でスカッとできるだろう。逆にシリアス路線で行くのなら、愛する家族がサイコパスなりマッド・サイエンティストというのもいいだろう。18禁のダークヒーロー路線でいくのなら、仕事の報酬として女をもらい受けるなんてキャラもありと思う。この世の矛盾や理不尽も演出したいなら、政財界に君臨する権力者やキーパーソンをサイコパスにしてみるのもよい。純粋にサスペンスものにしたいのなら、とことん冷酷で知恵の回るサイコパスをラスボスに用意し、主人公がどうサイコパスの魔の手を逃れ生き延び、なおかつ次々とサイコパスに殺されていく仲間を見送りながら、あるいは仲間も守りながら、犯人を突き止めるというシナリオがうまくできれば、きっと盛り上がる事請け合いだ。」

逆沢「現実世界にはいて欲しくないし、特に身の回りの人がサイコパスに変貌したり、逆にサイコパスに襲われる展開なんか絶対にノーサンキューだけど、シナリオとして運用する分には、サイコパスは悪玉として最高の素材の一つという事かな?」

愛原「彼らは欲望に忠実で、大志も何もない底の浅さも見受けられるが、ザコからラスボスまでなんでも務まる、オールマイティーの悪玉だからな。作品内で登場したら、その作風に従った方法できっちり処分してやってほしい。そしてリアルでは常に共感能力と良心を失わず、自分自身がサイコパスとして目覚めることがないように心がけたいものだな。」





















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