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愛原様のたわごと(15年12月6日)




愛原「今回のテーマは【独立戦争】。なかなか燃えるシチューエーションだろう。」

逆沢「まぁウォーシミュレーションとか、軍記ものの小説・漫画とかでは、割とおなじみのシチュかもね。」

鼎「圧政から逃れる為に、あるいは尊厳を取り戻す為に、独立を決意し、強大な敵と戦うというシチュエーションは、すごくワクワクするシチューエーションだよね。」

愛原「単なる【独立】なら、さしたる障害もなく上手くいく事もあるだろう。いわゆる【のれん分け】みたいな感じで、周りから祝福されて独立できる事も珍しくない。だが【独立戦争】となると話は別だ。独立したい側の意思と反して、独立させたくない側の勢力が別に君臨していて、後者はあの手この手で独立を阻止すべく手を打ってくる。この妨害をいかに切り抜けて、独立を勝ち取れるか? 独立戦争ものの作品の面白さがここにあるといっても良い。」

逆沢「一般論でいえば、大体、独立したい側が善玉で、独立を妨害する側が悪玉って事が多そうね。」

愛原「その方が構図として分かりやすいからな。」

鼎「大体、独立する側の方が、相対的に弱小勢力である事が多いから、【より強大な敵に立ち向かう】という燃えるシチュエーションが再現されやすいからのような気もするよ。」

愛原「あと独立する側の方が、より明確な動機を持っている事が多く、シチュエーション的に分かりやすいというのもあるかもしれん。」

逆沢「まぁ今の境遇で満足しているなら、独立したいなどとは考えないだろうからねー。独立したいと思わせるだけの不満なり、動機なりがあるからこそ、たとえ大きな苦難が待ち受けていようとも、それでも独立したいと考えるんだろうし。」

鼎「独立したい側が感じている不満・・・ここに説得力をもたせられるかで、面白さというか、感情移入の度合いがかなり変わってきそうだよね。」

逆沢「独立したい側が、圧政からの脱出を金看板にしたがるのも、それが最も善玉として強い説得力をもたせられるからかも知れないわね。」

愛原「まぁ圧政とまではいわなくとも、不当な搾取に対する反発というのは、最もありがちな動機といえそうだな。アメリカ独立戦争のような例から、新会社の立ち上げのような例に到るまで。」

逆沢「ああ【俺はこんなに働いているのに、報酬はたったこれだけ。それに比べてあいつは、偉そうにふんぞりがえっているだけで、高給とりやがって】みたいな不満が、独立したいという動機になるわけね。」

鼎「中小企業の世界では、そういうのは別に珍しくもないらしいよ。スキルもあって実質的に会社の稼ぎ頭になっているようなエース社員を冷遇すると、怒ったエース社員が、今までに築いた人脈とノウハウを武器に独立してしまうような例は割とあるらしいし。」

逆沢「何度改善策を訴えても真面目に耳を傾けようとしない、無能な上司や経営者に愛想を尽かして、独立してしまうようなケースも聞かなくもないわね。特に二代目がボンクラだったりすると、ボンクラに愛想を尽かして、泥船から逃げるように次々社員が去って行ったり。」

愛原「人は、自分を不満にさせる上司や支配者の下で、いつまでも我慢できる生き物ではないからな。不満は、独立に到る最大の動機になり得ると思う。そしてその次に動機となりえるのは、おそらく野心だろう。」

逆沢「おお、野心か?」

愛原「野心。野望。大志。夢。希望。どういう表現でも構わないが、とにかくそういうもの。人間には、競争本能とか向上心というのも備わっているので、たとえ現状に大きな不満はなくとも、そこにチャンスがあれば、それに挑みたくなる事は珍しくない。」

逆沢「カリスマ性のある主人公には、そういうタイプも多そうね。【天下に覇を唱える】とか【天下布武】とか【俺は○○王になる!】とか、そういった大義名分を掲げたりみたいな。」

鼎「けどそれは独立欲旺盛な人にとっての動機にはなり得るけど、一連の独立劇に巻き込まれる人にとっての動機にはなり得ないよね。独立運動の旗頭になる人が、将来、皇帝になろうが大統領になろうが、独立運動に参加するその他大勢の人にとっては、正直どうでもいい話でしかないというか。」

愛原「独立運動に参加する大半のモブにとっては、個人的な野心よりも不満の解消の方が大事だからな。」

逆沢「だから独立運動の指導者達は、橋下徹みたいな感じで、色々憎しみや不満をあおるって訳ね。」

愛原「たとえ当人の本音が、ごく個人的な出世欲や野心であったとしても、【俺の野望を実現するために、お前ら全員、踏み台になれ】とは言えないからな。まず憎しみや不満を煽って、同志を募るところから始めないと、大規模な独立運動なんて起こせないからな。」

逆沢「そういう言い方をされると、独立したい側が善玉らしく感じなくなってきたわ。」

愛原「まぁ真面目な話、独立運動の半分以上は、誰かの煽動で行われるものだからな。21世紀に入ってからでも東ティモールやらウクライナやらアラブの春やら、色々な形で独立運動やクーデター劇が起きているけど。」

鼎「でも独立を無理矢理阻止しようとする側も、大体暴虐というか、すごく問題がある場合が多いよね。」

逆沢「そんなに独立したけりゃ独立させてやればいいのにって思うけど、独立される側はほぼ100%全力で阻止したがるわね。この前のスコットランド独立運動にしてもそうだし、チベット問題や、イスラム国関連もそうだけど。」

愛原「外の人間からすれば、中国からチベットが独立しようが、イギリスからスコットランドが独立しようが、インドネシアから東ティモールが独立しようが、旧ソビエトからバルト三国が独立しようが、イギリスからアメリカが独立しようが、どうぞお好きにって感じだけど、どの例にしても、独立される側は、大体それを全力で妨害する側に回るからな。」

鼎「企業なんかでも、本社主導によるのれん分けや分社化みたいな例を除くと、大体、従業員の独立に嫌悪感を示す例が多いよね。特に顧客の何割を持っていかれるような場合ほど。」

逆沢「子供の独立は喜んでも、子分の独立はやっぱり嫌なのかねー?」

愛原「理由は色々あるだろうけど、一番考えられる要因としては、やはり不当に搾取しているからだろうな。不当に搾取する事で大きな利益を上げているのに、その部門に独立されたら、そこから不当に搾取できなくなってしまう。」

鼎「アメリカ独立戦争とかは、特にそんな印象があるよね。」

愛原「次に味方の一部が敵側に回る事によるダメージへの懸念。」

逆沢「バルト三国関連なんかは、まさにそのタイプかな?」

鼎「今までなら、自勢力の一部として味方の戦力としてカウントできたのに、ある日からその勢力が独立して、潜在的な敵(もしくは競争相手)になったら、自分の戦力が落ちて、その分だけ敵が増える事にもなりかねないから、二倍のダメージだよね。」

逆沢「企業が優秀な社員に去られたり独立されるのを嫌がるのも、その去った優秀な社員が、同業のライバル・・・つまり敵(もしくは競争相手)として立ちはだかる事になるからね。」

愛原「まさにその効果を狙ったもので、【二虎競食の計】とか【駆虎呑狼の計】とも言われるものもあるな。敵勢力内で独立を煽ったり、分断する事で、敵同士で争わせて、弱体化させる計略だが。」

逆沢「それ故に、敵対勢力の分断を必死であおる一方で、味方勢力に対してはやたら結束を訴える手合いも後を絶たないわね。旧ソ連や中国やイスラム国で独立劇や反乱劇が起こるのは大歓迎だけど、アメリカとフランスやドイツが対立するのは避けるべきだみたいな二枚舌を平気で使ったり。」

愛原「味方勢力内で不当な待遇を受けてる層を我慢させるために、方便として使われる事もあるな。【沖縄が独立しても、中国を利するだけだ。だから沖縄は我慢しろ】みたいな感じで。」

鼎「逆に独立されても全然困らないというか、むしろありがたいケースもあるかな?」

愛原「当然ある。分かりやすいのがJR関連。JRは知っての通り、一部の区間だけで黒字を出しており、大半の区間では実は赤字だ。故に赤字必至の田舎区間は、なんとか理由を付けて必死に廃線にしようとしたがる。でも廃線にされると困る地元などが、その路線を第三セクター等に経営を任す形でその路線だけ独立させようとする事もある。この場合、JRは、喜んで赤字路線部分の独立を承認して、タダ同然で路線売却(譲渡)に応じる形になりやすい。」

逆沢「なるほど。残しておいても利益が出ない部分が独立する分には、むしろ賛成って事ね。」

鼎「企業でも、赤字事業部門の譲渡とか、よく行われている気もするよね。」

愛原「赤字部門を処理したい側にしてみれば、売却でも譲渡でも独立でもなんでもいいから、切り離す事に全く躊躇しないだろう。今時、古い家でも壊すのにはカネがかかるのだから、それを貰ってくれる誰かがいれば、むしろ有り難いと考えてもおかしくない感じで。」

逆沢「たとえ赤字部門でも、閉鎖すれば従業員のリストラもしなきゃならないし、色々とカネも手間もかかるからねー。そんな所はどんどん独立してちょうだいって訳か?」

鼎「でも国がらみとかになると、ほぼ独立しようとすると戦争になるというか、まず妨害されずにはいられない気がするよね。」

愛原「なぜ彼らが独立したくなるのか、から考えてみると、もうそれは避けようがない気もするけどな。まず元の国側が正当な待遇をしていれば、彼らが強い不満を持つ事もないだろうから、そもそも独立運動自体が起こらない。逆を言えば、彼らに不当な待遇をする事で、国家として利益を上げる構図になっているから、不当な待遇をされる側は強い不満を持つようになるし、逆に利益を上げている側は利益を失わないようにする為にも、彼らの独立は認められない。」

鼎「なんかブラック企業が、彼らをこき使う為に無理矢理やめさせないみたいな構図を思い出したよ。」

愛原「近年で、円満(?)な植民地解放劇がなされたのは、せいぜい香港くらいかな?」

逆沢「あー、そういえば香港は、15年ほど前までは、イギリスの植民地だったわね。今は中国の一部だけど。」

鼎「でも香港に関しては、別に独立運動も中国編入運動も起きてなかったよね。つまり香港の住民は、それほどイギリスに強い不満があった訳でもなさそうだけど。」

愛原「それは香港側の事情であって、イギリス側の事情ではないからな。イギリス側からみれば、香港は安全保障部分も含めると赤字部門寄りの存在でしかないから、適当な売却先に譲り渡しただけに過ぎん。ていうか、第二次世界大戦後、東南アジアから中東からアフリカまで、広範囲で植民地が解放されたけど、あれも決して人道的見地だけでなく、本国にとっての経営圧迫要因にしかならないから、切り捨てただけ。だからイラクやエジプトの国境線とか、いかにも投げ売りしましたみたいな雑な国境線になっているだろう?」

逆沢「あー、言われてみれば、謎の直線になってるわね。地形も民族分布も無視したような。」

愛原「イスラム国の勢力分布は、それと比べると、むしろ余程自然といっていい。今のマスコミや日本政府は、イスラム国を大日本帝国時代の鬼畜米英級の許さざる敵と自動認定しているようだが、俺からみれば、かつてのアメリカ独立戦争もこんな感じだったんだろうなぁくらいしか思わん。」

逆沢「やはり独立させるべきでないと考える側からみれば、独立したい側は、暴虐で、残酷で、恩知らずで、身勝手で、非常識で、無謀で、愚かで、許されざる存在にしか映らないって事かねー?」

鼎「中国から見たチベットや、旧ソビエトから見たバルト三国も、同じようなものなのかな?」

愛原「イスラム国側のテロ報道を受けて、中国政府が【テロは断じて許せない。ダブルスタンダードすべきでない】と、コメントしてたくらいだから、中国からすれば、イスラム国のテロは悪で、チベットのテロは悪ではないといわんばかりの西側諸国の二枚舌対応に、相当イライラしているのは間違いないと思われる。」

逆沢「ま、自分の方が悪いと思ってるいじめっ子なんてほとんどいないらしいし、ブラック企業の経営者にしろ、いじめっ子にしろ、弾圧したり搾取してる側に、自分の方が悪いという自覚が乏しい以上、彼らが強い不満を持って反発しても、その思いはちゃんと伝わらないのかも知れないけどねー。」

鼎「現代の日本人でも、【日本人が朝鮮半島に鉄道を作ってあげたのに、それに感謝しない朝鮮人は恩知らずだ】みたいな主張をする人はいるみたいだし、彼らからみれば、搾取している自覚はなく、統治してあげているみたいな感覚でしかないのかも知れないけど」

逆沢「アメリカ独立戦争時代のイギリスも、バルト三国と交戦中の時の旧ソビエトにしても、今の中国にしても、【恩知らずどもが、偉そうに独立などと許せない!】みたいな感覚でしかなかったって事かな?」

愛原「自分が不利な側と知って、それでも立ち上がるというのは、並大抵の覚悟ではできない。その強い覚悟に到らせた原因が何かを、支配者という種族は決して理解できないのかも知れない。」

鼎「独立戦争モノを描く上では、その双方の意識の差をどれだけ上手く表現できるかが鍵になりそうだよね。」

愛原「同時にそれがリアルでも、世界平和の鍵にもなるだろう。逆を言えば、理解できない限り、永遠に争いの種にも。」

逆沢「強い不満を持つ者の気持ちを理解できず、それを無理矢理押しつぶそうとすると、憎しみの連鎖という悲劇にしかならないって事ね。」

愛原「イスラム国に関しては、日本にとって他人ごとかもしれんが、沖縄問題とかみると、沖縄側の持つ不満がまるで理解できてない日本人が少なからずいるような気がしてならない。大体、今の知事は元々自民系だし、その彼らをもってあそこまで言わしめる不満を、日米関係という名の大人の事情だけで押しつぶそうとしている連中をみていると。」

鼎「アメリカもイギリスもソビエトも中国も、大人の事情という名の自分の都合だけで、当事者の不満を一方的に押しつぶして来たんだろうけど・・・。」

愛原「他人の都合を満たす為に、自分達が一方的に我慢しなければならない理由なんて、何一つないからな。ブラック企業の経営を助ける為に、不当労働にいつまでも甘んじる必要がないようなもので。彼ら支配者は【お前らが奴隷の役割を果たすからこそ、組織が潰れずに済むんだ】とか【お前が今の役割を放棄すると、組織が潰れてお前も困るぞ!それでもいいのか?】ともっともらしくいうが、みんなが奴隷状態ならともかく、自分達だけが奴隷状態でい続ける事でもたらされる他人の繁栄なんて、なんの満足感ももたらさないからな。」

逆沢「ブラック企業で自分達が奴隷のように働く事で、社長の優雅な生活が実現しても、何の慰めにもならないからねー。」

鼎「でも彼らは、【俺のおかげで、お前らもメシ食えてんだから感謝して仕事しろ】とか【俺のおかげで会社はこんなに大きくなったんだから、従業員どもはもっと俺に感謝しろ】みたいな態度だったりするんだよね。」

逆沢「沖縄問題も、その繰り返しだと思うわ。【俺達が雇用を創出してやってんだから感謝しろ】みたいな。」

鼎「アメリカの南北戦争の際にも、奴隷雇用主の姿勢は、大体そんな感じだったらしいよね。南北戦争自体は奴隷解放派の北軍が勝って奴隷解放もされたけど、奴隷だった人達のケアがまるでできてなかったから、彼らの生活困窮ぶりは何も変わらず、かつての奴隷雇用主は、実質今までと同じような待遇で元奴隷階級の人を雇い続けていたりもしていたようだけど。」

逆沢「人を勝手に連れ去っておいて、用が済んだら【お前達は自由だ】とかもっともらしい事を言って、実質ポイ捨てとか、そりゃひどすぎるわ。」

愛原「現代の日本でも、中国残留孤児とか一部在日関係者の扱いが、それに近いけどな。現在の中東問題も同様。勝手に植民地を解放してお前達は自由になったといい、勝手にフセインを殺してお前達は自由になったといい、今度も勝手にイスラム国を滅ぼしてお前達は自由になったというのかも知れない。」

逆沢「俺達の言いなりになるなら自由だって事ね。言いなりにならない自由はないみたいな。」

鼎「なんか黒藤軍の発想と一緒だよね。」

逆沢「とすると独立戦争というのは、上から押さえつけられた枠組みからの脱出を目指した動きともいえそうね。誰かが決めた国境、誰かが決めたリーダー、誰かが決めたルール、そういう枠組みから逃れる為の運動というか。」

愛原「枠組みというのは、枠にはめたいものがいるから、成立する。お互いに枠が不必要なら、合意の上で枠を外せばいいが、枠を必要とする者と、それを拒む者が対立するからこそ、独立戦争という形態になるのだろう。」

鼎「誰かが天動説の枠を外し、誰かが専制主義の枠を外し、誰かが奴隷制度の枠を外し、みたいな繰り返しで今の世界ができているんだよね。」

愛原「しかし、その一方で、ただ無意味に誰かが煽動されたような例も、世界的には数多い。不満は独立運動の最大の動機になるが、不満だけがエネルギー源になってしまうと、仮に独立戦争に勝てても、その後、色々迷走する危険がある。」

逆沢「枠が外れたからといって、その後どうなるかは別問題って事ね。植民地の枠が外れたとか、フセインの枠が外れたからって、それで大万歳になる保証はないと。」

愛原「中国の歴代王朝なんかが分かりやすいが、前王朝が倒れたからといって、次の王朝になって庶民の生活の何が変わるとも限らないからな。」

鼎「けど良く変わるかどうかは分からないけど、変えようとしなければ、永久に変わらないよね。」

愛原「そう。悪の大魔王を通したからといって、必ず素晴らしい未来が約束されているとは限らないが、だからといって悪の大魔王をそのままにしておいたら、永久に今の待遇だからな。」

逆沢「ブラック企業を辞めたからといって、すぐにまともな就職先が見つかるとは限らないけど、だからといってブラック企業に残っていたら、いつまでも今の不幸なスパイラルから抜け出せないって事ね。」

愛原「故に、今の不満ある状況を抜け出すために立ち上がるというシチュエーション自体は、否定したくない。ただ何のために立ち上がるか、理想に向けたビジョンは欲しいと思う。でないと野心に満ちた扇動家に利用されて終わりにされかねないだろう。」

逆沢「訳の分からないカリスマ指導者に盲目に従うのではなく、同じ目的に向かって歩める内は協力してもいいけど、最終目的を見失うなという事ね。」

愛原「一方、独立される側は、彼らが独立を企画するようになるまで、思い詰めるようになった理由について、真剣に向き合いたい。たいていの場合は、自らに落ち度があるはずだから。弾圧側は、【この恩知らずめ!】とか【煽動されやがって、このアホどもが!】と、上から目線で独立勢力を攻撃したがるが、十中八九強者(一方的にルールを押しつける側)の傲慢に過ぎないから。」

鼎「上から目線で自分の都合だけをもっともらしく押しつけるようになると、悪玉一直線だよね。」

愛原「抑圧された側の歴史は、そう簡単には消えない。抑圧する側がどれだけ寛大に接したつもりでも、それが上から目線である限り、傲慢である印象はとてもぬぐえないし、償いの意思を伴わない限り、わだかまりも消えないだろう。」

逆沢「償いの意思をみせるという事は、己の非を認めることでもあるから、そこが一番難しそうだけどね。」

鼎「非を認めさせたい側と、非を認めたくない側が対立した結果、深刻な戦争状態になったり、憎しみの連鎖になるとしたら、それはすごく悲しい事だよね。」

愛原「今のイスラム国関連の情勢をみる限り、西側諸国が作り上げてきた歴史と体制に反発する人達の怒りが爆発した結果という側面が忘れ去られて、西側諸国の倫理観とルールだけを基準に、その枠から外れたがる人達を一方的に糾弾しようとしているようにしか見えない。これでは彼らの不満は、今後もやわらぐ事もなさそうに思う。」

逆沢「つうか彼らの不満を和らげる気なんかさっぱりなくて、力で押しつぶして、挫折感を味わせて、二度と反抗しないように、その意思を砕くというのが、西側諸国の思惑のような気がするわ。」

鼎「かつてのイギリスや旧ソ連なども、そういう気持ちで力尽くで独立運動勢力を押さえつけようとしてきたと思うと、すごくむなしい気持ちになるよ。」

逆沢「しかも力で押しつぶしている側が、自分達の正義を確信してるから、タチが悪いというかねー。」

愛原「かつての鬼畜米英じゃないけど、一方的な情報で相手を悪い奴と決めつけてしまうような事が、案外平気で起こったりする。そして相手の気持ちを代弁するような報道が出ても、偏向報道と決めつけて、真面目に相手が持つ不満に寄り添おうとしない。自分が譲歩したり、自分の都合で一方的に判断している可能性を模索するような事もしない。自分がしている事の醜さに気づかないいじめっ子並に狂っているが、本人自身は狂っている自覚もないから始末が悪いというか。」

鼎「いじめっ子が、いじめられている側の気持ちを理解してしまうと、自分が悪い奴みたいに思えてしまうから、それで意図的にそういう理解をしないようにシャットダウンしてしまうのかも知れないけど。植民地支配者やブラック企業経営者が、搾取されている側の不満に寄り添うと、罪悪感が生じて立場が悪くなるから、意図的に相手の落ち度ばかりを探して、相手の気持ちを理解したがらないみたいに。」

愛原「これでは仮にイスラム国が滅んでも、また同じ歴史が繰り返されるだけになりそうだな。人々の不満を力尽くで永久に抑え続けるなんて、まず不可能だから。彼らは雌伏して我慢はしても、恨み自体は決して忘れないからな。」

逆沢「封印された悪の大魔王が復活して復讐を企むようなシナリオもあるけど、封印されている間に、綺麗さっぱり恨みを忘れるなんて事は、あまり無いだろうからねー♪」

鼎「封印した側は、自分達が魔王にした仕打ちを既に忘れているかも知れないけど、ひどい仕打ちを受けた側は、簡単に忘れないと思うよ。」

愛原「そういう不幸な連鎖を生まない為にも、一方的にルールを押しつけられている事で不満を抱いている相手の立場の不満を受けとめられる姿勢が大切なんだ。独立するという事は、今の境遇に不満があるという事が大半だし、仮にどうしても独立されるのが嫌なら、なぜ独立されたら嫌なのかを真摯に考え、自分の利益のために他人を踏みにじっている可能性を模索すべきだろう。確かに世の中には、内部対立を煽る輩とか、自らの野望の為に憎しみと不満をあおる輩とか色々いるが、そこに到るには、それ相応の事情がある。チベットで独立運動が起きたり、旧ソ連が分裂したり、ウクライナでクーデターが起きたり、アラブの春が起きたり、イスラム国が勃興した原因を、敵対勢力による陰謀と断ずるのは簡単だが、彼らが独立したがったり、クーデターを起こしたがる理由も、また深刻にあるはずなんだからな。」

鼎「スコットランドでも沖縄でもチベットでも、中央政府に対する不満は渦巻いているけど、それを敵対勢力の陰謀で片付けるのではなく、ちゃんと当事者立場に立って不満の原因を突き止め、真摯に向き合わないと駄目って事だよね。」

逆沢「陰謀論で片付けて、上から目線で彼らの不満を押しつぶしてしまうようだと、むしろ彼らの神経を逆なでするだけで逆効果だし、それこそ悪意ある人に利用されかねないだろうしね。」





















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