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愛原様のたわごと(16年3月20日)





愛原「不明朗会計という名の粉飾決算などでガタガタの東芝が、ついに中国企業に白物家電事業を売却する方向で最終調整に入ったらしい。」

逆沢「あー、ついにそうなったか。けどシャープが台湾企業傘下に入る時と比べると、新聞でもテレビでもネットでも、ほとんど話題になってないのが気になるっちゃ、気になるけどねー。」

鼎「シャープが台湾企業への売却を検討している時、日本政府と経済産業省はその流れに待ったをかけて、政府系ファンドの産業革新機構とその傘下のジャパンディスプレイに事業売却するよう、強い圧力をかけてたよね。マスコミやネット世論も、主に政府側を支持する立場に立って、【海外への技術流出を防ごう】とか、【日の丸連合で立ち向かおう】みたいな事を煽ってたような気がするけど。」

愛原「政府側は総力戦でシャープに対して圧力をかけ続けていて、シャープの経営陣も正直かなり心が揺れたらしいが、最終的には台湾企業の傘下に入る事を希望するメガバンクの意向を優先する形になった。台湾企業と産業革新機構とでは出資条件などで大差があり、しかもシャープが産業革新機構案を採用した場合は、銀行は多額の債権放棄を政府サイドに迫られるのが不可避な情勢だったからな。」

逆沢「でもそれは、銀行側の都合なんじゃないの? シャープにとっては産業革新機構についた方が外資よりも安心感があったりしない?」

愛原「産業革新機構側は、事業の切り売りもシャープに要求していたからな。ぶっちゃけシャープが持つ最大の武器である液晶技術だけが欲しかったらしく、液晶技術部門だけをジャパンディスプレイに移して、他の事業を収益率などに応じてジャンクにする腹づもりだったらしい。これは従業員の雇用を極力維持したいシャープ側にとって、とても簡単に受け容れられる条件ではなかった。また産業革新機構案を呑んだ場合、銀行は被害を最小限に食い止める為に即座に資金を引き出す案も用意していたし、そうなったら即倒産になっちまうという事情もあったようだ。」

鼎「政府案は、シャープに対する救済案のようにみえて、実質は東芝救済案だったという話も聞いた事もあるよ。」

愛原「うん。日の丸連合という言葉が飛び交った事からも分かるように、政府のプランは複数の家電業界をひとまとめにした連合体を模索していたようだが、企業規模や想定参加企業や事業内容から、実態としてはシャープの液晶事業部門をジャパンディスプレイに移管した上で、参加予定企業の中で力の強い東芝が、事業全体を仕切るという形になるようになるのかなとは感じた。かつて数年前に、瀕死のパナソニックが、同じく瀕死の三洋電機を吸収して、その屍肉を食いあさることでなんとか立ち直ったが、あれと同じ展開を狙ったようにも思える。」

逆沢「あー、なるほど。要するに瀕死の東芝を救う為に、同じく瀕死のシャープのおいしい部分だけを東芝に食わせて、それで東芝をなんとか立ち直らせようという案ね。」

鼎「けどその案だと、シャープ側は一方的に美味しい部分だけを食い荒らされて終わりだよね。あまり話題にされてはいないけど、パナソニックによる三洋電機吸収劇は、【えげつない】としか形容できない程、無残なものだった印象というか。」

逆沢「シャープも、間近でそんな悲惨な光景をみてて、しかもそれと同じ悲惨な未来しか想像できないまな板まで政府主導で用意されていたならば、そりゃあ、まな板に自主的に乗っていくような選択肢だけは避けたいと思ってもおかしくないわ。」

愛原「一方、東芝側からすれば、シャープを調理して復活する思惑が外れたから、やむなく中国企業に事業譲渡せざるを得なくなったという事かも知れんな。」

鼎「けど最近は、日本の家電業界が冴えない状態だよね。東芝や三洋やシャープはまさにそうだし、パナソニックやソニーも昔と比べたら相当低調だし。」

愛原「シャープには、特に期待してたんだけどなぁ。シャープペンシル、いわゆるシャーペンを世に出した事が社名の由来になってるらしいが、他にも国産第1号のテレビを出したり、世界初のトランジスタ電卓を出したり、ターンテーブル式の家庭用電子レンジも初国産で出してるし、今の若い人は知らないかも知れんが、ワープロの書院シリーズでも名を広めた企業でもある。あと吉永小百合のCMでお馴染みだが、太陽光発電にも古くから着目し、液晶技術に関しては今でも世界屈指の技術を持っているなど、独自性と先進性に優れた企業だっただけに。」

逆沢「シャープに関しては、日本国内生産にこだわり続けた事が致命傷になったとも言われてるらしいわね。亀山ブランドなんかが代表的だけど、海外に大工場を建てるのが当たり前の時代になっても、シャープはやたら国産にこだわって、よりによってリーマンショックまっただ中の御時世に堺工場まで稼働させたりしたから、それで大赤字になっちゃったみたいだし。まぁ多くの家電業界が工場をどんどん海外移転していく中、シャープが国内生産にこだわった事によって救われた日本人労働者や関連中小企業も多いだろうけど。」

鼎「東日本大震災以降は、液晶事業と並ぶもう一つの柱である太陽光事業に生き残りを賭けてたような感じもするけど、安倍政権に替わって、太陽光事業にも急ブレーキがかかって、それが致命傷になって万策尽きちゃったってところかなぁ。」

愛原「まぁそれでも、最大の要因は、海外移転が遅れた事のような気がするなぁ。パナソニックでもソニーでも、メイドイン表記の部分をみたら、中国とか東南アジアとかという例は珍しくないし。まぁ国内にこだわった独自性も、目の付け所がシャープならではだったのかも知れんけど。」

鼎「海外生産だと、人件費が安くつく事も多いし、為替リスクも減らせるから、それで積極的に海外に生産拠点を移した企業は多いよね。」

愛原「逆を言えば、既に為替リスクを減らしているから、アベノミクスで円安になろうが、逆に円高に転じようが、かつて程には極端には企業業績に影響を与えないともいえる。」

逆沢「けどいわゆるネット愛国者様視点でいえば、不利を承知で日本製にこだわったシャープは、愛国企業という事になるのかねー? 今回、台湾企業の傘下に入る方向になった事で、かなり叩かれていた印象もあるけど。」

愛原「逆に東芝が中国企業に事業譲渡しようとしている件に関しては、いわゆるネット愛国者様もほとんど無反応だが、俺的にはこの差の方が気になるわ。台湾への売却は許せないけど中国への売却ならOKという事なのか、太陽光発電企業よりも原発企業の方が親近感が持てるという事なのか、単に無知なのかは知らんけど。」

鼎「政府による報道戦略の差かも知れないよ。東芝は古くは国鉄民営化から原発事業から証券取引所経営まで深く関わる国策企業だし。」

逆沢「東芝もシャープも助かりたい気持ちは同じだから、最終的にはどちらも海外企業に事業譲渡しようとしたわけだけど、日本政府からみれば、シャープは潰れても構わない(というか、東芝を助ける為にまな板に乗ってもらわないと困る)けど東芝だけは助けないとならない立場だから、自然とダブルスタンダードになっちゃうという事ね。たとえるなら、餓死寸前の2人の内、1人を助ける為に、もう一人に対して食材になれと政府が言ったようなものというか。結局、拒否されて、どちらも外国勢に身売りというオチになりそうだけど。」

鼎「けど海外工場が当たり前の時代に日本国内にこだわった企業が、こんな末路になっちゃうとしたら、あまりにも寂しい話だよね。日本政府からもイケニエになるように圧力をかけられて、ネット愛国者様からも非難されて、散々というか。」

逆沢「まぁ東芝も別の意味で、愛国企業ではあるけどね♪ 但しこちらは一般国民の雇用を助けるとかではなくて、時の政権の国策に応えるという意味で。だから国策企業として、たとえ派手な粉飾決算しても政府やマスコミから守ってもらえるし。そのせいか中国企業への一部事業売却が表に出てもあまり報道でも取り上げられず、ネット愛国者からも叩かれなくて済んでるし。」

愛原「改めて【愛国とはなんぞや?】と考えさせられる思いだな。」

逆沢「昭和初期でも、二種類の愛国者がいたけど、大政翼賛会や軍部の意向に沿って戦争に賛同した者は政府公認の愛国者として讃えられる一方で、逆に権力に逆らってまで亡国を避けるべく戦争回避に奔走した人達は徹底的に弾圧されまくったからねー。権力にすりよる側の愛国者ばかり、権力者は愛国者として優遇したがるというか。」

愛原「まぁ今でも靖国参拝でのコメントとか聞いてると、お国の言いなりになって殉じた人に対する感謝のコメントはあっても、逆に国家権力に逆らってまで無謀な戦を阻止しようとして拷問死した人に対する哀悼のコメントは聞かれない有様だしな。」

鼎「国家権力を握っている側の人からすれば、国家権力主導の方針に異議を唱える側の人は、愛国者として賞賛するに値しないか、むしろ弾圧の対象という事かな?」

愛原「但し、肝心の国家権力側が、国民のことをどう思っているかは別問題だけどな。国家権力は、必要とあれば平気で国民をすりつぶすし、だましもする。」

逆沢「まぁ平気で公約破りもするくらいだしねー。」

愛原「たとえば今、世界で最も話題になっているのが移民問題だけど、これも愛国という視点でみると、色々矛盾だらけではあるんだぞ。たとえば今、与党政府や経団連などは外国人労働者の受け容れに積極的だけど、これは安い外国人労働者を多数受け容れる事で企業収益(ひいては税収)をアップさせる効果がある代わりに、当然ながら安い外国人労働者が増える程、自国民労働者の雇用枠は減らされる事になるからな。」

鼎「国や企業としては、外国人労働者が増えるほど豊かになるけど、それが国民生活の豊かさにつながるとは限らないって事だよね。」

愛原「この矛盾がアメリカやイギリスなどで、今、特に大問題になっている。トランプ氏の躍進も、メキシコなどからやってくる多くの外国人労働者を排斥したいとと考える層が増えている事の表れだし、イギリスでEU離脱が騒がれているのも、EUの移民政策を嫌っている層が急増しているからこそ起きているものだ。」

鼎「けどイギリスのEU離脱派が声を強めるほど、イギリスのポンドが急落しているという問題もあるんだよね。イギリスが外国人労働者を排斥するという事は、イコール外国人労働者によって支えられているイギリス経済が悪化するという事でもあるから。」

逆沢「先のシャープにもつながる話ね。日本国内にこだわり続けたシャープが、海外に積極的に活路を求めたライバルとの戦いに取り残された事を考えると、業が深いというか。」

愛原「企業が海外に工場を移転しまくっていた頃、空洞化現象といって、日本国内での景気不安などが散々懸念されたが、じゃあ企業の海外移転を渋っていれば、国内経済が保たれるのかといえば、残念ながらノーだからな。日本政府や経団連からすれば、仮に【日本人をイケニエにしないと日本国(もしくは企業)を保てない】なら、容赦なく日本人をイケニエに捧げると思われる。彼らの目的は、日本国あるいは企業を守る事であり、日本人を守る事ではないからだ。」

逆沢「特攻隊的発想ねー。国民を守る為に国家があるのでは無く、国家を守る為に国民がある。だから仮に、日本人を滅ぼす事が日本国を守る唯一の解決方法なら、それにも躊躇する事は無いと。」

鼎「血の入れ替えが唯一の延命手段なら、古い血を全て捨てて、新しい血を積極的に受け容れるべしみたいな考え方かな?」

愛原「しかし古い血は古い血なりに、生き残りを模索する。だからトランプ氏のような人が当選して、【新しい血がこれ以上入ってこないように】とか【古い血である自分が外に押し流されないように】と考える人も多く出る。」

逆沢「なんか中世の貴族的発想ねー。あるいは一部イスラム過激派的発想というか。真面目で働き者の庶民に仕事を与えたら、庶民に仕事を奪われかねないからそれを妨害する。女性に勉強する機会や選挙権を与えたら、彼女らが積極的に社会に進出して、男性側が仕事や権利を奪われかねないから、それを妨害するみたいな。」

鼎「典型的なまでに、既得権益にしがみついた発想だよね。」

逆沢「新しい血を入れる事を拒んで、近親相姦を繰り返した所で、種としては弱体化するばかりなのにねー。国レベルでも、既得権益にしがみついて古い政治システムから進化できない所ほど、落ちぶれていくのは明白なのに。」

愛原「だからといって、古いとか時代遅れとか採算性が悪いいうだけで切り捨てられるのも嫌だけどな。なんか姥捨て山に廃棄処分されるみたいで。」

逆沢「まぁ、それも困る。つうか今の日本でも十分、労働者を使い捨てにするような、ひどい状態になってるからねー。」

鼎「けど実際の所、外国人労働者というのは、どれだけ頼りになるのかな? 政府や経団連の人からすれば、少子化の日本を救う期待の新戦力という位置づけみたいだけど、ヘイトスピーチ上等の排他思想の人からすれば、治安を悪化させる不安要素でしかない位置づけみたいだし。」

愛原「逆の立場になって考えてみたら、分かるんじゃないのか? 自分が外国人労働者なり、異邦人の立場で考えてみれば。」

鼎「ほえっ? 逆の立場?」

愛原「中世ヨーロッパ風の世界観に支えられた王道RPGなどでも、はるか東の国からやってきたサムライ風の男とかはよく登場するだろ? 彼らはなぜ遠い遠い異国までやってきたのか? またそれを実行するだけの覚悟? それに必要な能力? そんなものを色々考えてもらいたい。という訳で今回のテーマは、【異邦人】だ。」

逆沢「うーん。また前置き部分からはまず予想不可能な、超変化球テーマで来たわねー。」

愛原「けどかなり真面目でセンシティブなテーマだぞ。外国人労働者問題そのものでもあるからな。」

逆沢「単なる外国人観光客なら、そう深く考える問題でも無いんだろうけどねー。」

愛原「旅行資金をたんまり持ってるおかげで、一切働かなくていい身分の異邦人来訪者なんて、中世王道RPGにはあまり登場しないけどな。」

鼎「彼らの多くは、生活費や移動費をまかなうために、道中で用心棒稼業をやってたりする事も多いよね。あるいは料理の腕を買われて、どこかで店を経営していたり。あるいは何かの才能を買われて、王家や貴族などに雇われていたり。」

逆沢「外国で暮らすというのは、中世より便利な今の世の中でも、なかなか大変だと思うわ。言葉の壁。文化の壁。そして何よりも、有事の際に自分をかくまってくれる同胞が近くにいない不安とか。」

鼎「特に今の日本人は、その傾向が強いらしいよね。海外留学経験のある人の割合なども、他国のそれと比べるとかなり低いらしいし。」

愛原「俺自身もそうだが、別に海外に移住して暮らす必要も無いしな。ついでに勇気も無いし、能力も無いし。」

逆沢「ついでの方がメインの理由だろ♪」

愛原「・・・ごもっとも。仮に能力や人格を買われて、是非にと招聘されても、余程の事がない限り、外国に移住する決心はつかないと思う。」

鼎「プロ野球選手とか竹中平蔵クラスなら、動くお金の額も大きいから、覚悟も決めやすいだろうけど、何の保障もなくロマンだけで海を渡るのは、かなりの覚悟が必要だよね。」

逆沢「覚悟、能力、夢、憧れ・・・色んなものがハイレベルで必要になってくるわね。海外移住というのは。」

愛原「余程の変わり者か、工作員でもない限り、その外国(もしくはその国に住む特定の人間)に対する好意や憧れも必要だろう。億単位の収入が見込めるか、もしくは上司からの命令でやむなくというのなら、ビジネスと割り切ってドライに海を渡れるかも知れんが。」

鼎「海外どころか、日本国内でも、何の理由もなく、遠方に移住する人はほとんどいないよね。」

逆沢「国内で遠方に移住する人の動機は、大体、【都会への憧れ】か【仕事でやむなく(仕事や大学が地元にないから)】が大半を占めると思うわ。」

愛原「逆に【都会の喧噪を嫌って】地方移住を望む人も割といるらしいが、それも憧れが根底にある点では【都会への憧れ】と同様だしな。好きな人がそこにいるか、好きな(夢のある)土地であるか、仕事などの都合でそこに移住せざるを得ない事情でもない限り、わざわざ遠方に移住したがる人は少ないとは思う。」

鼎「とすると、日本を第二の故郷にしている外国出身者の人も多いけど、やはり日本に対する好意や希望をもって、海を渡ってきた人が多そうって事かな?」

愛原「強制労働させる為に無理矢理日本に連れてこられた人以外は、ほとんどそうじゃないのか? ああ、一部で誤解があるけど、強制労働目的で朝鮮半島から無理矢理連れてこられた人は、いわゆる在日朝鮮人といわれる層の中でも一部だけだからな。少なくとも関東大震災の頃はそこまでする必要性も希薄だったし。」

逆沢「まー、炭鉱などの国策企業なら戦時重用も珍しくなかっただろうけど、大阪とかの地方で個人商店とか開いたりしてる異邦人からしたら、強制労働とか、全く関係ない話だしねー。」

鼎「日本でも戦後間もない時期には、南米移住ブームなどが起きて、アントニオ猪木さんなども少年期にブラジルに住んでたらしいけど、その国に対する憧れや期待や希望があってこそだよね。そういうのは。」

愛原「アメリカに対する憧れとか、フランスに対する憧れとか、そういう憧れとか希望が海外移住の動機になる事は珍しくない。同様に、日本に憧れをもってやってくる外国人労働者も多いし、戦前に限って言えば、その筆頭が朝鮮人だったからという側面もあるだろう。日本人が朝鮮半島を植民地化していく過程で、日本に嫌悪感をもった朝鮮人も多いとは思うが、中には先進的な日本に対する憧れや希望を抱いて、自ら日本に渡ってきた人も少なくないとは思う。ちなみに日本人は日本人で、後に敵対国となるアメリカに強い希望や憧れを抱いていて、同じ頃、少なくない数の日本人がアメリカに渡っていたりもするが。」

鼎「でも日米が戦争状態になったことで、日系アメリカ人の人がアメリカ政府の政策で相当迫害されていた頃もあったそうだよね。」

逆沢「好意を持ってその国に移住してきたのに、この冷遇はなんやねんって感じね。」

愛原「過去に多くの移民を受け容れてきたアメリカやヨーロッパですら、景気が悪化したりすると、移民は真っ先に迫害の対象になるからな。希望と憧れを持って遠くからやってきた移民からすれば、裏切られた思いしかないだろう。」

鼎「同じ人種同士でも、差別やイジメは普通に起きるけど、少数派は特にその対象にされがちだよね。移民はまさにその少数派の典型だし。」

愛原「しかも外国から渡ってくるだけあって、肝も据わっているし、才覚に富んでいる者も少なからずいるからな。」

逆沢「大相撲とかみてても、外国人力士のハングリーさに、日本人力士はまるで及ばないし、それが近年の日本人力士の弱さにもつながってる気がしてならないわ。」

愛原「肝もすわって覚悟もあって、外国語を精力的に身につけようとする知性とハングリーさもあって、かつ働き者で、しかも賃金も安くて済むとあったら、そりゃあ経団連が外国人労働者の登用に前のめりになってもやむを得ないと思う。ちなみに作者の取引先の会社にも、ベトナムから来た研修生がいるけど、日本語も堪能だし働き者だったぞ。そこの社長さんもその研修生の事をべた褒めしてた。」

鼎「けど日本の外国人技能実習生の運用実態に関しては、色々と社会問題にもなってるよね。彼らを安く乱暴にこき使う企業も多くて、彼らが持つ日本へのイメージを下げかねないような対応をする所も後を絶たないというか。」

愛原「外国人労働者に対してネガティブなイメージを持つ人は、日本でも珍しくないからな。もっともそれなら雇わなければ済む話なのに、心の中で彼らを軽蔑しながら、安い労働力だからという理由で彼らを奴隷のように酷使する奴もいるから、正直困る。日本に対して夢と希望と好意をもってやってきた人に対して、そういうひどい対応はして欲しくないのだが。」

逆沢「で、そういうひどい待遇に不満を募らせた外国人労働者の人が、反発する例も珍しくないと。」

愛原「日本人同士でも、雇われる前に聞いていた労働条件と全然違う待遇をするブラック企業は珍しくないが、嫌なら辞めたらいい日本人と違って、外国人労働者はそう簡単にはいかないからな。帰国に必要な資金がない場合も多いし、パスポートなどが取り上げられている場合もあるし、言葉が通じない環境に置かれて、社会的に完全に孤立している例も珍しくない。そこで行き詰まった南米系労働者などが、たまに犯罪行為に走ってニュースになる事もあるが。」

逆沢「それで外国人労働者に対する偏見がさらに強まると。」

愛原「在日朝鮮人に対する扱いもそうだけど、いたずらに不当な待遇をすると、生活に困窮した彼らが犯罪に手を出したり、暴力団の構成員になったりしかねない。本来なら優れた友にして優秀な戦力・労働力としても貢献できる彼らを、不穏分子化してしまう排他主義の台頭は正直困る。」

鼎「外国人労働者が治安を悪化させているというよりは、排他主義者が彼らを追い詰める事で治安を悪化させているといった方が正しいかも知れないよね。」

愛原「トランプ氏に対して批判を強める層の主張がまさにそれだな。移民国家そのものであるアメリカで排他主義が台頭している事に、正直違和感を感じざるを得ない。アメリカに住んでいる白人層自体が、そもそも移民の集合体のくせに。」

逆沢「先に住んでる移民が、後からやってくる移民を迫害する構図ってか?」

愛原「大体こういったらなんだが、移民がいようがいまいが、社会からみて落ちこぼれのような存在は常に出る。日本でも、不良といわれた層から多く、暴力団構成員になる者が出たし。現在、欧米や日本で広まっている移民排斥運動は、優秀な外国人労働者に淘汰されかねない側の人間が、先手を打って外国人労働者を淘汰する事で、自分達の既得権益を守ろうとしている構図にしかみえなくもない。」

逆沢「まぁ誰だって、淘汰されたくないからねー。アイツの方が安くても一生懸命働くし優秀だから、大人しく淘汰されますって訳にはいかないし♪」

鼎「佞臣は佞臣なりに、讒言して優秀な人材を追い落としてでも、自分の立場を守ろうとする構図そのものだよね。」

愛原「外国人労働者の多くは、それなりにその国に好意や希望をもって渡ってきている訳だから、それをいたずらに排斥するのは、すごくもったいない話なんだけどな。能力的にも優秀であったり、精神的にもタフであったりと、味方に付ければ相当に頼もしい存在というか。」

逆沢「それだけに敵に回したら、恐ろしいけどね。大相撲の世界じゃないけど、優秀な外国人勢に横綱を独占されて、一方的に押しこまれる懸念もあるし。アメリカやヨーロッパで台頭している排他主義も、そういう危機が広まってるせいじゃないかな?」

鼎「駄目なライバルに対しては可愛く感じる可能性もあるけど、優秀なライバルには嫌悪感しか感じないって事もありそうだよね。たとえば近年、日本人が中国に抱く感情も悪化の一方だけど、これも中国が発展している事に対する嫉妬のような気もするし。」

愛原「政治的には、文化大革命とか対チベット政策にしても、昔の方がはるかにムチャクチャで今の中国の方がずっとマシなんだが、中国がよりまともになって発展していけば行くほど、逆に日本人が中国人に抱く感情は悪化していくだけかも知れないな。」

逆沢「うーん。嫉妬の力、恐るべし。」

愛原「日本人同様、アメリカ人だろうが中国人だろうが、優秀な人間もいれば駄目な人間もいる点は同じ。しかし海外でもやっていけるレベルの人間は、日本人・アメリカ人・中国人・その他、人種の垣根なくおおむね優秀だ。近年、中国など他国の駄目な部分を強調した報道が多く出て、彼らを馬鹿にして安心している日本人も多いとは思うが、かの国の平均がどうであれ、覚悟と志をもってやってくる異邦人に関しては、そこいらの凡庸な日本人よりもまず優秀なのは間違いないように思える。」

鼎「外国で暮らすのは大変そうだよね。異邦人は、無能では生き残れないだろうけど、あまり有能すぎても警戒されるというか。正直、夢と希望や好意だけでももたない難しいポジションのような気がするというか。」

逆沢「もっとも覚悟も能力も無い無能が、わざわざリスクを犯して異国に渡ってくる可能性は低いと思うけどねー。」

愛原「世の中には、騙す人間もいるからなぁ。楽に生活できるとか、いくら稼げるとか、不自由はさせないとか、甘い言葉で人身売買まがいの事をして人を釣る輩も珍しくない。」

逆沢「【地上の楽園】じゃないけど、国家ぐるみで騙して来る事すら珍しくないからねー。」

愛原「戦後の日本政府も、中国残留孤児に対して似たような真似をしてるけどな。慈善事業ヅラして、甘い言葉で彼らを釣って、日本に連れて来た時は大々的に報道もされたが、帰国後の彼らに対する生活には無関心で、そのおかけで日本語も満足に話せないまま、日本国内でアウトロー化した残留孤児とかも、珍しくない有様になってるしな。」

逆沢「飽きたらペットを捨てる感覚で、人間まで扱うなって感じだわ。」

愛原「研修生枠じゃなくても、使い捨て感覚で南米などから外国人労働者を連れて来て、景気が悪化したりしたら、即クビみたいな企業も、たまにあるからなぁ。それで彼らが生活に困り、悪事を働く。で、それを受けて、排他主義者らが、【それ見ろ、あいつらはロクなもんじゃない】とぱかりに散々煽って、ますます彼らの生活環境を悪化させる。まさしく悪循環だ。」

鼎「彼らの生活環境を悪化させる排他主義者も大問題だけど、甘い言葉で彼らを連れて来て使い捨てにする悪徳企業なども、同じくらい大問題だと思ったかも。」

逆沢「それに比べたら、ファンタジーの異邦人は、本当に気楽なものねー。外国人差別も気にならないし、騙して彼らを大量に連れてくるシーンとかも特にないし。」

愛原「まぁ中世がモデルなら、そんなもののような気もするけどな。社会不安が起きたら、魔女狩りではないけど、異邦人が真っ先に疑われる懸念は残ると思うが、近隣住民や職場の人間関係でトラブるような事さえしなければ、そういう懸念すら不要な気もする。」

鼎「ファンタジーで登場する異邦人は、基本、単独だから、警戒されにくいんだと思うよ。これが一つの村を構成できるくらいの集団になったら、かなり警戒されると思うけど。」

逆沢「あー、それはあるかもね。たった一人の外国人ならそれほどでもないけど、南米出身の労働者が集団で集まって街を歩いてたり、中国人観光客がバスいっぱいの集団で一気に訪れたりしたら、さすがに恐怖や警戒心を刺激せざるを得ないようなものかな?」

鼎「ひとそれでも、南京町を舞台にしたシーンで、そういう話が出てたよね。横浜の中華街は住居も含めて一つのチャイナタウンを形成して一塊になっているけど、神戸の中華街は商店だけが主に集約してて、普段は普通に日本人と混じって生活しているみたいな。だからあまり警戒心を刺激しないみたいな。」

愛原「排他主義者も、自分達が多数派である立場を利用して少数派を迫害したがるが、逆を言えば彼らは多数派、つまり数の強さを知っているからこそ、少数派が群れを作る事を警戒しているのかも知れないな。」

逆沢「アメリカも、数の暴力で、先住民であるネイティブ・アメリカン(インディアン)を駆逐してきた歴史があるからねー。ヒスパニック系に対する排他主義の台頭は、移民による先住民の駆逐という歴史の再現を怖れているからというのはあるかもね。」

愛原「統計では、白人系が約2億人。それに対してヒスパニックは約5千万人だが、増加率が半端じゃないからな。黒人系が大体4千万人弱くらいだから、昔は白人に次いで黒人の割合が高かったが、今では大きく逆転しているのもポイントだ。」

逆沢「なる程。そりゃあ恐怖に感じてもおかしくないわ。」

愛原「移民国家アメリカにおける排他主義の台頭は正直笑えない悪質な喜劇ともいえるが、差別に理由は無いとも感じる。トランプ氏はイスラム系やアジア系に対する差別心も隠さないが、メインは対ヒスパニックであり、彼を支持するアメリカ人も同様のようだし。」

鼎「でももしアメリカでトランプ氏のような政治家が大統領になって、排他主義が政策に反映されるレベルになったら、アメリカはどうなるのかな?」

愛原「現時点ではヘイトスピーチをまき散らしているようなレベルで全く政策には反映していないから、経済的にはさほど影響はないだろう。しかし移民対策の為にEUから離脱しようみたいなイギリス的議論が本気で沸騰するようになると、イギリスのように経済にも悪影響が出るかも知れない。なんだかんだ言っても、その国を経済的に支えているのは移民だからな。」

逆沢「今の所は、日本には関係なさそうな話だけどね。移民問題は。」

愛原「日本の場合は、移民を国内に呼ぶよりも、日本企業が外国に工場を建てて、そこで現地の人を雇う方が主流だからな。但し、外国人技能実習生に対する奴隷的扱いとか、ヘイトスピーチとか、ああいうのをみると、日本人の外国人に対する排他思想は相当に強く、安直な移民政策は危ない気がしなくもない。それは排他主義者が言うような【彼らが劣悪な問題児】だからではなく、彼らを差別して追い詰めようとする排他主義者が欧米の非じゃないレベルでいるからだ。」

逆沢「まぁ空洞化現象で日本人の仕事が奪われる事を嘆くような連中なら、現実に仕事を奪いかねない優秀な外国人の増加は驚異だろうしねー。横綱を独占する大相撲の世界みたいに、ガチでポストを奪いかねないというか、今の日本政府と経団連は、国や企業を守る為には容赦なく日本人も切り捨ててきそうだから。」

愛原「いわゆる自称愛国者も、悪徳企業と似たり寄ったりだけどな。悪徳企業は景気の良いときには甘い言葉で労働者を募って、景気が悪くなると容赦なく切り捨てる。しかし自称愛国者も、自分の既得権益のために優秀な人材を迫害して切り捨てようとしてるわけだから、どちらも自分に都合の悪い人間を容赦なく切り捨てたがる排他主義者である事には差が無い。」

鼎「悪徳企業や三流国家は、企業や国家を守る為なら、平気で功績ある従業員も切り捨てたり特攻隊に配置したりして使い捨てにするけど、いわゆる排他主義の愛国者さん達も、自分にとって都合の悪い人間を排他する事に何の罪悪感も感じない人でなしだから、本質的には同類って事かな?」

愛原「まぁ俺自身は、とても異邦人として外国で立派に生活できるような側の人間ではないし、優秀でタフな外国人労働者と戦えるような素材でもないので、排他主義者の心理がまったく理解できない訳ではないが、だからといって優秀な人材を讒言したり迫害したりして組織や国家が衰退するのを容認するわけにもいかないからな。とりあえず自分より優秀な人間をいたずらに排除するのではなく、共存・共栄する道を探りたいとは思っている。」

鼎「ファンタジーの世界と同じだよね。」

愛原「ファンタジーの世界の異邦人は、奇妙な出で立ちをして、奇妙なものを食べて、奇妙な考え方をする、奇妙な人間かも知れないが、それはそれでみんな平然と受けとめている。お互いに考え方の違いを受け容れているというか、それによってお互いに足りないものを補える関係というか、そういうのが理想な気もする。工作員とか、余程特殊な人間でないかぎり、わざわざリスクを犯してまで異国にやってくるような人間が、その第二の故郷となる土地に対して初めから悪意を持っている訳がないのだから。」

逆沢「異邦人の割合が増えすぎると、トランプ氏を支持するアメリカ人じゃないけど、恐怖を感じる気持ちは分からなくもないけど、異邦人の割合が創○学会員くらいにならない限りは、まぁ気にするほどではなさそうだしね。」

愛原「公明党に対する比例代表得票数は、大体700万票から800万票ほどだから、その内フレンド票(学会員以外の票)を除いて、その代わり彼らの投票率が限りなく100%に近いという前提で、選挙権のない年代の学会員の数もを推定加算すると、大体350〜700万人くらいかな? 世論調査で公明党を支持する割合は大体4%くらいだから、まず300万人は下回らないとは思われるが。正確な数はもちろん不明だけど。」

逆沢「おいおい。アメリカ国内の黒人の割合よりも、もしかして日本国内における学会員の割合の方が多いんじゃないのか?」

愛原「さすがにそれは考えられないが、日本国内では異邦人の割合なんか、学会員の割合に比べるとほとんど誤差なのは間違いない。外国人参政権問題でどうこう騒ぐ人もいるけど、学会員の組織票と比べたら、泡沫候補並の影響力しか与えんとは思う。つうか郵便局員の方がずっと影響力強そうだ。郵政票も100万票くらいあるらしいから。」

逆沢「仮に数を警戒するなら、異邦人よりも他にあるかも知れないって事か?」

鼎「今、ヨーロッパを騒がしているシリア難民のように、外国の方が群れをなして押し寄せてきたら、さすがに誰でも恐怖を感じるだろうけど、そうでないなら日本に好意や希望を抱いてやってくる人をいたずらに排他するのではなく、むしろ彼らの好意や期待に応える度量がむしろ欲しいよね。」

逆沢「仮にどうしても誰かを排他しないと駄目なら、排他主義者を排他する方がまだ世のためになりそうな気はするわ。」

















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