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愛原様のたわごと(17年10月15日)






愛原「今回は前から一度取り上げたいと思ってたテーマに関して、ちょうどいい時事ネタが飛び込んできたので、それについて語りたいと思う。」

逆沢「あん? 時事ネタ。選挙関連か?」

愛原「選挙ネタをまくらにしたテーマは、前回やったじゃねえか。」

逆沢「まさか選挙ネタをまくらに、謀略について語り出すとは思いもしなかったけどね。お前のネタの変化球ぶりは、時々びっくりさせられるわ。暴投レベルで、話の方向がどこに飛んでいくか全く読めねえから。」

愛原「今回は直球でいくぞ。テーマ名は【品質について】。こう言えばもう時事ネタの方も、すぐに思い浮かべられるだろうが。」

逆沢「ああ、神戸製鋼の件か。あるいは日産の方かも知れないけど。」

鼎「冷静に考えれば、かつての三菱自動車のリコール隠しや、吉兆とかの産地偽造問題と同等程度には大ニュースになっていい不祥事だと思うけど、なぜかワイドショーなどでもほとんどネタとして取り上げられてないみたいで、すごく薄気味悪いと感じるのは私だけかな?」

逆沢「ああ、かつての三菱自動車や吉兆の時は、まさしく大スキャンダルものだったわね。確かにそれらと比べたら、薄気味悪い程、本当にニュースになってないわ。まぁそれを言ったら、東芝なんかもそうだし。東京電力なんかに関しても、いつの頃から全然話題にもされなくなったし。」

鼎「なんか安倍政権になってから、大企業の不祥事に関するニュースは、どんどん矮小化されていってるような気がするよ。」

逆沢「政治が圧力かけているのか、メディアに対するスポンサーの圧力が強まっているのか、あるいはマスコミ側がそれらに忖度してるのかも知れないけど。大本営発表がまかり通った時代も、こんな空気だったのかねー? 沖縄で米軍機が墜落したニュースも、かつてからしたら、気持ち悪いほどニュースで取り上げられてない感じだし。米軍のイージス艦が大破した事件なんか、広島県警の8500万円盗難事件や神奈川県の大口病院の大量殺人事件並に、完全に隠蔽されて忘れられるよう仕向けられたような扱いにされてるし。」

鼎「都合の悪いニュースはどんどん隅に追いやられて、平穏な日常だけが演出されていく光景は、まさしくディストピアそのものだよね。敗戦濃厚にもかかわらず、景気のいいニュースだけが日本国内を駆け巡った大本営発表時代も、今と似たような感じだったのかな?」

愛原「俺が直球投げた時に限って、お前らが強力な変化球で返してくれる訳だな。全然本題に戻れないじゃねえか。」

逆沢「あはは。まぁ気にするな。それで何だっけ? 今回のテーマは品質についてだったか?」

鼎「いわゆる日本ホルホル番組の影響かも知れないけど、日本と言えば高品質みたいなイメージがなんとなくあるよね。」

逆沢「姉歯耐震偽造ニュースや、ミートホープあたりの頃から、私は思いっきり嘘くせぇーって思ってるけどね♪ 日本=高品質とか、既に神話レベルだろと。」

愛原「高品質を維持するには、それを望む客層がまず必要だが、そもそも日本は、20年ほど前にバブルが崩壊して以降、そんな需要自体が大きく落ち込んでいるからな。いわゆる高品質とか高級を売り物にしたデパートや百貨店が、スーパーやディスカウントストアやコンビニなどにすっかりシェアを奪われた点からしても明らかな通り。」

逆沢「ま、デパートや百貨店が昔の威光を取り戻す光景自体、全く想像できないわね。というか、まだしぶとく生き残ってると感心したくなるレベルだわ。」

鼎「というか近年は、デパートや百貨店でも、そこらのスーパーに負けないレベルで安売り競争に打って出て、そういう所は割と経営的にも健闘している気もするよ。」

愛原「デパートだけではない。自動車でもそうだし、服飾でも、外食でも、パック旅行なんかもそうだ。たとえば自動車でいえば、安いか、そうでなければ燃費がいいか、スペースが広いか、あるいは逆に車体が小さめでコンパクトかなど、いわゆる機能性や費用対効果が重視される。ただカッコいいとか、そんな理由だけで300万円以上の車を選ぶ層は多くない。服飾でもユニクロやしまむらで十分だし、旅行にいくにしても、わざわざ割高なプランを選びたいとは思わない。別に低品質でも構わないとまでは言わないが、実用性や費用対効果などの方がはるかに重視される。」

逆沢「というか私の感覚では、かつてデパートや百貨店が栄光の輝きを放っていた時代があったって事自体が信じられないんだけど。正直、カネの無駄遣いというか、当時の庶民はそんなにカネに余裕があったのかと。」

愛原「近年の中国なんかが典型だが、高度成長期は大体そんなものだ。国全体のインフレが良い状態で続いているから、投資や消費をする上でのハードルが低く、見栄を張るような心の余裕も生じやすい。」

鼎「今の日本だと、逆だよね。企業は利益が出ても、投資や消費をする事なく内部留保を増やすだけだし、国民も実利上のメリットが少ないお金の使い方は、できるだけ避けたがる傾向が強そうだし。」

愛原「経済誌とかでよく【日本は薄利多売ではなく、商品の付加価値を高める方向で生き残りを模索するべきだ】みたいな論調をみかけるが、【商品の付加価値を高める=高品質路線】というのは、景気が上向きのインフレ社会でこそ威力を発揮する形態であり、これから伸びそうな海外諸国に積極的に打って出る予定ならまだしも、日本国内に限ってはかなり厳しいと思う。仮にホテルを大改造して付加価値を高めて高級ホテルにしたところで、どれだけのお客さんがくるだろうか? スーパーが高価格高級路線に挑んだところで、どれだけの利益が出るか? 東京ドームや大阪ドームの観客席を高価な木製椅子シートに変える代わりに観戦料を数倍にしたなら、どれだけの観客がその高級シートを購入するだろうか? 在来線に新幹線のグリーン席みたいなものを設けた所でどれだけの客が高価なグリーン席を選ぶだろうか? そう考えると分かりやすいだろう。」

鼎「そういや南海電鉄で有名なラピートだけど、通常より500円ほど高い(関空〜泉佐野間のみなら100円)事もあって、大体スキスキなんだけど、外国人観光客の人たちには割と人気と聞いた事があるよ。」

愛原「デフレ志向の日本人からすれば、普通の車両に乗ってもそう大差ない時間で着くのに500円も余分に払うのはアホらしいという発想になりがちだが、外国人観光客にとってはたった500円余分に払うだけでセレブ感を満喫できるという発想になるんだろうな。」

鼎「ちなみに私の友達も、年に1回あるかないかの旅行の時くらいはぜいたくな満足感が欲しいと言ってて、新大阪〜姫路間を新幹線で片道3200円ほど払って移動してた事もあったよ。新快速で60分以上かけて移動するよりは、新幹線でリッチに20分ほど短縮したいんだって。」

逆沢「私の友達は、仮に大阪から姫路まで行くなら、阪神・山陽シーサイド1dayチケット買って、往復2000円で移動すると言ってたわ。新快速よりも30分余分に時間はかかるけど、空席も多いから絶対に座れるしとか♪」

愛原「30分余分にかけて500円ほど節約するのが得かどうかは人によるだろうが、3200円も余分に払って20分を浮かすというのは、余程時給の高い御仁でないと、なかなか思い浮かばない発想だろうな。まぁ旅行時のセレブ感と割り切れば悪くはないのかな?」

鼎「高級車を買う人とか、高級マンションに住む人とか、高級な百貨店を利用する人とか、高価な旅館を利用する人とかも、単なる費用対効果とかではなくて、セレブ感みたいな心理的な満足感が欲しくて選択している人が多そうな気もするよ。」

愛原「そういう人たちを相手に商売できるならば、【商品の付加価値を高める=高品質路線】というのは、極めて合理的な経営戦略となるだろう。商品の付加価値を高める際に必要な経費よりも、売り上げの方がはるかに上回るからだ。」

逆沢「200万円の普通車を、さらに200万円のコストをかけて高級化しても、500万円以上で売れるなら、むしろその方がおいしいって事ね。まさに商品の付加価値強化が功を奏してる状態というか。」

愛原「しかし費用対効果を重視する客相手には、この方法は通用しない。200万円の普通車を、さらに200万円のコストをかけて高級化しても、その車は決して400万円以上では売れないからだ。それどころか下手するともっと買いたたかれる。」

鼎「買いたたかれるのはどうして?」

愛原「パソコンを自作する人なら分かると思うが、パソコンを自作できる人からすれば、自分が必要としない高級な部品はコストの無駄でしかない。そんなものに余分なカネを払うくらいなら、自分が高級化したい部分だけにきっちりカネをかけて、自分好みにカスタムする方を選ぶからな。そうすれば、トータルでより安い費用で、自分好みの高スペックパソコンを手に入れる事ができる。」

逆沢「まぁ携帯電話とかでも、どうせ使わない機能とかアプリとか有料サービスとかは割とあるし、そんなものをつけて高く売るくらいなら、余分な機能は減らして、その分もっと安く売ってくれと思う時はあるわね。商品の付加価値強化自体に、全く価値を見いだしてない人も多そうというか。」

愛原「メーカー製のパソコンは、確かにコンパクトで場所を取らないなどの利点もあるが、コンパクト過ぎて拡張の余地がないというか、一部品が故障するだけでどうしようもなくなる時もあるし、うっとおしいアプリ(試供品ソフトなど)がプリインストールされてる事も珍しくないからな。内部の掃除もしにくいし。値段高い、拡張や修理もしにくい、うっとおしいアプリもついてくるの三拍子とあっては、とても俺としては買いたいと思えるシロモノではないわ。」

鼎「昔、テレビとビデオを一体化したテレビデオという商品があったらしいけど、これも似たような理由で衰退したらしいよね。テレビ部分とビデオ部分のどちらかが壊れたり、時代に合わなくなっただけで実質どちらも買い換えなくてはならないから。」

逆沢「最近の電化製品は、基盤化が進みすぎて、色んな機能が一つの基盤で一体化しちゃってるから、特定の機能が故障するだけで、基板ごと取り替えというか、実質全損状態になりやすいと聞いた事もあるわ。」

鼎「あと高級化すると、その分、精密化もしやすいから、故障したり不具合が出やすくもなるよね。確か今はやりの4Kテレビとかも、画面がさらに美しくなるとかの代償として、アンテナからの受信精度のハードルもすごく高くなってると聞いた事があるよ。つまり今までのテレビなら普通に映っていても、4Kテレビに替えた途端にブロックノイズが出たりして、かえって画面が見づらくなる事があると言うか。」

愛原「工場の現場などでも、精密化が進みすぎたせいで、各機材の許容量の上限がかなり狭くなっているとよく聞く。たとえば昔なら2.8トン上限のクレーンでも、実際には3トン以上のものでも余裕でつり上げられたのに、今時のは2.8トンを少し超えるだけで本当につり上げられなくなったりとか。」

逆沢「昔の製品は、今よりも良い意味でどんぶり勘定だったから、2.8トン限度のクレーンなら、最低でも2.8トンの重さのものがつり上げればそれでいいとばかりに、3トン以上でも耐えられるような頑丈な作りをしたものも珍しくなかったけど、最近は精密化が進んで、少しでも鋼材の量を節約する為か、軽量化目的か、壊れやすくして買い換えを促進させたいのか、とにかく本当に2.8トンまでしか上がらないような作りにしちゃってるという事かも知れないわね。」

愛原「鉄工所で扱う部品なんかでも、今は無駄に精巧になってて、決められた寸法以外の部品はそもそもはまらないみたいな、余裕のない作りの製品が増えているらしい。」

鼎「実際に使用する分にはもっと緩い公差でも全然問題ないけど、図面上の寸法公差が異常に厳しすぎるというのも、日常茶飯事らしいよね。」

愛原「神戸製鋼のケースに関しては、おそらくそのパターンがほとんどだろうな。確かに検査上の公差からは外れているものもあるかも知れないが、実際に製品として使われる分には全く問題の無い範囲というか。」

逆沢「だったら、始めから必要ないレベルの精密さなんか要求しなければいいのに。そうすればもっと早くかつ安く製作できるし。検査から外れて不良品扱いになる部品の数も激減するだろうし。本当なら普通に使えるはずの部品なのに、図面上の公差が厳しすぎるせいで廃棄処分せざるを得なくなって、かつ一から作り直しとか、資源面でも労働力の面でも無駄過ぎると思うわ。」

鼎「今は余剰在庫を置かない会社が増えてるから、20個の注文を受けたら本当に20個しか製作しないみたいな所も多くて、だから1個でも不良品扱いの製品が出てしまうと、たった1個のためにまた作り直しというケースもあるそうだよね。はじめから不良品が一定数は出る前提で余分に作っていたら、そんな手間も出さずに済むし、製作に携わる工員のプレッシャーも和らぐと思うのに。」

愛原「それが付加価値という奴なんだと思う。通常よりも余分に手間をかける事で、手間賃としてより高く売れるみたいな。だから携帯電話でも家電でも、いちいち余分な機能をつけたがる。」

逆沢「テレビのような何十年前から大して代わり映えさせる必要の無い製品ですら、地デジ対応だの、4K対応だの、ハードディスク録画対応だの、可能な限り付加価値を付けて売ろうとしてるしね。」

鼎「【より快適な運転ができます】という理由で高い高級車を売ったり、【より快適な宿泊を提供します】という理由で宿泊料金を高く設定したりするのと同じようなものかな?」

逆沢「今思えば、豊洲市場や森友学園の汚染物質撤去費用と言うのも、費用を高く水増しする為の余分な付加価値だったような気がするわ。本当ならそこまで高額の費用を出さないとならない程深刻な汚染があった訳ではないけど、それでは経費の水増しができないから、いかにも深刻な汚染があったように見せかけて、それで請求する経費の水増しに成功したみたいな。」

愛原「俺もそう思っている。豊洲市場の建設費が5800億円とか、森友学園のゴミ撤去費用が8億円とか。いずれも請求費用の上乗せのための口実として、汚染物質撤去費用というマイナスの付加価値が付け加えられた結果だろう。」

逆沢「しかも実際には、その汚染物質処理もまともにされてなかったと。豊洲は埋立の約束も実行されずに例の空洞のまま。森友学園に至ってはそのままと。まぁ実際に費用をかけて工事をしてしまったら、くすねるゼニが減ってしまうからだろうけど。」

愛原「悪徳リフォーム会社の手口と同じだな。住宅の状態がいかにも深刻な状態であるように装う事で、マイナスの付加価値をいっぱいつけて、本来ならしなくてもいいリフォームを契約させて丸儲けみたいな。」

鼎「こうしてみると、本来なら必要の無いものが付加価値として上乗せられている商品とか、割といっぱいありそうだよね。」

愛原「携帯電話の機能や有料サービスにも、不要な付加価値が費用に上乗せられているだろう。神戸製鋼を始めとする各企業の製品にも、実用にはなんら問題ない以上に精度な加工をする事で、その手間分、付加価値として費用に上乗せられている事だろう。温泉なんかも、良く分からない効能などが付加価値として上乗せられているから、単なる浴場よりもはるかに値段が高くなっている。水素水とかナントカ還元水とか健康食品とかの類いも、やはり良く分からない効能が付加価値として乗せられているから、ただの水とかただのにんにくよりもはるかに高く売られているしな。」

逆沢「でも実際には、その付加価値部分は無くても困らないから、偽装されている事も珍しくないって事ね。水素水の正体が、ただの水だったとしてもどうせ違いは分かりっこないから問題ない。温泉の水がただの水道水だったとしても、普通はバレないからやはり問題ない。但馬牛として提供されている肉の正体が実は安価な肉でも、やはりバレなければ問題ない。国産として販売されているウナギが実際は外国産のウナギでも、やはりどうせバレないから問題ない。寸法通りに入ってない機械部品でも、実用で使用する分には問題の無い範囲の誤差ならそのままにしても問題ないみたいな。」

愛原「そう。実際には必要の無い付加価値が、費用として上乗せられている。そして必要が無いからこそ、実際にはその付加価値自体が(偽装などで)存在して無くても、容易にはバレる事はない。それだったら始めから偽装前提という事も起こりえるという感じかな?」

逆沢「豊洲市場や森友学園の土壌汚染が本気で酷いなら、実際にはやってないでバレないという事はないし、安価な肉と高級な肉の区別が簡単に付くなら、やはり偽装もできっこないだろうからね。本当は必要のない付加価値だったからこそできる芸当という事ね。」

愛原「必要の無い部分にでも付加価値をつければ、高く売れる。今のテレビの画像でも不満のない人に対しても、より綺麗に映るとアピールすれば、高くともそれなりに買う人は出るだろう。より高級な肉ですとアピールすれば、味の違いが分からない奴でも、高いものを選ぶ人は出るだろう。みたいな感じだな。」

逆沢「違いは分からなくとも、値段が高いほどいいものであるに違いないと思い込むような人には、そういう付加価値アピールは特に効果的かもね。」

鼎「でも世の中には、そういった必要の無いレベルの高品質ではなくて、最低限守ってもらわなければならない品質というのもあるよね。でも最近は、そういう部分での手抜きも多そうな気もするよ。耐震偽造とかそういう分かりやすいものではなくて、たとえば保育所の定員とか。」

逆沢「ああ、そういえば、森友学園系列の保育所の定員が、実際には法律で決められた人数に満たない状態で回していた事が発覚して、それで閉園に追い込まれたみたいなニュースがあったわね。でも実際には、そんな保育所は、いくらでもありそうだけど。」

愛原「厳密に法律通りに運用したら、日本中にある保育所の数割以上は、閉園に追い込まれるかも知れんな。」

逆沢「ただでさえ保育所不足と言われてるのに、何割も保育所が閉鎖されたら、日本死ねどころか、安倍○ねの大合唱になりそうな気がするわ♪」

鼎「新国立競技場を始めとした建設現場でも、人手不足を始めとした理由での法律違反はいくらでもありそうだよね。」

愛原「トラック業界なんかなら、真っ当に運行記録をつけたら、明らかにスピード違反をしていたり、過積載状態だったり、残業時間オーバーだったりするケースがかなりあるそうだしな。」

逆沢「森友学園や電通は、政権の機嫌を損ねたから見せしめとして制裁されただけで、実際には99%近くの企業の法令違反が見逃されているような気すらするわ。真面目に労務違反などを取り締まれば、病院とか、介護事業者とか、建設、運輸、金融、その他コンビニなどの小売りから、神戸製鋼のような製造業、NHKを始めとするメディア、学校や警察などのお役所まで、半分以上の職場が何らかの違法行為や労務管理違反でひっかかりそうというか。」

鼎「品質を守る為に、法律を踏みにじったり、どこかで手抜きをしてる所が、かなりありそうだよね。」

愛原「たとえば【納期を厳守します】という品質を守ろうとして、実際にその際に必要な時間や人手が足りない場合、どこかでルール違反をする必要が出てくるからな。法定労働時間を超過するような労働をさせて納期を守らせるか、スピード違反や過積載をする事で納期を守らすか、本来必要な工程をすっ飛ばして手抜きをする事で納期を守らすか。いずれにしろどこかでルール違反をせざるを得なくなる。」

鼎「それ、納期という名の品質は守ってるかも知れないけど、他の部分での品質は大きく毀損されているよね。手抜きをすれば製品の品質はその分明らかに落ちるし、労働者を過重労働させればミスの確率も増えて、やはり品質は劣化するだろうし。」

逆沢「トラックやバスの運転手に過重労働させたら、事故率も跳ね上がるだろうし、コンビニの店員に過重労働させても、客への愛想が悪くなって店に対する印象も悪化しそうだし、漫画家に過重労働させたら、目に見えて作品の質が下がるだろうし、そう考えると、人手や時間が足りない状態というのは、品質を維持する上で最も危険な状態かもね。」

愛原「そんな状態で、必要の無い高品質を要求するなんて、馬鹿げてるとしか言いようがないわな。社会を維持する上で最低限必要な品質も維持できていないのに、必要の無い付加価値をつける事で無用の高品質を謳い、あげくのはてにインチキする。新国立競技場関連とか見てると、本当に愚かとしか言いようがない。」

逆沢「コンパクトなオリンピックという公約なんか吹き飛んで、気がついたら無駄に豪華な付加価値盛りだくさんのハコモノのオンパレードになって、挙げ句の果てに金かかりすぎ、人手足りなさすぎ、納期も足りなさすぎとか、頭おかしいとしか思えんわ。レガシーがどうこう言うなら、必要最低限の改修に留めれば、そんな事もなかったろうに。」

愛原「そうでなくとも高品質による付加価値というのは、大体の場合、見栄にしか成らないからな。見栄、ぜいたく感、セレブ感みたいなものに価値を見いださない者からすれば、本当に無駄金にしか映らない。」

逆沢「新国立競技場とか、まさにその典型だしね。政治家の見栄がそうさせたのかどうか知らないけど、ザハ案の時から無駄に斬新で高価なデザインにこだわってあげく破綻。けど今のデザインでも1席9万円、維持費100億円とかいう超高級な木製椅子にこだわって、色々火だるまになってるみたいらしいね。」

鼎「超高級木製椅子の件は、工期や経費の問題もあって、VIP席中心の数百席のみに大幅削減されるらしいよ。環境に優しい木製椅子とか林業の活性化という触れ込みだったけど、実際はその木材の多くは外国から輸入していて、その際の有力調達元の違法伐採が海外のメディアにすっぱ抜かれて日本の大使館に万単位の署名付きの抗議までされた事で、有力な調達先を失って、それで計画変更せざるを得なくなったみたい。この不祥事ニュースも、なぜか日本では大本営発表状態で全く報道されていないけど。」

愛原「本来なら、違法伐採された木材は使用できないのが通常なのだが、【違法伐採された木材でも排除できない(適合とする)】ルールにわざわざ変えたあたり、おそらく確信犯だな。正規のルートだととても必要な木材の量は確保できないと最初から分かっていたから、違法伐採ものでもOKとルールを書き換えて大量輸入開始。しかしそれが外国のメディアにバレて、結局違法伐採ものは輸入できない状態に。で、これでは足りない間に合わないという事で、工期や経費の問題というタテマエで、高級木材椅子はVIP席のみに限定せざるを得なかったという所だろう。グリーンピースなど諸外国の環境保護団体などから抗議も受けて、日本の名声はさらに悪化したと思われるが、その事実を日本人自体がほとんど知らないとすれば、笑えないホラーだなと言わざるを得ない。」

逆沢「日産や神戸製鋼が品質に関する偽装をしても、全然ワイドショーなどで取り上げられないのも、【日本=高品質】を信じている人に対するブランドイメージを壊さないようにという思惑が働いているのかねー?」

愛原「日本のマスコミの口を塞いでも、外国人の日本に対する印象には全く影響を与えないけどな。日本のメディアがいくら鬼畜米英と騒ごうと、それを真に受けるのは日本人のみのようなもので。少なくとも【日本=高品質】というブランドイメージは、無数の偽装スキャンダルで相当毀損されている。今回の神戸製鋼の不祥事ニュースにしたって、実はニューヨークタイムズの1面トップを飾る程度には、世界的大ニュースだし。特にアメリカでは、タカタのエアバッグ騒動とも重なって、日本製に対する品質への信頼はボロボロだからな。イギリスのBBCなんでも連日話題にされてるそうだし、日本人だけが世界の常識から隔離された情報上の孤島にいる感じすらする。」

鼎「神戸製鋼の株価も、報道前は1400円を伺うラインにいたのに、800円を割る寸前まで急落しちゃったよね。」

逆沢「日本のマスコミの口を塞ぐことはできても、国外に住む人らに情報が流れるのは止められないって事ね。」

愛原「そういう現実を一人一人の日本人が自覚すればまだ対策の取りようもあるのだが、自覚が薄い為に改善の機運がまるで出てこず、故に後から後から次々と新たな品質に関する不祥事が湧いて出る繰り返しになっている。なぜ日本製品が中国や欧米製品などにシェアを奪われているのかも、【日本=高品質】を信じているが故にまるで理解できてないのだ。」

逆沢「実際には、日本人も中国産を始めとした外国産の製品を大量に買ってるし、日本企業の製品でもよく見たら【made in China】だらけだったりして、当の日本人自身が既に日本製品にそれほど強い購買意欲を感じていないのが現状だけどね。」

愛原「製造業などに携わっている者なら、なおのこと、日本製品の現実をよく知っているしな。他国製品と比べて決して劣悪ではなくとも、少なくとも優位と断言できるレベルにはない。必要の無い部分で高品質であっても、それでは見栄っ張り以外の購買意欲は刺激できない。自動車の燃費や健康食品の効能にしても、広告でアピールされているような恩恵まではとてもない。そしてその事実を正しく理解できる程度の知性を多くの日本人が持っている。故に。」

鼎「私達は、品質というものに対して、少し認識を改めないといけないかも知れないね。」

愛原「だな。たとえば電化製品に当たり外れがあるのは常識だろう。同条件で大量生産で造っても、長持ちする製品も出れば、1年持たず、あるいは初期不良状態の製品も出る。そんなのは当たり前で、それと品質をリンクさせるのも、そもそもナンセンスだ。どれだけ高品質にこだわっても、一定数の不良品は必ず出るのだから、そういう意味での妥協や割り切りは必要。」

鼎「むしろアフターフォローの方が大事だよね。買った製品がすぐに壊れたら残念だけど、すぐに直してもらえたり、新品と交換してもらえるなら、印象も全然違ってくるだろうし。」

逆沢「神戸製鋼の件にしても、納入された部品のせいで、製品自体に不具合が出ているみたいなトラブルは全然聞かないし、なら問題ないと私なんかは思わなくも無いしね。」

愛原「製作の現場などでは、故意に図面上の寸法公差から外す事すらあるしな。無論、これは手抜きや悪意では無くて、職人の勘や経験として、その方が良いと思われるから。たとえば図面上の寸法よりも太くとも、それで頑丈さが増すだけなら、その方がいいじゃないかみたいな感じ。相手の部品に合わせて寸法を決める必要がある場合は、相手の部品がどんな状態でも対応できるように、少し余分に寸法を残しておくみたいなのも多い。そうすれば複雑で製造費もかかる側の部品の寸法が少し外れてても、簡単で製造費も安い部品側の修正加工で何とかできる事も多いからだ。」

鼎「納期に関しても、必ずしも絶対的な扱いにすべきではないよね。」

逆沢「ゲーム業界とかは、発売日の延期なんか当たり前のようにやってるしね♪」

愛原「残念な状態で納入されたり発売されるくらいなら、延期してもらった方がありがたい事も多いしな。特にクリエイティブ系の仕事の場合は、やっつけ仕事にされたら残念な出来になるケースも多いので、それで業界として延期が発生しやすいように思われる。」

逆沢「日本は付加価値を付けすぎて、勝手に自爆しているだけの気がするわ。お客様への過剰なサービスとやらもそうだし。学校は学校で部活とかのボランティアに縛られまくってるし。製造業界も必要の無い高品質にまでこだわって、あげくその高品質の基準が満たせなくなって品質偽装で自爆するし。宅配サービスもいわずもがな。大本営発表の状態のメディアも、政府やスポンサーに対する過剰な忖度サービスが、急激な劣化を招いているような気がするわ。ついでにいえば官僚達も、安倍夫妻らに対する業務外サービスで、余分に人員や手間をかけてしなくていい仕事をしたせいで、かえって国会を混乱に陥れているし。」

鼎「付加価値神話とか、高品質神話が、日本をボロボロにしちゃった気もするよね。」

愛原「付加価値を重要視するような好景気インフレ国家ならともかく、世界一のデフレ国家が品質第一と言ってるんだから、ミスマッチも大概だよな。安値を求めるならサービスもそれなりになるのが普通だが、日本ではなぜか過剰なサービス精神を求める。」

逆沢「保護者は学校に過剰な教育・しつけサービスを求め、消費者もお店に過剰なサービスを求め、乗客や荷主は運転士に時間ピッタリの運行や配達を求め、患者は医者や介護人に過剰な世話を求め、経営者は労働者に過剰なサービス労働を求めるみたいな感じね。」

鼎「報酬は与えないけど、サービスはギリギリまで要求するという姿勢がそもそもおかしいよね。」

逆沢「インテリ経営者らがまき散らす付加価値神話が、ここまで日本を追い詰めたという気がしなくも無いわね。大本営発表状態だから、追い詰められた状態という自覚すらない人も多そうだけど。」

愛原「通常は【安ければそれなり。高いなら高いなり】なんだが、今の日本の場合、耐震偽装だの産地偽装だの偽装だらけだから、高品質を謳っていても信用できない。だから余計に高品質製品よりも費用対効果の高いそれなりの製品の需要が高くなる。結果、付加価値をかけても報われない側面もあるかもしれない。」

逆沢「付加価値のベクトルがおかしいってのもあるし。携帯やPCの訳分からない機能やアプリもそうだし。不安を煽って高値で売り込む、健康食品業界や悪徳リフォーム屋や悪徳僧侶や行政の錬金術師とかによるマイナスの付加価値アピールには、殺意すら覚える時があるし。」

鼎「リーマンショック級の大不況とかいって煽った人もいたよね。」

愛原「温泉の効能とかそうだが、付加価値の大半は、効果の曖昧なものであったり、自己満足が最大の目的というのも多いからな。もちろん本人が大満足ならそれでいい。たった510円でセレブ感を味わえるラピートなんかはそういう意味では良い商品だとも思うし。だがそういう付加価値に割に合わない感が出てきたり、当たり前感が出てしまったのが、今の日本の悲劇なんだと思う。」

鼎「宅配便の時間指定サービスにしろ、電車の定刻通りの運行にしろ、学校の先生による部活指導にしろ、それが当たり前になっちゃってるよね。製造メーカーの過剰な高品質も、他のメーカーも同じように高品質で横並びになってしまってるから、自分の会社だけ【お値段そのままで品質それなり】にできない事情があるように思えるよ。」

逆沢「せっかく高いお金を払って、【やっぱり高級肉は味わいも違うなぁ】とか【やっぱり温泉はそこらの銭湯と違って最高だなぁ】とか【高いマンションだけあって耐震性もそこらのとは全然違うんだぜ】とか、セレブ感に酔いしれて満足してるのに、実は安い肉でしたとか、実は水道水でしたとか、実は手抜き工事でしたと言われたら、赤っ恥をかかされた気分になるというか、二度と利用したくなくなるわ。」

愛原「当たり前という感覚。偽装という名の嘘。どちらも付加価値ビジネスによる景気を刺激するには、最大の障害になりえるものだな。」

逆沢「AVGゲーム業界にとっては、ヒロインらのボイスあたりが、それに該当するかもね。それを実装するにはそれなりにお金もかかるんだけど、ライバル社が皆ボイスを標準装備し出したから、自分達だけそれをやめるわけにはいかない。まして告知もせずに、ボイス無しの作品を出そうものなら、手抜きだ詐欺だと叩かれる怖れもあるしみたいな。」

鼎「付加価値による商品価値の向上を狙ったら、ライバル社も追随しだして、それが当たり前になってしまったというのは、業界にとって悪い循環なのかも思ったよ。自分の会社だけの付加価値なら、その付加価値を価格に転嫁できてウリにも出来るだろうけど、みんながやり出すと当たり前になっちゃって、有り難みもなくなっちゃうもんね。」

愛原「逆転の発想もあるけどな。セルフサービスのガソリンスタンドとか、もしかしたら格安航空会社なんかもそうかも知れんが、ライバル社が当たり前にしているサービスや手間をあえてそぎ落とす事で、優位に価格競争を展開する戦略とか。」

鼎「宅配業界でも、当たり前扱いになっている時間指定サービスを見直そうという声も出てるらしいし、そういう過剰サービスが当たり前になっている現状を一度破壊した方がいいかも知れないね。」

逆沢「今の中学生とかみてると、昔の中学生よりもはるかに部活で長い時間拘束されまくっている気もするし、あーいうのは生徒にとっても顧問の先生にとっても不幸だと思うわ。部活自体が学校の目的からすれば、付加価値的な存在でしかないはずなのに、誰に忖度してるのか、いい子ちゃんでいたいのか、内申点や人事査定の評価が欲しいのか知らないけど、そういう不毛な付加価値競争はもうやめろと。」

愛原「【あいつが1時間残業するなら、俺は2時間残業するぞ】とか、【あいつがあれだけ精密な部品を造るなら、俺はもっと精密な部品を造るぞ】とか、【あいつがスピード違反してまで早く荷物を届けるなら、俺は深夜から動いてもっと早く荷物を届けるぞ】みたいな、不毛な競争が国民全体を不幸にしてる気もするわな。」

逆沢「で、人前でいい子ちゃんでいようと無理した反動で、誰も見ていないところでは、偽装や手抜きのオンパレードと。」

鼎「誰も見ていないところがあれば、偽装や手抜きで骨休みも出来るけど、そうでない環境の人とか、偽装や手抜きをするという発想のない人だと、肉体的もしくは精神的に追い詰められて、うつ病になっちゃってもおかしくないよね。」

愛原「偽装や手抜き自体、バレたら大変な事になるリスクがあるし、事故率も上がるし、そもそも倫理的に褒められるものでもないからな。世の中には確かに、最低限必要な品質とか、やらなくてはいけない最低限のことというのは存在するが、やらなくてもいい事まで、みんながやってるからとか、ライバルに負けたくないからというくだらない理由でやるのは、もうやめた方がいいと思う。」

鼎「というか、やらなくてもいい事に労力を割いた結果、やらなければいけない事がおろそかになる事も多いよね。部活のやり過ぎで勉学がおろそかになったり、バイトのやり過ぎで単位が取れずに留年する羽目になったり、残業のやり過ぎで健康管理がおろそかになったり、早く仕事を済ませようと無理して車の運転がおろそかになったりとか。」

逆沢「【ライバルは勝つ為に遅い時間まで部活しているんだから、我が校も負けられない】とか、そりゃあ、将来それで飯を食うつもりの生徒が集まるような名門校なら話も分かるけど、趣味の一環なら、程度ってものがあると思うし、優先順位の低いものに振りまわされる必要なんて全くないと思うわ。」

鼎「年収ウン千万円のエリートが寝る時間も惜しんで頑張るというならまだしも、だからといって時給ウン百円とか千円台の人がその人達と一緒に付き合う必要は無いよね。」

愛原「自動車の燃費とか、性風俗産業の年齢や3サイズみたいな、サバ読みまくりのなんちゃって高品質もそうだが、中身の伴わない高品質とか、必要の無い高品質とか、もうやめた方がいい。」

逆沢「プラズマイオン機能搭載とか、訳の分からない付加価値もいらんわ。人を不安に陥れて高く売りつけるような、悪徳宗教まがいの商売ももうやめろと。聞いてるか、健康食品業界。汚染土排出名義で公金を大量に抜くクソ役人ども。」

鼎「みんながやってるからと言って無理する人もいるけど、当たり前扱いになったら、もうそれは付加価値じゃないし、有り難みもないよね。当たり前という言葉で納得したり取り込まれるのではなく、必要のないものは必要ないと、割に合わないものは割に合わないとはっきりと言うべきだよね。」

愛原「もっともこの考え方は、付加価値神話を今なお広めようとしている新自由主義の経営者達には響かないだろう。彼らは競争して、競争させてナンボと思ってるからな。」

逆沢「必要の無い競争に付き合わされて、鞭を打たれ続ける側はたまらんわ。鞭を打ちまくる方はどうって事ないんだろうけど。」

鼎「封建時代の戦争と同じだよね。貴族達の見栄や野望や功名心で勝手に戦を巻き起こして、それで一番被害を受けるのは民衆みたいな。」

愛原「特に国内紛争の場合、その傾向も強いよな。別に織田家が天下を取ったからと言って尾張の住民の生活が良くなる訳でもないし、支配者が地元国人であろうが、武田家に変わろうが、織田家が占領しようが、北条家や徳川家が統治しようが、そこに住む民衆の生活に極端な差が出たりしないし、民衆にとっては本当に巻き込まれるだけのいい迷惑だ。」

逆沢「新国立競技場のひどい有様みてると、そこで働いている者とか、そこで使われている材料とか、そういう部分にはとことん無頓着で、権力者の見栄だけが優先されてるような気がするわ。【安倍ちゃんに恥をかかせるなよ。だから絶対に納期に間に合わせろよ。他国のVIP達をうならせるような超高級なハコモノを完成させろよ】みたいな。」

愛原「これも発想の転換が必要だろうな。逆を言えば、上に立つ者が恥をかいたら、下の者は救われるのだから。」

逆沢「はじめから変な見栄を張らずに、必要最低限の改修とか、建て直すにしてもコンパクトというコンセプトを維持してオーソドックスなものに留めてたら、こんなひどい状態にならなかっただろうにねー。」

鼎「見栄が駄目にした典型だよね。私達庶民でも、見栄を張りすぎて身の程をわきまえないような高い買い物をし続けたら、破産の道が待ってるようなもので。」

逆沢「見栄を張って必要の無い高品質にこだわるから、裏で偽装や手抜きをせざるを得なくなる。本当はそういう悪循環を断ち切るべきなんだろうけど、日本のマスコミもそういう見栄の維持に加担してか、、あくまで大本営発表にこだわって、日本の美しい部分だけを見せようとする。ピョンヤンの美しい町並みの部分しか映さない北朝鮮の国営放送と本当に大差ないと思うわ。政府も日銀や年金動員して株価をごまかし続けるし、どいつもこいつも見栄っ張り過ぎるというか。」

鼎「子供の頃から、本当は皆が皆、休日を返上してまでやりたい訳でもないだろうに、それでも見栄を張って部活に励み続けて、顧問の先生も内心で悲鳴をあげながら、表向きは嫌な素振りも見せずに、理想のセンセイを演じ続けて。大人になったら、これまた嫌な素振りも見せずにサービス残業やるようになったりもして。一億総見栄っ張り状態に陥ってるかも知れないよね。」

愛原「みんなが見栄を張った結果、定刻通りに着く電車。時間指定サービスもある宅配便。不必要なまでに精密な部品の数々。色んなものが出来た。しかしその一方で、昔よりも脆弱で壊れやすい製品。安全基準を満たさない製品。偽装された製品。人を人とも思わない非人道的な人材の扱い。その他違法なもろもろなど、多くの副作用も生んだ。」

鼎「見栄というのは背伸びでもあるから、無理をすればするほど、地に足が着く部分が少なくなって、倒れる危険が高くなるよね。」

愛原「適度の見栄は、自身に自信と優越感を与え、幸福にもするが、過度の見栄は自身を疲労させ、やがて破綻も招く。特にハゲを隠す為にカツラをつけるような真似をすると、人前でカツラを外す事が出来なくなって、カミングアウトする勇気を持てない限り、一生人前でカツラをつけて、見栄を張り続けなくてはならなくなるリスクも背負う事になるからな。」

逆沢「一度、偽装や手抜きに手を汚すと、なかなかその状態から抜け出せなくなると言う事ね。」

愛原「偽装や手抜きをした時は、今回だけとか、経営が上向いたらやめるとか、思うんだ。しかし実際には、外国産のウナギを日本産と偽ってボロ儲けするような真似をしてしまうと、味を占めてもう戻れなくなる。だったら始めから、無理して見栄を張らないのが一番いい。また世間も、そういう寛容性を持つべきだ。ハゲを馬鹿にする奴が出るから、カツラでごまかす者も出てしまうように。」

鼎「過酷な労働環境から逃げ出そうとする者を軟弱となじったり、そこそこの水準で満足する者を向上心がないとなじったり、過剰なサービスを断る店員や職員らに対して態度が悪いとなじったり。そういう風潮も、もうやめるべきだよね。」

愛原「安いなら安いなり。そんな当たり前の事を忘れて、高品質を要求したり、競争心を煽るから、裏で手抜きや偽装やルール違反が発生する。また過剰な見栄を張ったり、見栄っ張りが上に立つと、これも不幸な結果を招く。出来ないことは出来ない。割の合わない事は割に合わない。不要な付加価値なんかに振りまわされるべきでない。そうはっきり言える世の中になって欲しいし、そう言える勇気ある者をなじらない社会であって欲しいと思う。」














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