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愛原様のたわごと(16年6月12日)




逆沢「なんか最近、また安倍首相が【(選挙後に)アベノミクスをさらに加速させる!】とか言ってるらしいけど、これ、前の選挙でも言ってなかったか?」

愛原「そういう前振りは大体俺の役目で、お前が言い出すと変な感じだな。」

逆沢「いや、小難しい政治のことなんかはあまり関わりたくないんだけど、なんか引っかかったというか、【これ、国民馬鹿にされてるんじゃね?】とか感じたから。消費税延期もそうだけど、同じ手を2回連続で使うって、いくらなんでも大胆過ぎんだろ?」

鼎「でも前回は結局、選挙後に加速したのは安保改正の方で、経済対策はそっちのけで、気がついたら大逆流しちゃってた感じだけど。」

逆沢「大体、アベノミクスがいつでも加速できる質のものなら、選挙後なんて言わずに今からでもさっさと始めろよとも思うし、安保改正とか、散々寄り道ばかりして、あげくサミットでもリーマンショック直前の状況にそっくりとか散々危機感を煽っておきながら、選挙後まで加速を先送りする時間的余裕をみせるあたり、色々おかしすぎるんだけど。」

愛原「まぁ世界経済なんて、アメリカでも中国でも決して思い通りにできないものだし、それを自分のさじ加減次第でいつでも加速し放題と考えているとしたら、色々おかしいわな。前回、経済ネタで散々煽って議席を取っておきながら、その議席と時間を安保法案の成立のために使った経緯からしても、今回も、また同様の事を考えているんだろうと推測したくなる気持ちくらいは分かる。」

鼎「今回、真の争点は、憲法改正になるのではないかとも言われてるけど。」

愛原「かつての郵政民営化万能論を思い起こすような話も、政界などからちらほら出ているようだな。【憲法改正で自衛隊を合法にしよう】くらいならまだ分かりやすくもないが、【いきすぎた人権に歯止めをかけよう】とか【日本の伝統をより重んじるような内容に書き換えて、日本人の道徳心を取り戻そう】とか【憲法改正すれば、大震災のような有事が起きても迅速に対応できる】とか、麻生太郎に到っては【参議院の合区を見直すためには、憲法を改正するしかない】みたいな趣旨の発言までしてたからな。」

逆沢「意味わからね〜。 郵政民営化にしろ、アベノミクスにしろ、最近はなんでもかんでも万能論化が最近は流行ってるのか?」

鼎「でも万能って、すごく憧れるというか、多くの人にとって夢そのものだよね。郵政民営化でも、【郵政民営化が成功したら、年金問題も財政問題も地方経済も安全保障も全て解決】みたいな万能論でアピールしたら、結構宣伝効果もあったみたいだし。」

逆沢「冷静に考えたら、おかしすぎるだろ?! 郵便局が国営をやめたら年金問題から外交問題まで一挙に解決するとか、普通に考えてあり得なすぎるだろ?」

鼎「冷静に考えたらあり得なくとも、それでも人を引きつけてやまないのが、万能の魅力のような気がするよ。だから【私を信じてついてくれば絶対に幸せになれます】みたいな事を吹聴して成り上がっていく独裁者や教祖とかも無くならないし、【(諸問題を解決する万能な解決方法は)この道しかない】と説いて、国民を奈落の底に誘導する指導者を熱烈に支持する人達も決して無くならないというか。」

愛原「RPGなどでも万能属性の武器や防具があると、すごく使い勝手がいいからな。物理攻撃に強くとも魔法攻撃に弱いとか、火属性には強いけど水属性には弱いとか、近距離戦には強いけど遠距離戦には不向きとか、アンデッド退治に絶大な効果を発揮するけど普通の敵にはまるで無力とか、そういうアイテムや魔法などは、状況を限定させたり、必要に応じて装備の入れ替えをいちいち余儀なくされたりして、なかなかに面倒くさい。」

逆沢「けど逆をいえば、それが楽しいんだけどね。選ぶ楽しみというか、悩む楽しみというか、頭を使って有利な展開を作れる楽しみというか。【これ一つで全ての問題が解決します!】みたいな最強の武器や防具を登場させてしまうと、そのアイテムを手に入れた時点で、他のアイテムの存在価値が消滅してしまうというか、あとはレベルを上げるだけの単調パワープレイ化して、楽しみの半分以上が奪われかねないから。」

鼎「けど現実世界では、悩む楽しみよりも悩まずに済む安心感の方がはるかに大事だから、万能という言葉の響きに、どうしても多くの人が惑わされてしまうような気がするかも。だって誰だって、確実に勝てる方法とか、確実に幸せになれる方法とか、そういうのが本当に実在するなら、絶対に知りたいと思うはずだから。」

逆沢「で、同じ手に何度でも引っかかる被害者が後を絶たないと。」

愛原「詐欺商法に引っかかるタイプは何度引っかかっても学習しないから、そういう被害者をリスト化したものも裏で出回っているらしいしな。」

逆沢「けど一国の総理までが、そういう詐欺師的手法を使ったらいかんだろ。つうかマジで国民馬鹿にされすぎだろ。」

愛原「野党があれだけ頼りないんだから、普通に誠実に選挙に臨んだ方が俺的には好印象と思うんだが、誠実さをアピールするよりも、詐欺的アピールやライバルに対するネガキャンといった印象操作で騙す方法のが、選挙に有利と踏んだのかも知れんな。ちなみにこの万能論を盾にした詐欺的アピールは与党サイドだけでなく、野党サイドも割りと好む。【悪(与党)を倒せば、日本は良くなる】的な。」

逆沢「現民進党の常套アピール手段ね。今の与党政権より日本をよくする対案や具体案は特にないけど、今の政権を倒せばとりあえずこの国は良くなりますよみたいな。」

鼎「今の与野党対決は、万能論対万能論の対決構造って事かな? 与党は与党で【俺達を支持すれば、郵政民営化なりアベノミクスなり憲法改正なりで、日本は良くなるぞ】と万能ぶりをアピールし、野党は野党で【悪(の自民党&公明党)を倒せば、日本は良くなるぞ】みたいな万能論で対抗するみたいな。」

逆沢「与党の万能論の胡散臭さも半端ないけど、野党の万能論もいかにも少年漫画的過ぎる感じがあるわ。悪の大魔王をたおせばそれだけで世界が良くなる訳でもなかろうに。」

鼎「どっちも中身のない万能論で本質を隠しているとすれば、私達は何を基準に善し悪しを判断すればいいのかな?」

愛原「双方の本音の部分を基準に、是非を判断するしかないと思う。与党の場合は、前回は安保法案、今回は憲法改正だろう。野党の場合は、当面目標としてはそれらの阻止。基本的には現状維持が狙いと思われる。」

鼎「【悪の大魔王を倒せば世界が良くなる】的指導者は、大体変革を拒み、現状維持を望む傾向が強そうだよね。」

愛原「ファンタジーの場合はな。リアルの場合は、故意に外敵を作って国民をあおる事で、国内にある当面の難題から目をそらさせる為に使われる事も多い。自分達にとって都合の悪い不祥事から目をそらせる為にとか、自分達に都合のいい私利私欲に満ちた法案をこっそり通す為に、別の目玉を作って目をそらさせたりなど。」

逆沢「とすると舛添東京都知事に対するバッシングが派手に行われてるのも、何かから目をそらせる為なのかねー?」

愛原「さぁな? まぁ俺としては、総額合わせても300万円台くらいの舛添知事よりも、総額1千万円を超えるガソリン代を計上していた安倍総理や菅官房長官の追及の方が先だろとは思うけども。」

逆沢「あー、民進党の誰かが総額200万円(約地球5週分らしい?)ほどのガソリン代計上してたのが発覚して、その時はテレビなどでもニュースにされてたけど、実は安倍総理や菅義偉の方がはるかに悪質な事をやってたのが発覚すると、いきなりダマリモードになってたわね。」

鼎「タックスヘイブンやオリンピック賄賂疑惑もそうだけど、特定の人にとって都合の悪い情報だけがシャットアウトされるとか、国民の目をそらせる為に別の話題で無理矢理盛り上げるとか、この国の報道はどうなっているのか?とすごく不安になっちゃうよ。」

愛原「ま、報道の自由度ランキングでも日本は先進国中最低に近いランクだしな。日本人は中国や北朝鮮の報道規制をよく非難するが、まともな国からみれば五十歩百歩。目くそが鼻くそを笑って優越感と安心感に浸って満足しているレベルでしかない。いや、中国人は自分の国の報道規制がむごい事を誰でも知っているが、日本人にはその自覚があまりない分だけ、よりタチが悪いかも知れない。」

逆沢「まともな国の人からみれば、どちらも落第点である事に変わりは無いけど、10点の中国人が危機感を持っているのに対し、15点の日本人はまだ下がいる事に安心して、見下して満足して自己完結しちゃってるみたいな図式ね。」

鼎「私達は、政府関係者やメディアが仕組んだ印象操作に振りまわされる事なく、彼らが隠そうとしている都合の悪い情報にこそ、積極的に目を向けるべきかも知れないね。」

逆沢「都合の悪い情報なんてものは、誰も知りたくないし、知られたくもないけど、ガンに侵されているのに、それに気付かないふりをして、手遅れになるのはもっと愚かだからねー。たとえ不愉快な情報でも、それを受けとめる勇気ってのは必要だと思うわ。」

愛原「という訳で、そろそろ今回のテーマに移ろう。今回は次回の選挙にもきっと役立つであろうし、ファンタジー作品のネタ作りにも役立つだろう、極めて実用的なネタ。すなわち【有事法制(緊急事態における法のあり方)】だ。」

逆沢「役に立つかも知れないけど、何となく難しそうな話ねー。」

愛原「んな事ない。ぶっちゃけていえば【緊急事態である事を理由に、どの程度まで好き放題する事が許されるか?】というテーマについて取り上げるだけだ。」

逆沢「あー、それなら分かりやすい。」

鼎「でも安倍総理が考えている有事法制は、好き放題の概念が両極端になってるよね。時の首相(or各権限者)の権限を強めて、従来の法の枠組みに縛られる事なく自由かつ迅速に行動できる事を目的にしている点では、権限者が好き放題しやすくなる方向性になっているけど、同時に国民の基本的人権や行動の自由を強く制限する内容になっている点では、国民にとっては従来の法で保証された自由をより狭められた形になる訳だから、むしろ自由度という点で逆に働いているというか。」

逆沢「つまりこういう事ね。【俺達権限者はより自由になるけど、お前達下民はその分だけより不自由になるぞ】と。」

愛原「ま、単純に言えば、権力者が下民をより言いなりにできる権利を拡充したいという話だな。権限者に対する権利の集中を図るのが狙いというか。」

逆沢「怖い話ねー。それって北朝鮮化のようなものじゃないの?」

愛原「けど北朝鮮化は、ある意味、当時の北朝鮮の民が望んだ事でもあったからな。万能な金日成主席のいうことを聞いてたら絶対に幸せになれると信じた支持者が、彼に権限を集中させた結果というか。ま、独裁者にしろ悪徳宗教にしろ、彼らは自らの万能性をアピールし、全権委任に近い権限を掌握し、組織(あるいは国)を思い通りにする事を好む。組織員も自分の頭で考えるよりは、万能で偉大な彼の言いなりになってた方が間違いないと信じているから、盲目に彼についていく。しかし実際に、彼が万能であったり善良であるかは別の問題であり、判断を間違えると組織は恐ろしい方向に向かう可能性が高い。」

鼎「確かに誰かに権限を集中させれば、それだけスピーディーに物事は動くかも知れないけど、それは時速40kmで走るべき道を時速80kmで走るようなものだから、権限者のハンドルさばきがまずいと、あっという間に大事故になりやすいリスクもあるよね。」

愛原「もっとも古代においては、常にそういう形の法ばかりだったんだけどな。法の歴史自体は古く、ソクラテスや孔子の時代以前にまでさかのぼる。しかし当時の法は、時の権力者が自分の都合で自由で作っていいものでしかなく、当然ながら法は権力者の都合で常にねじ曲げられ、時に踏みにじられもしてきた。」

鼎「そんな旧来の法のあり方を根本的に変えたのが、中世に登場した憲法という概念だよね。」

愛原「そう。憲法。及び立憲主義。その概念が登場する事により、法は権力者より上の立場に立つ事になる。かつては権力者が法を勝手に作ってたが、憲法及び立憲主義の登場により、王族といえども法に背けば処罰されるような世の中に変わったのだ。」

逆沢「今回のテーマが【緊急事態なら法を破っても良いか?】という内容のものとするなら、立憲主義の根幹にも関わるテーマでもあるという事ね。法を破ってもいいという法を作ってしまったら、その時点で憲法や立憲主義の意義自体が無くなってしまうから。」

鼎「でも【○○なら法を破っても良いか?】というテーマは、【悪法も法なり】という言葉で有名なソクラテスさんの時代から、ずっと議論され続けてきた深いテーマでもあるよね。」

愛原「ちなみに安倍首相も、ソクラテスとはまた違った意味で、独特の憲法観を持っているようだ。2014年の2月に憲法について国会質問を受けた際に安倍首相は、【国家権力を縛るものだという考え方があるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ】と答弁し、王族や国家権力ですら法に背けば処罰されるという従来の憲法観を、時代遅れと言わんばかりに否定した。後の緊急事態法制に関する発言も合わせて考えるに、安倍首相としては【なんで権力者までが、法に縛られなくちゃならないんだ。そんなのおかしいだろ?】と考えており、それを見直したい意思が憲法改正意欲と深く関わっているような印象を受ける。」

逆沢「つまり安倍は、【法律とは権力者が非権力者に一方的に課すルールに過ぎない】という古代の法律観念の支持者という事か? だから権力者は法律を必要に応じて無視できる一方で、国民に対しては従来の法で認められていた人権などの権利すら必要に応じて強く制限されるべきと考えていると。」

愛原「安倍個人に限らず、同様の思想を持つ者は割といる。彼らは東日本大震災の時などを例に出し、【もしも緊急事態法制があったなら、救急車や支援物資車の通行を最優先にして、通常の車両をより制限する事で、よりスピーディーに支援ができたはずだ】とも主張している。憲法が悪いせいで一般車両が邪魔になって、ガソリンスタンドや高速道路などでの渋滞に巻き込まれて、支援がはかどらなかったともな。」

逆沢「でも、それってよく考えたら、いろいろおかしくね? 大体、救急車両の優先通行などは元から法で認められているし、支援物資車両に対する高速道路無料化なども法で認められたし、従来の法で何とかなると思うけど。」

愛原「彼らの主張はそんなレベルじゃない。【もしも緊急事態法制があれば、議会の承認など面倒くさい作業も必要なく、首相や知事が一声発すれば、即時に通常車両を制限できるようになる。大して用もないのに一般人がガソリンスタンドなどに立ち寄って、緊急車両の給油などを遅らせた連中に対して、緊急事態である事を盾に懲役3年でも課してやれば、みんなびびるだろ。緊急事態なんだから、裁判のような面倒な作業も必要ない。抵抗するなら緊急事態なんだからその場で逮捕しちまえばいい。そもそもそんな法を一方的に発布したところで、車中泊していたりして、気付かない人もいるだろって。緊急事態なんだから、地道に広報している暇もないのは当たり前だろ。車中泊してたから、そんな新ルール知らなかったなんて言い訳は通用しない。緊急事態なんだから】みたいな主張すらあるからな。」

逆沢「緊急事態を理由にすれば、どんな理不尽も非道もまかり通るとか、あまりにも怖すぎるだろ。」

愛原「まぁ国際法でも【緊急避難】という概念自体は広く認められているから、彼らの主張全体が荒唐無稽というわけではないのだけどな。緊急避難・・・たとえば正当防衛などが代表的な例だが、通常なら人を傷つけたら殺人罪・傷害罪・暴行罪などで処罰の対象になるが、自分の身を守るためにやむを得ない事情があると判断されれば、本来、違法とされる行いをしても許されるという例外はある。」

逆沢「うーん。緊急事態法制もその一環として考えれば、許される余地はあるって事か?」

愛原「但し、正当防衛を理由にすれば何でもかんでも無罪になる訳ではない事くらいは分かるわな。過剰防衛で罪に問われる事もあるし、正当防衛の名をかたるイチャモンも多い。しつけや教育の名をかたる一方的虐待と同じで、正当防衛を主張すれば何でもかんでも無罪になると思ったら大間違いだ。」

逆沢「舛添知事は、道義的に問題的でも、法的にセーフならOKって立場みたいだけどね♪」

愛原「その【法的にセーフなら、道義的におかしくてもOK】という部分が、緊急事態では無限に拡大解釈される懸念がある。緊急事態の名の元に行われた無道が、後で処罰の対象とされない懸念がな。」

鼎「つまり緊急事態の名の元に外国人を皆殺しにする法が通ったとして、後でその理不尽が追及されても、それを過剰防衛や誤認などの名で首相や知事を罰する事は出来ない可能性があるって事かな? 大量破壊兵器を保有している疑いで戦争という名の大量殺戮を指示しておきながら、後でそれが誤りと判明しても罰を受けなかったブッシュ前大統領のように。」

愛原「懸念はつきまとう。実際にハンセン病患者に対する扱いとかみても、裁判所が当時の違法性や理不尽さを認めても、当時、その理不尽に加担した人達を処罰するような流れにはならなかったように・・・。緊急事態の名の元にその場のノリで無茶な法を作った者が後に処罰されるルールが併用されない限り、緊急事態法制には、大きな危険性がつきまとうと言わざるを得ない。」

鼎「結局の所、緊急事態法制を制定する事によるメリットは、スピードだけって事かな?」

愛原「まぁ、そうかも知れんな。といっても、従来の立法のスピードが遅すぎる訳じゃ無いぞ。実際、ドローン規制に関する法律なんか、あっという間にできただろ?」

逆沢「あー、首相官邸にドローンが落ちて話題になったと思ったら、あっという間にドローンの飛行区域とかを制限する法律ができた印象もあるわ。細かい部分も含めた正式な規制法自体はそこそこ成立まで時間がかかった印象もあるけど、当面という意味では、業務妨害罪なども併用してそれこそあっという間に整備されてしまった感があるというか。」

愛原「国会でも県会でもそうだが、年間トータルでいえば、何百という法案が電撃的速度で通過してる。なんでも反対の異名を取る共産党にしても、実はかなりの法案で賛成に協力していたりもするからな。争点となるであろう一部の法案に関してのみ、何ヶ月も採決まで引き延ばされたりするが、実際は【中身精査してんのか?】とツッコミ入れたくなるくらい、それこそ機械的にハンコを押すようなペースで、次々と通過する法案もあるのが実情だ。何ヶ月ももめるのはそれだけもめやすい法案だからであって、そうでないなら緊急事態法制なんてものに頼らなくとも、必要な法案はすぐにでも通る。実際、東日本大震災にしろ熊本自身にしろ、与野党が激しく対立して審議が遅れたせいで、支援が遅れたなんて話は聞かないだろ?」

逆沢「よくよく考えたら、野党が反発して必要な法案が通らなかったせいで支援が遅れたなんて話は、ほとんど聞かないわね。与党の対応が悪くて支援が遅れたとか非難する野党は恒例だけど、それは時の政権の対応のまずさ(or可能な限り全力を尽くしているにも関わらず、与党の揚げ足を取りたいから、自分達ならもっと上手くやったといわんばかりに【対応が遅い!】と非難し続けるケースも多い)が原因であって、審議速度とは関係ないから。」

鼎「つまりその気になれば、現行法でもスピードはいくらでも出せるって事かな?」

愛原「やる気さえあればな。但し、安保法案通過後の安倍政権が、通常なら開かれるはずの臨時国会を開かなかったように、時の政権にやる気が無ければスピードはどんどん遅れる。【選挙後に加速させる】なんてのんきなことを言ってるようだと、なお遅れる。他の反発必至な法案(安保法案や憲法改正など)を優先したりしてると、さらに際限なく遅れる。」

逆沢「というか、わざと遅らせてるんじゃね? 早くやると中身がない事も早くばれかねないとか、今までのやり方だと遅いと印象づける事で緊急事態法制があれば早く問題が解決されて良くなると錯覚させる狙いもあったりとか。」

鼎「やる気さえあればすぐにでも解決できるはずの問題が、本人達の怠慢でいつまでも解決に向かわないとしたら残念だよね。議員定数問題とか選挙制度改革とかみると、故意に遅らせているようにしか感じないし。政党助成金制度導入と引き替えに約束された企業献金廃止の約束などに到っては、もう何十年も先送りされている有様だし。」

逆沢「安保法案なんかより、選挙制度改革とか景気対策とか、他に優先すべき課題は山積みなのに、安倍の頭は色々おかしすぎるわ。」

鼎「私が野党の党首なら、首相に優先順位をはっきりさせるよう要求するかな? 景気が回復するまで消費増税を先送りするなら、消費増税や選挙制度改革が実行されるまでは憲法改正も見送るとか。そう約束でもしてもらわないと、先にやるべき問題がどんどん後回しにされて、安倍さんのやりたい事ばかり優先されかねないから。」

愛原「そうだな。安倍首相の立場からみれば、景気や選挙改革なんてのは本当は真面目にやりたくなくて(だから安保法案が通過した後は、恒例の臨時国会すら開かなかった)、その一方で安保法案に関しては会期延長ルールや衆院再可決ルールを駆使してでも絶対通過させるぞという意思が明らかだった。そしてそんな安倍首相からすれば、最優先で通過させなければならない安保法案の審議がなかなか前に進まず、与党の足を引っ張る事しか頭にない野党に足を引っ張られる現状に、苛立ちを感じた事は容易に想像できる。故にだからこそ、野党の反発などに足を引っ張られる事もなく、自分の独断で好き放題ができる方向への憲法改正には、強い魅力を感じているようにも推測できる。」

逆沢「気持ちは分かるけど、それって、スターリンやポルポトと同じ路線だろ? 反発する奴に足を引っ張られるのが嫌だから、独裁政治が可能な状態にして、好き放題やろうってのは。」

鼎「普通に好き放題やりたいとかいうと、反発もすごいだろうけど、緊急事態を理由にすれば、もっともらしく聞こえるというのもあるのかな? 本当に必要なのは、緊急事態という理由で好き放題できる法ではなくて、緊急事態になっても対応できる法律を平時からあらかじめ整備しておく方だと思うけど。」

愛原「まさしくそうだよな。大震災が起きてから、大震災用の法をあわてて作るのではなく、大震災になったらこうしますみたいな法をあらかじめ用意しておいた方が、いざという時に慌てずに済むメリットもあるだろう。」

逆沢「あらかじめ震災に備えて備蓄しておくとか、原発事故に備えて避難計画や復興計画をあらかじめ整備しておくみたいな考え方ね。」

鼎「川内原発とかは、結局、いざという時の避難計画もできてないまま、再稼働しちゃったみたいだけど、事故が起こったら、その時になって考えたらいいという考え方の方が、余程無責任だと思うよ。」

愛原「事件や事故が起こってから考えても、せいぜい思いつきの対処療法にしかならない例も多いからな。東日本大震災の時に、救援物資運搬車両の高速道路料金を減免するルールも施行されたが、あれもつぎはぎだったから、そのルールを悪用して高速道路料金をごまかすトラックなども大量に出たらしいし。」

鼎「でもあれは、初めての試みだったから、うまく行かなくとも仕方なかったような気もするよ。課題は課題で今後に見直していけばいいような気もするし。」

逆沢「阪神大震災の時の教訓が東日本大震災の時に役立ってるように、教訓は教訓で役立てれば、その場のノリだけで運用する緊急事態法よりも余程役立つような気もするわ。」

愛原「実際、人間は神様じゃないから、いざ有事が起きた時に、最善の策を考案できるとは限らないからな。たとえば2009年に兵庫県佐用町で大水害が起きたが、この時、町は避難命令を出し、結果的には避難命令に従って外に出た人だけが水に流されて20人以上の死者と行方不明者を出した。結果論で言えば、できるだけ家の中に閉じこもっていた方が正解だったんだが、その正しい判断を誰でもできると思ったら大間違いだ。」

鼎「総理大臣なり知事なり市長町長なりが、良かれと思って出した判断が必ずしも正解という保証はないって事かな?」

逆沢「つうか時の政権のトップの判断が常に正しいなら、日本は太平洋戦争なんかしなかっただろうし、アベノミクスも既に成功させて消費税増税も再撤回しなかったと思うわ。」

愛原「津波てんでんこではないが、人は時として自己判断を余儀なくされる事もある。実際、自己責任で行動して失敗しておぼれ死んだなら仕方ない部分もあるが、有事法制の名の元に、国の支配者から間違った命令を強制されたあげく、ひどい目に遭ったら悔やんでも悔やみきれないからな。」

逆沢「しかも連中は、責任を取らないからねー。アベノミクスで物価2%上昇を2年で達成できなかったら辞めると言ってた人も、未だに辞めないし。いくら責任を取らないのがエリート日本人の特徴といっても、ちょっとひどすぎると思うわ。」

鼎「特に安倍さんは、第一次政権の時に参院選挙で過半数の議席を奪われる大敗をしても辞めなかった割りに、下痢で体調悪化した途端に前触れなく投げ出すなど、周囲にどれだけ迷惑をかけたり失敗の烙印を押されても責任を取らないけど、自分の体調の為なら国事も平気で投げ出して無責任にもなれるなど、自分第一主義が前面に出すぎているのが欠点だと思うよ。サミットでも世界情勢などガン無視で、自分の選挙対策だけの為にリーマンショックを持ち出したあげく失笑を買うなど、自分の都合だけで世界すら振りまわす自分第一主義ぶりが残念というか。自分第一主義だから絶対に失敗も認めないし、自分を褒めて、自分を非難する相手をけなす事しかできないし。」

逆沢「G7サミットの共同宣言らしきものも全く記憶無いし、オバマの広島訪問はG7サミットとはまた別だから、そう考えると、今年のサミットの意義がさっぱり分からんわ。マスコミもG7の総括もせずに、広島訪問で話題そらしを図ってるがごとく、サミットの顛末には全く触れない有様だったし。他国のマスコミは安倍のリーマンショック発言などを少なからずニュースにしてたらしいけど、ホスト国の日本が一番テレビなどでそれを取り上げないあたり、やはりこの国の報道は色々歪んでるとしか思えないわ。」

鼎「緊急事態に際して特定の権限者に権力を集中させる事が可能になるとしたら、少なくともその人が公正である事が最低条件になるよね。私利私欲に満ちた人が全権を握ろうものなら、有事の混乱に乗じて、自分の都合の良いように好き放題したり、それでいて失敗も認めず自画自賛ばかりして、あげくの果てに自分にとって都合の悪い人を排除しようとも画策するだろうから。」

愛原「公共心のある清廉な人間でも、有事の際に正しい判断ができる保証はないのに、私利私欲に満ちた人間が権力側にたとうものなら、組織にとって不幸な結末しかならないであろう。まして今の日本は、数年前に約束した選挙制度改革どころか、数十年前に約束した企業献金廃止にすら取り組む意欲がないなど、腐敗ぶりが目に余る。そんな腐敗しきった連中に、有事に際して清廉な判断を期待できるだろうかという根本的な疑問もある。」

逆沢「とするとやはり無難なのは、緊急時に権力者が好き放題できるようなシステムではなく、緊急時に対しても冷静に対応できるように事前に法整備しておく方という事になるのかな?」

愛原「福島原発事故にしても、第一次安倍政権の頃の時点で、そのリスクが既に議論されていたわけだから、この時、安倍が真面目に耳を傾けていれば、もしかしたら事故自体が回避できていた可能性もある。」

逆沢「他人に批判される事を嫌い、自画自賛する事しか頭にない安倍総理には、そんな忠告は無意味だろうけどね。妙な万能感があるのか、有事に備えて法整備する事には無関心過ぎる割りに、有事の際に好き放題できる自由度ばかりを優先する傾向は、安保法案の中身みても丸わかりだし。」

鼎「安保法案も、中身を見たら、自衛隊や時の政権の自由度が広まっただけで、具体的に何をするとか、何をしてはいけないとか、そういう部分はほとんど白紙のままなんだよね。自由や権利と対になる責任の部分に対しても全く触れられていないし。正当防衛ですら、それが本当に正当と言えるかどうかが大事なポイントになってて、正当と言えないと判断されれば罰せられるルールになっているのに、その部分が抜け落ちてる安保法案なんてザル法でしかないよ。」

逆沢「政治資金規正法と一緒ね。周囲から非常識とか不適切と判断されても本人が政治目的と言い張る限りはセーフになるルールというあたり。正当防衛なら、本人がどれだけ正当防衛と言い張っても、それが社会常識と照らし合わせて不適切と判断されればアウトになるのに、訳分からんわ。」

愛原「自由度だけ高めて、それによる不都合の責任を取らずに済むシステムだと、どうなるかは政治資金規正法一つとっても明らか。車だって、速度制限や重量制限を撤廃したらどうなるかくらい分かるだろう。速度を上げたり、重い荷物を積めば積むほど、ハンドルさばきは難しくなる。ハンドルさばきに失敗して事故を起こした者に対する責任も明確にしないまま、自由度の広がりだけを進めても、社会全体をより危険にさらすだけだ。当人達は速度制限や重量制限を撤廃して自由度が高まるほど、臨機応変に対応しやすくなって便利程度に考えているかも知れないが。」

逆沢「銀英伝のフォーク准将的発想ね。自由度を高める事で【高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応】しやすくしただけというか。」

愛原「要するに、行き当たりばったり、しやすくなるだけの事ですな♪」

逆沢「あははは。根拠のない万能感に覆われた人の発想だとは思うわ。本人はいざとなったら臨機応変に上手く対応できると思い込んでるかも知れないけど、実際は震災だろうが景気だろうが戦争だろうが、行き当たりばったりの適当な対応しかできないケースがほとんどなのに。」

愛原「かつての大日本帝国と同じ発想レベルだな。どんな無茶をやっても許されるレベルの自由と、根拠のない万能感が合わさった結果が、あの末路なんだが。何をやっても許されるから、無茶な作戦もあっさり承認されるし、嘘まみれの大本営発表もまかり通るし、戦後になっても誰も責任も取ろうとせず総括も行われない。緊急事態だから何をやっても許されるみたいな状況で、人間にまともな判断が期待できるとでも思っているのだろうか。」

鼎「上に自由を認めるなら、下にも自由を認めてくれたらいいのに、実際は上が自由になった分、下が不自由になる点が理不尽だよね。」

逆沢「もっとも下に自由を認めたら、略奪や空き巣が多く出かねないという声もあるのは事実だけどね。」

愛原「この辺は、大きな判断の分岐点になるわな。緊急事態が起きた時、我々はどう行動すべきか? 規律主義者ならば、こういう時こそ皆が行政の判断を信じて、行政の指示に従って行動すべきと考える人もいるだろう。逆に自己責任論者なら、【なんでもかんでも政府に頼ろうとするな】と言い、自己責任と自己判断で行動すべきと主張するだろう。」

鼎「でも一部の右翼思想の人は、その両方の悪いところ取りをしてる人もいるよね。【国民はお上の指示に従うべきだけど、お上には国民を面倒をみる義務まではなく最終的には自己責任】みたいな感じで。」

逆沢「ああ、安倍さんタイプならそう考えそうね。下は戦争ゲームに登場する数字上でしか登場しない一兵士のようなものでしかなく、効率よく管理して使い捨てにしていくべき駒でしかないみたいな。だから数字上の駒でしかない一国民が政府の指示に従わないなんて論外だし、一国民の分際で政府に対して対価を求めるのも論外みたいな。」

愛原「ただ震災や戦災といった緊急事態になった時に、人間の本音が色々見えてくるのも事実。たとえば被災者の立場になった時、人々は何を求め、何を望むだろう? ある人は当然の権利であるがごとく、行政に対して支援を求めるだろう。」

逆沢「まぁそれ自体は当然ね。その為に税金払ってる訳だし。中には払っていない人もいるかも知れないけど。」

愛原「一方、行政としては何もしないわけにはいかないから、当面はそれなりに全力は尽くすだろう。しかしこの段階で既に大きな分岐点がある。同じ全力を尽くしても、前準備が出来ているかで、まず大きく結果が異なってくる。たとえば前準備しておく事で、爆発した原発が爆発せずに済んだかも知れない。あるいは同じ爆発していても、あらかじめ避難経路などが決められているのと、何も決められていないとではその後の災厄の程度に歴然とした差が出るだろう。」

鼎「事前対応次第で、結果が大きく変わるって事だよね。少なくともどれだけ【高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応】しようとも、決して追いつかないレベルで差がつくというか。」

逆沢「どれだけ神かがった采配をしようとも、用意できる食糧の量が10倍になったりはしないだろうしね。あらかじめ用意できているかどうかの差を、その場の行き当たりばったりだけで埋められるはずがないというか。戦術だけで戦略をひっくり返すのは容易でないというか。」

愛原「人は緊急事態に遭った時、まず全力を尽くすだけを重視するが、そんなもので埋め合わせられる量などたかが知れているという事だ。そして全力を尽くした結果、全力で間違える事もある。また悪意ある者もいて、下は下で空き巣ドロを企む者もでる一方で、上は上で被災者向け事業費をちょろまかすような輩も多く出る。」

逆沢「あー、東日本大震災の復興事業費の多くが、実は復興と全然違う事業に使われていたなんて記事もあったわね。これもどこから圧力がかかっているのか、そんなには盛り上がらなかったけど。」

鼎「その場のノリで行き当たりばったりで行ったものは、結局練り込みが甘かったり、悪い人に付け込まれやすかったり、色々問題が出やすい気がするよ。」

逆沢「つまり【高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応】しやすいように、権限者に無限の権限を与えるような真似をしても、フォーク准将みたいな人が権限を握っている限りは、事態が悪化する事はあってもその逆はないって事ね。」

愛原「というか、仮に無限の権限を持たせる事で事態が良くなるなら、そもそも憲法や立憲主義という概念自体が世の中に出てこないわな。上に立つ者がやりたい放題できるルールでは世の中が全然良くならないから、上に立つ者でも好き放題出来ないように中世以降、ルールが変えられた訳だし。少なくとも企業献金一つ廃止できない今の日本の権力層に、緊急事態を盾に無限の権限を与えても、悪用する事しか考えないように思う。」

鼎「ただ安倍首相の認識は、むしろ逆なんだよね。安倍首相としては、むしろ憲法をはじめとした各ルールが自分の可能性を大きく制限していると考えていて、行動の自由が束縛されているから、本来の自分の実力を発揮できない。もっと思い通りに国を動かし、国民を自在に操る事が出来れば、もっと良くなるのにと考えてそうというか。」

逆沢「【自分が上手くいかないのは、(自分が間違っているのではなく)世の中が間違っているからだ】的論理は、誰もが一度は通りそうな厨二病的発想だけど、それをいい年こいた一国のトップがこじらせているとすれば、こんな気持ち悪い話はないわ。」

愛原「まぁ立法府は変えるのが仕事だから、俺としては別に世の中を変えたいと思う事自体は構わないんだけど。ただ安倍首相は立法府ではなく行政府の長だからな。」

逆沢「そういや安倍総理。この前、素でそれを間違えてたわね♪」

愛原「まぁくだらない揚げ足取りには興味はないし、総理が仮に本気でこの国をよくしたいと考えているならば、賛同すれども反対する理由はない。但し、【俺に全権を与えてくれればもっと良くなるのに】的発想には賛同できない。仮にスターリンやポルポト並の全権を与えても、良くなる保証なんて全くないというか、必要なのは良くする過程にどれだけ具体性があるかという事だからな。【成長戦略で景気を良くする】でも【選挙後にアベノミクスを加速する】でもなく、どうやって景気を良くするか、その中身の具体性こそが大事なのだ。【全権さえ与えてくれれば、有事が発生したら本気出す】なんてのも【(今までは特に加速しなかったけど)選挙後にアベノミクスを加速する】並の空手形であり、仮に有事に適切な対応をしたいなら、有事になる前から準備が必要であり、有事が起きてから【高度の柔軟性をもって対応する】では間に合わない。避難計画もロクに整備しないまま、原発を再稼働して、何かあったらその時に対応するというのは、兵糧も武器もろくに用意せずに見切りで戦争始めるくらい愚かな事だと言わざるを得ない。」

沢「けど妙な万能感のある人は、【いざとなったら本気出して何とかできる】とマジで思い込みがちだからねー。特に安倍総理は、野党が足を引っ張って思い通りにできないとか、外国経済がアベノミクスの足を引っ張っているとか、(自分は自画自賛できるくらい常に正しくて)他者が全て悪いと思い込む傾向が強いから、余計に深刻なまでの強迫観念でもって、【周りが足を引っ張らなければ俺はもっと上手くやれたはず】とか【だからこそ周りに足を引っ張られないような権力の集中が必要だ】とか【俺が本気を出せる環境さえ整えれば、今までと違ってきっと上手くいくはず】くらいには思ってそうな気もするし。」

鼎「私の常識では、【いざとなったら本気出す】とか【周りが邪魔しなければ上手くいっていた】とか言う人は、どうやっても成功しないイメージなんだけど。」

愛原「具体的な思考方法が出来ない人は、どちらにしろ話にならんわな。小説一本書き上げるにしても、いざとなったらとか、周りがどうこうとか言ってる暇があれば、とりあえずつべこべ言わず【書け!】って感じだし。選挙後に本気出すとか、憲法が悪い、野党が悪い、世界経済が悪いとか、つべこべ言わず、仮に景気を良くする腹案があるなら、さっさとそれを表に出して行動せんかと突っ込みたくもなる。」

逆沢「誰かさんじゃないけど、そもそも腹案自体なかったりして。小説書くにしても、実はネタもプロットも出来上がってないから、最初の一行すら進まないってオチは割とあるでしょ♪」

愛原「ネタもプロットも何もないのに【いざとなったら本気出す】とか言われても、失笑しか出てこんわな。そんな似非小説家みたいな奴にスターリン並の権限を与えたら、自分が上手くいかない責任を常に誰かのせいにして、大粛清祭りが始まる予感しかせんわ。」

鼎「そうやって反対者粛清を繰り返せば、全ての国民がおののいて、いずれは【将軍様万歳】みたいな感じで、全ての人が自分の功績を称えてくれるかもしれないけど、そういう世の中は間違っているよね。」

愛原「緊急事態に対して、事前に準備しようという姿勢は極めて正しい。むしろどんどんやるべきとも言えるだろう。しかしその内容は、事前に備蓄をしたり避難計画や再建計画を建てたりするなどといった具体案に依るべきであり、中身を空っぽにして責任も明確にしないまま、とりあえず【誰かさんに全権を与えますから、お前らそいつの言いなりになれよ】みたいな内容にしてはいけないと考える。かつての日米ガイドラインなども、具体的な中身は空っぽのまま、米軍に○○を自由に使用できる権利を与えますみたいな、権利の拡大だけを認めたひどい内容だったが、ああいうのは論外。成長戦略の中身もないまま、成長戦略で日本は良くなる的説明も、ネタもないのに小説家気取りの連中並に論外。」

鼎「大体、具体案のある人は、無責任な万能論は掲げないよね。たとえば財源がこの程度である以上、できる支出規模もこの程度に限られるみたいな話になるから、どうやっても万能論にはなり得ず、優先順位を決めて取捨選択していくみたいな話になるはずと言うか。逆に優先順位や工程が具体的なら、全体像にも具体性が備わって、計画自体の信頼性も上がりそうだし。」

逆沢「憲法改正にしても同様ね。憲法改正したら日本は良くなるなんて言われても、郵政民営化で日本が良くなる並に、中身が空っぽで信用できないというか。具体的に何条の条文をこう書き換えるとか、そういう部分に触れてもらわないと、良くなるとも悪くなるとも判断がつかないし。」

鼎「憲法は、どんな偉大な王様ですら法を犯せば裁かれるという目的で存在するものだから、その一番重要な部分を骨抜きにされそうなら、それだけは避けたいとは思うけど。」

愛原「しつけを理由にしようが、正当防衛を理由にしようが、社会的通念に背いた不適切な振る舞いをすれば、どんな権力者でも裁かれるというのが本来の立憲主義のあり方だ。しかし残念ながら、政治資金規正法みたいなザル法が幅をきかせ、権力者のさじ加減次第でシロにもクロにも操作できるような、立憲主義の骨抜き化の進行を深刻に懸念する。まして具体的な中身もない者が、子供じみた万能感を抱いて【俺に全権を与えてくれればもっと上手くいくのに】的感覚で、世の中を振りまわされたら最悪だ。」

逆沢「ただ有事になると、庶民も英雄を望みやすくなるからねー。自分が難しい事を考えなくても、その人の導くままについていけば間違いないみたいな英雄の登場を。いや、英雄じゃなくてもいいか? 何かあったらその人の責任にできるような相手でも。自己責任で避難しろと言われたら迷うけど、行政の指示で避難してひどい目に遭ったら行政のせいにできるしみたいな。」

愛原「心理的には行政なり英雄なり独裁者なりの責任にできるかも知れないけど、そいつらは実質的に責任を取らない場合が大半だからなぁ。たとえば我々は、不景気を時の政権のせいにしたりもするけど、心理的には政権の悪口を言ってれば落ち着くかも知れないけど、それで景気が良くなるわけでも無ければ、時の政権が責任を取って賠償したりしてくれるわけでも無いからな。仮に第1次安倍政権の不始末で福島原発が爆発して、故郷を追われるようになったとしても、安倍が何円の賠償をしてくれる訳ではないように。」

鼎「【責任は全て(任命権者である)私にある】とか言ってても、実質的に責任を取った試しはないよね。」

愛原「心の中でスターリンが悪い、ポルポトが悪いと思ってても、それで世の中が変わったりはしないようなものなものだ。有事の際に誰かに全権を預けて運命を任せたくなる気持ちは分からなくもないが、実際には責任をとってくれる保証なんてないのだから、我々にできるのは、胡散臭い奴ははじめから信用しない事しかない。詐欺師に騙されて、詐欺師が悪いと思っても、それで詐欺師がお金を返してくれるはずがないようなものだからな。」

鼎「【いざとなったら私が責任を取るので、全権(全資産)を私に預けて下さい】という人ではなく、中身が大事って事だよね。根拠のない安心感をふりまく人ではなく、ちゃんとした避難計画なり財政再建計画なりを建てられる人こそ大事かな。」

逆沢「いざとなったら本気出すらしい似非小説家よりも、とりあえず書き始めてる小説家の方を、私も信用するわ♪」

愛原「有事に際しても、本当に有用なのは、いざとなったら動くから全権預けてくれみたいな人間ではなく、普段からしっかりと計画して準備もできる人間だ。根拠のない万能感や安心感だけを振りまいて、憲法が悪い、野党が悪い、世界経済が悪い、暖冬が悪い・・・と色々言い訳ばかりする奴は、裏付けのない高配当を謳って資金を集めるだけ集めたあげく、言い訳ばかりして返済を滞らせてドロンする奴並に悪質と言わざるを得ないし、そういうのに何度も続けて騙されるようなカモリスト側の人間にはなりたくないようにも思う。」

逆沢「ただ与野党共に詐欺師だったらどうすんの?」

愛原「仮に衆参同時選挙になった場合は、衆院選挙区は政権を握って欲しい政党の候補に、参院と衆院比例区は政権政党にどの程度の力を持たせたいかで判断すればいい。政権政党に強い独裁的権限を持たせたければ衆参全て勝って欲しい政党に。政権政党ではあって欲しいけど、あまり強すぎて好き放題されても困るというなら、参院と比例区はそれ以外の政党に。同時選挙にならない場合は、自公の安定政権である事自体は不変なので、その自公政権にどの程度のパワーを持たせたいかで選ぶ。あと憲法改正に前向きなら、自民か公明か維新あたり。そうでないなら民進か共産。弱すぎる政党だと、比例でも死票になる可能性があるから個人的にはオススメしない。あと投票に行かないとか白票という手段もあるが、これは組織票の間接的支援と同義なので、消極的な公明党支持というパターン以外はやはりオススメできない。」

逆沢「おいおい。思いっきり与野党とも詐欺師政党前提の話っぷりじゃねえか?」

愛原「万能論振りかざしたり、上手くいかないのを誰かのせいにしたり、相手の悪口ばかり言ったり、自画自賛ばかりするような連中をどう信用しろっちゅうねん。」






















過去のたわごと 
      5月29日 悪のセレブサロン 
2016年 5月15日 成功者が成功後にやりたいと思うこと 5月1日 ゲーム世界とリアル世界の違い
4月18日 過去に戻ってやり直すということ 4月3日 八百長 
3月20日 異邦人(外国人労働者) 3月6日 陣形
2月21日 功績泥棒 2月7日 三国志13をプレイ
1月24日 裏切り者 1月10日 善政家
2015年 12月27日 精神〜命よりも大切なもの 12月6日 独立戦争 
11月23日 ジャーナリスト 11月8日 精神力 
10月25日 優しい指導者  10月11日 助けを求める人たち 
9月27日 兵站 9月13日 善玉が起こした悪事や不祥事
8月30日 カイゼン 8月14日 盗作・ゴースト
8月2日 表稼業 7月20日 正論を用いない説得工作
7月5日 ディストピア 6月21日 財政破綻
6月7日 防諜 5月24日 サイコパス
5月10日 戦犯 4月26日 ハト派とタカ派
4月12日 不遇な先駆者 3月29日 プロギャンブラー(バクチで生計を立てる人)
3月15日 世界の管理者という名のラスボス 3月3日 命令コマンド
2月15日 攻略本・攻略サイト 2月1日 お遊びコマンド
1月18日 精神異常状態 1月4日 NPCの選択判断ルーチン
2014年 12月14日 男女キャラクターの比率 11月30日 不安と安心の役割
11月16日 現実主義者の正体 11月3日 アイテムゲット
10月19日 真相にたどり着けない者 10月5日 挫折
9月14日 嫌いだけど素晴らしい人達 9月7日 売れている作品と面白い作品の違い
8月24日 援軍 8月3日 ブラゲとパケゲ
7月20日 根性論と科学的知見に基づいた肉体改造 7月6日 ディスリスペクト(軽蔑・disり)
6月22日 あやかり系主人公 6月8日 中毒
5月25日 箱庭ゲーム 5月11日 ダブルスタンダード
4月20日 偽りの理想郷 4月6日 防御力
3月23日 自分用ゲーム作り 3月9日 育成する指導者、選別する指導者
2月23日 忠誠 2月9日 変化するキャラクター
1月26日 一芸職人VS器用貧乏 1月11日 評判
2013年 12月23日 身分制度 12月8日 陰謀
11月24日 秘密 11月10日 努力が報われるゲーム
10月27日 ゲームの自由度について 10月13日 出来の悪い二代目
9月29日 怒り 9月15日 撤退戦術
8月30日 ヒール(悪役) 8月15日 覆水盆に返らず
7月28日 予知・予測 7月13日 かつてのヒーロー
6月30日 覚醒(新能力発現・急成長) 6月15日 犠牲
6月3日 単独開発 5月19日 ダメ人間
5月5日 悪徳宗教を必要とする人々 4月21日 悪の連帯責任
4月7日 3種類の立場からみた作品批評 3月24日 中立性を装った愚痴・悪口など(仮)
3月10日 人気対戦競技の条件 2月24日 幻想空間
2月10日 お金 1月27日 尊敬できる敵
1月13日 やる気・気合 12月29日 ルール
2012年 12月15日 厨二病 12月2日 売れ筋
11月17日 改心 11月4日 議論
10月21日 優秀な人材の起用・登用方法 10月7日 憎しみにとらわれた人達
9月22日 友情やコネによる人事起用の危うさ 9月8日 権力欲に取り憑かれた人達
8月19日 敗北の受け止め方〜捲土重来を期すために 8月5日 作者(表現者)が作品を通じて伝えたい思い
7月29日 人が自ら死(自殺)を決意するとき 7月15日 選択肢を選ぶことによる覚悟(リスク)
7月1日 選択肢があるということ 6月16日 宣伝と人気
6月2日 ホンネとタテマエ 5月19日 コンプガチャに学ぶ確率論とイカサマの話
5月6日 鑑識眼 4月30日 平等と競争
4月14日 公務員ヒーロー 4月1日 SF設定
3月18日 情報収集 3月3日 原発考察
2月19日 プライド 2月5日 お笑い
1月22日 ラスボスの処断方法 1月8日 創造→創作
2011年 12月30日 独裁者 12月9日 二次創作品
11月27日 万人向けからマニア向けの時代へ 11月13日 無敵能力の人たち
10月29日 正式名称 10月15日 利の人、情の人
10月3日 ポジティブ・ネガティブ 9月16日 利権
9月3日 借金 8月21日 何も変わらない事の恐怖
8月5日 発信したいオタクと共感したいオタク 7月25日 戦う地方、媚びる地方
7月17日 充電期間 7月10日 ひとそれのアンケート結果
7月2日 供給過剰気味のゲーム(&娯楽) 6月21日 東日本大震災3
6月5日 上司に反発 5月21日 修正する度量
5月14日 挑戦する勇気 5月1日 調子
4月17日 専門スキル 4月3日 東日本大震災2
3月18日 東日本大震災1 3月5日 ネトウヨと不良キャラの共通点
2月19日 信用ラインと警戒ライン 2月5日 信じられない者ばかりの世界観
1月23日 武器を交えない戦争 1月16日 しゃべらない主人公
1月7日 異世界に飛ばされた凡人 12月25日 後ろ向きな嫉妬心
2010年 12月19日no2 人それのゲーム難易度 12月19日no1 社会人型キャラ
12月11日 新作公開してから一週間 12月5日 新作ゲーム紹介
11月20日 理想と現実 10月29日 新作公開予定
10月18日 派閥 10月1日 仲間
9月19日 キャラクターイメージ 9月6日 理想を持った人間。そうでない人間
8月21日 革命後 8月8日 長編のオチのつけ方
7月24日 勇者は世直しができるか? 7月10日 全力集中プレイと長期戦略プレイ
6月27日 RPGのチームバトル 6月13日 傭兵団
5月29日 相手の思考をよんでみよう 5月14日 扇動する者、される者
5月7日 こっそりアンケート設置お知らせ、ほか 5月3日 地方を主人公の舞台にしてみよう
4月17日 コンピュータは人間を上回れるか? 4月2日 政権交代から6ヶ月が過ぎて
3月22日 フィクション 3月12日 困ったパーティメンバー
2月21日 責任 2月6日 教育
1月23日 トップダウン式製作とボトムアップ式製作 1月10日 ゲーム作成スタッフ
2009年 12月25日 政権交代から3ヶ月が過ぎて 12月12日 血液型
11月29日 編集日記・編集後記 11月14日 AVG(+SLG)制作中
10月31日 シナリオ 10月18日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには2
10月3日 オリジナル 9月19日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには
9月6日 実在モデルをどこまで採用できるか 8月24日 素材?
8月14日 今時の報道スタイル 8月8日 ユーザーサポートにメールを送ってみました
7月25日 恋愛シミュレーション2の魅力? 7月11日 人気と実力
6月27日 打ち切り 6月19日 エロゲ規制強化の流れからみるゲーム考
6月6日 貴族階級 5月23日 悪の戦闘員
5月10日 異なるキャラクターの視点でみてみよう 4月24日 強者がますます強くなる・・・
4月11日 ゲームエディタ 3月29日 愛郷心
3月22日 匿名ネット社会 3月6日 暗躍する超能力者たち
2月22日 信者キャラ 2月15日 必殺技
2月1日 アンチヒーロー(悪役型英雄) 1月23日 カタストロフィーを未然に阻止しよう
1月16日 フェアな戦い 1月3日 あれから幾年後
2008年 12月28日 国盗りSLGの景気対策 12月20日 現実世界をゲーム化してみよう
12月5日 内部対立 11月29日 推理もの??
11月22日 悪人とも言い切れない罪人 11月7日 正史
10月31日 萌えない女性キャラ 10月18日 関西弁
10月5日 大阪 9月21日 避けられない強大な敵
9月7日 人気・魅力・カリスマ 8月29日 黒幕
8月23日 運と実力 8月9日 COMの思考ルーチン
8月3日 新シナリオ「HeiseiNippon」公開 7月19日 軍師
7月5日 各国の思惑を構成するもの 6月21日 催眠術
6月7日 和解 5月24日 知恵者
5月16日 千年生きてみよう 5月3日 生き残ることと勝ち残ること
4月18日 冷酷な指導者 4月5日 お金の使い道
3月15日 若さ 3月7日 性能と運用
2月29日 アンケート現況発表(質問2について) 2月22日 広報戦略
2月10日 差別 1月27日 敵のスペック

1月13日 神の加護、神聖魔法 12月30日 フリーゲームのレビュー
2007年 12月16日 国盗りゲームのパターン 12月1日 謎について
11月16日 ゲーム世界での対人設定2(その他視点) 11月3日 ゲーム世界での対人設定1(味方視点)
10月20日 レジスタンス勢力 10月5日 終盤〜エンディング
9月21日 世襲について 9月8日 悪役(ヒデブ派5隊長など)
8月24日 確率について 8月10日 セーブ&ロード
7月27日 成長について 7月15日 SRPGにおける白兵部分のゲーム的処理
6月30日 SRPGのマップのシステム 6月17日 徴収と略奪
6月2日 兵科あれこれ 5月19日 理想の君臣関係
5月4日 経済力うんぬん 4月21日 戦略ゲームと戦術ゲーム
4月6日 公開情報と非公開情報 3月24日 個人戦用の武器等
3月9日 兵士の武器 2月25日 ゲーム作りとゲーム遊び
2月11日 少数派(属性持ち)向けゲーム 1月28日 バージョンアップ

1月13日 宮田軍にてこ入れ? 12月30日 フリーゲームの宣伝
2006年 12月15日 投票・アンケート 12月1日 最強の敵
11月18日 動かしやすいキャラと動かしにくいキャラ 11月4日 デバッグ
10月22日 現代・近未来ものについて 10月6日 趣味の社会人クリエイター
9月15日 新作?の状況について 9月8日 BGMについて
8月27日 登場人物の口語表現 8月12日 女性キャラ
7月28日 主人公選択式ゲーム 7月16日 マイサイトについて
7月2日 死について 6月17日 風刺について
6月2日 シナリオタイプあれこれ 5月19日 ゲーム作りの進め方について
5月5日 ゲーム作りを始める時について 4月21日 高能力キャラの表現方法
4月8日 悪い敵 3月31日 名前について
3月18日 伝え方と伝わり方 3月12日 キャラクターのプロフィールについて
3月5日 アマとプロによる基本プロット考 2月25日 自作CGについて
2月19日 著作権について 2月12日 バックグラウンドの設定について
2月5日 SRPG95の次回作に対する期待 1月29日 分岐と自由度について
1月22日 難易度について 1月15日 勢力別能力値考察
1月8日 主人公について 1月1日 ユニットの能力値をどういじるかについて
2005年  12月30日 12月23日 12月16日 12月9日 12月2日 11月25日 11月18日 11月11日 11月5日 10月31日













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