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愛原様のたわごと(16年9月18日)




愛原「最近のワイドショーでは、東京の豊洲新市場の話題で持ちきりらしい。」

逆沢「一昔のワイドショーでは、芸能界関連のニュースを主に取り上げてたイメージだけど、最近はかなり中身が変わってきた気もするわ。まぁ毒にも薬にもならない芸能ニュースよりは、政治の腐敗を明るみに出すニュースの方が、いかにもジャーナリズムという感じがする分、マシなのかもしれないけど。」

鼎「けど地方の人間にとっては、全国レベルで大騒ぎしなければならないほどのイメージはないかな? 正直なところ。」

逆沢「けど移転元の築地市場跡に関しては、なんかオリンピックの為に使われる予定があるらしいし、もしもそれに多少なりとも国税が投入されるなら、地方人としても無関心でいていい話題でもないんだろうけどねー。」

愛原「ドシロートの感性で言わせてもらえば、どこに移転しようが勝手だが、よりによって生鮮食品を扱う市場に汚染土まみれの土地を選ぶ事ないだろくらいは思ったけども。」

鼎「けど近畿地方でも、よりによって石油プラント跡地に卸売市場を移転しようといている自治体があるらしいし、何もこの手の話題は東京だけのものではないらしいよ。そこでも土壌汚染対策費に何億もかける予定らしいけど。」

逆沢「この前、石原慎太郎元東京都知事が、業者を儲けさせるためにわざとカネのかかるようにしてるっぽい話もしてたけど、要はそういう事なのかしらねー。わざと汚染された土地を選べば、それだけでも余分に費用がかかるし、費用がかかる程、業者がより儲けられる訳だから。」

愛原「庶民に対しては、財源が足りないとか、だから税金を上げねばならないとか、だから福祉を削らないといけないとか、色々言うけど、その割にそういう部分では、まだまだ無駄遣いし放題って事か? ワイドショーも、富山や神戸の政務活動費問題とか、そういった行政の無駄遣い問題とか、そういう部分にもっとスポットを当てればいいのに。」

鼎「そういえば豊洲の公共事業も、入札価格が不自然すぎる事から疑惑が出てるよね。まぁ行政サイドによる入札価格の漏洩なども、全国では至る所で行われてるようだけど。同じ豊洲を話題にするなら、不自然なお金の流れの方こそ切り込んで欲しいよ。」

逆沢「そんな事をしたら、利権政党とゼネコンの闇が明るみに出るから、政府とスポンサーの圧力に屈しまくっている今のテレビ局にはとても扱えないだろ♪」

愛原「けどまぁ、一部ネットで盛り上がってるらしい某二重国籍問題よりは、百倍マシかもな。こちらは本当に何の益もないバッシングゴシップでしかないから。」

逆沢「テレビの質が劣化したとか色々言われるけど、ネットで盛り上がるくだらないゴシップと比べたら、テレビの方がまだ少しだけ良心的かなと思わないでもないかな?」

愛原「二重国籍問題なんか、【だからどうした?】でしかないもんな。それで誰にどういう不利益があるのか、さっぱり分からない。百歩いや千歩以上譲って多少問題がある事にしても、本人もそれを指摘されるまで気付きようがないだろ? 俺自身にしたって、何となく自分は日本国籍のみと思い込んではいるけども、他国の国籍をも実は保有した状態になっているかどうかなど、いちいち確認した事もないからな。確認する必要も無いし。」

逆沢「血液型とか本籍などにしてもそうだけど、必要がないとか、知る機会が無いなどの理由で、実は自分の血液型とか、戸籍上の本籍地を知らない人も意外といるよね。」

愛原「戸籍上の名前の漢字が実は自分が思っていたのと違うなんて人も、ごくまれだがいるからな。戸籍上の正式な名前は実は旧字体だったとか、そういうのはたまに聞く。名前を役所に申請に行った祖父母が勝手に旧字体で名前登録して、それを親も本人も知らないままとか。」

鼎「ファンタジーの世界では、自分自身の事を人間と思い込んでるロボットとかが登場する作品もあるけど、実子だと思っていたら実は戸籍上は養子だったとか、実は朝鮮国籍だったとか、実は親が再婚だったとか、そういう例も世の中には割とあるかも知れないね。」

逆沢「下手すると、実は無戸籍という事すらあるからねー。恐ろしい話だけど、現実問題として。本人に何の非も無いのに。」

愛原「靖国神社なんかでも、本人や遺族のあずかり知らぬ所で、勝手に英霊として祀ったりしてる事もあるらしいからな。その取り消しを求めて裁判になった事も何度かある。全部、原告が敗訴してるけど。」

逆沢「つうか、勝手に英霊扱いにされるなんて事があるのか?」

愛原「国が勝手に戦没者リストを靖国神社に提供した結果、そういう形になるケースもあるらしい。故に、戦没者扱いされてるけど実は生きて生還している人とか、あるいは思想・信教上の理由から靖国神社に祀られたくないと考えている戦没者(及びその遺族)なども、自動的に靖国神社にまとめて祀られたりする訳だな。」

逆沢「怖いな、それ。という事は、たとえば創○学会なり統○教会なりが、私達自身やその家族を無断で祀っても、法的には問題ないという事か?」

愛原「そんな裁判は聞いた事ないが、靖国神社はセーフだけど創○学会はアウトなんて事はないだろうから、まぁセーフなんじゃないのか? 国籍や住所録等も同様で、国によっては相当アバウトだからな。油断してると、タックスヘイブンを始めとする各地で、タチの悪い人間に勝手に名義を使われて、国籍なり住所なりを勝手に登録されている可能性もゼロとはいえない。とかいって100を超える国の全てに国籍の有無を照会する訳にもいかないし、俺自身にしても、常識的に考えて日本国籍以外はないだろうと思い込んでるだけで、いちいち確認した事もない。今後する予定も無い。同様に両親の実子だとは思い込んでいるけども、遺伝子検査などをした事はないし、今後する予定もない。ご先祖様のルーツなどについても、その真偽をいちいち真剣に追及したいと思った事もない。誕生日などについても、そう登録されているからそうなんだろうと確信しているに過ぎないが、それで不都合が生じている訳ではないので再確認する気も無い。婚姻歴や現住所登録などについても同様だな。」

鼎「でもそうやって油断してると、本人も知らない間に、誰かと結婚している事にされたり(あるいは逆に離婚している事にされたり)、住所も知らない間に移転させられたりして、たまにそれで被害を受けている人とかいるよね。」

逆沢「不動産登記なんかでも、油断してると他人名義になってたり、あるいは買ったはずの土地が実は元々全く別の人の所有だったりするケースもあり得るみたいだしね。一部の金融漫画でありがちな詐欺ネタではあるけど。」

愛原「届くはずの郵便が届かなくなるとか、おかしな現象が発生すれば、その時改めて役所に出向いて、住所登録なり不動産登記なり預金通帳なりを再確認したいとは思うが、そういった不都合が発生しない限りは、いちいちこまめに確認したいとも思わんな。というか、大半の人間はそうだろう。」

逆沢「某二重国籍問題なんか、本人も、周りの人も、誰一人して不都合が生じている訳でもないのに、何を騒いでいるのかって感じがしなくもないわね。」

鼎「なんか本人自身も知らない出生の秘密を無断であばいた上で、その人を人格攻撃して喜んでる人みたいで、すごく不愉快になるよ。」

逆沢「なんか橋下徹前大阪市長の親の経歴とかをあばいて、それをネタに橋下自身を激しくネガキャンしてた人達を思い出したわ。」

愛原「世の中には残念ながら、そういう事を喜々として行うようなゲスが少なからずいる。しかもゲス自身は自分の事をゲスと思っておらず、被害者の方こそ出自の怪しいゲスだと思い込んで、被害者を一方的に攻撃しているから始末が悪い。」

鼎「ドラマの世界では、意外な出生の秘密を巡って複雑に展開される物語も多いけど、そういう物語では、大体血統などにこだわって、それを根拠に人を見下し攻撃するような悪役というか、ゲスキャラも登場するよね。」

逆沢「逆にどこにでもいる平凡な若者だと思っていたら、実はさる偉大な王族の子孫だったとか、そういう設定のストーリーもあるわね。」

愛原「というわけで今回のテーマは【血筋】。」

逆沢「中世ファンタジーを含めて、近世以前ではしばしばお家騒動の種になる奴ね。」

鼎「血筋というのは、誰かの跡を継ぐ上で重要な根拠になりがちなもので、だからこそ血筋に疑惑があったりすると、大体もめる元凶になりやすいよね。」

愛原「血筋そのものに疑惑がなくとも、有力な後継者候補が複数いたりすると、もめるのは一緒だけどな。」

逆沢「それもよくあるわね。跡継ぎが明確に定められていない場合、対立する複数の派閥が、それぞれ別の後継者候補を立てて権力争いを始めたりとか。」

鼎「跡継ぎが明確に定められていたとしても、それを不満に思う人間の手によって暗殺されたり、讒言などにより失脚させられて、状況が複雑化する事もあるよね。」

逆沢「跡継ぎが幼すぎたり無能すぎたりすると、後見人を称する人によって実質的に乗っ取られる光景も、歴史にはありがちね。」

愛原「あるいは、無能だけど血筋的には正統な後継者と、有能だけど赤の他人のどちらを後継者にするかで、もめたりとかな。」

逆沢「現代人的な感覚だと、有能であっても血筋的に赤の他人というだけで、無能な血縁者と等価以下の扱いにされる事が異様にみえてならんわ。そこまで血筋は重要なのかとも。」

鼎「こうしてみると、親子の情みたいな私情を別にすると、血筋を基準に人を選別する意味って、あまり無さそうだよね。」

逆沢「それでもなぜか、平成の今の世になっても、政治家なんかは世襲だらけの気もするけどね。特に自民党系あたりは。」

愛原「血筋うんぬんではなく、先代による英才教育の結果、跡を継ぐに足る資質が身につくというケースは十分に考えられるので、世襲そのものの是非には触れない。実子でなくとも、養子なり、娘の旦那なり、甥姪というケースもあるしな。先代が後継者を指名するにあたって、私情によって近親者に跡を継がせたいと考える部分はあっても、その結果、見込まれた後継者候補がしっかりと教育を受けた結果、ちゃんと後継者として役割を果たせるのなら、まぁそれもアリかも知れない程度には思う。」

逆沢「後継者としてふさわしい人間が後継者になるのなら、そりゃあまぁ話は分からなくもないけど、その水準に満たない人間までもが、単に血筋が近いというだけで後継者に選ばれると、さすがに困ったりするけどね。」

愛原「同感だな。それ故に中世以降の王制国家は、官僚システムを本格的に導入したわけだ。実質的な政治の運営は官僚達がやるから、君主はある意味お飾りで十分。外面が良くて、柔軟であればなお良し。変にパフォーマンスをやりたがる奴は逆に困るみたいな感じだな。現代の企業組織でも、大企業になるほど組織化が進んでいて、トップが独断的に口出しできる場面を抑えている所も多い。」

鼎「それだったら、王制とか世襲制自体辞めればいいのに。もう全部、官僚に任せて。徳川幕府にしても、半分くらいは将軍が全くのお飾り状態だったみたいだし。」

愛原「まぁ、実際問題、将軍が幼君であろうとお飾りであろうと、幕府が政権を運営する上では特に障害はなかったように思える。7代将軍が後継者を残さずに若死にした結果、遠い和歌山から8代将軍として吉宗が招かれたが、実際には誰が8代将軍になろうが、就任の根拠になる説得力さえ持たせられれば、誰でも構わなかった気がしなくもない。」

逆沢「その説得力を持たせる根拠として、血筋という要素があるだけに過ぎないって事か?」

愛原「多分、そんな所のような気がする。今でこそ、国民主権という名の別の根拠があるから、その根拠を元に選挙という説得力ある選任手段が機能しているが、中世以前にはそんな概念はほとんど浸透していなかったし。誰を国もしくは組織のトップに置くかと迷った時、その基準としてすっぽり当てはまったのが血筋という事なのかなとも思う。」

逆沢「血統主義といっても、所詮は説得力を補完する程度の軽い概念に過ぎないって事か?」

愛原「一応、タテマエ上、長男が後継者筆頭であるとか、国や時代によって色々決められたりはしてるみたいだけど、時の権力者(トップであるとは限らない。)の都合によって、次男以降に置き換えられたり、どこかから迎え入れられた養子であったり、娘婿であったり、色々あるからな。豊臣秀吉なんかは、近衛前久の養子になる事で、官職を得る為の説得力をもたせてたが。」

逆沢「つまり建前上は、血統至上主義であるような組織でも、実際は組織(もしくは実質的に権力を握っている者)の都合で、後継者が決められる事は珍しくないって事か? 血筋などはあくまで説得力をもたせる道具に過ぎないと。」

愛原「仮に血筋と家系のどちらが重要視されるかを比較した場合、少なくとも江戸時代以降戦中までの日本では、まず家柄が重視されるのは間違いない。つまりどんな裕福な家の出身でも、それなりの家の養子になればそれなりの扱いになるし、逆にそれなりの家の出身でも、裕福な家の養子になれば、裕福な家なりの扱いになるという事。たとえば明治時代、明治天皇が元徳島藩主の蜂須賀茂韶をからかったエピソードで次のようなものがある。」

鼎「あ、そのエピソードはそこそこ有名だよね。確か蜂須賀侯爵が恩賜のタバコをくすねた所をたまたま明治天皇に見られて、それで明治天皇が【先祖の血は争えないな】と笑ったとされるお話。」

逆沢「えーと、蜂須賀家といえば、講談で夜盗扱いされてる蜂須賀小六が先祖だから、それにかけて明治天皇がからかったという事になるのかな?」

鼎「そう。それで蜂須賀侯爵は余程頭にきたのか、歴史学者に自分の家の事を徹底的に調べさせたそうだよ。蜂須賀小六は決して夜盗ではないと。」

愛原「しかしこのエピソード。ものすごいオチがある。血筋をたどってみると、明治天皇こそが蜂須賀小六の末裔であり、逆に蜂須賀茂韶侯爵自身は蜂須賀小六の直系でもなんでもないという事だ。」

逆沢「ん? なんじゃそれ〜???」

愛原「血統で言えば、蜂須賀小六の孫(つまり徳島藩初代藩主)の娘が岡山藩二代藩主の池田忠雄に嫁ぎ、その息子が鳥取藩藩主になるが、その後、その子孫が仁孝天皇に嫁ぎ、その仁孝天皇の孫が明治天皇な訳だから、血筋的には間違いなく明治天皇の先祖に蜂須賀小六が存在する事になる。一方、蜂須賀茂韶侯爵の父である蜂須賀斉裕は、第11代将軍徳川家斉が作った53人の子供の一人(22番目の男子らしい)で、その扱いに困った将軍家によって養子に送り込まれた一人でもあり、故に血筋的には蜂須賀家ではなく神君家康公という形になる。」

逆沢「すごいオチだな。ロボットを馬鹿にしてた奴こそが、実はロボットそのものだった級のどんでん返しになってるというか。」

愛原「しかしここで重要なのは、蜂須賀侯爵も明治天皇も、共に血筋ではなく家柄にこだわっていたという事実の方だ。少なくとも蜂須賀侯爵の場合は、親父が将軍の息子という事くらいは当然知ってるはずだから、血筋にこだわるのならば、蜂須賀家の先祖について歴史学者に調べさせるまでもなく、【俺、将軍の孫だし】といえばそれで済む事。しかし彼はそれをせず、むしろ全力で蜂須賀家の名誉回復に動いた。」

逆沢「つまり蜂須賀侯爵は、将軍の孫としてではなく、蜂須賀家の当主としての自分にこだわったって事か?」

愛原「しかし彼は、当時の時代の考え方として当然の行動を取っただけに過ぎないんだけどな。蜂須賀家に入った以上は、蜂須賀家の人間として振る舞うというごく当たり前の事に。」

逆沢「つまり血筋というのは、実はそんな重要ではないと。重要なのはむしろ家柄の方というか。今風で言えば所属している組織というか。」

愛原「そういう事だな。もっと極端な例を言うと、たとえば江戸時代において反徳川の急先鋒的存在であった長州藩の毛利家なんか、血筋的には親藩級に徳川色が濃かったりするからな。」

逆沢「ん? そうなのか?」

愛原「長州藩初代藩主の正室が結城秀康(徳川家康の次男。徳川秀忠の兄)の娘。二代藩主の嫁も松平忠直(結城秀康の息子で福井藩主)の娘。3代藩主の嫁は徳川家重臣筋の酒井忠隆の娘だがその母が松平家なのでやはり家康一族関連。その他にも何人かの歴代藩主が徳川家ゆかりの人物を正室に迎えている。故に血筋的には、徳川家にとって親戚中の親戚といえなくもない。」

逆沢「そこまでいくと、元就の血よりも家康の血の方が濃そうだな。おい。」

愛原「それでも長州藩の家風は250年間相変わらずで、ついに倒幕に走ったのは誰もが知る通り。幕府としては徳川家の縁者を何人も送り込む事で、長州藩内に充満する反徳川色を何とか薄めたいと思ったのかも知れんが、ついにそれはかなわなかった。歴代当主の中には、母親と正室の両方が徳川の縁者であるにも関わらず、反徳川色を隠さない者もいたくらいだったようだし。」

鼎「つまりいかに徳川家の血が濃くあっても、家に充満する空気に染まらずにはいられなかったという事かな?」

愛原「多分、そうなんだろうな。でも冷静に考えたら、それは当然な気もする。どんな偏った思想の親の血を受けようとも、普通の家に育てられれば普通の子になりやすいだろうし、逆も真だろうから。人は血筋よりも育てられた環境に依存するのだと言えなくもない。」

逆沢「つまりどんなに高貴なお方の血を受け継ごうとも、凡人の家庭に育てられたら、高貴な者だけが知る作法などを受け継げる事はないと。」

鼎「でもそれは生き様として正しいようにも思うよ。たとえばかつて某巨人OBの人がオリックスかどこかの球団の監督に就任した際に、その球団の流儀を無視して【巨人ではこうやっていた】と言って巨人カラーを一方的に押しつけたら、すごい不和が起こって、割とすぐに監督を解任されたなんて話も聞いた事があるし。【郷に入れば郷に従え】という言葉じゃないけど、出自にこだわりすぎて、自分が今いる場所のやり方を闇雲に否定するのはまずいというか。」

逆沢「ああ、なる程。蜂須賀侯爵のエピソードに当てはめたら、なお納得ね。仮に侯爵が蜂須賀家の歴史を無視して、将軍の血にこだわったら、おそらく徳島藩の家臣団からはそっぽ向かれてただろうし。」

鼎「とすると長州藩の歴代当主も、藩が持つ歴史と空気を理解しているからこそ、あえて反徳川色を演出しようとしていたのかも知れないね。」

愛原「空気に染まるというのが正しい事かどうかは状況に寄るだろうから置くとしても、血筋に縛られるのが愚かという事くらいは言えそうだな。」

鼎「ご先祖様に感謝したり、彼らを尊敬する事が悪い事ではないけど、それは血筋がどうこうだからではないという事だよね。」

愛原「血を受け継いでなくとも、魂を受け継ぐ事はできる。少なくとも俺はそう思うけどな。できの悪い社長のボンボンよりも、社長を長く支えてきた者の方が、余程社長の理念を強く受け継ぐ事もできる事もあるだろうというか。」

逆沢「その作品の版権を買いとっただけのメーカーよりも、その作品のファンの方が余程作品に対して強い愛情や知識がある事も珍しくないようなものか♪」

愛原「それはちょっと違う気もするが、意外と当たってるかも知れないし、評価の難しいたとえだな。ただ蜂須賀家に入った以上は、蜂須賀家の歴史と名誉を背負う人間でありたいと考えたであろう蜂須賀斉裕らに共感くらいはできる。たとえ血はつながってなくとも、その魂を引き継ぐ事はできるのだと。」

鼎「血筋を大切にした物語も多いけど、逆に血筋にこだわらず、魂の継承部分にこだわった作品もあるよね。ヤン提督の後を継いだユリアン・ミンツさんとか、私は好きだよ。」

逆沢「王家の血を引いているとか、そんな事は、本来どうでもいいという事か? まぁそれでは成立しない物語も多そうだけど。」

愛原「血筋には説得力を持たせる効果くらいはあるからな。勇者の息子だったら、強くて当然みたいな。現実の歴史でも中世以前においては、血筋による神話効果は絶大で、故に偉大な王様の御落胤であるとか、王族の子孫である事を吹聴する輩もあとを断たず、貴族達は貴族達で、旗頭となる血族の確保に躍起になった。」

逆沢「どんなに本人自身が有能でも、偉大な血筋を持たなければ説得力が出ない。だから偉大な血筋を引く人間を囲って旗頭にしたり、あるいは自分自身が偉大な血筋の人間の養子になったり、あるいは偉大な血筋の末裔を自称する必要があったわけね。」

愛原「徳川幕府にしても、実際問題、将軍がいなくても実務的にはさほど困らなかった気がするが、将軍不在の状態が長く続くと、幕府という政権自体に存続理由となる説得力が持たせられないから、必要に応じてどこからともなく新しい将軍を連れてきたりしたんだろうと思う。地方にある各藩もしかり。藩主が子供を作らないまま死んだ場合は、その兄弟縁者なり、養子なり、場合によっては将軍家を始めとした他藩から連れてきてでも、なんとか存続理由となる説得力を持たせられる人材を後継にする事で藩の維持を優先した。藩主不在の状態が長く続くと、それ自体が改易の理由になってしまうからな。」

鼎「今でも政治家などでは未だに血筋が、後継者を選定する上で大きな判断要素になってるみたいだけど、これも説得力を持たせやすいからかな?」

愛原「それは分からん。いや、多分違うだろう。むしろ世襲議員は嫌われやすいし、単純に親子の情という名の私欲が優先された結果のようにも感じる。森喜朗の息子とか、明らかに適性外にしか思えないし。但し、親などから帝王学をしっかり受け継いだ上で跡を継ぐケースもあるだろうから、世襲自体を全否定まではしないけどな。ただ血筋であれ、選挙であれ、それが説得力を持たせる道具でしかなくなってる点は、少し不安材料ではある。」

鼎「ん? それはどういう事かな?」

愛原「徳川幕府の多くの政権にとって将軍がお飾りであったように、今の日本の知事や市長などもお飾りでしかなくなってる懸念を感じる。市長が寝たきりでも市政が停滞しない官僚システムといえば聞こえはいいが、官僚達に好き放題されてる懸念があるというか。豊洲問題にしてもそうだろ?」

逆沢「言われてみれば、石原・猪瀬・舛添・小池と何代も知事が交替しているにも関わらず、誰も豊洲新市場の地下がおかしな事になってるなんて気付かず、勝手に工事が進められてたみたいだしねー。」

愛原「本当に知らなかったのかどうかは不明だが、いずれにしろ、これでは知事はお飾りだったと言われても仕方ない。」

鼎「でもそれをいえば、国会議員も似たようなものだよね。官僚が作ったペーパーを朗読するだけの大臣さんもいっぱいいるし。」

逆沢「どうせお飾りばかりなら選挙なんかやめて、中国共産党みたいに試験に通った官僚達が仕切るような国にしちゃった方がマシじゃね。選挙するだけでもすごいコストだし、どうせ官僚の操り人形にしかならないなら。」

鼎「でもそれじゃ民主的とはいえないから、選挙という名の血筋に替わる説得力を持つ要素を形だけ盛り込んだともいえそうだよね。」

愛原「血筋と違い、選挙という手段は、有権者の手でちゃんと候補者を選べる訳だから(実際はゲリマンダーによってかなり歪められてはいるけども)、ちゃんとリーダーシップを発揮し、責任も取れるような人を選びたいんだけどな。」

逆沢「そこが血統主義との決定的な差ね。血統主義だと、適性の有る無しに関わらず選ばれる順序が決められてるか、決められてなくとも有力な貴族らによる権力争いの具にされるだけだけど、そういう弊害はないから。」

鼎「今、皇室関係でも、生前譲位とか女系天皇の是非を巡って色々議論されてるみたいだけど、伝統だのなんだのといったイデオロギーにこだわらない人からすれば、どっちでも構わないし、当事者(皇室の皆様)の思いにできるだけ寄り添った方向で議論してもらえばいいと思うよ。変な血統主義や伝統にこだわった結果、誰かに過度の重責を負わせたりするのも問題な気もするし。」

愛原「国籍問題などでも同じこと。それで誰が困っているわけでも無いのに、ネガキャンの材料にして喜んで批判のネタにするような奴は最低だ。どんな国の人の血を引いていようが、あるいはどんな高貴な血であろうが、それによって不当にその人の人生が制限されたり拘束されるような事はあってはならない。勇者の血を引いているからと言って魔王と戦う義務は無いし、偉大な王族の血を引いているからと言って後継者争いに名乗り出ないとならない訳でもないし、逆に血を理由に差別や迫害をされるべきでもない。むしろ、勇者の血を引いてなくとも正義のために立ち上がる志のある者は堂々と名乗りを上げればいいし、世直しがしたくば血筋の如何に関わらず堂々と名乗ればいいし、血筋や国籍などによってその志が無残に折られてはならないとも考える。」

鼎「血筋に関わらず、いい人もいるし、悪い人もいる。向いている人も居れば、向いてない人もいる。プロ野球選手の息子だから、必ずしもプロ野球選手の適性があるとも限らないように、そういった当たり前の事こそ、もっと目を向けるべきだよね。」


















過去のたわごと 
2016年 9月4日 統一されるべき尺度 8月21日 暑さと寒さ
8月7日 (優秀な)下っ端 7月24日 超便利社会=超疲弊社会
7月10日 社会的弱者を量産し、彼らを悪の先兵に誘う者  6月26日 少子化社会という舞台
6月12日 有事法制(緊急事態における法のあり方) 5月29日 悪のセレブサロン 
5月15日 成功者が成功後にやりたいと思うこと 5月1日 ゲーム世界とリアル世界の違い
4月18日 過去に戻ってやり直すということ 4月3日 八百長 
3月20日 異邦人(外国人労働者) 3月6日 陣形
2月21日 功績泥棒 2月7日 三国志13をプレイ
1月24日 裏切り者 1月10日 善政家
2015年 12月27日 精神〜命よりも大切なもの 12月6日 独立戦争 
11月23日 ジャーナリスト 11月8日 精神力 
10月25日 優しい指導者  10月11日 助けを求める人たち 
9月27日 兵站 9月13日 善玉が起こした悪事や不祥事
8月30日 カイゼン 8月14日 盗作・ゴースト
8月2日 表稼業 7月20日 正論を用いない説得工作
7月5日 ディストピア 6月21日 財政破綻
6月7日 防諜 5月24日 サイコパス
5月10日 戦犯 4月26日 ハト派とタカ派
4月12日 不遇な先駆者 3月29日 プロギャンブラー(バクチで生計を立てる人)
3月15日 世界の管理者という名のラスボス 3月3日 命令コマンド
2月15日 攻略本・攻略サイト 2月1日 お遊びコマンド
1月18日 精神異常状態 1月4日 NPCの選択判断ルーチン
2014年 12月14日 男女キャラクターの比率 11月30日 不安と安心の役割
11月16日 現実主義者の正体 11月3日 アイテムゲット
10月19日 真相にたどり着けない者 10月5日 挫折
9月14日 嫌いだけど素晴らしい人達 9月7日 売れている作品と面白い作品の違い
8月24日 援軍 8月3日 ブラゲとパケゲ
7月20日 根性論と科学的知見に基づいた肉体改造 7月6日 ディスリスペクト(軽蔑・disり)
6月22日 あやかり系主人公 6月8日 中毒
5月25日 箱庭ゲーム 5月11日 ダブルスタンダード
4月20日 偽りの理想郷 4月6日 防御力
3月23日 自分用ゲーム作り 3月9日 育成する指導者、選別する指導者
2月23日 忠誠 2月9日 変化するキャラクター
1月26日 一芸職人VS器用貧乏 1月11日 評判
2013年 12月23日 身分制度 12月8日 陰謀
11月24日 秘密 11月10日 努力が報われるゲーム
10月27日 ゲームの自由度について 10月13日 出来の悪い二代目
9月29日 怒り 9月15日 撤退戦術
8月30日 ヒール(悪役) 8月15日 覆水盆に返らず
7月28日 予知・予測 7月13日 かつてのヒーロー
6月30日 覚醒(新能力発現・急成長) 6月15日 犠牲
6月3日 単独開発 5月19日 ダメ人間
5月5日 悪徳宗教を必要とする人々 4月21日 悪の連帯責任
4月7日 3種類の立場からみた作品批評 3月24日 中立性を装った愚痴・悪口など(仮)
3月10日 人気対戦競技の条件 2月24日 幻想空間
2月10日 お金 1月27日 尊敬できる敵
1月13日 やる気・気合 12月29日 ルール
2012年 12月15日 厨二病 12月2日 売れ筋
11月17日 改心 11月4日 議論
10月21日 優秀な人材の起用・登用方法 10月7日 憎しみにとらわれた人達
9月22日 友情やコネによる人事起用の危うさ 9月8日 権力欲に取り憑かれた人達
8月19日 敗北の受け止め方〜捲土重来を期すために 8月5日 作者(表現者)が作品を通じて伝えたい思い
7月29日 人が自ら死(自殺)を決意するとき 7月15日 選択肢を選ぶことによる覚悟(リスク)
7月1日 選択肢があるということ 6月16日 宣伝と人気
6月2日 ホンネとタテマエ 5月19日 コンプガチャに学ぶ確率論とイカサマの話
5月6日 鑑識眼 4月30日 平等と競争
4月14日 公務員ヒーロー 4月1日 SF設定
3月18日 情報収集 3月3日 原発考察
2月19日 プライド 2月5日 お笑い
1月22日 ラスボスの処断方法 1月8日 創造→創作
2011年 12月30日 独裁者 12月9日 二次創作品
11月27日 万人向けからマニア向けの時代へ 11月13日 無敵能力の人たち
10月29日 正式名称 10月15日 利の人、情の人
10月3日 ポジティブ・ネガティブ 9月16日 利権
9月3日 借金 8月21日 何も変わらない事の恐怖
8月5日 発信したいオタクと共感したいオタク 7月25日 戦う地方、媚びる地方
7月17日 充電期間 7月10日 ひとそれのアンケート結果
7月2日 供給過剰気味のゲーム(&娯楽) 6月21日 東日本大震災3
6月5日 上司に反発 5月21日 修正する度量
5月14日 挑戦する勇気 5月1日 調子
4月17日 専門スキル 4月3日 東日本大震災2
3月18日 東日本大震災1 3月5日 ネトウヨと不良キャラの共通点
2月19日 信用ラインと警戒ライン 2月5日 信じられない者ばかりの世界観
1月23日 武器を交えない戦争 1月16日 しゃべらない主人公
1月7日 異世界に飛ばされた凡人 12月25日 後ろ向きな嫉妬心
2010年 12月19日no2 人それのゲーム難易度 12月19日no1 社会人型キャラ
12月11日 新作公開してから一週間 12月5日 新作ゲーム紹介
11月20日 理想と現実 10月29日 新作公開予定
10月18日 派閥 10月1日 仲間
9月19日 キャラクターイメージ 9月6日 理想を持った人間。そうでない人間
8月21日 革命後 8月8日 長編のオチのつけ方
7月24日 勇者は世直しができるか? 7月10日 全力集中プレイと長期戦略プレイ
6月27日 RPGのチームバトル 6月13日 傭兵団
5月29日 相手の思考をよんでみよう 5月14日 扇動する者、される者
5月7日 こっそりアンケート設置お知らせ、ほか 5月3日 地方を主人公の舞台にしてみよう
4月17日 コンピュータは人間を上回れるか? 4月2日 政権交代から6ヶ月が過ぎて
3月22日 フィクション 3月12日 困ったパーティメンバー
2月21日 責任 2月6日 教育
1月23日 トップダウン式製作とボトムアップ式製作 1月10日 ゲーム作成スタッフ
2009年 12月25日 政権交代から3ヶ月が過ぎて 12月12日 血液型
11月29日 編集日記・編集後記 11月14日 AVG(+SLG)制作中
10月31日 シナリオ 10月18日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには2
10月3日 オリジナル 9月19日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには
9月6日 実在モデルをどこまで採用できるか 8月24日 素材?
8月14日 今時の報道スタイル 8月8日 ユーザーサポートにメールを送ってみました
7月25日 恋愛シミュレーション2の魅力? 7月11日 人気と実力
6月27日 打ち切り 6月19日 エロゲ規制強化の流れからみるゲーム考
6月6日 貴族階級 5月23日 悪の戦闘員
5月10日 異なるキャラクターの視点でみてみよう 4月24日 強者がますます強くなる・・・
4月11日 ゲームエディタ 3月29日 愛郷心
3月22日 匿名ネット社会 3月6日 暗躍する超能力者たち
2月22日 信者キャラ 2月15日 必殺技
2月1日 アンチヒーロー(悪役型英雄) 1月23日 カタストロフィーを未然に阻止しよう
1月16日 フェアな戦い 1月3日 あれから幾年後
2008年 12月28日 国盗りSLGの景気対策 12月20日 現実世界をゲーム化してみよう
12月5日 内部対立 11月29日 推理もの??
11月22日 悪人とも言い切れない罪人 11月7日 正史
10月31日 萌えない女性キャラ 10月18日 関西弁
10月5日 大阪 9月21日 避けられない強大な敵
9月7日 人気・魅力・カリスマ 8月29日 黒幕
8月23日 運と実力 8月9日 COMの思考ルーチン
8月3日 新シナリオ「HeiseiNippon」公開 7月19日 軍師
7月5日 各国の思惑を構成するもの 6月21日 催眠術
6月7日 和解 5月24日 知恵者
5月16日 千年生きてみよう 5月3日 生き残ることと勝ち残ること
4月18日 冷酷な指導者 4月5日 お金の使い道
3月15日 若さ 3月7日 性能と運用
2月29日 アンケート現況発表(質問2について) 2月22日 広報戦略
2月10日 差別 1月27日 敵のスペック

1月13日 神の加護、神聖魔法 12月30日 フリーゲームのレビュー
2007年 12月16日 国盗りゲームのパターン 12月1日 謎について
11月16日 ゲーム世界での対人設定2(その他視点) 11月3日 ゲーム世界での対人設定1(味方視点)
10月20日 レジスタンス勢力 10月5日 終盤〜エンディング
9月21日 世襲について 9月8日 悪役(ヒデブ派5隊長など)
8月24日 確率について 8月10日 セーブ&ロード
7月27日 成長について 7月15日 SRPGにおける白兵部分のゲーム的処理
6月30日 SRPGのマップのシステム 6月17日 徴収と略奪
6月2日 兵科あれこれ 5月19日 理想の君臣関係
5月4日 経済力うんぬん 4月21日 戦略ゲームと戦術ゲーム
4月6日 公開情報と非公開情報 3月24日 個人戦用の武器等
3月9日 兵士の武器 2月25日 ゲーム作りとゲーム遊び
2月11日 少数派(属性持ち)向けゲーム 1月28日 バージョンアップ

1月13日 宮田軍にてこ入れ? 12月30日 フリーゲームの宣伝
2006年 12月15日 投票・アンケート 12月1日 最強の敵
11月18日 動かしやすいキャラと動かしにくいキャラ 11月4日 デバッグ
10月22日 現代・近未来ものについて 10月6日 趣味の社会人クリエイター
9月15日 新作?の状況について 9月8日 BGMについて
8月27日 登場人物の口語表現 8月12日 女性キャラ
7月28日 主人公選択式ゲーム 7月16日 マイサイトについて
7月2日 死について 6月17日 風刺について
6月2日 シナリオタイプあれこれ 5月19日 ゲーム作りの進め方について
5月5日 ゲーム作りを始める時について 4月21日 高能力キャラの表現方法
4月8日 悪い敵 3月31日 名前について
3月18日 伝え方と伝わり方 3月12日 キャラクターのプロフィールについて
3月5日 アマとプロによる基本プロット考 2月25日 自作CGについて
2月19日 著作権について 2月12日 バックグラウンドの設定について
2月5日 SRPG95の次回作に対する期待 1月29日 分岐と自由度について
1月22日 難易度について 1月15日 勢力別能力値考察
1月8日 主人公について 1月1日 ユニットの能力値をどういじるかについて
2005年  12月30日 12月23日 12月16日 12月9日 12月2日 11月25日 11月18日 11月11日 11月5日 10月31日















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