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愛原様のたわごと(16年10月02日)





愛原「少し前、超便利社会というテーマを取り上げたが、近未来世界を創造する上で、これはなかなか興味深い視点だと思ったので、今回はもう少し掘り下げてみたいと思う。」

鼎「えーと、確か、便利な社会を追及しすぎると、社会全体がかえって疲弊していくという視点で取り上げてたよね。前回はたしか。」

愛原「うん。この構造について、今回はより経済学的な視点から掘り下げてみたいと思う。」

逆沢「掘り下げるのは自由だが、生兵法でうかつに掘り下げると、掘り下げた分、底の浅さも露呈して、余計に恥をさらす事になると思うけど。」

愛原「何、構わん。ネットで虚勢を張っても意味はないし、今回もありのままのスタイルだ。でもって、今回のテーマは【供給過剰社会】について。」

鼎「そう言えば、ここのコーナーでも、度々というか、何度も触れている単語だよね。供給過剰については。」

逆沢「娯楽産業自体が供給過剰だみたいな感じで、過去にも何度か触れてたわね。昔はテレビとか映画館とか遊園地とか雑誌といった、比較的限られた娯楽の手段が今では広がりすぎた結果、遊園地もゲーム産業もテレビや映画業界なども、みんな昔よりも経営が厳しくなってるみたいな感じで。」

愛原「そう。人間が娯楽に割ける時間には限りがある。である以上、たとえばインターネットで時間を潰す人間が増えれば、その分だけテレビを見てくれる時間が減ってしまう等、競合する娯楽産業はどうしても衰退してしまう。ゲームが普及すればするほど、遊園地などの市場規模も縮小せざるを得ないし、そのゲーム業界にしても、課金上等な携帯ゲームやブラゲがシェアを伸ばせば伸ばすほど、旧来のテレビゲームやパケゲのシェアは小さくなっていく。」

鼎「人間が一日に娯楽に費やせる時間の量は変わってない(?)のに、娯楽産業全体の供給量だけが数倍にふくれあがったら、娯楽産業内のパイの奪い合いが苛烈になる分、業界が疲弊しやすくなるデメリットはあるよね。」

逆沢「消費者の立場からすれば、選択肢が増えるのは有り難い話ではあるんだけどね。インターネットが普及した事で、テレビなどの旧来メディアだけに情報収集手段を依存せずに済むようになった事を喜ぶ人達も多いだろうし。」

愛原「そう。その点についても、前回、超便利社会をテーマにした時に取り上げた。選択肢が増えるのは、消費者の立場からみれば単純に有り難い。コンビニにしろ居酒屋にしろ歯医者にしろ、それらが増える事自体は、選択肢が増える分だけ、より便利になる一方だからな。」

逆沢「しかし供給側からすれば、過当競争にさらされる分、どうしても疲弊しやすくなるデメリットもあると。前回、触れてたわね。」

愛原「イエス。これをもう少し掘り下げて例題を出してみよう。たとえばある地域に、一つの居酒屋があり、この一つの居酒屋によって、地域内で需給のバランスが上手くいっていたとしよう。その居酒屋によって地域の需要はそれなりに満たせ、一方の居酒屋側も、特に経営難になる事もなく、バイト達にも比較的適正な賃金と労働環境を提供できているような状態だな。で、この地域に、もう一個、居酒屋が出来たとしよう。さて状況はどのように変化するだろうか?」

逆沢「うーん。元々1つの居酒屋だけで、既に需給は満たせているのよねー? とすると居酒屋が2つに増えたからといって、その地域内の居酒屋の売り上げが2倍になるはずは無いのよね〜。」

鼎「仮に2つの居酒屋の力が同格なら、1つしかなかった頃と比べて、半分の売り上げしか稼げない居酒屋が2つになるだけの話だよね。」

愛原「けど居酒屋を維持する経費は、ほとんど変わらないわな。売り上げが半分に減ったからといって、店舗を維持するための光熱費や人件費や家賃などが半分になる訳でもないし。」

逆沢「はっきりいって大赤字ね。売り上げが半分に減ってるのに経費がそのままかかる状態だとしたら、利益を出すどころか、おそらく経費分も稼げないだろうから。」

愛原「では、この状態でその居酒屋が生き残ろうとすれば、どうすればいいのか? ちょっと考えてみよう。」

逆沢「おいおい。そんな妙案なんかあるわけねえだろ? あったら、みんな既に試してるわ。」

鼎「品質や品揃えなどで、ライバル店に差をつけられればいいけど・・・。」

逆沢「品質や品揃えを良くすれば、その分だけ経費も増えるだろ? 増えた経費の分以上に売り上げも増えてくれたらいいけど、むしろ裏目に出る事も多いだろうし。まして今は【品質アップ&値上げ】路線よりも、【品質据え置き&値下げ】の方が客への求心力も高い時代だし。」

鼎「とすると、値下げ競争に打って出るしかないかなぁ?」

愛原「その場合、値下げした分、どこで穴埋めするかが焦点になるな。チキンレースに負けたライバルが撤退してくれて、元の1店舗状態に戻ったなら、まだ救われるが。」

逆沢「ライバルがなかなか撤退してくれなかったり、あるいはこちらの資金的余裕がない場合だと、かなり厳しい状態に立たされそうね。その場合、こちらが先に撤退するか、あるいは禁断の手に打って出るしかないか?」

鼎「禁断の手って?」

逆沢「色々あるでしょ。たとえば品質のごまかし。客には内緒で、より安い原材料を使うようにしたり。」

愛原「産地偽造とか、色んな手があるわな。ウナギとか、海外からの輸入量が7割近くあるはずのに、スーパーなどではやたら日本産が多いし、自称日本産の半分はインチキしてんじゃねえのかと思う事すらあるわ。」

逆沢「あるいは、ブラック企業化するとか。最低賃金以下でこき使ったり。サービス残業させまくったり。色々いちゃもんつけて、仕事上の落ち度を盾に労働者や下請けに実質タダで働かせまくったり。」

愛原「その手のブラック企業は数え切れない程、あるわな。」

逆沢「あるいは、政治家に献金したり、役人に賄賂握らせて、有利に商売させてもらうようにしてもらうとか。」

愛原「なかなか表に出てこない分、実態が分かりづらいが、未だに献金だの癒着だのといったものが全く減らない事や、オリンピック経費が10倍にふくれあがったり、公的には無報酬であるはずの森喜朗がいつまでもポストにしがみついてたり、東京電力周りの事情などを鑑みると、裏でキックバックとかも繰り返しながら利権を融通しあうようなケースも無数にあるんだろうな。」

逆沢「とまぁ、色んな禁断の手を使っちゃうわけよ。」

鼎「つまり、経費を落とすために、品質をこっそりごまかしたり、手抜き工事をしたり、労働者や下請けを奴隷状態で働かせたり、政治家や公務員と癒着したり、タックスヘイブン利用したり、色んな悪い事をしてる所もたくさんあるかも知れないって事かな?」

逆沢「そりゃあデフレにもなるわ。そんなあくどい事ばかりやってたら。」

愛原「あくどい事とデフレに直接の因果関係はないが、下請けや労働者を締め上げることで無理矢理人件費を下げようとすれば、それだけ消費者の購買意欲も落ちて、結果的にデフレになるという意味で、間接的な因果関係くらいはありそうだな。」

鼎「消費者の購買意欲が落ちる点もそうだけど、供給過剰だと通常でも値下げ競争になりやすいから、その側面でいってもデフレになりやすいとは言えるよ。構造的に。」

愛原「デフレは日本のみならず、欧米でも大なり小なり共通の悩みだからな。」

鼎「供給過剰の流れ自体が、世界共通の悩みだから、デフレが共通の悩みになりやすいのも、ある意味、当然だと思うよ。」

逆沢「現代は、カネで買える大抵の物を大量生産できる時代だからねー。そりゃ供給過剰にもなるわ。」

鼎「問題はどれだけ大量生産しても、必ず売れるとは限らないという点だよね。」

愛原「その通り。たとえばPCゲームにしろ、電子書籍にしても、これらはその気になれば、ダウンロード販売という形で無限に販売し続ける事ができる。つまり極論で言えば、無限に消費者に対して販売し続ける事が出来るんだ。」

逆沢「【売り切れ】という概念がない訳ね。」

愛原「そう。じゃあ【売り切れ】る心配というか、在庫不足の心配が無い、あるいは逆に不良在庫を大量に抱え続けるリスクがないから、生産量の調整に悩む必要もなく、全世界の大衆に気軽に安く売りつける事でぼろ儲けできるかといえば、残念ながらそれは甘くない。たとえ100円。あるいは10円にしても、必ずその電子書籍を買ってもらえるとは限らない。お前らだって、仮に一冊10円のラノベ格安キャンペーンが行われたからといって、一冊10円のラノベを片っ端から買いまくろうとは思わないだろう?」

逆沢「タダでもいらんものはいらんわ。電子書籍とか、転売できるものでもないし。実物のラノベでも、一冊10円で古本屋に買い取ってもらえる保証は無いし。というかそんな価格崩壊やられたら、古本市場も供給過剰で1円でも買い取らないと思うわ。」

鼎「つまり安売りしたからといって、必ずしもたくさん売れる保証はないって事だよね。」

愛原「そう。理屈上は、電子書籍やゲームのような電子媒体だけでなく、原油や鉄板といった実物商品であっても、その気になればいくらでも大量生産は出来る(原材料が枯渇すれば話は別だが、それは別の話。象牙や鯨肉であっても、狩猟し尽くせばいずれ絶滅するが、技術的には絶滅するその瞬間までいくらでも刈り尽くせるようなものと解釈してもらいたい)。しかし大量生産自体はできるけど、その際にコストはかかるし、あまり安くし過ぎるとコスト割れする事も珍しくない。」

鼎「漫画やゲームも、その作品一つ作るにもコストはかかるし、そのコストを回収できない程の安売りはできないって事だよね。いくら無限に大量生産できるとは言っても。」

逆沢「けど現実には、原価割れでの販売も、色んな場所で行われてそうね。」

愛原「石油にしろ鉄板にしろ、採算的には相当厳しい状態にはなってるわな。たとえばアメリカがシェールオイルを採掘しだしてから、原油価格は恐ろしいまでに下落した。世界全体の需要を超過する供給量になってしまったからだ。」

逆沢「日本では全然実感ないけどね。」

愛原「リーマンショック時ですら赤字を出さなかった日本の大手商社が、下落前の原油を高値づかみしてしまったせいで軒並み大赤字状態に陥ってしまったからな。その救済の意味もあってか、日本国内に限っては、高値づかみした当時の値段から大きく乖離しない価格で国内石油小売に売買されている。ひどい話ではあるが、あくまで日本国内特有の事情で、世界的にはあくまで原油価格は価格破壊レベルで安くなっている。」

逆沢「OPECが何度も原油の生産調整をしようとしてるけど、今の所は目に見える成果は出てないみたいね。」

愛原「生産量を抑える点だけは合意できているのだが、じゃあどの国の生産量を減らすかについてで揉めているのだ。またOPEC全体で生産量を減らしても、OPECが生産量を減らしたら、その分だけOPECに加入していないアメリカのシェアが伸びて、結局アメリカが得するだけじゃないのか?という問題もある。アメリカは人件費も高めで、故に今の所はあまりシェールオイルの積極的な採掘には至ってないようだが、原油価格が一定(採算レベル)以上になれば、いつでも増産に踏み切れるように準備だけはしているからな。」

逆沢「安売り競争はしたくない。しかしライバルにシェアを取られるのはもっと嫌だって事ね。」

鼎「さっきの居酒屋の例でいえば、今の苦しい経営状態も嫌だけど、先に撤退してライバルにシェアを丸取りされるのはもっと嫌だ的な発想だよね。」

愛原「ちなみに鉄製品の供給過剰問題に関して、安倍総理が【中国が過剰生産を抑えれば問題解決!】とドヤ顔で語ってたが、中国からすれば【日本やアメリカが過剰生産を抑えれば問題解決!】な訳だから、どちらも手前勝手で中身のない解決方法でしかない。」

鼎「さっきの居酒屋の例でいえば、どちらのお店も【お前のお店が撤退すれば、問題は解決するんだよ!】と主張して、お互いに譲らないようなものだよね。」

逆沢「なる程。供給過剰問題の根幹が見えてきたような気がするわ。もう解決方法は、談合くらいしかないってか?」

愛原「居酒屋が談合して価格をつり上げても、客が逃げていくだけだ。例えば先の居酒屋で言えば、理論上、2つのお店が談合して価格を2倍にすれば、客数が半分になっても利益は1店舗体制時並に確保できるだろう。しかし現実問題として、2倍の価格で客が入ると思うか? コンビニでもハンバーガー屋でも同じ事だけど。」

逆沢「絶対無理ね。下手すると、談合前より売り上げが落ちると思うわ。」

愛原「談合なんてものは、大手電力会社などのように圧倒的な寡占状態かつ必需品でないと意味が無い。あるいは官製談合などのように買い手(役所)もグルであるか。少なくともコンビニや外食産業が談合した所で、効果はたかが知れていると思われる。」

鼎「つまりセブンイレブンだろうがローソンだろうがファミリーマートだろうが、どこも自分達のシェアをライバルに譲る気は無い。談合して店舗数を調整する事もできない。その結果、供給過剰状態になってるって事だよね。」

逆沢「で、その結果、ブラックバイト達も増える一方になっていると。」

愛原「ブラックバイト問題で厄介なのは、人件費うんぬん以上に、【なかなか辞めさせてもらえない】労働環境の方だろうな。コンビニにしろ外食産業にしろ、業界自体が供給過剰なので、その分だけ労働環境はどうしても悪化して、故に新しいバイトがなかなか入ってこないから、その分だけどうしても、経営サイドからの圧力は厳しくなる。」

鼎「大学の試験の日まで強制的にバイトにかり出されて、留年という例も後を絶たないそうだよね。辞めたいと言っても、代わりのバイト(という名のイケニエ)を連れてくるまで、絶対に辞めさせてもらえないとか。」

逆沢「供給過剰だから、人件費にも圧力がかかって、労働環境も悪化せざるを得ない。そしてその悪化した労働環境の元でも労働者を無理矢理つなぎ止めておかないとまずいから、あらゆる心理的・経済的圧力を加えてでも、その劣悪な労働環境に無理矢理縛り付けようとする。そして業界自体が既に供給過剰で似たような経営状態だから、今までの労働ノウハウを活かして別の同業に転職しようとしても、目に見えた待遇改善が見込めず、それも劣悪な労働環境に縛り付けられる一因の一つになっていると。」

愛原「この供給過剰というのは、近未来を考える上で大きなポイントになるかも知れないと、俺は考えている。昭和の頃によく取り上げられていた理想の未来像にも、【欲しいものが割と簡単に手に入る】ような理想の社会像があったように思えるが、これは半分は事実であろう。確かにモノは手に入りやすい世の中になったと思う。江戸時代までは当たり前のようにあった飢饉のような災害も今では(少なくとも日本では)想像できないし、物不足で常に悩むような時代では無くなった。」

鼎「けど何でかな? 今は中流層ともいえないような層の人が昔よりずっと増えた気がするよね。特にアベノミクスが始まって以来、非正規問題とかも浮上してより深刻化してるというか。」

愛原「供給過剰という事は、これ以上、市場規模を大きくしても儲けは増えないのに、市場規模を大きくした分だけ、余分に経費だけがかかる世の中になっているという事。でもって余分にかかった経費を穴埋めする為に、誰が損をかぶるか? かつて中流といわれた層も含めて、多くの小市民が負担させられているという事だろう。先の居酒屋のたとえを、もっとマクロレベルに拡張してみればなる程と思えるぞ。」

鼎「マクロレベルでというと?」

愛原「居酒屋が1軒しかなかった時代では、仮に5人の従業員が月20万円で働いていたとしよう。しかし2軒に増えた事で、域内の従業員が2軒分併せて10人に増えた一方で、その10人が各月10万円で働くような状態に変わった訳だ。」

逆沢「あー、いくら売り上げが半分になったからと言って、店を回すのに必要な従業員の数はそう変わらないもんねー。営業時間を縮めたり、商品を客に出すまでの時間を大幅に伸ばせば別だけど、そうでなければせいぜい5人を4人にするのが精一杯かな?」

鼎「で、売り上げだけは半分になるから。仮に家賃や光熱費などをある程度抑えられたとしても、それでも人件費も同程度は落とさないと採算取れないから、そうすると仮に従業員を4人に減らしても、月12.5万円くらいまで減らさざるを得ないんだよね。」

愛原「客の数が減れば、多少は仕事は楽になるかも知れないが、営業時間が変わらなければ、拘束される時間自体は変わらない。仕事量が減ったからといって、5人の従業員を4人に減らせば、減った1人分の仕事を残った4人で回さざるを得なくなり、トータルでは仕事量が増える可能性もある。」

逆沢「知ってる会社で、そんな所あるわ。今まで2人でやってた仕事を、経営難から1人リストラして1人だけでやらせるようにした結果、その残った1人がオーバーワークでパンクしたというか。」

愛原「マクロレベルでみた場合、社会全体で必要とされる労働量が倍近くになるのも問題だ。今までは5人の労働者で地域の居酒屋業界を回してきたのに、店が倍に増えた事で10人(無理しても8人)の労働者が必要となってしまう。また1軒のお店で地域内の労働需給バランスも取れていたのに、必要な労働者数が2倍になれば、当然労働者数も足りなくなるから、そうなると労働者の奪い合いが起こって【なかなか辞めさせてもらえない】ブラック状態にもなり、さらにヤバい。」

鼎「ふと思ったんだけど、月20万円貰っていた人が10万円くらいしか貰えなくなったとしたら、生活環境も当然悪くなるよね。たとえば専業主婦の奥さんがいるとすれば、その奥さんにも働き出てもらわないとつらいというか。」

愛原「良く気付いたな。幸いにして、その受け皿はあるぞ。居酒屋の数は倍になったから、そこで働けばいい。」

逆沢「ちょっと待て。つまり昔なら、旦那が稼ぐ月20万円で回っていたのに、居酒屋が倍になった事で、夫婦共働きで月10万×2=20万になった。つまり一人余分に働いて稼ぎそのままって事じゃんか?」

愛原「そうだ。これが供給過剰社会の全カラクリだ。仮に日本全体(あるいは世界全体)の市場を倍にしても、パイの大きさが変わらなければ、一人あたりの稼ぎが減るだけ。仮に今まで1000万人の労働者が一人あたり月30万円ずつ稼いでいたとするなら、その市場規模が倍になる事で、2000万人の労働者が一人あたり月15万円ずつ稼いでいる状態になるだけ。」

逆沢「ひでーな、おい。失業者が増えすぎて困ってるような状態なら、ワークシェアリング的な発想でそれもアリだとは思うけど、労働力不足といわれる時代にそのやり方はおかしいだろ?」

鼎「本来なら半分の労働者の数で十分に経済を回していけるのに、無理に市場規模だけを広げると、一人あたりの稼ぎだけがその分減るって事だよね。そして労働者不足によってブラック化が進むと、過労死させられたりする人の割合も増えてますます悪循環化すると。

愛原「市場規模が広がると、供給過剰の業界も増えるが、逆に供給不足の業界も増える。電車通勤の人が増えれば、それだけ走らせなければならない電車の本数も増えるし、車通勤の人が増えれば、それだけ道路が傷むのも早くなる。家庭を守れない人が増えれば、保育所や塾や介護施設もより多く設置しなければならなくなる。つまり運輸、流通、建設、介護、医療福祉など、あらゆる業界で労働者がより多く必要になってくる。働く時間が増えるという事は、今まで家庭でまかなえていた事が時間が足りなくなってできなくなるという事でもあるからな。」

逆沢「そして、ただでさえ足りない労働者がますます足りなくなってくると。」

鼎「普通に回っているお仕事を、供給過剰になるまで規模を広げた結果、労働者が足りなくなって、労働者が足りなくなった結果、そのしわ寄せが他の業界にまで及んで、さらに人が足りなくなってって、すごく悪循環だよね。」

逆沢「それでも、労働量に見合う稼ぎが得られるなら、普通に景気が良いって話になるんだろうけど、実際はパイの奪い合いなだけだから、業界全体の労働者が増えた分、労働者一人あたりの儲けはむしろ減る一方なのよね。」

愛原「OPECだけで原油の需給はまかなえてたのに、そこにアメリカがシェールオイルひっさげて原油市場に参戦した結果、原油市場が暴落したように、需給バランスが取れている所に、いたずらに供給量だけを増やすと、市場のバランスを狂わせる源にしかならないからな。」

逆沢「とはいえ、テレビ業界を中心に回っていたメディア部門に、インターネットが新たに参戦したからといって、即インターネットが悪とはいえないけどね。」

愛原「その通り。それこそが自由競争の醍醐味だからな。娯楽産業も、戦前から戦後、昭和から平成と、時代によって進化と洗練が進んでいるが、それ自体は決して悪ではない。アメリカがシェールオイルひっさげて参戦して来た事も、地球全体にある原油の埋蔵量全体の事を考えれば朗報だろう。供給過剰になったから、新規参入組を拒むのが正しいなんて事は、これっぽちも思わない。そういうのは中世のギルドなり、田沼意次的というか、非常に古く閉鎖的かつ危険な考え方だ。」

鼎「じゃあどのようにして、問題を解決していけばいいのかな? 神の見えざる手を期待して放置しておくと、ますます社会全体が疲弊していきかねないし、まして1億総活躍ならぬ1億総動員状態になろうものなら地獄だし。」

愛原「供給過剰化した結果、市場から見放されたところが撤退に追い込まれても、それは残念ながら仕方ないと思う。石炭産業にしても造船業にしてもそうだが、時代によって衰退産業というのはあって、それを無理矢理存続させるのは、貴重な労働力の無駄遣いでもないし。同様に負ける会社、負けるお店というのにも、それなりの理由があるはずだから、それ自体は関係者からみれば無念極まりない話でも、縮小・廃業は仕方ないだろう。少なくとも、逆沢が触れたような禁断の手法を使ってまで、無理矢理存続を企むのは、社会全体にとって害悪でしかない。」

鼎「ブラック企業が真っ当な企業を淘汰するような例は、絶対にあってはならないって事だよね。」

愛原「そう。先の居酒屋の例で言えば、確かに一方がブラック化する事によって、より安い単価で客に商品を提供することができれば、生き残り競争で優位に立つ事ができるだろう。もしかしたらライバルを廃業に追い込むことで、生き残り競争に完勝できるかも知れない。しかし普通に考えて、真っ当な会社が先に潰れて、悪徳な会社が生き残るような社会がまともといえるだろうか? 正直に中国産と表記するお店が潰れて、日本産と偽造表記するようなお店が勝つ事が世の中の為になるのか? 手抜き工事上等の会社ばかり生き残るようで、まともな技術力の継承ができると思っているのか? 政治家や公務員にキックバックする事でボロ儲けを企むような企業だけが勝ち残るような社会が健全といえるのか? 労働者を奴隷同然に扱う企業がスタンダードになるような社会がまともといえるのか?」

逆沢「しかし今の流れで行くと、【悪貨は良貨を駆逐する】じゃないけど、悪い企業だけが生き残りそうな気がしてならないわ。政治家や官僚達も、それらと一切癒着せず真っ当に商売する企業よりも、日頃から持ちつ持たれつの便宜を図ってくれる企業を優先しそうだし。」

鼎「私達だって、同じ製品だったら、少しでも安いお店を選びたいし、そこが普段どんな経営をしているかどうか分からないから、結果的に悪徳企業をアシストしちゃってる事もあるよね。」

逆沢「安くていいなと思ってたら、実は品質偽造をしていたり、ブラック状態だったり、逆に割高なくせにやたら儲けてると思ったら、与党政治家と癒着していたり、色んなケースが考えられるけど、それらを事前に見抜くのは難しいしねー。」

愛原「故に、俺としては、自由競争の結果、どこかが負けるのは仕方ないにしても、悪徳企業が生き残らないようにする工夫だけは必要だと考える。」

逆沢「品質偽造とか手抜き工事は論外として、労働者や下請けを圧迫する事で利益を上げようとする企業などを強く規制すべきって事ね。」

愛原「たとえば賃金規制を強化するだけでも、供給過剰は十分に抑制できると思われる。賃金規制が強化されれば、採算が取れない企業もたくさん出てくるだろうから、それらが一斉に撤退していく事で、供給過剰も抑えられるだろうし。」

逆沢「つまり仮に、コンビニが多すぎると感じるならば、コンビニの最低賃金を上昇させる事で、コンビニの数自体を無理矢理減らす事で、需給のバランスを取るという発想ね。需給のバランスが取れればお店の採算性もアップするし、労働者の待遇も改善されやすいという事で。」

鼎「トリクルダウンと正反対の発想だよね。安倍政権は、先に円安誘導などの手段により無理矢理インフレにすれば、物価も自然と上がり、物価が上がれば、いずれ最終的に賃金も上がるという論法だったかな。ただ賃金より物価だけが上がった分、生活もより苦しくなった印象しかないけど。」

逆沢「為替差益を利用できる一部の大企業だけが、それを利用して収益を上げて、その収益をそのままタックスヘイブンに移して終わっただけの印象だわ。」

鼎「その結果に対して、かつて小泉内閣でトリクルダウン理論をアシストしてた竹中平蔵さんが、低金利のデフレの今の日本に大企業が収益を再投資するのは非合理的だから、現段階でトリクルダウンが起きないのは当たり前みたいな発言をしていたよ。」

逆沢「意味分からねえぞ、竹中平蔵。少し前までトリクルダウン推奨してたくせに、いつの間に宗旨替えしたんだよ?!」

鼎「つまり竹中さんの主張では、大企業を先に儲けさせる事でトリクルダウンが起きるんじゃなくて、日本が豊かになれば大企業が日本に再投資するようになるからトリクルダウンが起きる。だから日本が豊かになるその時まで安倍内閣を応援しろって話かも知れないけど。」

愛原「円安だった一時期に、【自分達は関係各社に工賃の切り下げなどで協力してもらいながら、少しでも利益率を上げられるよう企業努力する事で、政府が要請する賃上げにも協力しているのに、下請けは利益率を上げられるような(品質向上などの)企業努力もせず、賃上げにも応じず、アベノミクスの足を引っ張っている】みたいなコメント記事を見たような記憶があるが、正直吐き気がしたわ。」

逆沢「下請けに無理強いする事が企業努力なら、ブラックバイトや非正規労働者を酷使するのも、立派な企業努力だわ。つうか自分達は他人を酷使しながら、酷使している本人に対して【お前らは努力しないから給料が上がらないんだ!】と言ってるようで胸くそ悪いわね。」

鼎「正社員が、同一労働している非正規社員に向かって【お前らは努力不足】と切り捨てて、厳しい労働環境を正当化しているようなものだよね。」

愛原「結局、大企業が下請けからパイをさらに搾取しているだけなんだよな。大企業は下請けからパイをさらに奪い取る事で、利益率を上げているかも知れないが、そのしわ寄せは当然下請けに被さってくる。それだけでも悪質だが、パイを奪った当人に向かって【なんでお前らは、パイを大きくする努力をしないんだ!もっと働け!】と言ってるようなのがさらにまずい。」

逆沢「その調子だと、仮に下請けが技術革新などに成功してパイを大きくしても、大きくしたパイの分だけ、さらに大企業が搾取しそうね。でもって【お前らは努力不足だから給料が増えないんだ。給料を増やしたければもっと働け!】の以下ループと。」

鼎「ブラック企業で働いている労働者の人達も、大半は似たような環境のような気がするよ。実際には、どれだけたくさん高齢者の介護を続けようとも、あるいはお店のレジ打ちを続けようとも、それで職場の儲けが倍増するわけでもなければ、給料が大幅に改善される見込みもなく、最終的に使い捨てられるというか。」

逆沢「コンビニの店員が、いかにレジ内の速度を早くしようが、あるいは掃除を丁寧にしようが、それだけで売り上げが急激に増えたりする訳じゃないからねー。努力して何とかなる世界ではないと思うわ。」

愛原「供給過剰状態なのに、未だに拡大志向をやめられない企業だらけだから、こういう問題が起こる。中国などの発展途上国なら拡大志向も分かるけど、既に経済的にもピークも越えて、人口減に向かっている国で、供給過剰を促進させる拡大志向なんて自殺志向にしか思えない。」

逆沢「アメリカ軍にどんどん追い詰められているのに、インド侵攻とか、さらなる戦線拡大をやめられない旧日本軍のようなものね。自ら破滅に突き進んでいるというか。」

鼎「既存施設を多く使う事で世界一コンパクトなオリンピックを実現すると言っていたのに、国立競技場をはじめ、たくさんの施設を建て替えるように変わってるのもそうだけど、今の日本も、やたらに拡大路線に突き進んでいる気がしてならないよ。」

逆沢「これだけ労働者環境が悪化していても、有力企業による拡大路線は止まらないし、政府も一億総活躍とか、市場規模の更なる拡大を促すような政策ばかり打ってくるし。」

愛原「逆なんだよな。本来は、禁断の手に頼らないと存続できないような企業などをいち早く廃業に追い込むなどして、供給過剰を是正すると共に、本来の健全な労働環境を取り戻さないといけないのに。」

鼎「近未来世界を創造する上で、今のような経済状況はまさに重要な分岐点にあるといえそうだよね。去年の7月に【正論を用いない説得工作】の項目で取り上げたけど、悪貨が良貨を駆逐した結果、悪い奴ほど成功できる一方で、大半の大衆が搾取されるだけの世の中になるか? あるいは正統派ファンタジーのように悪玉が駆逐される事で最悪の事態だけは免れる事ができるか?」

逆沢「多くの大衆が期待する明るい未来に近づくか? あるいはディストピア近未来ファンタジーみたいになるか? まさにその分岐点にさしかかっているといえそうね。」

愛原「現代はもう、作ったら作っただけ売れるような時代ではない。むしろ限られたパイをどう配分するかが重要な時代に変わっている。飢饉などのような深刻な物不足が発生しにくい時代なだけに、適切にパイを配分できれば、多くの人が飢え死ににするような事はそうそうないだろう。というか昭和の時代でも、共働きをするまでもなく家計をしっかり維持できた家庭は少なくない。というか昔の方が、国民一人あたりの年間労働時間という意味ではずっと余裕があった。」

逆沢「そうなのよねー。国民一人あたりの年間労働時間という意味では、昔の方がずっと少ないのよね。それでもそれなりにやっていけた訳だけど。」

鼎「今では夫婦共働きも増えて、高齢の労働者も増えて、一人あたりの労働時間はずっと増えてるはずなんだけど、失われた20年と言われた時代の間、大して経済は成長してないから、実質的には労働効率は落ちているんだよね。働く時間は増えたけど、儲けは時給にすればずっと減っているというか。だから世界的にも、今の日本の労働効率はすごく悪いと評されるわけだけど。」

逆沢「供給過剰時代なのに、人々の生活は逆に苦しくなっているって訳分からんわ。」

愛原「いくら供給過剰の豊かな時代といえど、誰かがパイを独占しようとしたら話は別という事だろう。モノは余っているが、それが行き渡らない。むしろネットカフェ難民だの、過労死寸前の過重労働者だの、最低限度の生活すらできない者が増えている。」

鼎「供給過剰時代なだけに、その気になればみんなにそれなりの生活をさせてあげる事も可能なのに、ハードな長時間労働をしないと生活できない人が少なからずいるなど、富の偏在が大きすぎるのは問題だよね。同じ労働内容なのに、あるいは正規か非正規かというだけで倍以上の所得格差があったりとか。」

逆沢「非正規というだけで、どれだけ真面目に働いても半分の給料とか、もう身分格差以外の何者でもないだろと思うわ。」

愛原「近未来SFでも、差別が解消されないが故に、とんでもなく貧しいというか、過酷な環境に置かれている人達と、逆にユートピアのような世界に生きる人達に社会が分断されている世界の作品もある。物質的には既にみんなを幸せにできるだけの状態になっているのに、誰かを不幸せにしたくてたまらない人達が、常にそれを妨害しているわけだな。」

逆沢「そういうのは大体、貴族か歪んだ努力至上主義者の考え方ね。【愚民の分際で安定した生活を望むなんて許せない。あるいは努力していない者まで人並み以上の生活をするなんて許せない。故に一定割合の大衆は、常につらく貧しくあるべきだ】みたいな。だから生活保護受給者や障害者達がちょっとリッチな旅行をしたり、高価な物を買ったとすれば、【税金で生きてるくせに人並み以上に贅沢するなんて許せない!】みたいな心境になったり。」

愛原「生活保護費や障害者年金の不正受給に関しては大いに問題にされるべきだが、その受給内容が適正である限りは、俺としてはそのお金を何に使おうと自由だろうと思うけどな。少ないお金を長年コツコツ貯めて、念願の豪華旅行で散財しても良し。株などに投資して巨万の富に替えても良し。逆にパチンコや競馬やお酒ですりつぶすのも自由。人に迷惑かけない限りはな。物質的に足りない状態なら、それを全員に配るのは不可能だが、逆に供給過剰なら、それをみんなに配ってもいいんじゃないかと俺なんかは思う。もちろん内容にもよるけど。」

鼎「米や野菜なんかの場合は、いくら季候が良くて例年よりたくさん取れても、あまり多くの量を流通させると、価格が暴落してかえって農家の収益が悪くなるから、一部を市場に流通させないで廃棄する例もあるらしいよ。」

逆沢「石油や鉄板と同じ考え方ね。理論上はいくらでも市場に流通させられるけど、それをやると価格が採算割れラインまで暴落しかねないから、あえて生産量や流通量を絞るみたいな。」

愛原「逆を言えば、それを配ったからといって市場経済に大した影響を与えなければ、製品の無償提供というのも、割と頻繁に行われていたりする。たとえば日本国内に置いても、廃棄するしかないようなボロ船とか、規格から外れた不良品でも、外国では喜ばれる事があり、そういうのは壊す費用にカネかけるよりも、引き取ってもらった方が得になるから、積極的に無償で提供したりとかな。」

鼎「図書館などに置いてある新聞などに関しても、そういう考え方もあるらしいよね。図書館で新聞を読むような層は、仮に図書館に新聞を置かなくしても、どっちみちそれで自宅でその新聞を買うように変わる見込みはないだろうから、経済的に何の悪影響もないみたいな。」

愛原「ゲーム業界にも、ごく一部ながら、古い作品の無償配布にチャレンジしているような粋な所もある。これも古い作品だからどうせ売り続けてもさして追加利益は期待できないし、それよりは無償配布する事で宣伝効果を狙った方がマシという判断かも知れんな。」

逆沢「ゲームや電子書籍なんかは、理論上は地球上の全てのネットユーザーに、無償でばらまくことも可能だしね。ウチに置いてあるゲームもそうだけど♪」

愛原「電子データでしかないから、倉庫いっぱいの不良在庫で頭を抱える不安もないしな。たとえ10円でも買ってくれない層に対しては、宣伝効果も狙って、あえてタダで配布するという選択肢も、俺は普通にああっていいと思うぞ。」

鼎「高速道路なんかでも、本来は建設費用分を回収できた時点で無料化する方針だったらしいし、その考え方にならって、一定以上の売り上げが出た漫画や小説やゲームに関しては、フリー(無料)にするという考え方も面白いと私は思ったかも。」

愛原「今の所、現実的なアイデアではないが、供給過剰社会というテーマに即して考慮するならば、将来的にあってもいい考え方ではあるわな。医療品などにしても、ジェネリックといって一定以上の年数を過ぎた医薬品の特許が消える事で、他社が特許料を気にすることなく安く製造できているような例もある。」

鼎「特定企業が特許を持っている内は、その企業が独占販売できる事もあって、値段も高くなりがちだけど、特許さえ消えれば、どこの企業でも自由に作れるようになるから、安く提供できるって論理だよね。そうなると貧しい国の人達や、私達のような庶民も、安い薬の恩恵を受けられるから、すごくありがたいよね。」

愛原「これも供給過剰社会の良いところだな。我々現代人は、その気になればいくらでも製品を大量生産できる為、社会がその気になれば、貧しい人達にも必要なものがちゃんと行き渡る。」

逆沢「にも関わらず、過労死やブラックバイトが後を絶たないのは、社会がその気になっていないからだけなのかもね。みんなに必要な物が行き渡るような世の中を望んでいない人達が、為政者を中心に少なからずいるというか。」

愛原「為政者というのは、常に大衆に労働を強制したがるものだからな。デモの発生確率と労働量は比例するという話もあるし。」

逆沢「無理矢理にでも労働させておくことで、デモを起こす暇すら与えないって事かよ♪」

鼎「そうじゃなくても、ごく普通に他人を見下したい人というのは、いるよね。そういう人は、常に誰かを下に置きたいし、下の人間が人並みに生活していると、それすら生意気に映るだろうから。だから同じ労働をしていても、相手が非正規だと思ったら、それだけで【非正規であるあいつが俺と同じ待遇なんて生意気だ】みたいな発想になったりとか。」

逆沢「【非正規なんだから、生活が苦しいのは当然。労働時間が長いのも当然。非正規の分際で、俺と同じ給料になったり、俺と同じ労働時間になったら、その方が余程逆差別だ】的な考え方ね。非正規の部分を、中卒高卒とか、障害者とか、女とか、コンビニ店員とか、建設作業員とか、飲食店員とか、田舎者とか、ノンキャリアとかに置き換える人もいるだろうけど。」

愛原「プロ野球の外国人選手にしてもそうだけど、いつクビになってもおかしくない臨時職員の方が(同じ労働内容の場合)むしろ給料が高くなる方が、世界的にはスタンダードなんだけどな。」

逆沢「日本人特有の差別意識なのかねー? たとえモノが余ってても、自分より下の人間にそれを与えたくない(or下の人間に恵むくらいなら、捨てた方がマシ)というのは。まぁ何にしろ、物が余ってるのに行き渡らない世の中というのも、変な話だとは思うわ。」

愛原「程度にもよるが、過度の経済格差は市場規模自体も狭めるからな。仮にミカンやリンゴを高価と感じる世帯が増えれば、当然のことながら、ミカンやリンゴの売り上げも下がり、結果的にミカンやリンゴの農家の売り上げも減り、ミカン業界やリンゴ業界全体の市場規模も狭める事になる。漫画本やゲームや音楽CDや新聞などにしてもしかり。それを高いと感じる大衆が増えれば、その分だけでもそれらの市場は狭くなっていく。」

逆沢「今の日本が、経済成長から取り残されているのは、中間層が減って、貧しい人達が増えた結果、果物を買ったり、漫画を買ったり、映画を見に行ったり、新聞を取ったりといった、ごく些細な贅沢すらできない世帯が増えたせいかもねー。」

鼎「貧しい人が増えた分、市場規模は小さくなっているのに、供給量だけが増えたら、ますます経済成長的に厳しくなるのは当たり前の話だよね。」

愛原「今の世の中は、有志が作った無料のweb小説やフリーゲームもあるくらい、モノに恵まれた供給過剰の世の中のはずなんだが、それを味わう時間的、あるいは精神的余裕もない時代にもなってるとすれば、それはすごく残念な話だとも思う。そこまで大衆を追い詰めないで欲しいとも。」

鼎「モノは余っているのに、それを利用することも出来ないなんて悲しすぎるよね。足りなくて利用できないならともかく、余ってるのに、利用できないなんて。」

愛原「ミカンもリンゴもそうだし、漫画でも音楽でもゲームでも何でもいいが、そういうものができるだけ広く行き渡るような世の中であって欲しいなと思う。物不足の世の中と違い、モノ自体はむしろ余り気味なんだから。」

逆沢「電子データとかなら、本当に無限だしね。その気になれば1億人にも配れるし♪」

愛原「ウチのゲームも、別に1億回ダウンロードしてもらっても構わないぞ。」

逆沢「1億円ならともかく、千円もらっても、ダウンロードしたくないって人ならいるんじゃね?」

愛原「むごいけど、好みが分かれそうだから、否定できないのは事実だな。だがまぁ冗談はさておくにしても、図書館などタダで利用できるモノも利用できない程に時間を拘束されたり、ちょっとした贅沢もできないほど、貧しい環境に置かれるような世の中は、さすがに残念に思う。」

鼎「近未来SFでは、科学的には進歩している世界も多いけど、それをみんなが享受できる世界なのか、一部の特権階級だけが利用できる世界なのか? 現実世界ではできるだけ前者であって欲しいよね。」
















過去のたわごと 
      9月18日 血筋
2016年 9月4日 統一されるべき尺度 8月21日 暑さと寒さ
8月7日 (優秀な)下っ端 7月24日 超便利社会=超疲弊社会
7月10日 社会的弱者を量産し、彼らを悪の先兵に誘う者  6月26日 少子化社会という舞台
6月12日 有事法制(緊急事態における法のあり方) 5月29日 悪のセレブサロン 
5月15日 成功者が成功後にやりたいと思うこと 5月1日 ゲーム世界とリアル世界の違い
4月18日 過去に戻ってやり直すということ 4月3日 八百長 
3月20日 異邦人(外国人労働者) 3月6日 陣形
2月21日 功績泥棒 2月7日 三国志13をプレイ
1月24日 裏切り者 1月10日 善政家
2015年 12月27日 精神〜命よりも大切なもの 12月6日 独立戦争 
11月23日 ジャーナリスト 11月8日 精神力 
10月25日 優しい指導者  10月11日 助けを求める人たち 
9月27日 兵站 9月13日 善玉が起こした悪事や不祥事
8月30日 カイゼン 8月14日 盗作・ゴースト
8月2日 表稼業 7月20日 正論を用いない説得工作
7月5日 ディストピア 6月21日 財政破綻
6月7日 防諜 5月24日 サイコパス
5月10日 戦犯 4月26日 ハト派とタカ派
4月12日 不遇な先駆者 3月29日 プロギャンブラー(バクチで生計を立てる人)
3月15日 世界の管理者という名のラスボス 3月3日 命令コマンド
2月15日 攻略本・攻略サイト 2月1日 お遊びコマンド
1月18日 精神異常状態 1月4日 NPCの選択判断ルーチン
2014年 12月14日 男女キャラクターの比率 11月30日 不安と安心の役割
11月16日 現実主義者の正体 11月3日 アイテムゲット
10月19日 真相にたどり着けない者 10月5日 挫折
9月14日 嫌いだけど素晴らしい人達 9月7日 売れている作品と面白い作品の違い
8月24日 援軍 8月3日 ブラゲとパケゲ
7月20日 根性論と科学的知見に基づいた肉体改造 7月6日 ディスリスペクト(軽蔑・disり)
6月22日 あやかり系主人公 6月8日 中毒
5月25日 箱庭ゲーム 5月11日 ダブルスタンダード
4月20日 偽りの理想郷 4月6日 防御力
3月23日 自分用ゲーム作り 3月9日 育成する指導者、選別する指導者
2月23日 忠誠 2月9日 変化するキャラクター
1月26日 一芸職人VS器用貧乏 1月11日 評判
2013年 12月23日 身分制度 12月8日 陰謀
11月24日 秘密 11月10日 努力が報われるゲーム
10月27日 ゲームの自由度について 10月13日 出来の悪い二代目
9月29日 怒り 9月15日 撤退戦術
8月30日 ヒール(悪役) 8月15日 覆水盆に返らず
7月28日 予知・予測 7月13日 かつてのヒーロー
6月30日 覚醒(新能力発現・急成長) 6月15日 犠牲
6月3日 単独開発 5月19日 ダメ人間
5月5日 悪徳宗教を必要とする人々 4月21日 悪の連帯責任
4月7日 3種類の立場からみた作品批評 3月24日 中立性を装った愚痴・悪口など(仮)
3月10日 人気対戦競技の条件 2月24日 幻想空間
2月10日 お金 1月27日 尊敬できる敵
1月13日 やる気・気合 12月29日 ルール
2012年 12月15日 厨二病 12月2日 売れ筋
11月17日 改心 11月4日 議論
10月21日 優秀な人材の起用・登用方法 10月7日 憎しみにとらわれた人達
9月22日 友情やコネによる人事起用の危うさ 9月8日 権力欲に取り憑かれた人達
8月19日 敗北の受け止め方〜捲土重来を期すために 8月5日 作者(表現者)が作品を通じて伝えたい思い
7月29日 人が自ら死(自殺)を決意するとき 7月15日 選択肢を選ぶことによる覚悟(リスク)
7月1日 選択肢があるということ 6月16日 宣伝と人気
6月2日 ホンネとタテマエ 5月19日 コンプガチャに学ぶ確率論とイカサマの話
5月6日 鑑識眼 4月30日 平等と競争
4月14日 公務員ヒーロー 4月1日 SF設定
3月18日 情報収集 3月3日 原発考察
2月19日 プライド 2月5日 お笑い
1月22日 ラスボスの処断方法 1月8日 創造→創作
2011年 12月30日 独裁者 12月9日 二次創作品
11月27日 万人向けからマニア向けの時代へ 11月13日 無敵能力の人たち
10月29日 正式名称 10月15日 利の人、情の人
10月3日 ポジティブ・ネガティブ 9月16日 利権
9月3日 借金 8月21日 何も変わらない事の恐怖
8月5日 発信したいオタクと共感したいオタク 7月25日 戦う地方、媚びる地方
7月17日 充電期間 7月10日 ひとそれのアンケート結果
7月2日 供給過剰気味のゲーム(&娯楽) 6月21日 東日本大震災3
6月5日 上司に反発 5月21日 修正する度量
5月14日 挑戦する勇気 5月1日 調子
4月17日 専門スキル 4月3日 東日本大震災2
3月18日 東日本大震災1 3月5日 ネトウヨと不良キャラの共通点
2月19日 信用ラインと警戒ライン 2月5日 信じられない者ばかりの世界観
1月23日 武器を交えない戦争 1月16日 しゃべらない主人公
1月7日 異世界に飛ばされた凡人 12月25日 後ろ向きな嫉妬心
2010年 12月19日no2 人それのゲーム難易度 12月19日no1 社会人型キャラ
12月11日 新作公開してから一週間 12月5日 新作ゲーム紹介
11月20日 理想と現実 10月29日 新作公開予定
10月18日 派閥 10月1日 仲間
9月19日 キャラクターイメージ 9月6日 理想を持った人間。そうでない人間
8月21日 革命後 8月8日 長編のオチのつけ方
7月24日 勇者は世直しができるか? 7月10日 全力集中プレイと長期戦略プレイ
6月27日 RPGのチームバトル 6月13日 傭兵団
5月29日 相手の思考をよんでみよう 5月14日 扇動する者、される者
5月7日 こっそりアンケート設置お知らせ、ほか 5月3日 地方を主人公の舞台にしてみよう
4月17日 コンピュータは人間を上回れるか? 4月2日 政権交代から6ヶ月が過ぎて
3月22日 フィクション 3月12日 困ったパーティメンバー
2月21日 責任 2月6日 教育
1月23日 トップダウン式製作とボトムアップ式製作 1月10日 ゲーム作成スタッフ
2009年 12月25日 政権交代から3ヶ月が過ぎて 12月12日 血液型
11月29日 編集日記・編集後記 11月14日 AVG(+SLG)制作中
10月31日 シナリオ 10月18日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには2
10月3日 オリジナル 9月19日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには
9月6日 実在モデルをどこまで採用できるか 8月24日 素材?
8月14日 今時の報道スタイル 8月8日 ユーザーサポートにメールを送ってみました
7月25日 恋愛シミュレーション2の魅力? 7月11日 人気と実力
6月27日 打ち切り 6月19日 エロゲ規制強化の流れからみるゲーム考
6月6日 貴族階級 5月23日 悪の戦闘員
5月10日 異なるキャラクターの視点でみてみよう 4月24日 強者がますます強くなる・・・
4月11日 ゲームエディタ 3月29日 愛郷心
3月22日 匿名ネット社会 3月6日 暗躍する超能力者たち
2月22日 信者キャラ 2月15日 必殺技
2月1日 アンチヒーロー(悪役型英雄) 1月23日 カタストロフィーを未然に阻止しよう
1月16日 フェアな戦い 1月3日 あれから幾年後
2008年 12月28日 国盗りSLGの景気対策 12月20日 現実世界をゲーム化してみよう
12月5日 内部対立 11月29日 推理もの??
11月22日 悪人とも言い切れない罪人 11月7日 正史
10月31日 萌えない女性キャラ 10月18日 関西弁
10月5日 大阪 9月21日 避けられない強大な敵
9月7日 人気・魅力・カリスマ 8月29日 黒幕
8月23日 運と実力 8月9日 COMの思考ルーチン
8月3日 新シナリオ「HeiseiNippon」公開 7月19日 軍師
7月5日 各国の思惑を構成するもの 6月21日 催眠術
6月7日 和解 5月24日 知恵者
5月16日 千年生きてみよう 5月3日 生き残ることと勝ち残ること
4月18日 冷酷な指導者 4月5日 お金の使い道
3月15日 若さ 3月7日 性能と運用
2月29日 アンケート現況発表(質問2について) 2月22日 広報戦略
2月10日 差別 1月27日 敵のスペック

1月13日 神の加護、神聖魔法 12月30日 フリーゲームのレビュー
2007年 12月16日 国盗りゲームのパターン 12月1日 謎について
11月16日 ゲーム世界での対人設定2(その他視点) 11月3日 ゲーム世界での対人設定1(味方視点)
10月20日 レジスタンス勢力 10月5日 終盤〜エンディング
9月21日 世襲について 9月8日 悪役(ヒデブ派5隊長など)
8月24日 確率について 8月10日 セーブ&ロード
7月27日 成長について 7月15日 SRPGにおける白兵部分のゲーム的処理
6月30日 SRPGのマップのシステム 6月17日 徴収と略奪
6月2日 兵科あれこれ 5月19日 理想の君臣関係
5月4日 経済力うんぬん 4月21日 戦略ゲームと戦術ゲーム
4月6日 公開情報と非公開情報 3月24日 個人戦用の武器等
3月9日 兵士の武器 2月25日 ゲーム作りとゲーム遊び
2月11日 少数派(属性持ち)向けゲーム 1月28日 バージョンアップ

1月13日 宮田軍にてこ入れ? 12月30日 フリーゲームの宣伝
2006年 12月15日 投票・アンケート 12月1日 最強の敵
11月18日 動かしやすいキャラと動かしにくいキャラ 11月4日 デバッグ
10月22日 現代・近未来ものについて 10月6日 趣味の社会人クリエイター
9月15日 新作?の状況について 9月8日 BGMについて
8月27日 登場人物の口語表現 8月12日 女性キャラ
7月28日 主人公選択式ゲーム 7月16日 マイサイトについて
7月2日 死について 6月17日 風刺について
6月2日 シナリオタイプあれこれ 5月19日 ゲーム作りの進め方について
5月5日 ゲーム作りを始める時について 4月21日 高能力キャラの表現方法
4月8日 悪い敵 3月31日 名前について
3月18日 伝え方と伝わり方 3月12日 キャラクターのプロフィールについて
3月5日 アマとプロによる基本プロット考 2月25日 自作CGについて
2月19日 著作権について 2月12日 バックグラウンドの設定について
2月5日 SRPG95の次回作に対する期待 1月29日 分岐と自由度について
1月22日 難易度について 1月15日 勢力別能力値考察
1月8日 主人公について 1月1日 ユニットの能力値をどういじるかについて
2005年  12月30日 12月23日 12月16日 12月9日 12月2日 11月25日 11月18日 11月11日 11月5日 10月31日















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