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愛原様のたわごと(17年9月17日)









愛原「【抑圧からの解放】というのは、割と色んな作品のテーマになる訳だが。」

逆沢「ああ、要するに悪の帝国を打倒する話ね。まぁ別に帝国制である必要は無いんだけど。」

鼎「自分達が悪の帝国の一住民という立場で登場した場合は、ひどい差別を受けたり、報われない労役を課せられたり、虫けら同然に扱われたりするシチュエーションが多そうだよね。自分達が悪の帝国の住民で無ければ、その悪の帝国に侵略されている立場だったり。」

愛原「別に抑圧する対象が国家である必要はないんだけどな。ブラック企業は社員を抑圧するし、差別主義者は特定のカテゴリーに属する者を抑圧するだろうし。」

逆沢「豐田真由子議員じゃないけど、抑圧できる立場にいるというだけで、抑圧を好んでやりたがる人種というのは案外多い気もするわ。」

鼎「なんで人は、抑圧するのを止めないのかな?」

逆沢「そういう欲望が抑えられないんじゃないの? DVをやめられない人種とかも、大概そうだし。抑圧できる相手を見つければ、抑圧せずにはいられない。マウントできる相手を見つければ、マウントせずにはいられない。みたいな。」

愛原「まぁ、せっかく誰かより強い立ち位置に立てるなら、わざわざそれを拒否する理由はないみたいな感覚の者もいるかも知れないな。出世させてあげるというなら拒む理由はないみたいな感覚で、都合のいい奴隷を作るチャンスがあるなら、それを放棄する理由もないみたいなノリで。」

鼎「でも世の中、そんな困った人間ばかりでもないよね。もっと他人との協調や思いやりを大切にする考えの持ち主も多いだろうし。」

愛原「【天は人の上に人を造らず】ではないが、人が人を一方的に抑圧するような世の中を忌避する側に属する者も多くいるのは事実だ。ちなみにこの【天は人の上に人を造らず】というのは、日本では福沢諭吉の名言としてよく知られているが、元々はアメリカ独立宣言からの引用であり、平等主義の精神を分かりやすく表した名言でもある。」

鼎「【抑圧からの解放】というのも、要するに目指す先は平等主義社会の実現だよね。誰かが誰かを力で一方的に抑圧するような世の中からの解放を目指すものだから。」

逆沢「でも歴史を振り返る限り、なかなかそうはならないケースの方が多そうだけどね。腐敗した王朝をどれだけ倒しても、後にできるのは大体前王朝に似たものばかりというか。」

鼎「たまにフランス革命とか、共産主義革命とか、前体制を根幹から否定するような大革命が実現される事もあるけど、それでもなかなか理想通りの展開にいかないようなイメージもあるよね。」

愛原「理想の期待値が高すぎるというのもあるだろうけどな。大きな変革を行えば、どうしても過渡期特有のひずみは生じるし。その過渡期特有のひずみを忌避して、時計の針を逆に回すのは実に愚かな事だと俺なんかは思うけどな。明治維新なんかでも、士族が大規模な反乱を何度も起こしたり、テロリスト化したりもしたが、それに屈して幕府の時代に戻すなんて論外だろうし。」

鼎「大きな変革をするという事は、既得権益を失う人が多数出るという事でもあるだろうから、大規模な反発は避けられないだろうけど、それを怖れて既得権益層をいつまでも守り続けていては、世の中は何も変えられないよね。」

愛原「冒頭にとりあげた抑圧行為にしても、それ自体が一つの既得権益であるからな。誰かを抑圧して厳しい労役を課したりする事で、利益を上げていた層からすれば、その権限を簡単に取り上げられたら困る訳だ。」

逆沢「月80時間のサービス残業を従業員に強要する事でかろうじて利益を確保していたような経営者からすれば、サービス残業の撤廃は経営破綻を意味する以上、決して応じられないみたいな感じね。」

鼎「士族の反乱も、その延長といえそうだよね。農民が収めていた年貢などで生活を維持していた人たちからすれば、それを取り上げられるのは生活の破綻に直結しかねない一大事だから。」

愛原「抑圧される側、搾取される側からみれば、抑圧からの解放は世の中の正常化に過ぎないが、誰かを抑圧したり搾取する事で生活を維持していた側からすれば、生きるか死ぬかの一大事だからな。誰かに鞭を振るう事で飯を食っていた人から鞭を取り上げようとすれば、反発されるのは当然かも知れない。また今の日本のような民主制国家であれば、既得権益層を持つ側は何としても現状(既得権益)を保守する陣営を支持する事だろう。」

逆沢「ん? 保守とかリベラルとか言われてるアレって、そういう意味だったのか?」

愛原「まぁ保守だのリベラルだのといった概念を、より丁寧かつ正確に説明すると、かなりややこしい事になるけどな。なぜなら言葉通りの意味から、どんどん離れていくから。」

鼎「保守とリベラルという概念は、日本とアメリカでかなり意味が違うし、欧州とか新興国も混ぜると、尚更訳の分からない分類になるよね。」

愛原「リベラルの本来の意味は自由だが、アメリカでは保守陣営=新自由主義みたいなところがあるし、日本の新自由主義者も大体自称保守が多い。その一方で、伝統という名の古くからのルールを固守しようとする者も、大体自称保守だ。で、新自由主義者と伝統主義者という水と油のような両者を結びつけているのが、既得権益の保守という共通認識。伝統主義者は、伝統を現状維持する事で既得権益を守ろうとするし、新自由主義者は各種規制を撤廃することで、弱肉強食の自由競争システムを広げる事で格差の固定を促し、既得権益を守ろうとする。一方のリベラルは、法規制による積極的平等主義を実質的に指す場合が多い。これは国が積極的に口出し(関与)する事で、格差や差別を無くすべきだという方向性であり、この点では世界のリベラルは大体認識が一致すると思われる。」

鼎「リベラルと保守が対立するのは、格差や差別を肯定的に捕らえているかどうかで、真っ向から対立するからだよね。リベラル陣営にとっては、格差や差別は明確な悪であり、国が積極的に関与してでもそれを抑制すべきものと考える。しかし身分格差や各種差別(男女差別・職業差別・人種差別・障害者差別など)を許容する伝統主義者からすれば、そういう格差や差別を無くそうという動き自体を好ましく思わないから、必然的にそういう格差や差別が残る現状を維持する保守を支持するし、新自由主義者は新自由主義者で、弱肉強食の自由競争の結果、格差が広がっても当然と考えるから、やはり保守陣営を支持すると。」

愛原「差別主義者にしろ、ブラック企業の経営者にしろ、彼らは法による規制とやらで【抑圧からの解放】をされたら困ると考えているからな。必然的に反リベラルとしての保守を支持する形になるだろう。KKKのような差別主義者からすれば、格差のない社会自体を嫌悪しているから、国が積極的に関与してまで格差を潰そうとするような社会になったらたまらないと考えるだろうし、ブラック企業の経営者のようなタイプも、やれ最低賃金法だの、やれ労働基準法だのといったもので、労働者の待遇を縛られるような社会は好まないから、力のある者は何をやっても許される的な新自由主義に惹かれやすいというのはあると思われる。」

鼎「こうして保守とリベラルの関係を振りかえると、真の自由というか、平等な世の中というのは、国家のような大きな存在による規制なくしては実現しないような気がしてきたかも。」

愛原「それはあるかも知れない。大体、規制の存在しない自由を目指すと、その先には新自由主義を超えた無政府主義(アナーキズム)に行き着くだけだし、要するに北斗の拳の世紀末ばりの無法国家と変わらなくなるからな。豐田議員じゃないけど、世の中には【他人をマウントできる力があるなら、マウントしない手はない】的な思想・欲望の持ち主も多い。自由には、マウントする自由とか、抑圧する自由、搾取する自由、他人の自由を奪う自由なども含まれる事があり、そんな自由まで容認すると、結果的に自由のない社会になる危険もあるわけだ。」

逆沢「【他人の自由を奪う自由】か。なる程、自由こそが自由を奪う可能性があるわけね。」

愛原「ある意味では、古代・中世の方が、今よりもずっと自由だったと言える。力ある者が、自分に都合のいいルールを一方的に押しつけられる自由すらあった訳だから。他人の自由を奪う自由。他人の権利を奪う権利を行使することで。」

鼎「そういうある種の権力者の横暴にくさびを打ち込んだのが、立憲主義とか平等主義という考え方だよね。」

逆沢「安倍総理は、立憲主義に批判的みたいだけどね。まぁ、自称保守なら自然とそうなるのかも知れないけど。」

愛原「さて冒頭の【抑圧からの解放】の話に戻るが、この平等主義という概念を無視して【抑圧からの解放】を実行しようとすると、大体、元の木阿弥に戻る可能性が高い。なぜなら権力者のクビが差し替えられるだけの結果に終わる事が多いからだ。」

鼎「悪の帝王をやっつけて新しい国を造っても、それだけでは別の人が新しい権力者になるだけだから、どうしてもそうなっちゃう危険性は高いよね。」

逆沢「新しい権力者が善人なら、そこそこ善政が期待できるかも知れないけど、そんな事は誰にも分からないしね。」

愛原「もちろん、今の状態がひどい抑圧状態だったら、たとえ運任せと分かっていても、革命のチャンスさえあれば乗らないわけにはいかないだろう。今勤めている会社が本当にひどい状態なら、今後の求職活動や次に勤めることになるであろう会社がどんなものか分からない状態でも、とりあえず離職しない訳にはいかないようなもので。」

鼎「けど多少なりとも、自分が新しい世の中作りに関与する余裕があるなら、どういう方向を目指すべきかな?」

逆沢「そりゃあ、自分が新たな権力者の座に付くのがベストの選択じゃないの?」

愛原「つまり抑圧されている側から、抑圧する側に回るのがベストという事か?」

鼎「それ、大多数の人から見れば、支配者のクビが入れ替わっただけで、何の状況改善にもなってないよね。」

逆沢「あはは。やっぱりそうか。」

愛原「それでは世の中自体は、何も変わらないだろうな。要領のいい貴族なら、権力者が入れ替わっても、相変わらず貴族的な地位を守り続けるだろうし、大多数の平民なら、権力者がどれだけ交替してもやはり搾取される側から逃れられないだろうし。」

鼎「明治維新なんかでも、そういう傾向はあったよね。新政府がスタートしても、要人の多くは旧華族や幕臣が多くのポジションを占めていたままだったし、逆に平民から大出世を果たした人も1%に満たなかっただろうし。」

逆沢「労働者の持ちたる国として大きな理想を掲げた共産主義も上手くいかなかったし。」

愛原「上手くいかなかったと結論づけるのは、さすがに早計だと思うけどな。フランス革命も、そのまま成功したとは言いがたいが、だからといって【民主主義も上手くいかなかった。専制主義の方がマシだった】とあの段階で結論づけて切り捨てたら、今のような民主主義が全世界に広がる事は無かっただろうし。失敗は失敗で次の成功に向けた糧にすればいい。発明や研究と一緒。」

鼎「けど社会実験で済ますには代償が多すぎるし、せめて問題点は明らかにするべきだと思うよ。」

愛原「過去の共産主義における問題点は、非常に多すぎる。まず人の上に人を造った事。平等社会を目指しながら、人の上に人を造るなど論外であり、その時点で大きな誤りと言わざるを得ない。旧指導者達をどれだけギロチンにかけようが、それはかつて人の上に立っていた者を奈落の底に突き落としたというだけで、替わりの者が人の上に立ってしまったら何の意味もないからな。そして人の上に立った権力者達を引きずり下ろすシステムも構築しなかったこと。平等主義を維持するには、誰かが平等の枠からはみ出る強大な権力を持ちそうだと思ったら、いつでもそいつを引きずり下ろせるシステムが必要なのだが、それを造れなかったのも大きな間違い。そして権力を監視するシステム以前に、反権力を容認する思想の自由すら排除したのが最も致命的。」

鼎「そういえば自称リベラルの人には、反権力思想の人が多そうな印象があるかも。どんな政権に対しても、大なり小なり不平不満を言いたがる感じの人も多そうというか。」

愛原「平等社会を維持するには、常に権力を監視しづける必要があるから、それは仕方ない。というか過去の共産主義の多くがうまくいかなかったのは、指導者に対して白紙委任をして、平民自身が権力を監視するという平等主義の基本を見失ったからといっても過言ではない。逆に高いレベルの民主主義を維持している国は、デモも普通に起こすし、政権交代も頻繁に起きる。過去もしくは既存の共産主義国のような、酷い政権賛美なんかまずしない。」

逆沢「そうでなくとも、放っておいたら権力は必ず腐るしね。」

愛原「世の中には、【他人をマウントできるチャンスがあるなら、マウントしない手はない】とか【人を奴隷にできるチャンスがあるなら、奴隷にしない手はない】みたいな考えの持ち主も多い。従業員を長時間サービス残業できるチャンスがあるなら、それをみすみす逃すような経営者も多くないだろうし、隙があれば、人は人(自分)の下に人を造りたがる。そういう当たり前の現実を無視して、権力を盲目に信用するのは非常に危険だ。」

逆沢「【抑圧からの解放】というのは、誰かに白紙委任状を渡して実現できるような簡単なものではないという事ね。」

愛原「白紙委任なんかしたら、今度はそいつがお前をマウントしてくるぞ!としか言えないな。マウント好きの人間はどこにでもいる。そしてどこの国にでも、保守陣営というか、反平等主義はそれなりに強大な力を持っている。普通の人は誰でも、自分が抑圧されたり搾取される事を好まないが、じゃあ平等主義志向なのかといえばそんな事は全然なくて、抑圧されるのは嫌でも抑圧するのは大好きだという人の数はそれなりに多いのだ。」

逆沢「抑圧されるくらいなら平等な世の中の方がマシだけど、もしも自分が抑圧できる側の人間なら、平等な世の中なんて糞食らえと考える人は、案外多いかも知れないってか?」

鼎「徳川幕府時代に、えた・ひにんと呼ばれる賤民階級が平民(農民や商人など)階級の下に置かれてた事で、平民階級の不満を和らげたという話もあるけど、自分より下の人間がいると思う事で安心を覚える人は、案外多いのかも知れないね。」

逆沢「自分より下の人間がいないと安心を感じられない人からすれば、平等主義なんか糞食らえって思っても不思議はないって事か?」

愛原「白人至上主義者を始めとする各種の差別主義者の根底にある感情が、それかもな。彼らは常に、誰かを見下したがっている。見下す事で安心を感じる人からすれば、見下す対象を取り上げられるという事は安心を取り上げられるという事でもあるから、必死で抵抗するのかも知れない。」

鼎「自分が抑圧されるような立場でも、さらに自分より下の立場がいると思えれば、その人的には満足なのかなぁ?」

愛原「徳川家康は【百姓共をば、死なぬように生きぬようにと合点いたし収納申し付くるよう(農民は生かさず殺さず)】という厳しい農民抑圧政策を敷いたらしいが、それでも肝心の農民自身は、自分より下の身分がいるというだけで安心していたとすれば、それはそれでのんきなものだと思えなくもないな。」

鼎「過労死するような労働者には正社員やそこそこ高給取りの人も多いらしいけど、非正規や安月給になるよりはマシと思って無理してるのかな? 賤民階級に落とされて見下されるくらいなら、生かさず殺さずの立場でも甘んじて応じた方がマシみたいな感じで。」

逆沢「正社員や高給取りどころか、逆に自分自身がむごいニートでも、特定の外国人なり、障害者なり、特定の職業従事者なり、特定のイデオロギーの持ち主なりを見下す事で安心と優越心を感じる事も可能らしいから、(実際にその対象が下かどうかは別にして)下と思える人間がいる事で安心できる人は案外多いかもね。」

愛原「そういう人は、口先では【朝鮮人出て行け】とか【障害者はみんな死ねばいいのに】みたいな事もよく言うが、実際にそのような社会は訪れる事はないとタカもくくっている事だろう。仮に自分より下(と思っている)の人間が全てこの世から全て消えたら、残っている人間は自分より上の人間ばかりになり、自分自身が正真正銘の最下位の人間になってしまうから。」

逆沢「誰かを見下す事で安心している人間にとって、見下せる人間がいない世の中というか、自分が全ての人から見下される立場なんてのは悪夢以外の何者でも無いと思うわ。まぁそんな人は、たとえこじつけても、見下せる対象を別途探し出して、何としてでも安心しようとすると思うけど。」

鼎「つまり差別主義者は、どうやっても差別をやめないという事かな? 非白人を見下す事で安心を得ているような人は、仮に非白人が全てこの世から消えても、今度は別の見下すべき対象をセットするに違いないと。そうしないと安心できないから。」

逆沢「なんか、常に敵がいる状態でないと満足しない修羅みたいねー。差別主義者って。」

愛原「抑圧されている側の人間のくせに、平等主義とかリベラルという思想に嫌悪感を持つ人間も少ないが、それは彼らが信用できる出来ないという部分以前に、人の下に人を造る社会を心の奥底で肯定しているというか、誰かを抑圧できる社会(誰かを差別しても許される社会)を望んでいる可能性もありそうだな。」

逆沢「まぁ【抑圧からの解放】にしろ、世直しにしろ、あるいは人生のリセットにしろ、その目指す先は色々だろうからねー。平等を目指す者もいれば、自分が人の上に立つ側に取って代わりたいと思う者もいるって事じゃないかな?」

鼎「ただ自分が誰かの上に立つ側に回るという野望は、実際にはかなり難易度が高いよね。二等兵の人達全員が協力し合うことで将軍を倒して下克上を果たしても、二等兵の人全員が将軍にはなれないように、実際に上に立てる人は一握りだけだから。」

愛原「そう。自分より上の立場の者を倒すには、下の立場にある者同士が協力し合わないと難しいケースも多いが、仮に協力が功を奏して下克上に成功しても、実際に満足できるような地位に立てるのは一握りだ。薩長の志士達がいかに強大な幕府を転覆させようとも、その後、伊藤博文みたいな立場になれるのはほんの一握りであり、大半はむしろ萩の乱や西南戦争のような形を経て、お前らは用済みだとばかりに消される事になる。これは中国や西洋の歴史でも同じ。民衆が協力しあって邪悪な旧勢力を倒したとしても、その後、実際に至高の地位に立てる人間は極めて限られてしまうのだ。」

鼎「そういう不幸な歴史の繰り返しを繰り返さないように産まれたのが、平等主義という概念かな?」

愛原「実際には、長い歴史を積み重ねながら少しずつマシにしていく程度の効果しかないだろうけども、【天は人の上に人を造らず】の語源を産んだアメリカは、同じような歴史の繰り返しのループを断ち切ったという点で、希少な成功例の一つといえるだろう。」

逆沢「ただ【人を支配できるチャンスがあるならそれに乗らない手はない】的な人は絶対に無くならないだろうし、そういう人たちを中心とした反平等主義と平等主義による仁義なき戦いはまだまだ続きそうではあるけどね。」

愛原「いわゆる成功者といわれる人だけでなく、社会の落ちこぼれと呼ばれるような層ですら、誰かを見下したくてたまらない反平等主義者はそれなりにいるからな。差別反対だの、リベラルだの、人類平等だのといった言葉に生理的な嫌悪感を感じる層というのは、案外いるものだ。」

逆沢「自分達がいかに生かさず殺さず的な扱いを受けようとも、えた・ひにん的な賤民階級というか、見下せる対象がある限りは安心できる人たちね。」

愛原「そのような人たちは、たとえ自分達が解放されたポジションにいようとも、素直に平等を受け容れるわけではない。明治維新の際に四民平等政策が取られ、平民達は士族による搾取から解放されたが、同じく解放された事で平民と同格になったはずの賤民階級を相変わらず差別し続け、それらと部落と呼んだ。」

逆沢「平民は、いいとこ取りをしようとした訳ね。自分達より上位カーストにいた士族の解体に賛同する一方で、下位カーストにいた賤民階級の解体には難色を示し続けたと。」

鼎「そういう人たちは、誰かの上に立ちたいだけだったのかな? だから自分達の上にいた士族が下に落ちてくるのを彼らは歓迎する一方で、自分達より下にいた賤民階級が上に上がってくるのははっきり嫌悪したみたいな。」

逆沢「【見下されるのは嫌だけど、見下すのは大好きだ】とか【いじめられるのは嫌だけど、いじめるのは大好きだ】とか、【搾取されるのは嫌だけど、搾取するのは大好きだ】とか、【ライバルが武力を増強するのは反対だけど、我が国が武力を増強するのは賛成だ】みたいな。そりゃあ、イジメも、ブラック企業も、争いや対立も、永遠に無くなるわけないわ。」

愛原「そういう不幸のループに嫌気を差した人たちは、平等主義を支持するようになり、歴史的には少しずつだが確実に勢力も広げてはいる。しかしお前が言ったとおり、【他人にされるのは反対だけど、自分がする分には賛成だ】というダブルスタンダード肯定論者というか、反平等主義者もまだまだ多い。」

逆沢「でも反平等主義者の人たちが、じゃあ彼らが望むような支配者側に立てるかと言えば、そんな人はほんの一握りで、実際には一部の支配者の養分にしかなってないというのが悲しいわね。」

愛原「【自分さえ良ければそれでいい】とか【ダブルスタンダード上等だ】と思ったところで、他人も実は同じような事を考えていたりする。Aは自分の利益の為にBを抑圧しても構わないと思っていても、BはBで自分の利益の為にAを抑圧しても構わないと思っている以上、不毛な争いは絶対に無くならないし、故に不幸のループも無くならない。大多数の人間が養分にしかならない構図も変わらない。」

鼎「そういう不幸のループに気付いてる人も多いだろうし、それならもっと反平等主義から決別できる人が増えてもいいと思うけど。」

愛原「誰かを見下したいという欲望が相当強いんだろうな。だから見下せる対象を奪いかねない平等主義への嫌悪もそう簡単にはなくならない。アメリカで低所得の白人層を中心とした移民ヘイトが強まっているのも、移民を見下す事でしか安心できないような、低所得で自分に自信も持てない層が増えているせいかも知れない。」

鼎「自分が抑圧された立場に置かれた時、どうするか? もちろん抑圧する側に回るというのも一つの方法だけど、それを実現するのは難しいし、配役が入れ替わるだけで世の中自体も何も変わらない。それでも誰かを見下したいという欲望が勝る限り、反平等主義や、不幸のループもなかなか無くならないと言う事かな?」

愛原「今回は平等主義と反平等主義という二つのイデオロギーを対比する切り口から、抑圧からの解放について簡単に触れてみた。」
























過去のたわごと 
2017年 9月3日 ファン型オタクとマニア型オタクの違い 8月20日 ツイッターの利点と問題点 
8月6日 大抜擢された人材 7月23日 誇りと傲慢
7月9日 傲慢とマウンティング 6月25日 権威を利用するナイトども
6月11日 悪事プレイ(のススメ) 5月28日 異界人(宇宙人)の干渉
5月14日 集団の思考ルーチン 4月30日 人間っぽさ=非効率的な思考ルーチン
4月16日 名声欲 4月2日 無言の圧力と忖度
3月20日 ロスト・ハイ・テクノロジー 3月5日 破壊神の信者
2月19日 一人称形式で見える視野の範囲 2月5日 歴史的人物の当時の評価
1月22日 未来予測 1月8日 人相見(人物鑑定)
2016年 12月25日 商業レビュアー 12月11日 成長戦略の目玉としてのカジノ
11月27日 パニック 11月13日 生存ゲーム的なシチュエーション
10月30日 強敵感 10月16日 感情移入という視点からのキャラクターメイク
10月2日 供給過剰社会 9月18日 血筋
9月4日 統一されるべき尺度 8月21日 暑さと寒さ
8月7日 (優秀な)下っ端 7月24日 超便利社会=超疲弊社会
7月10日 社会的弱者を量産し、彼らを悪の先兵に誘う者  6月26日 少子化社会という舞台
6月12日 有事法制(緊急事態における法のあり方) 5月29日 悪のセレブサロン 
5月15日 成功者が成功後にやりたいと思うこと 5月1日 ゲーム世界とリアル世界の違い
4月18日 過去に戻ってやり直すということ 4月3日 八百長 
3月20日 異邦人(外国人労働者) 3月6日 陣形
2月21日 功績泥棒 2月7日 三国志13をプレイ
1月24日 裏切り者 1月10日 善政家
2015年 12月27日 精神〜命よりも大切なもの 12月6日 独立戦争 
11月23日 ジャーナリスト 11月8日 精神力 
10月25日 優しい指導者  10月11日 助けを求める人たち 
9月27日 兵站 9月13日 善玉が起こした悪事や不祥事
8月30日 カイゼン 8月14日 盗作・ゴースト
8月2日 表稼業 7月20日 正論を用いない説得工作
7月5日 ディストピア 6月21日 財政破綻
6月7日 防諜 5月24日 サイコパス
5月10日 戦犯 4月26日 ハト派とタカ派
4月12日 不遇な先駆者 3月29日 プロギャンブラー(バクチで生計を立てる人)
3月15日 世界の管理者という名のラスボス 3月3日 命令コマンド
2月15日 攻略本・攻略サイト 2月1日 お遊びコマンド
1月18日 精神異常状態 1月4日 NPCの選択判断ルーチン
2014年 12月14日 男女キャラクターの比率 11月30日 不安と安心の役割
11月16日 現実主義者の正体 11月3日 アイテムゲット
10月19日 真相にたどり着けない者 10月5日 挫折
9月14日 嫌いだけど素晴らしい人達 9月7日 売れている作品と面白い作品の違い
8月24日 援軍 8月3日 ブラゲとパケゲ
7月20日 根性論と科学的知見に基づいた肉体改造 7月6日 ディスリスペクト(軽蔑・disり)
6月22日 あやかり系主人公 6月8日 中毒
5月25日 箱庭ゲーム 5月11日 ダブルスタンダード
4月20日 偽りの理想郷 4月6日 防御力
3月23日 自分用ゲーム作り 3月9日 育成する指導者、選別する指導者
2月23日 忠誠 2月9日 変化するキャラクター
1月26日 一芸職人VS器用貧乏 1月11日 評判
2013年 12月23日 身分制度 12月8日 陰謀
11月24日 秘密 11月10日 努力が報われるゲーム
10月27日 ゲームの自由度について 10月13日 出来の悪い二代目
9月29日 怒り 9月15日 撤退戦術
8月30日 ヒール(悪役) 8月15日 覆水盆に返らず
7月28日 予知・予測 7月13日 かつてのヒーロー
6月30日 覚醒(新能力発現・急成長) 6月15日 犠牲
6月3日 単独開発 5月19日 ダメ人間
5月5日 悪徳宗教を必要とする人々 4月21日 悪の連帯責任
4月7日 3種類の立場からみた作品批評 3月24日 中立性を装った愚痴・悪口など(仮)
3月10日 人気対戦競技の条件 2月24日 幻想空間
2月10日 お金 1月27日 尊敬できる敵
1月13日 やる気・気合 12月29日 ルール
2012年 12月15日 厨二病 12月2日 売れ筋
11月17日 改心 11月4日 議論
10月21日 優秀な人材の起用・登用方法 10月7日 憎しみにとらわれた人達
9月22日 友情やコネによる人事起用の危うさ 9月8日 権力欲に取り憑かれた人達
8月19日 敗北の受け止め方〜捲土重来を期すために 8月5日 作者(表現者)が作品を通じて伝えたい思い
7月29日 人が自ら死(自殺)を決意するとき 7月15日 選択肢を選ぶことによる覚悟(リスク)
7月1日 選択肢があるということ 6月16日 宣伝と人気
6月2日 ホンネとタテマエ 5月19日 コンプガチャに学ぶ確率論とイカサマの話
5月6日 鑑識眼 4月30日 平等と競争
4月14日 公務員ヒーロー 4月1日 SF設定
3月18日 情報収集 3月3日 原発考察
2月19日 プライド 2月5日 お笑い
1月22日 ラスボスの処断方法 1月8日 創造→創作
2011年 12月30日 独裁者 12月9日 二次創作品
11月27日 万人向けからマニア向けの時代へ 11月13日 無敵能力の人たち
10月29日 正式名称 10月15日 利の人、情の人
10月3日 ポジティブ・ネガティブ 9月16日 利権
9月3日 借金 8月21日 何も変わらない事の恐怖
8月5日 発信したいオタクと共感したいオタク 7月25日 戦う地方、媚びる地方
7月17日 充電期間 7月10日 ひとそれのアンケート結果
7月2日 供給過剰気味のゲーム(&娯楽) 6月21日 東日本大震災3
6月5日 上司に反発 5月21日 修正する度量
5月14日 挑戦する勇気 5月1日 調子
4月17日 専門スキル 4月3日 東日本大震災2
3月18日 東日本大震災1 3月5日 ネトウヨと不良キャラの共通点
2月19日 信用ラインと警戒ライン 2月5日 信じられない者ばかりの世界観
1月23日 武器を交えない戦争 1月16日 しゃべらない主人公
1月7日 異世界に飛ばされた凡人 12月25日 後ろ向きな嫉妬心
2010年 12月19日no2 人それのゲーム難易度 12月19日no1 社会人型キャラ
12月11日 新作公開してから一週間 12月5日 新作ゲーム紹介
11月20日 理想と現実 10月29日 新作公開予定
10月18日 派閥 10月1日 仲間
9月19日 キャラクターイメージ 9月6日 理想を持った人間。そうでない人間
8月21日 革命後 8月8日 長編のオチのつけ方
7月24日 勇者は世直しができるか? 7月10日 全力集中プレイと長期戦略プレイ
6月27日 RPGのチームバトル 6月13日 傭兵団
5月29日 相手の思考をよんでみよう 5月14日 扇動する者、される者
5月7日 こっそりアンケート設置お知らせ、ほか 5月3日 地方を主人公の舞台にしてみよう
4月17日 コンピュータは人間を上回れるか? 4月2日 政権交代から6ヶ月が過ぎて
3月22日 フィクション 3月12日 困ったパーティメンバー
2月21日 責任 2月6日 教育
1月23日 トップダウン式製作とボトムアップ式製作 1月10日 ゲーム作成スタッフ
2009年 12月25日 政権交代から3ヶ月が過ぎて 12月12日 血液型
11月29日 編集日記・編集後記 11月14日 AVG(+SLG)制作中
10月31日 シナリオ 10月18日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには2
10月3日 オリジナル 9月19日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには
9月6日 実在モデルをどこまで採用できるか 8月24日 素材?
8月14日 今時の報道スタイル 8月8日 ユーザーサポートにメールを送ってみました
7月25日 恋愛シミュレーション2の魅力? 7月11日 人気と実力
6月27日 打ち切り 6月19日 エロゲ規制強化の流れからみるゲーム考
6月6日 貴族階級 5月23日 悪の戦闘員
5月10日 異なるキャラクターの視点でみてみよう 4月24日 強者がますます強くなる・・・
4月11日 ゲームエディタ 3月29日 愛郷心
3月22日 匿名ネット社会 3月6日 暗躍する超能力者たち
2月22日 信者キャラ 2月15日 必殺技
2月1日 アンチヒーロー(悪役型英雄) 1月23日 カタストロフィーを未然に阻止しよう
1月16日 フェアな戦い 1月3日 あれから幾年後
2008年 12月28日 国盗りSLGの景気対策 12月20日 現実世界をゲーム化してみよう
12月5日 内部対立 11月29日 推理もの??
11月22日 悪人とも言い切れない罪人 11月7日 正史
10月31日 萌えない女性キャラ 10月18日 関西弁
10月5日 大阪 9月21日 避けられない強大な敵
9月7日 人気・魅力・カリスマ 8月29日 黒幕
8月23日 運と実力 8月9日 COMの思考ルーチン
8月3日 新シナリオ「HeiseiNippon」公開 7月19日 軍師
7月5日 各国の思惑を構成するもの 6月21日 催眠術
6月7日 和解 5月24日 知恵者
5月16日 千年生きてみよう 5月3日 生き残ることと勝ち残ること
4月18日 冷酷な指導者 4月5日 お金の使い道
3月15日 若さ 3月7日 性能と運用
2月29日 アンケート現況発表(質問2について) 2月22日 広報戦略
2月10日 差別 1月27日 敵のスペック

1月13日 神の加護、神聖魔法 12月30日 フリーゲームのレビュー
2007年 12月16日 国盗りゲームのパターン 12月1日 謎について
11月16日 ゲーム世界での対人設定2(その他視点) 11月3日 ゲーム世界での対人設定1(味方視点)
10月20日 レジスタンス勢力 10月5日 終盤〜エンディング
9月21日 世襲について 9月8日 悪役(ヒデブ派5隊長など)
8月24日 確率について 8月10日 セーブ&ロード
7月27日 成長について 7月15日 SRPGにおける白兵部分のゲーム的処理
6月30日 SRPGのマップのシステム 6月17日 徴収と略奪
6月2日 兵科あれこれ 5月19日 理想の君臣関係
5月4日 経済力うんぬん 4月21日 戦略ゲームと戦術ゲーム
4月6日 公開情報と非公開情報 3月24日 個人戦用の武器等
3月9日 兵士の武器 2月25日 ゲーム作りとゲーム遊び
2月11日 少数派(属性持ち)向けゲーム 1月28日 バージョンアップ

1月13日 宮田軍にてこ入れ? 12月30日 フリーゲームの宣伝
2006年 12月15日 投票・アンケート 12月1日 最強の敵
11月18日 動かしやすいキャラと動かしにくいキャラ 11月4日 デバッグ
10月22日 現代・近未来ものについて 10月6日 趣味の社会人クリエイター
9月15日 新作?の状況について 9月8日 BGMについて
8月27日 登場人物の口語表現 8月12日 女性キャラ
7月28日 主人公選択式ゲーム 7月16日 マイサイトについて
7月2日 死について 6月17日 風刺について
6月2日 シナリオタイプあれこれ 5月19日 ゲーム作りの進め方について
5月5日 ゲーム作りを始める時について 4月21日 高能力キャラの表現方法
4月8日 悪い敵 3月31日 名前について
3月18日 伝え方と伝わり方 3月12日 キャラクターのプロフィールについて
3月5日 アマとプロによる基本プロット考 2月25日 自作CGについて
2月19日 著作権について 2月12日 バックグラウンドの設定について
2月5日 SRPG95の次回作に対する期待 1月29日 分岐と自由度について
1月22日 難易度について 1月15日 勢力別能力値考察
1月8日 主人公について 1月1日 ユニットの能力値をどういじるかについて
2005年  12月30日 12月23日 12月16日 12月9日 12月2日 11月25日 11月18日 11月11日 11月5日 10月31日















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