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愛原様のたわごと(18年2月4日)






愛原「【統率力】というパラメータがあるよな。まぁ別にゲームじゃなくても構わないんだけども。」

逆沢「まぁゲームじゃなくても、ごく一般に【あの人は統率力がある】みたいな言い方をされる事はあるかもね。」

鼎「人をまとめる力とか、カリスマ性とか、そういう言い方をされる事もあるよね。」

逆沢「人の上に立つ器量があるとか、人を扱うのが上手いとか、組織をまとめる力があるというみたいな感じで、ゲーム的には指揮官向きみたいな扱いになる事が多そうね。リアルでは、リーダーシップがある=統率力があるみたいな使われ方をしてるような気がするかも。」

鼎「知力とか武力みたいなパラメータと違って、社会性というか、人間性というか、そういうのを表したパラメータというイメージすらあるよね。」

逆沢「知力や武力がいくら高くても、性格が悪そうなキャラはいくらいても不思議ないけど、統率力が高い人間に、みんなの嫌われ者はあまりいないみたいなイメージもあるかも知れないわね。統率力を構成する要素に、カリスマ性や人気・魅力などを加味すればするほど。」

愛原「逆に統率力が低い人(orキャラ)に対するイメージは?」

逆沢「優柔不断。もしくはカリスマ性とか、見た目の貫禄とか、日頃の信頼度の不足、あるいは出自や経歴に基づく偏見などにより、人をまとめる事ができない。そんなイメージかな?」

鼎「あるいは普段から人付き合いが悪いタイプとか、色々悪い意味で誤解されやすいタイプとか、人から軽く見られるタイプとか、そんなイメージになりそうだよね。」

愛原「うーん。やはりそうなるか・・・。やはり、そうなるよな。」

逆沢「なんか不満そうねー。」

愛原「俺が抱く統率力のイメージは、必ずしもポジティブなイメージばかりではないからな。ぶっちゃけ統率力が高い人間は、必ずしも周囲の人間を幸福にはしないとまで思っている。」

逆沢「なんで? 統率力の低い人間がリーダーになる程、よっぽど不幸でしょうが? 統率力が低いリーダーは、組織をまとめられない。組織がまとまらなければ、効率的な組織運用はできないし、下手すると組織自体が混乱状態になる。そうなると内部の規律は緩み、外部の攻撃に対する適切な対応もできない。誰がどう見ても、統率力の低い人間こそが不幸を産み出す元凶にしかならないと思うけど。」

鼎「正確には、統率力が低い人間が人の上に立つ事が問題なだけで、人の上に立とうとしなければ問題ないと思うけど。」

愛原「お前らの主張には基本同感だ。ただ俺の考える統率力のイメージは、あくまで【人を抑えつける能力】。【人を我慢(or諦観)させる能力】。【人を服従させる能力】。【人を思い通りに動かす能力】。【人を支配する能力】だからな。」

逆沢「これでもかというくらい、ネガティブな表現ばかりを、あえて選別して並べてきたな。おい。」

愛原「でも一面の真理だぞ。特に戦場の指揮官に求められる統率力の場合、中身のかなりの部分がこれになると思われる。ブラック企業の経営者や管理職なんかも同様だな。あるいは北朝鮮やエジプトのような独裁国家の政治体制なんかも。」

逆沢「【人を無理矢理従わせる能力=統率力】と解釈すれば、そういう解釈もアリなのかも知れないけどねー。」

愛原「お前ら、統率力という概念を美化しすぎだ。統率力は、決して知力でも戦略眼でも経営手腕でもない。どんなムチャクチャな作戦能力しかない指揮官でも、あるいは私利私欲まみれで従業員を使い捨て同然にしか扱わないクズ経営者でも、統率力だけはやたら高い者はいくらでもいる。ここでいう統率力というのは、不思議な人間的魅力で部下を引きつける才能を指す場合もあるが、洗脳まがいの手段を躊躇無く行使できる才である事も多いし、ヤクザまがいの脅迫手段を容赦なく行使できる才である事も同様に多い。要は籠絡であれ、洗脳であれ、脅迫であれ、結果として人を統率・統制・統御・管理・支配できればそれでOKな訳だから。」

鼎「ゲームの世界では、統率力が高い人物に治安維持を任せると、反乱が起きにくいとか、治安や民忠誠度が上がりやすいといった設定も多いけど、具体的な治安維持手段が善政的手腕によるものか、脅迫と監視による北朝鮮的な厳戒態勢によるものかは分からないって事かな?」

逆沢「軍隊的な秩序と絶対忠義体制を維持する手段が、実は単なる体罰でしたってオチも、部活や職場によってはあるだろうしねー。」

愛原「某教団のように、ひたすら唱和をさせる事で洗脳していくなんてパターンもあるよな。企業によっては、新入社員をサティアンまがいの隔離施設に数ヶ月詰め込んで、徹底的に洗脳教育を施すところもあるとか。」

逆沢「どこかの製薬会社が、人間の尊厳を奪うような洗脳教育を新人に施そうとして自殺に追い込んだなんてニュースもあったわね。」

鼎「外部の人間からみたら明らかに異常なのに、なぜか何十年経ってもなかなか潰れないブラック企業の経営者や幹部級には、そんな手腕に長けている人が多そうな気がするよね。」

逆沢「【今、会社を辞めても路頭に迷うだけだぞ】とか【勝手に辞めたら損害賠償請求するぞ】とか【今までの努力が無駄になるぞ】とか【お前には、義理人情というものがないのか?】とか【もう少し頑張れば正社員にしてあげられるかも知れないのに】とか【お前のような奴はどこに行っても通用しない】とか、色んな殺し文句で引き留めて、酷使し続けるわけね。」

愛原「軍指揮官なんかも同様。大体、末端の兵士が、作戦の全容から戦況に関する情報まできちんと把握している事など、まず100%ない。なのでその指揮官の作戦能力がどれだけムチャクチャでも、なんとなく頼り甲斐がありそうと錯覚させるか、あるいは命令違反に対する厳しさを苛烈にアピールする事で、それなりに兵士達を忠実に働かせる事は可能だ。」

逆沢「やることなすこと全部裏目に出るような指揮官だと、さすがに兵からの信頼もなくして、逃亡兵が相次ぐ状態になるかも知れないけど、そう思わせないだけのフリができて、かつ従わない者に対する罰則を厳しくする事で、部下を縛り付ける事くらいは可能ってか。」

愛原「フリといっても、そう難しいものではない。B29がバンバン日本上空を飛び回るような戦況になっても、大本営発表を信じ続けるような人間はそれなりにいるし。軍の命令に従わない者を治安維持法の名の元に徹底的に痛めつけてやれば、それで従順になる者も多いだろうしな。北朝鮮なら治安維持法の代わりに再教育の名の元に。」

鼎「そんな風に言われると、統率力の大部分は、人を脅す能力でできているみたいにすら聞こえてしまうんだけど。」

愛原「実際、そうじゃないのかと感じざるを得ない政治的現象が、最近世界中でみられるようになっている。北朝鮮は昔からそうだが、エジプトやトルコなどの中東でも、そう対比せざるを得ない社会現象が続いているし。」

鼎「確かエジプトは、アラブの春ブームの時に親米独裁政権が倒されて、民主的な政治体制になったんだけど、その民主政権は国民をまとめきれず、さらに軍事クーデターまで起きて再び独裁政権に戻ってしまったんだよね。野党の有力候補側はその独裁政権のトップによって逮捕され、独裁政権の支配者が無投票再選してしまうくらいの有様だとか。」

逆沢「日本の民主党政権もそうだったけど、国民の熱烈な支持を受けて誕生した民主的新政権は、なんで長続きしないんだ?」

愛原「日本の民主党政権も、エジプトのアラブの春政権も、統率力を発揮できなかったからだろう。」

逆沢「そこで統率力という言葉を出してくるか?」

愛原「国民の不平不満の声は、決して単一色ではないからな。たとえば自民党政権に不満を持っている人がたくさんいたとして、ある人はより充実した社会保障を求め、別の人は生活保護制度や障害者支援制度の廃止・縮小を核とした新自由主義的な弱肉強食社会を求め、さらに別の人は戦前回帰的な時代錯誤社会を求めているならば、その後の理想はバラバラになる訳だ。で、そこで新政権がみんなにいい顔して、何も決められない、何も変えられないならば、新政権に対する期待はそのまま失望に変わっていく。」

鼎「変えたいと思う人が過半数を握る事で政権を奪っても、変えたい中身がバラバラで、それをまとめられる人もいなければ、その政権は長く持たないという事かな?」

愛原「国民の声をよく聞く民主的で善良な政治指導者というのは、確かに理想像としては最高級のものだろう。しかしみんなの不満を解消するのは大変だ。特に彼らの求めているベクトルが正反対だと(福祉重視派vs新自由主義派、中央集権派vs地方分権派、ハト派vsタカ派、愛煙家vs嫌煙家など)、その調整は至難を極める。」

逆沢「そしてその調整に手間取っていい顔ばかりしてると、優柔不断とか、頼りない印象になって、何も決められない、統率力不足という感じになっていくわけね。」

鼎「みんなにいい顔しかできない人は、余程レベルの高いメンバーで構成された組織でない限り、うまくまとめられないと思うよ。人間は基本、サボリ症で甘えん坊で、自分さえ良ければ他人を押しのけても構わないと考える人もいるくらいだから。」

愛原「だな。意識の高い優等生ばかりを集めたクラスなら、担任が統率力不足の放任教師でも、生徒みんなが勝手に自習なり勉強して、組織がスムーズに回り続ける事も多いが、逆に勉強嫌いで進学にも興味の無い学生ばかりのクラスなら、彼らを指導すべき担当教師が余程強いリーダーシップを発揮しないと、彼らを真面目に勉強させるのは不可能だろう。」

逆沢「内申点をすごく気にするようなメンバーだけの学級なら、担任が何も言わなくても不祥事なく済む可能性高いけど、内申点なんかどうでもいいみたいな学級なら、担任が余程頑張らないと、不祥事まみれの学級崩壊状態になっても不思議ないと思うわ。」

愛原「みんなにいい顔するタイプの指導者は、組織内で争いが起きるとすごく弱いわな。ケンカの仲裁ができないというか。」

逆沢「分かる分かる。中学の時の委員長でも二通りのパターンがいて、いい人だけど無難主義みたいなタイプの委員長は、もめ事が起こると本当に役立たずだったわ。見た目、堂々として頼り甲斐があっても、なぁなぁで済ましたいというか、穏便に任期を全うしたい本音を隠さないというか。逆に風紀委員長肌の委員長は、もめ事が起こると誰が声をかけるまでもなく、自分からもめ事にクビ突っ込んで解決しようと息巻いてたわね。だから一部のグループにははっきりと嫌われてたけど、固定票的な人気があったというか。けど今思えば、組織にとって有用だったのは、後者の風紀委員タイプの方かな? みんなにいい顔しないというか、嫌われる事を全く怖れないというか、だからこそ安心して、人を仕切る仕事を任せられるというか。」

鼎「そう考えると、統率力というのは、ケンカの仲裁能力ともいえるのかな?」

愛原「ただケンカの仲裁は、必ずしも裁判のようにはいかないからな。アメリカと日本の関係のように、そもそも力関係が対等でない場合、どちらかに一方的に非があっても、そいつの力が強いと、裁定に従わせるのは非常に難しい。とかいって、強い奴に言いなりになるように説くだけなら、それは仲裁ではない。下手に口出しすると、不利な裁定をされた側の恨みを買うだけだし、そんな裁定をして恨みだけを買うくらいなら、最初から黙って不関与に徹した方がマシな事すらある。」

鼎「けど調停役を務めるべき立場の人間が、その仕事を拒否しようものなら、それはそれで恨みを買うし、統率力不足の烙印を押される事にもなるよね。」

逆沢「そういう人間が政権の主なら、失望されて政権自体を失っても仕方ないかもね。」

愛原「人の上に立とうとする以上、一人でも多くの者に好かれたいと思うのが人情だが、構成員の欲求を全て満たすのは非常に難しい。好き放題にやらせれば不満は減るだろうけど、それでも規律を求める者からは逆に不満の声が出るだろうし。」

鼎「サークル活動とかでも、本気で大会での優勝を目指す人と、参加したいときだけ参加するような気楽な方針でありたいと考える人とでは溝は深いだろうしね。」

逆沢「それを調整するのが統率力という事ね。」

愛原「いや、統率力調整力は、似て非なるものだぞ。調整力はあくまで、その場を丸く収める能力統率力は、組織自体を特定の方向に強く牽引していく力。仮にそのサークルが本気で大会の優勝を目指す趣旨であるならば、どれだけ仲良しサークル派がメンバーの多数派を占めていようと、大会での優勝を果たせる方向に組織を誘導していかなければならない。優勝請負人としてそのチームの監督に就任した以上は、チームのメンバーのやる気がどうであろうと、そういう方向にチーム全体を持っていかないといけないようなもので。」

逆沢「つまり大会での優勝を目指す上で、不要というか、むしろ足手まといにしかならないと判断されたメンバーは、容赦なく排除される可能性もあるという事か?」

鼎「でもそれって、一歩間違えたら、かなりのブラック指導者になる可能性もあるよね。チームを強くするためなら、体罰も辞さないとか。売り上げを上げるためなら、従業員の酷使も辞さないとか。足りない兵力を補うためには、学徒動員も辞さないとか。支持率を上げるためには、バラマキや株価操作も辞さないとか。異論を唱える奴は、容赦なく制裁・排除して見せしめとするとか。」

逆沢「嫌われる事を怖れない勇気といえばカッコいいけど、自分にとって都合のいい独裁体制にしたいだけというか、単なる開き直りの暴走でしかない事も多いだろうしね。」

愛原「だから最初から言ってるだろうが。統率力は【人を思い通りに動かす能力】だと。その為の手段が、美しく讃えるべきものか、非難し唾棄すべきものかは別問題と。」

逆沢「だから、そもそも人を思い通りに動かせた所で、それでみんなが幸せになれるかどうかも全く別問題と。」

愛原「当然。仮に牟田口廉也指揮官が、優れた統率力を発揮し、離脱者や反対者をほとんど出す事なくインド近辺まで部隊を運用できたとしても、それで戦果を上げられるかは全く別問題だからな。同様に、体罰で生徒をどれだけ忠実にトレーニングさせても、トレーニングの内容がウサギ跳びだけなら、とても目指した結果にはつながらないだろうし。統率力はあくまで、人を引っ張り操る能力でしかない。それによって誰が幸せになれるかとか、結果がちゃんと出るかは全く関係ない。」

逆沢「統率力だけがやたら高くて、知力とか作戦能力とか経営手腕とか、その他の能力が全然な人が上に立つと、むしろ組織にとって大不幸って事ね。」

愛原「イエスマンだけで周囲を固めて、あらゆる不満の声を封じ込め、職務の精励のみを尊ぶような体制にすれば、とりあえず圧倒的な統率力を見せつける事くらいは可能だろう。一糸乱れぬ大行進とか、芸術的水準のマスゲームも可能になるかも知れない。ただそれと、メンバーの幸福は全く別問題な。恐怖で忖度させて、将軍様万歳的な幸福感を装わせる事くらいはできるけど。」

逆沢「うーん。ただ単に圧倒的な統率力を発揮するだけなら、恐怖で支配した方が手っ取り早そうね。体罰がなくならないのもそのせいか。ヤクザまがいの人が暴力や脅迫を好むのも。」

鼎「統率力ではなく、道理で人が動くような社会になればいいのに。こうすればもっと世の中が良くなるとか、プラスになるとか、チームが強くなれるという理論や工程がちゃんと提示されて、それをみんなが納得した上でみんなが動くような社会というか。」

愛原「理想はそうなんだがな。だが理論は完璧でも、それだけでは動かない人も多いのだ。実績豊かな優秀な参謀が新指揮官に就任したとしても、部下がその新指揮官の弱気と寛容さの足下を見てサボりまくってみたいな感じで。」

逆沢「秀吉の参謀としての石田三成には平伏しても、秀吉亡き後の石田三成に平伏なんてあり得ないって人もいるだろうしね。」

鼎「言ってる内容は同じでも、あの人の言う事なら賛成。でもあの人なら反対って人もいるよね。理不尽で決して褒められる事ではないけど。」

愛原「道理の上では、あってはならない事なんだけどな。内容が同じなら、誰の提案であっても、そこで差をつけてはならない。あの人だから有罪。でもこの人なら無罪とかなったら、それはそれで社会混乱の元になる。しかし日常では、それがまかり通るし、また線引きしなくてはならない時もある。」

逆沢「特にサービス残業とか、そういうのを他人にさせようとすれば、好意的に解釈すれば人徳、悪意で解釈すれば脅迫や洗脳まがいの手段といった、何にしろ人を従わせる力の類いが不可欠になるだろうしね。」

愛原「戦場で命を賭けさせるとか、違法な残業をさせるとか、しんどいトレーニングをさせるとか、つらい勉強をさせるとか、そういった人がやりたくない仕事をさせる力が統率力といえなくもない。その統率力の源泉が、好意的にみれば人徳やカリスマ性、あるいは日頃の人間関係とか熱意といったものになるんだろうけども。」

逆沢「昔のプロジェクトXなら、下請けに対する無茶な要請も、従業員の酷使ぶりも、全部、関係者の夢や情熱や人徳に寄る美談で済ませられていたんだろうけどね。まぁあの番組の時代は、体罰も愛のムチという名の美談で通用していた頃だったけど。」

鼎「もちろんそういう美談で納めていいケースもあるだろうけども、決して美談で塗りつぶしてはいけない非道なケースもありそうだよね。特定の人の名誉や利益の為だけに、使い捨てにされた人もたくさんいるだろうし。」

愛原「道理では正しくても、個人的な好き嫌いや、生来の怠け者根性とか、個人的な(or短期的な)利益にはつながらないといった理由などから、その道理的には正しい事柄に全く協力しようとしない人も少なからずいるだろうし、そういう人を導く意味で、統率力は重要な要素だ。特に統率力が低い人間がトップに立つと、何も決められない、何も変わらない混乱状態になってしまい、外部から敵対的なアクションを受けた時にも無防備になってしまう危険もある。しかしだからといって、統率力だけが高い人による暴走を軽視していいことにはならない。」

逆沢「特に人の上に立ちたがる人間は、元々支配欲旺盛な人ばかりだし、その為にはどんなひどい手を使っても構わないという人だらけだからこそ、悪質な独裁政権が世界から一向に無くならないんだろうしねー。」

愛原「みんなの為を思うような優しい指導者は、とかく優柔不断になりがちで、何も決められない、何も変えられない無能な指導者に陥る可能性が高い。しかしだからといって、それを忌避して、独裁を美化するような指導者を迂闊に招き入れると、後でとんでもない事になる。統率力不足の指導者を引きずり下ろすのは簡単だが、無駄に統率力だけ高い指導者は、その統率力をもってイエスマンで周囲を固め、あらゆる抵抗勢力を封じ込めてしまうので、後で【コイツはやばい奴だ】と後悔しても、引きずり下ろすのは容易でないからだ。」

鼎「私達の心理としても、優しく優柔不断な指導者を非難したりこき下ろすのは簡単だけど、強面の指導者を非難したりこき下ろすのは結構勇気がいるよね。その結果、優しい指導者ほど叩かれやすく潰されやすくもなって、権力の椅子に一日でも長く留まりたいし、その為には手段も選ばないみたいなヤバい指導者ほど長く居座ってしまう残念な現象も起きやすいというか。」

愛原「ゲームに登場するキャラクターの場合は、いくら統率力が高くとも、プレイヤーの命令を拒否する事は基本ない。その高い統率力をもって、プレイヤーが求める仕事を高水準で達成してくれるだけなので、ありがたい存在以外の何者でもないのだが・・・。」

逆沢「けど実際には、統率力が高いキャラクターは、プレイヤーの命令を平気で無視してきてもおかしくないと。」

愛原「特に下剋上の世の中だと、統率力不足の大名の言う事をあからさまに無視する部下が普通に出るし、統率力の高い部下は、その高い統率力をもって手下を集めて、積極的に上司の寝首をかきにくるくらいだからな。」

鼎「けどそんな個人の統率力に依存した体制は、もろいよね。高い統率力を持つ英雄が亡くなった途端に、組織がボロボロになる例はいくらでもあるし。」

愛原「それを補うのが、官僚制度であり選挙制度なんだろうけどな。徳川幕府が長くもったのも、一人の英雄の統率力に依存した支配体制から官僚体制に脱皮できたからこそ。先進国が先進国としての力を保てるのも英雄任せの政治をしなくてもいい体制が維持されているからこそ。実際問題、英雄級の知事や市長が圧倒的な統率力を発揮しているからこそ、ウチの街はなんとか維持できているなんて所は一つも無いだろ?」

逆沢「変なスタンドプレーをやりたがる首長の方が余程危ないわ♪」

愛原「個人の高い統率力が必要な局面。望まれる局面というのはもちろんたくさんある。優れた知見と高い統率力を併せ持つ監督に率いられたスポーツチームなんてのは、まさに一つの理想だろう。しかしその監督も、結果を残さなければクビを切られるという担保があるからこそ理想の姿でいられるのであり、仮に彼がオーナーをも意のままに操れる政治力を持ち出したら、そのチームは監督の私物となって腐臭漂わせる汚い組織に変貌してしまうと思われる。」

逆沢「相撲部屋の親方とかにも当てはまりそうね。親方の高い統率力が健全に機能している内はいいけど、不祥事をもみ消せるような変な政治力も持ち始めると、おかしな方に向かい始めるというか。」

愛原「政治の世界なんかが一番顕著だが、統率力のある人間は、その統率力を健全な方向だけでなく、隙あらば自分の保身の為に使い始めるケースがままあるからな。特に統率力だけが取り柄の奴は最も危険で、自らの知力や経営手腕などの未熟を隠蔽する為に、自らの統率力を悪用する可能性が非常に高い。もちろん彼の統率力が無駄に高くとも、人の上に立ちたいみたいな野心が無ければまだいいのだが。」

鼎「そんな強欲で保身主義者の人に権力の座にしがみつかれるくらいなら、ほどほどの統率力の持ち主の人の方がいいかな? ほどほどの人なら、豪腕で反対者を粛清して恐怖政治をやるような真似が出来ないから、それなりに周りに配慮したリーダーシップを発揮してくれそうだし。」

逆沢「全てにおいて完璧な統率力あふれる英雄に依存できれば一番楽だけど、その人が失脚したり死亡した途端に、ガタガタになってしまうのも困るし、ほどほどの人でもちゃんと社会が回るくらいのバランスが一番いいわ。」

愛原「高い統率力の持ち主は、籠絡・洗脳・脅迫などあらゆる手段で反対者を封じ込め、秩序ある組織を作ってしまうから、見た目は優れたリーダーに見えなくもない。統率力が高い人物が魅力的に映るとすれば、みんなが彼を信頼し、彼に組織の運営と安定を託しているように映るからというのもあるだろう。但し・・・。」

逆沢「【反対者がいない=みんなが彼を信頼している】と解釈すれば、まさに素晴らしい善玉・善政家の典型なんだけど、みんなが【将軍様万歳!】と彼を讃えるから、きっと素晴らしいリーダーに違いないと思うとおかしな事になる。無投票再選を果たしたり、圧倒的勝利を果たすくらいだから万人から信頼されているリーダーと勘違いするのも危険であると。」

愛原「統率力は、素晴らしいリーダーとみせかける能力ともいえるかも知れんわな。もちろん本当に素晴らしいリーダーである可能性も十分ある為、変に猜疑の目でみるのもどうかと思うが、彼が造っているのがユートピアであるかディストビアであるかは、よく吟味すべきと思われる。あと反対者がたくさんでると、いかにも統率力不足の頼りない指導者という印象を受けるが、反対する自由がない組織ほどおそろしいディストピアはなく(もちろんその独裁者は、表向きは民主的・順法的な態度を容認するが、適当な理由を付けて反対者を逮捕したり左遷したりスキャンダルをばらまく事で見せしめにする)、仮にその統率者の支持率が90%近い状態なら、まずディストピアと思っていいだろう。」

逆沢「中にはそんな選挙区もあるけどね。」

愛原「というわけで今回は統率力のお話。一人の反対者も無くみんながリーダーの元に結束するとか言えば、いかにも素晴らしくカッコいいリーダーであるようにも聞こえるし、過酷な労働環境であっても一人の脱落者も出さない夢と希望にあふれた職場と言えば、本当に素晴らしい会社であるようにも聞こえるが、それは必ずしも美談で片付けていいパターンばかりなのかという切り口で語らせてもらった。」


















過去のたわごと 
2018年 1月21日 優秀すぎるライバルが現れたとき  1月7日 素性を表す記号としての肩書き
2017年 12月24日 フリゲの雑談  12月10日 賤民階級
11月26日 個性づけとしてのパラメータ 11月12日 宿敵宣言
10月29日 大同団結 10月15日 品質について
10月1日 華麗な策略、汚い策略。その違い 9月17日 平等主義と反平等主義
9月3日 ファン型オタクとマニア型オタクの違い 8月20日 ツイッターの利点と問題点 
8月6日 大抜擢された人材 7月23日 誇りと傲慢
7月9日 傲慢とマウンティング 6月25日 権威を利用するナイトども
6月11日 悪事プレイ(のススメ) 5月28日 異界人(宇宙人)の干渉
5月14日 集団の思考ルーチン 4月30日 人間っぽさ=非効率的な思考ルーチン
4月16日 名声欲 4月2日 無言の圧力と忖度
3月20日 ロスト・ハイ・テクノロジー 3月5日 破壊神の信者
2月19日 一人称形式で見える視野の範囲 2月5日 歴史的人物の当時の評価
1月22日 未来予測 1月8日 人相見(人物鑑定)
2016年 12月25日 商業レビュアー 12月11日 成長戦略の目玉としてのカジノ
11月27日 パニック 11月13日 生存ゲーム的なシチュエーション
10月30日 強敵感 10月16日 感情移入という視点からのキャラクターメイク
10月2日 供給過剰社会 9月18日 血筋
9月4日 統一されるべき尺度 8月21日 暑さと寒さ
8月7日 (優秀な)下っ端 7月24日 超便利社会=超疲弊社会
7月10日 社会的弱者を量産し、彼らを悪の先兵に誘う者  6月26日 少子化社会という舞台
6月12日 有事法制(緊急事態における法のあり方) 5月29日 悪のセレブサロン 
5月15日 成功者が成功後にやりたいと思うこと 5月1日 ゲーム世界とリアル世界の違い
4月18日 過去に戻ってやり直すということ 4月3日 八百長 
3月20日 異邦人(外国人労働者) 3月6日 陣形
2月21日 功績泥棒 2月7日 三国志13をプレイ
1月24日 裏切り者 1月10日 善政家
2015年 12月27日 精神〜命よりも大切なもの 12月6日 独立戦争 
11月23日 ジャーナリスト 11月8日 精神力 
10月25日 優しい指導者  10月11日 助けを求める人たち 
9月27日 兵站 9月13日 善玉が起こした悪事や不祥事
8月30日 カイゼン 8月14日 盗作・ゴースト
8月2日 表稼業 7月20日 正論を用いない説得工作
7月5日 ディストピア 6月21日 財政破綻
6月7日 防諜 5月24日 サイコパス
5月10日 戦犯 4月26日 ハト派とタカ派
4月12日 不遇な先駆者 3月29日 プロギャンブラー(バクチで生計を立てる人)
3月15日 世界の管理者という名のラスボス 3月3日 命令コマンド
2月15日 攻略本・攻略サイト 2月1日 お遊びコマンド
1月18日 精神異常状態 1月4日 NPCの選択判断ルーチン
2014年 12月14日 男女キャラクターの比率 11月30日 不安と安心の役割
11月16日 現実主義者の正体 11月3日 アイテムゲット
10月19日 真相にたどり着けない者 10月5日 挫折
9月14日 嫌いだけど素晴らしい人達 9月7日 売れている作品と面白い作品の違い
8月24日 援軍 8月3日 ブラゲとパケゲ
7月20日 根性論と科学的知見に基づいた肉体改造 7月6日 ディスリスペクト(軽蔑・disり)
6月22日 あやかり系主人公 6月8日 中毒
5月25日 箱庭ゲーム 5月11日 ダブルスタンダード
4月20日 偽りの理想郷 4月6日 防御力
3月23日 自分用ゲーム作り 3月9日 育成する指導者、選別する指導者
2月23日 忠誠 2月9日 変化するキャラクター
1月26日 一芸職人VS器用貧乏 1月11日 評判
2013年 12月23日 身分制度 12月8日 陰謀
11月24日 秘密 11月10日 努力が報われるゲーム
10月27日 ゲームの自由度について 10月13日 出来の悪い二代目
9月29日 怒り 9月15日 撤退戦術
8月30日 ヒール(悪役) 8月15日 覆水盆に返らず
7月28日 予知・予測 7月13日 かつてのヒーロー
6月30日 覚醒(新能力発現・急成長) 6月15日 犠牲
6月3日 単独開発 5月19日 ダメ人間
5月5日 悪徳宗教を必要とする人々 4月21日 悪の連帯責任
4月7日 3種類の立場からみた作品批評 3月24日 中立性を装った愚痴・悪口など(仮)
3月10日 人気対戦競技の条件 2月24日 幻想空間
2月10日 お金 1月27日 尊敬できる敵
1月13日 やる気・気合 12月29日 ルール
2012年 12月15日 厨二病 12月2日 売れ筋
11月17日 改心 11月4日 議論
10月21日 優秀な人材の起用・登用方法 10月7日 憎しみにとらわれた人達
9月22日 友情やコネによる人事起用の危うさ 9月8日 権力欲に取り憑かれた人達
8月19日 敗北の受け止め方〜捲土重来を期すために 8月5日 作者(表現者)が作品を通じて伝えたい思い
7月29日 人が自ら死(自殺)を決意するとき 7月15日 選択肢を選ぶことによる覚悟(リスク)
7月1日 選択肢があるということ 6月16日 宣伝と人気
6月2日 ホンネとタテマエ 5月19日 コンプガチャに学ぶ確率論とイカサマの話
5月6日 鑑識眼 4月30日 平等と競争
4月14日 公務員ヒーロー 4月1日 SF設定
3月18日 情報収集 3月3日 原発考察
2月19日 プライド 2月5日 お笑い
1月22日 ラスボスの処断方法 1月8日 創造→創作
2011年 12月30日 独裁者 12月9日 二次創作品
11月27日 万人向けからマニア向けの時代へ 11月13日 無敵能力の人たち
10月29日 正式名称 10月15日 利の人、情の人
10月3日 ポジティブ・ネガティブ 9月16日 利権
9月3日 借金 8月21日 何も変わらない事の恐怖
8月5日 発信したいオタクと共感したいオタク 7月25日 戦う地方、媚びる地方
7月17日 充電期間 7月10日 ひとそれのアンケート結果
7月2日 供給過剰気味のゲーム(&娯楽) 6月21日 東日本大震災3
6月5日 上司に反発 5月21日 修正する度量
5月14日 挑戦する勇気 5月1日 調子
4月17日 専門スキル 4月3日 東日本大震災2
3月18日 東日本大震災1 3月5日 ネトウヨと不良キャラの共通点
2月19日 信用ラインと警戒ライン 2月5日 信じられない者ばかりの世界観
1月23日 武器を交えない戦争 1月16日 しゃべらない主人公
1月7日 異世界に飛ばされた凡人 12月25日 後ろ向きな嫉妬心
2010年 12月19日no2 人それのゲーム難易度 12月19日no1 社会人型キャラ
12月11日 新作公開してから一週間 12月5日 新作ゲーム紹介
11月20日 理想と現実 10月29日 新作公開予定
10月18日 派閥 10月1日 仲間
9月19日 キャラクターイメージ 9月6日 理想を持った人間。そうでない人間
8月21日 革命後 8月8日 長編のオチのつけ方
7月24日 勇者は世直しができるか? 7月10日 全力集中プレイと長期戦略プレイ
6月27日 RPGのチームバトル 6月13日 傭兵団
5月29日 相手の思考をよんでみよう 5月14日 扇動する者、される者
5月7日 こっそりアンケート設置お知らせ、ほか 5月3日 地方を主人公の舞台にしてみよう
4月17日 コンピュータは人間を上回れるか? 4月2日 政権交代から6ヶ月が過ぎて
3月22日 フィクション 3月12日 困ったパーティメンバー
2月21日 責任 2月6日 教育
1月23日 トップダウン式製作とボトムアップ式製作 1月10日 ゲーム作成スタッフ
2009年 12月25日 政権交代から3ヶ月が過ぎて 12月12日 血液型
11月29日 編集日記・編集後記 11月14日 AVG(+SLG)制作中
10月31日 シナリオ 10月18日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには2
10月3日 オリジナル 9月19日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには
9月6日 実在モデルをどこまで採用できるか 8月24日 素材?
8月14日 今時の報道スタイル 8月8日 ユーザーサポートにメールを送ってみました
7月25日 恋愛シミュレーション2の魅力? 7月11日 人気と実力
6月27日 打ち切り 6月19日 エロゲ規制強化の流れからみるゲーム考
6月6日 貴族階級 5月23日 悪の戦闘員
5月10日 異なるキャラクターの視点でみてみよう 4月24日 強者がますます強くなる・・・
4月11日 ゲームエディタ 3月29日 愛郷心
3月22日 匿名ネット社会 3月6日 暗躍する超能力者たち
2月22日 信者キャラ 2月15日 必殺技
2月1日 アンチヒーロー(悪役型英雄) 1月23日 カタストロフィーを未然に阻止しよう
1月16日 フェアな戦い 1月3日 あれから幾年後
2008年 12月28日 国盗りSLGの景気対策 12月20日 現実世界をゲーム化してみよう
12月5日 内部対立 11月29日 推理もの??
11月22日 悪人とも言い切れない罪人 11月7日 正史
10月31日 萌えない女性キャラ 10月18日 関西弁
10月5日 大阪 9月21日 避けられない強大な敵
9月7日 人気・魅力・カリスマ 8月29日 黒幕
8月23日 運と実力 8月9日 COMの思考ルーチン
8月3日 新シナリオ「HeiseiNippon」公開 7月19日 軍師
7月5日 各国の思惑を構成するもの 6月21日 催眠術
6月7日 和解 5月24日 知恵者
5月16日 千年生きてみよう 5月3日 生き残ることと勝ち残ること
4月18日 冷酷な指導者 4月5日 お金の使い道
3月15日 若さ 3月7日 性能と運用
2月29日 アンケート現況発表(質問2について) 2月22日 広報戦略
2月10日 差別 1月27日 敵のスペック

1月13日 神の加護、神聖魔法 12月30日 フリーゲームのレビュー
2007年 12月16日 国盗りゲームのパターン 12月1日 謎について
11月16日 ゲーム世界での対人設定2(その他視点) 11月3日 ゲーム世界での対人設定1(味方視点)
10月20日 レジスタンス勢力 10月5日 終盤〜エンディング
9月21日 世襲について 9月8日 悪役(ヒデブ派5隊長など)
8月24日 確率について 8月10日 セーブ&ロード
7月27日 成長について 7月15日 SRPGにおける白兵部分のゲーム的処理
6月30日 SRPGのマップのシステム 6月17日 徴収と略奪
6月2日 兵科あれこれ 5月19日 理想の君臣関係
5月4日 経済力うんぬん 4月21日 戦略ゲームと戦術ゲーム
4月6日 公開情報と非公開情報 3月24日 個人戦用の武器等
3月9日 兵士の武器 2月25日 ゲーム作りとゲーム遊び
2月11日 少数派(属性持ち)向けゲーム 1月28日 バージョンアップ

1月13日 宮田軍にてこ入れ? 12月30日 フリーゲームの宣伝
2006年 12月15日 投票・アンケート 12月1日 最強の敵
11月18日 動かしやすいキャラと動かしにくいキャラ 11月4日 デバッグ
10月22日 現代・近未来ものについて 10月6日 趣味の社会人クリエイター
9月15日 新作?の状況について 9月8日 BGMについて
8月27日 登場人物の口語表現 8月12日 女性キャラ
7月28日 主人公選択式ゲーム 7月16日 マイサイトについて
7月2日 死について 6月17日 風刺について
6月2日 シナリオタイプあれこれ 5月19日 ゲーム作りの進め方について
5月5日 ゲーム作りを始める時について 4月21日 高能力キャラの表現方法
4月8日 悪い敵 3月31日 名前について
3月18日 伝え方と伝わり方 3月12日 キャラクターのプロフィールについて
3月5日 アマとプロによる基本プロット考 2月25日 自作CGについて
2月19日 著作権について 2月12日 バックグラウンドの設定について
2月5日 SRPG95の次回作に対する期待 1月29日 分岐と自由度について
1月22日 難易度について 1月15日 勢力別能力値考察
1月8日 主人公について 1月1日 ユニットの能力値をどういじるかについて
2005年  12月30日 12月23日 12月16日 12月9日 12月2日 11月25日 11月18日 11月11日 11月5日 10月31日















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