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愛原様のたわごと(18年7月22日)





愛原「今回のテーマは【内通者】。なのだが、お前ら、内通者と聞いてどんな印象を持った?」

逆沢「裏切り者。ムカつく。疑心暗鬼の元。味方の中にそういうのが潜んでいると思うだけで、組織がギクシャクしかねない、非常に厄介な存在。」

鼎「けど逆の立場でみれば、バレれば命の保証すらない危険な任務と知りながら、それでも大義のために活動する決死の覚悟の工作員みたいなイメージもあるかも。」

愛原「逆沢が抱いたイメージは、自分達味方の組織の中に内通者がいると仮定した場合。鼎が抱いたイメージは、敵組織の中に潜ませた主人公側のスパイもしくは、こちらへのシンパという感じだな。」

鼎「レジスタンスものの作品では、邪悪な敵組織の中にいる同調者とか理解者とかスパイいうのは、ある意味定番だよね。こちらに対して、定期的に情報を流してくれたり。その内通者がそれなりに地位の高い者なら、高い発言力をもって敵の戦略方針にくさびを打ち込んでくれたりとか。」

逆沢「けどその手の内通者は、大体、物語の中盤から終盤にかけて、内通しているのがバレて、粛清されるのが定番のような気もするけどね。」

愛原「最後まで内通がバレないままという展開も無くはないが、その場合は、味方と合流する過程を美しく描くのが難しいケースもあるからな。その内通者キャラクターが、それなりにメインキャラクターなら感動の合流シーンも用意しやすいが、単なるモブの情報屋キャラとかシンパライザーの場合は、下手に合流させると、その後の扱いに悩む事も有るから、その場合は、用済みと言わんばかりに、内通がバレて殺される役回りになるケースも少なくないと思われる。」

逆沢「で、内通がバレた場合は、派手に公開処刑されたりして、それで主人公陣営が【内通者の仇を絶対に取る!】とか【残虐非道の敵は許せない!】と士気を高める契機にしたりもする訳ね。前半は情報を送ってくれたり、敵内部を攪乱してくれておいしい。後半は士気を高める為のイケニエとなってくれてまたおいしいみたいな感じで。」

愛原「物語の都合とはいえ、ひどい話だな。内通しているというだけで、極めて危険な任務に従事している状態なのに、最後まで使い捨て同然の扱いとか。」

逆沢「それでも内通者キャラは、悪玉勢力の内情を具体的に描写してくれる、貴重な狂言回しキャラクターだからねー。主人公に内通(同情・協力)する者がいるという時点で、悪玉キャラの人徳の無さも表現できるし。色んな意味で使い勝手も良さそうというか。」

鼎「けど逆に、主人公の陣営内に、敵への内通者がいるとなれば、印象は180度正反対になるよね。」

愛原「厳密には、【内通者がいるかも知りないと疑心暗鬼になっている状態】と【突然、内通者の存在が判明した状態】で、物語の展開も印象も全然違ってくるけどな。」

鼎「【内通者がいるかも知れない状態】は、ハラハラドキドキするけど、実際に物語に組み込むのは難易度が高いのか、意外とそう多くはない印象だよね。」

逆沢「【味方を疑いの目で見ざるを得ない状態】というのは、友情物語系の作品とは、あまり相性が良くないからね。」

愛原「仲間を疑うような真似はしたくないと考えるような、純粋な主人公にとっては、ある意味、最も相性の悪い天敵だからな。内通者が実際にいたとしても、そいつの内通を疑わない。疑いたくもないと考える時点で、もう対処も困難を極めるし。そこが内通者につけ込まれる隙となってまたもどかしいというか。」

逆沢「だからそういう純粋な主人公に変わって、ニヒルな仲間キャラクターが大活躍する形になるのよね。【俺は主人公のような甘ちゃんじゃねえからな】みたいな態度で、主人公の許可無く、独断で内通者を見つけ出してしまうとか。」

鼎「どっちにしろ、内通者がいるだろうみたいな状態で、あまり長くは引っ張らない気がするよね。組織内に疑心暗鬼が長くはびこるのは、あまりイメージも良くないから。」

愛原「【内通者が組織の中にいるかも知れないけど、まだ特定できない】という状況があまりに長く続くと、組織内がどんどんギクシャクしてくるし、主人公がいる組織自体の無能っぷりもあらわになって、物語的に都合も悪くもなりやすいからな。」

逆沢「だから内通者がそう遠くない内にどこかで見つかる訳だけど、その内通者キャラも、大体、3パターンくらいがメジャーっぽいわね。一つは悪玉の敵に弱みを握られて、やむなく敵方に内通せざるを得なくなったパターン。2つ目は、何らかの誤解や誘導によって、その結果、敵と内通するに至ったというパターン。3つ目は純粋に敵方から送り込まれた工作員。但し多くの場合はモブ。というパターン。」

鼎「1つ目と2つ目は、どちらも最終的に主人公と和解できるオチが多そうだよね。主人公側の活躍で内通せざるを得ない理由が消滅したり(人質が解放されるなど)、誤解が解ける事でわだかまりも解消されたりとか。」

愛原「1つ目と2つ目のパターンは、元々味方の立場にいた者が、何らかの事情に基づいて、背信行為をするに至るものだから、その過程や理由が重要になる。特に1つ目の理由なら、脅迫が理由だから、脅迫される事由が無くなれば、再び元の鞘に戻れる可能性は十分にある。もちろん内通したせいで、味方に多大な被害を与えたならば、やむを得ない理由があったと判明した後になっても、許されなかったり、何らかのわだかまりが残るケースも、それなりには多いだろうけど。」

逆沢「内通工作に成功させた敵方からすれば、最も使い捨てにしやすい要員でもあるし、対立勢力に与える影響も大きいという事で、最も積極的に工作をしかけたいパターンになりそうね。」

鼎「2つ目のパターンの場合は、何かと主人公と紛争の種になる、素直になれないタイプのキャラとかが、敵方の口の上手い奴にそそのかされて内通するようになるパターンが思い浮かんだかな?」

逆沢「モブキャラなら、主人公陣営の方針が思ったのと違ったからみたいな理由で、内通するに至るパターンも知ってるわ。」

愛原「モブキャラの場合は、そのまま敵方の工作員として最期を迎えるケースも多そうだけど、重要キャラなら、それなりにはドラマになるパターンでもあるな。多くの場合は、どこかで元の鞘に戻れるだろうが、鬱作品の場合は、ボタンの掛け違えが矯正されないまま、悲劇的な結末を迎えるケースもあるだろう。」

逆沢「そういう胸くそ展開は、私はあまり好きじゃないわ。」

愛原「この辺は、個人の好みの問題だからな。大した修羅場も無く、あっさりハッピーエンドだと安っぽいシナリオと受けとめられる事もあるだろうし、とかいって鬱展開が酷すぎると悪趣味なシナリオと受けとめられる場合もあるだろう。もちろんバカゲーレベルの御都合ハッピーエンドが大好きな御仁もいれば、鬱ゲー展開が好物という御仁もいるだろうし、こればかりは嗜好の問題としか言いようがない。」

鼎「3つ目のパターンは、現実世界でも割と多そうというか、比較的イメージが湧きやすいよね。」

愛原「始めから悪意をもってこちらの陣営に潜入してくる工作員というか、基本的なスパイタイプだな。もっとも現実世界で多そうにみえても、実際はむしろ少数派だろうけど。」

逆沢「潜入段階で見破られる可能性も高そうだしね。はじめから悪意をもって潜入してくるパターンだと、余程演技力が高くないと、どこかでボロが出そうというか。」

愛原「たとえば公務員なんかでは、個人情報を横流ししたり、業者に便宜を図ったりするような内通者がいくらでもいるだろうが、だからといって最初からそれを目的として公務員試験を受けて役所に潜り込もうとする工作員なんか、ほとんどいないだろう。多くは1つ目の脅迫か、2つ目の誘導によるものだと思われる。」

逆沢「というか、仮に公務員試験に合格したとしても、余程強いコネでも無い限り、お目当ての部署に配属される保証もないだろうしね。たとえば特定の政治家や役所の幹部を襲撃する為に公務員になったとしても、SPとか秘書関係の部署に配属される確率なんてそう高くないだろうし。」

愛原「そう。工作員と聞くと、いかにも敵対勢力が訓練された工作員を送り込むというイメージが先行しがちだが、実際にそれをやるのはかなり効率が悪い。そんな手間をかけるくらいなら、脅迫なり買収なり誘導なりして、元々組織の中にいる人間を寝返らせて、こちらに内通させた方がずっと手っ取り早い。」

逆沢「特定の業者に便宜を図る意思をもった工作員を公務員試験に合格させて一から潜入させるよりは、業者に便宜を図る事が可能な部署にいる役人を調略して内通させる方が、ずっと手っ取り早いって事ね。」

愛原「公務員試験を受けさせて一から潜入させたとしても、そいつが目的の部署に配属される保証は無いし、仮にいずれ配属されても、便宜を図れる立場まで昇進するにはかなりの年月を要するだろうからな。そんなまどろっこしい事を考える奴など、現実にはほとんどいないだろう。そんな手間をかけるくらいなら、始めからそれなりの立場にいる者を調略した方が、はるかに効率がいい。」

鼎「そういえば外国の反社会勢力とか工作員と称される人とかも、実際には訓練された工作員が本国から送り込まれるケースなんてほとんどなくて、実際には現地人を調略して味方につけるパターンがほとんどだそうだよね。」

愛原「アメリカなんかは、おそらく世界一の諜報網をもっていると思われるが、日本や中国のような黄色人種国家にネイティブのアメリカ人を紛れ込ませようとしても、目立つだけだからな。そんなリスキーな事をしなくても、現地人を適当に調略した方がずっと手っ取り早い。日本のヤクザも中国やアメリカや欧州のマフィアなんかも、本国人がいちいち土地勘のない外国に潜り込んで工作活動なんかほとんどしない。そんな無駄な労力をかけなくても、蛇の道は蛇で、現地人のパートナーを見つけるなんて難しい話でもなんでもないからな。」

鼎「日本のコンビニのATMを使って南アフリカの銀行から18億円を盗んだ事件とかもあったけど、捕まったのは末端の買収された日本人ばかりだったようなものかな?」

愛原「あの事件の背後には、おそらく国際犯罪組織がいるんだろうけども、わざわざ黒人や白人や中国人を使わなくても、そういう仕事を安易に引き受ける日本人なんか掃いて捨てる程いるだろうからな。」

逆沢「捕まった彼らの動機からすると、脅されてやむなくとかでは無く、【コンビニに行って指示通りに金を引き出すだけで報酬がもらえるから】みたいな軽い動機というか、軽い誘導に乗っただけのケースがほとんどで悲しかったわ。」

鼎「反社会勢力に手を貸すような悪徳公務員にしても、脅されてやむなくとかではなく、カネ目当てとか、情が移って断れなくなったみたいな、誘導によるケースが一番多い気もするよ。」

愛原「ハニートラップなんかが一番分かりやすいけど、情が移って内通してしまうというパターンは、実際非常に多いと思う。警察官などが犯罪者に捜査情報をもらす例とかは、ほとんどこれだろう。」

逆沢「金銭欲などの欲望と、愛情などの情欲が、人を最も狂わせる動機になるってか。なんか昭和の昼ドラみたいだな。昭和の昼ドラ自体知らんけど。」

鼎「内通者と聞くと、凄腕の工作員とか、脅されてやむなくとか、そんな非日常的な世界のイメージも沸くけど、案外、実態としてはそういう日常生活の延長線にあるのかも知れないね。」

愛原「日常生活の延長にあるからこそ、周りからはバレにくいし、本人の罪の意識も低いのだろう。内通公務員によっては、逮捕されるその日まで、自分には悪い事をやってる自覚がほとんどなかったというケースもそれなりにはありそうだからな。」

逆沢「振り込み詐欺の受け子とかも、【知り合いに頼まれたやっただけ】みたいな、いかにも軽い動機の人も結構いるようだしね。」

愛原「情が移ってというのとは少し違うかも知れないけど、頼まれたら断れない性格の人間は、案外いるからな。上司からの命令だから断れないとか、先輩からのお願いだから断れないとか、ようやくできた恋人(?)からのおねだりだから断れないとか。今はやりの忖度ではないが、断るべき依頼を断らない結果、悪の片棒を担がされるというパターンは案外多そうにも思う。」

逆沢「なんとも、しょっぱい内通者どもだな。腕利き工作員との駆け引きみたいなものとか、そんなのは実際にはほとんどないってか。」

鼎「【内通者の正体ををあばけ】みたいなハードボイルド的な展開は、実際にはほどんどないって事かな? 正体がばれた工作員との激しい銃撃戦バトルみたいな。」

逆沢「そんな洋画的なハードボイルド展開とかと違って、日本のアニメ的な内通者との人間ドラマも、現実には無いのかねー? 主人公の組織に忍び込んだ謎の女性工作員。しかし主人公と女性工作員は、日常の中でやがて愛をはくぐみ、それ故に、組織への忠誠と内通の後ろめたさで激しく葛藤するみたいな。」

愛原「現実のハニートラップの場合は、情が移って【ミイラ取りがミイラになる】ケースってのは、あまり聞かないな。恋人のふりをして、高額の絵画を買わせたりするような恋人ビジネスや結婚詐欺にしても、仕掛ける側は至ってビジネスライクで、目的を達したら、容赦なく縁を切ったりするみたいだからな。」

逆沢「騙される側は、簡単に情にほだされたりするけど、騙す側は始めから内心で相手を見下しているから、基本的に情が移ってしまうような事はないってか?」

鼎「悪徳先物取引の営業マンなんかも、【客を3人自殺に追い込んで一人前】と言われるくらいだから、客のことを同じ人間とみてないのかも知れないね。」

逆沢「内通者が一人現れると、その組織の中では、【なぜ裏切ったんだ!】とか、【本当に裏切り者がこの中にいるのか?】とか、【もしやあいつが犯人なのか?いや、そんなあいつに限ってそんな事は!?】とか、てんやわんやの大騒ぎになるけど、内通させた側とか、騙す側からしたら、日頃の日常業務でしかないって事かな? 内通者側からすれば、裏切りの罪悪感とか、いつバレるかも知れない危険と背中合わせの環境とかで葛藤も大きいだろうけど、内通者から情報を受けとる側からすれば、内通者から報告を受けるという名のただの日常作業でしかなく、特段に何の情も湧いてこないというか。だから内通者が突然粛清されても、手駒が一つ減っただけの感傷しか湧いてこないというか。」

愛原「そうだな。内通者というテーマを進める上でキーとなるのは、内通してる本人側ではなく、実は内通させている黒幕側の方かも知れんな。」

鼎「よくよく考えてみれば、内通者の背後には、絶対に黒幕がいるよね。たとえば機密情報を横流しするにしても、情報を受けとる黒幕がいないと話にならない訳だから。」

逆沢「脅して内通させるにしても、籠絡して内通させるにしても、訓練させて潜入させるにしても、いずれにしろ黒幕がいて初めて成り立つ構図である以上は、むしろ注目すべきは黒幕の方だったって事か?」

愛原「たとえば組織に強い不信感を抱いているメンバーがいたとして、そいつが誰かに組織の情報を売りたいと考えていても、実際に情報を買ってくれる人がいないと話にならないからな。」

鼎「そう考えると、正義の善玉主人公というのは、実際には自分に協力を申し出てくる内通希望者の事をどう思っているのかな? たとえば悪の帝国の支配にうんざりきている帝国住民の有志が、主人公率いるレジスタンスに協力を申し出て来たとして、果たして【帝国の中に留まって、私達に情報を流し続けて下さい】と言えるかどうか?」

逆沢「悪の帝国の中に留まり続けるという事は、レジスタンスに内通しているのがバレて、悪の帝国に粛清される危険性と背中合わせって事だからねー。主人公にとっては便利かも知れないけど、せっかくの協力者を危険にさらす事になるから、正直後ろ暗くはあるわね。真っ当な正義の味方なら、【あなた方を危険な場所に残すわけにはいかない。私達と一緒に来てはくれませんか?】と言って欲しい場面というか。」

愛原「レジスタンスの元に引っ越しできない事情とか、色々理由づけする事はできるだろうけど。正直、正義の味方側が積極的に使いたいと思う手では無く、どちらかというと悪玉向けだよな。内通者を作るというのは。」

逆沢「主人公が悪玉系なら、内通者が粛清されても、便利な手駒が一つ減ったくらいにしか感じないかもね。」

鼎「悪玉系のキャラなら、脅して味方に付けようが、ハニートラップなどで騙して味方に付けようが、カネをちらつかせて買収して味方に付けようが、狂信徒を訓練して危険な敵地に侵入させようが、全然良心が痛まないだろうし、良心が痛まないから、仮に内通者の工作活動がバレて彼らが処罰されても、嘆き悲しんだりはしない気もするよ。」

逆沢「振り込み詐欺の主犯格からすれば、末端の受け子がどれだけ捕まろうとも、消耗品が一つ無くなったくらいにしか感じないだろうしね。政治家がトカゲの尻尾切りした時に感じる小さな痛みレベルだろうというか。」

鼎「内通者を作るという行為自体が、悪玉向けの戦略・戦術といえそうだよね。脅迫や籠絡といった策略をもって対立陣営の人間に寝返りを促したり、相手が敵対勢力だとはいえ、人を騙す行為で自分達の利益につなげようとする行為以外の何者でもないから。」

逆沢「内通という行為自体、フェアプレイの対極にある卑怯戦法だしね。少なくともスポーツの世界でそれをやったのがバレたら、即追放されるレベルの。」

鼎「仮にスポーツの世界で、特定の選手がライバルチームに内通してたら、大変な騒ぎになるよね。わざと味方チームに不利になるようなプレーをしたり、味方のスタメン情報を事前にライバルチームに漏らしたり、みたいな事をすれば。」

愛原「内通と聞くと、国家間スパイ戦みたいなものを想像しがちだが、実際にはごく日常に溶け込んでいる故に始末が悪い。スポーツの世界でそれをやれば、即追放になるようなインチキ行為も、日常世界ではごくナチュラルに行われる事もある程だからな。」

逆沢「内通行為が、ごく日常レベルでも行われてるとか。たとえばどんな感じ?」

愛原「たとえば労働組合。労働組合というと、いかにも経営者と対立して労働者の為に戦う団体というイメージがもたれがちだが、実際には御用組合とか黄色組合と評される類いもかなり多い。」

鼎「御用組合(黄色組合)というのは、いかにも経営陣と対立しているようにみせながら、実際には経営陣と癒着している労働組合の事だよね。」

愛原「労働組合のない企業だと、労働者に不利な労使契約を締結しようとすると、いちいち一人一人の労働者と交渉・同意してもらわないとならず手間もかかるが、労働組合があれば、そこの了解さえ取れれば、労使契約が随時更新できるからな。だから御用組合は、第二人事部と揶揄される事も多い。そしてそういった御用組合を真っ当な労働組合と勘違いして、彼らに重大な相談や協力を持ちかけようものなら、全て経営陣にチクられてエライ目にも遭わされる。」

鼎「労働者の権利を拡充させるための良案を真面目に考案して、それを労働組合に提案したとしても、その組合が御用組合なら全てもみ消されてしまう事になるし、あるいは経営陣に盾突く危険因子として、排除される可能性すらあるって事だよね。」

愛原「こういった御用組合では、労働貴族というのが普通に存在していたりする。経営陣の息が強くかかった組合員が、それこそ貴族のような待遇を受けて、彼らもそのような厚遇を受けて、ますます経営陣にとって都合のいい形に労働組合を導いていく。御用組合では、労働貴族が上層部を独占している為、末端の組合員がどれだけ真っ当な主張をしても、全て握りつぶされてしまう。」

鼎「だから大手労組には、組合員のほとんどが正社員というところも珍しくないよね。そういう所では、正社員自体が非正規社員と比べたら十分貴族階級で、貴族階級が労働者を名乗って貴族待遇を受けているみたいな。公務員でもヤミ専従といわれる労働貴族が幅を効かせていたり。」

愛原「自動車労連とか鉄鋼労連とか、この前民営化したと同時に発足したJP労組とか、あの辺りは完全に御用組合だな。公務員の労組も、(共産党系以外は)ほぽ御用組合。というか公務員系でガチな労組は、旧国鉄くらいのような気がしてならない。ガチであるが故に、国鉄民営化の際に旧国鉄労組のガチ幹部はほとんどJRに再雇用されず、徹底的に解体されたけど。だから今のJRの労組はかつての国鉄労組とは全く別物で、実質御用組合といって差し支えないかも知れない。」

逆沢「という事は、いかにも反自民を気取ってた旧社会党の系譜も、実際には自民系と裏で結構つながってるという事か?」

愛原「ていうか共産党以外の野党の大半は、与党の政策のガス抜きの為に存在しているだけとしか思えない事も多いからな。」

鼎「なんか最近読んだ、とあるディストピアを舞台にした小説を思い出したんだけど。」

逆沢「それはどんなディストピアなんだ?」

鼎「今の日本が少しディストピア化した近未来ものなんだけど、その世界では、表向き政府の政策に反対するデモ組織というか、組合組織みたいなものもあるんだけど、実はその組織の上層部も、裏で政府とつながっていたりするの。もちろんマスコミも。警察も。たまにガチで反政府運動をする活動家もいるけど、そういう人は適当に罪を着せられたり、ハニートラップみたいな策略に引っかけられたりして、どんどん潰されてしまう。そして非合法な拷問的手段で潰された活動家や、権力者が犯した罪をなすりつけられた無辜の市民が現れても、マスコミも警察も全く動こうとしないみたいな。」

逆沢「モリカケ関係の公文書偽造や8億円値引きに関して、政官の関係者全員を不起訴にした今の日本も大概ディストピアへの道を歩んでるけど、それよりもう少しひどい世界って事か?」

愛原「被害を受けて駆け込んだ司法や組合組織自体が、実は加害者側とつるんでいたというのは、一種のホラーだよな。」

鼎「今の御用組合みたいな組織で、社会全体が覆われている組織というのも、大概怖いよね。被害者を助けますみたいな顔をしてる組織が、実はみんな加害者側に内通していて、うかつに彼らに相談すると、相談内容が全部加害者側にリークされて、さらに加害者側を脅かす危険因子として徹底的にマークされてしまうみたいな。」

愛原「今の日本の会社でも、そういうえげつない真似をしてる所はそれなりにあるそうだけどな。社員の健康管理と福利厚生の一環として、会社側が提携している病院とかがあったりするんだけど、もしもその病院を受診したら、その社員の病歴などは全部会社側に伝えられて、何かあった際にリストラなどの口実にされてしまうみたいな。」

鼎「北朝鮮みたいな、始めから反権力的な組織が存在しない社会も怖いけど、反権力を装いながら、実は権力側にリークする御用組合的な組織しか存在しない社会も、かなり怖いよね。」

愛原「一番、厄介なのは、自作自演をされる事だな。」

鼎「自作自演は、ディストピアの十八番だよね。【反政府勢力を名乗る勢力が、無辜の市民を一方的に虐殺】みたいな。その自称反政府勢力は、実際には政府の手先で、反政府勢力の評判を下げる為に、あえて自作自演で不祥事を起こしたみたいな。」

逆沢「ディストピアなら、政府の工作員が反社会的行為を行ったあげく、政府に都合の悪い【組織による犯罪】として、マスコミに広く報道させる手の方がメジャーな気もするけどね。」

愛原「某政党とか某コメンテーターに、そういう心当たりがあるな。特定の陣営に所属しているようにみせながら、実は味方の足を引っ張るような言動しかしないみたいな。」

逆沢「味方の足を引っ張る味方というのは、一番面倒くさいわ。味方の背中を鉄砲で撃つタイプというか。」

愛原「ただの無能なら残念以外の何者でもないが、中には【コイツ、絶対に故意に足をー引っ張ってるだろ】みたいな奴も、中にはいるからな。ここぞの場面でチームの結束を乱すような独断プレーしたり、火をつけた上に油まで注ぐような振る舞いをしたり。それこそマックスパワーで自分のチームが守るゴールに向けてオウンゴールシュートをかますような奴が。」

逆沢「しゃべるほどに味方の評判を下げるようなコメンテーターとか、勝手に敵が有利になるようにハードルを上げ下げするコメンテーターとか、ああいう手合いをみると、マジでこいつは、味方のふりをした敵の内通者だなって感じる時もあるわ。」

鼎「残念だけど、今の国会にも、そういう議員は多そうだよね。与党に入れないから野党の顔をしてるけど、もしも与党側から好条件で誘われたら、すぐにでも鞍替えしそうな政治家というか。そういう議員ほど、ここぞの場面で野党の結束を乱す行為を取りたがるというか、与党に恩を売るような行為をしたがるというか。」

愛原「与党に調略された内通者である可能性もあるし、別に与党側は何もしてないけど、将来、与党側に誘われる事を期待して、自発的に秋波を送ってるだけかも知れん。いずれにしろ味方に損害を与える存在である事は同じで、迷惑な存在に変わりは無いけどな。」

鼎「実際問題、味方組織の中に内通者がいると感じたら、どう対処すればいいかな?」

愛原「この場合、その疑惑が本物かどうか? 内通者がいる場合の影響も含めて、慎重に判断する事から始めた方がいいだろう。流言飛語系の計略に乗せられている可能性もあるからな。」

逆沢「別に裏切り者なんかいないのに、【あいつは裏切り者に違いない】と勝手に疑って、有用な味方を粛清してしまったら、組織にとって大ダメージだろうしね。」

愛原「味方を迂闊に疑いまくったり、まして粛清なんかすると、組織内に疑心暗鬼と相互不信が蔓延してしまうからな。」

鼎「けど組織内に疑心暗鬼と相互不信が蔓延する事を嫌って、内通者に対して何の対策も取らないと、もしも内通者が実在した場合に、大ダメージを受ける可能性があるよね。こちらの機密情報がだだ漏れになったり、敵が有利になるように方針が誘導されたり。場合によっては人狼ゲームのように、次々と仲間が暗殺されていったりとか。」

逆沢「この前、巨人の選手がチームの備品を大量に盗んで解雇されたというニュースがあったけど、ああいう【獅子身中の虫がいるのは確実だけど、誰が犯人が分からない】というパターンも、ちょっと厄介かもね。隔離空間でのサスペンスドラマで犯人捜しを余儀なくされたような状況というか。」

愛原「【早く犯人を見つけないと、被害はどんどん拡大する。しかし誰が真犯人か分からない。】というパターンだな。しかも犯人は味方の中にいるとなれば、これはなかなか大変だ。」

逆沢「何が一番大変といって、人狼は巧みに自分の姿を隠しているところが厄介ね。仲間を疑いたくはないけど、放置しておくと、被害は拡大する一方だし、自分が次の被害者になる可能性もあるし。」

鼎「人狼ゲームで厄介なのは、自分が犯人と疑われて粛清される可能性もあるって事だよね。」

逆沢「真犯人の人狼からすれば、自分が直接そいつを殺さなくても、勝手に内輪もめ起こして死んでくれたわけだから、笑いが止まらない展開かもね。」

愛原「だから流言飛語系の計略は、すごく効果的なのだ。実際に内通者がいようといまいと、勝手に敵の中で同士討ちの殺し合いをしてくれればこんなに楽な話はないからな。」

鼎「特に毛利元就は流言飛語系の計略の達人で、尼子晴久による新宮党粛清や、陶晴賢による江良房栄殺害や、尼子義久による宇山久兼粛清劇にも、裏で策動していたという話があるけど、彼らが実際に元就さんに内通していようといまいと、結果として同士討ちさせるのには成功させた訳だから、怖い話だよね。」

原「新宮党や宇山久兼が実際に元就に内通していたかと問われれば、正直疑わしい。また元就がどの程度関与していたかも分からない。だが結果として、元就にとって有利な状況になったのは間違いない。江良房栄に関しては、実際に内通に応じていた線も濃いが、そのまま内通させ続けるよりも、内通しているという事実を陶晴賢にこっそり知らせて、陶晴賢の手で江良房栄を殺させた方が影響が大きいと判断して、わざとそういう方向に仕向けたという説もある。」

逆沢「元就、怖いな。」

愛原「陶晴賢の腹心である弘中髟は、元就の計略を見破って厳島への上陸に反対したそうだが、江良房栄も厳島への上陸に反対していた上、その江良が内通の罪で誅された事もあって、江良と同じ事を言うお前も信用できないと弘中の献策を蹴って、それで例の厳島作戦につながったという話もあるな。」

逆沢「もうそうなると、誰が信用できて、誰が信用できないかの区別もできないだろうし、そういう状況を作り上げた元就が怖すぎるわ。」

愛原「内通作戦は、誰にも内通している事がばれないように巧妙に活動されても厄介だが、わざと内通している事をばらして、組織内の相互不信をマックスにする手もあるという事だな。」

逆沢「そうなると、もうこんなギクシャクした組織にいられないとばかりに、たくさんの人が離脱したり、簡単にこちらの調略に応じてくれるようにもなるだろうしね。」

愛原「実際、元就も、陶晴賢を討ち果たした後は、一転して旧大内家臣を積極的に家臣団に迎え入れているし、尼子家を降伏させた後も、同様に積極的に尼子家臣団を組み込んでいるからな。山中鹿之助のような例外もいるが、大半の旧大内家臣や旧尼子家臣は、元就の疑心暗鬼作戦によって忠誠心がひどく下がっているので、再登用も容易だったという事かも知れん。」

鼎「一人でも内通者が出ると、かなり組織としてはまずい事になるという事かな?」

愛原「まぁ出てしまったものは仕方ない。巨人チームの中で備品泥棒が出たならば、調査して犯人を特定せざるを得ないように、そこは残念でもやるしかない。えん罪を出さないように配慮しながら、早期にそいつを見つけ出すしかないだろう。どうしても内通者が見つからないなら、せめてそいつが再犯を犯さないように、管理体制を強化するしかないが、いたずらな管理体制の強化も、相互不信の種になりかねないのが悩ましい。」

鼎「ファンタジーの世界なら、内通者を改心させて和解する事も容易だけど、実際には難しいかな?」

愛原「ケース・バイ・ケースだな。内通者が一人だけと確信できるなら、それでもいいけど、普通はルールに従って過不足の無い処分にするしかないだろう。たとえば公務員による内通行為なんかは、バレないだけでどこでもありそうだし、一人でも安易に許して、内々の処分に留めると後々、面倒くさい事になりかねないからな。」

逆沢「広島県警の8500万円泥棒事件なんかも、おそらく内部犯行だろうけど、あれも内々でなぁなぁ処理されてるのかねー?」

愛原「巨人の盗難事件みたいに、犯人を捕まえるまで盗難事件が何度でも続けて起こる状況なら、嫌でもガチ捜査せざるを得ないだろうけど、8500万円盗まれた後は何事も無いという状況なら、組織内で疑心暗鬼が蔓延するデメリットの方を心配して、平常運転に留めている可能性はあるわな。個人が8500万円も取られたら、絶対に許さないだろうけど、別にどの警察官の個人財産という訳でもないから。」

逆沢「なる程。つまり公務員が個人情報を流出してようが、特定の業者に便宜を図っていようが、特定の議員に忖度して情報開示請求者の履歴を横流しようが、公務員自身の日常に悪影響がないなら、お互いに知ってても見て見ぬ振りする可能性はあるって事か? 下手に犯人捜しを強化して、相互不信で組織がギクシャクするよりもマシという感じで。」

鼎「個人経営のお店とかなら、たとえ1000円でも内引きの可能性があれば、徹底的に犯人捜しもするけど、役所なら公金が少々横領されても、組織内の和を乱すリスクがあるなら、あえて見て見ぬ振りする事も珍しくないのかな?」

愛原「民間商店で、店員による内引き行為を見て見ぬ振りすると、その内引き店員によって、お店自体が壊滅しかねないけどな。一人でも見逃せば、他の店員も真似するようになって、気がついたら店員みんなで略奪し放題みたいにもなりかねないし。役所は民間商店と違って潰れる事も無いし、税金で無限補填もできるから、職員が少々内引きしようと経営的に痛くもないから、ロクに捜査しないままでもいいのかも知れないが。」

逆沢「内通者のような存在は、放置してると、無限増殖しかねないって事か?」

愛原「というかその顛末が、御用組合のようなものなんじゃないのか? 始めは一人くらい、経営側と仲が良い組合員がいた方が、労使交渉もしやすくなるだろうと思っていたら、そいつがどんどん会社側から厚遇されるようになって、それなら俺も俺もという感じで、気がついたら労働貴族だらけになって、第二人事部と呼ばれるような御用組合と化していたみたいな。」

逆沢「警察もマスコミも、そういう風にどんどん権力側に取り込まれていくのかねー? 権力に逆らったら、閑職に回されたり、ガセ情報ばかりつかまされて、どんどん干し上げられるけど、逆に権力に媚びれば、どんどんいいポストを用意してもらえたり、貴重なニュースを優先的にリークしてもらえたりしやすくなるからという理由で。」

愛原「ジャーナリストは基本反権力でないと健全に機能し得ないが、権力側は当然ながら報道部門を権力内に取り込みたがるから、権力に媚びるジャーナリストにばかり有益な情報をリークしてあげたり、逆に反権力のジャーナリストを公然と非難したりくらいは平気でやるかもな。」

鼎「その結果、御用組合ならぬ、御用ジャーナリストとか、御用メディアみたいなものも誕生しちゃうのかな? こんな感じで。」

愛原「今月の11日に安倍総理が岡山県内の被災地の避難所を訪問した際の映像を別角度から撮ったものだな。テレビの映像では、ごく自然な形で総理が被災者を激励しているように撮られているが、この角度からみると、他の予定外の住民などが乱入しないように、特定の被災者(?)を囲った上で、あらかじめセットして準備万端にした上で、キューしてるのがよく分かる。あれでは将軍様を撮るときの北朝鮮メディアとほとんど変わらないかも知れんな。」

逆沢「これはひどい。第1次安倍政権の時のチーム世耕や、やらせタウンミーティングの頃と、全然体質変わってないじゃねえか。」

鼎「アメリカでも、都合の悪い人が出ると、すぐにレイプ疑惑をかけたり、セックススキャンダル流したりするけど、日本のマスコミも、政府に都合の悪い人が現れると、突然、買春疑惑流したりするような真似もしても全然おかしくないって事かな?」

逆沢「御用学者や御用ジャーナリストが一人二人混じってるだけならともかく、振りかえれば全部御用マスコミだらけというのは、怖すぎるわ。民放全局がフルスクラム組んで総喝采とか、逆に総バッシングとか、異常な光景すぎるだろうとも。」

愛原「だから世界のジャーナリストから、日本の記者クラブ制度は非難されているんだけどな。全局が全く同じ内容の映像と論調で垂れ流しする光景自体が、既にまともじゃないから。完全に御用メディア化してるというか。」

鼎「せっかくスクープネタを仕入れても、有力マスコミの全てにネタの掲載を拒まれたという話も聞いた事もあるけど、それも裏で有力マスコミ全てが内通してるという事かな? その結果、週刊誌や赤旗あたりが最後の切り札にならざるを得ないというか。」

逆沢「【ゾンビに追われてるから、助けて下さい】と警察に駆け込んだら、そこにいる警官全員が既にゾンビになっていたみたいな感じね。」

愛原「一目でゾンビと分かるならまだ幸いだ。御用組合みたいな場合だと、見た目は自分と同類にしかみえないからな。いかにも自分の味方というふりをして安心させて、裏では敵と通じていて、逐一こちらの情報を敵側に流している訳だから、ゾンビよりもずっとタチが悪いかも知れん。」

鼎「与党と戦う野党のふりをして、実は最終的な落としどころは、裏で与党と口裏合わせしてあるとか、真実を追究するジャーナリストのふりをして、実はここから先は追及しないと裏取引ができあがっているとか、経営者と徹底抗戦するふりをして、実は最初から落としどころは決められているとか、そんなディストピア、怖すぎるよ。」

逆沢「興業ならプロレスでもアリだけど、真剣勝負の場でそれをやったら、単なる八百長じゃねえか。ふざけんなよって感じだわ。」

愛原「しかも内通させた黒幕側からすれば、使い捨ての消耗品でしかないからな。もしも内通者が捕まって自分にも累が及ぶと感じならば、彼らは蜥蜴の尻尾を切るように、あっさり切り捨てる事だろう。」

鼎「【あいつが勝手にやった事】とか【私は知らない】と言って逃げ切るようなパターンは、もう見たくないよ。」

逆沢「そういう切り捨てられ方をされる所からして、消耗品扱いなのが明らかすぎて悲しすぎるわね。内通してる側は、危険な環境の中、命がけで必死に勤め上げたにも関わらず、最後はそういう切り捨てられ方って。」

愛原「元スパイとか、元隠密が、表社会で出世するパターンなんて滅多にないようなもので、内通者のような後ろめたい存在は、用済みになったらさっさと闇に葬りたいのが、黒幕にとっての本音のような気もするしな。元スパイに、過去の裏工作の内容とかをベラベラしゃべられても困るし。」

鼎「秘密を知っている立場であるが故に、用済みになったら消されやすいというのは、裏社会ものの定番の展開だよね。」

逆沢「せっかく決死の思いで内通しても、用済みになったら始末されるだけとか、最悪だな。うかつに内通なんてするもんじゃないわ。」

鼎「私が最近読んだディストピアものでも、そういうシーンはあったよ。普段、色んな市民をえん罪で裁いてきた秘密警察の長官みたいなキャラがいるけど、その悪事がバレそうになるや、全ての罪を秘密警察の長官キャラになすりつけようとしたりとか。その長官キャラの人は、もっと上の黒幕の指示通りに動いていただけなのに。」

逆沢「分かりやすい程の悪の組織ぶりね。悪の黒幕が悪の幹部に悪の仕事を押しつける。悪の幹部は、忠臣として平然と悪事をためらいもなく実行するけど、それがバレそうになるや、今までの忠勤ぶりを評価される事も無く、蜥蜴の尻尾としてあっさり切り捨てられるだけとか。」

愛原「普段、平気で人を切り捨ててきた側の人間もまた、用済みとなれば切り捨てられるだけの存在でしかない。人の命が軽すぎる典型的なディストピアだな。」

逆沢「そう考えると、安易に誰かの言いなりになって内通者になるのも考えものね。どうせ用済みになったら始末されるだけなら。」

愛原「内通というか、後ろめたい行為をする事自体が、危険だな。バレたら困るような後ろめたい行為であるが故に、堂々と行動できないし、常にバレる危険と背中合わせになるし、バレた際に言い訳や自己正当化もできない。また黒幕もそんな窮地に陥った自分を助けてくれるどころか、トカゲの尻尾切りをしてくるだろうから、彼らの支援も期待しにくい。仮にその内通行為に自分の信じる正義があると感じたならば、それはそれで崇高で気高い覚悟だとも思うが、そういう覚悟や正義感も持てないまま、雰囲気や成り行きに流されて安易に行うものではないだろう。」

鼎「悪の帝国を打倒するためとか、自分なりの正義と覚悟があるならともかく、そうでもないのに軽い気持ちでやってはいけないものという事かな?」

愛原「バレた際に裁かれてもいい覚悟があるならともかく、【多分バレないだろうから】みたいな軽い気持ちでやるのは論外。【バレても黒幕が助けてくれるだろう】とか、【何とかなる】と思うのも浅はか。余命三年時事日記とかいうデマサイトに乗せられて、実名と現住所さらして弁護士に懲戒請求かけた輩もいるそうだけど、どうせ自分に実害は及ばないと決めつけて、安易にヤバい行為に首を突っ込むと、大変な事になってしまう。騙した側はそんな貴方を愚か者と裏でせせら笑う事はあっても、決して助け船なんか出すわけないのだから。」

逆沢「既に何人も自殺に追い込んできたベテラン悪徳先物取引営業マンが、これから破滅させようとする客に対して助け船を出すわけないのと同じね。あるいは振り込め詐欺の黒幕が、逮捕された末端の受け子の救出に全力を挙げるわけが無いのと同じで。」

愛原「助け船を出す余力があるなら、次のイケニエを探す方に労力を傾けるだろうな。受け子が逮捕されて一人減ったら、別の受け子を探すだけ。既に捕まった受け子を助ける為に一流の弁護士雇ったり、あるいは脱獄を助けたり、あるいは出所後にまともな就職先を斡旋するような真似は絶対にしない。受け子自身は、一番危険な役割を引き受けてはいるが、黒幕からすれば、それ故に捕まっても惜しくない使い捨てを配置しており、使い捨ての救出ごときに労力を払うわけがない。」

鼎「黒幕からすれば使い捨ての消耗品でしか無いのに、当人は【頼まれたから断れない】とか、【小銭稼ぎくらいにはなる】とか、【大丈夫。絶対バレないからと言われたから】とか、くだらない理由で、後ろめたい行為に手を貸したら駄目という事だよね。」

愛原「誘われても、後ろ暗い行為には容易に手を貸してはならない。どうしても手を貸すなら、強い覚悟をもって不測の事態が起きても後悔のないように。また周りの圧力が強大すぎて断り切れないと感じても、うかつに手を貸すと、用済みになったら消されるのは同じ。というかそういう社会だと、人命自体がすごく軽くなってるので、自分がそいつらに安易に手を貸して、さらにディストピアを加速するような真似をしてはならない。大坂城の堀を埋め立てたら助けてもらえるなんて思うのは浅はかで、むしろ自分で自分の墓を掘る羽目になる。」

鼎「内通工作を仕掛けてくる者は、労働貴族にしてやるぞとか、おいしい情報をくれてやるぞとか、色んな甘い言葉で内通するよう誘惑をかけてくるけど、絶対に応じたら駄目って事だよね。一度でも応じたら、容易に抜け出せなくなるし、今まで共に戦ってきた仲間も含めて、みんなが不幸になるだけだから。」

愛原「一度でも賄賂を受けとったら、それ自体を脅しのネタにされかねないように、、一度でも後ろ暗いことに手を貸すと、容易に後戻りも出来なくなる。甘い言葉に乗せられたり、親しくなった人に頼まれたからと言って、人間としての最低限の節度を捨ててはならない。そもそも甘い言葉でささやいてはいても、そいつは用済みとなれば、平気で人を切り捨ててくるような悪党なんだから。」

















過去のたわごと 
2018年 7月8日 人件費コスト管理ゲーム 6月24日 忠義者キャラ
6月10日 欠陥つき有能キャラの処遇 5月27日 邪悪な独裁者に支配された組織のメンバーの挙動
5月13日 邪悪な独裁者が健全な組織を乗っ取る方法 4月29日 論破
4月15日 正義の味方という名の制裁者 4月1日 平気で嘘をつける人たち 
3月18日 公正世界仮説 3月4日 被害者叩き 
2月18日 政治力 2月4日 統率力 
1月21日 優秀すぎるライバルが現れたとき  1月7日 素性を表す記号としての肩書き
2017年 12月24日 フリゲの雑談  12月10日 賤民階級
11月26日 個性づけとしてのパラメータ 11月12日 宿敵宣言
10月29日 大同団結 10月15日 品質について
10月1日 華麗な策略、汚い策略。その違い 9月17日 平等主義と反平等主義
9月3日 ファン型オタクとマニア型オタクの違い 8月20日 ツイッターの利点と問題点 
8月6日 大抜擢された人材 7月23日 誇りと傲慢
7月9日 傲慢とマウンティング 6月25日 権威を利用するナイトども
6月11日 悪事プレイ(のススメ) 5月28日 異界人(宇宙人)の干渉
5月14日 集団の思考ルーチン 4月30日 人間っぽさ=非効率的な思考ルーチン
4月16日 名声欲 4月2日 無言の圧力と忖度
3月20日 ロスト・ハイ・テクノロジー 3月5日 破壊神の信者
2月19日 一人称形式で見える視野の範囲 2月5日 歴史的人物の当時の評価
1月22日 未来予測 1月8日 人相見(人物鑑定)
2016年 12月25日 商業レビュアー 12月11日 成長戦略の目玉としてのカジノ
11月27日 パニック 11月13日 生存ゲーム的なシチュエーション
10月30日 強敵感 10月16日 感情移入という視点からのキャラクターメイク
10月2日 供給過剰社会 9月18日 血筋
9月4日 統一されるべき尺度 8月21日 暑さと寒さ
8月7日 (優秀な)下っ端 7月24日 超便利社会=超疲弊社会
7月10日 社会的弱者を量産し、彼らを悪の先兵に誘う者  6月26日 少子化社会という舞台
6月12日 有事法制(緊急事態における法のあり方) 5月29日 悪のセレブサロン 
5月15日 成功者が成功後にやりたいと思うこと 5月1日 ゲーム世界とリアル世界の違い
4月18日 過去に戻ってやり直すということ 4月3日 八百長 
3月20日 異邦人(外国人労働者) 3月6日 陣形
2月21日 功績泥棒 2月7日 三国志13をプレイ
1月24日 裏切り者 1月10日 善政家
2015年 12月27日 精神〜命よりも大切なもの 12月6日 独立戦争 
11月23日 ジャーナリスト 11月8日 精神力 
10月25日 優しい指導者  10月11日 助けを求める人たち 
9月27日 兵站 9月13日 善玉が起こした悪事や不祥事
8月30日 カイゼン 8月14日 盗作・ゴースト
8月2日 表稼業 7月20日 正論を用いない説得工作
7月5日 ディストピア 6月21日 財政破綻
6月7日 防諜 5月24日 サイコパス
5月10日 戦犯 4月26日 ハト派とタカ派
4月12日 不遇な先駆者 3月29日 プロギャンブラー(バクチで生計を立てる人)
3月15日 世界の管理者という名のラスボス 3月3日 命令コマンド
2月15日 攻略本・攻略サイト 2月1日 お遊びコマンド
1月18日 精神異常状態 1月4日 NPCの選択判断ルーチン
2014年 12月14日 男女キャラクターの比率 11月30日 不安と安心の役割
11月16日 現実主義者の正体 11月3日 アイテムゲット
10月19日 真相にたどり着けない者 10月5日 挫折
9月14日 嫌いだけど素晴らしい人達 9月7日 売れている作品と面白い作品の違い
8月24日 援軍 8月3日 ブラゲとパケゲ
7月20日 根性論と科学的知見に基づいた肉体改造 7月6日 ディスリスペクト(軽蔑・disり)
6月22日 あやかり系主人公 6月8日 中毒
5月25日 箱庭ゲーム 5月11日 ダブルスタンダード
4月20日 偽りの理想郷 4月6日 防御力
3月23日 自分用ゲーム作り 3月9日 育成する指導者、選別する指導者
2月23日 忠誠 2月9日 変化するキャラクター
1月26日 一芸職人VS器用貧乏 1月11日 評判
2013年 12月23日 身分制度 12月8日 陰謀
11月24日 秘密 11月10日 努力が報われるゲーム
10月27日 ゲームの自由度について 10月13日 出来の悪い二代目
9月29日 怒り 9月15日 撤退戦術
8月30日 ヒール(悪役) 8月15日 覆水盆に返らず
7月28日 予知・予測 7月13日 かつてのヒーロー
6月30日 覚醒(新能力発現・急成長) 6月15日 犠牲
6月3日 単独開発 5月19日 ダメ人間
5月5日 悪徳宗教を必要とする人々 4月21日 悪の連帯責任
4月7日 3種類の立場からみた作品批評 3月24日 中立性を装った愚痴・悪口など(仮)
3月10日 人気対戦競技の条件 2月24日 幻想空間
2月10日 お金 1月27日 尊敬できる敵
1月13日 やる気・気合 12月29日 ルール
2012年 12月15日 厨二病 12月2日 売れ筋
11月17日 改心 11月4日 議論
10月21日 優秀な人材の起用・登用方法 10月7日 憎しみにとらわれた人達
9月22日 友情やコネによる人事起用の危うさ 9月8日 権力欲に取り憑かれた人達
8月19日 敗北の受け止め方〜捲土重来を期すために 8月5日 作者(表現者)が作品を通じて伝えたい思い
7月29日 人が自ら死(自殺)を決意するとき 7月15日 選択肢を選ぶことによる覚悟(リスク)
7月1日 選択肢があるということ 6月16日 宣伝と人気
6月2日 ホンネとタテマエ 5月19日 コンプガチャに学ぶ確率論とイカサマの話
5月6日 鑑識眼 4月30日 平等と競争
4月14日 公務員ヒーロー 4月1日 SF設定
3月18日 情報収集 3月3日 原発考察
2月19日 プライド 2月5日 お笑い
1月22日 ラスボスの処断方法 1月8日 創造→創作
2011年 12月30日 独裁者 12月9日 二次創作品
11月27日 万人向けからマニア向けの時代へ 11月13日 無敵能力の人たち
10月29日 正式名称 10月15日 利の人、情の人
10月3日 ポジティブ・ネガティブ 9月16日 利権
9月3日 借金 8月21日 何も変わらない事の恐怖
8月5日 発信したいオタクと共感したいオタク 7月25日 戦う地方、媚びる地方
7月17日 充電期間 7月10日 ひとそれのアンケート結果
7月2日 供給過剰気味のゲーム(&娯楽) 6月21日 東日本大震災3
6月5日 上司に反発 5月21日 修正する度量
5月14日 挑戦する勇気 5月1日 調子
4月17日 専門スキル 4月3日 東日本大震災2
3月18日 東日本大震災1 3月5日 ネトウヨと不良キャラの共通点
2月19日 信用ラインと警戒ライン 2月5日 信じられない者ばかりの世界観
1月23日 武器を交えない戦争 1月16日 しゃべらない主人公
1月7日 異世界に飛ばされた凡人 12月25日 後ろ向きな嫉妬心
2010年 12月19日no2 人それのゲーム難易度 12月19日no1 社会人型キャラ
12月11日 新作公開してから一週間 12月5日 新作ゲーム紹介
11月20日 理想と現実 10月29日 新作公開予定
10月18日 派閥 10月1日 仲間
9月19日 キャラクターイメージ 9月6日 理想を持った人間。そうでない人間
8月21日 革命後 8月8日 長編のオチのつけ方
7月24日 勇者は世直しができるか? 7月10日 全力集中プレイと長期戦略プレイ
6月27日 RPGのチームバトル 6月13日 傭兵団
5月29日 相手の思考をよんでみよう 5月14日 扇動する者、される者
5月7日 こっそりアンケート設置お知らせ、ほか 5月3日 地方を主人公の舞台にしてみよう
4月17日 コンピュータは人間を上回れるか? 4月2日 政権交代から6ヶ月が過ぎて
3月22日 フィクション 3月12日 困ったパーティメンバー
2月21日 責任 2月6日 教育
1月23日 トップダウン式製作とボトムアップ式製作 1月10日 ゲーム作成スタッフ
2009年 12月25日 政権交代から3ヶ月が過ぎて 12月12日 血液型
11月29日 編集日記・編集後記 11月14日 AVG(+SLG)制作中
10月31日 シナリオ 10月18日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには2
10月3日 オリジナル 9月19日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには
9月6日 実在モデルをどこまで採用できるか 8月24日 素材?
8月14日 今時の報道スタイル 8月8日 ユーザーサポートにメールを送ってみました
7月25日 恋愛シミュレーション2の魅力? 7月11日 人気と実力
6月27日 打ち切り 6月19日 エロゲ規制強化の流れからみるゲーム考
6月6日 貴族階級 5月23日 悪の戦闘員
5月10日 異なるキャラクターの視点でみてみよう 4月24日 強者がますます強くなる・・・
4月11日 ゲームエディタ 3月29日 愛郷心
3月22日 匿名ネット社会 3月6日 暗躍する超能力者たち
2月22日 信者キャラ 2月15日 必殺技
2月1日 アンチヒーロー(悪役型英雄) 1月23日 カタストロフィーを未然に阻止しよう
1月16日 フェアな戦い 1月3日 あれから幾年後
2008年 12月28日 国盗りSLGの景気対策 12月20日 現実世界をゲーム化してみよう
12月5日 内部対立 11月29日 推理もの??
11月22日 悪人とも言い切れない罪人 11月7日 正史
10月31日 萌えない女性キャラ 10月18日 関西弁
10月5日 大阪 9月21日 避けられない強大な敵
9月7日 人気・魅力・カリスマ 8月29日 黒幕
8月23日 運と実力 8月9日 COMの思考ルーチン
8月3日 新シナリオ「HeiseiNippon」公開 7月19日 軍師
7月5日 各国の思惑を構成するもの 6月21日 催眠術
6月7日 和解 5月24日 知恵者
5月16日 千年生きてみよう 5月3日 生き残ることと勝ち残ること
4月18日 冷酷な指導者 4月5日 お金の使い道
3月15日 若さ 3月7日 性能と運用
2月29日 アンケート現況発表(質問2について) 2月22日 広報戦略
2月10日 差別 1月27日 敵のスペック

1月13日 神の加護、神聖魔法 12月30日 フリーゲームのレビュー
2007年 12月16日 国盗りゲームのパターン 12月1日 謎について
11月16日 ゲーム世界での対人設定2(その他視点) 11月3日 ゲーム世界での対人設定1(味方視点)
10月20日 レジスタンス勢力 10月5日 終盤〜エンディング
9月21日 世襲について 9月8日 悪役(ヒデブ派5隊長など)
8月24日 確率について 8月10日 セーブ&ロード
7月27日 成長について 7月15日 SRPGにおける白兵部分のゲーム的処理
6月30日 SRPGのマップのシステム 6月17日 徴収と略奪
6月2日 兵科あれこれ 5月19日 理想の君臣関係
5月4日 経済力うんぬん 4月21日 戦略ゲームと戦術ゲーム
4月6日 公開情報と非公開情報 3月24日 個人戦用の武器等
3月9日 兵士の武器 2月25日 ゲーム作りとゲーム遊び
2月11日 少数派(属性持ち)向けゲーム 1月28日 バージョンアップ

1月13日 宮田軍にてこ入れ? 12月30日 フリーゲームの宣伝
2006年 12月15日 投票・アンケート 12月1日 最強の敵
11月18日 動かしやすいキャラと動かしにくいキャラ 11月4日 デバッグ
10月22日 現代・近未来ものについて 10月6日 趣味の社会人クリエイター
9月15日 新作?の状況について 9月8日 BGMについて
8月27日 登場人物の口語表現 8月12日 女性キャラ
7月28日 主人公選択式ゲーム 7月16日 マイサイトについて
7月2日 死について 6月17日 風刺について
6月2日 シナリオタイプあれこれ 5月19日 ゲーム作りの進め方について
5月5日 ゲーム作りを始める時について 4月21日 高能力キャラの表現方法
4月8日 悪い敵 3月31日 名前について
3月18日 伝え方と伝わり方 3月12日 キャラクターのプロフィールについて
3月5日 アマとプロによる基本プロット考 2月25日 自作CGについて
2月19日 著作権について 2月12日 バックグラウンドの設定について
2月5日 SRPG95の次回作に対する期待 1月29日 分岐と自由度について
1月22日 難易度について 1月15日 勢力別能力値考察
1月8日 主人公について 1月1日 ユニットの能力値をどういじるかについて
2005年  12月30日 12月23日 12月16日 12月9日 12月2日 11月25日 11月18日 11月11日 11月5日 10月31日















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