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愛原様のたわごと(22年2月27日)







愛原「壮大な世界観のファンタジーものではおなじみの歴史的新発見という奴だが、お前ら、これについて改めてどう思う?」

鼎「今まで信じられてきた歴史の嘘が暴かれるみたいな感じで、よく使われるよね。ファンタジー世界でいえば、善玉として信じ讃えられてきた神や過去の英雄が、実は全然そんな事はなかったみたいな。」

逆沢「隠されてきた過去の悪事が明らかにされるみたいな設定は、割と多いわね。ある意味、定番といっていいほどに。」

鼎「別に悪事じゃなくとも、不都合な真実であるほど、隠される傾向はありそうだよね。たとえば、はるか昔に滅ぼされたはずの大魔王が、実は封印されただけで滅んだわけでは決してなく、しかもその封印が、そろそろ解けそうになっている。しかしそんな真実は、一握りの王族らだけしか知らず、大半の庶民らはそんな事実にも気づいていない状態だとか。」

逆沢「過去に偉大な功績をあげた名家の創業者が、実はどうしようもないクズだったとかいうのも、割と見られそうなパターンね。他人の功績を横取りしただけとか、実は悪事で財を成しただけとか。」

鼎「あと定番なのは、悪の手先として信じられている魔族だけど、彼らは過去に自分たちを追いやった神族や人間族に復讐心を持っているだけで、元々は、価値観や種族が異なるだけの存在でしかなかったみたいなものとか。現在邪教扱いされている信仰も、元々は決してそんな扱いをされるようなものではなかったとか。」

逆沢「ある意味、歴史というのは、勝者によって捏造されるものでしかないのかも知れないわね。勝者が自身の正当性を主張する根拠にするためのものというか。」

愛原「それは、普通にあるな。豊臣秀吉が天下人になる際、自らの出生を美化した上で、それを広く喧伝した件とか。出自の微妙な大名や武将でも、自分は誰それの末裔と名乗ってみせたりとか。まぁ今でも、白頭山の血統とか、あるところには普通にあるくらいだし。」

逆沢「私的には、豊臣秀吉は低い身分から成りあがったからこそ魅力的なんだから、実は偉い人だったみたいな盛り方されても、逆にガッカリなんだけど。」

鼎「それは現代人の感覚だよ。現代人は下からの成り上がりにロマンを感じやすいというか、比較的好意的だけど。当時は、下賤な身分の者は、それだけで軽蔑の対象だったから。だからみんな、自分の血筋を美化するのに必死だったし。」

逆沢「私からすれば、自らの血筋を偽るなんて、自分の親や先祖に対する冒涜だろとしか思えないけど。当時とは価値観が違うと言われれば、それまでだけどね~。」

愛原「まぁ、いずれにしろ、そういう偽りをただすために歴史学者というのがいるんだけどな。まぁ孫氏の兵法でも情報の重要性については十分触れられているし、故に古代から正しい歴史を遺していこうという流れ自体もそれなりにあったから。少なくとも歴史が嘘で塗り固められたものばかりみたいな悪意ある解釈は、なるだけやめた方がいいとは思う。」

鼎「とすると歴史というのは、正しい歴史を記録して残していこうとする人達と、自分たちに都合のいい歴史を広めていこうとする人達の間で激しく対立したり、揺れ動きながら、何度も書き換えられてきたものという方がいいのかな?」

逆沢「確かに今の世でも、歴史修正主義者みたいな連中がうごめいて、歴史を不当に書き換えようとしてる連中がいるのも分かるけど、一応、正しい歴史を残していこうとする人達が主流派とみなしていいのかしらね~?」

愛原「歴史学という学問に関していえば、まっとうな歴史を遺していこうと考える人たちで、圧倒的多数を占めている気はするけどな。彼らにとって最も価値があるのは、真実の追求であって、それ以上に価値のあるものはないからな。」

逆沢「ただ、歴史学というのは、物理学や化学や数学のような理系の学問と違って、真実を見極めたくても、具体的な根拠に欠ける気がするのは私だけか? 化学の実験で得られるような再現性があるわけでもなく、分かりやすい公式や法則に当てはめられるわけでもなく、状況証拠を積み重ねて色々推理していくしかない、極めてあいまいな学問というか。」

愛原「お前が言う理系の学問も、基本は状況証拠の積み重ねでしかないのは同じだぞ。状況証拠の積み重ねの結果、この公式に当てはめれば【なんとなくしっくりくる】からという理由で、新しい公式や法則が誕生することも多いし。」

鼎「だから前提条件を大きく変えれば、昔から信じられていた公式通りの結果にならなくて、法則の見直しなり修正を迫られるのは、割とある話だよ。理系の世界でも。」

愛原「心理学から医学、あるいは生物学から天文学にいたるまで、現代科学で証明できないことはまだまだ多い。理系でも、状況証拠を積み重ねていくことでしか、更なる真相に迫る事ができない点は全く同じだ。」

鼎「それに歴史学関連でも、理系的な知識をたくさん必要とする分野もあるよ。たとえば考古学とか。」

愛原「歴史学は、広く見れば人文科学・社会科学・自然科学の全てを総動員する学問でもあるからな。大雑把に言えば、遺跡・遺構・遺品などといった物証を元に自然科学から歴史を解明していく方向。残された文書などを読み解いていくことで、人文科学から歴史を解明していく方向。積み上げられた文化や伝承を深掘りしてくことで社会科学から歴史を解明していく方向。非常に多彩だ。」

鼎「ただ色んな方法で次々と新たな発見や発掘をされる事も多いから、その度に従来から信じられてきた説に修正が入る事も多いかも。」

逆沢「私ゃ、細かいことはよく分からないけど、坂本龍馬が以前ほど評価されなくなったとか、鎖国はなかった論とか、徳川綱吉や田沼意次の評価見直し論とか、南京大虐殺も731部隊も従軍慰安婦も存在しなかった論とか、そういうのも、昔と比べて色々と歴史的新発見が加わったから、評価も変わってきたという事なのか?」

愛原「極端な例を出すなぁ。俺に言わせたら、悪い例といった方がいいかも知れない。まぁいつの時代でも、重箱の隅をほじくるような真似をして、定説を覆したがる輩というのはそれなりにいるからな。」

鼎「特に、新しい発見や新解釈が出てくるたびに、安易にそれに飛びつく人は割といるよね。」

愛原「もちろん新発見などかあれば、それをまず徹底検証する事自体は、歴史学として正しい。特に遺跡の類は、一通りの研究が済んだら、すぐに通常の用地として活用するために埋め立てられたりする事も珍しくないからな。ただし、徹底検証されているから、必ずしも重要な歴史的新発見とは限らない。」

鼎「重要な大発見だから徹底検証されているわけではなくて、重要な大発見となる可能性もあるから徹底検証されているだけというのを、まず見落としてはならないよね。だから徹底検証した結果、残念ながら大して価値のあるものではなかった事も多々あるというか。」

愛原「特に最近は、新たな文書が発見されたとか、新たな遺跡が発掘されたみたいなのではなく、単にどこぞの誰かが新解釈をぶち上げただけというのも珍しくないからな。下手すると、学者とも言えないようなネットのざれごとが、元のソースという事もあるあるというか。」

鼎「特にタチが悪いのは、【こう解釈することが今では主流となっている】とか【今ではその説はほぼ否定されている】とか、大した根拠もなく展開するような人たちだよね。【みんな】に弱い日本人の特性を利用して、完全に誘導しているというか。」

愛原「なにが主流やねん?って、ツッコミたくなる事も多いわな。お前らの仲間内限定で盛り上がってるだけだろうが、というか。」

鼎「けどその仲間内限定では間違いなく主流の解釈となってるから、何も知らない外部の人からすると、本当にそう誤解させかねない恐ろしさを感じることもあるよ。」

逆沢「彼らが主流と言ってるから【主流なんだな】と妄信するのではなく、自分なりにアンテナを立てて判断しないと危険ってか?」

愛原「残念ながら歴史学の世界では、珍説をぶち上げる輩がそれなりにいて、しかも彼らは【自分は他の連中が知らない真実を知っている】的なドヤ顔で、それを吹聴するからな。」

逆沢「まぁ、【他人が知らない真実を知っている】という優越感には、麻薬的な魅力があるからね~。」

愛原「だからか、誰かが目新しい新説を展開すると、喜んでそれに同調して飛び乗る輩は、それなりに出てしまう。新説だから、まだ多くの人が知っているわけではない。それを自分は知っているとなると、それだけで優越感が湧いてきて、その知識を披瀝したくなるのだろう。」

鼎「歴史学は根拠があいまいなことも多いから、新説だからと言って即座に間違いと否定できることは少ないし。だから少しでも信ぴょう性があれば、割と好意的に受け入れやすい傾向はあるよね。」

逆沢「新説というか、今までの主流の流れを否定する論調がよく起こる気がするのは、私の気のせいか? みんなが信じる価値観の逆を行きたがるというか・・・。徳川綱吉が悪政を敷いたという価値観に対抗して、実は善政家だった的な。坂本龍馬は大物のように言われるけど、実は全然そんな事はなかったとか。大石内蔵助は英雄のように言われて、吉良上野介は悪人のように言われるけど、実は逆だったとか。」

愛原「多分、気のせいじゃないな。【他人の間違いを指摘して、ドヤ顔したい心理】がそうさせるのだと思うが、勝ち目のある逆張りを好む輩はそれなりにいるからな。三国志界隈とか、もっと分かりやすいぞ。【劉備も諸葛亮もスゲーとなるのが初級者。劉備も諸葛亮も実は大したことはないとなるのが中級者。劉備も諸葛亮もやっぱりスゲーとなるのが上級者。】なんて言われたりもするからな。」

逆沢「あはは。みんなが初心者のうちは、素直にヒーロー扱いされてる人を好きになる。けど、その中で知識のある人が出てきて、実はそいつは大した事なかったとドヤ顔で解説するようになって、やがてそれが主流になる。けどさらに知識を蓄えたものが、再びそれを否定するようになって、また元の考えが主流になるみたいな感じか?」

鼎「三国志界隈では、その逆バージョンもあるよ。劉禅無能説というものだけど。」

逆沢「劉禅無能説は有名ね。少なくとも私でも知ってるくらいには。」

愛原「これもいわゆる中級者だけが、評価が逆転するんだよな。実は劉禅は無能でも何でもなかったみたいな論を主張したがるのが、中級者の特徴というか。」

逆沢「典型的な【生兵法は怪我のもと】って奴ね~。中途半端な知識をかじって逆張りしたがるのが、いかにもっていうか。」

愛原「ただ中級者を経ないで、いきなり上級者にはなれないので、ある意味では通過儀礼とも言えるけどな。疑問を持たずして、知識を蓄積させることはできないから。」

鼎「まず定説を妄信せず、疑うことから始めるのが、知識を蓄える第一歩だよね。だから純粋に定説を妄信する事しかできない初級者よりは、明らかに中級者の方が知識も豊富だし。」

逆沢「理系でも、ただ単に公式を丸暗記してるだけの学生よりも、【なぜその公式が成立するのか?】とか、その背景を自分で深掘りできる学生の方が優秀なようなものかな? 妄信するのではなく、ちゃんと裏を取れる人の方がずっと上というか。」

愛原「そして中級者達を疑うこともできれば、上級者への道が開けてくる。だから俺的には、中級者を闇雲には非難したくないのだが。」

逆沢「ただ、中級者が増えすぎて、そちらが新たな定説になってしまうと、厄介ね。初級者は中級者の信じるそれを定説と信じたうえで、入ってきてしまう危険が高まるから。」

鼎「劉備や諸葛亮レベルの有名人なら、一周回って元の評価に戻る事も多いだろうけど、中途半端な有名人だと、上級者が多数派を占めるほどには考察が進まず、評価を逆転させた中級者が主流派を占めたまま、評価が固定されてしまって、どうしようもなくなってる事も多いよね。」

愛原「逆に超有名人ランクになると、交互に歴史的評価が入れ替わる例も珍しくないぞ。日本で最もそれが顕著なのは、おそらく豊臣秀吉だろうな。彼に関する評価は、本当に時代ごとに大きく揺れ動くからな。」

逆沢「あー。なんとなく【秀吉スゲー】と【秀吉ロクでもねえ奴だな】が、確かにブームごとに揺れ動いてる気もするわ。」

鼎「いつの時代でも、逆張りしたがる人は常にいて、そういう人が歴史的評価をころころ入れ替えたがるといえば、言いすぎかな?」

逆沢「テレビ局とかでも、平気でそういうの、やりたがるからね~。【今までの解釈は必ずしも正しくなくて、実は!】的な展開をすごく好むというか。」

愛原「まぁ、【今まで通りの解釈で正解です】では、番組にもならないからな。視聴者が知らない真相に迫ってこそ、わざわざ報道する意味があるってもんだから。」

鼎「けど視聴者の関心を引くために、無理やり定説をひっくり返す新説をぶち上げるようなのは、正直愉快にはなれないよ。」

逆沢「その新説とやらが真相、ならいいけどね~。真相の一部だけを取り上げて、それを根拠に今までの解釈をひっくり返すようなのは、やりすぎだと思うわ。」

愛原「全くだな。仮に従来の定説を否定するような新たな歴史的新証拠とやらが出てきても、それは今まで無数に積み上げられてきた証拠が、さらに一つ増えただけでしかないからな。過去に積み上げられた証拠の数々が、別に無価値になるわけではない。」

鼎「従軍慰安婦問題だったかな? たまたま一つの証拠が捏造か何かと判明しても、それで他の証拠全部が一気に無価値になったりはしないようなものだよね。歴史修正主義者は、たった一つの誤りを根拠に、全否定にかかるような暴挙に及んでいたようだけど。」

愛原「そもそも歴史の世界では、相矛盾する証拠が同時に存在することは珍しくないからな。片方の資料では生存してるはずなのに、もう片方の資料では死亡扱いになってたりとか。それを捏造とか騒いでたら、歴史学自体が全く成立しなくなる。」

鼎「昔の資料だから、普通に書き間違えくらいは当たり前にあるし。記憶違いもあるだろうし。そういうのは当然のように、差し引いて考えないと駄目だよね。」

逆沢「けど両立しない矛盾した証拠が複数出てきた場合、歴史学的にはどう処理するのが適当なのかな?」

愛原「基本は両論併記。ただし、一方の説が明らかに優勢な状況であるなら、そちらを定説と位置づけた方が適切な事も多い。たとえば死亡説を採用すると、他の部分でたくさんの矛盾が出てくるというなら、生存説の方が定説扱いされやすくなるだろう。そんな状況で死亡説を定説にしたいなら、死亡説を採用した方がより矛盾が少なくなる程度には、新証拠や新解釈を多くそろえる必要が出てくると思う。」

鼎「近年は邪馬台国に関して近畿説が九州説よりも優勢みたいな気もするけど、これも近畿説にした方が、矛盾が少ないというからに過ぎないようなものかな?」

愛原「畿内説は主に考古学視点だから、物証を優先すればそうなりやすいだろう。一方の九州説は主に人文科学視点なので、ロマンがある。物語化を進めるなら、九州説を採用した方がやりやすい気もするし、だからこそ熱心な支持者もつきやすい気はする。まぁ俺個人的には、四国説(徳島説)も、もっとネタ性というか、ロマンがあってお好みだったりするが、歴史学視点で別に推す気はない。」

逆沢「ぶっちゃけ、邪馬台国がどこにあろうが、私的にはどうでもいいんだけど。」

愛原「実は、俺もそう思う。たとえば柴田勝家や明智光秀の生年に関しても、複数の説があって確定まではしてない状況だが、【だからどうした?】でしかないからな。ゲーム的には暫定でもどれかを採用して固定せざるを得ないけど、歴史的には、彼らが数年早く生まれようが、遅く生まれようが、それが歴史を語る上で、大きく影響することはないようなもので。」

鼎「このあたりは、関心度の問題だよね。邪馬台国がどこにあったかは、観光政策とか地域ブランドにも影響するから、どうしても高い関心を持たざるを得ない。だから歴史学的にはどこにあっても大して影響はなくても、できるだけ特定せざるを得なくなってるみたいな。」

愛原「ただ、歴史資料にはガセネタとまではいかなくとも、信ぴょう性が低いとか、決定打に欠けるとか、そういうものが少なくないからな。邪馬台国に関しては、時代が古すぎる事と、証拠の貧弱性から、決定打に大きく欠ける上、どちらの説を採用しても矛盾点が多く残るのも分かっているが、それを受け入れたうえで、現段階ではこちらの方が優勢みたいな暫定的な結論を出すこともあるだろう。暫定的だから、今後、それが入れ替わる可能性も織り込んだ上でな。」

逆沢「そういう両者共に決定打不足の時に、新たな新証拠が出てくると、当然話題にはなるんだろうけどね~。」

愛原「ただ邪馬台国に関しては、新聞の一面どころか、世界で注目されるクラスのよーっぽど強力な証拠が出てくるくらいでないと、現状は変わらないだろうな。その時だけは騒ぎになるかも知れんが、大きな新発見となる事を期待して、頑張って検証を進めてみるも、結局は従来の解釈に大きな変更を加えるほどのものではなかったというのが、大抵のパターンだろう。」

逆沢「中国の史書並みに、日本も歴史をちゃんと記録し続ける文化があれば、良かったのに。」

愛原「ただ、冒頭の部分でも触れだが、捏造とまでは言わなくても、時の政権の圧力などで捻じ曲げられた歴史が紡がれている事もあるし、著者の個人的感情が含まれている事も珍しくない。当時の人々にとって関心度の低い事柄なら、事実確認もロクにせず、適当に書かれたものでしかない事も多いだろう。そういう部分も当然、解釈する上で考慮する必要はあるだろうけどな。」

鼎「残念ながら、魏志倭人伝の邪馬台国に関する記述も、そんな感じだよね。まぁ中国側からすれば、当時の日本にそんな関心があるわけがないのは、ある意味当然ではあるんだけど。」

愛原「下手に関心を持たれて、侵略されても困るしな。当時の中国は三国志の時代だが、呉なんかは台湾などに攻め入って奴隷狩りみたいなのもしていたみたいだから。当時の魏の司馬懿あたりが日本に攻め込んでこようものなら、おそらくひとたまりもないだろう。カミカゼじゃないが、日本海が荒れてくれる事を期待するしかないというか。」

逆沢「ただ歴史の視点でいえば、関心のない者が書いた適当な資料でしかない可能性もある。つまり参考していい資料と、参考にすべきでない資料があるって事か?」

愛原「歴史学の世界で、参考にすべきでない資料なんて存在しない。歴史的資料は全て足し算で算出するものであり、引き算していいものではないからな。」

逆沢「つまり一見、いい加減そうな文献でも、参考にできる部分はあるだろうと。」

愛原「そういうこと。たとえば【大谷吉継の祟りで小早川秀秋は死んだ】みたいな一見クソみたいな伝承でも、そこから(伝承され始めた)当時の人々が小早川秀秋にどんな印象を抱いていたか?とか、小早川秀秋の死因は?とか、色々類推できる要素はあるからな。世の中には、公文書や遺跡といったもの以外は信用しないみたいな人もいるが、実際問題、民間伝承や各種エピソードなどから得られる部分も意外と大きい。世の中、全ての事項が記録化されてる訳ではないからな。」

逆沢「まぁ、そりゃあ、21世紀になっても、公文書すら簡単に破棄される国があるほどだからね~。」

愛原「あるべき歴史資料が破棄されたという伝承が残っているなら、そこから当時の権力者にとってそれが不都合なものであったと類推する事もできる。というか、そう解釈するのが歴史的解釈だ。織田信長や明智光秀の遺体が見つからないからといって、彼らが実在しなかったと判断するのではなく、なぜ見つからないのか? 見つける必要がなかったのか? そういう視点で考えるのが歴史的視点という奴だ。」

鼎「無いなら、無いこと自体も証拠に加えてしまうのが、歴史的視点という感じかな?」

愛原「そう。歴史的資料はとにかく足し算。公文書が黒塗りされていようが、改ざんされていようが、破棄されていようが、だったらそれはそれで、なぜそんな事になったのか?を考える材料に加える。無いから分からないで、簡単に引き下がるものではないのだ。」

逆沢「そうでなくとも、反社会勢力とかは、自分たちに関する資料とか記録とか、ほとんど残さないだろうしね~。だから分からないで済ませるのではなく、そこは分かってる部分を徹底的に足し算して、少しでも実態に迫れるのが歴史学の醍醐味って感じね。」

愛原「まぁ現代人でも、話を盛るために針小棒大に物事を語る輩はそれなりにいるが、それは昔の人も同じだからな。話を盛り上げるために、大げさに書くくらいは普通にやるし。だから兵士数何万とか、そんな記述に関しては、話半分に受け止めた方がいいだろう。野鳥の会みたいな人がその時代にもいて、いちいち実数を数えたりもしなかっただろうから。」

鼎「実際には、物見の専門家がしかるべき場所から見渡せば、大体の実数は瞬間的に把握できる事も珍しくなかったみたいだけど、だからといってそれを全ての文献などで正確に記述されているとは限らないという事かな?」

愛原「正確な記述が求められる当時の公文書みたいなものか、後世に書かれたプロパガンダ向けのものかによっても、信ぴょう性に差は出るだろうけどな。」

逆沢「誰々が活躍したみたいな英雄譚みたいなものは、かなり信ぴょう性が怪しそうってか?」

愛原「まぁ、それはどうしても、な。日本の戦国武将もの一つとっても、西軍に与しながら生き残って、例外的に家も残した立花宗茂などと、他の旧大友家の家臣では、どうしても扱いに差が出るのは仕方ないというか。」

鼎「大友家の名将として名を残してるのは、立花道雪さんとか高橋紹運さんとか立花宗茂さんとか、やたら宗茂さんの親族ばかりだけど、それも生き残った強みって事かな? 実際は大友三老と言われた人たちの功績の方が大きかったような気が、私はするけど。」

逆沢「自分の家格を上げるために、先祖の功績を盛った上で伝承するくらいは平気でやるという、分かりやすい好例かも知れないわね。そういうのは。」

愛原「逆に滅んだせいで、大物扱いされる例もあるけどな。今川義元にしても、武田信玄にしても、最上義光にしても。敵役が強ければ強いほど、英雄の価値も相対的に跳ね上がっていくから。」

逆沢「雑魚に勝っても、全然価値が上がったりしないからね~。敵が強大で、それこそこちらの何倍もの戦力を有していたり、とんでもない知略や武名を誇っていて、でもそんな敵を退けたからこそ絵になるみたいな感じか?」

鼎「太閤検地の時点の記録だけど、織田家のあった尾張は57万石で、今川家が支配していた駿河・遠江・三河の石高は合わせて69万石だから、実際は両家の国力差はそこまで絶望的ではなかったとも言われてるよね。」

愛原「英雄譚がらみのものは、信ぴょう性として色々疑問が残るのは事実だが、だからといってこれらも引き算するのではなく、それはそれで足し算できればいいと思う。織田家と今川家の国力差がどうであれ、これを契機に、徳川家康は今川から離反し、今川家の急速な弱体化に至ったのは事実だし。織田家がこの戦いを大げさにプロパガンダとして積極利用した事がその後の躍進につながったと考えれば、よりしっくりくる部分もあるからな。」

逆沢「ただ英雄譚がらみは、ファンとしての私的な感情が入ってくるから、その辺が厄介だわ。どうしても個人的なひいき目線が入って、公正な歴史的評価ができなくなるから。」

愛原「俺的には、ファンよりもアンチの方が、十倍以上、厄介だな。こいつら、平気で歴史上の偉人をこき下ろしてくるからな。お前がどれほどちゅうねんと、ツッコミたくなるというか。」

逆沢「まぁ、でも、ウザいファンがのぼせ上った評価を続けたら、いい加減、その偉人をこき下ろしたくなる気持ちは分かるけどね。その偉人に罪はないけど。ウザいファンを、とりあえずガツンとやっときたいから。」

鼎「・・・そんな事しても、ケンカにしかならないと思うけど。自分が好きな人物をこき下ろされて、不愉快にならない人なんていないから。」

愛原「俺としたら、どの偉人のファンになろうが構わんが、その偉人をアゲるために、その偉人の敵対者をこき下ろすような事だけはして欲しくないけどな。その敵対者にもファンがいるだろう場合は特に。」

逆沢「昭和時代の上杉・武田論争みたいな感じか?」

愛原「その辺なら、ライバルが強いほど自分たちの評価も上がる関係なので、可愛いもんだが。【西の毛利、東の武田】みたいな対比になると、互いに相手を下げあう不毛な論争になりやすいので、俺的には闇雲に首を突っ込みたくはないな。」

鼎「歴史上の人物で、色々ランキングつけたりするのはとても楽しい作業だけど、あくまで個人的な感想に留めておきたいよね。」

愛原「もちろん過大評価されているとか、過小評価されていると、異論を展開する事自体は楽しいんだけどな。特に評価が低いというか、マイナー扱いされている人物を再評価するのは、楽しいだけでなく非常に有意義でもあると思う。発掘する楽しみというか。発掘した楽しみというか。」

逆沢「考古学の世界だけでなく、歴史学自体の最高の楽しみが、発掘な気もするしね~。新しい文献を発掘したり。新しい新解釈を発掘したり。もちろん発掘したものに価値があるかどうかは、検証してみないとわからないけど。」

鼎「ただ、歴史的評価をする上で注意したいのは、当時の価値観だよね。たとえば現代人の感覚で、大石内蔵助さんをテロリストと断じるのは簡単だけど、当時の価値観では完全に義行だったからこそ、元禄を代表する美談として長く伝えられるようになったわけだし。」

愛原「現代人の感覚をそのまま当てはめるのは、歴史を語る上で大きな誤りの一つしか言えんな。もちろん当時の住民の感想が、評価の全てではないが。」

鼎「財政政策は、正しい政策でも、庶民には嫌われやすい事も多いよね。残念ながら。」

愛原「お金はばらまくほど喜ばれ、逆に取り上げたり緊縮すれば、当然のように嫌われるからな。ただ、だからといってバラマキ一辺倒で社会が保てるかといえば、むしろ逆だから悩ましい。」

逆沢「私は、政権維持のための財政再建策なんか、全然評価したくないけど。江戸時代の三大改革とか、全部財政政策で、しかも庶民に倹約を強いるようなものでしかなかったけど、あんなの幕府の延命措置でしかないじゃんって感じで。」

愛原「【あれだけ緊縮財政を繰り返して、幕府の延命を図ったこと自体が歴史的に正しかったか?】というのは、検証する分には面白いが、結論を出すのは難しいな。【30年経済を止めてでも、自民党政権を継続させることが日本にとって歴史的に正しかったか?】を議論するのと同義というか。」

鼎「その辺は【歴史にIFはない】と言われるとおり、あまり深掘りしても意味のないシミュレーションだよね。そもそも歴史学というのは、IF路線を探究するための学問ではなく、歴史に学ぶことで、同じ失敗を繰り返さないためのものだから。」

愛原「だな。歴史学的には【30年経済を止めてでも、自民党政権を継続させることが日本にとって歴史的に正しかったか?】ではなく、【なぜ日本経済は30年も成長を止めてしまったのか?】とか、【どうすれば日本経済は成長を維持することができたのか?】とか、【過去の流れが今後もそのまま継続すると、どのような未来が予想されるか?】とか、【その流れを断ち切り状況を改善するには、どのような対策が必要か? またその際のリスクは?】といった考察の方が、はるかに意義あるものになってくるからな。歴史に学ぶというのは、IFを妄想する事ではなく、過去を検証することで問題点を洗い出し、未来を予測し、または解決方法を明らかにし、それを後世に活かすことにあるから。」

鼎「過去を知らないと、未来は予想できないし。過去の失敗を再び繰り返す危険も高まってしまうよね。」

愛原「過去は変えられないのだから、そういう意味で【歴史にIFはない】は悲しいが、真実ではある。しかし歴史は螺旋状に紡ぐので、過去を知らないと、同じ失敗を繰り返す危険はなお高まる。また歴史は決して止まらない流れそのものなので、意識的に変えようとしないと、悪い流れがいつまでも続く危険も認識しておくべきだろう。」

鼎「歴史が良い方向に向かうときは、大抵、偉人といわれる人が無理やり、歴史の流れを変えたりしてるよね。」

愛原「だな。誰も流れを変えようとしないならば、渦に飲み込まれるように、歴史は悪い方向に必ず向かうようにできている感もあるからな。栄枯盛衰というか。千年そのままの形で繁栄を続ける王朝は存在しないというか。」

逆沢「過去を知ることで未来を予測したり、変えることができるとするなら、歴史学はある意味、未来予測学ともいえそうね。そう思うと、実はかなり価値のある学問にも思えるというか。」

愛原「だから歴史を捏造されたりしたら、困るのだ。嘘の歴史から学んでも、正しい未来予測はできないからな。」

逆沢「ファンタジーの世界でも、誰かが嘘の歴史を広めてしまった事から、不幸が広がってる感じの世界ばかりの気もするしね。もちろん嘘の歴史を信じることで幸せを感じてる人たちもいるだろうけど、その陰で、不当な扱いを受けている人達もそれなりにいそうというか。」

愛原「自己正当化のために積極的に歴史を捏造する者もいれば、何の悪意もなく【他人の知らない知識を披露したい】思いとか【自分のお気に入りの評価を高めたい】思いだけで、偏った解釈を広める者もいるが、どういう事情であれ、歴史資料は残念ながら不純物が混じってしまう。だが、だからといってそれらを安易に引き算するのではなく、そこは足し算で修正して解釈していければいいと思う。」

鼎「引き算で歴史を語ろうとすると、都合の悪い資料は見なかったことにしたり、信用できない資料だからと口実つけて無視するようになって、それこそ歴史修正主義者みたいになっちゃうよね。」

愛原「坂本龍馬の評価を下げてる要因も、伝承の軽視が一番だろうしな。別に新資料が色々出てきた結果、龍馬の評価が下がったのではなく、伝承に基づく評価を引き算で切り捨てた結果だから、個人的にはかなり残念でならない。」

鼎「【公文書などに残ってない資料は評価に値しない】みたいになったら、それこそ時の政権の思う壺だよね。【大本営発表だけが正しい。大本営発表を否定するような俗論があれば、それは誤り】みたいになりかねないから。」

愛原「都合の悪い部分はどうしても表に出にくいから、そういう意味で、一見根拠のなさそうなくだらんエピソードも、大事なんだけどな。」

逆沢「プライベートとか、その人の人となりに関しては、公文書とか、考古学的な遺品だけでは、どうしても追えない部分もありそうだからね~。後ろめたい事とかならなおさら。」

愛原「個人的には、鉄道忌避伝説あたりは、ガセネタ扱いされがちな真相の典型とも思ってるしな。あとは、県庁所在地名と県名が異なるケースについての理由とか。」

鼎「県庁所在地がそのまま県名になってない県の多くは、当時その地に所在した藩が、親幕府系というか、反政府系だったから、懲罰的にそういう扱いになったという説は、割とよく聞くよね。近年は、根拠がないと都市伝説扱いされる事も多いけど。」

愛原「仮にそれが事実だとしても、そんなもん、公文書に残す訳がないからな。【河井杏里事件は、溝手議員を落選させる目的で行われた】なんて証拠の文書が残ってなくて当然のようなものというか。」

逆沢「その理屈でいえば、モリカケサクラに関する真相を150年後の歴史家が再調査したなら、安倍総理の関与を裏付ける公文書の類は確認できないから、モリカケサクラと安倍総理は全くの無関係だったみたいな解釈になっちゃいそうね。」

愛原「【アイツにムカついたから、私怨で悪い扱いにしてやりました】なんて記録が、公的に残ってないのは、当たり前すぎるほど当たり前だから。表向きは【自民党議員を二人当選させるため】みたいな、もっともらしい理由しか公的には残らないに決まってるのに、それを真に受ける自称歴史家がいるとすれば、三流もいいところだろうな。」

鼎「そんな大本営発表をただ信じるだけなら、それはもう歴史学でもなんでもないよね。いずれ太平洋戦争も、大本営発表の内容だけが信頼できる歴史的ソースになって、実際の戦況に関するその他の考察が、全部引き算されて無かった扱いにされてしまいそうというか。」

愛原「大本営発表がたとえ嘘まみれでも、それを引き算で切り捨てる必要はないが、それも足し算で吸収した上で、さらに裏を読むくらいでないとな。」

逆沢「鉄道忌避伝説に関しても、都合の悪い歴史はどうしても隠蔽されやすいと考えると、そんなものはなかったという空気になるのは当然という事か? その地域の恥にしかならないというか。その地域の人々の先見性を疑う事例にしかならないから。」

愛原「新しいことをやろうとすれば、一定の反対者がでる事自体は当たり前。なぜなら現状維持で満足しており、これ以上のリターンを特に望んでない人からすれば、新しい試みはリスクの増幅にしかならないから。だから今でも、空港建設計画などが持ち上がる度に、必ず反対運動は起こるだろう? なぜなら騒音リスクとか、交通渋滞のリスクとか、赤字による公金補填リスクとか、色んなリスクを余分に抱える事になるから。」

逆沢「まして昔の鉄道建設計画なんて、リスクだらけだっただろうからね~。街の中心部まで線路を通そうとすれば、必然的に大規模な立ち退きも断行しないとならないだろうし。当時の汽車は黒煙をモワモワまき散らしてたから、環境にもモロ悪影響だろうし。騒音とかも当然に発生するし。そりゃあ、ウチの村に鉄道を通すなという意見が出ても、全然おかしくないというか。」

鼎「ただ、それを認めると、地元にとって恥にしかならないから、そんな事実はないと、どの地域も反論するようになって、鉄道忌避伝説自体が都市伝説化しちゃった可能性は高そうだよね。」

逆沢「かくして歴史は、改ざんされるってか? 悲しいわね~。」

鼎「けど鉄道忌避伝説が都市伝説の類ではなく、歴史的真相であったとするなら、私たちが歴史に学べる部分は、すごく多そうだよね。」

逆沢「街のど真ん中に鉄道を通すために、たくさんの建物を取り壊したり、他にも色んな悪影響があるのを分かっていても、それでもメリットの大きさを信じて勇気ある決断をできた街こそが、後世になってより発展できたとするなら、確かに私たちが歴史に学べる部分は多そうね。」

愛原「現状維持に安住すると、螺旋の渦に飲まれて、やがて落ちぶれるだけにしかならない好例といえるかも知れんな。歴史が紡ぐ螺旋の渦に抗う必要性を、改めて感じなくもない。」

逆沢「歴史上に名を遺す偉人も、ある意味、歴史の流れに抗ったというか、歴史を大きく変えたからこそ偉人として名を遺した人ばかりだしね~。彼らが偉人と呼ばれる理由が改めて分かった気もするわ。」

愛原「そう。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ】という有名な格言があるが、経験だけで物事を判断すると、どうしても歴史の流れに沿わざるを得なくなり、それは歴史の渦に取り込まれる事も意味するからな。そうではなく、歴史を学ぶことで、失敗の歴史を繰り返さないのが賢者の思考。歴史の渦が、同じ失敗を再現させようとしても、それに抗って、新しい歴史を刻むのが賢者なり、偉人の所業なんだろうとも思う。」

鼎「賢者や偉人にはなれなくても、愚者とはあまり呼ばれたくないよね。」

愛原「歴史のトレンドが発展の方向を向いているなら、流れが変わるまではそのまま放置でもなんとかなるかも知れん。しかし明らかに衰退のトレンドに入って渦巻いてる状態なのに、それに抗おうとしなければ、渦に飲み込まれてしまうのは、当たり前すぎるくらい当たり前だからな。」

逆沢「同じ失敗を繰り返さないためには、失敗した原因を過去から学び、それとは違う道を必死で突き進むしかないってか?」

愛原「守護大名が生き残るには、リスクを取っても戦国武将大名化せざるを得なかったように。鉄道を軸とした新たな世が到来したなら、リスクをとってもそれに乗っからないと取り残されかねないように。今まで通りでいたくても、今まで通りを選んだら、衰亡するしかない局面というのは、残念ながら存在するからな。」

鼎「いつも通りを選んでるつもりでも、無意識のうちに歴史が紡ぐ衰退の渦に飲まれてる可能性もあるから、そこは疑って、調べて、抗ってしないと駄目という事かな? 流れに飲まれるのではなく。」

逆沢「そういう意味では、定説とされている歴史に対しても、ちゃんと異論を挟める人こそが、実は世の中に必要という事かも知れないってか?」

愛原「それは最初から言ってるだろう? 中級者になれないと、上級者にもなれないように。誰かが無根拠に妄信してるようなら、まずそれに異議を唱える事にも意味はある。ただし、新説を披露したら異端視される頃ならともかく、新説で相手にマウントを取れるくらいの世の中になったら、その新説こそが新たなトレンドになってる可能性も高いので、そうなったらその新説をも、さらに疑うくらいでちょうどいいだろう。」

鼎「トレンドに逆らうというのは勇気がいるけど、そういう逆張りができる人がいてこそ、世の中は活性化するし、そういう人の中から新たな歴史を切り開く偉人が出るとしたら、捨てたものでもないよね。」

愛原「個人的には、ちゃんと足し算しながら自分なりに学んだ上での逆張りなら、できるだけ好意的にとらえたいと思う。逆に、自分に都合の悪い部分を引き算することで、真相に気づいたと思い込んだり、人より賢いと思い込んでドヤ顔さらしてる輩には、嫌悪感を禁じ得ないけど。」

逆沢「引き算で歴史を語る人は、都合の悪い部分を見たがらないから、歴史学的には全くの役立たずだと思うわ。失敗を繰り返さないための歴史学なのに、失敗から目を背けたら、何のための歴史学やねんと。日本スゴイを体感したいなら、それ系のなろう系なり、テレビ番組でも見てキャッキャしとけやと。」

鼎「歴史学は、英雄の活躍をひも解いてキャッキャできる目的にも使えるけど、英雄の悪い部分を見て見ぬふりしたり、妄想で脚色を加えまくると、それは史実ではなく歴史を題材にしたフィクションになってしまうから、その区別は必要だよね。」

愛原「まぁそれでも、英雄の活躍を面白く脚色できるなら、歴史作家として成功できる可能性はあるだろうし。それはそれで楽しみだけどな。ただし、歴史学者と歴史作家は必ずしも両立しないので、そこは分けて考える必要はあるが。それこそ正史三国志と三国志演義くらい、差があるくらいには。」

鼎「歴史を楽しく学ぶという視点でみれば、フィクション込みの歴史物語から入るのも大いにアリだと思うけど、フィクションは役柄として善玉と悪玉がはっきりしていて、異常に美化された人物も出る一方で、異常に貶められた人物も出てしまいがちだから、歴史として捉える場合は、そこだけは注意してほしいよね。」

愛原「個人として妄想する分には自由だが、他人と歴史を語らう上では、その点は配慮してもらえたら助かるわな。少なくとも不毛なマウント合戦みたいなのは、やめて欲しいなと思う。特に歴史学は過去に学ぶものだから、先人が紡いだ歴史を改変したり、否定するのは、なるだけ避けてほしいというか。先人が積み上げてきた定説に疑問をもってこそ、歴史に関する造詣がますます深まるのは事実だが、それを過小評価して、引き算する事で、自分がより真相に近づいたと思い込むのは、さすがに思い上がりというものだからな。」

鼎「だから、信頼性の高い文献なんかだと、色んな人が注釈つけたり、信ぴょう性の低そうな民間伝承も書き足したりされてる事も多いよね。とにかく足し算足し算の精神というか。」

逆沢「ただその結果、不純物も混じったりもするけど、それはもうしょうがないって感じか?」

愛原「そこはもう歴史家の腕の見せ所としか言えんな。たとえば英雄にも2種類あって、後世になって評価が高まった英雄と、当時の方が評価が極めて高かった英雄の二種類がいる。一般人受けしやすいのは、当然前者だが、後者をより発掘できれば、歴史ファンとしてニヤリとできる部分なんだろうな。」

鼎「日本の歴史でいえば、真田幸村さんとかは、講談の影響もあって、後世になって評価が爆上がりした英雄の典型だよね。」

逆沢「けど歴史的にひも解けば、毛利勝永の活躍部分も真田幸村の功績の一部に含まれてしまったりもしてて、【惜しいかな後世、真田を云て毛利を云わず】と言われたりもしてるらしいわね。」

愛原「もちろんそれを根拠に、真田幸村の武功を貶める逆張りに加わる気は毛頭ないが、埋もれた人材にスポットを当てる配慮はあって欲しいわな。」

鼎「私は、立花宗茂さんの一族の陰に隠れてマイナー扱いされてる豊後三老の皆さんとかも、もうちょっと評価されていいと私は思ったりもするけど。」

愛原「立花一族の武功も貶める気まではないが、立花一族が挙げた実績と比べてちょっと後世の脚色がむごすぎるのは、正直気にかかるわな。」

逆沢「私に言わせれば伊達政宗とかもそうだけど、圧倒的な名声と比べての実績を問われたら、さすがにしょぼいと評価せざるを得ない英雄も何人かいるけど、こういうのはやっぱり後世のプロパガンダとかの影響もあるのかね~?」

愛原「とはいえ、伊達政宗がいなければ、東北地方の戦国史自体がもっとマイナーな扱いになってただろうから、後世の歴史家に、東北地方の歴史を精査させる動機を与えた点は、素直に評価したいかな? 俺としては。」

鼎「毛利勝永さんとかじゃないけど、もっと注目されていい人物としては、たとえばどんな人物がいるかな?」

愛原「そんなの百人単位でいるが、今の話の流れに沿うという意味でいえば、三国志の楽進あたりは分かりやすいかな?」

鼎「確か、正史において、魏の5大将の2番手として名を取り上げられてる程の人だけど、書かれている記述は5大将の中でも非常に薄っぺらで、それ故か、わざわざ【(記録に)遺漏があって評判を裏付けていない】とも書かれている人だよね。当時の人々の評判とか、就いた地位とかみる限りは、とんでもない偉い人なんだけど、歴史資料にできるものが少なすぎて、記しようがないみたいな。こういう人は、歴史的にどう評価すればいいのかな?」

愛原「楽進のエピソードが貧弱なのは、実は何もしてないからではなく、物語性のある過程が完全にはしょられて、事務的な結果しか書かれてないからだ。しかしよくよく読んでみたら、その結果だけでも、十分裏付けはとれるぞ。」

鼎「えーと。この人に関して分かっているのは、曹操さんが旗揚げの時から付き従ってる最古参メンバーで、元々は一介の記録係。つまり曹操さんに仕えた時から元々将軍位だった5大将の他の4人と違って、この人だけはただの一武官からのスタートだったんだよね。でも曹操さんの為に千人もの兵を集めてきた事から武将として登用されて、それでようやく兵を率いる立場として人生が始まるというか。わざわざ正史に記されるほど小柄な体格だったらしいけど、すごく勇猛でたくさんの功績をあげて、強敵袁紹との戦いでは、天下分け目の戦いになった官途の戦いで兵糧庫を守る淳于瓊将軍を切る大活躍。その後も方面軍を任せられるほどに出世して、やがて左将軍の地位に就いた于禁将軍に次ぐ、右将軍の地位に就いたんだよね。つまり史書には5大将でまとめられてるけど、事実上魏の二大将軍の一人だったというか。」

逆沢「秀吉ばりの立身出世ぶりだし、そこまで昇り詰めたら、普通は本が書けるほど、エピソードてんこもりにならないか? 色々おかしいだろ?」

愛原「史書には、本当に結果しか書いてないのだ。淳于瓊を切ったとか。関羽を敗走させたとか。だから功績の割にとにかく内容が薄っぺらい。」

鼎「ただ、関羽さんを敗走させたとか、地味にすごいよね? 関羽さんといえば、怒涛の北進戦略で魏の左将軍の于禁さんも捕らえて、曹操に遷都を検討させた程の軍神だし。結果的には、蜀と同盟国だった呉を魏側に寝返らせて、呉に関羽の背後を奇襲させる外交戦略でかろうじて曹操さんはピンチを免れたけど、魏単独ではどうにもならなかった程の戦の怪物というか。」

愛原「そう。少なくとも楽進が華南に進駐するようになって以降、楽進が病死するまで、関羽は全く動けなかった。本来なら劉備が漢中攻めをしてる時に、タイミングを合わせて北上すれば、より対魏戦略は上手くいっただろうに、そんな絶好のタイミングですら、関羽は動けなかった。関羽が北上を開始したのは、218年に楽進が病死した翌年だから、おそらく関羽は、楽進が死ぬのを待っていたのだろう。そして右将軍の楽進が居なくなったタイミングで、関羽が攻めてきたなら、左将軍の于禁が代役として関羽と戦うのも当然の話の成り行きで、これも辻褄は全て合う。ただ曹操にとっての唯一の誤算は、楽進の頃は関羽を抑えられたけど、于禁は不運な戦況もあって関羽に負けて捕まった事だろう。」

逆沢「あの関羽でも、楽進が生きている時は手が出せなかったとすると、当時の楽進って、かなり恐れられた存在だったのかね~。体は小さかったらしいけど。」

愛原「劉備も、劉璋攻めの時に、【楽進が荊州を攻めようとしているから、軍を退かざるを得ない】と偽情報を流して劉璋軍を油断させたらしいが、裏を返せば、本当に楽進が攻めてくるとなったら、劉備軍にとって軍を荊州に戻して対策をせざるを得ないほどの一大事と思わせられる程度には、大きな存在だったと思われるな。」

逆沢「ちょっと質問。魏の5大将で、楽進は2番目らしいけど、一番は左将軍の于禁なのか? 私はてっきり張遼あたりだと思ってたんだけど。」

愛原「一番手は張遼で間違いないぞ。張遼・楽進・于禁・張郃・徐晃の順番。ただし、これは三国志正史が書かれた当時の序列であって、楽進が生きていた当時の序列ではない。当時の序列としては、あくまで于禁・楽進のツートップ。ちなみに于禁と楽進が居なくなったのちに、左将軍・右将軍になったのが、張郃・徐晃の二人であり、つまり5大将でも、厳密には世代自体が違う。残る張遼は別枠の存在だが、当時の階級からすると、張遼が于禁・楽進よりは下だったのは間違いない。なお三国志演義の方では、有名な合肥の戦いにおいて、張遼が楽進と李典と同格、もしくは格上であるような描写がみられるが、これは正史的にはおそらく誤りだろう。なぜなら張遼が楽進の上司、もしくは同格なら、合肥であれだけ派手な武功をあげた張遼より、楽進の方がさらに上の役職に就けるはずがないからだ。」

鼎「でも楽進さんが張遼さんの上司なら、全てのつじつまが合うよね。部下の功績は上司の功績でもあるから、張遼さんの大活躍で楽進さんがさらに出世してもおかしくないし。あと合肥の戦いでは、李典さんと張遼さんが前線に出て、楽進さんは留守を務めているけど、これも楽進さんが総大将なら、部下に出陣を命じても全然不思議はないから。」

愛原「これは個人的な解釈だが、当時の曹操は、于禁を華北の都督、楽進を華南の都督的な任務を与えていた気もするしな。楽進が華南の都督なら、南部に居座る劉備や孫権が北上してきたなら、当然まず応戦するのは楽進の役割になるだろうし。」

逆沢「でもそしたら、于禁、暇になるんじゃね? そりゃあ華北は魏の首都がある地域だから、ナンバー1の于禁がそこを統括する地位に就く事自体は自然かも知れないけど。基本、治安維持と兵の訓練くらいしか、仕事なさそうだし。」

愛原「だから于禁に関する記述も、この時期はすっぽり抜け落ちているぞ。ただ、だからといって于禁が暇してた訳でもないだろう。実際、この時期、反乱などはほとんどおきずよくまとめられてたし。それに万が一ナンバー2の楽進が劉備や関羽や孫権に敗れても、まだナンバー1が温存されてると思えば、曹操も一安心だからな。」

逆沢「でも、そのナンバー1は、関羽に負けて捕まってるけど。」

愛原「だから時代が下って、三国志正史が書かれる頃には、于禁の評価も、張遼と楽進に抜かされる程度には、下がっているのだろう。むしろ最後に負けて捕虜になったというマイナスを含めても、まだ張郃と徐晃よりは上というあたり、救われてる方かもしれない。」

逆沢「つまり時代によって、人物評価が上下するのは、歴史資料の世界でも同じだと。」

愛原「当然。于禁も楽進も健在の時は、階級から見ても、于禁が1位。楽進が2位の状態だった。しかしその後、于禁の株が急降下。代わりにエピソード豊富な張遼の株が急上昇。そして正史の時代からさらに過ぎていくにつれて、簡素な戦績しか記録に残されてない楽進はどんどんマイナー化されていった。」

鼎「楽進さん本人にしても、その子孫にしても、武功を全然アピールしないような人達ばかりだったのかな? 淡々と関羽を蹴散らしました。袁紹の心臓部を焼き払いましたで、終わりにしてしまうみたいな。」

逆沢「もったいないわね~。現代でも、寡黙すぎて、功績が全然評価されない人とかもいるけど、そんな感じだったのかね~。まぁ曹操は、それを評価できる英雄だったから、一武官の楽進を国軍のナンバー2まで引き上げられたんだろうけど。」

愛原「楽進の場合、幸いにして就いた役職が後世に残っていたのと、当時の評判は本物だったのか【資料が少ないだけだから】と正史にわざわざフォローが入ってる点が、俺的にプラス査定に働きやすかった。たとえて言うなら、張遼などは病気を治すタイプの名医だから歴史に名を残しやすいが、于禁や楽進はそもそも病気自体を未然に防ぐタイプの名医だから、派手な活躍が記録されにくい不利もあるだろうしな。」

逆沢「楽進は生前中、関羽の戦意を完全に抑え込んでいるし、于禁も華北の治安維持に貢献したとすれば、地位に見合う名将だった可能性もあると。ただ病気を治すタイプの名医と違って、そもそも病気になるのを未然に防ぐタイプの名将だから、歴史上の記録には残りにくいだけで。」

愛原「こういう埋もれた人材を発掘するのも、歴史学の醍醐味だわな。引き算引き算で英雄を貶めるのではなく、地味だけど実は優れた人材を発掘する作業は楽しいし。」

逆沢「もちろん歴史は、失敗から学ぶ学問だから、いくら英雄を讃えたくなっても、失敗を無かったかのようにするのは駄目だけどね。」

愛原「石田三成が失敗したからと言って、それを嘲笑って見下すのが、歴史学の目的ではないからな。【何が悪かったから、失敗したのか?】 【どうすれば良かったのか?】 それを考えることで、自分たちが同じような失敗しないようにできれば、歴史を学んだ価値もあるというもんだ。もちろん石田三成は失敗もしたけど、後世の我々が見習うべき、もしくは尊敬に値する素晴らしい部分も多々あったことも認めた上でだな。」

逆沢「私はそんなクソ難しそうな事を考えるのは苦手だけど、せめて自分より頭の良さそうな人に代わりに考えてもらうために、正しい歴史を遺すくらいの事はしたいかな?」

愛原「それで十分だ。歴史なんて大きなものを、一人で背負うなんて不可能だし、俺は真相を知っていると分かった気になってる方がよほど危うい。それに半分は妄想である事を受け入れて、あれこれ想像するのが歴史の醍醐味でもあるからな。ただ想像するにもベースが必要だから、まずはしっかりした歴史的資料をそこに敷きましょうというだけの話。そこで失敗から学ぶという実用に使えれば最善だし、そこまでいかなくても、歴史小説を楽しむようなノリであれこそ想像するのもいいだろう。唯一やってはいけないのは、引き算引き算で都合の悪い資料を無視したうえで、それを根拠に真相にたどり着いた気分にひたることだけ。」

逆沢「まぁ、後世の歴史家から、あの時代の人間は、どうしようもない低レベルだったから、当然のごとく落ちぶれていったと思われずに済む程度には、いたいわね。」

鼎「統計資料も、公文書も、まともな資料はほとんど残っていない。分かっているのは、世界的にみても異例なレベルで急速に国力を衰退させていった事実と、にもかかわらず国民は何の手も打たず、現状維持のままで腐敗した政権にまかせっきりだった事実だけとか、あまりにも悲しすぎるよね。国民総劉禅状態というか。」

愛原「今の世の中は、平民からでも大出世しやすい強みはあるが、その代わり、英雄の資質があっても、大衆に支持されなければ、選挙に当選すらできない欠点もあるからな。劉禅化した国民が、曹操みたいに逸材を見抜いて、それに一票を投じる気になれるか? 正直不安もあるが、それを期待するしかないんだろうな。別に邪馬台国の時代から歴史を学び直さなくてもいいけど、せめて30年前、50年前と比べて、何がどう変わったから、今の状態になったのか? くらいは振り返ってみてもいいと思う。」

逆沢「それ、歴史学なのか? 学校の歴史の従業は、大体大正か、戦前くらいまでで、それ以降の歴史は試験にも出ないイメージだけど。」

愛原「試験に出ない時代の歴史はどうでもいいってか? うーん。色々前途は多難だな。」











過去のたわごと 
2022年 2月13日 趣味に飽きる時、熱狂できる時 1月30日 私刑
1月16日 やってる感 1月2日 捜査・諜報に必要なもの
2021年 12月19日 壊された人 12月5日 リソース運用型ゲーム
11月21日 後継者争い 11月7日 戦力分析と番狂わせ
10月24日 選挙放談2021 10月10日 文明崩壊後のサバイバル
9月26日 中立な報道 9月12日 隔離空間でのアドベンチャー
8月29日 侵略者が撤退した後 8月15日 正義なき力を生み出す者
8月1日 問題点(悪)の所在 7月18日 責任の所在
7月4日 教育政策 6月20日 職の貴賤
6月6日 外患(外敵)よりも恐ろしい内患(味方の腐敗) 5月23日 スローライフと幸福論
5月9日 社会に貢献する凡人たち 4月25日 情報戦の制し方
4月11日 予備戦力 3月28日 不正の告発と隠蔽
3月14日 職人(ドワーフ)  2月28日 地位に見合う責任と報酬の話
2月14日 娯楽産業  1月31日 名君・名宰相
1月17日 選別(トリアージ) 1月3日 大きく育ちすぎた作品
 2020年 12月20日 つまらないラスボス戦 12月6日 予知の活用方法
11月22日 信じたい事しか信じない人たち  11月8日 老化の始まり(能力のピーク)
10月25日 敵の成長率 10月11日 属人性
9月27日 信用(信用創造) 9月13日 犯罪都市
8月30日 同行するヒロイン、同行しないヒロイン 8月16日 まとめ役としてのリーダー
8月2日 なろう系主人公とやれやれ系主人公 7月19日 安楽死
7月5日 イデオロギーの矛盾や対立を超えて幸福を実現する方法 6月21日 アピールする人、出る杭を打つ人
6月7日 間違いを改める方法  5月24日 コロナよりも、ゾンビよりも、米軍よりも恐ろしい集団の空気
5月10日 部隊長の決断 4月26日 集団ヒステリーと同調圧力 
4月12日 札束を無限に刷り続けるとどうなるか? 3月29日 借金取りの恐怖
3月15日 禅譲 3月1日 秩序志向のプレイヤーと混沌志向のプレイヤー
2月16日 (こまめな)人事異動(のススメ) 2月2日 忠誠度という名のゲームパラメータ
1月19日 恨み 1月5日 鞍替え
 2019年 12月22日 景気 12月8日 承認欲求に囚われないために
11月24日 黒幕としてのスポンサー 11月10日 プロスペクト理論とモブの生き残り戦略
10月27日 追い込まれた悪人キャラのダメージ・コントロール戦略 10月13日  いじめっ子キャラの特徴
9月29日 命令に背くNPC 9月15日 平等・公平を維持するためのコスト
9月1日 能力値とスキル 8月18日 地位を与えられた者(中間管理職)
8月4日 パニックホラーもののリーダー 7月21日 パニックホラーものの主人公
7月7日 許される人と許されない人 6月23日 愚民政策
6月9日 壊された人への対応 5月26日 新時代の脅威
5月12日 (攻撃の)大義名分 4月28日 前回の反省とキャスティングの話
4月14日 汚染された情報の拡散 3月31日 理想の選挙制度
3月17日 黙示 3月3日 あの世の世界
2月17日 うまくいかなかった革命後をどうするか? 2月3日 策略としての挑発
1月19日 腐敗した司法(正義の裁きの担い手)  1月5日 強きを挫き弱きを助くVS弱きを挫き強きを助く
 2018年 12月23日 悪の根源≒マウントしたいという欲望 12月9日 Steamのゲーム
11月25日 成り上がったダメ人間 11月11日 自分を強化する技VS敵を弱体化する技
10月28日 限界への挑戦 10月14日 「弱者=守られるべき善人」でない場合
9月30日 脅しによる支配 9月17日 信用できない情報だらけの社会の場合
9月2日 太鼓持ち 8月19日 連続攻撃
8月5日 信用スコアに支配された社会 7月22日 内通者
7月8日 人件費コスト管理ゲーム 6月24日 忠義者キャラ
6月10日 欠陥つき有能キャラの処遇 5月27日 邪悪な独裁者に支配された組織のメンバーの挙動
5月13日 邪悪な独裁者が健全な組織を乗っ取る方法 4月29日 論破
4月15日 正義の味方という名の制裁者 4月1日 平気で嘘をつける人たち 
3月18日 公正世界仮説 3月4日 被害者叩き 
2月18日 政治力 2月4日 統率力 
1月21日 優秀すぎるライバルが現れたとき  1月7日 素性を表す記号としての肩書き
2017年 12月24日 フリゲの雑談  12月10日 賤民階級
11月26日 個性づけとしてのパラメータ 11月12日 宿敵宣言
10月29日 大同団結 10月15日 品質について
10月1日 華麗な策略、汚い策略。その違い 9月17日 平等主義と反平等主義
9月3日 ファン型オタクとマニア型オタクの違い 8月20日 ツイッターの利点と問題点 
8月6日 大抜擢された人材 7月23日 誇りと傲慢
7月9日 傲慢とマウンティング 6月25日 権威を利用するナイトども
6月11日 悪事プレイ(のススメ) 5月28日 異界人(宇宙人)の干渉
5月14日 集団の思考ルーチン 4月30日 人間っぽさ=非効率的な思考ルーチン
4月16日 名声欲 4月2日 無言の圧力と忖度
3月20日 ロスト・ハイ・テクノロジー 3月5日 破壊神の信者
2月19日 一人称形式で見える視野の範囲 2月5日 歴史的人物の当時の評価
1月22日 未来予測 1月8日 人相見(人物鑑定)
2016年 12月25日 商業レビュアー 12月11日 成長戦略の目玉としてのカジノ
11月27日 パニック 11月13日 生存ゲーム的なシチュエーション
10月30日 強敵感 10月16日 感情移入という視点からのキャラクターメイク
10月2日 供給過剰社会 9月18日 血筋
9月4日 統一されるべき尺度 8月21日 暑さと寒さ
8月7日 (優秀な)下っ端 7月24日 超便利社会=超疲弊社会
7月10日 社会的弱者を量産し、彼らを悪の先兵に誘う者  6月26日 少子化社会という舞台
6月12日 有事法制(緊急事態における法のあり方) 5月29日 悪のセレブサロン 
5月15日 成功者が成功後にやりたいと思うこと 5月1日 ゲーム世界とリアル世界の違い
4月18日 過去に戻ってやり直すということ 4月3日 八百長 
3月20日 異邦人(外国人労働者) 3月6日 陣形
2月21日 功績泥棒 2月7日 三国志13をプレイ
1月24日 裏切り者 1月10日 善政家
2015年 12月27日 精神~命よりも大切なもの 12月6日 独立戦争 
11月23日 ジャーナリスト 11月8日 精神力 
10月25日 優しい指導者  10月11日 助けを求める人たち 
9月27日 兵站 9月13日 善玉が起こした悪事や不祥事
8月30日 カイゼン 8月14日 盗作・ゴースト
8月2日 表稼業 7月20日 正論を用いない説得工作
7月5日 ディストピア 6月21日 財政破綻
6月7日 防諜 5月24日 サイコパス
5月10日 戦犯 4月26日 ハト派とタカ派
4月12日 不遇な先駆者 3月29日 プロギャンブラー(バクチで生計を立てる人)
3月15日 世界の管理者という名のラスボス 3月3日 命令コマンド
2月15日 攻略本・攻略サイト 2月1日 お遊びコマンド
1月18日 精神異常状態 1月4日 NPCの選択判断ルーチン
2014年 12月14日 男女キャラクターの比率 11月30日 不安と安心の役割
11月16日 現実主義者の正体 11月3日 アイテムゲット
10月19日 真相にたどり着けない者 10月5日 挫折
9月14日 嫌いだけど素晴らしい人達 9月7日 売れている作品と面白い作品の違い
8月24日 援軍 8月3日 ブラゲとパケゲ
7月20日 根性論と科学的知見に基づいた肉体改造 7月6日 ディスリスペクト(軽蔑・disり)
6月22日 あやかり系主人公 6月8日 中毒
5月25日 箱庭ゲーム 5月11日 ダブルスタンダード
4月20日 偽りの理想郷 4月6日 防御力
3月23日 自分用ゲーム作り 3月9日 育成する指導者、選別する指導者
2月23日 忠誠 2月9日 変化するキャラクター
1月26日 一芸職人VS器用貧乏 1月11日 評判
2013年 12月23日 身分制度 12月8日 陰謀
11月24日 秘密 11月10日 努力が報われるゲーム
10月27日 ゲームの自由度について 10月13日 出来の悪い二代目
9月29日 怒り 9月15日 撤退戦術
8月30日 ヒール(悪役) 8月15日 覆水盆に返らず
7月28日 予知・予測 7月13日 かつてのヒーロー
6月30日 覚醒(新能力発現・急成長) 6月15日 犠牲
6月3日 単独開発 5月19日 ダメ人間
5月5日 悪徳宗教を必要とする人々 4月21日 悪の連帯責任
4月7日 3種類の立場からみた作品批評 3月24日 中立性を装った愚痴・悪口など(仮)
3月10日 人気対戦競技の条件 2月24日 幻想空間
2月10日 お金 1月27日 尊敬できる敵
1月13日 やる気・気合 12月29日 ルール
2012年 12月15日 厨二病 12月2日 売れ筋
11月17日 改心 11月4日 議論
10月21日 優秀な人材の起用・登用方法 10月7日 憎しみにとらわれた人達
9月22日 友情やコネによる人事起用の危うさ 9月8日 権力欲に取り憑かれた人達
8月19日 敗北の受け止め方~捲土重来を期すために 8月5日 作者(表現者)が作品を通じて伝えたい思い
7月29日 人が自ら死(自殺)を決意するとき 7月15日 選択肢を選ぶことによる覚悟(リスク)
7月1日 選択肢があるということ 6月16日 宣伝と人気
6月2日 ホンネとタテマエ 5月19日 コンプガチャに学ぶ確率論とイカサマの話
5月6日 鑑識眼 4月30日 平等と競争
4月14日 公務員ヒーロー 4月1日 SF設定
3月18日 情報収集 3月3日 原発考察
2月19日 プライド 2月5日 お笑い
1月22日 ラスボスの処断方法 1月8日 創造→創作
2011年 12月30日 独裁者 12月9日 二次創作品
11月27日 万人向けからマニア向けの時代へ 11月13日 無敵能力の人たち
10月29日 正式名称 10月15日 利の人、情の人
10月3日 ポジティブ・ネガティブ 9月16日 利権
9月3日 借金 8月21日 何も変わらない事の恐怖
8月5日 発信したいオタクと共感したいオタク 7月25日 戦う地方、媚びる地方
7月17日 充電期間 7月10日 ひとそれのアンケート結果
7月2日 供給過剰気味のゲーム(&娯楽) 6月21日 東日本大震災3
6月5日 上司に反発 5月21日 修正する度量
5月14日 挑戦する勇気 5月1日 調子
4月17日 専門スキル 4月3日 東日本大震災2
3月18日 東日本大震災1 3月5日 ネトウヨと不良キャラの共通点
2月19日 信用ラインと警戒ライン 2月5日 信じられない者ばかりの世界観
1月23日 武器を交えない戦争 1月16日 しゃべらない主人公
1月7日 異世界に飛ばされた凡人 12月25日 後ろ向きな嫉妬心
2010年 12月19日no2 人それのゲーム難易度 12月19日no1 社会人型キャラ
12月11日 新作公開してから一週間 12月5日 新作ゲーム紹介
11月20日 理想と現実 10月29日 新作公開予定
10月18日 派閥 10月1日 仲間
9月19日 キャラクターイメージ 9月6日 理想を持った人間。そうでない人間
8月21日 革命後 8月8日 長編のオチのつけ方
7月24日 勇者は世直しができるか? 7月10日 全力集中プレイと長期戦略プレイ
6月27日 RPGのチームバトル 6月13日 傭兵団
5月29日 相手の思考をよんでみよう 5月14日 扇動する者、される者
5月7日 こっそりアンケート設置お知らせ、ほか 5月3日 地方を主人公の舞台にしてみよう
4月17日 コンピュータは人間を上回れるか? 4月2日 政権交代から6ヶ月が過ぎて
3月22日 フィクション 3月12日 困ったパーティメンバー
2月21日 責任 2月6日 教育
1月23日 トップダウン式製作とボトムアップ式製作 1月10日 ゲーム作成スタッフ
2009年 12月25日 政権交代から3ヶ月が過ぎて 12月12日 血液型
11月29日 編集日記・編集後記 11月14日 AVG(+SLG)制作中
10月31日 シナリオ 10月18日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには2
10月3日 オリジナル 9月19日 ゲーム作りで完成までこぎ着けるためには
9月6日 実在モデルをどこまで採用できるか 8月24日 素材?
8月14日 今時の報道スタイル 8月8日 ユーザーサポートにメールを送ってみました
7月25日 恋愛シミュレーション2の魅力? 7月11日 人気と実力
6月27日 打ち切り 6月19日 エロゲ規制強化の流れからみるゲーム考
6月6日 貴族階級 5月23日 悪の戦闘員
5月10日 異なるキャラクターの視点でみてみよう 4月24日 強者がますます強くなる・・・
4月11日 ゲームエディタ 3月29日 愛郷心
3月22日 匿名ネット社会 3月6日 暗躍する超能力者たち
2月22日 信者キャラ 2月15日 必殺技
2月1日 アンチヒーロー(悪役型英雄) 1月23日 カタストロフィーを未然に阻止しよう
1月16日 フェアな戦い 1月3日 あれから幾年後
2008年 12月28日 国盗りSLGの景気対策 12月20日 現実世界をゲーム化してみよう
12月5日 内部対立 11月29日 推理もの??
11月22日 悪人とも言い切れない罪人 11月7日 正史
10月31日 萌えない女性キャラ 10月18日 関西弁
10月5日 大阪 9月21日 避けられない強大な敵
9月7日 人気・魅力・カリスマ 8月29日 黒幕
8月23日 運と実力 8月9日 COMの思考ルーチン
8月3日 新シナリオ「HeiseiNippon」公開 7月19日 軍師
7月5日 各国の思惑を構成するもの 6月21日 催眠術
6月7日 和解 5月24日 知恵者
5月16日 千年生きてみよう 5月3日 生き残ることと勝ち残ること
4月18日 冷酷な指導者 4月5日 お金の使い道
3月15日 若さ 3月7日 性能と運用
2月29日 アンケート現況発表(質問2について) 2月22日 広報戦略
2月10日 差別 1月27日 敵のスペック

1月13日 神の加護、神聖魔法 12月30日 フリーゲームのレビュー
2007年 12月16日 国盗りゲームのパターン 12月1日 謎について
11月16日 ゲーム世界での対人設定2(その他視点) 11月3日 ゲーム世界での対人設定1(味方視点)
10月20日 レジスタンス勢力 10月5日 終盤~エンディング
9月21日 世襲について 9月8日 悪役(ヒデブ派5隊長など)
8月24日 確率について 8月10日 セーブ&ロード
7月27日 成長について 7月15日 SRPGにおける白兵部分のゲーム的処理
6月30日 SRPGのマップのシステム 6月17日 徴収と略奪
6月2日 兵科あれこれ 5月19日 理想の君臣関係
5月4日 経済力うんぬん 4月21日 戦略ゲームと戦術ゲーム
4月6日 公開情報と非公開情報 3月24日 個人戦用の武器等
3月9日 兵士の武器 2月25日 ゲーム作りとゲーム遊び
2月11日 少数派(属性持ち)向けゲーム 1月28日 バージョンアップ

1月13日 宮田軍にてこ入れ? 12月30日 フリーゲームの宣伝
2006年 12月15日 投票・アンケート 12月1日 最強の敵
11月18日 動かしやすいキャラと動かしにくいキャラ 11月4日 デバッグ
10月22日 現代・近未来ものについて 10月6日 趣味の社会人クリエイター
9月15日 新作?の状況について 9月8日 BGMについて
8月27日 登場人物の口語表現 8月12日 女性キャラ
7月28日 主人公選択式ゲーム 7月16日 マイサイトについて
7月2日 死について 6月17日 風刺について
6月2日 シナリオタイプあれこれ 5月19日 ゲーム作りの進め方について
5月5日 ゲーム作りを始める時について 4月21日 高能力キャラの表現方法
4月8日 悪い敵 3月31日 名前について
3月18日 伝え方と伝わり方 3月12日 キャラクターのプロフィールについて
3月5日 アマとプロによる基本プロット考 2月25日 自作CGについて
2月19日 著作権について 2月12日 バックグラウンドの設定について
2月5日 SRPG95の次回作に対する期待 1月29日 分岐と自由度について
1月22日 難易度について 1月15日 勢力別能力値考察
1月8日 主人公について 1月1日 ユニットの能力値をどういじるかについて
2005年  12月30日 12月23日 12月16日 12月9日 12月2日 11月25日 11月18日 11月11日 11月5日 10月31日















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